説明

反射防止積層体

【課題】ハードコート層と低屈折率層との密着性が高く、低ヘイズと低反射率と耐擦傷性のバランスに優れた反射防止積層体、この反射防止積層体を積層した反射防止機能付偏光板、及び該反射防止機能付偏光板を備える液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 透明樹脂基材上に、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層されてなり、全光線透過率が94%以上で、ヘイズ値が1%未満で、且つ耐擦傷性試験前後の全光線透過率の低下率が3%以下であり、該ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部及び無機酸化物粒子300〜800重量部を含有してなり、ハードコート層の平均表面粗さ(Ra)が30nm以下で且つハードコート層の屈折率が1.55以上である反射防止積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明樹脂基材にハードコート層及び低屈折率層が積層されてなる反射防止積層体、この反射防止積層体を積層した反射防止機能付偏光板、及び該反射防止機能付偏光板を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、光学干渉の原理を用いて反射率を低減するフィルム状の反射防止積層体がディスプレイの最表面に一般に配置される。
反射防止積層体は、一般に透明樹脂基材の上に帯電防止層、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層などの光学的機能層を積層して形成されている。
【0003】
反射防止フィルムとして種々の構成のものが知られている。例えば、特許文献1には、プラスチック基材の少なくとも片方の面にハードコート層を設け、その上に反射防止層を設けたプラスチック積層体において、該ハードコート層の表面硬度が2H以上で、表面削れ指数が1.0〜15.0で、かつハードコート層表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.02μmであることを特徴とするプラスチック積層体が開示されている。このハードコート層は、具体的には1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと、粒子と、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する高分子量モノマーおよび/またはアクリル系重合体からなる樹脂を含有し、該粒子が粉体状シリカまたはコロイダルシリカで、該粒子の表面が有機化合物とシリルオキシ基を介して処理結合されているものである。また反射防止層は無機酸化物の多層積層体からなるものである。特許文献1は、このような構成によって、反射率0.6%まで低減できると述べている。しかし反射率0.6%を下回ることができない。
【0004】
特許文献2には、透明支持体上に、透明支持体よりも低い屈折率を有する低屈折率層、および、低屈折率層と隣接する下層に密着層を有し、密着層の表面が0.001〜0.030μmの中心線平均粗さ(Ra)を有する反射防止フィルムが開示されている。この密着層は無機粒子と有機バインダーから成り、密着層中に粒子間空隙が形成されている。さらに密着層が透明支持体よりも高い屈折率を有する密着層兼高屈折率層であり、更に密着層兼高屈折率層と透明支持体の間に1μm以上の厚さを有するハードコート層が設けられている。ハードコート層の屈折率は1.57〜2.00であり、かつハードコート層中に平均粒径0.3〜20μmのマット剤粒子を有し、防眩性を有するものが好ましいを開示している。特許文献2は、このような構成によって、反射率0.4%まで低減できると開示しているが、蛍光灯の輪郭がわからない程度の防眩性を得るためには反射率は1.0%までしか低減できず、またヘイズが12%と高くなってしまう。また層構成が基材を入れて4層以上となり複雑となる為、生産性が低い。また密着性を維持して、低屈折率層、その下層に密着層、基材の順の構成では、ヘイズは0.2%と低いものの、反射率が1.7%以上と高くなり、反射防止性能、透明性の両立を満足できるものではなかった。
【0005】
特許文献3には、基板に導電性ハードコート膜と低屈折率膜を設けてなる反射防止性物品が開示されている。導電性ハードコート膜は1.62以上の屈折率を有している物が好ましいと開示している。この構成によって反射率は0.7%まで低減できたことが示されている。ただしハードコート層と低屈折率膜との密着性は充分ではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−287308号公報
【特許文献2】特開2002−311204号公報
【特許文献3】特開平11−211901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の反射防止積層体は、ハードコート層と低屈折率層との密着性を改善しようとすると反射率が高くなり、反射率と密着性とヘイズと耐擦傷性のバランスが不十分であった。そこで、本発明の課題は、ハードコート層と低屈折率層との密着性が高く、低ヘイズと低反射率と耐擦傷性のバランスに優れた反射防止積層体、この反射防止積層体を積層した反射防止機能付偏光板、及び該反射防止機能付偏光板を備える液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、透明樹脂基材上に、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層されてなり、全光線透過率が特定値以上で、且つヘイズ値が特定値未満であり、該ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂及び無機酸化物粒子を含有してなり、ハードコート層の平均表面粗さ(Ra)が特定値以下で且つハードコート層の屈折率が高い反射防止積層体が、ハードコート層と低屈折層との密着性が高く、低ヘイズと低反射率とのバランスに優れていることを見いだし、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、(1)透明樹脂基材上に、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層されてなり、全光線透過率が94%以上で、ヘイズ値が1%未満で、且つ耐擦傷性試験前後の全光透過率の変化率が3%以下であり、
該ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部及び無機酸化物粒子400〜1200重量部を含有してなり、ハードコート層の平均表面粗さ(Ra)が35nm以下で且つハードコート層の屈折率が1.55以上である反射防止積層体である。
【0010】
また本発明の好適な反射防止積層体の態様は、
(2)前記ハードコート層が、さらにフッ素化アルキル基含有オリゴマーを活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して0.2〜4重量部含有している。
(3)前記透明樹脂基材が、脂環式構造含有重合体樹脂、セルロース系重合体樹脂及びポリエステル系重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる。
(4)前記金属酸化粒子が、五酸化アンチモン、又はリンがドープされた酸化スズである。
(5)前記低屈折率層がエアロゲルからなり、屈折率1.37以下である。
別の本発明は、(6)前記の反射防止積層体及び偏光子が積層されてなる反射防止機能付偏光板、及び、(7)前記反射防止機能付偏光板を備える液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
ハードコート層を構成する活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して、無機酸化物粒子400〜800重量部を含有させると、平均表面粗さが大きいハードコート層が得られ、低屈折率層との密着性が低下し、積層体の全光線透過率が低下し、ヘイズが高くなってしまう。ところが、無機酸化物粒子をフッ素化アルキル基含有オリゴマー等で分散させて、平均表面粗さ(Ra)を30nm以下にすることでアンカー効果が有効に働きハードコート層と低屈折率層との密着性が高くなり、またハードコート層の屈折率を1.55以上にしたことで、低ヘイズと低反射率とのバランスが改善される。
このような反射防止積層体を偏光子と積層した反射防止機能付き偏光板を得、この偏光板を液晶表示装置に備えさせると、強い外光の有る場所においても表示画面の視認性、コントラストが良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の反射防止積層体は、透明樹脂基材上に、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層されてなるものである。
透明樹脂基材は、透明樹脂からなるものである。その形状は特に限定されないが、通常、フィルムまたはシート状である。
