説明

原稿搬送装置、画像読取装置、画像形成装置

【課題】読み取り済みの原稿に対し、生産性を低下させることなくスタンプ押印を行う。
【解決手段】排紙ローラ対28の下流側に、排出トレー35上に排出された原稿(排出原稿)に対して所定の印影を押捺・押印するスタンプ押印手段としてのスタンプユニット114が設けられている。スタンプユニット114は、排紙トレイ35上に排出された排出完了済み原稿に対してスタンプ押印するように配設されている。排出完了済み原稿に対してスタンプユニット114でスタンプ押印することで、搬送途中の原稿を一旦停止させる必要がなく、スタンプモードでの生産性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に装着されて原稿を搬送する原稿搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿画像を読み取る画像読取装置は周知であり、スキャナあるいは画像形成装置に備えられた画像読取部などとして広く用いられている。また、その画像読取装置に装着されて原稿を所定の読み取り位置を経由するように搬送する原稿搬送装置も周知である。なお、原稿の読み取り方式としては、原稿を搬送しながら読み取らせる方式(シートスルー方式)と、原稿を停止させて読み取らせる原稿停止方式がある。
【0003】
そのような原稿搬送装置(自動原稿送り装置:ADF)において、画像を読み取られた原稿に対して、読取済み判別用の印影を押捺・押印するスタンプ機能を備えるものがあり、例えば、特開平9−315618号公報(特許文献1)や特開2002−135469号公報(特許文献2)等に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の原稿搬送装置におけるスタンプ押印は、特許文献1(段落0031)に記載されるように、搬送経路上で原稿を一旦停止させてスタンプを押印するものであり、スタンプモード時に生産性が低下するという問題があった。
【0005】
上記特許文献2の装置では、両面読取におけるスタンプ押印を、原稿の同一面に2箇所押印することで生産性の低下を低減させることが提案されているが、この特許文献2の装置においても、スタンプ押印は搬送中の原稿を一旦停止させて押印するものであり、スタンプモード時に生産性が低下するという問題は解決されていない。
【0006】
本発明は、従来の原稿搬送装置における、スタンプモード時に生産性が低下するという上述の問題を解決し、生産性を低減させることなくスタンプ押印を行うことのできる原稿搬送装置及びこれを備える画像読取装置ならびに画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、本発明により、原稿積載部から呼び出したシート状原稿を1枚ずつに分離して給送し、所定の読取位置を経由するよう搬送して排紙トレイに排出させる原稿搬送装置において、前記読取位置通過後の原稿に所定の印影を押印するスタンプ押印手段を備え、前記スタンプ押印手段が、前記排紙トレイ上に排出された排出完了済み原稿に対してスタンプ押印するように配設されていることにより解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の原稿搬送装置によれば、読取位置通過後の原稿に所定の印影を押印するためのスタンプ押印手段が、排紙トレイ上に排出された排出完了済み原稿に対してスタンプ押印するように配設されているので、スタンプを押捺・押印するために搬送中の原稿を一旦停止させる必要が無く、スタンプモードの生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る原稿搬送装置の一例であるシートスルー式ADFの構成を示す断面図である。
【図2】その原稿搬送装置の制御系を示すブロック図である。
【図3】裏面原稿を読み取るための第2画像読取手段の構成を示すブロック図である。
【図4】スタンプ押印手段の構成を示す部分断面図である。
【図5】スタンプ押印手段の他の構成例を示す部分断面図である。
【図6】スタンプ押印手段の更に他の構成例を示す部分断面図である。
【図7】排紙トレーのイニシャル動作を示すフローチャートである。
【図8】スタンプ動作の制御を示すフローチャートである。
【図9】本発明による原稿搬送装置を備える画像形成装置の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、複写機やファクシミリ等の画像形成装置における画像読取部あるいはスキャナ機といった画像読取装置の読取部に原稿を搬送する原稿搬送装置に関するものである。本実施形態では、代表例として、複写機に搭載されるシートスルー式ADFの原稿搬送の場合を取り上げ、本発明を説明する。
【0011】
図1は、本発明に係る原稿搬送装置の一例であるシートスルー式ADFの構成を示す断面図である。また、図2は、その原稿搬送装置の制御系を示すブロック図である。さらに、図3は、裏面原稿を読み取るための第2画像読取手段25の構成を示すブロック図である。まず、これらの図に従って、本実施形態の基本構成と動作について説明する。
【0012】
