説明

反応容器の着脱方法

【課題】 内管及び外管の着脱を効率良く行うことができ、使用する着脱治具のコストを低減できる。
【解決手段】 着脱工程は、外管の下端外縁を覆うように設けられた第1台座を蓋体上に載置し、蓋体を昇降させることで外管を着脱させる工程と、支持部に内管を支持させ、支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座を蓋体上に載置し、蓋体を昇降させることで内管及び支持部を着脱させる工程と、を有し、外管を着脱させる工程と、内管及び支持部を着脱させる工程と、では、蓋体の軸心と同心状に配置するよう構成される第1台座又は第2台座に対し、第1台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の上面の少なくとも一部に重ね、第2台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の一部に重ね、共通着脱治具を介して第1台座又は第2台座を蓋体上に載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応容器の着脱方法に係り、特に半導体製造装置に用いられる反応容器の着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM等の半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に成膜等の基板処理を行う基板処理工程が実施される。係る工程は、例えば基板を処理する処理室を内側に有する内管、前記内管を囲む外管、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部を備える反応容器と、反応容器の外周側から基板を加熱する加熱装置と、を備える基板処理装置により実施されていた。
【0003】
係る基板処理装置をメンテナンスする際、例えば加熱装置に対して反応容器を着脱し、部品交換やクリーニング等を行う場合があった。従来の反応容器の着脱方法は、例えば内管用の着脱治具を用いて内管を着脱し、外管用の着脱治具を用いて外管を着脱するようにしていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−78546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の反応容器の着脱方法では、内管及び外管の着脱にそれぞれ専用の着脱治具を用いていたので、治具交換等が煩雑であり、効率が悪くなってしまう場合があった。また、専用の着脱治具は、部品点数も多くてコストもかかっていた。
【0006】
本発明は、内管及び外管の着脱を効率良く行うことができ、使用する着脱治具のコストを低減できる反応容器の着脱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、処理室を内側に有する内管と、前記内管を囲む外管と、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部と、を備える反応容器の前記処理室内に基板を搬入して前記支持部の下端を蓋体により閉塞し、前記反応容器の外周側から加熱装置により前記基板を加熱して前記基板を処理する処理工程と、前記加熱装置に対して前記反応容器を着脱する着脱工程と、を有し、前記着脱工程は、前記外管の下端外縁を覆うように設けられた第1台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記外管を着脱させる工程と、前記支持部に前記内管を支持させ、前記支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、を有し、前記外管を着脱させる工程と、前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、では、前記蓋体の軸心と同心状に配置するよう構成される前記第1台座又は前記第2台座に対し、前記第1台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の上面の少なくとも一部に重ね、前記第2台座の下側面の少なくとも一部を前記共通着脱治具の前記上面の少なくとも一部に重ね、前記共通着脱治具を介して前記第1台座又は前記第2台座を前記蓋体上に載置する反応容器の着脱方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る反応容器の着脱方法によれば、内管及び外管の着脱を効率良く行うことが
でき、使用する着脱治具のコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉の主要構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉の要部拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る外管の取り付け手順を示す概略説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る内管及び支持部の取り付け手順を示す概略説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る外管の取り付け時の一状態を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る内管及び支持部の取り付け時の一状態を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るばねピンの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
(1)装置構成
図1は本発明の一実施形態に係る基板処理装置が備える処理炉の縦断面図である。図1に示されているように、基板処理装置は処理炉202を備えている。
【0011】
(インナチューブ)
処理炉202の内部には、内管としてのインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、非金属であって、例えば石英(SiO)又は炭化シリコン(SiC)等の耐熱耐食性材料からなる。インナチューブ204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。処理炉202は例えばシリコン(Si)等の基板としてのウエハ200を処理する処理室201を内部に備えている。処理室201は、後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
【0012】
(アウタチューブ)
インナチューブ204の外側には、外管としてのアウタチューブ205が同心状に配設されている。アウタチューブ205は、非金属であって、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。アウタチューブ205の内径は、インナチューブ204の外径よりも大きく構成されている。アウタチューブ205は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ205の下端外縁の全周には、下部フランジ205aが形成されている。主にインナチューブ204とアウタチューブ205とで反応管203が構成されている。
【0013】
(インレットアダプタ)
