説明

原稿読取装置、携帯端末、及び原稿読取システム

【課題】原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にする。
【解決手段】ネットワーク複合機1では、近距離無線部18が、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを近距離無線通信により携帯端末3から受信する。そして、ファイル名付与部19Aが、生成された電子データに指定されたファイル名を付与し、フォルダ出力部19Bが、フォルダへ電子データを出力する。これにより、電子データは、利用者によって指定されたファイル名でフォルダに記憶される。更に、近距離無線部18が、電子データが記憶されたフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与したファイル名とを示すファイル情報を携帯端末3へ近距離無線通信により送信する。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置、この原稿読取装置と通信を行う携帯端末、及び、この原稿読取装置と携帯端末とを備える原稿読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿を読み取って原稿の電子データを生成する原稿読取装置がある。下記特許文献1には、生成した電子データを識別するために、原稿読取装置が生成したIDを電子データに付与する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−87490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の技術では、複数の原稿を原稿読取装置によって読み取って複数の電子データを生成した場合、それぞれの原稿の電子データに原稿読取装置によって生成されたIDが付与される。しかしながら、どのIDがどの原稿の電子データに付与されたのか、利用者にとって分り難い。このため、電子データを探すのに手間が掛かる。また、電子データが記憶され得るフォルダが複数ある場合、又は、利用者が操作した原稿読取装置とは異なるサーバに電子データが記憶される場合、電子データが記憶されたフォルダを探し出すことにも手間がかかる。
【0004】
そこで、本発明は、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることが可能な原稿読取装置、携帯端末、及び原稿読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の原稿読取装置は、原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置であって、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを携帯端末から受信する受信手段と、受信手段によって受信されたコマンドに応じて原稿を読み取り、電子データを生成する読取手段と、読取手段によって生成された電子データに、受信手段によって受信されたファイル名情報により指定されたファイル名を付与する付与手段と、付与手段によってファイル名が付与された電子データをフォルダに記憶されるように出力する出力手段と、電子データが記憶されるフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与されるファイル名とを示すファイル情報を生成する生成手段と、生成手段によって生成されたファイル情報を携帯端末へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の原稿読取装置では、受信手段が、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを携帯端末から受信する。このため、利用者は、原稿読取装置の操作及びファイル名の指定を携帯端末により行うことができる。そして、付与手段が、生成された電子データに指定されたファイル名を付与し、出力手段が、電子データをフォルダへ出力する。これにより、電子データは、利用者によって指定されたファイル名でフォルダに記憶される。更に、送信手段が、電子データが記憶されたフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与したファイル名とを示すファイル情報を携帯端末へ送信する。このため、利用者が、携帯端末を用いて原稿読取装置の読取操作を行うと、電子データには利用者が指定したファイル名が付与され、この電子データが記憶されたフォルダのアドレス情報を自動的に取得できる。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0007】
