説明

双極型二次電池

【課題】シール性の更なる向上を図り得る双極型二次電池を提供する。
【解決手段】双極型二次電池100は、集電体111の一方の面に正極活物質層113が形成され他方の面に負極活物質層112が形成された双極型電極110を、セパレータ140を介して複数積層した構成を有する。双極型二次電池は、一方の面に正極活物質層を囲んで配置される第1のシール部材122と、他方の面に負極活物質層を囲んで配置される第2のシール部材120と、を有する。また双極型二次電池は、第1のシール部材に設けられ集電体の端部からはみ出す第1のはみ出し部123と、第2のシール部材に設けられ集電体の端部からはみ出す第2のはみ出し部121と、を有する。そして双極型二次電池は、第1のはみ出し部および第2のはみ出し部が集電体の端部に向かって折込まれてなる折込部130を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
双極型二次電池は、一般に、集電体の一方の面に正極活物質層が形成され他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、セパレータを介して複数積層した構成を有する。そして、例えば特許文献1に記載されているように、電解液の漏れを防止するためのシール部材を集電体の端部付近に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−122881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでシール部材は、一部、集電体の端部からはみ出すように設けられ、集電体の一方の面の側に配置されたシール部材と、集電体の他方の面の側に配置されたシール部材との間で、集電体の端部からはみ出した部分に隙間が生じる。このため、例えば双極型電極およびセパレータ等を外装材によって封止するとき、力が加わり、集電体の端部からはみ出したシール部材同士が隙間を挟み込むように変形する。
【0005】
本発明者らは、このことに着目し、シール部材の変形を抑制することによって、シール性の更なる向上を試みた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の双極型二次電池は、集電体の一方の面に正極活物質層が形成され他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、セパレータを介して複数積層した構成を有する。双極型二次電池は、一方の面に正極活物質層を囲んで配置される第1のシール部材と、他方の面に負極活物質層を囲んで配置される第2のシール部材と、を有する。また双極型二次電池は、第1のシール部材に設けられ集電体の端部からはみ出す第1のはみ出し部と、第2のシール部材に設けられ集電体の端部からはみ出す第2のはみ出し部と、を有する。そして双極型二次電池は、第1のはみ出し部および第2のはみ出し部が集電体の端部に向かって折込まれてなる折込部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の双極型二次電池は、折込部を有し、第1のシール部材および第2のシール部材の変形を抑制するため、シール性の更なる向上を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に示す概略斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図である。
【図3】(A)は第1のシール部材、および第2のシール部材の折込を説明するための部分拡大断面概略図、(B)は第1実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図4】(A)は一のセパレータの折込を説明するための部分拡大断面概略図、(B)は第2実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図5】第3実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図6】第4実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図7】(A)は一のセパレータ、および他のセパレータの折込を説明するための部分拡大断面概略図、(B)は第5実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図8】第6実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図9】第7実施形態の発電要素の部分拡大概略断面図である。
【図10】シール部材の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下で説明する実施形態において、各実施形態で共通する機能を有する部材については、類似の符号を付し、また、重複する説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
図1において概説すると、第1実施形態の双極型リチウムイオン二次電池100は、略矩形で扁平な形状を有する。そして対向する側端部から電力を取り出すための正極タブ104、負極タブ106が引き出されている。双極型リチウムイオン二次電池100は、実際に充放電反応が進行する発電要素102と、これを封止する外装材108とを有する。
【0011】
外装材108として、ラミネートフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等を好適に用いることができる。ラミネートフィルムは、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅等の金属(合金を含む)からなる金属箔を、ポリプロピレンフィルム等の絶縁性の合成樹脂膜で被覆したものである。
【0012】
図2に示すように、発電要素102は、集電体111の一方の面に電気的に接続した正極活物質層113が形成され、集電体111の他方の面に電気的に接続した負極活物質層112が形成された複数の双極型電極110を有する。
【0013】
発電要素102は、セパレータ140を介して双極型電極110を複数積層した構成を有する。一の双極型電極110の正極活物質層113と一の双極型電極110と隣り合う他の双極型電極110の負極活物質層112とがセパレータ140を介して向き合う。また、一の双極型電極110の負極活物質層112と一の双極型電極110と隣り合うさらに他の双極型電極110の正極活物質層113とがセパレータ140を介して向き合う。
【0014】
隣接する正極活物質層113、セパレータ140、および負極活物質層112は、1つの単電池層を構成する。したがって、双極型リチウムイオン二次電池100は、単電池層が積層されてなる構成を有するとも言える。
【0015】
積層方向の最も外側に位置する最外層集電体105、107では、片面のみに正極活物質層113、または負極活物質層112が形成されている。ただし、正極活物質層113、または負極活物質層112が両面に形成されてもよい。双極型リチウムイオン二次電池100は、最外層集電体105、107に隣接する集電板101、103を有し、これが外装材108の外まで伸びて正極タブ104、または負極タブ106を形成する。