インナチューブ204及びアウタチューブ205の下方には、支持部としてのインレットアダプタ209が配設されている。インレットアダプタ209は、非金属であって、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。インレットアダプタ209とアウタチューブ205との間にはシール部材としてのOリング(図示しない)が設けられている。また、インレットアダプタ209の下端外縁の全周には、下部フランジ209aが形成されている。このインレットアダプタ209の下部フランジ209aは、ヒータベース251に支持されるヒータユニット206にボルトにより固着されて支持される。インレットアダプタ209がヒータユニット206に支持されることで、反応管203は垂直に据え付けられた状態となっている。インレットアダプタ209は、反応管203(インナチューブ204及びアウタチューブ205)と同心状に設置されている。主にインレッ
トアダプタ209と反応管203とにより、反応容器207が構成されている。
【0014】
(ヒータユニット)
反応容器7の外側には、加熱装置としてのヒータユニット206が配設されている。ヒータユニット206は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に構成されている。ヒータユニット206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。処理室201内には、温度検出器としての温度センサ(図示しない)が設置されている。ヒータユニット206及び温度センサには、後述の制御部としてのコントローラ240が電気的に接続されており、温度センサにより検出された温度情報に基づきヒータユニット206への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0015】
(ガス供給系)
また、インレットアダプタ209には、ガス導入部としての単数又は複数のガス供給管230の下流端が処理室201内に連通するように接続されている。ガス供給管230の上流側には、上流側から順に、処理ガス供給源や不活性ガス供給源等のガス供給源(図示しない)、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241及びバルブ(図示しない)が設けられている。主に、ガス供給管230、ガス供給源、MFC241、バルブによりガス供給系が構成される。なお、MFC241及びバルブには、後述のコントローラ240が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0016】
(排気系)
また、アウタチューブ205の下側壁には、反応容器207内の雰囲気を排気する排気管231が、一体成形されている。つまり、排気管231は、ヒータユニット206の下端から外部に露出しているアウタチューブ205の下部に一体的に設けられている。排気管231の下流側には圧力検出器としての圧力センサ(図示しない)、圧力調整器であるAPC(Auto Pressure Controller)242、排気装置である真空ポンプ246が設けられている。なお、APC242は、弁を開閉して処理室201内を真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能なように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ、APC242、真空ポンプ246により排気系が構成される。なお、圧力センサ、APC242、真空ポンプ246には、後述のコントローラ240が電気的に接続されており、真空ポンプ246を作動させつつ、圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPC242の弁の開度を調節することにより、処理室201内の雰囲気が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0017】
(シールキャップ)
インレットアダプタ209の下方には、インレットアダプタ209の下端開口を気密に閉塞可能な蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はインレットアダプタ209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。そして、シールキャップ219はインレットアダプタ209の軸心延長上に設けられている。シールキャップ219は、反応管203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ(図示しない)によって垂直方向に昇降されるように構成されている。これにより、後述のボート217を処理室201内外に搬入搬出することが可能となっている。シールキャップ219の上面にはインレットアダプタ209の下端と当接するシール部材としてのOリング(図示しない)が設けられる。
【0018】
(回転機構)
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機
構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されている。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。回転機構254及びボートエレベータには、後述のコントローラ240が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0019】
(ボート)
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。ボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、断熱部材216が配置されている。断熱部材216は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。断熱部材216は、ヒータユニット206からの熱がインレットアダプタ209側に伝わり難くなるよう構成されている。
【0020】
(コントローラ)
制御部としてのコントローラ240は、MFC241、バルブ(図示しない)、圧力センサ、APC242、真空ポンプ246、回転機構254、ボートエレベータ(図示しない)、ヒータユニット206、温度センサ(図示しない)に接続されている。コントローラ240により、MFC241の流量調整、バルブの開閉動作、APC242の開閉及び圧力センサに基づく圧力調整動作、温度センサに基づくヒータユニット206の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、回転機構254の回転速度調節、ボートエレベータの昇降動作等の制御が行われる。
【0021】
(2)基板処理工程
次に、上記構成に係る処理炉202を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として、例えばCVD法によりウエハ200上に薄膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明において、処理炉202を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0022】
