説明

原稿読取り装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】簡単な構成で原稿の斜め搬送や給紙タイミングのずれによる原稿読取り不良を防止して、正確で且つ高速化に対応した原稿搬送を実現できる原稿読取り装置及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿トレイ2Bと、原稿を装置内に導入する給送ローラ5Aと、原稿を搬送する原稿搬送路H1と、原稿を搬送する搬送ローラR1〜R3とを備えて、原稿読取位置S(S1,S2)に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置1Bを具備する原稿読取り装置1A2において、原稿搬送装置1Bとして、給送ローラ5Aの原稿搬送方向下流側に第1の原稿検出センサSW1を配置し、搬送ローラR1の原稿搬送方向下流側に第2の原稿検出センサSW2を配置して、第1の原稿検出センサSW1及び第2の原稿検出センサSW2から出力される検出信号に基づき原稿の搬送状態を検出することを特徴とするものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取り装置及びこれを用いた画像形成装置に係り、特に、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を備えた原稿読取り装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、複数枚の原稿を載置可能にして自動的に原稿を搬送し、読取りを行う原稿読取り装置を搭載したものが多く用いられている。このように構成された画像形成装置において、近年、画像形成装置の高速化に伴い、用紙搬送の高速化とともに原稿読取り装置の高速化も図られている。
【0003】
例えば、画像形成装置において、印字処理枚数が100〜120枚/分(A4横搬送換算)の装置では、プロセス速度は概ね600〜650mm/secとなる。この時、用紙搬送部では印字処理部に用紙を正確に搬送する為、印字処理部の直前のレジストローラ部で斜め搬送の矯正、用紙先端と画像先端のタイミング調整の為に一旦停止する用紙搬送制御が行われている。
【0004】
このような制御の為、画像形成装置においては、通常給紙カセット、手差し給紙トレイからの給紙工程、及び片面印字終了用紙を裏面印字用に搬送する反転搬送路中の用紙等は前記プロセス速度に比較し、1.5〜2.0倍位の高速搬送が行われている。
【0005】
また、画像形成装置では、従来の給紙技術として、複数の検出センサを用いて搬送される用紙を検出して正確に用紙搬送を行うようにしたものが提案されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開昭60−85978号公報
【0006】
一方、原稿読取り装置においては、画像形成装置の印字処理工程中に画像情報が無くなることなく、また、印字処理工程を中断することなく画像形成装置の能力を最大限に発揮するために、印字処理部の印字処理速度よりも原稿読取り処理速度が若干高速で行われるようになっている。
【0007】
このため、原稿読取り装置では、多量枚数の原稿を積載可能な原稿積載台を有すると共に、原稿読取り用の光学ユニットを2つ配置し、1パス(1回の原稿搬送)で原稿の表裏の画像情報を読取ることで高速化に対応するようにしたものが知られている。
【0008】
近年、このように原稿読取り装置においても、原稿の画像情報を高速で且つ精度良く読取ることが可能な原稿読取り装置が要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の原稿読取り装置では、高速で原稿搬送を行うとピックアップローラから給紙された原稿が斜めに搬送されたり、ピックアップローラによる給紙タイミングに若干のずれが生じたりする場合があり、これらが要因となって原稿を損傷させたり画像情報の読み取り品位の低下を招来するという問題があった。
【0010】
具体的には、原稿が斜め搬送されると原稿詰まりや原稿の破損が生じたり、ピックアップローラによる原稿の給紙タイミングがずれると画像先端の読み取り欠けの原因となる。この原稿の給紙タイミングがずれは、原稿をWフィード(重送)した時に顕著に現れる。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであって、簡単な構成で原稿の斜め搬送や給紙タイミングのずれによる原稿読取り不良を防止して、正確で且つ高速化に対応した原稿搬送を実現できる原稿読取り装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明に係る用紙搬送装置及びこれを用いた画像形成装置の構成は、次の通りである。
請求項1に記載した原稿読取り装置は、原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置において、前記原稿搬送装置の構成として、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に前記搬送ローラを隣接配置し、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第1の原稿検出センサを配置するとともに、前記搬送ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第2の原稿検出センサを配置し、前記第1の原稿検出センサ及び第2の原稿検出センサから出力される検出信号に基づき原稿の搬送状態を検出することを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、原稿の搬送状態とは、原稿が原稿搬送方向に沿って平行な状態で搬送されている状態、原稿が斜めに搬送されている状態、原稿が適正なタイミングで搬送されている状態、原稿が適正なタイミングで搬送されていない状態を含むものとする。
【0014】
請求項2に記載した原稿読取り装置は、請求項1に記載した構成に加えて、前記第1の原稿検出センサを、原稿が搬送されたか否かを検出するON/OFFセンサとし、前記第2の原稿検出センサを、搬送された原稿が原稿搬送方向に対して略平行に搬送されているか否かを検出するラインセンサとすることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載した原稿読取り装置は、請求項1または2に記載した構成に加えて、前記原稿搬送装置として、原稿トレイから原稿供給を行う時に、原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いか否かを判定する原稿搬送タイミング判定手段を備えたことを特徴とするものとする。
