説明

反射または透過赤外光による微細構造の検査装置または検査方法

従来使用していた検査装置および検査方法では、反射された可視光または紫外光を使用し、それによりたとえばウェハの微細構造サンプルを解析している。本発明の目的は、この装置の可能な用途を増やすことにあり、すなわち構造的な詳細を明らかにすることである。たとえば、塗装材料や中間材料が不透明であることから可視光または紫外光で見ることができないように両面を塗膜化されたウェハなどが対象となる。上述の目的は、反射光として赤外光を使用する一方で、光を透過させることにより実現される。すなわち、赤外線画像のコントラストを大きく改善し、サンプルを、反射または透過赤外光および反射可視光で同時に検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査のためにサンプルをおくことができるサンプル支持部を有する微細構造サンプルを、光学的に検査する装置に関する。また本発明は、検査のためにサンプルがおかれるサンプル支持部が備えられ、特に顕微鏡などのサンプルを観察する観察手段が備えられた場合の、微細構造サンプルを光学的に検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にあるウェハ、マスク、または微細構造のデバイスなどの、微細構造サンプルの表面を検査するためには、光学装置が特に適している。たとえば特許文献1から分かるように、表面の検査は、ウェハの表面から逆反射された光線を評価することによって実行することができる。
【0003】
ウェハのサンプル表面にある様々な構造を画像検出によって認識することができるような光学機器が知られている。ここでサンプルは通常、明視野で照射され、マトリックス型または列型などのカメラで、サンプル化される。
【0004】
ウェハ表面の検査方法は、特許文献2からも知ることができる。この方法では、ウェハを線状にサンプルするように照射部を選択する。照射線は、ウェハの表面を横切ってスキャンされ、それにより2次元画像を作成することができる。
【0005】
特許文献3ではさらに、ウェハの検査方法および装置が開示されている。ここでは、ウェハ上に照射線を放射することにより、ウェハのエッジに入射させる。したがってウェハのエッジを検出することができ、そして画像処理ユニットで処理することができる。ウェハ上の欠陥は、得られたエッジ画像を事前に格納しておいた参照画像と比較することにより検出することができる。
【0006】
【特許文献1】欧州特許公報EP455857号
【特許文献2】米国特許公報US6587193号
【特許文献3】米国特許公開公報US2003/0202178
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術のウェハ検査システムは、可視または紫外線領域で入射光を検査するように特別に設計されており、通常は微細構造サンプルの検査に適していない。このサンプルとしては、たとえば両面が塗膜化され、複数のウェハを積み重ねた、カプセル化または埋め込み型オブジェクトまたはウェハがある。
【0008】
したがって、この発明の目的は、従来のサンプル検査技術をさらに進めることにより、両面が塗膜化され、複数のウェハを積み重ねた、カプセル化または埋め込み型オブジェクトまたはウェハの検査に適したものにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、請求項1に記載の微細構造サンプルの検査装置、請求項9に記載の微細構造サンプルの検査方法により達成することができる。本発明によれば、検査装置、特に顕微鏡が提案されている。これによると、入射光および透過光により、同時または別々にサンプルを赤外線スペクトル領域で照射できるようにしている。そして、可視の入射光照射を実現している。高精度の画像を実現するために、好ましい実施の形態では、入射光照射部は、入射光源と、光スペクトル領域の出力をフィルタするフィルタ手段とを含む。
【0010】
透過光装置のための照射手段として、赤外線スペクトル領域(IR)からの成分を放射する光源を使用することができる。波長選択のための交換可能なフィルタとともに、所望の波長を選択することができる。光は、好ましくは光ガイドを介してシステムに結合される。入射光と透過光による、こうした様々な照射を介して、赤外線照射による利点を可視入射光照射による利点と組み合わせることができる。透過光モードでは、赤外光は、透過できる場所でのみ、サンプルを透過する。その結果、画像は大幅に高精度となる。赤外線による入射光照射は同時に行うことが可能であり、それにより、通常は金属層の影になって透過光モードでは撮影が不可能な物体の撮影が可能になる。組み合わせることにより、細部まで鮮やかで高精度の画像が作成される。作成された画像は、可視入射光では多くの層で透過できないことから見えなくなるような構造を有する。しかしながら同時に、通常の可視入射光画像は、方向付けに利用することができる。両方の画像、すなわち入射光および透過光の組み合わせ赤外線画像を、波長選択ビデオ二重出力を介して、赤外線特別カメラ上と通常可視カメラまたは単色CCDカメラ上に、同時に出力することができ、そしてコンピュータを介してモニタに表示することができる。こうした機能は、特に、交換可能なフィルタを入射光および透過光の照射に用いることから、光の波長が調整可能になるという点で大きく改善される。