まず、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)され、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ(図示しない)によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリングを介してインレットアダプタ209の下端をシールした状態となる。
【0023】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づきAPC242が、フィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータユニット206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサが検出した温度情報に基づきヒータユニット206への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。ボート217の回転は、基板処理が終了してウエハ200が処理室201内から搬出されるまで継続される。
【0024】
次いで、処理ガスが処理ガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御され、ガス供給管230から処理室201内に導入される。導入された処理ガスは処理室201内を上昇し、インナチューブ204の上端開口からインナチューブ204とアウタチューブ205との間に形成される筒状空間250に流出して排気管231から排気される。処理ガスは、処理室201内を通過する際に、ウエハ200の表面と接触し、例えば熱CVD反応によってウエハ200の表面上に薄膜を堆積(デポジション)さ
せる。予め設定された処理時間が経過すると、処理ガスの供給が停止され、成膜処理を終了する。
【0025】
そして、不活性ガス供給源からガス供給管230を介してパージガスとして不活性ガスが供給されつつ、処理室201内のガス雰囲気が排気されて未反応ガスや中間生成物等を処理室201内から排出する。所定時間が経過したら、回転機構254を停止してウエハ200の回転を停止する。そして、APCバルブ242の開度が調節されて処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0026】
その後、ボートエレベータによりシールキャップ219が下降されて、インレットアダプタ209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に保持された状態でインレットアダプタ209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0027】
(3)反応容器の着脱工程の概要
ところで、上述の基板処理工程を繰り返し続けると、例えば反応容器207に反応生成物が付着してしまう。そのため、この付着した反応生成物を除去する等のメンテナンスを所定時間毎に実施する必要がある。このようなメンテナンスを行う際、ヒータユニット206に対して反応容器207の着脱を行う場合がある。また、処理炉202を新たに組み立てる際にも、反応容器207の着脱を行う場合がある。
【0028】
次に、このような反応容器207の着脱工程を説明する。先ず、アウタチューブ205を着脱させる工程の概略的な説明をした後、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程の概略的な説明を行う。その後、両工程におけるシールキャップ周辺の構成な説明を行う。図3はアウタチューブ205の取り付け手順を示す概略説明図であり、図4はインナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付け手順を示す概略説明図である。
【0029】
(アウタチューブを着脱させる工程)
先ず、アウタチューブ205の取り付け手順の全体的な流れを説明する。アウタチューブ205の着脱は、例えば処理炉202の下方に設けられた移載室(図示しない)を使用する。先ず、移載室と装置外との間で台車(図示しない)によりアウタチューブ205を運搬する。そして、移載室内において、台車上に設置された例えば二股フォーク形状のスライドアーム505によりシールキャップ219上にアウタチューブ205を受載する。次に、ボートエレベータ(図示しない)によってシールキャップ219を昇降することで、アウタチューブ205を昇降させてアウタチューブ205の着脱を行う。この際、アウタチューブ205の着脱は、台車上のスライドアーム505、シールキャップ219、及びシールキャップ219上に載置される共通着脱治具400を用いて行われる。
【0030】
このアウタチューブ205の取り付け手順について図3を参照して説明する。
【0031】
図3(a)に示すように、シールキャップ219を最下位置まで降下させる。そして、シールキャップ219上にアダプタ治具401を固定し、このアダプタ治具401にコネクション治具402を嵌合する。また、図示しない台車に設けられたスライドアーム505上にアタッチメント治具403を載置する。
【0032】
主にアダプタ治具401及びコネクション治具402と、アタッチメント治具403とから共通着脱治具400が構成される。
【0033】
図3(b)に示すように、更にアタッチメント治具403上にアウタチューブ205を立設する。そして、アウタチューブ205を立設したスライドアーム505をヒータユニット206の下方まで前進させる。そして、アウタチューブ205の中心をヒータユニット206の軸心に合わせる。
【0034】
図3(c)に示すように、シールキャップ219によりアダプタ治具401及びコネクション治具402を上昇させる。そして、スライドアーム505の2本のフォーク状部分の間からコネクション治具402上にアタッチメント治具403を受載する。
【0035】
図3(d)に示すように、アタッチメント治具403がスライドアーム505から離反するまで上昇した位置で、スライドアーム505を後退させる。
【0036】
図3(e)に示すように、更に、シールキャップ219を上昇させ、アウタチューブ205をヒータユニット206内に挿入する。そして、アウタチューブ205をヒータユニット206に固着し取り付ける。
【0037】
図3(f)に示すように、ヒータユニット206内にアウタチューブ205を残し、シールキャップ219を最下位置まで降下させる。そして、コネクション治具402上に受載したアタッチメント治具403を取り外す。これにより、ヒータユニット206へのアウタチューブ205の取り付けが終了する。
【0038】
アウタチューブ205の取り外しは前述した取り付けとは逆の手順で行われる。なお、アウタチューブ205の取り外しは、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り外しの後に行われる。
【0039】
(インナチューブ及びインレットアダプタを着脱させる工程)
次に、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付け手順の全体的な流れを説明する。インナチューブ204及びインレットアダプタ209の着脱は、上述したアウタチューブ205の着脱と同様に移載室(図示しない)を使用し、台車に設けられたスライドアーム505、シールキャップ219、及びシールキャップ219上に載置される共通着脱治具400を用いて行われる。
【0040】
このインナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付け手順について図4を参照して説明する。
