説明

原稿読取装置

【課題】原稿搬送経路の一部を原稿台側に開放する開閉部材の開閉を繰り返しても、開閉部材よりも原稿台側に位置している原稿押さえ部材に折れ曲がりを生じることのないようにし、原稿の画像情報に不要なノイズが発生したり、原稿が原稿台の上面から浮き上がることを防止し、原稿の画像情報を正確に読み取ることができるようにする。
【解決手段】原稿押さえ部材15において、一端部15Aを第1の開閉部材6の開放端6Bに固定し、他端部15Bを原稿読取装置1の底面における右端部近傍に固定し、開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分を原稿読取装置1の底面に固定しない。第1の開閉部材6を回動させて原稿搬送経路H1の一部を開放すると、可撓性を有する原稿押さえ部材15は、原稿読取装置1の底面に固定されている一端部15A及び他端部15Bを除く部分が下方に垂れ下がり、折れ曲がりを生じることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿トレイに積載された原稿を原稿搬送経路内を原稿読取位置を経由して排出トレイに搬送する原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のシート状の原稿を読み取る場合に原稿トレイに積載された原稿を原稿読取位置に自動的に搬送する原稿読取装置が、画像形成装置において広く用いられている。この場合、原稿読取位置に供給される原稿は、原稿トレイから原稿台までの間に形成される原稿搬送経路を通過する。
【0003】
原稿読取装置では、可能な限り水平に近い方向から原稿台に原稿を供給し、かつ、原稿搬送装置の省スペース化を図るべく、横U字状に湾曲した原稿搬送経路が形成されることがある。この場合には、原稿搬送経路が湾曲部を含んで上下2段構成になるため、横U字状の原稿搬送経路における下側の部分で原稿が滞留した場合には、原稿搬送装置の天蓋を開いても、原稿搬送経路に滞留した原稿を取り除くことはできない。
【0004】
このため、従来技術の中には、原稿台上で静止原稿を動かないように押さえる原稿押さえ部材を原稿搬送方向に平行な回動軸を中心に回動させて、この原稿押さえ部材の上部に形成された原稿搬送経路を開放するようにした装置があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところが、従来の技術においては、原稿搬送経路上に位置する原稿を適正に取り除くためには、原稿押さえ部材を大きく移動させる必要がある。原稿押さえ部材の回動角度が小さいと、装置本体のリア側に滞留している原稿には手が届きにくくなり、原稿搬送路上の原稿を適正に取り除くことができないからである。
【0006】
そこで、画像読取装置の底面において、原稿搬送経路における下側の部分に対向する範囲を原稿搬送方向に直交する方向の回転軸周りに開閉する開閉部材によって構成し、この開閉部材を回転させることにより、原稿搬送経路の一部を原稿搬送方向に直交する方向の全域にわたって一定の幅で開放することができるようにした装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−5659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、装置底面には、原稿を原稿台の上面に押さえ付けるための原稿押さえ部材が、原稿台の全面に対向する範囲に配置されている。この原稿押さえ部材は、可撓性を有する白色のシート体であり、原稿搬送経路を開閉する開閉部材よりも原稿台側に位置している。この原稿押さえ部材の全面を装置底面に固定すると、原稿押さえ部材において開閉部材の回転軸に対向する部分が折れ曲がり、開閉部材の開閉が繰り返されるとこの部分において原稿台上に載置された原稿上面に密着しなくなる。これによって、原稿に照射された読取光が外部に漏れ、原稿台上に載置された原稿から読み取った画像情報に、原稿の画像にはない黒筋等の不要なノイズが発生する。また、原稿の一部が原稿台の上面から浮き上がる。これらによって、画像情報を正確に読み取ることができなくなる問題がある。
【0008】
この発明の目的は、原稿搬送経路の一部を原稿台側に開放する開閉部材の開閉を繰り返しても、開閉部材よりも原稿台側に位置している原稿押さえ部材に折れ曲がりを生じることのないようにし、原稿の画像情報に不要なノイズが発生したり、原稿が原稿台の上面から浮き上がることを防止し、原稿の画像情報を正確に読み取ることができる原稿読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は以下の構成を備えている。
【0010】
(1)画像形成装置における原稿台の上面を開放する位置と閉塞する位置との間に変位自在に配置される原稿読取装置であって、