【0011】
本装置は、切り替え可能な絞りを使用することにより、入射光および透過光照射の光線経路をさらに改善することができる。サンプル画像の検出は、調整された波長にしたがって、従来の対物およびチューブレンズで、または赤外線対物レンズを介して実行される。赤外線対物レンズとしては、サンプルの厚さにしたがって修正された特別の赤外線対物レンズ、および特別の赤外線チューブレンズがある。
【0012】
サンプル、ウェハ、マスクまたは微細構造成分を有する基板に焦点を合わせるオートフォーカスシステムを使用することにより、システム全体を自動化することができる。このことは、ウェハ製造を直線的に処理する上で特に有用である。PCを利用することにより、入射光および透過光システムの画像を組み合わせることができる。それにより、特にモニタなどの出力装置上に、共に出力することができる。
【0013】
本発明のさらなる利点および有利な形態は、添付した図面および関連する実施例中の説明部分による説明対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明にかかるウェハ検査装置10、特にウェハ28を観察する顕微鏡の構成を示しているが、ウェハ検査装置10という用語は、本発明を限定的に解釈するものではない。ウェハ検査装置10を利用することにより、基板(通常は半導体基板)上にあるウェハ、マスク、または微細構造のデバイスなど(カプセル化されたものまたはカプセル化されていないもの)の、微細構造サンプルを検査することができる。ウェハ検査装置10は、入射光照射部50を有する。また、光を直接的または間接的にウェハ28上に結合させる入射光源12を備える。このために、入射光線11が集光器14を通るようにすることができる。次に、1つまたは複数の交換可能なフィルタ16を配置することにより、照射にあたり望まれる光の波長を、光スペクトル領域からフィルタすることができる。
【0015】
さらに、切り替え可能な絞り15も提供することができ、それによりウェハ28を照射するのに望まれる部分を、入射光線11から選択する。入射光線11は、さらに、サンプル支持部26に固定された光線分割ミラー18によって、ウェハ28に向けることができる。入射光源12の光は、光ガイドを用いるなどにより、直接に結合させることができる。ウェハ28によって反射された光は、対物タレット(対物鏡筒)20に備えられた従来の可視対物レンズ22で検出される。そして、交換可能なチューブレンズ40を介して可視CCDカメラ44へと送られる。このように作成された画像データは、計算ユニットすなわちPC46で処理され、出力装置すなわちモニタ48で出力される。
【0016】
ウェハ28の後ろ側では、透過光照射部52も同時に備えられる。これにより、透過光モードでウェハをさらに照射させることができる。この透過光照射部52は、透過光源38、集光器36、フィルタ34を有する。このフィルタにより、透過光源38からの光は、ウェハの透過光照射に用いられる所望の赤外線スペクトル部分でフィルタすることができる。赤外線透過光を結合するために、好ましくは光ガイド32を、たとえば光ファイバの束の形で使用する。赤外線透過光は、中間光学系33を通過した後に、光線分割ミラー30を介してウェハ28に進めることができる。
【0017】
光線分割ミラー30とウェハ28の間に、通常は切り替え可能な絞りと組み合わせて、集光器29を配置する。赤外線透過光および入射光モードで作成されるウェハ28の画像を検出するために、特別の赤外線対物レンズ24を使用することができる。これは、対物タレット20におかれ、このために回転することで光線の経路に配置されるものである。したがって画像は、赤外線カメラ42に送ることができ、このように生成されたデータは、計算ユニットすなわちPC46に送ることができる。ここで、データは、さらに処理してモニタ48を介して出力することができる。
【0018】
ウェハ28の焦点合わせは、手動でもオートフォーカスにより自動でもすることができる。オートフォーカスを採用した場合、検査プロセス全体を自動化させることができる。図1から明らかなように、赤外線入射光および透過光による検査からのデータ、および可視透過光検査からのデータは、図示した視覚的CCDカメラおよび赤外線カメラに備えられる、特定波長選択ビデオ二重出力41に送ることができる。PC46では、2つの画像を処理することができ、それにより別々または組み合わせてモニタ48で見ることができる。2つの画像形成方法の組み合わせにより、上側にあるウェハまたは基板の内部要素を構造的に検出可能とし、可視入射光から得られるデータと組み合わせ可能とする。このようにして、ウェハまたは他の上述のサンプルの製造処理のモニタリングを、大きく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ウェハ検査装置の概要を示す。
【符号の説明】
【0020】
10 ウェハ検査装置
11 入射光線
12 入射光源
14 集光器
15 切り替え可能な絞り
16 フィルタ