透明樹脂は、1mm厚の成形体にしたときの全光線透過率が80%以上、好ましくは90%以上の樹脂であれば特に制限なく使用することができる。
透明樹脂の具体例としては、脂環式構造を有する重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィン系重合体、セルロース系重合体樹脂、ポリカーボネート系重合体、ポリエステル系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリメタクリレート系重合体などを挙げることができる。
これらの中でも、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物等の脂環式構造含有重合体樹脂;セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系重合体樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系重合体樹脂;が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性等の観点から、ノルボルネン系重合体、トリアセチルセルロース及びポリエチレンテレフタレートがより好ましく、ノルボルネン系重合体が特に好ましい。これらは2種を組み合わせてあるいは単独で使用できる。ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と他の単量体との開環重合体及びこれら開環重合体の水素添加物;ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と他の単量体との付加重合体及びこれら付加重合体の水素添加物などを挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物は、透明性に優れるので、特に好ましい。
【0013】
透明樹脂は、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10000〜300000、好ましくは15000〜250000、より好ましくは20000〜200000の範囲である。この範囲の重量平均分子量を持つ透明樹脂は、基材の機械的強度及び成形加工性を高度にバランスするので好適である。
透明樹脂は、その分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))によって特に制限されないが、通常1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1.1〜4の範囲である。このような範囲に分子量分布を調整することによって、基材の機械的強度と成形加工性が良好にバランスする。
【0014】
また、透明樹脂には、所望により各種配合剤を添加することができる。配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いられるものであれば格別な制限はなく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、金属錯体系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤;染料や顔料等の着色剤;脂肪族アルコールのエステル、多価アルコールのエステル、脂肪酸アミド、無機粒子等の滑剤;トリエステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸-塩基酸エステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤等の可塑剤;多価アルコールの脂肪酸エステル等の帯電防止剤;等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いる透明樹脂基材は、上記透明樹脂を公知の成形方法によりフィルムまたはシート状に形成することにより得ることができる。
成形方法としては、フィルム中の揮発性成分の含有量や厚さむらを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。溶融押出成形法としては、Tダイ等のダイスを用いる方法やインフレーション法等が挙げられるが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
【0016】
また、本発明に用いる透明樹脂基材としては、片面又は両面に表面改質処理を施したものを使用することができる。表面改質処理を行うことにより、ハードコート層や偏光子との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理等が挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理等が挙げられる。処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸等の酸化剤水溶液中に、浸漬し、その後、水で洗浄する方法が挙げられる。
【0017】
透明樹脂基材の厚みは、通常5〜300μm、より好ましくは40〜200μmである。さらに好ましくは、50〜100μmである。基材の厚みが上記範囲にあると、耐久性、機械的強度、耐擦傷性及び光学性能に優れた偏光板が得られる。
【0018】
本発明の反射防止積層体を構成するハードコート層は、表面硬度の高い層である。具体的には、JIS K5400に規定されている鉛筆硬度試験(500g荷重)で「HB」以上の硬度、好ましくは「H」以上の硬度を持つ層である。
ハードコート層はその屈折率が1.55以上、好ましくは1.6〜2.3である。屈折率を1.55以上にすることによって、外光の映りこみ等が防止され、耐擦傷性や防汚性に優れた偏光板等とすることができる。なお、屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定し求めることができる。
ハードコート層は、その平均表面粗さ(Ra)が30nm以下、好ましくは5〜25nm、特に好ましくは10〜20nmである。平均表面粗さをこの範囲にすると、アンカー効果等によって、ハードコート層と低屈折率層との密着性が高くなり、全光線透過率が特定値以上で、且つヘイズ値が特定値未満であり、高透明性と低ヘイズと低反射率のバランスが良くなる。また、ハードコート層の平均厚みは特に限定されないが、通常0.5〜30μm、好ましくは3〜15μmである。平均表面粗さ(Ra)は、非接触式三次元構造解析顕微鏡(zygo NewView5032:ザイゴ社製)を用い、フィルムの凹凸のある面を走査させて干渉縞を観測することにより測定できる。
【0019】
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂及び無機酸化物粒子を含有しており、さらに好適にはフッ素化アルキル基含有オリゴマーを含有している。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、活性エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指す。通常は紫外線又は電子線を用いる。
【0020】
前記分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類、もしくはカチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0021】
前記分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するモノマーの例としては、スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸-2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸-2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸-2-(N,N-ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸-2-(N,N-ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;
【0022】
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシアクリレート、2-ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等の多官能性アクリレート類; トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、グリシジルフェニルエーテル、グリシジルエチルエーテル、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;が挙げられる。本発明においては、これらのプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーを一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
これらのプレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマーを重合して硬化させるために、光重合開始剤や光重合促進剤が配合されている。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合性開始剤;芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等のカチオン重合性開始剤;等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の量は、プレポリマー、オリゴマー及び/またはモノマー100重量部に対し、通常、0.1〜10重量部である。
【0024】
本発明で用いる無機酸化物粒子は、ハードコート層の導電性、屈折率などを調整することのできる粒子である。
屈折率を高くするための無機酸化物粒子としては、屈折率が1.6以上、特に1.6〜2.3である無機酸化物粒子が好ましい。
屈折率の高い無機酸化物粒子としては、例えば、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化セリウム、五酸化アンチモン、二酸化チタン、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、アンチモンをドープした酸化スズ(ATO)、リンをドープした酸化錫(PTO)、亜鉛をドープした酸化インジウム(IZO)、アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等が挙げられる。これらの中でも特に、五酸化アンチモン、又はリンをドープした酸化スズは、屈折率が高く、導電性と透明性のバランスに優れるので、屈折率を調節するための成分として適している。これらは、一種単独又は組合せて用いても良い。
【0025】
無機酸化物粒子は、ハードコート層の透明性を低下させないために、その一次粒子径が1nm〜100nm、好ましくは1nm〜50nmであるのが好ましい。
無機酸化物粒子の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真から目視計測してもよいし、動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により機械計測してもよい。
【0026】
無機酸化物粒子は、その表面の少なくとも一部がアニオン性の極性基を有する有機化合物又は有機金属化合物により被覆されていることが好ましい。被覆方法は特に限定されず、例えば、後記のアニオン性の極性基を有する有機化合物及び/又は有機金属化合物を有機溶剤中に溶解させておき、この溶液中に無機酸化物粒子を分散させた後に有機溶剤を完全に蒸発除去する方法が挙げられる。
【0027】
前記アニオン性の極性基を有する有機化合物としては、カルボキシル基、リン酸基、又は、水酸基のようなアニオン性の極性基を有するものを用いることができる。例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレンオキサイド、変性リン酸トリアクリレート、エピクロロヒドリン変性グリセロールトリアクリレート等が挙げられる。
【0028】
また、アニオン性の極性基を有する有機金属化合物としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;KR-TTS、KR-46B、KR-55、KR-41B、KR-38S、KR-138S、KR-238S、338X、KR-44、KR-9SA、KR-ET(以上、味の素ファインテクノ(株)製のチタネートカップリング剤)、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn-プロポキシチタン、テトラn-ブトキシチタン、テトラsec-ブトキシチタン、テトラtert-ブトキシチタン等のチタネートカップリング剤;等が挙げられる。
【0029】
無機酸化物粒子は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。無機酸化物粒子を組み合わせることにより、複数の機能をバランスよく備えたハードコート層を形成することができる。例えば、屈折率は極めて大きいが導電性の小さいルチル型酸化チタン粒子と、導電性は極めて大きいが屈折率はルチル型酸化チタンよりも小さい導電性無機酸化物を組み合わせて、所定の屈折率と良好な帯電防止性能を兼ね備えたハードコート層を形成することができる。また、無機酸化物粒子の量は、活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、300〜800重量部、好ましくは350〜700重量部、より好ましくは、400〜600重量部である。
【0030】
また、前記無機酸化物粒子をハードコート層に均一に分散させるために、フッ素化アルキル基含有オリゴマーをハードコート層に含有させることが好ましい。
【0031】
フッ素化アルキル基含有オリゴマーは、フッ素系界面活性剤の一種であり、好ましくはノニオン性のものが好ましい。
フッ素化アルキル基含有オリゴマーは、オリゴマーにフッ素化アルキル基を導入することによって得られ、その導入方法は特に限定されない。例えば,非フッ素系重合体をプラズマ処理する方法,反応性官能基を有する非フッ素系重合体にそれと反応する官能基を有するフッ素化アルキル基含有化合物を反応させる方法,フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を重合する方法,重合体を合成する際に開始剤及び/または連鎖移動剤にフッ素化アルキル基を含有する化合物を用いる方法、或いはこのような方法を組み合わせた方法が挙げられるが,フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体を重合する方法が好適である。
【0032】
フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)は、分子中にエチレン性不飽和基とフッ素化アルキル基を有する化合物である。原料の入手性、活性エネルギー硬化型樹脂等との相溶性、そのような相溶性を制御することの容易性、或いは重合反応性の観点からアクリルエステル基およびその類縁基を含有するものが適しており、具体的には下記一般式(1)で表されるフッ素化(メタ)アクリレートが好ましい。尚、(メタ)アクリレートは、メタクリレート、アクリレート、フルオロアクリレート、塩素化アクリレートを総称するものである。
【化1】

【0033】
[式中、Rf は炭素数1〜20のパ−フロロアルキル基、または部分フッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐状、または主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば -(OCF2CF2)2CF(CF3)2 等でも良く、R1 はH,CH3, Cl, またはFであり、Xは2価の連結基である。
【0034】
本発明に用いるフッ素化アルキル基含有オリゴマーは、フッ素化アルキル基含有エチレン性不飽和単量体(A)以外に他の単量体を共重合したものであってもよい。
共重合させる単量体として、シリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(B)を含有することが好ましい。
【0035】
シリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(B)は、1分子中にシリコーン鎖とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はなく、具体的には、一般式(2)で示される化合物である。
【0036】
【化2】

【0037】
[式中、R1はH、Cl、F、CH3を示し、R2、R3は炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、若しくは一般式(3)で表される官能基を示し、
【0038】
【化3】

【0039】
(式中、R7、R8、R9は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を示す)、R4、R5、R6は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基を示し、Xは-CH2CH(OH)CH2OCO-、-(CH2)nNHCH2CH(OH)CH20CO-、-(CH2)nOCO-、-(CH2)n-O-(CH2)mOCO-、-OCH2CH(OH)CH2OCO-、-(CH2)nC(CF3)2OCO-から選ばれる2価の連結基を示し、qは0〜3の整数、m、nは2〜6の整数、pは0または1を示す。]
【0040】
さらに共重合可能な単量体として、ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体(C)及び/又は1分子中に2個以上の不飽和結合を有するエチレン性不飽和単量体(D)を含有させることができる。
【0041】
ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体(C)は、1分子中にポリオキシアルキレン基とエチレン性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はないが、使用する活性エネルギー硬化型樹脂、溶媒により適宜選択される。
オキシアルキレン基としてはエチレンオキシド基及び/またはプロピレンオキシド基が好適である。オキシアルキレン基の重合度は1〜50、好ましくは5〜30が好ましい。
エチレン性不飽和基としては、原料の入手性、相溶性、そのような相溶性を制御することの容易性、重合反応性等の観点から(メタ)アクリルエステル基、およびその類縁基を含有するものが適している。
【0042】
具体的化合物としては、重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル(以後この表現はアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を総称するものとする。)、若しくは末端が炭素数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体(C)は、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0043】
エチレン性不飽和単量体(D)は、1分子中に2個以上の不飽和結合を有するものであれば特に制限はないが、エチレン性不飽和基としては重合反応性の観点からアクリルエステル基およびその類縁基を含有するものが適している。具体的には、重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのジ(メタ)アクリル酸エステル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのEO変性物、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのEO変性物、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレートが挙げられる。1分子中に2個以上の不飽和結合を有するエチレン性不飽和単量体(D)は、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を組み合わせて用いても構わない。
【0044】
前記単量体(A)、(B)、(C)、及び(D)の割合は、活性エネルギー硬化型樹脂や無機酸化物粒子の種類に応じて、また塗工方法等によっても適宜選択できるが、通常、重量基準で(A)/(B)/(C)/(D)=5〜50/0〜40/0〜90/0〜30の範囲にあることが好ましく、更に好ましい範囲としては(A)/(B)/(C)/(D)=10〜40/5〜30/30〜70/1〜10であり、特に好ましい範囲としては(A)/(B)/(C)/(D)=10〜25/5〜20/50〜70/2〜7である。
【0045】
本発明に用いるフッ素化アルキル基含有オリゴマーは、前記単量体(A)、(B)、(C)、(D)以外のエチレン性不飽和単量体(E)を共重合成分として導入することができる。エチレン性不飽和単量体(E)としては、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、即ちアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体として、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸の、炭素数が3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル、ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレートなどの橋状結合含有モノマー、アルキル炭素数が1〜18のアルキルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル、各種マクロモノマーが挙げられる。更にシランカップング基含有単量体、そして分子中に極性基、とりわけアニオン性基や水酸基を含有するモノマ−、等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体(E)は、1種類だけを用いても構わないし、2種類以上を組み合わせて用いても構わない。
単量体(E) 割合は、単量体(A)、(B)、(C)及び(D)の合計量に対して、重量基準で[(A)+(B)+(C)+(D)]/(E)=20/80〜100/0の範囲内であることが好ましく、更に好ましい範囲としては[(A)+(B)+(C)+(D)]/(E)=50/50〜97/3、特に好ましい範囲としては[(A)+(B)+(C)+(D)]/(E)=70/30〜95/5である。
【0046】
本発明に用いるフッ素化アルキル基含有オリゴマーはその製造方法によって何ら制限はなく、公知の方法、即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、更にエマルジョン重合法等によって得ることができる。
本発明に用いるフッ素化アルキル基含有オリゴマーは、ポリスチレン換算の数平均分子量が通常800〜200,000、好ましくは1,000〜100,000、特に好ましくは2,000〜20,000である。分子量が上記範囲内にあるオリゴマーを用いると無機酸化物粒子の分散性が良くなり、本発明の反射防止積層体を構成する低表面粗さのハードコート層を容易に得ることができる。
フッ素化アルキル基含有オリゴマーは市販されたものを用いることもできる。市販品としては、大日本インキ化学工業社製のメガファックF470、F471、F472、F472SF、F474、F475、F476−20、F477、F478、F479、F172D、F178K、F−178RM、ESM−1、R−08、R−30、R−60PM−20、BL−20、MCF−350SF、MCF−350−5などが挙げられる。
【0047】
フッ素化アルキル基含有オリゴマーの量は、活性エネルギー硬化型樹脂100重量部に対して0.2〜4重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。フッ素化アルキル基含有オリゴマーの量が少ないと、無機酸化物粒子の分散性が改善効果が小さくなり、本発明の反射防止積層体を構成する低表面粗さのハードコート層を容易に得憎くなることがある。フッ素化アルキル基含有オリゴマーの量が多すぎると、ハードコート層の硬度が低くなったり、透明性が低下したりすることがある。
【0048】
本発明を構成するハードコート層には、さらに有機反応性ケイ素化合物を含んでいてもよい。有機反応性ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等の、式:RmSi(OR’)n(式中、R及びR’はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基を表し、m、nはそれぞれ独立して、m+n=4の関係を満たす正整数である。)で表せる有機ケイ素化合物;
【0049】
3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N-3-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-3-アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(3-メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のシランカップリング剤;
【0050】
片末端ビニル基置換ポリシラン、両末端ビニル基置換ポリシラン、片末端ビニル基置換ポリシロキサン、両末端ビニル基置換ポリシロキサン、又はこれらの化合物を反応させて得られるビニル基置換ポリシラン、もしくはビニル基置換ポリシロキサン等の活性エネルギー線硬化性ケイ素化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等のその他の有機ケイ素化合物;等が挙げられる。
【0051】
ハードコート層は、通常、活性エネルギー線硬化型樹脂、無機酸化物粒子及び必要に応じて配合されるフッ素化アルキル基含有オリゴマー等を溶解または分散させた液を、前記基材上に塗工し、乾燥して塗膜を得、次いで、活性エネルギー線を照射して、硬化させることにより得ることができる。塗工法としては、ワイヤーバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射強度及び照射時間は特に限定されず、用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に応じて適宜、照射強度、照射時間などの照射条件を設定することができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂等を溶解または分散させる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジアセトングリコール等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