本実施形態のシートスルー式ADF1は、被読取原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から一枚ずつ原稿を分離して給送する分離給送部B、給送された原稿を一旦突当てて整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、搬送される原稿をターンさせて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送するターン部D、原稿の表面画像を、コンタクトガラスの下方より読取を行わせる第一読取搬送部E、読取後の原稿の裏面画像を読みとる第二読取搬送部F、表裏の読取が完了した原稿を機外に排出する排紙部G、読取完了後の原稿を積載保持するスタック部H、これら搬送動作の駆動を行う駆動部101〜105、さらに、一連の動作を制御するコントローラ部100等から構成されている。
【0013】
読み取りを行う原稿束Pは、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上にセットされる。本例では原稿面を上向きの状態でセットする。原稿テーブル2には図示しないサイドガイドが設けられており、原稿束Pの幅方向をサイドガイドによって搬送方向と直交する方向の位置決めを行う。原稿のセットはセットフィラー4,セットセンサ5により検知され、I/F107により本体制御部111に送信される。
【0014】
可動原稿テーブル3は底板上昇モータ105により図1に示すa,b方向に上下動可能な構成になっており、原稿がセットされたことを前記セットフィラー4及びセットセンサ5により検知すると、底板上昇モータ105を正転させて原稿束Pの最上面がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させる。
【0015】
図1に示した給紙適正位置センサ8は、底板(可動原稿テーブル3)が上昇し過ぎたことを検出して原稿束の上面が適正な給紙高さに保たれていることを検出するセンサである。この適正位置センサ8がONしたら底板上昇を停止し、給紙を繰り返すことで原稿上面位置が下がり適正位置センサ8がOFFしたら、底板を上昇させて適正位置センサ8が再びONするように制御を繰り返すことにより、常に原稿束上面位置が給紙に適した高さに維持される。
【0016】
セットされた原稿が全て給紙されると、底板上昇モータ105を正転させて次の原稿束をセットできるようにホームポジション位置へと可動原稿テーブル3を下降させる。
【0017】
ピックアップローラー7は、ピックアップモータ101によりカム機構で図に示すc,d方向に動作するとともに、可動テーブル3が上昇し可動テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上がりテーブル上昇検知センサ8により上限を検知可能となっている。本体操作部108より、両面モードか片面モードかをキーの押下により指定した後にエンターキーが押下され、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ部100に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ102の正転によりコロが回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。
【0018】
ここで両面モードか片面モードかを設定する際、原稿テーブル2上にセットされた全ての原稿に対して同じように設定しても良いし、(1枚目、2枚目、・・・n枚目の)それぞれの原稿に対して異なる設定(例えば、全10枚の原稿中、1枚目と10枚目は両面モード、その他は片面モード等)をしても良い。
【0019】
給紙ベルト9は給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ10は給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接している時、又は原稿1枚を介して接している状態では給紙ベルト9の回転につられて反時計方向につれ回りし、原稿が万が一2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10の間に侵入した時は連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0020】
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は給紙ベルト9によって更に送られ、突き当てセンサ11によって先端が検知され更に進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる、その後、前出の突き当てセンサ11の検知から所定量定められた距離送られ、結果的には、プルアウトローラ12に所定量の撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止する。この時、ピックアップモータ101を回転させることでピックアップローラ7を原稿上面から退避させ原稿を給紙ベルトの搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラー12の上下ローラ対のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0021】