【0016】
請求項4に記載した原稿読取り装置は、請求項3に記載した構成に加えて、前記原稿搬送装置として、前記原稿搬送タイミング判定手段のよる判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを決定する搬送ローラ駆動タイミング決定手段を備えることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5に記載した原稿読取り装置は、請求項3に記載した構成に加えて、前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段を、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して遅延したと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングよりも早くするようにすることを特徴とするものである。
【0018】
この時、前記原稿搬送タイミング判定手段は、前記給紙ローラまたは前記ピックアップローラの搬送力が低下していると判定するようにしても良い。
【0019】
請求項6に記載した原稿読取り装置は、請求項4に記載した構成に加えて、前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段を、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングより遅延させるようにすることを特徴とするものである。
【0020】
この時、前記原稿搬送タイミング判定手段は、搬送された原稿が重送されていると判定するようにしても良い。
【0021】
請求項7に記載した画像形成装置は、原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置を備えた画像形成装置おいて、前記原稿読取り装置として、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載した発明によれば、原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置において、前記原稿搬送装置の構成として、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に前記搬送ローラを隣接配置し、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第1の原稿検出センサを配置するとともに、前記搬送ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第2の原稿検出センサを配置し、前記第1の原稿検出センサ及び第2の原稿検出センサから出力される検出信号に基づき原稿の搬送状態を検出することで、原稿の斜め搬送や給紙タイミングのずれを修正して原稿読取り不良を防止することができる。これにより、正確で且つ高速化に対応した原稿搬送を実現できるという優れた効果を奏し得る。
【0023】
また、請求項2〜6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明で得られる上記共通の効果に加え、次の効果を得ることができる。
【0024】
すなわち、請求項2に記載した発明によれば、前記第1の原稿検出センサを、原稿が搬送されたか否かを検出するON/OFFセンサとすることで、原稿が給紙されたタイミングを検出でき、前記第2の原稿検出センサを、搬送された原稿が原稿搬送方向に対して略平行に搬送されているか否かを検出するラインセンサとすることで、搬送された原稿が斜行しているか否かを検出することができる。
【0025】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1または2に記載の発明で得られる効果に加えて、前記原稿搬送装置として、原稿トレイから原稿供給を行う時に、原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いか否かを判定する原稿搬送タイミング判定手段を備えたことで、例えば、前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が予定の到達時間よりも遅延した時は、原稿給紙ローラ、若しくはピックアップローラの搬送力の低下と判定して、原稿給紙ローラ、若しくはピックアップローラの摩耗等による原稿の搬送不良が生じることを未然に防止できる。
【0026】
また、前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が予定の到達時間よりも早い時は、当該原稿の前原稿搬送時にWフィードしていたと判定して、原稿詰まりが生じることを未然防止できる。
【0027】
請求項4に記載した発明によれば、請求項3に記載の発明で得られる効果に加えて、前記原稿搬送装置として、前記原稿搬送タイミング判定手段のよる判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを決定する搬送ローラ駆動タイミング決定手段を備えることで、前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間に応じて、前記搬送ローラの再駆動タイミングを最適なタイミングで行うことができる。
【0028】
請求項5に記載した発明によれば、請求項3に記載の発明で得られる効果に加えて、前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段を、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して遅延したと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングよりも早くすることで、原稿の搬送遅れを是正して原稿搬送を適正な状態にして原稿の搬送不良が生じることを未然に防止できる。
【0029】
請求項6に記載した発明によれば、請求項4に記載の発明で得られる効果に加えて、前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段を、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングより遅延させて原稿間隔を容易に確保することができる。
【0030】