【0041】
図4(a)に示すように、シールキャップ219上にはアダプタ治具401及びコネクション治具402が載置されており、シールキャップ219が最下位置に降下したままの状態である。そして、スライドアーム505上にアタッチメント治具403を載置する。なお、アウタチューブ205と同様に、主にアダプタ治具401及びコネクション治具402と、アタッチメント治具403とから共通着脱治具400が構成される。
【0042】
図4(b)に示すように、更にスライドアーム505上にアタッチメント治具403を介してインナチューブ204を載置したインレットアダプタ209を立設する。そして、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を立設したスライドアーム505をヒータユニット206の下方まで前進させる。そして、インレットアダプタ209の中心をヒータユニット206の軸心に合わせる。
【0043】
図4(c)に示すように、シールキャップ219によりアダプタ治具401及びコネクション治具402を上昇させる。そして、スライドアーム505の2本のフォーク状部分の間からコネクション治具402上にアタッチメント治具403を受載する。
【0044】
図4(d)に示すように、アタッチメント治具403がスライドアーム505から離反するまで上昇した位置で、スライドアーム505を後退させる。
【0045】
図4(e)に示すように、更に、シールキャップ219を上昇させ、インナチューブ204及びインレットアダプタ209をアウタチューブ205内に挿入する。そして、インレットアダプタ209をヒータユニット206に固着することで、インナチューブ204及びインレットアダプタ209をヒータユニット206に取り付ける。
【0046】
図4(f)に示すように、インナチューブ204及びインレットアダプタ209をヒータユニット206内に残し、シールキャップ219を最下位置まで降下させる。そして、アタッチメント治具403をコネクション治具402から取り外す。そして、コネクション治具402及びアダプタ治具401もシールキャップ219から取り外す。これにより、ヒータユニット206へのインナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付けが終了し、反応容器207の取り付けが完了する。
【0047】
インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り外しは前述した取り付けとは逆の手順で行われる。なお、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り外しは、アウタチューブ205の取り外しに先駆けて行われる。
【0048】
上記方法によれば、着脱作業時にアウタチューブ205と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209と、は、スライドアーム505、シールキャップ219により支持される。これにより、作業者はヒータユニット206へのボルトの取り付け、取り外しのみを行えばよく、その結果、着脱作業手順が簡略化されると共に、重量物の支持を行う必要がなく安全性が向上し、少人数での作業が可能となり省力化が図れる。
【0049】
(シールキャップ周辺の構成)
次に、図2を用いてさらに詳細にシールキャップ周辺の構成を説明する。図2は本発明の一実施形態に係る処理炉202の要部拡大図である。なお、支持部であるインレットアダプタ209及び蓋体であるシールキャップ219については既に概略を説明したが、ここでは、反応容器207の着脱の観点からインレットアダプタ209及びシールキャップ219をさらに詳細に説明する。
【0050】
(インレットアダプタ)
本実施形態のインレットアダプタ209は、アウタチューブ205の内側にアウタチューブ205の下端から上方側に延出して処理室201内に設けられている。インレットアダプタ209は、インナチューブ204及びアウタチューブ205をそれぞれ下方から支持している。すなわち、インレットアダプタ209は、インナチューブ204の下端をインレットアダプタ209の上端内周側で支持すると共に、アウタチューブ205の下端をインレットアダプタ209の上端外周側で支持するように形成されている。インレットアダプタ209の内周側は、外周側より一段高く構成されている。そして、インナチューブ204は、インレットアダプタ209に載置され、メンテナンス時にインレットアダプタ209と一体的に着脱されるようになっている。なお、インレットアダプタ209には、筒状部に複数のガス供給管230を取り付けるための取付孔(図示せず)が設けられている。
【0051】
また、インレットアダプタ209には、径方向外方に突出させた固定用の取付片(図示しない)が周方向に等間隔に設けられている。固定用の取付片にはボルト挿通孔(図示しない)が形成され、このボルト挿通孔に挿入したボルト(図示しない)をヒータユニット206に捩込み、インレットアダプタ209をヒータユニット206に固定することが可
能になっている。
【0052】
(第1台座)
アウタチューブ205には、第1台座601がアウタチューブ205の下端外縁である下部フランジ205aを覆うように設けられている。第1台座601は、例えばステンレス等の金属からなる。第1台座601はリング状に形成されており、アウタチューブ205の下部フランジ205aの全周囲に設けられている。第1台座601の下側面には、アタッチメント治具403に当接する当接面601aが設けられている。当接面601aには、アタッチメント治具403の後述するばねピンを挿入可能なピン受け穴601bが設けられている。
【0053】
また、第1台座601には、インレットアダプタ209と同様に、径方向外方に突出させた固定用の取付片(図示しない)が周方向に等間隔に設けられている。固定用の取付片にはボルト挿通孔(図示しない)が形成され、このボルト挿通孔に挿入したボルト(図示しない)をヒータユニット206に捩込み、第1台座601をヒータユニット206に固定することが可能になっている。
【0054】
(第2台座)
また、インレットアダプタ209には、第2台座602がインレットアダプタ209の下端外縁である下部フランジ209aを一部覆うように設けられている。第2台座602は、例えばステンレス等の金属からなる。第2台座602はリング状に形成されており、下部フランジ209aの全周囲に設けられている。第2台座602の下側面には、アタッチメント治具403に当接する当接面602aが設けられている。当接面602aには、アタッチメント治具403の後述するばねピンを挿入可能なピン受け穴602bが設けられている。
【0055】
そして、上述の第1台座601の当接面601aがアタッチメント治具403の後述の保持面に重なると共に、第2台座602の当接面602aがアタッチメント治具403の後述の保持面に重なるように、これら第1台座601及び第2台座602は、シールキャップ219の軸心219cと同心状に配置されて構成されている。
【0056】
(シールキャップ)
