説明

反応器内部構造としての触媒特性を有する成形体の使用

次の工程:a) 粉末に基づくラピッドプロトタイピング法を用いて成形体を製造する工程、b) 場合により、前記成形体の熱処理を実施する工程、c) 場合により、前記成形体上に少なくとも1種の触媒活性成分を設ける工程、d) 場合により、更なる熱処理を実施する工程、を有し、その際、工程b)、c)及び/又はd)は、数回実施することができる方法により得られた触媒特性を有する成形体は、不均一系接触化学反応における反応器内部構造として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均一系接触化学反応における反応器内部構造としての触媒特性を有する成形体の使用に関する。
【0002】
発明の背景
不均一系触媒は、近代工業化学において中心的役割を担っている。不均一系触媒は、頻繁に、金属及び/又は金属酸化物からなり、その表面によって、接触されるべき反応の反応体は相互作用する。この相互作用の性質の他に、前記表面上の活性中心に前記反応体を運び込みかつ前記表面から生成物を運び出すことが重要になってきている。更に、放出される反応熱をできる限り迅速に搬出するか又は必要な熱を供給しなければならない。
【0003】
触媒の構造形態
多様な不均一系接触反応及びしばしば極めて異なる反応条件に基づき、不均一系触媒のために、それぞれの反応のために最適な材料輸送及び熱輸送を保証する多様な構造形態が定着している。充填層中では、前記触媒は反応器中に不規則に装入され、充填物の場合には整列されかつ規則的に反応器中に組み込まれる。充填層として反応器中へ導入される触媒を、顆粒、ストランド、タブレット、リング又はスプリットの形で使用することが最も広く普及している。この種の成形体は、全体の反応器空間を充填することも、前記反応器中でスペーサーにより多様な階層に配置されていてもよい。反応器入口又は反応器中の他の箇所で、更に混合装置、熱交換器又は他の内部構造が配置されていてもよい。流動方向で、所望の生成物の収率を最適化するために、異なる触媒充填層(例えば、異なる構造形態、異なる量の活性成分を有するか又は異なるドープ材を有する触媒)を使用してもよい。しかしながら、この種の触媒の使用の欠点は、前記充填層が一般に反応器中で著しい圧力損失を引き起こすことである。更に、停滞するガス運動及び/又は液体運動を有するチャネル並びにゾーンの形成が容易となるため、前記触媒は極めて不均一に負荷される。その他に、例えば管束型反応器又は多数の管を備えた塩浴反応器の場合には、触媒交換の際に必要な成形体の取り外し及び取り付けも手間がかかる。
【0004】
圧力損失の低減のために、反応器中で触媒の緻密すぎる充填を避ける反応器内部構造が記載された。WO 03/047747では、多様な幾何学表面を備えた複数の充填物層が交互に組み立てられ、その中に触媒が充填されている、金属からなるマルチチャンネル型充填物(Mehrkanalpackung)が記載されている。前記充填物層は、前記触媒が単に、低い比表面積を有する充填物の通路(いわゆる触媒通路)内へ流下するように選択されている。高い比表面積を有する層中では、前記触媒は幾何学的理由から流下できない。この系は特に、反応蒸留において使用される。この場合、充填物の高い気孔率に基づき、大きな反応器容量が必要であり、前記内部構造は大きな金属表面を提供することが欠点である。充填物の形の付加的な金属が必要であり、それにより高い材料コストが生じる。更に、腐食が生じかつ金属イオンが溶け出しかねない。
【0005】
サイズが小さいために成形体の充填層として使用できない触媒は、頻繁に、透過性容器、例えば繊維バッグ中に導入することにより使用される。このようなバッグは、ワイヤ織物(例えば、Sulzer AG(CH-8404 Winterthur)社のBauform KATAPAK(登録商標) K、J.-P. Stringaro et al.著, Chemical Plants and Processing 1992, JuIy, p. 6 - 10参照)からなり、触媒活性内部構造として反応蒸留に使用される。他の実施態様は、Montz及びCDTech社により提供され、同様の原理により機能する(例えば、CDTech社(Houston, USA)のいわゆる「Bales」)。前記充填物の使用は、前記触媒が気液混合物により取り囲まれるような方法において、適切な液体細流密度(liquid trickle density)を正確に維持しなければならないという欠点を有し、これは実際に困難であることが判明する。これにより高すぎる液体流の場合に、前記触媒バッグのオーバーフローが生じ、低すぎる液体流はそれに対して前記触媒の「乾燥」を引き起こす。
【0006】
特定の適用のために、貫通する通路、ハニカム構造又はリブ構造を有するモノリスの形状の触媒も使用でき、これは例えばDE-A-2709003に記載されている。モノリスは、横断的混合(Quervermischung)を犠牲にして極めて低い圧力損失を提供する。これは、実際に、濃度、温度及び流動速度の不均一な分布を引き起こし、並びに不十分な半径方向の熱拡散を引き起こすことになり得る。大抵は、触媒(担体)材料/反応器容量の低い比率が欠点である。前記の欠点にもかかわらず、モノリスの構造形態は排気ガス触媒の場合に、自動車用のより良い代替物がないため定着している。
【0007】
従って、反応器内部構造として使用することができかつその寸法形状に関してそれぞれの反応条件に対して最適化されている、触媒特性を有する成形体の需要が生じる。この場合、前記成形体は、できる限り高い横断的混合、つまり反応器中の濃度及び温度の補償、並びにわずかなバックミキシングを提供し、かつ十分に大きな材料搬送及び熱搬送を許容し、かつできる限り低い圧力損失を生じさせ、かつ場合により生じる正又は負の反応熱を搬出又は供給することが好ましい。
【0008】
製作方法「ラピッドプロトタイピング」
当業者には、「ラピッドプロトタイピング」(RP)の概念の、試作品用の製作方法は公知であり、この方法によって、ほぼ任意の寸法形状の極めて複雑な加工品も、存在するCADデータから、できる限り手動による迂回路又は成形なしに直接かつ迅速に製造できる。このラピッドプロトタイピングの原理は、物理的及び/又は化学的効果を利用した部材の層状の構築に基づく。この場合、多数の方法、例えば選択的レーザー焼結(SLS)又はステレオリソグラフィー(SLA)が確立されている。これらの方法自体は、層を構築させる材料(ポリマー、樹脂、ペーパーウェブ、粉末等)に関して及び前記材料を結合する方法(レーザー、加熱、バインダ又はバインダ系など)に関して分類される。これらの方法は多数の刊行物に記載されている。