また、請求項7に記載した発明によれば、原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置を備えた画像形成装置おいて、前記原稿読取り装置として、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置を用いることで、原稿の斜め搬送や給紙タイミングのずれを修正して原稿読取り不良を防止することができる。これにより、正確で且つ高速化に対応した原稿搬送を可能にした画像形成装置を実現できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る用紙搬送装置が採用された画像形成装置の全体の構成を示す説明図、図2は前記画像形成装置の装置本体の構成を示す部分詳細図である。
【0032】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、スキャナ等に読み込まれた画像データや外部から伝達された画像データを電子写真方式によって、記録媒体となる所定のシート状の記録用紙(以下、用紙と称する。)にモノクロ画像として出力形成するものであって、原稿を複数枚収納可能な原稿トレイ2Bと、原稿トレイ2Bから供給される原稿を装置内に導入する給送ローラ5Aと、原稿トレイ2Bから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路H1と、原稿搬送路H1内に導入された原稿を搬送する搬送ローラR(R1〜R6)とを備えて、画像読取位置(原稿読取り部)S(S1,S2)に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置1Bを具備する自動原稿処理装置(原稿読取り装置)1A2が搭載された画像形成装置において、原稿搬送装置1Bとして、本発明に係る特徴的な原稿搬送装置を採用したものである。
【0033】
まず、本実施形態に係る画像形成装置1Aの全体構成について図面を参照して説明する。
【0034】
画像形成装置1Aは、図1,図2に示すように、主に、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送装置7、給紙トレイ8、排紙トレイ9及び転写機構(転写手段)10等より構成される装置本体1A1と、自動原稿処理装置1A2とにより構成されている。
【0035】
装置本体1A1の上面部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台21が設けられ、この原稿載置台21の上方には、自動原稿処理装置1A2が上方に向かい揺動開放自在に設けられ、一方、この原稿載置台21の下方には、原稿の画像情報を読み取る原稿読み取り部であるスキャナ部22が配置されている。
【0036】
そのスキャナ部22の下方には、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6、用紙搬送装置7、排紙トレイ9及び転写機構10が配設され、さらに、その下方には、用紙Pが収納された給紙トレイ8が配設されている。
【0037】
露光ユニット1は、図示しない画像処理部から出力された画像データ(印字用画像情報)に応じてレーザ光を、帯電器4によって均一に帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより、該感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を書込み形成する機能を有するものである。
【0038】
露光ユニット1は、スキャナ部22の直下で且つ感光体ドラム3上方に配置され、レーザ照射部11および反射ミラー12を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)13a,13bが採用されている。本実施形態では、高速印字処理を行う為に、複数のレーザ光を利用し、照射タイミングの高速化を低減する手法を採用し、2ビーム手法を採用している。
【0039】
尚、本実施形態では、露光ユニット1にレーザスキャニングユニット(LSU)13a,13bを用いているが、発光素子をアレイ状に並べたもの、例えばELやLED書込みヘッドを用いるものであっても良い。
【0040】
感光体ドラム3は、図2に示すように、円筒状を呈し、露光ユニット1の下方に配設され、図示しない駆動手段と制御手段により所定方向(図中の矢印A方向)に回転するように制御されている。この感光体ドラム3の外周面に沿って、画像転写終了後の位置を基準として感光体ドラム回転方向下流側に向かい、用紙剥離爪31、クリーナユニット5、電界発生部としての帯電器4、現像器2、除電装置41の順に配置されている。
【0041】
用紙剥離爪31は、ソレノイド32により感光体ドラム3の外周面に接離可能に配置されている。この用紙剥離爪31は、感光体ドラム3の外周面に当接した状態で、感光体ドラム3上の未定着トナー像を用紙Pに転写する際にその感光体ドラム3の表面に張り付いた用紙Pを剥離するものである。
【0042】
尚、用紙剥離爪31の駆動手段として、ソレノイド32の換わりに駆動用モータ等を採用しても良く、その他の駆動手段の選択も可能である。
【0043】
現像器2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像を黒トナーで顕像化するものであって、感光体ドラム回転方向(図中の矢印A方向)で帯電器4より下流側で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で右側)に配置されている。この現像器2下方には記録媒体搬送方向上流側にレジストローラ15が配置されている。
【0044】
レジストローラ15は、給紙トレイ8から供給された用紙Pの先端と感光体ドラム3上のトナー像とを整合して感光体ドラム3と転写ベルト103との間に搬送するように、図示しない駆動手段と制御手段とのより動作制御されている。
【0045】
帯電器4は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であって、感光体ドラム3の上方でその外周面に近接して配置されている。
尚、本実施形態では、チャージャー型の帯電器4を用いているが、接触型のローラ方式によるものやブラシ方式によるものを用いるものであっても良い。
【0046】
除電装置41は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像を用紙Pに転写し易くするために該感光体ドラム3の表面電位を低下させるための転写前除電手段であって、感光体ドラム回転方向で現像器2より下流側で、且つ該感光体ドラム3の下方でその外周面に近接して配置されている。
【0047】
尚、本実施形態では、除電装置41は、除電電極を用いて構成されているが、除電電極の替わりに除電ランプを用いたり、その他の方式により除電するようにしたものであっても良い。
【0048】
クリーナユニット5は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを除去・回収するものであって、感光体ドラム3を挟んで現像器2と略対向する位置で感光体ドラム3の側方で略水平(図中で左側)に配置されている。