上述したようにシールキャップ219は、図示しないボートエレベータによって垂直方向に昇降可能に構成されている。シールキャップ219は、2重構造の円盤状に形成されている。すなわち、シールキャップ219の上部219aは処理室201内を構成しており、非金属であって、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。シールキャップ219の下部219bは例えばステンレス等の金属からなる。図5に示すように、ボートエレベータに設けられる昇降ブロック129には、水平方向に延出している連結具としてのアーム128が固着されている。シールキャップ219はアーム128に水平に据え付けられている。なお、アウタチューブ205の着脱と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の着脱とを行う場合は、ボートエレベータからボート217を取り外した状態で行われる。
【0057】
(共通着脱治具)
次に、共通着脱治具400の詳細構成について説明する。上述したように共通着脱治具400は、アダプタ治具401、コネクション治具402及びアタッチメント治具403により構成されている。これらアダプタ治具401、コネクション治具402及びアタッチメント治具403をこの順番に説明する。
【0058】
(アダプタ治具)
アダプタ治具401は、シールキャップ219上に載置される着脱治具である。アダプタ治具401は、コネクション治具402と嵌合可能な円筒形状に形成されている。アダプタ治具401は、その上面にコネクション治具402の位置決めピン(図示しない)と嵌合可能な位置決め孔(図示しない)が設けられている。
【0059】
(コネクション治具)
アダプタ治具401に嵌合されるコネクション治具402は、アタッチメント治具403を載置する。このコネクション治具402はハット形状に構成されており、上端が閉塞し下端が開口した筒部432とフランジ433とを有する。筒部432内には、アダプタ治具401が嵌合される空間434が形成されている。また、筒部432の頂部には、アタッチメント治具403の下側面中央部に設けたテーパ形状の凸部414と係合するテーパ形状の凹部441が形成されている。このテーパ形状の凹部441には位置決めピン(図示しない)が突設され、この位置決めピンにはアダプタ治具401の位置決め孔(図示しない)が嵌合可能となっている。このテーパ状の凹部441の位置決めピンが位置決め孔に嵌合して、シールキャップ219に対してコネクション治具402の位置関係が決定される。
【0060】
なお、アダプタ治具401及びコネクション治具402の、少なくともシールキャップ219の上面に載置される下側面は、非金属であって、例えば石英又は炭化シリコン等の耐熱耐食性材料からなる。これにより、共通着脱治具400を介してシールキャップ219上に第1台座601又は第2台座602を載置させることで、シールキャップ219の上面に金属部材と接触することこがなく、その結果シールキャップ219上面が金属により汚染されることを抑制させることができる。
【0061】
(アタッチメント治具)
コネクション治具402に載置されるアタッチメント治具403は、アウタチューブ205を、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を、立設したままスライドアーム505上からシールキャップ219上に移載する着脱治具である。アタッチメント治具403には、その中央に貫通孔413が設けられている。この貫通孔413の外周には、コネクション治具402の頂部に形成したテーパ形状の凹部441と係合するテーパ形状の凸部414が形成されている。また、アタッチメント治具403には、スライドアーム505の位置決めピン508が嵌合可能な位置合わせ用の位置決め孔417が貫通して設けられている。なお、アタッチメント治具403は金属製であれば良いが、好ましくは軽量で作業性が良いアルミ合金により形成すると良い。
【0062】
アタッチメント治具403の上面は、第1台座601の下側面に誘導可能で、垂直方向に係合して水平方向に位置決めされるよう構成されている。具体的に説明すると、アタッチメント治具403の上面には第1台座601の当接面601aを保持する保持面403aが設けられている。そして、保持面403aには、第1台座601のピン受け穴601bに垂直方向に係合して水平方向に位置決めされるばねピン450がばねピン孔部403bに設けられている。例えば図7に示すように、ばね受け部450cに設けられたばね450bがピン450aを付勢して保持面403a上にピン450aが突出するよう構成されている。ピン450aの頭部は、例えば略円錐台形状に形成されている。
【0063】
このようにアタッチメント治具403が構成されることで、アウタチューブ205にアタッチメント治具403を取り付ける際、第1台座601に対しアタッチメント治具403の大体の位置を合わせた後、第1台座601の下側面にばね450cの付勢力に抗してアタッチメント治具403の上面を当接させる。そして、第1台座601の下側面に対してアタッチメント治具403の上面を摺動させると、ピン450aが第1台座601のピン受け穴601bに位置したところでピン450aがピン受け穴601bに挿入される。
これにより、第1台座601の当接面601aにアタッチメント治具403の保持面403aを誘導させることができ、第1台座601のピン受け穴601bにピン450aが挿入されることで、アタッチメント治具403が第1台座601に垂直方向に係合されてアウタチューブ205を水平方向に位置決めすることができる。また、アタッチメント治具403が第1台座601に対して垂直方向に係合した後は、アウタチューブ205が水平方向に位置ずれしないので、安定してアウタチューブ205を昇降させることができる。また、アウタチューブ205からアタッチメント治具403を取り外す際は、アタッチメント治具403が第1台座601に対して降下することで、ピン450aがピン受け穴601bから容易に抜け、アタッチメント治具403と第1台座601との係合が解除される。これにより、アウタチューブ205からアタッチメント治具403を容易に取り外すことができる。
【0064】
また、アタッチメント治具403は、第1台座601と同様に第2台座602にも共通に取り付け可能である。すなわち、図6に示すように保持面403aのばねピン450が第2台座602のピン受け穴602bに垂直方向に係合して水平方向に位置決めされ、保持面403aが第2台座602の当接面602aを保持するよう構成されている。これにより、インナチューブ204を載置したインレットアダプタ209にアタッチメント治具403を取り付ける際、上述したアウタチューブ205を取り付けたのと同様に、第2台座602のピン受け穴602bにピン450aが挿入されることで、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を水平方向に位置決めすることができ、安定してインナチューブ204及びインレットアダプタ209を昇降させることができる。また、インレットアダプタ209からアタッチメント治具403を取り外す際も第1台座601と同様に、アタッチメント治具403が第2台座602に対して降下することで、ピン450aがピン受け穴602bから容易に抜け、アタッチメント治具403と第2台座602との係合が解除される。これにより、インナチューブ204及びインレットアダプタ209からアタッチメント治具403を容易に取り外すことができる。
【0065】
上述したように、共通着脱治具400は、アダプタ治具401及びコネクション治具402と、アタッチメント治具403とにより構成されている。これにより、アウタチューブ205を着脱させる工程と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程と、で、それぞれ専用の着脱治具を用いる必要がないので、治具交換等の手間をかけることなくアウタチューブ205の着脱と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の着脱と、を効率良く行うことができる。また、共通着脱治具400は、部品点数も少なくなるので、使用する着脱治具のコストを低減できる。