画像読取前の原稿が積載される原稿トレイと、画像読取後の原稿が積載される排出トレイと、前記原稿トレイから画像読取位置を経由して前記排出トレイに至る間に原稿が搬送される原稿搬送経路と、装置底面の一部を構成するととともに、前記原稿搬送経路の一部を前記原稿台側に露出させる位置と遮蔽する位置との間において前記原稿搬送経路における原稿搬送方向に直交する回転軸周りに前記原稿台における前記原稿搬送方向の一端部及び他端部に対向する一方の端部及び他方の端部をそれぞれ自由端及び基端として回転自在に支持された開閉部材と、前記原稿台の全面に対向する範囲に配設されるとともに、前記装置底面において少なくとも前記回転軸に対向する部分を除く部分に固定された可撓性を有するシート状の原稿押さえ部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成においては、装置底面の一部を構成する開閉部材が、原稿搬送方向に直交する回転軸周りに原稿搬送経路の一部を原稿台側に露出させる位置と遮蔽する位置との間において回転自在にされているとともに、原稿台の全面に対向する可撓性を有するシート状の原稿押さえ部材が、装置底面において開閉部材の回転軸に対向する部分を除く部分に固定されている。したがって、開閉部材を回転させて原稿搬送経路の一部を原稿台側に露出させた際に、原稿押さえ部材の回転軸に対向する部分の近傍が折れ曲がることがない。これによって、原稿に照射された読取光が外部に漏れることがなく、原稿の一部が原稿台の上面から浮き上がることがない。
【0012】
(2)前記原稿押さえ部材は、前記原稿搬送方向の両端部において前記装置底面に固定されることを特徴とする。
【0013】
この構成においては、原稿押さえ部材において、開閉部材の回転軸に対向する部分を除き、かつ原稿搬送方向の両端部を含む部分が、装置底面に固定される。したがって、原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材を回転させると、原稿押さえ部材は開閉部材の回転軸に対向する部分を含み、かつ原稿搬送方向の両端部を除く部分が、装置底面から離間し、原稿押さえ部材が開閉部材の回転軸に対向する部分の近傍で折れ曲がることがない。
【0014】
(3)前記原稿押さえ部材は、前記開閉部材の前記自由端に対向する一端部、前記開閉部材の前記自由端及び前記基端を除く部分に対向する中間部、及び、他端部において前記装置底面に固定されることを特徴とする。
【0015】
この構成においては、原稿押さえ部材の両端部及び中間部が、装置底面における開閉部材の自由端、及び、開閉部材の自由端及び基端を除く部分を含む部分に固定される。したがって、原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材を回転させると、原稿押さえ部材は開閉部材の回転軸に対向する部分を含み、かつ原稿搬送方向の両端部を除く部分が、装置底面から離間し、原稿押さえ部材が開閉部材の回転軸に対向する部分の近傍で折れ曲がることがない。このとき、原稿押さえ部材の中間部は装置底面から離間せず、原稿押さえ部材が原稿台に向って大きく垂れ下がることがないため、装置底面と原稿押さえ部材との間に不必要に大きな空間が形成されることがない。
【0016】
(4)前記原稿押さえ部材は、前記開閉部材の前記自由端に対向する一端部、及び、前記開閉部材の前記自由端及び前記基端を除く部分に対向する中間部において前記装置底面に固定されるとともに、他端部において前記装置底面に平行な方向に移動自在にして前記装置底面に保持されることを特徴とする。
【0017】
この構成においては、原稿押さえ部材の一端部及び中間部が装置底面の開閉部材における基端を除く部分に固定されるとともに、他端部が装置底面に平行な方向に移動自在に保持される。したがって、原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材を回転させると、一端部から中間部までの部分が装置底面から離間し、開閉部材の回転軸に対向する部分を含む中間部から他端部までの部分は装置底面から離間しない。このため、原稿押さえ部材が原稿台に向って大きく垂れ下がることがなく、装置底面と原稿押さえ部材との間に不必要に大きな空間が形成されることがない。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0019】
(1)開閉部材を回転させて原稿搬送経路の一部を原稿台側に露出させた際に、原稿押さえ部材の回転軸に対向する部分の近傍が折れ曲がることを防止できる。これによって、原稿に照射された読取光が原稿押さえ部材と原稿又は原稿台との間から外部に漏れることがなく、原稿の画像情報における不要なノイズの発生、及び、原稿が原稿台の上面から浮き上がることを防止し、原稿の画像情報を正確に読み取ることができる。
【0020】
(2)原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材が回転した際に、原稿押さえ部材における開閉部材の回転軸に対向する部分を含み、かつ原稿搬送方向の両端部を除く部分を装置底面から離間させることができる。これによって、原稿押さえ部材の一部が折れ曲がることを防止できる。
【0021】