【0009】
ラピッドプロトタイピング法の一つはEP-A0431 924に記載されており、粉末及び結合剤から三次元部材の層状の構築を有する。結合されない粉末は最後に除去され、所望の寸法形状の加工品が残留する。
【0010】
WO 2004/112988からは、1種以上の粉末状の出発材料を使用することができることが公知であり、US 2005/0017394はバインダの硬化を誘導する活性化剤の使用を開示している。
【0011】
R. Knitter et al.は、特に、Galvanotechnik 1/2004, p. 196 - 20にマイクロリアクター技術に使用するためのセラミック反応器を記載している。この成形は、この場合、ラピッドプロトタイピングプロセス系列によって行い、その際、ただし付加的中間工程として、1.)ステレオリソグラフィーにより得られたプラスチックからなるマスターモデルをシリコーン型に複写し、これを次いで、2.)充填用の型として、セラミックスリップを用いた低圧射出成形を行う。得られたセラミックマイクロリアクターは特に触媒担体として用いられ、この触媒担体上に本来の触媒が例えば懸濁液として塗布される。この製造方法の欠点は、注型の形で最終的な生産を行う前に、まず雌型を製造する付加的な方法工程を行うことである。
【0012】
cfi/Ber. DKG 82 (2005) No. 13, p. 99 - 103に、U. Kaufmann et al.は、粉末床中での部品の層状の構築に基づく方法を用いて3Dセラミック部品の製造を開示している。この部品のインプラントとしての可能な用途が議論されている。
【0013】
本発明の課題及び主題
本発明の課題は、不均一系接触化学反応における触媒の使用を改善しかつ公知の触媒の前記の欠点を回避することであった。触媒の使用の際に、充填層と比較してわずかな圧力損失を生じ、有利にできる限り高い横断的混合を引き起こし、更に流動方法に反するわずかなバックミキシングを引き起こし、かつ十分に大きな材料搬送及び、半径方向の熱搬送を含めた大きな熱搬送を引き起こすのが好ましい。
【0014】
従って、本発明の主題は、不均一系接触化学反応における反応器内部構造としての、次の工程:
a) 粉末に基づくラピッドプロトタイピング法を用いて成形体を製造する工程、
b) 場合により、前記成形体の熱処理、有利に焼結及び/又はか焼を実施する工程、
c) 場合により、前記成形体上に少なくとも1種の触媒活性成分を設ける工程、
d) 場合により、更なる熱処理を実施する工程、
を有し、
その際、工程b)、c)及び/又はd)は、数回実施することができる
方法により得られた触媒特性を有する成形体の使用である。
【0015】
前記結合剤又は結合剤混合物は、有利に、結合剤自体又はその残留物が、触媒(担体)としての後の適用の際に化学反応に影響を及ぼさないか又は不利に影響を及ぼさないように選択される。
【0016】
前記課題は、本発明の場合に、その寸法形状に関して反応器中でそれぞれの流動条件及び反応条件のために最適化されている触媒特性を有する成形体の使用により解決される。必要な反応条件に応じて、前記反応器内部構造は、例えば従来の技術、例えば押出又は射出成形により不可能であるような適用のために、カスタムメイドで製造することができる。慣用の製造技術と比べてラピッドプロトタイピング技術の利点は、理論的にあらゆる任意の寸法形状を、例えば中空空間又は微小通路を有する複雑な部品も、CADデータセットを用いてコンピュータ制御によって相応する三次元部品に、型に予め注型することなしに、切削、フライス加工、研磨、ろう付け等なしで写すことができることにある。この方法で、従来の反応器内部構造と比べて、その最適化された寸法形状に基づき、化学反応において材料搬送及び熱搬送のために利点を提供する反応器内部構造の製造が可能である。このプロセス強化は、高い収率、転化率及び選択率をもたらし、かつそれと共により安全な反応管理をもたらし、かつわずかな装置サイズ又は低減された触媒量により化学工業において既存の又は新たな方法のためにコスト削減を生じさせることができる。
【0017】
説明
本発明により使用すべき成形体は、前記成形体を触媒活性材料又はその前駆体から製造するかことによるか又は前記成形体を不活性材料(これは担体として利用される)から作成し、その上に触媒活性成分を設ける(方法工程c参照)ことにより、その触媒特性が付与される。既に触媒活性の材料上に、さらなる触媒活性成分、例えば金属又は助触媒を設けることもできる。
【0018】
材料
本発明により使用すべき成形体を製造するための材料として、有利に金属酸化物、金属酸化物水酸化物、ヒドロタルサイト、スピネル、ペロブスカイト、金属、合金、金属リン酸塩、天然由来及び合成の層状ケイ酸塩又は立体網状ケイ酸塩、例えば粘土鉱物、ゼオライト、雲母、長石、セラミック材料、例えばステアタイト、コーディエライト、磁器、炭化物、例えばSiC、B4C、窒化物、例えばSi34、AlN、ガラス等が適している。有利な材料は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ミッシュメタル酸化物、ヒドロタルサイト、スピネル、ペロブスカイト、金属リン酸塩、ケイ酸塩、ゼオライト、ステアタイト、コーディエライト、炭化物、窒化物又はこれらの混合物又はブレンドである。特に、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ステアタイト、コーディエライト並びに混合酸化物、例えばSiO2−Al23、ZnO−Al23−CuO、SiO2−TiO2、ZrO2−SiO2、ZrO2−Al23又はこれらの2以上の材料の混合物が有利である。使用された材料が多数の変態として存在する限り、この多様な変態は個別に又は混合した形で使用することができ、製造プロセス中で場合により実施された熱処理により相転移を進行させることもできる。多様な公知の変態の形で使用可能な材料の例として、α−Al23、γ−Al23、θ−Al23、単斜晶ZrO2、立方晶ZrO2、正方晶ZrO2、ルチル構造のTiO2、アナターゼ構造のTiO2、多様な安定又は準安定の変態の形のSiO2、例えばα−及びβ−石英、α−及びβ−クリストバライト、α−及びβ−トリディマイトなどが挙げられる。
【0019】
粉末形