【0066】
(4)反応容器の着脱工程の詳細
次に、反応容器の着脱工程の詳細な説明としてアウタチューブ205、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付け手順についてそれぞれ説明する。
【0067】
(アウタチューブの着脱工程)
まず、外管としてのアウタチューブ205の取り付け手順について図5を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係るアウタチューブ205の取り付け時の一状態を示す説明図である。
【0068】
図3(a)で説明したように、シールキャップ219を最下位置まで降下した状態とする。また、図示しない台車上にスライドアーム505を設置した状態とする。シールキャップ219上にアダプタ治具401を取り付け、そのアダプタ治具401にコネクション治具402を嵌合させる。アダプタ治具401とコネクション治具402との嵌合は、コネクション治具402のテーパ形状の凹部441に突設された位置決めピン(図示しない)が、アダプタ治具401の位置決め孔(図示しない)に挿入される形で行われる。また
、台車のスライドアーム505上にアタッチメント治具403を載置する。
【0069】
図3(b)で説明したように、アタッチメント治具403にアウタチューブ205を取り付けて立設する。ここで、アタッチメント治具403へのアウタチューブ205の取り付けは、第1台座601に対しアタッチメント治具403の大体の位置を合わせた後、アタッチメント治具403の上面を当接させて第1台座601の下側面に対してアタッチメント治具403の上面を摺動させる。すると、第1台座601のピン受け穴601bに位置したところでピン450aがピン受け穴601bに挿入される。これにより、第1台座601の当接面601aにアタッチメント治具403の保持面403aを誘導させることができ、アタッチメント治具403が第1台座601に垂直方向に係合されてアウタチューブ205を水平方向に位置決めすることができる。また、アタッチメント治具403が第1台座601に対して垂直方向に係合した後は、アウタチューブ205が水平方向に位置ずれしないので、安定してアウタチューブ205を昇降させることができる。そして、スライドアーム505を前進させ移載室内の処理炉202の下部にアウタチューブ205を進入させる。アウタチューブ205の中心をヒータユニット206の軸心に合わせる。このとき、シールキャップ219上に載置されているコネクション治具402は、スライドアーム505で支持されているアタッチメント治具403の真下に位置する。
【0070】
図3(c)で説明したように、シールキャップ219によりアダプタ治具401及びコネクション治具402を上昇させる。そして、スライドアーム505上のアタッチメント治具403にコネクション治具402の上面を当接させる。さらに、シールキャップ219を上昇させることにより、図5に示すように、スライドアーム505の2本のフォーク状部分の間からシールキャップ219によりアウタチューブ205を持ち上げる。これにより、アタッチメント治具403を介してアウタチューブ205をスライドアーム505からシールキャップ219上のコネクション治具402上に移載させることができる。このとき、位置決めピン508が位置決め孔417に嵌合し、シールキャップ219に対して共通着脱治具400(アタッチメント治具403、コネクション治具402及びアダプタ治具401)の位置関係が決定される。
【0071】
図3(d)で説明したように、アタッチメント治具403がスライドアーム505から離反するまで上昇した位置で、スライドアーム505を後退させる。
【0072】
図3(e)で説明したように、更にシールキャップ219を上昇させ、アウタチューブ205をヒータユニット206内に挿入する。そして、図1に示すアウタチューブ205の設置位置で、第1台座601に設けた固定用の取付片のボルト挿通孔(図示しない)にボルト(図示しない)を捩込み、第1台座601をヒータユニット206に固着することで、アウタチューブ205をヒータユニット206に固着し取り付ける。
【0073】
図3(f)で説明したように、ヒータユニット206にアウタチューブ205を残し、コネクション治具402にアタッチメント治具403を載せたシールキャップ219を最下位置まで降下させる。このとき、アタッチメント治具403が第1台座601に対して降下することで、ピン450aがピン受け穴601bから容易に抜け、アタッチメント治具403と第1台座601との係合が解除される。そして、シールキャップ219が最下位置まで降下したら、アタッチメント治具403をコネクション治具402から取り外す。これにより、ヒータユニット206へのアウタチューブ205の取り付けが終了する。
【0074】
(インナチューブ及びインレットアダプタを着脱させる工程)
次にアウタチューブ205の取り付け手順に引き続いて、内管としてのインナチューブ204及び支持部としてのインレットアダプタ209の取り付け手順について図6を用いて説明する。図6は本発明の一実施形態に係るインナチューブ204及びインレットアダ
プタ209の取り付け時の一状態を示す説明図である。
【0075】
図4(a)で説明したように、シールキャップ219上にはアダプタ治具401及びコネクション治具402が載置されており、シールキャップ219が最下位置に降下したままの状態である。そして、スライドアーム505上にアタッチメント治具403を載置する。
【0076】
図4(b)で説明したように、更にスライドアーム505上にアタッチメント治具403を介してインナチューブ204を載置したインレットアダプタ209を立設する。ここで、アタッチメント治具403へのインレットアダプタ209の取り付けは、第2台座602にアタッチメント治具403を取り付けることで行われる。第2台座602に対しインレットアダプタ209の大体の位置を合わせた後、アタッチメント治具403の上面を当接させて第2台座602の下側面に対してアタッチメント治具403の上面を摺動させることで、ピン450aがピン受け穴602bに挿入されてアタッチメント治具403が第2台座602に垂直方向に係合される。これにより、アタッチメント治具403が第2台座602に垂直方向に係合されてインナチューブ204及びインレットアダプタ209を水平方向に位置決めすることができ、また、垂直方向に係合した後は、インナチューブ204及びインレットアダプタ209が水平方向に位置ずれしないので、安定してインナチューブ204及びインレットアダプタ209を昇降させることができる。そして、スライドアーム505を前進させ移載室内の処理炉202の下部にインナチューブ204及びインレットアダプタ209を進入させる。インナチューブ204及びインレットアダプタ209の中心をヒータユニット206の軸心に合わせる。このとき、シールキャップ219上に載置されているコネクション治具402は、スライドアーム505で支持されているアタッチメント治具403の真下に位置する。
【0077】