【0016】
図3に示すように、双極型リチウムイオン二次電池100は、電解液の漏れを防止するため、集電体111の一方の面に正極活物質層113を囲んで配置される第1のシール部材122と、集電体111の他方の面に負極活物質層112を囲んで配置される第2のシール部材120と、を有する。第1のシール部材122、および第2のシール部材120は、集電体同士の間を絶縁する。
【0017】
集電体111の材質は、特に限定されないが、具体的な例として、例えば、鉄、クロム、ニッケル、マンガン、チタン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、アルミニウム、銅、銀、金、白金およびカーボンよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の集電体材料、より好ましくはアルミニウム、チタン、銅、ニッケル、銀、またはステンレス(SUS)よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種類の材料等が好ましく挙げられ、これらは単層構造(例えば、箔の形態)で用いてもよいし、異なる種類の層で構成された多層構造で用いてもよいし、これらで被覆されたクラッド材(例えば、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材)を用いてもよい。あるいは、これらの集電体材料の組み合わせのめっき材等も好ましく使える。また、上記集電体材料である金属(アルミニウムを除く)表面に、他の集電体材料であるアルミニウムを被覆させた集電体111であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の上記集電体材料である金属箔を張り合わせた集電体111を用いてもよい。上述の材質は、耐食性、導電性、または加工性等に優れる。
【0018】
集電体111は導電性を有する樹脂を含んでもよい。好適には、集電体111は、導電性を有する樹脂層からなる。樹脂層は、導電性を有し、必須に樹脂を含み、集電体111の役割を果たす。
【0019】
樹脂層が導電性を有するには、具体的な形態として、樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態が挙げられる。導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。
【0020】
また樹脂層が導電性を有するには、具体的な形態として、樹脂層が樹脂および導電性フィラー(導電材)を含む形態が挙げられる。導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。具体的には、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、グラファイトやカーボンブラックなどのカーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
正極活物質層113は、正極活物質を含む。このほかにも、導電助剤、バインダーなどが含まれ得る。正極活物質として、例えば、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を挙げられる。
【0022】
負極活物質層112は、負極活物質を含む。このほかにも、導電助剤、バインダーなどが含まれ得る。負極活物質として、例えば、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を挙げられる。
【0023】
セパレータ140は、特に制限されず、公知のものを使用できる。例えば、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルムなどのポリオレフィン系樹脂、ならびにアラミド、ポリイミド、セルロースなどの多孔膜または不織布、これらの積層体などが挙げられる。
【0024】
セパレータ140は電解質を保持する。電解質は、例えば、高分子ゲル電解質(ゲルポリマー系電解質)、または液体電解質である。
【0025】
ここで、ゲル電解質(高分子ゲル電解質)とは、マトリックスポリマー(ホストポリマー)中に電解液を保持させたものをいう。マトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。
【0026】
また、電解液(可塑剤)としては通常リチウムイオン電池に用いられる電解液を用いることが可能である。かかる電解液とは、電解質塩を溶媒に溶かしたものであり、電解質塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、スルホラン、アセトニトリルなどが挙げられる。このような電解液を液体電解質として用いることができる。
【0027】
第1のシール部材122、および第2のシール部材120は、例えば、加圧変形させることによって集電体111に密着するゴム系樹脂を利用することができる。また、第1のシール部材122、および第2のシール部材120は、加熱加圧して熱融着させることによって集電体111に密着するオレフィン系樹脂などの熱融着可能な樹脂を好適に利用することができる。
【0028】
ゴム系樹脂としては、特に制限されるものではないが、好ましくは、シリコン系ゴム、フッ素系ゴム、オレフィン系ゴム、ニトリル系ゴムよりなる群から選択されるゴム系樹脂である。これらのゴム系樹脂は、シール性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐久性・耐候性、耐熱性などに優れ、使用環境下でもこれらの優れた性能、品質を劣化させずに長期間維持することができる。
【0029】
熱融着可能な樹脂としては、シール部として発電要素102のあらゆる使用環境下にて、優れたシール効果を発揮することができるものであれば特に制限されるものではない。好ましくは、シリコン、エポキシ、ウレタン、ポリブタジエン、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、パラフィンワックスよりなる群から選択される樹脂である。これらの熱融着可能な樹脂は、シール性、耐アルカリ性、耐薬品性、耐久性・耐候性、耐熱性などに優れ、使用環境下でもこれらの優れた性能、品質を劣化させずに長期間維持することができる。
【0030】
双極型リチウムイオン二次電池100は、第1のシール部材122に設けられ集電体111の端部からはみ出す第1のはみ出し部123と、第2のシール部材120に設けられ集電体111の端部からはみ出す第2のはみ出し部121と、を有する。
【0031】
そして、これら第1のはみ出し部123および第2のはみ出し部121が集電体111の端部に向かって折込まれてなる折込部130を双極型リチウムイオン二次電池100は有する。第1のシール部材122の厚みと第2のシール部材120の厚みとの合計は、好ましくは集電体111の厚み以上である。また、好ましくは、第1のシール部材122の厚みと第2のシール部材120の厚みとの合計は、集電体111の厚み+セパレータ140の厚み×0.5以下である。
【0032】