本発明により使用されるべきラピッドプロトタイピング法の場合に、結合剤あり又はなしで使用することができる粉末状の出発材料が使用される。更なる説明は2つのバリエーションに適用される。単分散性粉末も多分散性粉末も使用することができる。この場合、より微細な粒子は、もちろんより薄い層を実現でき、それにより所望な成形体の構造のために、粗粒の粒子よりもより多くの層、ひいてはより高い空間分解能が可能である。約0.5μm〜約450μm、特に有利に約1μm〜約300μm、更に特に有利に10〜100μmの範囲内の平均粒径を有する粉末が有利である。使用されるべき粉末は、必要な場合に、例えばか焼、緻密化、混合、造粒、分級、凝集又は粉砕の少なくとも1つの工程により特定の粒子サイズフラクションに適切に前処理されていてもよい。
【0020】
製造
本発明により使用されるべきラピッドプロトタイピング法は、周知のように、個々の層から所望の成形体が完全に構築されるまでしばしば繰り返される後続の工程からなる。粉末状の出発材料又は出発材料混合物は、支持体上に薄い層の形で設けられ、引き続き前記層の選択された箇所に結合剤及び場合により必要な助剤が添加されるか、又は照射されるか又は他の方法で処理されるため、前記粉末は前記箇所で結合し、それにより前記粉末は前記層内でも、隣接する層とでも結合する。この手順を繰り返して、加工品の所望の形を形成された粉末床中に完全に写し取った後に、前記結合剤により結合されていない粉末を除去し、所望の形に結合した粉末が残留する。
【0021】
結合剤及び助剤
結合剤として、一般に、粉末状の出発材料の隣接する粒子が相互に強固に結合させるのに適した材料を使用することができる。この場合、二酸化ケイ素のゾル又はコロイド溶液、アルミノケイ酸塩、ケイ酸又はそのエステル、シロキサン又はシリコーンが有利である。更に、結合剤として、有機材料、特に架橋させることができるか又は他の方法で相互に共有結合させることができる有機材料、例えばフェノール樹脂、ポリイソシアナート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フラン樹脂、尿素−アルデヒド−縮合物、フルフリルアルコール、アクリル酸及びアクリラート分散液、ポリマーのアルコール、過酸化物、炭水化物、糖、糖アルコール、タンパク質、デンプン、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン又はこれらの混合物が適している。
【0022】
更に、有利に結合剤としてリン酸塩又はポリリン酸塩が適している。その使用の場合に、後続する熱処理は300℃〜700℃で行うことができる。
【0023】
前記結合剤は、液状で、溶解した又は分散した形で使用することができ、その際、有機溶剤(例えばトルエン)も水も使用することができる。有利に、それ自体又はその残留物が後の触媒(担体)としての使用の際に化学反応に影響を及ぼさないか又は不利な影響を及ぼさない結合剤が使用される。
【0024】
前記結合剤の適用は、例えば、できる限り小さな液滴の結合剤の粉末層上での正確な位置決めが可能であるノズル、印刷ヘッド又は他の装置を介して行われる。粉末量対結合剤量の比率は、使用された物質に依存して可変であり、一般に約40:60〜約99:1質量部の範囲内、有利に約70:30〜約99:1質量部の範囲内、特に有利に約85:15〜約98:2質量部の範囲内にある。
【0025】
更に、場合により、例えば結合剤の架橋に影響を及ぼすことができるか又は硬化剤として利用される1種以上の助剤を使用することもできる。助剤として、水、無機酸又は塩基、また急速に加水分解可能又は縮合可能な化合物、例えば金属アルコキシド(例えばチタンアルコラート)が使用される。前記助剤は別個に適用することもできるが、前記助剤は場合により粉末床及び/又は結合剤又は結合剤用液に添加されていてもよい。
【0026】
熱処理
工程b)において、この熱処理は、焼結として及び/又はか焼として利用することができる。前記焼結又はか焼は、この場合、有利に350〜2100℃の範囲内の温度で行われる。前記熱処理は、まず脱結合剤、つまり結合剤の除去を実施し、その後で焼結及び/又はか焼を行うように実施することもできる。焼結及びか焼の定義は後記する。
【0027】
成形体の寸法形状
前記成形体の寸法形状は、それぞれの適用分野の要求に依存し、かつ粉末に基づくラピッドプロトタイプ法の柔軟性に基づき広範囲に可変である。有利に、不均一系接触化学反応において触媒として使用する際に、反応器中でできる限り高い横断的混合並びにできる限り低い圧力損失を引き起こし、更に流動方向に反するわずかなバックミキシングを引き起こし、かつ十分に大きな材料搬送及び/又は、外部への熱搬送を含めた熱搬送を引き起こすような形を達成することができる。有利な形は、例えば、蒸留技術から公知のクロスチャンネル構造(Kreuzkanalstruktur)の充填物に倣うことができ、これは当業者に公知であり、Montz、Sulzer及びKuehniのような製造元から提供されている。この成形体は、反応媒体が貫流する複数の通路を有し、前記通路は主流動方向に対して0゜〜70゜、有利に30゜〜60゜の範囲内の角度で傾斜されている。前記通路は任意の横断面形状を有し、その際、正方形、長方形又は円形の横断面形状を有する。
【0028】
前記充填物は、有利に化学反応が行われる複数の通路と、有利に対流による熱搬送が行われる付加的な複数の通路とを有するマルチチャンネル型充填物として構成されていてもよい。熱搬送のための前記通路は、有利により著しく傾斜されていて、有利に、触媒用の通路の直径の2〜10倍の水力直径を有する。
【0029】
前記マルチチャンネル型充填物は、より良好な材料交換を保証するために、個々の層中の貫通孔を備えて、例えばエキスパンデッドメタルとして作成されている。
【0030】
しかしながら、相互に個々の通路が結合され、それにより横断的混合が強化されるように有利に配置された孔及び開口を備えたモノリス構造も、現存の形と比べて決定的利点を有する。このようなモノリスの例は、Emitecの文献に記載されている(インターネット:http://www.emitec.com/index. php?lang=de&mid=d5&doc=s7参照)。しかしながら、ここに記載された構造の欠点は、その製造方法に基づき、金属モノリスの製造方法にとって適しているだけで、セラミックの形には適していないことである。更に、外側に向かう半径方向の熱搬送は問題であり、かつモノリスと反応器ジャケットとの間で(もしくは横断面にわたり多くの平行に貫流するモノリスの場合にはモノリス間で)の隙間に基づきバイパス形成を生じることがある。
【0031】
反応器中への成形体の組み込み