図4(c)で説明したように、シールキャップ219によりアダプタ治具401及びコネクション治具402を上昇させる。そして、スライドアーム505上のアタッチメント治具403にコネクション治具402の上面を当接させる。さらに、シールキャップ219を上昇させることにより、図6に示すように、スライドアーム505の2本のフォーク状部分の間からシールキャップ219によりインナチューブ204及びインレットアダプタ209を持ち上げる。これにより、アタッチメント治具403を介してインナチューブ204及びインレットアダプタ209をスライドアーム505からシールキャップ219上のコネクション治具402上に移載させることができる。このとき、位置決めピン508が位置決め孔417に嵌合し、シールキャップ219に対して共通着脱治具400(アタッチメント治具403、コネクション治具402及びアダプタ治具401)の位置関係が決定される。
【0078】
図4(d)で説明したように、アタッチメント治具403がスライドアーム505から離反するまで上昇した位置で、スライドアーム505を後退させる。
【0079】
図4(e)で説明したように、更にシールキャップ219を上昇させ、インナチューブ204及びインレットアダプタ209をヒータユニット206内に挿入する。そして、図1に示すインナチューブ204及びインレットアダプタ209の設置位置で、インレットアダプタ209に設けた固定用の取付片のボルト挿通孔(図示しない)にボルト(図示しない)を捩込み、インレットアダプタ209をヒータユニット206に固着し、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を取り付ける。これにより、第1台座601及び第2台座602は、シールキャップ219の軸心219cと同心状に配置されヒータユニット206に設置される。第1台座601及び第2台座602がこのように設置されることで、着脱治具400はアウタチューブ205を着脱させる工程で第1台座601の当接面601aに、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工
程で第2台座602の当接面602aに、それぞれ保持面403aを重ねることができるよう構成される。
【0080】
図4(f)で説明したように、ヒータユニット206にインナチューブ204及びインレットアダプタ209を残し、コネクション治具402にアタッチメント治具403を載せたシールキャップ219を最下位置まで降下させる。このとき、アタッチメント治具403が第2台座602に対して降下することで、ピン450aがピン受け穴602bから容易に抜け、アタッチメント治具403と第2台座602との係合が解除される。そして、シールキャップ219が最下位置まで降下したら、アタッチメント治具403をコネクション治具402から取り外す。そして、コネクション治具402及びアダプタ治具401もシールキャップ219から取り外す。そして、インナチューブ204の取り付けを完了する。これにより、アウタチューブ205、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り付けが終了し、反応容器207の取り付けが完了する。
【0081】
なお、アウタチューブ205、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の取り外しについては、上述した取り付け作業の逆の手順を実施することで行うことが可能である。
【0082】
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0083】
(a)本実施形態によれば、アウタチューブ205を着脱させる工程と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程と、では、シールキャップ219の軸心219cと同心状に配置するよう構成される第1台座601又は第2台座602に対し、第1台座601の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具400の上面の少なくとも一部に重ね、第2台座602の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具400の上面の少なくとも一部に重ね、共通着脱治具400を介して第1台座601又は第2台座602をシールキャップ219上に載置するようにしている。これにより、アウタチューブ205を着脱させる工程と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程と、で、それぞれ専用の着脱治具を用いる必要がないので、治具交換等の手間をかけることなくアウタチューブ205の着脱と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209の着脱と、を効率良く行うことができる。また、共通着脱治具400は、使用する着脱治具のコストを低減できる。
【0084】
(b)本実施形態によれば、共通着脱治具400の上面は、第1台座601の当接面601a及び第2台座602の当接面602aに誘導可能で、第1台座601の当接面601a及び第2台座602の当接面602aのそれぞれに保持面403aを垂直方向に係合して水平方向に位置決めするようにしている。これにより、共通着脱治具400は第1台座601に位置合わせ可能であり、第2台座602に位置合わせ可能である。また、アウタチューブ205と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209と、の水平方向への位置ずれを防止することが可能である。さらに、共通着脱治具400はヒータユニット206に対する第1台座601の着脱が容易となり、ヒータユニット206に対する第2台座602の着脱が容易となる。
【0085】
(c)本実施形態によれば、第1台座601及び第2台座602がそれぞれ金属材料からなり、シールキャップ219の上部219aと、共通着脱治具400の少なくとも下側面と、が非金属材料からなる。これにより、アウタチューブ205を着脱させる工程と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程と、では、金属製の第1台座601又は第2台座602を共通着脱治具400を介してシールキャップ219に載置させることで、シールキャップ219の上面が金属により汚染されることを抑制
させることができる。
【0086】
(d)本実施形態によれば、アウタチューブ205を着脱させる工程と、インナチューブ204及びインレットアダプタ209を着脱させる工程とを、有する。これにより、アウタチューブ205、インナチューブ204、インレットアダプタ209をそれぞれ単体で個別に着脱する場合に比べ、工程数を低減することができる。また、装置内での狭いスペース内で、反応管203からのインレットアダプタ209の取り付け、取り外し作業を要さず、作業が容易となる。したがって、作業効率を向上させ、メンテナンス時間を短縮させることができ、半導体製造の生産性を向上させることができる。
【0087】
また、ヒータユニット206に対してアウタチューブ205を単体で着脱することができる。これにより、排気管231を備える長尺なアウタチューブ205を、アウタチューブ205の上端部がつかえることなく、また処理炉202の装置高さを変えることなくヒータユニット206に対して着脱でき、メンテナンスを実施することができる。また、インレットアダプタ209と共にインナチューブ204をヒータユニット206に対して着脱することができる。
【0088】