一の双極型電極110に配置された第1のシール部材122と、他の双極型電極110に配置された第2のシール部材120とは、互いに重なり合い、正極活物質層113、セパレータ140、および負極活物質層112を囲んでシールする。また、一の双極型電極110に配置された第2のシール部材120と、さらに他の双極型電極110に配置された第1のシール部材122とは、互いに重なり合い、正極活物質層113、セパレータ140、および負極活物質層112を囲んでシールする。双極型リチウムイオン二次電池100は、集電体111の外周全体に沿って第1のはみ出し部123および第2のはみ出し部121を有し、また、集電体111の外周全体に沿って折込部130が設けられる。
【0033】
双極型リチウムイオン二次電池100は、直列または並列に複数接続されて電池モジュールを形成でき、電池モジュールがさらに直列または並列に複数接続されて組電池を形成できる。電池モジュールは、双極型リチウムイオン二次電池100を複数個積層してモジュールケース内に収納し、各双極型リチウムイオン二次電池100を並列に接続したものである。
【0034】
作成された電池モジュールは、バスバーのような電気的な接続部材を用いて相互に接続され、複数段積層される。
【0035】
第1実施形態の効果を述べる。
【0036】
本実施形態と異なり、第1のはみ出し部123、および第2のはみ出し部121が折込まれずに伸びていると、これらの間に隙間が生じる。そして、例えば外装材108によって封止するとき、力が加わり、第1のシール部材122、および第2のシール部材120はこの隙間を挟み込むように変形する。特に、積層方向の中心側に位置する第1のシール部材122、および第2のシール部材120に比べ、積層方向外側に位置する第1のシール部材122、および第2のシール部材120は大きく変形する。
【0037】
一方で双極型リチウムイオン二次電池100は、折込部130を有し、第1のシール部材122および第2のシール部材120の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0038】
また本実施形態では、第1のシール部材122の厚みと第2のシール部材120の厚みとの合計が、集電体111の厚み以上である。つまり折込部130の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士が密着するため、シール性が優れる。
【0039】
本実施形態と異なり、集電体111の外周の一部にのみ折込部130が設けられ、また、集電体111が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体111が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形態では、集電体111の外周全体に沿って折込部130が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0040】
また本実施形態では、第1のはみ出し部123および第2のはみ出し部121を折込むことによって折込部130が形成されるため、一体的で、例えば隙間にスペーサのような別部材を配置する場合に比べ耐震振動性が優れる。
【0041】
集電体111の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体111の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体111が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体111の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0042】
正極活物質層113が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0043】
負極活物質層112が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0044】
双極型リチウムイオン二次電池100は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0045】
<第2実施形態>
図4において説明すると、第2実施形態は第1実施形態と略同様であるが、折込部231が第1実施形態と異なり、また、第1のシール部材222Aと第2のシール部材220Aとが互いに接する。
【0046】
第2実施形態では、セパレータ240の端部が、第1のシール部材222Aと第2のシール部材220との間、および第1のシール部材223と第2のシール部材220Aとの間からはみ出している。そして折込部231は、一のセパレータ240の端部が第1のはみ出し部223と第2のはみ出し部221との間に折込まれた構成を有する。セパレータ240の厚みは、好ましくは、集電体211の厚みと同じ、または集電体211の厚みより厚い。
【0047】
第1のシール部材222、および第2のシール部材220Aは、熱融着によって、セパレータ240を封止する。また、第1のシール部材222A、および第2のシール部材220は、熱融着によって、セパレータ240を封止する。
【0048】
第2実施形態の効果を述べる。
【0049】
第2実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、折込部231を有し、第1のシール部材222および第2のシール部材220の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0050】
また本実施形態では、セパレータ240の厚みは、集電体211の厚みと同じ、または集電体211の厚みより厚い。つまり折込部231の厚みが、第1のはみ出し部223と第2のはみ出し部221との間の隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、およびシール部材とセパレータ240とが密着するため、シール性が優れる。
【0051】
本実施形態では、セパレータ240の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0052】
本実施形態と異なり、集電体211の外周の一部にのみ折込部231が設けられ、また、集電体211が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体211が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形態では、集電体211の外周全体に沿って折込部231が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0053】
集電体211の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体211の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体211が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体211の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0054】