プルアウトローラ12は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラで、給紙モータ102の逆転により駆動される。またこの時(給紙モータ102逆転時)、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されていない。
【0022】
原稿幅センサ13は奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の搬送方向に直行する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端後端を突き当てセンサ11で読み取ることによりモータパルスから原稿の長さを検知する。
【0023】
プルアウトローラ12及び中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を読取搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して原稿を読取部へ送り込む処理時間の短縮が図られている。
【0024】
原稿先端が読取入口センサ15により検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップに原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16、読取出口ローラ23、CIS出口ローラ27を駆動する。原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、読取位置20の手前で一時停止するとともに、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。続いて本体制御部111より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて搬送される。読取モータ103のパルスカウントにより検出された原稿先端が読取部に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、第1読取部を原稿後端が抜けるまで送信される。
【0025】
片面原稿読取りの場合には、読取搬送部Eを通過した原稿は第二読取り部Fを経て排紙部Gへの搬送される。この際、排紙センサ24により原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転させる。また、排紙センサ24による原稿の先端検知からの排紙モータ104のパルスカウントにより、原稿後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップから抜ける直前に排紙モータ駆動速度を減速させて、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さない様に制御される。
【0026】
両面原稿読取りの場合には、排紙センサ24にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスカウントにより第2画像読取手段25に原稿先端が到達するタイミングで第2画像読取手段25に対してコントローラ部100から副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号が読取部を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取ローラ26は第二読取部における原稿の浮きを抑えると同時に、第二読取部におけるシェーディングデータを取得する為の基準白部を兼ねるものである。
【0027】
図3は、25の電気回路の要部を示すブロック図である。同図に示すように、第2読取部25は、LEDアレイ,蛍光灯,あるいは冷陰極管などからなる光源部200を有している。また、主走査方向(原稿幅方向に対応する方向)に並ぶ複数のセンサチップ201、それぞれのセンサチップ201に個別に接続された複数のOPアンプ回路202、それぞれのOPアンプ回路202に個別に接続された複数のA/Dコンバータ203も有している。更には、画像処理部204、フレームメモリ205、出力制御回路206、I/F回路207なども有している。
【0028】
センサチップ201は、等倍密着イメージセンサと称される光電変換素子と集光レンズとを具備するものである。第2読取部25による読取位置に図示しない原稿が進入するのに先立って、コントローラ100から光源部200に点灯ON信号が送られる。これにより、光源部200が点灯し、その光を原稿の第2面に向けて照射する。原稿の第2面で反射した反射光は、複数のセンサチップ201において、集光レンズによって光電変換素子に集光されて画像情報として読み取られる。それぞれのセンサチップ201で読み取られた画像情報は、OPアンプ回路202によって増幅された後、A/Dコンバータ203によってデジタル画像情報に変換される。これらデジタル画像情報は、画像処理部204に入力されてシェーディング補正などが施された後、フレームメモリ205に一時記憶される。その後、出力制御回路206によって本体制御部111に受入可能なデータ形式に変換された後、I/F回路107を経由して本体制御部111に出力される。なお、コントローラ100からは原稿の先端が第2読取部25による読取位置に到達するタイミング(そのタイミング以降の画像データが有効データとして扱われる)を知らせるためのタイミング信号や光源の点灯信号、電源等が出力されるようになっている。