【0049】
上述した様に、感光体ドラム3上で顕像化された静電像は、静電像が有する電荷の逆極性の電界が搬送される用紙P上に転写機構10から印加されることで用紙P上に転写される。
例えば、静電像が(−)極性の電荷を有している時は、転写機構10の印加極性は(+)極性となる。
【0050】
転写機構10は、図2に示すように、駆動ローラ101、従動ローラ102及び他のローラで架橋されるとともに、所定の抵抗値(本実施形態では1×109〜1×1013Ω・cmの範囲)を有する転写ベルト103が配置された転写ベルト式ユニットで構成され、感光体ドラム3の下方で、転写ベルト103の表面が感光体ドラム3の外周面の一部と接触するように配置されている。この転写ベルト103により、用紙Pを感光体ドラム3に押圧しながら搬送するようになっている。
【0051】
感光体ドラム3と転写ベルト103の接触部104には、駆動ローラ101及び従動ローラ102とは異なる導電性で転写電界を印加可能な弾性導電性ローラ105が配置されている。
【0052】
弾性導電性ローラ105は、弾性ゴム、発泡性樹脂等の軟質材料により構成されている。この弾性導電性ローラ105が弾性を有することで、感光体ドラム3と転写ベルト103とが線接触でなく、所定の幅(転写ニップと呼ばれる。)を有する面接触となるので搬送される用紙Pへの転写効率の向上を図ることができる。
【0053】
更に、転写ベルト103の転写領域の用紙搬送方向下流側には、搬送される用紙Pが転写領域で印加された電界を除電し、次工程への搬送をスムーズに行う為の除電ローラ106が転写ベルト103の背面側に配置されている。
【0054】
また、転写機構10には、転写ベルト103の残留トナーによる汚れを取るクリーニングユニット107と、転写ベルト103の除電を行う複数の除電機構108が配置されている。この除電機構108に用いられる除電を行うための手法として、装置を介して接地する手法、若しくは積極的に前記転写電界の極性とは逆極性を印加する手法がある。
【0055】
転写機構10で用紙P上に転写された静電像(未定着トナー)は、定着ユニット6に搬送されて加圧・加熱されることで未定着トナーが溶融されて用紙P上に定着される。
【0056】
定着ユニット6は、図2に示すように、加熱ローラ6a、加圧ローラ6bとを備え、この加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとにより用紙Pを挟持した状態で加熱ローラ6aを回転させ、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの間を通過させることにより、用紙P上に転写されたトナー像を溶融して定着させるものである。定着ユニット6の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを搬送する搬送ローラ16が設けられている。
【0057】
加熱ローラ6aは、その外周部には用紙剥離爪611、ローラ表面温度検出部材(サーミスター)612、ローラ表面クリーニング部材613が配置され、内周部には加熱ローラ表面を所定温度(定着設定温度:概ね160〜200℃)とする熱源614が設けられている。
【0058】
加圧ローラ6bは、ローラの両端部で加熱ローラ6aに対し所定圧量で加圧ローラ6bが圧接することが可能な加圧部材621が配置され、さらに、加圧ローラ6bの外周には加熱ローラ6aの外周と同様に用紙剥離爪622、ローラ表面クリーニング部材623が配置されている。
【0059】
この定着ユニット6は、図2に示すように、加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接部(いわゆる定着ニップ部と呼ばれる。)600において、搬送される用紙P上の未定着トナーを加熱ローラ6aにより加熱して溶融し、該加熱ローラ6aと加圧ローラ6bとの圧接力による用紙P上への投鋲作用で、未定着トナーを用紙P上に定着するようになっている。
【0060】
給紙トレイ8は、画像情報が出力(印字)されるシート(用紙)を複数枚蓄積しておくためのものであり、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器4、除電装置41、クリーナユニット5、定着ユニット6等で構成される画像形成部14の下側に構成されている。この給紙トレイ8の排紙側上部には、用紙ピックアップローラ8aが配置されている。
【0061】
この用紙ピックアップローラ8aは、給紙トレイ8内に積載収容された用紙Pを最上層から1枚ずつピックアップし、下流側に向かって(便宜上の用紙Pの流れ出し側(カセット側)を上流、排紙側を下流とする。)用紙搬送装置7を構成する用紙搬送路7a上のレジストローラ(「アイドルローラ」とも称する。)15側に搬送するようになっている。
【0062】
本実施形態に係る画像形成装置1Aでは、高速印字処理を行うことを目的とする為、画像形成部14の下方に定型サイズの用紙Pを各々のトレイに500〜1500枚収納可能な複数の給紙トレイ8が配置され、一方、装置側面には複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット81が配置されるとともに、該大容量給紙カセット81の上方に、主に不定型サイズの印字等に対応する手差しトレイ82が設けられている。
【0063】
排紙トレイ9は、手差しトレイ82とは反対側の装置側面に配置されている。また、排紙トレイ9に変わって、排紙用紙の後処理装置(ステープル、パンチ処理等を行う装置)や複数段排紙トレイ等をオプションとして配置することも可能な構成となっている。
【0064】
ここで、画像形成装置1Aにおける用紙搬送装置7による処理モードに対応した用紙搬送工程について説明する。
【0065】
印字要求に合致する用紙Pは、図2に示すように、複数の給紙トレイ8の中から選択され、用紙搬送路7a中の搬送ローラによってレジストローラ15まで搬送される。
レジストローラ15に到達して一旦停止した用紙Pは、用紙Pの先端と前記感光体ドラム3上の画像情報を合致させるタイミングでレジストローラが再び回転することで転写機構10に搬送され、用紙P上に感光体ドラム3から未定着トナー像(画像情報)が転写された後、定着ユニット6で用紙P上にトナー像が固着されて排紙トレイ9に排出される。
【0066】
この用紙搬送路7a内の搬送経路において、画像形成装置1Aが有する処理モード(コピアモード、プリンタモード、FAXモード)、および印字処理手法(片面印字、両面印字)によって定着ユニット6以降から排紙トレイ9までの搬送方法が異なる。