正極活物質層213が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0055】
負極活物質層212が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0056】
第2実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0057】
<第3実施形態>
図5において説明すると、第3実施形態は、第2実施形態と略同様であるが、第1のはみ出し部323と第2のはみ出し部321との間に配置されるスペーサ332をさらに有する点で第2実施形態と異なる。
【0058】
スペーサ332は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、エポキシなどの熱硬化性樹脂によって形成できる。また、スペーサ332は、第1のシール部材322および第2のシール部材320より低融点のものが好ましい。スペーサ332の厚さは、好ましくは、集電体311の厚みと同じ、または集電体311の厚みより厚い。
【0059】
第3実施形態の効果を述べる。
【0060】
第3実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、折込部331、およびスペーサ332を有し、第1のシール部材322および第2のシール部材320の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0061】
また本実施形態では、セパレータ340の厚みは、集電体311の厚みと同じ、または集電体311の厚みより厚く、また、スペーサ332の厚さは、集電体311の厚みと同じ、または集電体311の厚みより厚い。つまり折込部331の厚み、およびスペーサ332の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、シール部材とセパレータ340、およびシール部材とスペーサ332が密着するため、シール性が優れる。
【0062】
本実施形態では、セパレータ340の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0063】
本実施形態と異なり、集電体311の外周の一部にのみ折込部331およびスペーサ332が設けられ、また、集電体311が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体311が溶融してシール部材の外側に出て、集電体311同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形では、集電体311の外周全体に沿って折込部331、およびスペーサ332が設けられるため、上述のような集電体311同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0064】
集電体311の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体311の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体311が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体311の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0065】
正極活物質層313が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0066】
負極活物質層312が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0067】
第3実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0068】
<第4実施形態>
図6に示すように、第4実施形態は、第1実施形態の構成と第2実施形態の構成とを組み合わせた構成を有する。つまり、第4実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、第1実施形態の折込部130と同様の構成の折込部430と、第2実施形態の折込部231と同様の構成の折込部431とを有する。
【0069】
折込部430は、第1のシール部材422に設けられ集電体411の端部からはみ出す第1のはみ出し部423、および第2のシール部材420に設けられ集電体411の端部からはみ出す第2のはみ出し部421が、集電体411の端部に向かって折込まれた構成を有する。第1のシール部材422の厚みと第2のシール部材420の厚みとの合計は、好ましくは集電体411の厚み以上である。また、好ましくは、第1のシール部材422の厚みと第2のシール部材420の厚みとの合計は、集電体411の厚み+セパレータ440の厚み×0.5以下である。
【0070】
折込部431は、セパレータ440の端部が第1のはみ出し部423と第2のはみ出し部421との間に折込まれた構成を有する。セパレータ440の厚みは、好ましくは、集電体411の厚みと同じ、または集電体411の厚みより厚い。
【0071】
第4実施形態の効果を述べる。
【0072】
双極型リチウムイオン二次電池は、折込部430、および折込部431を有し、第1のシール部材422および第2のシール部材420の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0073】
また本実施形態では、第1のシール部材422の厚みと第2のシール部材420の厚みとの合計は、集電体411の厚み以上である。また、セパレータ440の厚みは、集電体411の厚みと同じ、または集電体411の厚みより厚い。つまり折込部430、および折込部431の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、およびシール部材とセパレータ440とが密着するため、シール性が優れる。
【0074】
本実施形態では、セパレータ440の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0075】
本実施形態と異なり、集電体411の外周の一部にのみ折込部430、431が設けられ、また、集電体411が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体411が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形態では、集電体411の外周全体に沿って折込部430、431が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0076】
また本実施形態では、第1のシール部材422のはみ出し部423、および第2のシール部材420のはみ出し部421を折込むことによって折込部430が形成されるため、一体的で、例えば隙間にスペーサのような別部材を配置する場合に比べ耐震振動性が優れる。
【0077】