18 光線分割ミラー
20 対物タレット
22 可視対物レンズ
24 赤外線対物レンズ
26 サンプル支持部
28 ウェハ
29 集光器
30 光線分割ミラー
32 光ガイド
33 中間光学系
34 フィルタ
36 集光器
38 透過光源
40 交換可能なチューブレンズ
41 特定波長選択ビデオ二重出力
42 赤外線カメラ
44 可視CCDカメラ
46 PC
48 モニタ
50 入射光照射部
52 透過光照射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを支持するサンプル支持部と、
入射光モードで前記サンプルを照射する入射光照射部と、
透過光モードで前記サンプルを照射する透過光照射部と、
を備えることを特徴とする微細構造サンプルの検査装置。
【請求項2】
前記微細構造サンプルは、ウェハ、マスク、基板上に微細構造化されたデバイスのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項3】
前記入射光照射部は、
入射光用光源と、光スペクトル領域の出力をフィルタするフィルタ手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項4】
前記透過光照射部は、
透過光用光源と、赤外スペクトル領域の出力をフィルタするフィルタ手段とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項5】
前記入射光照射部と前記透過光照射部の両方またはいずれか一方は、交換可能であることを特徴とする請求項3または4に記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項6】
光ガイドを用いて前記サンプルの下側から結合するように前記透過光照射部を配置することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項7】
前記入射光照射部と前記透過光照射部の両方またはいずれか一方は、切り替え可能な絞りを備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項8】
前記入射光照射部と前記透過光照射部の両方またはいずれか一方は、光ファイバを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査装置。
【請求項9】
検査のためにサンプルをおくサンプル支持部と、入射光モードで前記サンプルを照射する入射光照射部と、透過光モードで前記サンプルを照射する透過光照射部とを備えた微細構造サンプルの検査装置を用いた微細構造サンプルの検査方法であって、
前記透過光照射部により、透過光モードで前記サンプルを同時に照射することを特徴とする微細構造サンプルの検査方法。
【請求項10】
前記微細構造化されたサンプルは、ウェハ、マスク、基板上に微細構造化されたデバイスのいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の微細構造サンプルの検査方法。
【請求項11】
前記入射光の照射は、可視または赤外領域の波長でなされ、前記透過光の照射は、赤外領域の波長でなされることを特徴とする請求項9に記載の微細構造サンプルの検査方法。
【請求項12】
調整後の波長領域にしたがって、可視光用対物レンズおよびチューブレンズを用いるか、または赤外線対物レンズを介して、撮影を実行することを特徴とする請求項9から11のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査方法。
【請求項13】
手動またはオートフォーカスによりサンプルの焦点を合わせることを特徴とする請求項9から12のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査方法。
【請求項14】
赤外線の入射光と透過光照射のいずれかまたは両方による画像が、波長選択ビデオ二重出力を用いて赤外線カメラで撮影され、可視入射光照射の画像が、可視CCDカメラで撮影されることを特徴とする請求項9から13のいずれか1つに記載の微細構造サンプルの検査方法。
【請求項15】
赤外線の入射光と透過光照射のいずれかまたは両方による画像と、可視入射光照射による画像を、画面に表示することを特徴とする請求項14に記載の微細構造サンプルの検査方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−502929(P2008−502929A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515921(P2007−515921)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052351
【国際公開番号】WO2005/124422
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506365658)ビズテック セミコンダクター システムズ ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】