説明

印字装置

【課題】 ハードディスクを持ったプリンタで、多値データをハードディスクに記録する構成の時に、全てのデータを記録するとディスクの運用効率が悪くなる。
【解決手段】 小さいデータは記録しないことにより、運用効率がよくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関するもので、特にハードディスクなどの大容量記憶装置を持つ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年大版プリンタと呼ばれるA1サイズ以上を印刷できるプリンタが開発されている、このプリンタは、通常図3に示すような構成をとっている、まず、用紙は特にA0サイズ以上になるとカット紙でのハンドリングは困難になるため、通常ロール紙が用いられている。印刷動作は、ロール紙301は、送りローラ302により搬送され、プラテン303上に送られる、次に、インクジェットヘッドなどのインクの吐出機能を持ったキャリッジ304が矢印のように、用紙搬送とは垂直の方向に移動しながら印刷データに対応するインクを吐出し、次に送りローラが吐出したインクの幅だけ用紙を搬送する、このことを繰り返すことにより、目的の印刷を行なうことができる。
【0003】
上記プリンタにおいてインクジェットヘッドをマゼンタ、イエロー、シアン等の原色及び黒用のものを持つことにより、カラーのプリンタとすることができる。しかし、インクジェット方式では、吐出するインク的の大きさは一定であるため濃度を表現するためには、誤差拡散などの画像処理が必要である。
【0004】
このための構成を図4に示す、401はプリンタ402に対して印字データを送り印字指令をするホストコンピュータ、403は印字データを誤差拡散などの処理を行うコントローラ、404は印字動作をおこなう図3に示した印字エンジンである。この構成において、通常ホストコンピュータは、印字データとして、色光の三原色であるレッド,グリーン、ブルーのデータもしくは色料の三原色であるシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのデータを256階調(8ビット)でプリンタに送出する。コントローラでは、前記のようにインクジェット方式のプリンタでは、1つのノズルでは階調は表現できないため、誤差拡散など多値を2値に展開する画像処理が必要であり、これを行なっている。
【0005】
インクジェット用に2値に展開されたデータは、エンジンにより、用紙に印字される。
【0006】
複数同じ画像を印字するものは、特開平9−34670のように、複数コピー印刷ジョブの場合にデータ記憶機構へデータをコピーするものがある。
【0007】
また、プリンタのパネルから印字条件を設定するものは特開2002−113906の様に、セキュリティのために、印字指令をした本人がプリンタのパネルを操作し印字開始するようなオンデマンド印刷時、ホストコンピュータに戻らなくてもパネルから拡大縮小などの指定をできるものがある。
【特許文献1】特開平9−34670
【特許文献2】特開2002−113906
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コントローラによる画像処理は用紙の種類により、インクの吸収量が異なり、また“きれい”、“早い”等の印字モードにより最適な2値展開方法が異なり、また印字品位も変わってくる。
【0009】
他方、大版プリンタでは印字ぶつの用途が展示などプロユースのものが多く、用紙の種類や印字条件を変え試し印字を行ない最終の印字条件を決めることが多い。このとき、同じ印字データであっても、印字ごとに印字データも再送する必要があった。しかし、大版の印字データは、通常数百メガバイトあるため、転送に時間がかかるだけでなく、また最近のインターフェイスは、USB、LANなど他の装置の通信も同時に発生するため、ほかの通信にも悪影響を与えることがある。
【0010】
このため、プリンタ内のハードディスクなどの記憶装置に印字データを記録する例として、プリンタ、特に上記コントローラ内にハードディスクなどの大容量記憶装置をおき、ホストコンピュータから送られてくる多値の印字データを記憶することにより、同じ印字条件だけでなく異なる印字条件の場合でも、大量の画像データを転送することなく印字を行なうことができる様になったが、ハードディスクなどの記憶装置の記憶容量には限度があり、より効率的に記憶装置を用いる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、印字データが小さいものは、転送時間が小さいため、印字データを再送しても印字が遅れる、他の通信に影響を与えるなどの問題は少ない。このような記憶装置に記録しても効果の少ないものは記録しないことにより、記憶装置をより効率的に使用することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した様に、プリンタ、内にハードディスクなどの大容量記憶装置をおき、ホストコンピュータから送られてくる多値の印字データを記憶するプリンタにおいて、印字データが設定値より小さい時には印字データを記憶しないことで、記憶装置を効率よく使うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に本発明の実施の形態のブロック、図2にホストコンピュータのフローチャート、図5にプリンタのフローチャートを示す。