本発明により使用される成形体は、反応器内部構造として使用される。この場合、前記成形体は整列されていない形で充填層として又は空間的に整列された形で、例えば原則的にモノリスとして公知のような充填物として、塔型の反応器中に装入することができる。この場合、本発明により使用される成形体は、(塔型の)反応器の縁部にまで達することができる。前記反応器中への構造化された触媒の組み込みは多様な方法で行うことができ、例えば管型(管束型)反応器中に円柱状の部材を互いに積み重ねて配置することにより行うことができ(この場合必ずしも全ての触媒部材が同じ形、構造、ドーピングを有する必要はない)、同様に縦型/横型の区分も可能であり:例えば、反応器入口ではわずかな貴金属負荷の触媒形を組み込み、出口に向かって前記構造体上の貴金属を多くするか又はその逆にすることができ;反応器長さにわたり異なる熱搬送特性を有する部材を組み込むことなどができる。更に、前記組み込みは、横方向でも区分することができる(例えば、ケーキ型の場合には4個の4分割円柱、又は6角形のハチの巣状のいくつかの部材を互いに並べて配置することにより)。前記部材は不規則な充填層として組み込むこともできる。
【0032】
充填層としての成形体の組み込み
通常の成形体はしばしば小さいサイズを有し、舞い上がるか又は破損又は摩耗する危険がある。本発明による成形体は、同じ触媒特性、材料搬送及び熱搬送並びに圧力損失特性で、比較的大きいので、充填層の使用の際に、この成形体は舞い上がる危険を排除することができる。
【0033】
充填物としての成形体の組み込み
本発明により使用される成形体は、空間的に整列した形で、例えば反応器内部構造の充填物として使用することもできる。この場合、前記充填体を充填物として含有する塔型の反応器を反応媒体が貫流し、その際、前記充填物は1つのエレメントからなるか又は多数のエレメントからなり、前記エレメントは縦方向に配置された充填物部分を形成し、それぞれの充填物エレメントは多数の縦方向に整列した層から構成されていて、それぞれの層は密に配置された通路を有し、隣り合う層の前記通路は互いに交差し、かつ一つの充填物エレメント内の通路は側壁を有し、前記側壁は流体に対して透過性であるか又は不透過性である。前記成形体を充填層として使用することも可能である。
【0034】
前記充填物は、有利に、縁部の通過を抑制するために、a)縁部シールが設けられていて、全体の充填物断面にわたり均一な貫流が保証されるか、又はb)有利に縁部で高い気孔率を有しない構造を有する。
【0035】
寸法形状の例
本発明により使用される成形体の適切な形又は構造は、例えばMontz及びSulzer社の次の文献に記載されている。この構造は、セラミック材料の形で本発明により触媒として又は触媒支持体として使用することができる。例えば、WO 2006/056419、WO 2005/037429、WO 2005/037428、EP-A-1 362 636、WO 01/52980又はEP-B-1 251 958、DE-A-38 18 917、DE-A-32 22 892、DE-A-29 21 270、DE-A-29 21 269、CA-A-10 28 903、CN-A-1 550 258、GB-A-1 186 647、WO 97/02880、EP-A-1 477 224、EP-A-1 308 204、EP-A-1 254 705、EP-A-1 145 761、US 6,409,378、EP-A-1 029 588、EP-A-1 022 057及びWO 98/55221に記載された構造を挙げることができる。
【0036】
例示的なこの種の成形体は、例えば多くがほぼ垂直に配置され、その側面が相互に接する波形プレートもしくは密に並んで配置されたリブが上側から下側に向かってほぼ湾曲した形で延びる縁部を有し、その際、2つの相互に接するプレートの前記リブは相互に交差し、その際、前記リブはプレートの上側領域でまっすぐでありかつ上側の特に水平のプレート縁に対して傾斜して延びていて、かつ前記プレートの下側領域でアーチ状に湾曲して延びていて、前記リブの上側端部の縦線は、上方の、特に水平のプレート縁部と共に、30〜70゜、有利に45〜60゜の角度を形成し、前記リブの下側端部の縦線は、下側の、特に水平のプレート縁部と共に、75〜90゜、有利に80〜85°の角度を形成し、その際、前記縦線は、上方の端部で前記リブの同一方向又は反対方向を指し示していてもよい。この種の実施態様は、例えばMontz社のEP-B-1 251 958に記載されている。例えばSulzer社により提供されているように、上方及び下方の湾曲するリブが設けられていてもよい。
【0037】
最適化された反応器内部構造として使用するために適した他の成形体は、クロスチャンネル型充填物の形で存在し、その際、前記充填物は縦型の層から構成されていて、前記層は波形又はプリーツ状の流動通路を形成する金属酸化物からなり、隣接する層の流動通路は開放して互いに交差され、かつ互いに交差する通路の間の角度は約100°よりも小さい。この種のクロスチャンネル型充填物は、例えばEP-A-1 477 224に記載されている(そこの角度の定義も参照)。
【0038】
成形体として使用可能な充填物の例は、Sulzer社のGewebepackungen BX, Sulzer社のLamellenpackungen Mellapak, 高性能充填物、例えばMellapak Plus, Sulzer社の構造充填物(Optiflow), Montz社の構造充填物(BSH)及びKuehni社の構造充填物(Rombopak)並びにEmitec社の充填物(www.emitec.com)である。
【0039】
これらの成形体は、例えばMontz社の充填物タイプA3、B1、BSH、C1及びMの形を有することができる。この場合、前記充填体は、波形のシート(薄板)から構成されている。前記波は垂直方向に対して傾いて延在し、隣接する薄板と共に交差する流動通路を形成する。
【0040】
反応中での使用
本発明による、例えば前記に定義した成形体は、有利に実熱量を伴って進行する反応において、つまり吸熱反応又は発熱反応のために使用される。この反応は、液相反応、気相反応又は多相反応、例えば三相反応であることができる。
【0041】
製造