集電体411の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体411の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体411が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体411の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0078】
正極活物質層413が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0079】
負極活物質層412が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0080】
第4実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0081】
<第5実施形態>
図7において説明すると、第5実施形態は第1実施形態と略同様であるが、折込部533が第1実施形態と異なり、また、第1のシール部材522Aと第2のシール部材520Aとが接する。
【0082】
第5実施形態では、第1のシール部材522と第2のシール部材520Aとの間から、一のセパレータ540の端部がはみ出しており、第1のシール部材522Aと第2のシール部材520との間から、他のセパレータ540の端部がはみ出している。第1のシール部材522、および第2のシール部材520Aは、熱融着によって一のセパレータ540を封止する。また、第1のシール部材522A、および第2のシール部材520は、熱融着によって他のセパレータ540を封止する。
【0083】
そして折込部533は、一のセパレータ540の端部と、他のセパレータ540の端部とが第1のはみ出し部523と第2のはみ出し部521との間に折込まれた構成を有する。一のセパレータ540の厚みと他のセパレータ540の厚みとの合計は、好ましくは、集電体511の厚みと同じ、または集電体511の厚みより厚い。
【0084】
第5実施形態の効果を述べる。
【0085】
双極型リチウムイオン二次電池は、折込部533を有し、第1のシール部材523および第2のシール部材521の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0086】
また本実施形態では、一のセパレータ540の厚みと、他のセパレータ540の厚みとの合計は、集電体511の厚みと同じ、または集電体511の厚みより厚い。つまり折込部533の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、およびシール部材とセパレータ540とが密着するため、シール性が優れる。
【0087】
本実施形態では、セパレータ540の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0088】
本実施形態と異なり、集電体511の外周の一部にのみ折込部533が設けられ、また、集電体511が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体511が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形態では、集電体511の外周全体に沿って折込部533が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0089】
集電体511の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体511の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体511が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体511の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0090】
正極活物質層513が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0091】
負極活物質層512が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0092】
第5実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0093】
<第6実施形態>
図8において説明すると、第6実施形態は、第5実施形態と略同様であるが、第1のはみ出し部623と第2のはみ出し部621との間に配置されるスペーサ632をさらに有する点で第5実施形態と異なる。
【0094】
スペーサ632は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、エポキシなどの熱硬化性樹脂によって形成できる。また、スペーサ632は、第1のシール部材および第2のシール部材より低融点のものが好ましい。スペーサ632の厚さは、好ましくは、集電体611の厚みと同じ、または集電体611の厚みより厚い。
【0095】
第6実施形態の効果を述べる。
【0096】
第6実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、折込部633、およびスペーサ632を有し、第1のシール部材および第2のシール部材の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0097】
また本実施形態では、セパレータ640の厚みは、集電体611の厚みと同じ、または集電体611の厚みより厚く、また、スペーサ632の厚さは、集電体611の厚みと同じ、または集電体611の厚みより厚い。つまり折込部633の厚み、およびスペーサ632の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、シール部材とセパレータ640、およびシール部材とスペーサ632が密着するため、シール性が優れる。
【0098】
本実施形態では、セパレータ640の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0099】
本実施形態と異なり、集電体611の外周の一部にのみ折込部633が設けられ、また、集電体611が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体611が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形態双極型リチウムイオン二次電池では、集電体611の外周全体に沿って折込部633、およびスペーサ632が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0100】
集電体611の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体611の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体611が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体611の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0101】