【0014】
図1において、101はプリンタ102に対して印字データを送り印字指令をするホストコンピュータ、103は印字データを誤差拡散などの処理を行うコントローラ、104はホストコンピュータからの印字データを記録するハードディスクなどの大容量メモリ、105は印字動作をおこなう図3に示した印字エンジンである。
【0015】
図1の構成において、動作を図2、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0016】
図2においてホストコンピュータで201印字を開始されるとまず判断202で、印字データが設定値より大きいかどうか判断し、小さいと、プリンタに従来通り、印字データと印字条件のみ転送する。判断202でYESの場合、次に判断203で一回目の印字かどうか判断し、次に判断204で印字データに変更があるか判断する、これらがどちらかYESであると、プリンタに、必要な印字データが無いので、205で印字データ、データを識別するためのデータID、及び印字条件をプリンタに送る。前記判断が両方ともNOの場合は、プリンタに必要な印字データが記録されていると判断できるため、印字エータ似対応するデータIDと印字条件のみプリンタに送る。
【0017】
上記データIDは、印字データごとに付けられ、他の印字データと区別するもので、たとえば、印字データを作った順にシリアルナンバーを附加すると言う方法でも実現できる。
【0018】
次にプリンタの動作を説明する(1)の従来同様、印字データ、印字条件が送られてきた場合は、まず208で印字条件に合わせてエンジンが印字できるように展開データを作成し、209、1バンド展開するごとにデータをエンジンに転送し、210、エンジンは1バンド印字を行なう、このことを1つの印字データに対して行い、1枚分の印字を行なう。
【0019】
次に(2)の印字データ、データID、及び印字条件が送られてきた場合、まず212で印字データをハードディスク213にファイル名をデータIDで記録しながら、印字条件に合わせてエンジンが印字できるように展開データを作成する。214、1バンド展開するごとにデータをエンジンに転送し、215、エンジンは1バンド印字を行なう、このことを1つの印字データに対して行い、1枚分の印字を行ない印字を終了する。
【0020】
また、(3)のデータID、及び印字条件のみ送られてきた場合は、217でデータIDで指定されるハードディスク内の印字データを読み出しながら印字条件に合わせ印字のための展開データを作成し、(1)(2)と同様218の1バンドごとにエンジンに転送し、219印字を行なう。
【0021】
ここでは、実施例として大容量記憶装置をハードディスクとして説明したが、近年半導体の進化によりフラッシュメモリ、DRAMなどのメモリを用いても同様の効果が得られる。
【0022】
判断202での設定値は、たとえば、印字時間内でデータ転送できるデータ量を設定値とする、ホストコンピュータとプリンタの通信手段にLANなど他の通信と供用している時は、ほかの通信に影響の無いデータ量を設定値とすると効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態のブロック図。
【図2】本発明の実施の形態を説明するホストコンピュータのフローチャート。
【図3】大版プリンタの構成図。
【図4】カラーインクジェットプリンタのデータの流れを表すブロック図。
【図5】本発明の実施の形態を説明するプリンタのフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストコンピュータからの多値の印字データを二値化して印字を行ない、二値化を行なう際、印字条件により二値化が異なる装置において、印字装置内に記憶装置をもち、印字を行なう際、ホストコンピュータから送られてくる多値の印字データと同データを識別するIDを記憶装置に格納し印字を行ない、以降の印字の際、同じ印字データを用いる場合、ホストコンピュータは印字データは送らず、印字条件とデータを識別するIDを印字装置に送り、印刷装置はIDで識別される記憶装置のデータと印字条件で印字を行なうことを特徴とする印字装置において、条件によりホストコンピュータから送られてくる多値のデータを記憶装置に同データを格納するか、しないかを選択することを特徴とする印字装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、記憶装置に同データを格納するか、しないかを判断する条件は、印字時間内でデータ転送できるデータ量であるかを判断することを特徴とする印字装置。
【請求項3】
請求項1の装置において、記憶装置に同データを格納するか、しないかを判断する条件は、データ量が設定した大きさより大きいかどうかで判断することを特徴とする印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−44309(P2008−44309A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224200(P2006−224200)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】