通常、コピアモードでは、ユーザが画像形成装置1Aの近傍で操作を行うことから“フェースアップ排出”と呼ばれる印字面が上側になって排出される手法が多く用いられる。
【0067】
一方、プリンタ、FAX等の各モードでは、ユーザが画像形成装置1Aの近傍にいないことから排出された用紙Pのページ順を揃える“フェースダウン排出”手法が多く用いられている。
【0068】
従って、画像形成装置1Aでは、定着ユニット6を通過した用紙Pを排紙トレイ9に排出するまでの間に、複数の搬送路を経由して、上記目的に合致する用紙排出を行うようになっている。
【0069】
次に、本実施形態に係る自動原稿処理装置(原稿読取り装置)1A2について図面を参照して詳細に説明する。
図3は本実施形態に係る画像形成装置に搭載された自動原稿処理装置の全体の構成を示す説明図である。
【0070】
自動原稿処理装置1A2は、図2,図3に示すように、画像形成装置1A上部のスキャナ部22の上方において、原稿載置台21の上面を開閉自在にして設けられている。
自動原稿処理装置1A2は、複数枚原稿が積載される原稿トレイ2B、画像情報の読取済の原稿が積層して排出される排出トレイ3Bを備えている。
【0071】
原稿トレイ2Bから第1画像読取位置S1及び第2画像読取位置S2を経由して排出トレイ3Bに至る間には、ピックアップローラ4B、給送ローラ5A、捌きローラ5B及びローラR1〜R6を備えた略C字状を呈する原稿搬送路H1が形成されている。
【0072】
ローラR1,R2,R4及びR5は、原稿搬送路H1内において原稿を所定速度で搬送するための搬送ローラである。
【0073】
ローラR3は、画像読取位置S1及びS2における画像情報の読取タイミングに同期して回転を開始するレジストローラである。読取タイミングに先立って原稿トレイ2Bから搬送された原稿は、その前端部を停止中のレジストローラR3に当接させて斜行を矯正された後、回転を開始したレジストローラR3によって所定の読取タイミングで画像読取位置S1及びS2に搬送される。
【0074】
ローラR6は、画像情報の読取処理を完了した原稿を排出トレイ3Bに排出する排出ローラである。
【0075】
原稿搬送路H1において、画像形成装置1Aに設けられた原稿載置台21に対向する第1画像読取位置S1には、原稿載置台21に設けられた第1原稿読取り台10Aに対して所定の間隙を設けてプラテン10Bが配置されている。原稿が第1原稿読取り台10Aとプラテン10Bとの間の第1画像読取位置S1を通過する時に、画像形成装置1Aのスキャナ部22に備えられたCCD読取ユニット22Aによって原稿の表面からの画像情報の読取が行われる。
【0076】
原稿搬送路H1において、第1画像読取位置S1の下流側に位置する第2画像読取位置S2(この発明の画像読取位置である。)に設けられた第2原稿読取り台16Aの上面側にはプラテンガラス16Bが配置されている。
【0077】
また、自動原稿処理装置1A2の内部において原稿搬送路H1に包囲された部分には、この発明の画像読取素子であるCCD8Bがミラー22B〜25B及びレンズ26Bとともに配置されている。
【0078】
CCD8Bは、ミラー22B〜25B、レンズ26B及びプラテンガラス16Bを介して第2画像読取位置S2に対向している。原稿が第2原稿載置台16Aとプラテンガラス16Bとの間の第2画像読取位置S2を通過する時に、CCD8Bによって原稿の裏面からの画像情報の読取が行われる。
【0079】
原稿の片面のみから画像情報を読み取る片面原稿読取時には、原稿トレイ2Bに載置された原稿の最上面に当接したピックアップローラ4Bの回転によって繰り出された原稿が、給送ローラ5Aの回転によって原稿搬送路H1内に導かれる。このとき、給送ローラ5Aと同方向に回転する捌きローラ5Bにより、最上部に位置する原稿以外の原稿が原稿トレイ2B内に戻され、最上部に位置する1枚の原稿のみが原稿搬送路H1内に送り出される。
【0080】
原稿トレイ2Bから送り出された原稿は、搬送ローラR1及びR2の回転によって原稿搬送路H1内を搬送され、レジストローラR3の回転によって所定のタイミングで第1画像読取位置S1に向かって搬送される。
【0081】
原稿は、第1画像読取位置S1を通過する間に、第1画像読取位置S1の下方に停止している光源ユニット13Bを含むスキャナ部22のCCD読取ユニット22Aによって表面の画像情報が読み取られる。表面の画像情報が読み取られた原稿は、搬送ローラR4,R5及び排出ローラR6の回転により、排出トレイ3Bに排出される。
【0082】
原稿の両面から画像情報を読み取る両面原稿読取時には、片面原稿読取時と同様にして原稿搬送路H1内に送り出された1枚の原稿は、第1画像読取位置S1での表面の画像情報の読取処理が終了した後、搬送ローラR4及びR5を介して第2画像読取位置S2に導かれ、第2画像読取位置S2を通過する時に、CCD8Bによって裏面の画像情報の読取を受ける。両面からの画像情報の読取が完了した原稿は、排出ローラR6の回転により、排出トレイ3Bに排出される。
【0083】
自動原稿処理装置1A2において、原稿搬送路H1の外側は、外装パネル20Bによって被覆されている。この外装パネル20Bのうち、原稿搬送路H1の上面側及び左側面側に対向する部分は、カバー9Bによって構成されている。
【0084】
カバー9Bは、図中左側面の下端部をヒンジとして開閉自在にされている。カバー9Bには、原稿搬送路H1の上面側及び左側面側における外側に配置される略L字型の搬送ガイド31Bが一体的に固定されている。
【0085】
自動原稿処理装置1A2の底面を形成する外装パネル20Bのうち、原稿搬送路H1の下面側に対向する部分は、第1の開閉部材6Bによって構成されている。第1の開閉部材6Bは、支点6Aにおいて原稿搬送方向に直交する軸周りに自動原稿処理装置1A2の下方に向けて開閉自在に支持されている。
【0086】
自動原稿処理装置1A2の内部において、第1の開閉部材6Bの内側には、第2の開閉部材7Bが配置されている。第2の開閉部材7Bは、支点7Aにおいて原稿搬送方向に直交する軸周りに自動原稿処理装置1A2の下方に向けて開閉自在に支持されている。
【0087】
ここで、自動原稿処理装置1A2を構成する原稿搬送装置1Bの特徴的な構成について図面を参照して説明する。
図4は本実施形態に係る画像形成装置に搭載された自動原稿処理装置を構成する原稿搬送装置の構成を示す説明図である。
【0088】
原稿搬送装置1Bは、図4に示すように、給送ローラ(給紙ローラ)5Aの原稿搬送方向下流側には搬送ローラR1が隣接配置され、給送ローラ5Aの原稿搬送方向下流側には近接して第1の原稿検出センサSW1が配置され、一方、搬送ローラR2の原稿搬送方向下流側には近接して第2の原稿検出センサSW2が配置されている。さらに、第1画像読取位置S1の原稿搬送方向上側に第3の原稿検出センサSW3が配置されている。
【0089】