【0052】
本発明の反射防止積層体を構成する低屈折率層は、ハードコート層よりも屈折率が低い層である。低屈折率層の屈折率は、1.37以下であることが好ましく、1.25〜1.35であることがさらに好ましく、1.30〜1.34であることが特に好ましい。上記好ましい条件であることにより、視認性と耐擦傷性、強度のバランスに優れた偏光板等を得ることができる。
【0053】
低屈折率層を形成する材料は、屈折率が1.37以下の層を構成する材料が好ましい。特に、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
エアロゲルは、マトリックス中に微小な空孔が分散した透明多孔質体である。空孔の大きさは大部分が200nm以下であり、空孔の占有率は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
微小な空孔が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
【0054】
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、超臨界乾燥することによって製造することができる。この超臨界乾燥は、例えば二酸化炭素やアルコールなどの乾燥液をゲル状化合物の溶媒の全部又は一部と置換し、該乾燥液を超臨界状態にし、次いで超臨界状態から気相に変化した乾燥液(気体)を排出することによって行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。
【0055】
ここで、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されているように、前記のゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。この疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
【0056】
この疎水化処理は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、あるいは超臨界乾燥中に行うことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって行うものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤溶液にゲル状化合物を浸漬し、混合するなどしてゲル状化合物内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱する方法があげられる。
【0057】
シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
シリカエアロゲルからなる低屈折率層の、形成方法は特に制限されず、例えば、ハードコート層の上に前記ゲル状化合物を公知の塗工方法により塗工して、前記の超臨界乾燥を行って形成する方法が挙げられる。また、超臨界乾燥前又は超臨界乾燥中に疎水化処理を行ってもよい。
【0058】
エアロゲルの別の態様である、中空粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、粒子の内部に空隙を持つ中空粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
バインダー樹脂としては中空粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂等;紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂;またはアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物等が挙げられる。
これらの中でも粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物が好ましい。
【0059】
前記アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物は、下記(a)〜(c)からなる群から選ばれる1種以上の化合物から形成されたものであって、分子中に、-(O-Si)-O-(式中、mは自然数を表す。)結合を有するものである。
(a)一般式(4):SiXで表される化合物。
(b)前記一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種の部分加水分解生成物。
(c)前記一般式(4)で表される化合物の少なくとも1種の完全加水分解生成物。
【0060】
但し一般式(4)において、Xは、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;置換基を有していてもよい一価の炭化水素基;酸素原子;酢酸根、硝酸根などの有機酸根;アセチルアセトナートなどの3-ジケトナート基;硝酸根、硫酸根などの無機酸根;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基などのアルコキシ基;または水酸基を表す。
【0061】
置換基を有していてもよい一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;フェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基などの置換基を有していてもよいアリール基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基などのハロアルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリフルオロプロピル基、トリデカフルオロオクチル基などのパーフルオロアルキル基;3-メタクリロキシプロピル基などのアルケニルカルボニルオキシアルキル基;3-グリシドキシプロピル基、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル基などのエポキシ基を有するアルキル基;3−メルカプトプロピル基などのメルカプト基を有するアルキル基;3-アミノプロピル基などのアミノ基を有するアルキル基;などを例示することができる。これらの中でも、合成の容易性、入手容易性、低反射特性から、炭素数1〜4のアルキル基、パーフルオロアルキル基、フェニル基が好ましい。
これら(a)の化合物の中でも、一般式(5):RaSiY4−a〔式中、Rは置換基を有していてもよい一価の炭化水素基を表し、aは0〜2の整数を表し、aが2のとき、Rは同一であっても相異なっていてもよい。Yは加水分解性基を表し、Yは同一であっても相異なっていてもよい。〕で表されるケイ素化合物が好ましい。
【0062】
前記式(5)においてYは加水分解性基を表す。ここで、加水分解性基は、所望により酸または塩基触媒の存在下に加水分解して、-(O-Si)-O-結合を生じせしめる基をいう。
加水分解性基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアシルオキシ基;オキシム基(-O-N=C-R'(R''))、エノキシ基(-O-C(R')=C(R'')R''')、アミノ基、アミノキシ基(-O-N(R')R'')、アミド基(-N(R’)-C(=O)-R'')等が挙げられる。これらの基において、R'、R''、R'''は、それぞれ独立して水素原子又は一価の炭化水素基を表す。これらの中でも、Yとしては、入手容易性などからアルコキシ基が好ましい。
【0063】
前記式(5)で表されるケイ素化合物としては、式(5)中、aが0〜2の整数であるケイ素化合物が好ましい。その具体例としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン類、オキシムシラン類、エノキシシラン類、アミノシラン類、アミノキシシラン類、アミドシラン類等が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さからアルコキシシラン類がより好ましい。
【0064】
前記式(5)中、aが0であるテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を例示でき、aが1であるオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を例示できる。また、aが2であるジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等を例示できる。
【0065】
前記式(4)で表される化合物の分子量は特に制限されないが、40〜300であるのが好ましく、100〜200であるのがより好ましい。
【0066】
前記(b)の式(4)で表される化合物の少なくとも1種の部分加水分解生成物(以下、「化合物(3)」という。)、および(c)の式(4)で表される化合物の少なくとも1種の完全加水分解生成物(以下、「化合物(4)」という。)は、前記式(4)で表される化合物の1種またはそれ以上を、完全又は部分的に加水分解、縮合させることによって得ることができる。