【0029】
次に、図4を参照してスタンプ押印手段について説明する。
図4に示すように、排紙ローラ対28の下流側(原稿搬送方向の下流側)近傍に、用紙の排出を検知するための排出センサ39が配置されており、さらに、その下流側に、排出トレー35上に排出された原稿(排出原稿)に対して所定の印影を押捺・押印するスタンプ押印手段としてのスタンプユニット114が設けられている。排紙トレー35の後端側(下流端側)の壁部には、昇降式排紙トレー35のホームポジションを検出するための排紙トレーホームポジション(HP)センサ34が配置されている。
【0030】
スタンプユニット114は、原稿排紙動作を妨げないように、排紙経路の上ガイド41の凹部に組み込まれており、着脱可能なユニットである。スタンプユニットは筒状のコイルを有するソレノイドから構成されており、このコイル内にスタンプを収納した状態でソレノイドをON/OFFすることによってスタンプを出没させるようになっている(特許文献1などで公知の技術である)。本構成例では、確実に押印できるように、且つ、押印位置を一定にする為に、排紙トレー35を昇降制御して排出原稿上面からスタンプまでの距離を一定に保つようにしている。
【0031】
排紙トレー35は、排紙トレーベルト37に接続されたブレード38上に固定されている。排紙トレーベルト37の歯とブレード38の歯は噛み合っており、排紙トレー昇降モータ113の駆動によって、排紙トレーベルト37とブレード38を介して排紙トレー35の昇降動作を実現している。
【0032】
排紙トレー35の停止位置については、排紙トレー適性位置フィラー36と排紙トレー適正位置センサ33で排出原稿の最上面を検出する。排紙トレー35が適性位置(排紙トレー上の排出原稿上面が適正の位置)になったときに、排紙トレー適性位置フィラー36を排紙トレー適性位置センサ33が検出(ON)するように構成されている。原稿が排出され、排紙トレー35上に排出原稿が重なっていくと、排紙トレー適性位置フィラー36が反時計方向に回転するため、排紙トレー適性位置センサ33は非検知状態(OFF)になる。このとき、排紙トレー昇降モータ113を駆動して排紙トレー35を下降させる。再び、排紙トレー適性位置センサ33が排紙トレー適性位置フィラー36を検出するまで下降させることで常に排紙トレー35を適性位置に合わせられるので、スタンプユニット114のスタンプと排出原稿最上面の距離を一定に保つことが出来る。
【0033】
図4の構成では、確実な押印と押印位置を一定にする為の構成として、スタンプユニットを固定し、排紙トレーを可動式にしていたが、図5に示す構成のように、スタンプユニットを可動式にし、排紙トレーを固定しても同様の効果が得られる。
【0034】
図5において、スタンプユニット114は、上ガイド41ではなく、排紙トレー35の上流側端部に配設されている。スタンプユニット114は、排紙トレーベルト37に接続されたブレード38上に固定されている。排紙トレーベルト37の歯とブレード38の歯は噛み合っており、スタンプユニット昇降モータ113(第1実施例の排紙トレー昇降モータ113)の駆動によって、排紙トレーベルト37とブレード38を介してスタンプユニット114の昇降動作を実現している。スタンプユニット114は、排紙トレー35上に排出されスタックされる原稿の積み重ね方向(積み重ね方向と完全に同一でなくとも、略同一であれば良い)に移動可能に設けられている。
【0035】
スタンプモータ112からベルトを介してスタンプ手段を回動させ、押印する構成となっている。スタンプ押下時は、スタンプモータ112を駆動し、スタンプユニットの軸を中心に円弧を描くように、最上面の原稿に押印する。スタンプユニット昇降動作の停止位置については、排紙トレー可動式同様に排紙トレー適性位置フィラー36で排出原稿の最上面を検出して制御する。
【0036】
さらに、図6に示すように、スタンプユニット114及び排紙トレー35の双方を固定式に設けることも可能である。本構成例では、上記図4及び図5の構成とは異なり、排紙トレー適性位置フィラー36及び排紙トレー適性位置センサ33は備えていない。
【0037】
図6の構成では、図5の場合と同様に、スタンプモータ112からベルトを介してスタンプ手段を回動させ、押印する構成となっている。スタンプ押下時は、スタンプモータ112を駆動し、スタンプユニットの軸を中心に円弧を描くように、原稿上面に押印する。本例のように、スタンプユニットも排紙トレーも固定させれば(非昇降式に設ければ)、排紙トレー昇降動作の駆動源や、排出原稿最上面を検知する機構が不要となるので安価な構成で押印できる。但し、この場合、排紙トレー35上に排出され重ねられた原稿の厚みによってスタンプ押印位置が多少ズレるため、押印位置が一定とならないという制約がつく。
【0038】
図7,8のフローチャートを参照して、排紙トレーのイニシャル動作およびスタンプ動作の制御について説明する。なお、ここでは、図4の構成の場合で説明する。