第1の原稿検出センサSW1及び第3の原稿検出センサSW3は、機械式マイクロセンサを用いて原稿が搬送されたか否かを検出するON/OFFセンサである。
【0090】
第2の原稿検出センサSW2は、搬送された原稿が原稿搬送方向に対して略平行に搬送されているか否かを検出するラインセンサである。
【0091】
このように構成された原稿搬送装置1Bは、第1の原稿検出センサSW1及び第2の原稿検出センサSW2から出力される検出信号に基づき原稿の搬送状態を検出するようにされている。
【0092】
具体的には、原稿搬送装置1Bは、原稿搬送を制御するための機能として、原稿トレイ2Bから原稿供給を行う時に、原稿の先端が第1の原稿検出センサSW1を通過して第2の原稿検出センサSW2に到達するまでの到達時間が予め設定された原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いか否かを判定する原稿搬送タイミング判定機能(原稿搬送タイミング判定手段)1C1と、原稿搬送タイミング判定機能1C1のよる判定結果に基づき、搬送ローラR3の再駆動タイミングを決定する搬送ローラ駆動タイミング決定機能(搬送ローラ駆動タイミング決定手段)1C2とを備えている(図5を参照)。
【0093】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1Aの制御系について、図面に基づき説明する。
図5は本実施形態に係る画像形成装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
【0094】
本実施形態に係る画像形成装置1Aは、図5に示すように、画像の読み取り処理、画像処理、画像形成処理、および用紙Pの搬送処理等をROM(Read Only Memory)55に予め記憶されたプログラムにしたがって中央処理ユニット(CPU)54がRAM(Random access Memory)56等の一時的記憶手段を用いて処理を実行する。
尚、ROM55やRAM56に代えてHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶手段を用いることができる。
【0095】
画像形成装置1Aにおいて、スキャナ部22によって読み取った原稿の画像情報(原稿画像データ)、または、図示しない通信ネットワークに繋がれた各端末装置から送信された原稿画像情報は、通信処理部58を介して画像処理部57に入力されるようになっている。
【0096】
画像処理部57は、RAM56等の記憶部に記憶された原稿画像情報を印字(用紙への画像形成)に適した印字用画像に上記のプログラムによって処理するものである。
【0097】
印字用画像情報は画像形成部14に入力される。
画像形成部14、用紙搬送部(用紙搬送路7a等において用紙の各種検出・制御を行う。)59、定着ユニット6、排紙処理部(排紙ローラ17において用紙の各種の検出・制御を行う。)60は、各々の駆動制御部62と連動している。
【0098】
用紙搬送部59によって搬送される用紙は、印字工程(画像形成部14においての画像情報の印字処理)と、その後に、その印字処理された用紙に対する定着工程(定着ユニット6)を経て用紙排出部(排紙トレイ9)に排出されるようになっている。
尚、用紙搬送部59には、レジスト前検知スイッチ596や図示しない定着検知スイッチ、および排紙検知スイッチ等の検出信号が入力されるようになっている。
【0099】
レジスト前検知スイッチ596は、レジストローラ15に用紙が到達したか否かを検出するスイッチである。定着検知スイッチは、定着ユニット6に用紙が到達したか否かを検出するスイッチである。排紙検知スイッチは、用紙が排紙された否かを検出するスイッチである。
【0100】
また、画像形成装置1Aには、運転条件設定部77が設けられている。
この運転条件設定部77は、操作スイッチ類76によって使用者が設定した画像形成要求または記録媒体(用紙)の種類等の画像形成条件に応じて、画像形成装置1Aの画像形成、または搬送条件等の運転条件を設定するものである。
【0101】
また、画像形成装置1Aは、設定された前記運転条件にしたがって、読み取り部(スキャナ部22)、用紙搬送部59、画像形成部14、定着ユニット6および排紙処理部60などの駆動用アクチュエータである原稿読み取り駆動部64、用紙搬送駆動部66、反転搬送駆動部67、印字処理駆動部68、定着駆動部70および排紙駆動部72の動作、すなわちROM55に記憶されたプログラムに基づくCPU54の指令にしたがって同期した動作を、駆動制御部62の制御によって行うようになっている。
【0102】
原稿読み取り駆動部64は、スキャナ部22の駆動用アクチュエータである。
用紙搬送駆動部66は、用紙搬送部59、具体的には、上述の用紙搬送路7a上の用紙ピックアップローラ8a、レジストローラ15の駆動用モータである。
反転搬送駆動部67は、反転搬送ローラ18の駆動用モータである。
印字処理駆動部68は、感光体ドラム3の駆動用モータである。
定着駆動部70は、定着ユニット6の加熱ローラ6aおよび加圧ローラ6bの駆動用モータである。
【0103】
排紙駆動部72は、排紙ローラ17などの駆動用モータである。
これらの各駆動部の駆動用モータは、それぞれ同じまたは異なるモータを駆動源として適宜に動力伝達機構を介して構成できる。
【0104】
さらに、画像形成装置1Aには、オプション構成74として、後処理装置(ステープル、パンチ、複数段排紙トレイ、シフター等々)、自動原稿読み取り装置(自動原稿処理装置1A2等)、大容量給紙カセット81等が配置可能であり、それらオプション構成74は画像形成装置1Aの制御部とは別に各々のオプション構成74内に制御部74aを持ちながら、装置とのタイミング調整を、前記通信処理部58を介して同期するように構成されている。
【0105】
本実施形態では、自動原稿処理装置1A2を制御するための制御部74aは、原稿搬送装置1Bを制御する制御部1Cを兼ねている。制御部1Cの機能として、前述した原稿搬送タイミング判定機能1C1と、搬送ローラ駆動タイミング決定機能1C2とを備えている。
【0106】
原稿搬送タイミング判定機能1C1は、原稿トレイ2Bから原稿供給を行う時に、搬送される原稿の先端が第1の原稿検出センサSW1を通過して第2の原稿検出センサSW2に到達するまでの到達時間が予定された到達時間よりも遅延した時は、原稿給紙ローラ、若しくはピックアップローラの搬送力の低下と判定し、一方、予定された到達時間よりも早い時は、当該原稿の前原稿搬送時にWフィードしていたと判定するものである。
【0107】
この原稿搬送タイミング判定機能1C1は、原稿が通過したか否かを判定するとともに、その通過タイミングを計測する機能も兼ね備えている。
【0108】