【0067】
化合物(3)および化合物(4)は、例えば、Si(Or)(rは1価の炭化水素基を表す。)で表される金属テトラアルコキシドを、モル比[HO]/[Or]が1以上、1〜5、好ましくは1〜3となる量の水の存在下、加水分解して得ることができる。加水分解は、5〜100℃の温度で、2〜100時間、全容を撹拌することにより行うことができる。
【0068】
前記式(4)で表される化合物を加水分解する場合、必要に応じて触媒を使用してよい。使用する触媒としては、特に限定されるものではないが、得られる部分加水分解物及び/あるいは完全加水分解物が2次元架橋構造になりやすく、その縮合化合物が多孔質化しやすい点、および加水分解に要する時間を短縮する点から、酸触媒が好ましい。用いる酸触媒としては、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸;塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸;酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー;を挙げることができる。これらの酸触媒は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記酸触媒の代わりに、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液、アンモニア水、アミン類の水溶液等の塩基触媒を用いてもよい。
【0069】
前記化合物(3)および化合物(4)の分子量は特に制限されないが、通常、その重量平均分子量が200〜5000の範囲である。
【0070】
中空粒子は無機化合物の粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空孔が形成された無機中空粒子が好ましく、シリカ系中空粒子の使用が特に好ましい。
無機化合物としては、無機酸化物が一般的である。無機酸化物としては、SiO、Al、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO等の1種又は2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO-Al、TiO-ZrO、In-SnO、Sb-SnOを例示することができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
無機中空粒子としては、(a)無機酸化物単一層、(b)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(c)上記(a)と(b)との二重層を包含するものを用いることができる。
【0072】
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空孔が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化させたり、さらには、内部の空孔を密封した無機中空粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、屈折率が低くなるとともに、有機溶媒への分散性もよくなり、さらに防汚性が付与されるので好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0073】
外殻の厚みは1〜50nm、特に5〜20nmの範囲であるのが好ましい。外殻の厚みが1nm未満であると、無機中空粒子が所定の粒子形状を保持できない場合がある。逆に、外殻の厚みが50nmを超えると、無機中空粒子中の空孔が小さく、その結果、空孔の割合が減少して屈折率の低下が不十分であるおそれがある。
【0074】
上述のように第1無機酸化物被覆層および第2無機酸化物被覆層を外殻として設ける場合、これら層の厚みの合計が、1〜50nmの範囲となるようにすればよい。特に、緻密化された外殻の場合、第2無機酸化物被覆層の厚みは20〜40nmの範囲が好適である。
また、空孔には無機中空粒子を調製するときに使用した溶媒及び/又は乾燥時に浸入する気体が存在してもよい
【0075】
無機中空粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、低屈折率になる効果が小さくなり易い、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなり易い。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
【0076】
本発明に使用できる無機中空粒子は、例えば特開2001-233611号公報に詳細に記載された方法に基づいて製造することができ、また一般に市販されている無機中空粒子を用いることもできる。
【0077】
無機中空粒子の配合量は、特に制限されないが、低屈折率層全体に対して、10〜30重量%であることが好ましい。無機中空粒子の配合量がこの範囲であるときに、視認性と耐擦傷性に優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
【0078】
低屈折率層が中空粒子をマトリックス中に分散させた多孔質体である場合、その形成方法は特に制限されず、例えば、ハードコート層の上に中空粒子とバインダー樹脂とを含有してなる塗工液を公知の塗工方法により塗工し、必要に応じ乾燥・加熱処理を施す方法が挙げられる。塗工法としては、ワイヤーバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法等が挙げられる。必要に応じて行われる加熱の温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜150℃である。
【0079】
本発明において、低屈折率層の平均厚さは、10〜1000nm、好ましくは20〜500nmであり、さらに好ましくは、30〜300nm、もっとも好ましくは50〜150nmである。平均厚さをこの範囲にすることによって広い波長帯域において、反射防止効果、透明性、耐擦傷性のバランスに優れる偏光板等が得られる。
【0080】
本発明の反射防止積層体は、低屈折率層の防汚性を高めるために、低屈折率層上に防汚層がさらに形成されたものであっても良い。
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。
具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;CVD等の化学的気相成長法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
【0081】
本発明の反射防止積層体は、全光線透過率が94%以上、好ましくは95%以上である。そして本発明の好適な反射防止積層体は、スチールウール#0000に荷重0.025MPaをかけた状態で、積層体表面を10往復させて擦る前後の全光線透過率の低下が3%以内であり、好ましくは、2%以内、より好ましくは。1%以内である。全光線透過率は、日本電色工業(株)社製、「濁度計NDH2000」を用いてJIS K7361-1(1997)に準拠して測定する。同様の測定を面内の異なる任意の場所5箇所で5回測定し、それらの算術平均値を全光線透過率の値として算出する。全光線透過率の低下は次式より求める。
ΔR=(Rc−Rd)/Rc×100 (%)
Rcはスチールウールで擦る前の全光線透過率、Rdはスチールウールで擦った後の全光線透過率を表す。
【0082】
また本発明の反射防止積層体はヘイズ値が1%未満、好ましくは0.8%未満、より好ましくは0.6%未満である。ヘイズ値を1%未満にすることにより、液晶表示装置に組み込んだときに、光の透過性がよくなり、画像が鮮明になる。ヘイズ値は、JIS K7136(2000)に準拠して、日本電色工業社製「濁度計NDH2000」を用いて測定する。測定を面内の異なる場所5箇所で5回づつ測定し、その算術平均値をヘイズ値とする。
【0083】
本発明の反射防止積層体は、入射角5°、波長550nmの光の反射率が、好ましくは0.7%以下であり、特に好ましくは0.6%以下である。反射率が上記の範囲にあることにより、外部光の映りこみ及びギラツキがなく、視認性に優れる偏光板とすることができる。反射率は、分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計V−570、日本分光社製)を用い、入射角5°にて波長550nmの反射率、430〜700nmにおける最大反射率を求めた。
【0084】
本発明の反射防止積層体は、例えば、携帯電話、デジタル情報端末、ポケットベル(登録商標)、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネル等に用いられている偏光板の保護フィルムとして有用である。
【0085】
本発明の反射防止機能付偏光板は、前記反射防止積層体の基材側に、偏光子を積層してなることを特徴とする。