本発明の携帯端末は、原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置へ、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを送信する送信手段と、原稿読取装置から送信されるファイル情報であって、原稿の読取により生成された電子データが記憶されるネットワーク上のフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与されるファイル名とを含むファイル情報を受信する受信手段と、受信手段によって受信されたファイル情報に含まれるアドレス情報とファイル名とを関連付けて記憶する記憶手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の携帯端末では、送信手段が、原稿の読取を指示するコマンドとファイル名を指定する情報とを原稿読取装置へ送信する。このため、利用者は、原稿読取装置の操作及びファイル名の指定を携帯端末により行うことができる。そして、受信手段が、上記の送信に応じて原稿読取装置から上記のファイル情報を受信し、記憶手段が、電子データが記憶されたフォルダのアドレス情報とファイル名とを関連づけて記憶する。このため、利用者が携帯端末を用いて原稿読取装置の操作を行うと、指定したファイル名が付与された電子データがどこのフォルダに記憶されたのかを示す情報を容易に携帯端末に記憶しておくことができる。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0009】
本発明の原稿読取システムは、上記原稿読取装置と上記携帯端末とを備えたシステムである。このため、上述したように、原稿読取システムによれば、利用者が、携帯端末を用いて原稿読取装置の読取操作を行うと、指定したファイル名が付与された電子データがどこのフォルダに記憶されたのかを示す情報を自動的に取得できる。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0010】
上記原稿読取装置は、読取手段によって生成された電子データが添付された電子メールを送信するメール送信手段を備え、受信手段は、携帯端末から利用者の認証情報を受信し、メール送信手段は、認証情報で認証された利用者の通信端末宛てに電子メールを送信することが好ましい。この場合、利用者は、携帯端末とは別の通信端末で、電子データを容易に確認することができる。
【0011】
上記原稿読取装置では、生成手段が、ファイル情報を二次元コードに符号化することも好ましい。この場合、ファイル情報の読取が容易な二次元コードに符号化した状態で、携帯端末に情報を提供できる。よって、利用者の利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者が携帯端末を用いて原稿読取装置の読取操作を行うと、生成された電子データに利用者が指定したファイル名が付与され、この電子データが記憶されたフォルダを示すアドレス情報とファイル名とを示す情報が自動的に携帯端末に送信される。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0014】
図1を用いて、実施形態に係る原稿読取システムSの構成について説明する。図1は、実施形態に係る原稿読取システムを含むネットワークの構成図である。原稿読取システムSは、ネットワーク複合機1と携帯端末3とを備える。ネットワーク複合機1は、原稿読取装置が組み込まれ、原稿を読み取ってその原稿の電子データを生成することが可能に構成されている。
【0015】
携帯端末3は、データの送受信及び情報処理を行う移動端末である。例えば、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、又はPDA(Personal Digital Assistant)等である。
【0016】
ネットワーク複合機1と携帯端末3とは、互いに近距離無線通信が可能に構成されている。近距離無線通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)又はIrDA(Infrared Data Association) DATA等の規格を用いた無線通信である。
【0017】
ネットワーク複合機1は、LAN(Local Area Network)90に接続されている。このLAN90には、パーソナルコンピュータ5、電子データを記憶するためのサーバ6、及び、電子メールの送受信を可能にするメールサーバ7等が接続されている。
【0018】
図2を用いて、ネットワーク複合機1の構成について説明する。図2は、実施形態に係るネットワーク複合機1の構成を示すブロック図である。ネットワーク複合機1は、モデム11、NCU(Network Control Unit)12、LAN(Local Area Network)インターフェース13、I−FAX(インターネットファクシミリ)制御部14、操作部15、プリンタ16、スキャナ17、近距離無線部18、スキャン情報処理部19、CPU(Central Processing Unit)20、及び、メモリ21を備えて構成されている。これらの各構成要素は、相互にデータの入出力が可能に通信線10で接続されている。
【0019】
ネットワーク複合機1は、モデム11を介してPSTN(Public Switched Telephone Network)91に接続され、NCU12が、モデム11とPSTN91との接続の制御を行う。すなわち、ネットワーク複合機1は、PSTN91に接続された他のネットワーク複合機との間で、FAXの送受信が可能に構成されている。