前記成形体の製造は、ラピッドプロトタイピングについて冒頭に記載されたように行われる。冒頭に引用された文献を引用することができるが、更にGebhardt著, Rapid Prototyping, Werkzeuge fuer die schnelle Produktentstehung, Carl Hansa Verlag Muenchen, 2000, J. G. Heinrich著, New Developments in the Solid Freeform Fabrication of Ceramic Components, cfi/Ber. DKG 66 (1999), p. 29 - 35, R. Knitter, W. Bauer著, Keramische Reaktoren fuer den Einsatz in der Mikroreaktor-Technik, Nachrichten-Forschungszentrum Karlsruhe 34 (2002), p. 143 - 152, A. Nagy, R. Lenk著, Rapid Prototyping-Fertigungsverfahren fuer die schnelle Bereitstellung keramischer Funktionsmuster, Kriegesmann (Herausgeber), Technische keramische Werkstoffe, 2004, ke 12/2005, p. 54 - 55, ラピッドプロトタイピングにおいて設けられた基準(www.werkstoffzentrum.deの"Rapid Prototyping"も参照)を引用することができる。
【0042】
成形体の作成後に、この成形体は場合により熱処理にかけられ、これは、多段階で又は温度プログラムもしくは温度プロフィールによって行うこともできる。一般に、この熱処理は、約300〜2100℃の範囲内で行われる。例えば、粉末床を、その中に存在する成形体と共にまず300〜700℃、有利に300〜550℃の範囲内の温度に加熱することができる。その際、結合剤の架橋が、加水分解及び/又は例えば水又はアルコールの脱離下での縮合により完全にされ、及び有機成分は、少なくとも部分的に酸化により除去することができる。その後に、一般に900〜2100℃、有利に1100〜1800℃の温度への加熱を有する第2の温度段階が引き続くことができる。この場合、粉末粒子を相互に結合させ、かつ前記成形体の機械的強度を高める焼結の範囲内である。焼結プロセスにおいて所定の収縮が生じることがあり、これはCADモデルにより印刷の際に考慮されるべきである。結合剤により結合されていない粉末は、遅くともこの焼結プロセスの前に除去しなければならず、この除去は例えば圧縮空気又は吹き飛ばしにより行うことができる。次いで、結合された粉末が所望の形状で残留する。第2の温度段階は、生じる材料が高い気孔率又は低い気孔率を有するように選択することができる。接触反応の必要性に応じて、材料の機械的安定性、構造及び気孔率はこの段階により最適化することができる。
【0043】
本発明の実施態様の場合に、製造された成形体自身が触媒活性である。本発明の他の実施態様の場合に、製造された成形体は触媒用の担体として利用される。
【0044】
前記成形体の本発明による作成の後に、前記成形体を場合により少なくとも1種の(他の)触媒活性成分の塗布により変性することができる。前記成分は、例えば、金属塩、例えば鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、クロム、バナジウム、モリブデン、チタン、ジルコニウム、マンガン、亜鉛、パラジウム、ロジウム、銀、金、タングステン、白金、ビスマス、スズ、カリウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、セレン、アンチモン、ランタン、セリウム、イットリウム等のような元素の水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩又は炭酸塩である。前記塩の混合物を使用することもできる。アルミニウム塩、例えば硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、タングステン酸アルミニウム又はバナジン酸アルミニウムも、ヘテロポリ酸又はその塩、例えばタングステン酸リン酸、モリブドケイ酸等も変性のために使用することができる。この触媒活性成分は、例えば成形体を前記金属塩の水溶液及び/又は有機溶液で含浸させることによって塗布することができる。必要な場合に、前記含浸に引き続き、熱処理を行うことができ、その際に、塗布された金属塩は活性化もしくは分解される。前記成形体の作成後にも、ウォッシュコートを当業者に公知の組成及び方法で塗布することができる。
【0045】
触媒としての使用
こうして得られた触媒特性を有する成形体は、多くの化学反応のための反応器内部構造として使用することができる。この場合、一般に、不均一系触媒を用いて運転する全ての反応器、例えば固定層反応器、移動層反応器、管束型反応器、塩浴反応器又は流動層反応器を使用することができ、もしくは反応蒸留又は反応抽出において使用することもできる。一般に、触媒による反応を必要とする全ての方法技術的操作も可能である。連続的反応用の反応器が有利である。
【0046】
本発明の場合に、触媒特性を有する成形体は、任意の不均一系接触化学反応、例えば酸化、アンモ酸化、水素化、脱水素、異性化、水和、脱水、アミノ化、ニトロ化、アルキル化、脱アルキル、不均化、アシル化、アルコキシル化、エポキシ化、エステル化、エステル交換、メタセシス反応、二量化、オリゴマー化又は転位のために使用することができる。これは単相の気体反応又は液体反応又は多相反応(例えば、気液反応又は液液反応)であることができる。
【0047】
定義
本発明との関連で次の定義が重要である:前記か焼は、試料体から有機成分を除去する熱処理を表す。
【0048】
前記焼結は、隣り合う粉末粒子同士を結合する熱処理を表す。
【0049】
比表面積Oは、DIN−iso9277又はDIN66131によりBETを用いた窒素吸着により測定された、触媒の質量に対するその表面積を表す。
【0050】
この質量基準表面積は材料に依存しかつ本発明による触媒について0.25〜1500m2/gの範囲内、有利に0.5〜1000m2/gの範囲内、特に有利に1〜600m2/gの範囲内にある。
【0051】
外部表面積OPartikel,gesamtの測定のために、内部空間が固体で充填されていると仮定して出発し、つまり粒子の表面又は多孔質媒質の表面だけが考慮される。この外部表面積は、幾何学的表面積とも言われる。
【0052】
同様に、全粒子体積VPartikel,gesamtは、全粒子の全体数の体積を記載し、その際、前記内部空間は固体で充填されていると見なされる。
【0053】
全−又は充填層体積VSchuttungは、多孔質媒質の全体の体積である。同様に外部空間は0と仮定して算定され、つまり前記充填層は成形体固体材料として見なされる。
【0054】
体積基準の外部表面積σとして、反応器容量に対する比率における前記触媒成形体の幾何学的表面積又は外部表面積からなる比率を表す。
【0055】
σ=OPartikel,gesamt/VSchuttung