【0086】
偏光子は、偏光機能を有するものであれば、特に限定はされない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系やポリエン系の偏光子が挙げられる。偏光子はその製造方法によって特に限定されない。PVA系の偏光子を製造する方法としては、PVA系フィルムにヨウ素イオンを吸着させた後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後にヨウ素イオンを吸着させる方法、PVA系フィルムへのヨウ素イオン吸着と一軸延伸とを同時に行う方法、PVA系フィルムを二色性染料で染色した後に一軸に延伸する方法、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に二色性染料で吸着する方法、PVA系フィルムへの二色性染料での染色と一軸延伸とを同時に行う方法が挙げられる。また、ポリエン系の偏光板を製造する方法としては、PVA系フィルムを一軸に延伸した後に脱水触媒存在下で加熱・脱水する方法、ポリ塩化ビニル系フィルムを一軸に延伸した後に脱塩酸触媒存在下で加熱・脱水する方法等の公知の方法が挙げられる。
【0087】
基材と偏光子との間にプライマー層を、形成することができる。プライマー層により反射防止積層体と偏光子との接着強度が高くなる。プライマー層を構成する材料としては、例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物等が挙げられる。これらの中で、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂の変性物及び環化ゴムの変性物を好適に用いることができる。
【0088】
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂が挙げられ、具体的には、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、その水素添加物(SEBS共重合体)等が挙げられる。なかでも、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物の変性物を好適に用いる
ことができる。
【0089】
重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸等は、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
【0090】
プライマー層の形成方法は特に制限されず、例えば、前記樹脂を溶解したプライマー層形成用塗工液を公知の塗工方法により、基材上に塗工して形成する方法が挙げられる。プライマー層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0091】
本発明の反射防止機能付偏光板においては、本発明の反射防止積層体が積層されていない偏光子の面に、プライマー層を介して、保護フィルム(2)が積層されていてもよい。
保護フィルム(2)は、例えばトリアセチルセルロース等のセルロースエステルや脂環式構造含有重合体等の樹脂からなるものが挙げられるが、透明性、複屈折性、寸法安定性等に優れる点から脂環式構造含有重合体からなるものが好ましい。脂環式構造含有重合体としては、前記基材の説明部分で記載したものと同様のものが挙げられる。保護フィルム(2)は、溶液流延法、溶融押出法、好ましくは、溶融押出法によってフィルム状に成形し必要に応じて延伸配向して得ることができる。
【0092】
本発明の液晶表示装置は、本発明の反射防止機能付偏光板を備えることを特徴とする。液晶表示装置は、通常、液晶セルと、それを挟む偏光板とを少なくとも有する。本発明の液晶表示装置は、前記2枚の偏光板のうち、視認側に位置する偏光板として、本発明の反射防止機能付偏光板を液晶セルから遠い側に反射防止積層体がくるように配置されている。反射防止機能付偏光板と液晶セルはプライマー層を介して貼り合わせてあっても良い。
【0093】
液晶セルは液晶モードによって特に限定されない。液晶モードとしては、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型、反射型、半透過型等が挙げられる。
【実施例】
【0094】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例中の試験及び評価は以下の方法で行った。
【0095】
(1)屈折率
高速分光エリプソメトリ(型番号:M-2000U、J.A.Woollam社製)を用い、測定波長400-1000nm、入射角度をそれぞれ55、60、65度で測定し、これらの測定値から算出した。
(2)表面粗さ
非接触式三次元構造解析顕微鏡(zygo NewView5032:ザイゴ社製)を用い、フィルムの凹凸のある面を走査させて干渉縞を観測することにより測定できる。
(3)耐擦傷性
スチールウール#0000に荷重0.025MPaをかけた状態で表面を10往復させ擦った後の表面状態を目視で観測した。
○:傷が認められない。
△:わずかに傷が認められる。
×:傷が認められる。
【0096】
(4)碁盤目試験
JIS−K5400−8.5.1の記載に準じた試験方法で密着性を求めた。具体的には、基材に達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、セロテープCT−18)を升目状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がして目視により下記の式から密着性を求めた。
密着性(%)=(1−剥がれ面積/評価面積)×100
【0097】
(5)反射率
分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計V-570、日本分光社製)を用い、入射角5°にて波長スペクトルを測定し、波長430〜700nmにおける最大率と、550nmにおける反射率を測定した。上記測定は面内の異なる任意の場所5箇所で5回行い、それらの算術平均値を反射率の値とした。
【0098】
(6)全光線透過率とその低下率
日本電色工業(株)社製、「濁度計NDH2000」を用いてJIS K7136(2000)に準拠して測定する。同様の測定を面内の異なる任意の場所5箇所で5回測定し、それらの算術平均値を全光線透過率の代表値とし算出する。
また低下率は次式により求める。Tdは(3)耐擦傷性試験後の全光線透過率、Tcは耐擦傷性試験前の全光線透過率として、を表す。
ΔT(%)=(Tc−Td)/Tc×100
【0099】
(7)へイズ
JIS K7136(2000)に準拠して、日本電色工業社製「濁度計NDH2000を用いて測定する。測定を面内の異なる場所5箇所で5回づつ測定し、その算術平均値をヘイズ値とする。
【0100】
(8)視認性
市販の液晶テレビ(MVAモード、IPSモードの20V型液晶テレビを用いた。)から液晶表示パネルを取り外し、液晶セルの視認側に設置されている偏光板を剥がし取り、それに変えて実施例又は比較例で得た偏光板を該液晶セルに貼り合せて、液晶表示パネルを組み直して、もとの液晶テレビに設置した。液晶表示素子を晴天屋外において表示して前正面より基材を目視で観察し、以下の三段階で評価した。グレアとは視野内で過度に輝度が高い点や面が見えることによっておきる不快感や、見にくさのことをいう。
○:グレアや画像のぼやけがない。
△:グレアや画像のぼやけが少しあり、気になる。
×:グレアや画像のぼやけが際立ってある。
【0101】
ハードコート剤1の調製
五酸化アンチモンの変性アルコールゾル(固形分濃度40%:触媒化成工業社製)100重量部に、UV硬化型ウレタンアクリレート(紫光UV7640B:日本合成化学工業社製)10重量部及び光重合開始剤(イルガキュア-184:チバガイギー社製)0.4重量部、フッ素化アルキル基含有オリゴマー(メガファックF470:大日本インキ化学工業社製)を0.1重量部混合し、UV硬化型のハードコート剤1を得た。
【0102】
ハードコート剤2の調製
リンをドープした酸化第二錫(PTO)のメチルエチルケトンゾル(固形分濃度30%:触媒化成社製)135重量部に、UV硬化型ウレタンアクリレート(紫光UV7640B:日本合成化学工業社製)10重量部及び光重合開始剤(イルガキュア-184:チバガイギー社製)0.4重量部、フッ素化アルキル基含有オリゴマー(メガファックF470:大日本インキ化学工業社製)を0.1重量部混合し、UV硬化型のハードコート剤2を得た。
【0103】
ハードコート剤3の調製
五酸化アンチモンの変性アルコールゾル(固形分濃度40%:触媒化成工業社製)100重量部に、UV硬化型ウレタンアクリレート(紫光UV7640B:日本合成化学工業社製)5重量部及び光重合開始剤(イルガキュア-184:チバガイギー社製)0.5重量部、フッ素化アルキル基含有オリゴマー(メガファックF470:大日本インキ化学工業社製)を0.1重量部混合し、UV硬化型のハードコート剤3を得た。
【0104】
ハードコート剤4の調製
ハードコート剤1の調製で、フッ素化アルキル基含有オリゴマーを添加しない以外はハードコート剤1と同じ処方にて、ハードコート剤4を得た。