【0020】
ネットワーク複合機1は、LAN90に、LANインターフェース13を介して接続され、LAN90に接続されたパーソナルコンピュータ5とのデータの送受信が可能に構成されている。パーソナルコンピュータ5は、利用者が利用する通信端末である。また、ネットワーク複合機1は、IFAX制御部14による制御によって、インターネット経由で電子メール形式を用いたファクシミリの送受信が可能に構成されている。
【0021】
操作部15は、利用者から入力を受け付ける部分であり、タッチパネル及び入力ボタンにより構成されている。プリンタ16は、電子写真方式を用いて、パーソナルコンピュータ5から出力された印刷データ、受信したファクシミリの印刷を行う。
【0022】
近距離無線部18は、ネットワーク複合機1の近距離に位置する携帯端末3と近距離無線通信により情報の送受信を行う。スキャナ17は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを用いて、用紙に印刷された原稿を読み取り、その原稿の電子データを生成する。この電子データは、例えばPDF(登録商標)データ等である。そして、スキャン情報処理部19は、スキャナ17により生成された電子データの処理を行う。このスキャン情報処理部19の詳細については後述する。
【0023】
ネットワーク複合機1では、CPU20が、メモリ21に記憶されたプログラムを実行することにより、ネットワーク複合機1が有する各構成要素の動作を制御する。特に、メモリ21には、近距離無線通信を介して携帯端末3によるスキャナ17の操作を受け付け、原稿を読み取って電子データの生成を行うと共に、スキャン情報処理部19が電子データの処理を行うためのプログラムが記憶されている。
【0024】
図3を参照して、ネットワーク複合機1が有するスキャン情報処理部19と携帯端末3との構成を説明する。図3は、ネットワーク複合機1が有する各構成要素のうち、スキャン情報処理部19とこのスキャン情報処理部19と関連するLANインターフェース13、スキャナ17、及び近距離無線部18を示している。また、図3には、携帯端末3の構成も示している。
【0025】
近距離無線部18は、近距離無線通信により携帯端末3からスキャナ17の操作に関する信号を受信する。具体的には、近距離無線部18は、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを近距離無線通信により携帯端末3から受信する。
【0026】
更に、近距離無線部18は、スキャナ17によって原稿の読取処理が終了した後に、スキャン情報処理部19によって生成されるファイル情報を近距離無線通信により携帯端末3へ送信する。ファイル情報は、後述するように、生成される電子データに関する情報である。なお、近距離無線部18は、特許請求の範囲に記載の受信手段及び送信手段に相当する。
【0027】
スキャナ17は、近距離無線部18によって受信されたスキャンコマンドに応じて、原稿の読取を実行し、この原稿の電子データを生成する。スキャナ17は、特許請求の範囲に記載された読取手段に相当する。
【0028】
スキャン情報処理部19は、ファイル名付与部19A、フォルダ出力部19B、ファイル情報生成部19C、及び、メール生成部19Dを有する。ファイル名付与部19Aは、スキャナ17によって生成された電子データに、ファイル名を付与する。このファイル名は、近距離無線部18によってスキャンコマンドと共に受信されたファイル名情報により指定されたものである。ファイル名付与部19Aは、特許請求の範囲に記載の付与手段に相当する。
【0029】
フォルダ出力部19Bは、ファイル名が付与された電子データをサーバ6の予め設定されたフォルダへ出力する。これにより、生成された電子データは、ネットワーク複合機1からサーバ6へ送信され、サーバ6のフォルダに利用者によって設定されたファイル名で記憶される。このフォルダ出力部19Bは、特許請求の範囲に記載の出力手段に相当する。
【0030】
ファイル情報生成部19Cは、電子データが記憶されるフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与されるファイル名とを示すファイル情報を生成する。アドレス情報は、サーバ6のアドレスとサーバ6内のフォルダを特定するパスの情報とが含まれている。また、ファイル情報生成部19Cは、ファイル情報をQRコード(登録商標)に符号化する。このファイル情報生成部19Cは、特許請求の範囲に記載の生成手段に相当する。
【0031】
メール生成部19Dは、スキャナ17によって生成された電子データを添付した電子メールを生成する。これは、利用者が、電子データを確認できるように、パーソナルコンピュータ5へ電子データを送るためである。パーソナルコンピュータ5の電子メールのアドレスは、例えば、ネットワーク複合機1が、携帯端末3との間で利用者の認証を行う際に取得した認証情報を用いて、予めネットワーク複合機1に登録された電子メールのアドレスの中から特定すればよい。
【0032】
LANインターフェース13は、メール生成部19Dによって生成された電子メールを送信する。これにより、原稿の電子データが添付された電子メールが、メールサーバ7を介してパーソナルコンピュータ5へ送信される。なお、メール生成部19DとLANインターフェース13によって、特許請求の範囲に記載のメール送信手段が構成される。