前記体積基準の外部表面積は、本発明による触媒について、有利に1〜10000m2/m3、特に有利に10〜5000m2/m3、殊に100〜3000m2/m3の範囲内にある。
【0056】
触媒の気孔率εは、(全体積−粒子体積)と全体積とからの商を表す。
【0057】
ε=(VSchuttung−VPartikel,gesamt)/VSchuttung
前記気孔率は、2つの構成成分に細分化される。前記外部気孔率は、多様な成形体間の空隙体積を表す。成形体内部に大きな空間体積を有する成形体の場合には、この空間は同様に外部気孔率に数えられる。これについての例は、環状の触媒成形体の内側の円柱状体積である。
【0058】
前記内部気孔率は、成形体内部の空隙体積として定義され、これは、前記成形体が完全に固体材料からなるのではなく、部分的に空間体積を含むことから生じる。粒子内のこの空間体積は、例えば、前記粒子が小さな一次粒子から構成されていることから生じることができる。
【0059】
この気孔率は、例えばDIN66133による水銀ポロシメトリーを用いて測定される。この測定は触媒中の気孔サイズ分布を提供する。極めて低い加圧で、単に外部気孔率を測定する。
【0060】
本発明により使用された成形体については、この気孔率は有利に10〜99%、特に有利に20〜90%、殊に25〜75%である。
【0061】
ザウター径dsは、充填層又は一般的に多孔質媒質中の同等粒子を測定するための基準である。このザウター径は、6倍の全体積VPartikel,gesamtと全幾何学的表面積OPartikel,gesamtの比率として定義される。
【0062】
s=6・VPartikel,gesamt/OPartikel,gesamt
一般に、多孔質媒質の場合に、このザウター径は、簡単にds=6・(1−ε)/σとして求めることができ、この場合、σは体積基準の外部表面積を意味する。
【0063】
本発明により使用される成形体は、有利に、1〜50mm、特に有利に1.5〜15mm、殊に1.5〜5mmの範囲内のザウター径を有する。
【0064】
前記水力直径dhは、任意に形成された流動横断面についての代替モデルにおける原点を有する。この水力直径は、4倍の断面積Aと周囲長Uの比率又は4倍の流動体積V=VSchuttung−VPartikel,gesamtと液体により濡れた表面OPartikel,gesamtの比率として定義される。
【0065】
h=4・A/U=4・V/OPartikel,gesamt
従って、流通通路を形成する横断面は、水力直径dhを有する管横断面に帰することができる。この管横断面は、従って、任意の横断面の通路と同様の面積対周囲長比率を有する。円形の管の場合には、この管内径は水力直径と同じである。
【0066】
局所的又は位置的な濃度勾配を有する液体体積流が充填層を貫流する場合、前記勾配は、前記充填層内で弱まる。これは、一方で、分子の拡散により、他方で、局所的乱流により生じ、これが対流的材料交換を生じさせる。さらに、粘着効果が濃度補償を引き起こすことができる。この後者の両方の効果は分散といわれる。分散効果を物質特性により表すことはできるが、分散特性は付加的に流動速度及び充填層特性に依存する。半径方向及び軸方向の分散プロセスが区別される。この軸方向の分散効果は、滞留時間測定を用いて定量化することができる。この半径方向の分散(横断的混合)は、測定するのが困難である。このために、局所的に限定的に、例えば充填層中にトレーサーガスを添加することができる。この充填層の終端で前記トレーサーの濃度を測定しなければならない。
【0067】
ペクレ数(Pe)として、対流する材料輸送又は熱輸送と熱又は材料の拡散による輸送とからなる無次元の商を表す。このペクレ数は、この場合、バックミキシング又は軸方向での濃度勾配又は温度勾配の補償の特徴的基準である。このペクレ数が値ゼロに達する場合に、貫流される幾何学におけるこの関係は、理想的に混合される撹拌釜、つまり完全なバックミキシングされる系に相当する。ペクレ数が増加すると共に、熱又は材料の軸方向の対流による輸送が分散効果を上回り、系中ではこのバックミキシングは重要ではなくなる。ペクレ数のカウンタ中でのこの対流による輸送は、貫流される構造の直径で表すことができる。この直径の代わりに特徴的な粒子サイズを対流輸送用語において使用する場合、更なる無次元のパラメータを定義することができるが、軸方向のバックミキシングに関するこの表現力は上記のものと同様に留まっている。
【0068】
軸方向のペクレ数Peax又は半径方向のペクレ数Peradは、初期自由流動速度u0と粒子径dsの積を、軸方向分散係数Dax又は半径方向分散係数Dradにより割った商として定義される。これは、対流による材料輸送プロセスの速度及び分散による材料輸送プロセスの速度の比率についての基準である。
【数1】

【0069】
この初期自由流動速度u0は、成形体の不在を仮定した、流動横断面にわたり測定された流動速度である。この分散係数Dax及びDradは、分子拡散能により引き起こされない貫流された構造の分散された材料及び熱特性を把握する幾何学基準又は充填層基準の大きさである。
【0070】
本発明による成形体のために、このペクレ数は、ゼロから任意の大きさの値の範囲にあることができる。単分散性の球状体の充填層について、極めてわずかな分子拡散の場合の軸方向のペクレ数Peaxは2である。
【0071】
材料移行の考察されたプロセスに対して更に、外側へ又は外側からの壁による熱伝達も考慮することができる。この壁による熱伝達は付加的障害である。これは、壁付近の充填層において、充填層の壁から遠い内部と比べて、より大きな気孔率に基づいている。
【0072】
この主流動方向は、本発明の範囲内で反応器内部で述べられ、この方向で流体要素が有利に運動する。この反応器の実施態様に応じて、例えば前記反応器内の絞りが流動案内のために使用されている場合に、主流動方向は局所的に異なることができる。この主流動方向は、入口及び出口を備えた反応器の場合、例えばトレーサーを用いて測定することができる。前記トレーサーは、反応器を通過する流動管の形で動く。この主流動方向は、この流動管の運動方向から生じる。
【0073】
例示的に、円柱の対峙する平面の端部で入口及び出口を備えた円柱状の反応器において、入口から出口までの円柱軸が主流動方向である。平行して配置された管を備えた管束型反応器中で、この主流動方向は、同様に前記管に対して平行に向いている。
【0074】
流動横断面とは、主流動方向に対して垂直の平面であると解釈される。反応器中での変向の場合に、この流動横断面は部分的に反応器の一部分にわたってだけ延びることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】三次元的に構造化された形の「クロスチャンネル構造」を示す。