【0105】
ハードコート剤5の調製
ハードコート剤1の調製で、フッ素化アルキル基含有オリゴマーの代わりに、ジメチルシリコーン(TSF451-500:GE東芝シリコーン社製)を用いた以外はハードコート剤1と同じ処方にて、ハードコート剤5を得た。
【0106】
ハードコート剤6の調製
ハードコート剤1の調製で、フッ素化アルキル基含有オリゴマーの代わりに、アルキルポリエーテル(PO/EO)変性シリコーンオイル(TSF4450:GE東芝シリコーン社製)を用いた以外はハードコート剤1と同じ処方にて、ハードコート剤6を得た。
【0107】
ハードコート剤7の調製
五酸化アンチモンの変性アルコールゾル(固形分濃度40%:触媒化成工業社製)250重量部に、UV硬化型ウレタンアクリレート(紫光UV7640B:日本合成化学工業社製)10重量部及び光重合開始剤(イルガキュア-184:チバガイギー社製)0.5重量部、フッ素化アルキル基含有オリゴマー(メガファックF470:大日本インキ化学工業社製)を0.5重量部混合し、UV硬化型のハードコート剤7を得た。
【0108】
低屈折率層形成用塗工液1の調製
テトラメトキシシランのオリゴマ−(コルコート社製「メチルシリケート511」)と、メタノールと、水と、0.01Nの塩酸水溶液を重量比22:36:2:2で混合し、これを25℃の高温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量870のシリコーンレジンを得た。
次に中空シリカ粒子として中空シリカイソプロパノール分散ゾル(固形分25%,平均一次粒子径約30nm、外殻厚み約7nm)を前記シリコーンレジンに加え、中空シリカ粒子/シリコーンレジン(縮合化合物換算)が固形分基準で重量比が8:2となるように配合し、その後,全固形分が1%になるようにメタノールで希釈し、低屈折率層形成用塗工液1を調製した。
【0109】
低屈折率層形成用塗工液2の調製
テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製「メチルシリケート511」)と、メタノールを重量比で47:79となるように混合し、A液を得た。次に、水、アンモニア水(アンモニア28重量%)、メタノールを重量比で60:1.2:97.2で混合しB液を得た。A液とB液を重量比16:17で混合し、低屈折率層形成用塗工液2を得た。
【0110】
低屈折率層形成用塗工液3の調製
低屈折率層用塗工液2の調製で、テトラメトキシシランのオリゴマーとメタノールの重量比を47:72にした以外は、低屈折率層形成用塗工液2の同じ処方にて、低屈折率層用塗工液3を得た。
【0111】
(偏光子Gの作製)
厚さ85μのPVAフィルム(クラレビニロン#7500)をチャックに装着しヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリウム60g/lよりなる水溶液中に30℃にて240秒浸漬し、次いでホウ酸70g/l、ヨウ化カリウム30g/lの組成の水溶液に浸漬すると共に、同時に6.0倍に一軸延伸しつつ5分間に渡ってホウ酸処理を行った。最後に室温で24時間乾燥し偏光子Gを得た。偏光度は、99.993%であった。
【0112】
実施例1
厚さ100μmのノルボルネン系重合体フィルム(ゼオノアフィルムZF14−100、株式会社オプテス製、以下「基材1A」と言う。)を用い、この両面を高周波発信機(春日電気社製)を用いて、表面張力が0.072N/mになるようにコロナ放電処理を行った。
このフィルムの片面に、ハードコート剤1を、ダイコーターを用いて塗布した。次いで80℃で5分間乾燥させ、紫外線照射(積算光量300mJ/cm)を行い、ハードコート剤1を硬化させ、厚さ5μmのハードコート層を積層した基材1Bを得た。低屈折率層形成用塗工液1を、基材1Bのハードコート層を有する面にマイクログラビアコーターによって塗布して、被膜を120℃で5分間 熱処理して、厚さ100nmの低屈折率層を形成して反射防止フィルム1Cを得た。
反射防止フィルム1Cの基材1A側の面に、アクリル系接着剤溶液を塗布し、偏光子Gを貼り合わせた。次に、反射防止フィルム1Cと貼り合わせた偏光子Gに別の基材1Aを貼り合わせ偏光板1を得た。
【0113】
実施例2
基材1Aの代わりに厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC8UX2M:コニカミノルタ社製)を用い、ハードコート剤1の代わりにハードコート剤2を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム2Cおよび偏光板2を得た。
【0114】
実施例3
基材1Aの代わりに厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:東洋紡社製)を用い、ハードコート剤1の代わりにハードコート剤3を用た他は実施例1と同様にして反射防止フィルム3Cおよび偏光板3を得た。
【0115】
比較例1
ハードコート剤1の代わりにハードコート剤4を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム4Cおよび偏光板4を得た。
【0116】
比較例2
ハードコート剤1の代わりにハードコート剤5を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム5Cおよび偏光板5を得た。
【0117】
比較例3
ハードコート剤1の代わりにハードコート剤6を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム6Cおよび偏光板6を得た。
【0118】
比較例4
ハードコート剤1の代わりにハードコート剤7を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム7Cおよび偏光板7を得た。
【0119】
比較例5
実施例1で、低屈折率層形成用塗工液1の代わりに低屈折率層形成用塗工液2を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム8Cおよび偏光板8を得た。
【0120】
比較例6
実施例1で、低屈折率層形成用塗工液1の代わりに低屈折率層形成用塗工液3を用いた他は実施例1と同様にして反射防止フィルム9Cおよび偏光板9を得た。
【0121】
実施例1〜3及び比較例1〜6によって得られた反射防止フィルム(すなわち反射防止積層体)1C〜9Cの評価結果を表1および表2に示した。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
表1および表2にから、平均表面粗さが30nm以下で屈折率1.55以上のハードコート層を有し、全光線透過率が94%以上で、ヘイズ値が1%未満で、且つ耐擦傷性試験前後の全光線透過率の低下率が3%以下である実施例1〜3の反射防止積層体は、低屈折率層のムラ、はじきが無く、ハードコート層と低屈折率層との密着性が良好であり、反射率とヘイズと密着性と耐擦傷性のバランスに優れており、また視認性も優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂基材上に、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層されてなり、全光線透過率が94%以上で、ヘイズ値が1%未満で、且つ耐擦傷性試験前後の全光線透過率の低下率が3%以下であり、
該ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部及び無機酸化物粒子300〜800重量部を含有してなり、ハードコート層の平均表面粗さ(Ra)が30nm以下で且つハードコート層の屈折率が1.55以上である反射防止積層体。
【請求項2】
前記ハードコート層が、さらにフッ素化アルキル基含有オリゴマーを活性エネルギー線硬化型樹脂100重量部に対して0.2〜4重量部含有している請求項1に記載の反射防止積層体。
【請求項3】
前記透明樹脂基材が、脂環式構造含有重合体樹脂、セルロース系重合体樹脂及びポリエステル系重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂からなる請求項1または2に記載の反射防止積層体。
【請求項4】
前記金属酸化粒子が、五酸化アンチモン、又はリンがドープされた酸化スズである請求項1〜3に記載のいずれかの反射防止積層体。
【請求項5】
前記低屈折率層がエアロゲルからなり、屈折率が1.25〜1.37である請求項1〜4に記載のいずれかの反射防止積層体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止積層体の基材側に、偏光子が積層されてなる反射防止機能付偏光板。
【請求項7】
請求項6に記載の反射防止機能付偏光板を備える液晶表示装置。

【公開番号】特開2006−181731(P2006−181731A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374622(P2004−374622)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】