【0033】
引き続いて、携帯端末3の構成について説明する。携帯端末3は、CPU31、設定部32、操作部33、近距離無線部34、メモリ35、及び、ディスプレイ36を備えている。
【0034】
CPU31は、ROM等のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、携帯端末3の各構成要素の動作を制御する。特に、ROMには、携帯端末3がネットワーク複合機1との間で近距離無線通信を行うことにより、携帯端末3においてネットワーク複合機1のスキャナ17の操作を行い、生成された電子データの情報を処理するためのプログラムが記憶されている。
【0035】
設定部32は、入力ボタン等で構成された操作部33を介して、利用者からの入力を受け付ける。そして、設定部32は、利用者からの入力に応じて、ネットワーク複合機1による原稿の読取処理の設定を行う。すなわち、設定部32は、原稿の読取処理を指示する旨の信号と、当該読取により生成される電子データのファイル名とを利用者から操作部33を介して受け付ける。その後、設定部32は、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと、受け付けたファイル名を示すファイル名情報とを近距離無線部34へ出力する。
【0036】
近距離無線部34は、ネットワーク複合機1との間で近距離無線通信により情報の送受信を行う。近距離無線部34は、スキャンコマンド及びファイル名情報を設定部32から入力すると、スキャンコマンド及びファイル名情報を近距離無線通信によりネットワーク複合機1へ送信する。また、近距離無線部34は、このスキャンコマンド及びファイル名情報の送信に応じて、QRコード化されたファイル情報をネットワーク複合機1から受信する。近距離無線部34は、特許請求の範囲に記載の送信手段及び受信手段に相当する。
【0037】
メモリ35は、近距離無線部34によって入力されたファイル情報を示すQRコードを記憶する。これにより、メモリ35は、ファイル情報に含まれたアドレス情報とファイル名とを関連付けて記憶する。ディスプレイ36は、デコードされたファイル情報を表示する。すなわち、ディスプレイ36は、原稿の電子データが記憶されたフォルダのアドレス情報と、この電子データに付与されたファイル名とを表示する。これにより、利用者は、生成された電子データのファイル名とこの電子データが記憶されたフォルダのアドレス情報を確認することができる。なお、メモリ35は、特許請求の範囲に記載の記憶手段に相当する。
【0038】
引き続いて、実施形体に係るネットワーク複合機1の動作について説明する。図4は、実施形態に係る原稿読取システムSによる原稿の読取処理の処理手順を示すフロー図である。
【0039】
携帯端末3を持った利用者が、ネットワーク複合機1に近づき、携帯端末3が、ネットワーク複合機1との通信可能範囲内に入ると、携帯端末3とネットワーク複合機1との間で近距離無線通信の接続が開始される(ステップS100)。
【0040】
携帯端末3の利用者の認証が、携帯端末3とネットワーク複合機1との間で行われ(ステップS101)、携帯端末3とネットワーク複合機1との間の通信チャンネルが確立される。なお、利用者の認証時に、パーソナルコンピュータ5の電子メールアドレスが、ネットワーク複合機1によって認識される。
【0041】
そして、ネットワーク複合機1に原稿がセットされると、利用者が、原稿の読取指示とファイル名とを携帯端末3に入力する。この入力情報が、携帯端末3の設定部32によって受け付けられる。続いて、スキャンコマンドとファイル名情報とが、携帯端末3の設定部32から近距離無線部34へ出力され、携帯端末3からネットワーク複合機1へ近距離無線通信により送信される(ステップS102)。
【0042】
スキャンコマンドとファイル名情報とが、ネットワーク複合機1の近距離無線部18によって受信されると、スキャンコマンドに応じて、原稿の読取処理が、スキャナ17によって実行される(ステップS103)。
【0043】
原稿の読取処理によって原稿の電子データが生成されると、ファイル名情報によって示されるファイル名が、ファイル名付与部19Aによって原稿の電子データに付与される(ステップS104)。このファイル名が付与された電子データは、予め定められたサーバ6のフォルダへ、フォルダ出力部19Bによって出力される(ステップS105)。これにより、利用者が設定したファイル名が原稿の電子データに付与され、この電子データがネットワーク上のフォルダへ記憶される。
【0044】
その後、フォルダのアドレス情報とファイル名とを示すファイル情報が、ファイル情報生成部19Cによって生成される。更に、ファイル情報がQRコード化される(ステップS106)。このQRコード化されたファイル情報が、ネットワーク複合機1の近距離無線部18によって携帯端末3へ送信される(ステップS107)。
【0045】