イニシャル動作は、電源投入時、ジャム処理時、給紙カバー開閉時など、原稿を通紙許可する前に機械の初期設定として行う。図7のフローチャートにおいて、まず初めに、排紙トレーホームポジションセンサ34で排紙トレー35の位置を確認する(S1)。排紙トレーホームポジションセンサ34がONの場合、排紙トレー昇降モータ113を図中反時計回り(CCW)に回転させ(S2)、排紙トレー35を適正位置まで上昇させる。排紙トレー適正位置センサ33がON(排紙トレー適正位置フィラー36を検知)したタイミングで(S3)、排紙トレー昇降モータ113を停止させる(S4)。
【0039】
一方、排紙トレーホームポジションセンサ34がOFFの場合(排紙トレー35がホームポジションに無い場合)、一旦、排紙トレー昇降モータを図中時計回り(CW)に回転させ(S5)、排紙トレーをホームポジション位置まで下降させる。図4の構成ではホームポジションを排紙トレーの可動域の最下降位置としている為、下降させればホームポジションを検知できる。排紙トレーホームポジションセンサ34がONしたタイミングで(S6)、排紙トレー昇降モータ113を停止させ(S7)、S2に進んで、モータ回転方向を図中反時計回り(CCW)回転に切り替えて、排紙トレーを適正位置まで上昇させる。
【0040】
次に、図8を用いてスタンプ動作の制御について説明する。
今、原稿が正しく搬送されてきており、原稿後端が排紙ローラ28と排出センサ39の間に存在しており、排出センサ39はON状態(原稿を検知している状態)とする。排出センサ39で原稿後端を監視し、排出センサ39がOFF(原稿後端が排出センサを通過)すると(S11)、タイマーカウントを開始する(S12)。S13でタイマーを監視し、予め設定した所定値A以上の時間が経過すると、原稿排出が完了(排紙トレー上で停止している)したと判断できる為、タイマーをクリアした(S14)後、図2に示すスタンプ駆動ソレノイド(又はモータ)112をONして(S15)タイマーカウントを開始する(S16)。
【0041】
スタンプが擦れることなく原稿に押印するまでの一定時間スタンプを原稿に接触させる為、S17でタイマーを監視し、所定時間B以上経過した後、スタンプ駆動112をOFFして(S18)、タイマーをクリアする(S19)。このとき、排紙トレー35の適正位置を監視し(S20)、排紙トレー適正位置センサ33がOFFしていれば(積み重なった排出原稿によって、排紙トレー適正位置フィラー36が上昇して排紙トレー適正位置センサ33がOFFする)、排紙トレー昇降モータ113を図中時計回り(CW)に回転させ(S21)、排紙トレー35をホームポジション位置まで下降させる。すなわち、排紙トレー適正位置センサ33がONしたら排紙トレー昇降モータ113を停止させる(S22,23)。これにより、スタンプの印体部分から排出原稿までの距離を確実に押印できる距離に保つことができる。
【0042】
一方、S11で排出センサ39がOFFしない(原稿が排出センサを通過したことを検知できない)場合はS24に進み、図2に示す排紙モータ104のトータルパルス数を見て、該パルス数が所定値を超えると排出センサ滞留ジャムと判断して(S25)、ユーザーへ警告表示を出す。
【0043】
上記説明したように、本発明による原稿搬送装置(ADF)は、排紙トレイ上にある排出完了済みの原稿に対して所定の印影を押捺・押印できるように配設されたスタンプ手段を備えるので、スタンプを押捺・押印するために搬送中の原稿を一旦停止させる必要が無く、スタンプモードの生産性を向上させることができる。
【0044】
排紙トレーを昇降可能な構成とすることによって、スタンプ手段と排出原稿の距離を一定に保つことが可能となるため、各原稿でスタンプ位置を同じにすることができる。
【0045】
あるいは、スタンプ手段を昇降可能な構成とすることによっても、スタンプ手段と排出原稿の距離を一定に保つことが可能となるため、各原稿でスタンプ位置を同じにすることができる。
【0046】
また、排紙トレー又はスタンプ手段を昇降可能な構成において、スタンプ手段から排紙トレー上の最上面原稿までの距離が常に一定となるように制御することで、各原稿でスタンプ位置を同じにすることができる。
【0047】
一方、排紙トレー及びスタンプ手段を固定式とした場合には、構成の簡素化によりコストを低減させることができる。また、制御も容易にできる。
スタンプ手段を、装置本体に着脱可能なユニットとして設けることで、スタンプ手段のメンテナンス性を向上することができる。
【0048】
ところで、上記したように、本実施形態の原稿搬送装置はシートスルー式ADFとして構成されたものであり、該シートスルー式ADFが装着された画像読取装置においては、画像読取手段が固定(停止)された原稿読取位置(図1に符号20で示す)にADFで原稿を搬送し、所定の速度で搬送しながら原稿画像の読み取りを行う。また、図示例の場合、原稿裏面の読み取りを行う第2読取部25も備えている。
【0049】
本発明の原稿搬送装置(ADF)を備える画像読取装置、画像形成装置においては、原稿が読み取り終了したものであるかどうかの確認や重送不良の発生の有無の確認をすることができる。また、画像形成装置がファクシミリ装置の場合には、送信確認にも用いることができる。そして、それらの原稿読取り(スタンプモードでの原稿読取り)を生産性を低下させることなく行うことができる。