正極活物質層613が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0102】
負極活物質層612が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0103】
第6実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0104】
<第7実施形態>
図9に示すように、第7実施形態は、第1実施形態の構成と第5実施形態の構成とを組み合わせた構成を有する。つまり、第7実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、第1実施形態の折込部130の構成と同様の構成の折込部730と、第5実施形態の折込部533と同様の構成の折込部733とを有する。
【0105】
折込部730は、第1のシール部材722に設けられ集電体711の端部からはみ出す第1のはみ出し部723、および第2のシール部材720に設けられ集電体711の端部からはみ出す第2のはみ出し部721が、集電体711の端部に向かって折込まれた構成を有する。第1のシール部材722の厚みと第2のシール部材720の厚みとの合計は、好ましくは、集電体711の厚み以上である。また、好ましくは、第1のシール部材722の厚みと第2のシール部材720の厚みとの合計は、集電体711の厚み+セパレータ740の厚み×0.5以下である。
【0106】
折込部733は、一のセパレータ740の端部、および他のセパレータ740の端部が第1のはみ出し部723と第2のはみ出し部721との間に折込まれた構成を有する。一のセパレータ740の厚みと他のセパレータ740の厚みとの合計は、好ましくは、集電体711の厚みと同じ、または集電体711の厚みより厚い。
【0107】
第7実施形態の効果を述べる。
【0108】
双極型リチウムイオン二次電池は、折込部730、および折込部733を有し、第1のシール部材722および第2のシール部材720の変形を抑制するため、シール性の向上、ひいては長期信頼性の向上を図り得る。
【0109】
また本実施形態では、第1のシール部材722の厚みと第2のシール部材720の厚みとの合計は、集電体711の厚み以上である。また、一のセパレータ740の厚みと他のセパレータ740の厚みとの合計は、集電体711の厚みと同じ、または集電体711の厚みより厚い。つまり折込部730、および折込部733の厚みが、隙間以上である。したがって面圧がかかり易く、シール部材同士、およびシール部材とセパレータ740とが密着するため、シール性が優れる。
【0110】
本実施形態では、セパレータ740の端部がシール部材からはみ出しているため、放熱性向上、ひいては電解液の劣化抑制を図り得る。
【0111】
本実施形態と異なり、集電体711の外周の一部にのみ折込部730、733が設けられ、また、集電体711が樹脂を含むと、シール部材を熱融着させる際、集電体711が溶融してシール部材の外側に出て、集電体同士の微小短絡が生ずる虞がある。一方、本実施形では、集電体711の外周全体に沿って折込部730、733が設けられるため、上述のような集電体同士の微小短絡を抑制でき好ましい。
【0112】
また本実施形態では、第1のシール部材722のはみ出し部723、および第2のシール部材720のはみ出し部721を折込むことによって折込部730が形成されるため、一体的で、例えば隙間にスペーサのような別部材を配置する場合に比べ耐震振動性が優れる。
【0113】
集電体711の材料として金属材料を用いることによって、導電性、耐熱性、および強度の向上を図り得る。また、集電体711の材料として導電性の樹脂を用いることによって、集電体711が軽量化し、電池の重量あたりの出力密度向上を図り得る。また、集電体711の材料として導電性の樹脂を用いることによって、金属材料のような溶出を抑制して耐溶剤性の向上を図り得る。
【0114】
正極活物質層713が、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を正極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0115】
負極活物質層712が、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を負極活物質として含むことによって、容量、出力特性に優れた電池を構成できる。
【0116】
第7実施形態の双極型リチウムイオン二次電池は、液体電解質またはゲル電解質を含み、電解液を含まない全固体電解質に比べイオンが効率良く輸送されるため、イオン伝導度の向上、ひいては出力向上を図り得る。
【0117】
次に実施例1〜7、および比較例について説明する。まず、各実施例および比較例で共通する構成について説明する。
【0118】
<正極活物質層>
正極活物質層の作製にあたり、正極活物質、導電助剤、バインダー、およびスラリー粘度調整溶媒を所定の比で混合して正極スラリーを作製した。正極活物質として、LiMn204を用いた。導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。スラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。各材料の割合は、正極活物質85wt%、導電助剤5wt%、およびバインダー10wt%である。
【0119】
そして、導電性フィラーを含むポリエチレン(PE)から構成される集電体の片面に正極スラリーを塗布し、乾燥させて正極活物質層を形成した。正極活物質層の厚みが60μmとなるようにプレスした。
【0120】
<負極活物質層>
負極活物質層の作製にあたり、負極活物質、バインダー、およびスラリー粘度調整溶媒を所定の比で混合して負極スラリーを作製した。負極活物質として、ハードカーボンを用いた。バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。スラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。各材料の割合は、負極活物質90wt%、およびバインダー10wt%である。
【0121】
そして、導電性フィラーを含むポリエチレン(PE)から構成される集電体の片面に負極スラリーを塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。負極活物質層の厚みが50μmとなるようにプレスした。こうして集電体としての導電性高分子膜の片面に正極活物質層が形成され、片面に負極活物質層が形成された双極型電極が作製される。
【0122】
<集電体>
導電性を有する層としてポリエチレン樹脂にカーボン材料を分散させた導電性高分子材料を延伸によってフィルム状に成形し用いた。厚さは100μmである。
【0123】
双極型電極を140×90mmの寸法で切断した。正極活物質層および負極活物質層の各々の周辺部10mmをシールしろとした。つまり、正極活物質層および負極活物質層の寸法は、それぞれ、120×70mmとした。
【0124】
<電解液>
電解液として、1M LiPF/EC+DEC(溶媒体積比1:1)を用いた。ここで、ECはエチレンカーボネート、DECはジエチルカーボネートである。
【0125】
<セパレータ>
セパレータとして、ポリエチレン(PE)製のものを用いた。セパレータの厚みは35μmである。