ファイル情報が、携帯端末3の近距離無線部34によって受信されると、ファイル情報に含まれるフォルダのアドレス情報と生成された電子データのファイル名とが互いに関連づけられてメモリ35によって記憶される(ステップS108)。これにより、携帯端末3では、フォルダのアドレス情報と生成された電子データのファイル名とを示す情報を取得できる。
【0046】
更に、原稿の電子データが添付された電子メールが、ネットワーク複合機1のメール生成部19Dによって生成され、LANインターフェース13を介してパーソナルコンピュータ5へ送信される(ステップS109)。これにより、利用者は、パーソナルコンピュータ5で生成された原稿の電子データを確認することができる。
【0047】
以上、説明したように、実施形態に係るネットワーク複合機1では、近距離無線部18が、原稿の読取を指示するスキャンコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを近距離無線通信により携帯端末3から受信する。このため、利用者は、ネットワーク複合機1の操作及びファイル名の指定を携帯端末3により行うことができる。そして、ファイル名付与部19Aが、生成された電子データに指定されたファイル名を付与し、フォルダ出力部19Bが、フォルダへ電子データを出力する。これにより、電子データは、利用者によって指定されたファイル名でフォルダに記憶される。更に、近距離無線部18が、電子データが記憶されたフォルダを特定するアドレス情報と電子データに付与したファイル名とを示すファイル情報を携帯端末3へ近距離無線通信により送信する。このため、利用者は、ネットワーク複合機1のスキャナ17による読取操作を行うと、指定したファイル名が付与された電子データがどこのフォルダに記憶されたのかを示す情報を自動的に取得できる。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0048】
実施形態に係る携帯端末3では、近距離無線部34が、原稿の読取を指示するスキャンコマンドとファイル名を指定する情報とを近距離無線通信によりネットワーク複合機1へ送信する。このため、利用者は、ネットワーク複合機1の操作及びファイル名の指定を携帯端末3により行うことができる。そして、近距離無線部34が、上記の送信に応じてネットワーク複合機1から上記のファイル情報を受信し、メモリ35が、電子データの記憶されたフォルダのアドレス情報とファイル名とを関連づけて記憶する。このため、利用者は、ネットワーク複合機1の読取操作を行うと、指定したファイル名が付与された電子データが、どこのフォルダに記憶されたのかを示す情報を容易に携帯端末3に記憶しておくことができる。従って、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0049】
実施形態に係る原稿読取システムSは、ネットワーク複合機1と携帯端末3とを備えたシステムである。このため、原稿を読み取って生成された電子データの検索及び管理を容易にすることができる。
【0050】
また、ネットワーク複合機1では、スキャナ17によって生成された電子データを添付した電子メールをパーソナルコンピュータ5宛てに電子メールアドレスを用いて送信する。このため、利用者は、携帯端末3とは別の通信端末(パーソナルコンピュータ5)で、電子データを容易に確認することができる。
【0051】
更に、ネットワーク複合機1では、ファイル情報生成部19Cが、ファイル情報をQRコードに符号化する。このため、ファイル情報の読取が容易なQRコードに符号化した状態で、携帯端末3に情報を提供できる。よって、利用者の利便性を高めることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、ネットワーク複合機1がファイル情報をQRコード化することとしたが、二次元コードであってもよく、携帯端末3のディスプレイに表示可能なテキストに変換可能なデータ形式であってもよい。
【0053】
また、例えば、パスワードを設定するように構成してもよい。この場合、携帯端末3からスキャンコマンド及びファイル名の情報をネットワーク複合機1へ送信すると共に、パスワードを送信する。そして、フォルダ出力部19Bが原稿の電子データをフォルダへ出力する際にパスワードを設定し、電子データを開く際にパスワードによる認証を行うように構成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、ネットワーク複合機1のスキャナ17によって生成される電子データが、サーバ6内の予め設定されたフォルダに記憶される場合について説明したが、電子データが記憶されるサーバ6内のフォルダは複数であってもよいし、サーバ6が複数あってもよい。この場合、利用者が複数の電子データがそれぞれどこのフォルダに記憶されているのか把握していなくとも、携帯端末3には、自動的にフォルダのアドレス情報が含まれたファイル情報が提供されるので、容易に電子データの検索及び管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態に係る原稿読取システムを含むネットワークの一例を示す図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るネットワーク複合機及び携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る原稿読取システムによる原稿の読取処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0056】