【図2】三次元的に構造化された形の「クロスチャンネル構造」を示す。
【0076】
次の実施例は本発明を更に説明するが、それにより本発明は制限されない。
【0077】
実施例
実施例1:
図1による三次元的に構造化された形「クロスチャンネル構造」を、α−Al23から製造した。この長さは50mmであり、直径は14mmである。
【0078】
基本的に、酸化アルミニウム顆粒CT 3000 SDP(Almatis社、67065 Ludwigshafen)を、Turbulaミキサ(Willy A. Bachofen AG, 4058 Basel,スイス国)を用いて、固体結合剤キサンタン、200メッシュ(Koenig & Wiegand, 40472 Duesseldorf)と混合する。この固体結合剤の割合は、酸化アルミニウムに対して10質量%である。この三次元的印刷を、Zプリンター310(Z-Corporation, Burlington, MA 01803, USA)を用いて、水ベースの結合剤溶液ZB54(Z-Corporation, Burlington, MA 01803, USA)の使用下で実施した。この液状の結合剤の2%を使用した。印刷後に、この部材をまず60℃で8時間乾燥し、次いで圧縮空気で吹き飛ばした。このセラミック焼成を1600℃で2時間の保持時間で行った。
【0079】
実施例2:
ビーカーガラス中で、Bi(NO33・5H2O 3.12gをPd(NO32・2H2O 3.36g及びCo(NO32・6H2O 48.6mgを装入する。これに蒸留水18.17g並びに濃硝酸9.08gを添加し、全てを1時間撹拌する。ペトリ皿中に、実施例1でラピッドプロトタイピングにより作成された、全体で42.8gの質量を有するAl23成形体の7個を装入し、金属硝酸塩の溶液を添加する。この成形体を溶剤中で全て30分間回転させ、3時間後に前記溶液から取り出す。引き続き、この成形体を乾燥し(120℃で4時間)及びか焼する(2K/minの加熱時間で500℃まで、500℃で10時間維持する)。総質量44.0gの7個の成形体が得られ、これらはBi 1.4%、Pd 1.4%及びCo 0.01%を有する。
【0080】
比較例2:
ビーカーガラス中で、Bi(NO33・5H2O 3.54gをPd(NO32・2H2O 3.81g及びCo(NO32・6H2O 55mgを装入する。これに蒸留水30g並びに濃硝酸15gを添加し、全てを1時間撹拌する。金属硝酸塩のこの溶液を5〜10mmの範囲内の平均長さを有する押出物1.5mmの形のAl23 97gに添加する。この含浸の後に、この成形体を乾燥し(120℃で4時間)及びか焼する(2K/minの加熱時間で500℃まで、500℃で10時間維持する)。Bi 1.5%、Pd 1.5%及びCo 0.011%を有する押出物98.2gが得られた。
【0081】
実施例3:
塩浴反応器中に触媒50mlを取り付け、上方と下方には、不活性材料としてステアタイトの10mlの層がそれぞれ存在する。前記触媒を350℃の温度にもたらす。次いで、まず窒素120Nl/h及び空気35Nl/hを導通し、15分後に更に水素32.5g/hを添加し、更に15分後にシクロヘキサノン22.4g/hを添加する。搬出物を集め、所望の反応生成物のシクロヘキセノンの含有量をガスクロマトグラフィーにより測定する。次の表は、実施例2及び比較例2からの触媒についての3つの異なる温度についての結果を示す。
【表1】

転化率=シクロヘキサノンの転化率
選択率=シクロヘキセノンの選択率
収率=シクロヘキセノンの収率
【0082】
比較可能なドーピング含有量で少ない触媒材料にもかかわらず、本発明による触媒により、同じ反応条件でより高い選択率並びにより高い転化率が見られた。この収率は、比較例に関して2倍以上高かった。
【0083】
実施例4:
図2による三次元的に構造化された形「クロスチャンネル構造」を、SiO2から製造した。この長さは100mmであり、直径は80mmである。
【0084】
ラピッドプロトタイピングを用いた付形は、ProMetal RCT S15(ProMetal RCT GmbH社、86167 Augsburg)により、粉末層及び結合剤層を交互に塗布することにより行った。粉末として、粒子直径140μmを有する石英砂GS14(Strobel Quarzsand GmbH社、92271 Freihung)及び結合剤としてフラン樹脂−酸−混合物を使用したAskuran 120(Ashland-Suedchemie社、40721 Hilden)及びRPT 100(Ashland-Suedchemie社、40721 Hilden)のこの結合剤混合物を、混合比100:40で使用し、その際、前記樹脂を粉末に添加し、前記硬化剤を圧力ヘッドノズルによって供給した。前記粉末量に、約1.5%の樹脂量を添加した。この形を47層の構築により製造し、室温で一晩中乾燥した。
【0085】
実施例5:
流動管中での実施例4からラピッドプロトタイピングにより製造したSiO2成形体を通過するガス貫流の際に生じる圧力損失を測定した。比較として、SiO2押出物(直径:1.5mm;平均長さ5〜10mm)からなる充填層中での圧力損失を測定した。このために、前記成形体を、直径80mmを有する特殊鋼管中に取り付けるか又はSiO2押出物は固体充填層(充填層高さ:592mm)として充填し、25℃及び常圧で窒素を用いて多様な流動速度で貫流させた。この流動速度をこの場合次第に高め、反応器内部構造又は充填層に関する圧力差を圧力センサ(NetScanner 9116、Esterline Pressure Systems、100kPaまでの圧力領域)により測定した。評価のために、空塔速度に依存して、反応器内部構造又は充填層の高さに関する圧力損失を記録した。
【0086】
次の表は、3つの選択された流動速度についてSiO2押出物と比較した構造化された成形体について測定された圧力損失を示す。
【表2】

【0087】
ラピッドプロトタイピングにより製造された構造化されたSiO2成形体は、1.5mmの押出物からなる触媒充填層よりも著しく低い圧力損失を有することが確認される。
【0088】
実施例6:
図2による三次元的に構造化された形「クロスチャンネル構造」を、α−Al23から製造した。この長さは50mmであり、直径は80mmである。
【0089】