【0050】
最後に、本発明の原稿搬送装置(ADF)を備える画像形成装置について簡単に説明する。
図9に示す画像形成装置は、デジタル複写機として構成されたものであり、本体部310,給紙部320、操作部330、、両面装置350等から構成されている。符号360は、胴内排紙部である。複写機最上部には上記説明した原稿搬送装置(ADF)1が装着されている。
【0051】
本体部310には画像読取部及び画像形成部が含まれる。本例のデジタル複写機で用いられる画像読取部は、光源を原稿に照射し、その反射光をCCD等の固体撮像素子で電気信号に変換し、必要な画像処理を行う機能を持った装置である。また、画像形成部は、電気信号として送られてきた画像イメージを電子写真方式により記録媒体(転写紙等)上に形成する装置である。なお、本体部310における作像方式としては、電子写真以外にも、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式等を用いることが可能である。作像方式についてはいずれも周知なものであるため、詳しい説明は省略する。
【0052】
本例のようなデジタル複写機の大きな特徴として、画像を電気信号に変換して読み込み、この電気信号を画像形成部にて復元する際、様々に変化、伝達する手段を持つことにより、複写機以外の用途への応用が可能なことがあげられる。本例においても、複写機のほか、ファクシミリ、プリンタとしての機能も有している。そして、これ以外にも、スキャナ(画像読取装置)、ファイリングシステム等、応用範囲は非常に広い。
【0053】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、シートスルー方式の原稿搬送装置に限らず、コンタクトガラス面上の原稿停止位置に原稿を停止させて読み取らせる、原稿停止方式の原稿搬送装置にも適用可能である。その場合、シートスルー方式と同様、原稿排出部にスタンプ押印手段を設け、排紙トレイ上にある排出完了済みの原稿に対して所定の印影を押捺・押印するように構成すれば良い。
【0054】
また、画像形成装置としてはフルカラー機に限らず、複数色のマルチカラー機やモノクロ装置であってもよい。もちろん、画像形成装置としては複写機に限らず、ファクシミリや複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 シートスルー式ADF(原稿搬送装置)
2 原稿テーブル
3 可動原稿テーブル
20 読取位置
25 第2読取部
28 排紙ローラ対
33 排紙トレー適正位置センサ
34 排紙トレーホームポジション(HP)センサ
35 排紙トレー
36 排紙トレー適性位置フィラー
37 排紙トレーベルト
38 ブレード
39 排出センサ
100 コントローラ
101〜105 駆動部
112 スタンプ駆動ソレノイド
113 排紙トレー昇降モータ(スタンプユニット昇降モータ)
114 スタンプユニット(スタンプ押印手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平9−315618号公報
【特許文献2】特開2002−135469号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿積載部から呼び出したシート状原稿を1枚ずつに分離して給送し、所定の読取位置を経由するよう搬送して排紙トレイに排出させる原稿搬送装置において、
前記読取位置通過後の原稿に所定の印影を押印するスタンプ押印手段を備え、
前記スタンプ押印手段が、前記排紙トレイ上に排出された排出完了済み原稿に対してスタンプ押印するように配設されていることを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
前記排紙トレイが昇降可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記スタンプ押印手段が、前記排紙トレイにおける原稿積み重ね方向に移動可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記スタンプ押印手段と前記排紙トレイ上の最上面原稿間の距離が一定となるように、前記排紙トレイの位置又は前記スタンプ押印手段の位置を制御することを特徴とする、請求項2または3に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記スタンプ押印手段が、装置本体に対して着脱可能なユニットとして設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の原稿搬送装置を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の原稿搬送装置または請求項6に記載の画像読取装置を備えることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−249141(P2012−249141A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120213(P2011−120213)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】