<本発明の他の実施形態>
なお、薄膜が成膜される基板としては、Siウエハの他に石英ガラス基板、結晶化ガラス基板、MgO基板等であってもよい。また、本発明は、本実施形態にかかる半導体製造装置等のウエハ基板を処理する基板処理装置に限らず、プリント配線基板、液晶パネル、磁気ディスクやコンパクトディスク等の基板を処理する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0089】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0090】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0091】
本発明の一態様によれば、
処理室を内側に有する内管と、前記内管を囲む外管と、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部と、を備える反応容器の前記処理室内に基板を搬入して前記支持部の下端を蓋体により閉塞し、前記反応容器の外周側から加熱装置により前記基板を加熱して前記基板を処理する処理工程と、
前記加熱装置に対して前記反応容器を着脱する着脱工程と、
を有し、
前記着脱工程は、
前記外管の下端外縁を覆うように設けられた第1台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記外管を着脱させる工程と、
前記支持部に前記内管を支持させ、前記支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、
を有し、
前記外管を着脱させる工程と、前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、では、
前記蓋体の軸心と同心状に配置するよう構成される前記第1台座又は前記第2台座に対し、
前記第1台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の上面の少なくとも一部に重ね、
前記第2台座の下側面の少なくとも一部を前記共通着脱治具の前記上面の少なくとも一
部に重ね、
前記共通着脱治具を介して前記第1台座又は前記第2台座を前記蓋体上に載置する
反応容器の着脱方法が提供される。
【0092】
より好ましくは、
前記共通着脱治具の上面は、前記第1台座の当接面及び前記第2台座の当接面に前記着脱治具の保持面を誘導可能で、前記第1台座の前記当接面及び前記第2台座の前記当接面のそれぞれに前記保持面を垂直方向に係合して水平方向に位置決めする。
【0093】
より好ましくは、
前記第1台座の前記当接面及び前記第2台座の前記当接面にはそれぞればねピン受け穴が設けられ、前記共通着脱治具の前記保持面には、前記ばねピン受け穴に対応する位置にばねピンが設けられている。
【0094】
より好ましくは、
前記第1台座及び前記第2台座がそれぞれ金属材料からなり、
前記蓋体の少なくとも上面及び前記共通着脱治具の少なくとも下側面が非金属材料からなる。
【0095】
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室を内側に有する内管、前記内管を囲む外管、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部を備える反応容器と、
前記反応容器の外周側から前記基板を加熱する加熱装置と、
前記支持部の下端を閉塞する昇降可能な蓋体と、
前記外管の下端外縁を覆うように設けられた第1台座と、
前記支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座と、
前記反応容器を前記加熱装置から着脱する際に前記蓋体に載置される共通着脱治具と、を備え
前記第1台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の上面の少なくとも一部に重なると共に、前記第2台座の下側面の少なくとも一部を前記共通着脱治具の前記上面の少なくとも一部に重なるように、前記第1台座及び前記第2台座が同心状に配置されるよう構成され、
前記共通着脱治具は、該共通着脱治具を介して前記外管を保持する前記第1台座を前記蓋体上に載置させ、前記内管及び前記支持部を保持する前記第2台座を前記蓋体上に載置させる
基板処理装置が提供される。
【0096】
本発明のさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室を内側に有する内管、前記内管を囲む外管、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部を備える反応容器と、前記反応容器の外周側から前記基板を加熱する加熱装置と、前記支持部の下端を閉塞する昇降可能な蓋体と、を備えた基板処理装置に用いられる反応容器の着脱治具であって、
前記外管の下端外縁を覆うように設けられた前記第1台座を保持した状態で、又は前記内管を支持した前記支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座を保持した状態で、前記蓋板上に載置される
反応容器の着脱治具が提供される。
【符号の説明】
【0097】
200 ウエハ(基板)
201 処理室
204 インナチューブ(内管)
205 アウタチューブ(外管)
206 ヒータユニット(加熱装置)
207 反応容器
209 インレットアダプタ(支持部)
219 シールキャップ(蓋体)
400 共通着脱治具
601 第1台座
602 第2台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室を内側に有する内管と、前記内管を囲む外管と、前記内管及び前記外管をそれぞれ下方から支持する支持部と、を備える反応容器の前記処理室内に基板を搬入して前記支持部の下端を蓋体により閉塞し、前記反応容器の外周側から加熱装置により前記基板を加熱して前記基板を処理する処理工程と、
前記加熱装置に対して前記反応容器を着脱する着脱工程と、
を有し、
前記着脱工程は、
前記外管の下端外縁を覆うように設けられた第1台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記外管を着脱させる工程と、
前記支持部に前記内管を支持させ、前記支持部の下端外縁を覆うように設けられた第2台座を前記蓋体上に載置し、前記蓋体を昇降させることで前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、
を有し、
前記外管を着脱させる工程と、前記内管及び前記支持部を着脱させる工程と、では、
前記蓋体の軸心と同心状に配置するよう構成される前記第1台座又は前記第2台座に対し、
前記第1台座の下側面の少なくとも一部を共通着脱治具の上面の少なくとも一部に重ね、
前記第2台座の下側面の少なくとも一部を前記共通着脱治具の前記上面の少なくとも一部に重ね、
前記共通着脱治具を介して前記第1台座又は前記第2台座を前記蓋体上に載置する
ことを特徴とする反応容器の着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−222710(P2011−222710A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89663(P2010−89663)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】