(3)原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材が回転した際に、原稿押さえ部材における開閉部材の回転軸に対向する部分を含み、かつ原稿搬送方向の中間部及び両端部を除く部分を、装置底面から離間させることができる。これによって、装置底面と原稿押さえ部材との間に不必要に大きな空間が形成されることを防止することができ、装置底面と原稿押さえ部材との間への異物の進入を防止できる。
【0022】
(4)原稿搬送経路の一部を開放するように開閉部材が回転した際に、一端部から中間部までの部分を装置底面から離間させる一方、開閉部材の回転軸に対向する部分を含む中間部から他端部までの部分が装置底面から離間しないようにすることができる。これによって、装置底面と原稿押さえ部材との間に不必要に大きな空間が形成されることを防止することができ、装置底面と原稿押さえ部材との間への異物の進入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、この発明の最良の実施形態に係る原稿読取装置を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
図1は、この発明の実施形態に係る原稿読取装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。画像形成装置100は、この発明の原稿読取装置1を備えた画像読取部110、画像形成部210及び給紙部250からなり、後処理装置260及び多段給紙ユニット270を備えている。画像読取部110の詳細については、後述する。
【0025】
画像読取部110で原稿から読み取られた画像データは、画像形成部210に送られる。画像データは、画像形成部210の画像処理部において所定の画像処理が施された後、画像処理部のメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリから読み出されてレーザ書込みユニット227に転送される。
【0026】
画像形成部210は、回転自在に支持された感光体ドラム222の周囲に、感光体ドラム222の表面を所定の電位に帯電させる帯電器223、感光体ドラム222の表面に画像データによって変調されたレーザ光を照射して静電潜像を形成するレーザ書込みユニット227、感光体ドラム222の表面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像に顕像化する現像器224、感光体ドラム222の表面に担持されたトナー像を用紙上に転写する転写器225、感光体ドラム222の表面から用紙を剥離する剥離器229、及び、余分なトナーを回収するクリーナ226を備えている。
【0027】
なお、レーザ書込みユニット227に代えて、LEDやEL等の発光素子アレイを用いた固体走査型の光書込みヘッドユニットを用いることもできる。
【0028】
画像形成部210の下方には、給紙部250が配置されている。給紙部250は、用紙トレイ251、手差トレイ254及び両面ユニット255と、多段給紙ユニット270に備えられた給紙トレイ252及び253と、を備えている。また、給紙部250には、これらのトレイ251〜254に収納されている用紙を画像形成部210の感光体ドラム222と転写器225との間を経由して排紙トレイ219に搬送する用紙搬送路が形成されている。
【0029】
両面ユニット255は、用紙の前後を反転させるスイッチバック路221に通じており、用紙の両面に画像形成を行う時に用いられる。両面ユニット255は、通常の用紙トレイと交換可能にされている。また、用紙を数千枚収納可能な大容量給紙ユニットを装着することもできる。
【0030】
画像形成部210の排出側には、トナー像が転写された用紙を加熱及び加圧して用紙上に画像を定着させる定着ユニット217、用紙の裏面に再度画像を形成するために用紙の前後を反転させるスイッチバック路221、画像が形成された用紙に対してステープル処理等を行う昇降トレイ261を有する後処理装置260が配置されている。定着ユニット217によって画像が定着された用紙は、必要に応じてスイッチバック路221を経て排紙ローラ219にて後処理装置260へと導かれ、ここで所定の後処理が施された後、昇降トレイ261に排出される。
【0031】
画像読取部110は、CCD(Charge Coupled Device )読取ユニット11を備え、この発明の原稿台である第1原稿台12上に載置されて平面支持された原稿の画像を、光源ユニット13及びミラーユニット14によって固定位置に設けられたCCD読取ユニット11に結像して読取処理を行う。CCD読取ユニット11は、結像レンズおよびこの発明の画像読取素子であるCCDイメージセンサを備える。
【0032】
光源ユニット13は、照明光を照射する光源、光源からの照明光を第1原稿台12上の所定の読取位置に集光するレフレクタ、原稿からの反射光のみを通過させるスリット、及び、スリットを通過した反射光の光路を90度偏向するミラーを搭載している。ミラーユニット14は、光源ユニット13からの反射光の光路を180度偏向する一対のミラーを搭載している。