基本的に、酸化アルミニウム顆粒CT 3000 SDP(Almatis社、67065 Ludwigshafen)を、Turbulaミキサ(Willy A. Bachofen AG, 4058 Basel,スイス国)を用いて、固体結合剤キサンタン、200メッシュ(Koenig & Wiegand, 40472 Duesseldorf)と混合した。この固体結合剤の割合は、酸化アルミニウムに対して10質量%である。この三次元的印刷を、Zプリンター310(Z-Corporation, Burlington, MA 01803, USA)を用いて、水ベースの結合剤溶液ZB54(Z-Corporation, Burlington, MA 01803, USA)の使用下で実施した。この液状の結合剤の2%を使用した。印刷後に、この部材をまず60℃で8時間乾燥し、次いで圧縮空気で吹き飛ばした。このセラミック焼成を1600℃で2時間の保持時間で行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不均一系接触化学反応における反応器内部構造としての、次の工程:
a) 粉末に基づくラピッドプロトタイピング法を用いて成形体を製造する工程、
b) 場合により、前記成形体の熱処理を実施する工程、
c) 場合により、前記成形体上に少なくとも1種の触媒活性成分を設ける工程、
d) 場合により、更なる熱処理を実施する工程、
を有し、
その際、工程b)、c)及び/又はd)は、数回実施することができる
方法により得られた触媒特性を有する成形体の使用。
【請求項2】
工程a)において、結合剤又は結合剤混合物自体又はその残留物が後の触媒(担体)としての使用の際に前記化学反応に影響を与えないか又は不利な影響を与えない結合剤又は結合剤混合物を使用することを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
工程a)中で、結合剤として、二酸化ケイ素又はアルミノケイ酸のゾル又はコロイド溶液、ケイ酸、ケイ酸エステル、シロキサン又はシリコーンを使用するか、又はビニルポリマー又は他の湿潤剤を添加した水性ベースの液体結合剤を使用することを特徴とする、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
前記成形体を、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ミッシュメタル酸化物、ヒドロタルサイト、スピネル、ペロブスカイト、金属リン酸塩、ケイ酸塩、ゼオライト、ステアタイト、コーディエライト、炭化物、窒化物又はこれらの混合物又はブレンドから構成されるか又はリン酸塩又はポリリン酸塩が使用されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
工程a)中で、1μm〜450μmの範囲内の平均粒子サイズを有する粉末状の出発材料を使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
工程b)中で、前記熱処理を、350〜2100℃の範囲内の温度でのか焼として行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
工程a)中で使用された前記粉末を、粉砕、分級、か焼、造粒、緻密化、混合、凝集の工程の少なくとも1つを有する前処理にさらすことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記成形体は反応媒体が貫流する通路を有し、前記通路は主流動方向に対して0゜〜70゜、有利に30゜〜60゜の範囲内の角度で傾斜されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
前記成形体は、有利に化学反応が行われる複数の通路及び更に有利に対流による熱輸送が行われる複数の通路を有するマルチチャンネル型充填物として配置されていて、熱輸送のための前記通路は有利に著しく傾斜されていて、かつ有利に触媒用の前記通路の直径よりも2倍〜10倍大きな水力直径を有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
前記成形体はマルチチャンネル型充填物として配置されていて、前記マルチチャンネル型充填物の個々の層はより良好な材料交換を保証するために穿孔されていることを特徴とする、請求項9記載の使用。
【請求項11】
前記充填体を充填物又は充填層として含有する塔型の反応器を反応媒体が貫流し、前記充填物は1つのエレメントからなるか又は多数のエレメントからなり、前記エレメントは縦方向に配置された充填物部分を形成し、それぞれの充填物エレメント又は充填層エレメントは多数の縦方向に配列した層から構成されていて、それぞれの層は密に配置された通路を有し、隣り合う層の前記通路は互いに交差し、かつ1つの充填物エレメント又は充填層エレメント内の前記通路は側壁を有し、前記側壁は流体に対して透過性であるか又は不透過性であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
前記成形体は塔型の反応器中の充填物であり、前記充填物は縁部の通過を抑制するために、a)縁部シールが設けられていて、全体の充填物横断面にわたり均一な貫流を保証されるか、又はb)縁部で高い気孔率を有しない構造を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
前記化学反応は実熱量を伴って進行することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
前記反応は、酸化、アンモ酸化、水素化、脱水素、異性化、水和、脱水、アミノ化、ニトロ化、アルキル化、脱アルキル、不均化、アシル化、アルコキシル化、エポキシ化、エステル化、エステル交換、メタセシス反応、二量化、オリゴマー化又は転位から選択されることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
前記反応器内部構造は、塔型反応器、有利に管束型反応器中の充填層又は充填物として存在することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−501691(P2011−501691A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528355(P2010−528355)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062956
【国際公開番号】WO2009/047141
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】