【0126】
<シール部材>
図10に示すように、シール部材はフレーム型で、ポリエチレン(PE)製フィルムである。シール部材は、双極型電極の正極活物質層および負極活物質層の周りに配置される。シール部材は、略矩形形状で、その一辺が集電体の端部からはみ出す。はみ出し部が設けられたこのシール部材の一辺を、電解液を注入するための注液部とする。
【0127】
<実施例1>
実施例1では、集電体の端部からはみ出すシール部材のはみ出し部とはみ出し部との隙間(図1(A)を参照。)にスペーサを挿入した。スペーサは、ポリプロピレン(PP)製である。スペーサの厚さは70μmであり、他の寸法は160×30μmである。双極型電極を6つ作製し、全ての双極型電極について、はみ出し部とはみ出し部との隙間にスペーサを挿入した。
【0128】
はみ出し部とはみ出し部との間にスペーサを挿入した後、注液部(はみ出し部が設けられスペーサが挿入された1辺)と異なるシール部材の3辺に熱および圧力を加えてプレスし、シール部材を集電体に融着させた。プレスの条件は、0.1MPa、140℃、5secである。
【0129】
そして6つの双極型電極を積層した。注液部と異なるシール部材の3辺に積層方向から熱および圧力を加えてプレスし、重なり合ったシール部材同士を融着させる。プレスの条件は、0.2MPa、140℃、5secである。この段階で注液部は開いたままであり、双極型電極の積層体は、シール部材の3辺が封止された袋状の構成を有する。
【0130】
注液部から電解液を注入した後、真空密封することによって注液部を閉じ、双極型リチウムイオン二次電池を作製した。真空密封にあたり、集電板としてのAl板によって、双極型電極の積層体を積層方向から挟み込む。そして、Al板、および双極型電極の積層体をアルミラミネートフィルムによって覆い、大気圧によって加圧し、真空密封した。真空密封によって、Al板と双極型電極との接触が高まる。
【0131】
Al板の厚みは100μmである。また、Al板の寸法は130×80mmであり、双極型電極を厚み方向に投影させた投影面の全体を覆う。またAl板の一部が伸びて正極タブ、または負極タブを形成する。
【0132】
<実施例2>
実施例2は実施例1と略同様であるが、6つの双極型電極の全てについてはみ出し部とはみ出し部との隙間にスペーサを挿入するのではなく、2つの双極型電極についてのみ、はみ出し部とはみ出し部との間にスペーサを挿入した。そして双極型電極の積層に際し、スペーサを挿入した2つの双極型電極を積層方向の最も外側に配置した。つまり、スペーサを挿入した2つの双極型電極が、他の4つの双極型電極を挟む。
【0133】
<実施例3>
実施例3は、上述の第1実施形態に対応している。つまり、はみ出し部を集電体の端部に向かって折込むことによって折込部を形成した。双極型電極を6つ作製し、全ての双極型電極について折込部を形成した。
【0134】
折込部の形成後、注液部(はみ出し部が設けられ折込部が形成された1辺)と異なるシール部材の3辺に熱および圧力を加えてプレスし、シール部材を集電体に融着させた。プレスの条件は、0.1MPa、140℃、5secである。
【0135】
そして6つの双極型電極を積層した。注液部と異なるシール部材の3辺に積層方向から熱および圧力を加えてプレスし、重なり合ったシール部材同士を融着させる。プレスの条件は、0.2MPa、140℃、5secである。電解液の注入、および真空密封については実施例1と同様である。
【0136】
<実施例4>
実施例4は、上述の第5実施形態に対応している。つまり、はみ出し部とはみ出し部との間に2つのセパレータの端部を折込むことによって、折込部を形成した。
【0137】
実施例1と同様に双極型電極にシール部材を融着させ、その後、6つの双極型電極を積層した。そして、はみ出し部とはみ出し部との間に2つのセパレータの端部を折込んだ。注液部(はみ出し部が設けられたシール部材の1辺)と異なるシール部材の3辺に積層方向から熱および圧力を加えてプレスし、重なり合ったシール部材同士を融着させる。プレスの条件は、0.2MPa、140℃、5secである。電解液の注入、および真空密封については実施例1と同様である。
【0138】
<実施例5>
実施例5は、上述の第2実施形態に対応している。つまり、はみ出し部とはみ出し部との間に1つのセパレータの端部を折込むことによって、折込部を形成した。
【0139】
実施例1と同様に双極型電極にシール部材を融着させ、その後、6つの双極型電極を積層した。そして、はみ出し部とはみ出し部との間に1つのセパレータの端部を折込んだ。注液部(はみ出し部が設けられたシール部材の1辺)と異なるシール部材の3辺に積層方向から熱および圧力を加えてプレスし、重なり合ったシール部材同士を融着させる。プレスの条件は、0.2MPa、140℃、5secである。電解液の注入、および真空密封については実施例1と同様である。
【0140】
<実施例6>
実施例6は、上述の第3実施形態に対応している。つまり、はみ出し部とはみ出し部との間に1つのセパレータの端部を折込むことによって折込部を形成し、また、はみ出し部とはみ出し部との間にスペーサを挿入した。
【0141】
実施例1と同様に双極型電極にシール部材を融着させ、その後、6つの双極型電極を積層した。そして、はみ出し部とはみ出し部との間に1つのセパレータの端部を折込み、また、スペーサを挿入した。スペーサは実施例1で説明したものと同様である。
【0142】
注液部(はみ出し部が設けられたシール部材の1辺)と異なるシール部材の3辺に積層方向から熱および圧力を加えてプレスし、重なり合ったシール部材同士を融着させた。プレスの条件は、0.2MPa、140℃、5secである。電解液の注入、および真空密封については実施例1と同様である。
【0143】
<実施例7>
実施例7は実施例1と略同様であるが、スペーサの厚さが実施例7と実施例1とで異なる。実施例7ではスペーサの厚さが110μmである。他の構成等については、実施例7は実施例1と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0144】
<比較例>
比較例は、実施例1と略同様であるが、スペーサを設けない点で実施例1と異なる。つまり、比較例ではスペーサがなく、はみ出し部とはみ出し部との間に隙間がある。
【0145】
実施例1と同様に双極型電極にシール部材を融着させ、その後、6つの双極型電極を積層した。積層後のプレス、電解液の注入、および真空密封については実施例1と同様である。
【0146】
実施例および比較例を表1にまとめて示す。
【0147】
【表1】

【0148】
実施例および比較例のそれぞれについて、電池作製後、容量維持率を求めた。容量維持率は、(保存試験後放電容量/初回放電時電池容量)×100%である。まず、0.5Cで5時間、初回充電放電を行った。ここで、各単電池層における上限電圧は4.2Vである。その後、25℃、45℃の保存試験を、SOC(State Of Charge)100%で1週間行い、保存後の容量測定を0.5Cの充放電測定によって行った。評価結果を表2に示す。
【0149】
【表2】

【0150】
評価結果から比較例の容量維持率に比べ実施例の容量維持率が高いことが確認できる。容量維持率が高い方が容量の損失が小さく、電解液の漏れをより防止できると言えるため、評価結果より、折込部、およびスペーサがシール性向上に有効であることが分かる。