【0033】
静止読取モード時に、光源ユニット13は速度Vで、ミラーユニット14は速度V/2で、第1原稿台12の下面において副走査方向に往復移動し、第1原稿台12上の原稿の画像面の全面における反射光を光路長を一定に維持してCCD読取ユニット11に導く。
【0034】
CCD読取ユニット11は、静止読取モード時に、CCDイメージセンサ、結像レンズ及び光源を搭載した縮小読取光学系又は等倍読取光学系のユニットを速度Vで、第1原稿台12の下面において副走査方向に往復移動する構造であってもよい。
【0035】
画像読取部110には、第1原稿台12から副走査方向に所定距離だけ離間して第2原稿台16が設けられている。原稿読取装置1を用いた搬送読取モード時には、光源ユニット13は、第2原稿台16に対向する第1画像読取位置P1に停止する。
【0036】
図2は、この発明の実施形態に係る原稿読取装置の構成を示す断面図である。原稿読取装置1は、画像読取部110の上方において、第1原稿台12及び第2原稿台16の上面を開閉自在にして配置されている。
【0037】
原稿読取装置1は、複数枚原稿が積載される原稿トレイ2、画像情報の読取済の原稿が積層して排出される排出トレイ3を備えている。原稿トレイ2から第1画像読取位置P1及び第2画像読取位置P2を経由して排出トレイ3に至る間には、ピックアップローラ4、給送ローラ5A、捌きローラ5B及びローラR1〜R6を備えた略C字状を呈する原稿搬送経路H1が形成されている。
【0038】
ローラR1,R2,R4及びR5は、原稿搬送経路H1内において原稿を所定速度で搬送するための搬送ローラである。ローラR3は、画像読取位置P1及びP2における画像情報の読取タイミングに同期して回転を開始するレジストレーションローラである。読取タイミングに先立って原稿トレイ2から搬送された原稿は、前端部を停止中のレジストレーションローラR3に当接させて斜行を矯正された後、回転を開始したレジストレーションローラR3によって所定の読取タイミングで画像読取位置P1及びP2に搬送される。ローラR6は、画像情報の読取処理を完了した原稿を排出トレイ3に排出する排出ローラである。
【0039】
原稿搬送経路H1において、画像形成装置100に設けられた第2原稿台16に対向する第1画像読取位置P1には、第2原稿台16との間に所定の間隙を設けてプラテン10が配置されている。原稿が第2原稿台16とプラテン10との間の第1画像読取位置P1を通過する時に、画像形成装置100の画像読取部110に備えられたCCD読取ユニット11によって原稿の表面からの画像情報の読取が行われる。
【0040】
原稿搬送経路H1において、第1画像読取位置P1の下流側に位置する第2画像読取位置P2(この発明の画像読取位置である。)の上面側にはプラテンガラス21が配置されている。また、原稿読取装置1の内部において原稿搬送経路H1に包囲された部分には、この発明の画像読取素子であるCCD8がミラー22〜22及びレンズ26とともに配置されている。CCD8は、ミラー22〜25、レンズ26及びプラテンガラス21を介して第2画像読取位置P2に対向している。原稿が第2原稿台16とプラテン10との間の第2画像読取位置P2を通過する時に、CCD8によって原稿の裏面からの画像情報の読取が行われる。
【0041】
原稿の片面のみから画像情報を読み取る片面原稿読取時には、原稿トレイ2に載置された原稿の最上面に当接したピックアップローラ4の回転によって繰り出された原稿が、給送ローラ5Aの回転によって原稿搬送経路H1内に導かれる。このとき、給送ローラ5Aと同方向に回転する捌きローラ5Bにより、最上部に位置する原稿以外の原稿が原稿トレイ2内に戻され、最上部に位置する1枚の原稿のみが原稿搬送経路H1内に送り出される。
【0042】
原稿トレイ2から送り出された原稿は、搬送ローラR1及びR2の回転によって原稿搬送経路H1内を搬送され、レジストレーションローラR3の回転によって所定のタイミングで第1画像読取位置P1に向かって搬送される。原稿は、第1画像読取位置P1を通過する間に、第1画像読取位置P1の下方に停止している光源ユニット13を含む画像読取部110のCCD読取ユニット11によって表面の画像情報が読み取られる。表面の画像情報が読み取られた原稿は、搬送ローラR4,R5及び排出ローラR6の回転により、排出トレイ3に排出される。
【0043】
原稿の両面から画像情報を読み取る両面原稿読取時には、片面原稿読取時と同様にして原稿搬送経路H1内に送り出された1枚の原稿は、第1画像読取位置P1での表面の画像情報の読取処理が終了した後、搬送ローラR4及びR5を介して第2画像読取位置P2に導かれ、第2画像読取位置P2を通過する時に、CCD8によって裏面の画像情報の読取を受ける。両面からの画像情報の読取が完了した原稿は、排出ローラR6の回転により、排出トレイ3に排出される。
【0044】