搬送ローラ駆動タイミング決定機能1C2は、原稿搬送タイミング判定機能1C1により原稿の先端が第1の原稿検出センサSW1を通過して第2の原稿検出センサSW2に到達するまでの到達時間が予定された原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して遅延したと判定された時は、搬送ローラR3の再駆動タイミングを予め設定されたタイミングよりも早くし、一方、予定された原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いと判定された時は、前記搬送ローラの再駆動タイミングを予め設定されたタイミングより遅延させるように制御するものである。
【0109】
尚、制御部1Cの機能として、第1の原稿検出センサSW1および第2の原稿検出センサSW2を通過するタイミングを計測する機能を別途備えても良い。
【0110】
記録媒体検出手段78は、定着ユニット6または搬出部に用紙の先端が到達することを検出するものである。
【0111】
具体的には、記録媒体検出手段78は、用紙搬送路7a入り口において用紙を導入するレジストローラ15から用紙が送り出された後の用紙の搬送時間を計測する搬送時間計測手段79aと、このレジストローラ15から制御対象の定着ユニット6および排紙ローラ17のそれぞれまでの距離と用紙の搬送速度に基づき、用紙搬送路7aにおける用紙の搬送タイミングを検出する搬送タイミング検出手段79bとを有している。
【0112】
記録媒体検出手段78は、本実施形態では、定着ユニット6および排紙ローラ17のそれぞれに用紙が到達する(突入する)タイミングを、搬送タイミング検出手段79bによって検出した記録媒体の搬送タイミングに基づいて検出するようにしている。
【0113】
次に、自動原稿処理装置1A2における原稿搬送装置1Bによる原稿の自動給紙動作についてフローチャートに沿って説明する。
図6は本実施形態に係る自動原稿処理装置による原稿の自動給紙動作を示すフローチャートである。
【0114】
自動原稿処理装置1A2による原稿の自動給紙は、図6に示すフローチャートに沿って以下のように行われる。
【0115】
まず、原稿の読取りが要求されると(ステップS1)、原稿トレイ2Bに読取る原稿が載置されているか否かが図示しないセンサ(原稿検出センサ等)により確認される(ステップS2)。
【0116】
原稿トレイ2Bに原稿が載置されていると判断されると、ピックアップローラ4Bにより原稿トレイ2B上の載置された原稿束の最上部の原稿を1枚ずつ装置内に搬入し、給送ローラ5Aを回転させて原稿を搬送する(ステップS3)。
【0117】
装置内に搬入された原稿は第1の原稿検出センサSW1により検出され(ステップS4)、原稿搬送タイミング判定機能1C1により原稿の先端が通過したと判定されると、その原稿が第1の原稿検出センサSW1を通過したタイミングが計測される(ステップS5)。
【0118】
そして、原稿は搬送ローラR1によりさらに搬送され、第2の原稿検出センサSW2に到達して第2の原稿検出センサSW2により検出される(ステップS6)。原稿搬送タイミング判定機能1C1により原稿の先端が通過したと判定されると、その原稿が第2の原稿検出センサSW2を通過したタイミングが計測される(ステップS7)。
【0119】
この時、原稿搬送路内の原稿搬送に係る駆動を一時停止して原稿搬送を停止させ(ステップS8)、ラインセンサである第2の原稿検出センサSW2により原稿先端のセンサ長手方向(原稿搬送方向に対して垂直な方向、原稿幅方向)を検出し、その検出値(W)を確認し(ステップS9)、搬送された原稿が第1の原稿検出センサSW1から第2の原稿検出センサSW2に到達するまでの到達時間(T2)を算出する(ステップS10)。
【0120】
そして、原稿搬送装置1Bによる原稿搬送速度(駆動部の回転速度)と、それにより原稿が搬送される距離とに基づき到達時間が算出され、原稿が第2の原稿検出センサSW2に到達した到達時間(T2)が適正な時間か否かが判定される(ステップS11)。
【0121】
ステップS11において、原稿が第2の原稿検出センサSW2に到達した到達時間(T2)が適正な時間であると判定された場合は、第2の原稿検出センサSW2による原稿先端の原稿幅方向の検出値(W)に差があるか否かが判定される(ステップS14)。
【0122】
一方、ステップS11において、原稿が第2の原稿検出センサSW2に到達した到達時間(T2)が適正な時間ではない判定された場合は、給送ローラ5Aまたは搬送ローラR1がスリップしていると判定され(ステップS12)、画像形成装置1A1または自動原稿処理装置1A2の表示部に給送ローラ5Aまたは搬送ローラR1の交換を促すメッセージを表示し(ステップS13)、ステップS14に進む。
【0123】
ステップS14において、第2の原稿検出センサSW2による原稿先端の原稿幅方向の検出値(W)に差がないと判定された場合は、原稿が斜め搬送されていないと判断され(ステップS15)、再び原稿搬送に係る駆動の運転を開始して原稿搬送を再開する(ステップS18)。
【0124】
一方、ステップS14において、第2の原稿検出センサSW2による原稿先端の原稿幅方向の検出値(W)に差があると判定された場合は、原稿が斜め搬送されていると判断され、給送ローラ5Aを駆動して給送ローラ5Aと搬送ローラR1との間で原稿に湾曲部を作成して斜め搬送を矯正する(ステップS16)。
【0125】
そして、原稿の斜め搬送が矯正されたと判定された場合は(ステップS17)、ステップS18に進み再び駆動部の運転を開始して原稿の搬送を再開する。
【0126】
そして、原稿が画像読取位置S(S1またはS2)に搬送されて原稿読取処理が行われる(ステップS19)。原稿読取処理が終了した原稿が排出トレイ3Bに排出されたか否かが確認されて(ステップS20)、その後、次の原稿の読取り要求があるか否かが確認される(ステップS21)。
【0127】
ステップS21において、次の原稿の読取り要求がないと判断された場合は、待機状態となる。一方、次の原稿の読取り要求があると判断された場合は、丸付き符号1に進み、給送ローラ5Aを回転させて次の原稿を搬送して、原稿搬送、読取り処理が繰り返される。
【0128】
以上のように構成したので、本実施形態によれば、自動原稿処理装置1A2において、原稿搬送装置1Bとして、給送ローラ5Aの原稿搬送方向下流側に搬送ローラR1を隣接配置し、給送ローラ5Aの原稿搬送方向下流側に近接して第1の原稿検出センサSW1を配置するとともに、搬送ローラR1の原稿搬送方向下流側に近接して第2の原稿検出センサSW2を配置することで、第1の原稿検出センサSW1及び第2の原稿検出センサSW2から出力される検出信号に基づき、搬送された原稿が正常に搬送されているか否かを判定することができる。また、原稿が正常に搬送されていない場合には、原稿を適正な搬送状態に調整することができるので、原稿の斜め搬送や給紙タイミングのずれによる原稿読取り不良を防止して、正確で且つ高速化に対応した原稿搬送を実現できる。