【0151】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。例えば、双極型二次電池は、エネルギー密度、および出力密度の点から、リチウムイオン二次電池であることが好ましいが、これに限定されない。双極型二次電池は、例えば、ナトリウムイオン二次電池、カリウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池であってもよい。
【0152】
また、双極型二次電池は、第2実施形態の折込部231、および第5実施形態の折込部533を有してもよい。
【符号の説明】
【0153】
100 双極型リチウムイオン二次電池(双極型二次電池に相当する。)、
101、103 集電板、
102 発電要素、
104 正極タブ、
106 負極タブ、
108 外装材、
110、210、310、410、510、610、710 双極型電極、
111、211、311、411、511、611、711 集電体、
112、212、312、412、512、612、712 負極活物質層、
113、213、313、413、513、613、713 正極活物質層、
122、222、322、422、522、622、722 第1のシール部材、
222A、522A 第1のシール部材、
123、223、323、423、523、623、723 第1のはみ出し部、
120、220、320、420、520、620、720 第2のシール部材、
220A、520A 第2のシール部材、
121、221、321、421、521、621、721 第2のはみ出し部、
140 セパレータ、
240、340、440 セパレータ(請求項2のセパレータに相当する。)
540、640、740 セパレータ(請求項3のセパレータに相当する。)
130、430、730 折込部(請求項1の折込部に相当する。)、
231、331、431 折込部(請求項2の折込部に相当する。)、
533、633、733 折込部(請求項3の折込部に相当する。)、
332、632 スペーサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の一方の面に正極活物質層が形成され他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、セパレータを介して複数積層した双極型二次電池であって、
前記一方の面に前記正極活物質層を囲んで配置される第1のシール部材と、
前記他方の面に前記負極活物質層を囲んで配置される第2のシール部材と、
前記第1のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第1のはみ出し部と、
前記第2のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第2のはみ出し部と、
前記第1のはみ出し部および前記第2のはみ出し部が前記集電体の端部に向かって折込まれてなる折込部と、を有する双極型二次電池。
【請求項2】
集電体の一方の面に正極活物質層が形成され他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、セパレータを介して複数積層した双極型二次電池であって、
前記一方の面に前記正極活物質層を囲んで配置される第1のシール部材と、
前記他方の面に前記負極活物質層を囲んで配置される第2のシール部材と、
前記第1のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第1のはみ出し部と、
前記第2のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第2のはみ出し部と、
前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間からはみ出す一の前記セパレータの端部が前記第1のはみ出し部と前記第2のはみ出し部との間に折込まれてなる折込部と、を有する双極型二次電池。
【請求項3】
集電体の一方の面に正極活物質層が形成され他方の面に負極活物質層が形成された双極型電極を、セパレータを介して複数積層した双極型二次電池であって、
前記一方の面に前記正極活物質層を囲んで配置される第1のシール部材と、
前記他方の面に前記負極活物質層を囲んで配置される第2のシール部材と、
前記第1のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第1のはみ出し部と、
前記第2のシール部材に設けられ前記集電体の端部からはみ出す第2のはみ出し部と、
前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間からはみ出す一の前記セパレータの端部、および前記第1のシール部材と前記第2のシール部材との間からはみ出す他の前記セパレータの端部が前記第1のはみ出し部と前記第2のはみ出し部との間に折込まれてなる折込部と、を有する双極型二次電池。
【請求項4】
請求項1に記載の折込部、請求項2に記載の折込部、および請求項3に記載の折込部のうちの少なくともいずれか2つを有する双極型二次電池。
【請求項5】
前記第1のはみ出し部と前記第2のはみ出し部との間に配置されたスペーサを有する請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の双極型二次電池。
【請求項6】
前記第1のシール部材の厚みと前記第2のシール部材の厚みとの合計、および/または前記スペーサの厚さは、前記集電体の厚み以上である請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の双極型二次電池。
【請求項7】
前記集電体は、金属材料、または導電性を有する樹脂を含む請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の双極型二次電池。
【請求項8】
前記正極活物質層は、リチウム−遷移金属酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、またはリチウム遷移金属硫酸化合物を含む請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の双極型二次電池。
【請求項9】
前記負極活物質層は、炭素材料、リチウム−遷移金属化合物、金属材料、またはリチウム−金属合金材料を含む請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の双極型二次電池。
【請求項10】
液体電解質またはゲル電解質を含む請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の双極型二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−71044(P2011−71044A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222947(P2009−222947)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】