原稿搬送経路H1の外側は、外装パネル20によって被覆されている。この外装パネル20のうち、原稿搬送経路H1の上面側及び左側面側に対向する部分は、カバー9によって構成されている。カバー9は、左側面の下端部をヒンジとして開閉自在にされている。カバー2には、原稿搬送経路H1の上面側及び左側面側における外側に配置される略L字型の搬送ガイド31が一体的に固定されている。
【0045】
原稿読取装置1の底面を形成する外装パネル20のうち、原稿搬送経路H1の下面側に対向する部分は、第1の開閉部材6によって構成されている。第1の開閉部材6は、回転軸6Aにおいて原稿搬送方向に直交する軸周りに原稿読取装置1の下方(第1原稿台12側)に向けて開閉自在に支持されている。原稿読取装置1の内部において、第1の開閉部材6の内側には、第2の開閉部材7が配置されている。第2の開閉部材7は、回転軸7Aにおいて原稿搬送方向に直交する軸周りに原稿読取装置1の下方に向けて開閉自在に支持されている。
【0046】
原稿読取装置1の底面において、少なくとも画像形成装置100の第1原稿台12の全面に対向する範囲には、可撓性を有するシート体の原稿押さえ部材15が配置されている。原稿押さえ部材15は、外力の作用により容易に弾性変形する程度の弾性力を備え、原稿に接触する白色シート及びウレタン等の発泡材を用いたクッションマットを含む。原稿押さえ部材15は、第1原稿台12に載置された原稿を上方から押圧し、第1原稿台12の上面に密着させる。
【0047】
図3は、この発明の第1の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。原稿読取装置1の底面の一部を構成する第1の開閉部材6を、図中右側端の基端6C側の回転軸6Aを中心にして、図中左端部の開放端6Bを図示しない第1原稿台12に向けて回動させると、第2の開閉部材7も、図中右側端の基端7C側の回転軸7Aを中心にして、図中左端部の開放端7Bが図示しない第1原稿台12に向けて回動する。これによって、原稿搬送経路H1における画像読取位置P1から画像読取位置P2を経由して排出ローラR6の配置位置近傍までの間が、原稿読取装置1の下側に開放される。これによって、原稿搬送経路H1中に停止した用紙が、容易に取り出される。
【0048】
原稿押さえ部材15は、一端部15Aが第1の開閉部材6の開放端6Bに固定されおり、他端部15Bが原稿読取装置1の底面における右端部近傍に固定されている。原稿押さえ部材15は、開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分においては、原稿読取装置1の底面には固定されていない。
【0049】
このため、第1の開閉部材6を回動させて原稿搬送経路H1の一部を開放すると、可撓性を有する原稿押さえ部材15は、原稿読取装置1の底面に固定されている一端部15A及び他端部15Bを除く部分が下方に垂れ下がる。したがって、第1の開閉部材6の開閉を繰り返しても、原稿押さえ部材1の一部、特に第1の開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分に折れ曲がりを生じることがない。
【0050】
これによって、原稿に照射された読取光が原稿押さえ部材15と第1の原稿台12又は第1の原稿台12上の原稿との間から外部に漏れることがなく、原稿の画像情報における不要なノイズの発生、及び、原稿が第1の原稿台12の上面から浮き上がることを防止して、原稿の画像情報を正確に読み取ることができる。
【0051】
図4は、この発明の第2の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。この実施形態に係る原稿読取装置1では、原稿押さえ部材15は、一端部15Aが第1の開閉部材6の開放端6Bに固定されおり、中間部15Cが第1の開閉部材6の開放端6B及び基端6Cを除く部分に固定されており、他端部15Bが原稿読取装置1の底面における右端部近傍に固定されている。原稿押さえ部材15は、開閉部材6の回転軸である回転軸6Aに対向する部分においては、原稿読取装置1の底面には固定されていない。
【0052】
このため、第1の開閉部材6を回動させて原稿搬送経路H1の一部を開放すると、可撓性を有する原稿押さえ部材15は、原稿読取装置1の底面に固定されていない中央部15Cから他端部15Bに達するまでの部分が、比較的小さい範囲で下方に垂れ下がる。したがって、第1の開閉部材6の開閉を繰り返しても、原稿押さえ部材1の一部、特に第1の開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分に折れ曲がりを生じることがないだけでなく、原稿読取装置1の底面と原稿押さえ部材15との間に大きな空間が形成されることがないため、異物が原稿読取装置1の底面と原稿押さえ部材15との間に挟まることがない。
【0053】