【0129】
また、本実施形態では、第1の原稿検出センサSW1として、機械式マイクロセンサを用いたON/OFFセンサとし、第2の原稿検出センサSW2を光学式センサを用いたラインセンサとしたので、簡単な構成で搬送された原稿を検出でき、しかも原稿先端の原稿幅方向の位置ズレを検出することができる。
【0130】
さらに、本実施形態では、原稿搬送タイミング判定機能1C1と、搬送ローラ駆動タイミング決定機能1C2とを備えた原稿搬送装置1Bを制御する制御部1Cを、自動原稿処理装置1A2を制御するための制御部74aが兼用するようにしたので、原稿搬送に係る制御を容易に行うことができる。
【0131】
尚、上述した実施形態および実施例では、電子写真方式により画像情報を出力する画像形成装置を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、読取る原稿を搬送する原稿搬送装置を備えた原稿読取り装置を搭載するものであれば、その他の方式による画像形成装置やその他の装置においても展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に係る用紙搬送装置が採用された画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】前記画像形成装置の装置本体の構成を示す部分詳細図である。
【図3】前記画像形成装置に搭載された自動原稿処理装置の全体の構成を示す説明図である。
【図4】前記自動原稿処理装置を構成する原稿搬送装置の構成を示す説明図である。
【図5】前記画像形成装置の電気制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】前記自動原稿処理装置による原稿の自動給紙動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
1A 画像形成装置
1A1 画像形成装置
1A2 自動原稿処理装置(原稿読取り装置)
1B 原稿搬送装置
1C 制御部
1C1 原稿搬送タイミング判定機能
1C2 搬送ローラ駆動タイミング決定機能
2B 原稿トレイ
3B 排出トレイ
4B ピックアップローラ
5A 給送ローラ(給紙ローラ)
10A 第1原稿読取り台
10B プラテン
16A 第2原稿読取り台
16B プラテンガラス
21 原稿載置台
22 スキャナ部
H1 原稿搬送路
R1,R2,R4,R5 搬送ローラ
R3 レジストローラ
R6 排出ローラ
S1 第1画像読取位置
S2 第2画像読取位置
SW1 第1の原稿検出センサ
SW2 第2の原稿検出センサ
SW3 第3の原稿検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置において、
前記原稿搬送装置は、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に前記搬送ローラを隣接配置し、前記給紙ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第1の原稿検出センサを配置するとともに、前記搬送ローラの原稿搬送方向下流側に近接して第2の原稿検出センサを配置し、前記第1の原稿検出センサ及び第2の原稿検出センサから出力される検出信号に基づき原稿の搬送状態を検出することを特徴とする原稿読取り装置。
【請求項2】
前記第1の原稿検知センサは、原稿が搬送されたか否かを検出するON/OFFセンサとし、
前記第2の原稿検知センサは、搬送された原稿が原稿搬送方向に対して略平行に搬送されているか否かを検出するラインセンサとすることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取り装置。
【請求項3】
前記原稿搬送装置は、原稿トレイから原稿供給を行う時に、原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いか否かを判定する原稿搬送タイミング判定手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の原稿読取り装置。
【請求項4】
前記原稿搬送装置は、前記原稿搬送タイミング判定手段のよる判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを決定する搬送ローラ駆動タイミング決定手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の原稿読取り装置。
【請求項5】
前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段は、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して遅延したと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングよりも早くすることを特徴とする請求項4に記載の原稿読取り装置。
【請求項6】
前記搬送ローラ駆動タイミング決定手段は、原稿トレイから原稿供給を行う時に、前記原稿搬送タイミング判定手段により原稿の先端が前記第1の原稿検出センサを通過して前記第2の原稿検出センサに到達するまでの到達時間が所定の原稿搬送速度で搬送される時の到達時間と比較して早いと判定された時は、前記原稿搬送タイミング判定手段の判定結果に基づき、前記搬送ローラの再駆動タイミングを所定のタイミングより遅延させることを特徴とする請求項4に記載の原稿読取り装置。
【請求項7】
原稿を複数枚収納可能な原稿トレイと、前記原稿トレイから供給される原稿を装置内に導入する給紙ローラと、前記原稿トレイから装置内に導入された原稿を搬送する原稿搬送路と、前記原稿搬送路内に導入された原稿を搬送する搬送ローラとを備えて、原稿読取り部に原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を具備する原稿読取り装置を備えた画像形成装置おいて、
前記原稿読取り装置として、請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載の原稿読取り装置を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−113353(P2008−113353A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296187(P2006−296187)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】