S 原稿読取システム
1 ネットワーク複合機
3 携帯端末
5 パーソナルコンピュータ
6 サーバ
7 メールサーバ
17 スキャナ
18 近距離無線部
19 スキャン情報処理部
19A ファイル名付与部
19B フォルダ出力部
19C ファイル情報生成部
19D メール生成部
32 設定部
34 近距離無線部
35 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置であって、
原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを携帯端末から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記コマンドに応じて原稿を読み取り、電子データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記電子データに、前記受信手段によって受信された前記ファイル名情報により指定された前記ファイル名を付与する付与手段と、
前記付与手段によって前記ファイル名が付与された前記電子データをフォルダに記憶されるように出力する出力手段と、
前記電子データが記憶される前記フォルダを特定するアドレス情報と前記電子データに付与される前記ファイル名とを示すファイル情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記ファイル情報を前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記読取手段によって生成された前記電子データが添付された電子メールを送信するメール送信手段を備え、
前記受信手段は、前記携帯端末から利用者の認証情報を受信し、
前記メール送信手段は、前記認証情報で認証された前記利用者の通信端末宛てに前記電子メールを送信することを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記ファイル情報を二次元コードに符号化することを特徴とする請求項1又は2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置へ、原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを送信する送信手段と、
前記原稿読取装置から送信されるファイル情報であって、前記原稿の読取により生成された電子データが記憶されるネットワーク上のフォルダを特定するアドレス情報と前記電子データに付与される前記ファイル名とを含むファイル情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記ファイル情報に含まれる前記アドレス情報と前記ファイル名とを関連付けて記憶する記憶手段と、を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
原稿を読み取って電子データを生成する原稿読取装置と、前記原稿読取装置との間で通信を行う携帯端末とを備える原稿読取システムであって、
前記原稿読取装置は、
原稿の読取を指示するコマンドと当該読取により生成される電子データのファイル名を指定するファイル名情報とを前記携帯端末から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記コマンドに応じて原稿を読み取り、電子データを生成する読取手段と、
前記読取手段によって生成された前記電子データに、前記受信手段によって受信された前記ファイル名情報により指定された前記ファイル名を付与する付与手段と、
前記付与手段によって前記ファイル名が付与された前記電子データをフォルダに記憶されるように出力する出力手段と、
前記電子データが記憶される前記フォルダを特定するアドレス情報と前記電子データに付与される前記ファイル名とを示すファイル情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記ファイル情報を前記携帯端末へ送信する送信手段と、を有し
前記携帯端末は、
前記コマンドと前記ファイル名情報とを前記原稿読取装置へ送信する送信手段と、
当該送信に応じて前記原稿読取装置から送信される前記ファイル情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記ファイル情報に含まれる前記アドレス情報と前記ファイル名とを関連付けて記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする原稿読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−130656(P2010−130656A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306737(P2008−306737)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】