図5は、この発明の第3の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。この実施形態に係る原稿読取装置1では、原稿押さえ部材15は、一端部15Aが第1の開閉部材6の開放端6Bに固定されおり、中間部15Cが第1の開閉部材6の開放端6B及び基端6Cを除く部分に固定されており、他端部15Bが原稿読取装置1の底面における右端部近傍において、原稿読取装置1の底面に平行な方向に移動自在に保持されている。原稿押さえ部材15は、開閉部材6の回転軸である回転軸6Aに対向する部分においては、原稿読取装置1の底面には固定されていない。
【0054】
なお、原稿読取装置1の底面における右端部近傍における原稿押さえ部材15の他端部15Bの保持は、例えば、下端にフランジ部を形成したピンを原稿読取装置1の底面から下方に延出させ、原稿押さえ部材15の他端部15Bに上面に開放したスリットを左右方向に形成し、このスリットにピンのフランジ部を係合させることにより行う。
【0055】
このため、第1の開閉部材6を回動させて原稿搬送経路H1の一部を開放すると、可撓性を有する原稿押さえ部材15は、原稿読取装置1の底面に固定されていない中央部15Cから他端部15Bを含む部分が、下方に垂れ下がることなく原稿読取装置1の底面に平行な方向に移動する。したがって、第1の開閉部材6の開閉を繰り返しても、原稿押さえ部材1の一部、特に第1の開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分に折れ曲がりを生じることがないだけでなく、原稿読取装置1の底面と原稿押さえ部材15との間に全く空間が形成されることがないため、異物が原稿読取装置1の底面と原稿押さえ部材15との間に挟まることを完全に防止される。
【0056】
以上の構成は一例であり、原稿押さえ部材15の少なくとも第1の開閉部材6の回転軸6Aに対向する部分を、原稿読取装置1の底面に固定しないことを条件に、上記の構成以外の構成を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施形態に係る原稿読取装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の実施形態に係る原稿読取装置の構成を示す断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。
【図5】この発明の第3の実施形態に係る原稿読取装置における開閉部材の開放状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 原稿読取装置
6 第1の開閉部材
6A 回転軸
6B 開放端
6C 基端
7 第2の開閉部材
12 第1原稿台
15 原稿押さえ部材
15A 一端部
15B 他端部
15C 中間部
H1 原稿搬送経路
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置における原稿台の上面を開放する位置と閉塞する位置との間に変位自在に配置される原稿読取装置であって、
画像読取前の原稿が積載される原稿トレイと、画像読取後の原稿が積載される排出トレイと、前記原稿トレイから画像読取位置を経由して前記排出トレイに至る間に原稿が搬送される原稿搬送経路と、装置底面の一部を構成するととともに、前記原稿搬送経路の一部を前記原稿台側に露出させる位置と遮蔽する位置との間において前記原稿搬送経路における原稿搬送方向に直交する回転軸周りに前記原稿台における前記原稿搬送方向の一端部及び他端部に対向する一方の端部及び他方の端部をそれぞれ自由端及び基端として回転自在に支持された開閉部材と、前記原稿台の全面に対向する範囲に配設されるとともに、前記装置底面において少なくとも前記回転軸に対向する部分を除く部分に固定された可撓性を有するシート状の原稿押さえ部材と、を備えることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項2】
前記原稿押さえ部材は、前記原稿搬送方向の両端部において前記装置底面に固定されることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記原稿押さえ部材は、前記開閉部材の前記自由端に対向する一端部、前記開閉部材の前記自由端及び前記基端を除く部分に対向する中間部、及び、他端部において前記装置底面に固定されることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記原稿押さえ部材は、前記開閉部材の前記自由端に対向する一端部、及び、前記開閉部材の前記自由端及び前記基端を除く部分に対向する中間部において前記装置底面に固定されるとともに、他端部において前記原稿搬送方向に平行な方向に移動自在にして前記装置底面に保持されることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−139030(P2006−139030A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328039(P2004−328039)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】