説明

反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版及び版の形成方法並びに印刷物の形成方法

【課題】高精度、高品質の印刷物が作製可能で、洗浄性に優れた反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版と、版の形成方法並びに印刷物の形成方法を提供することを目的とする
【解決手段】基材上に非画線部もしくは画線部に対応する凸部20と画線部もしくは非画線部に対応する凹部30とからなる版パターンが設けられている反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版であって、凸部20は樹脂凸部21と樹脂凸部21表面に形成された吸着層22とで構成されており、吸着層22が、シランカップリング剤で構成されていることを特徴とする版。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細なパターンを印刷する必要がある分野、具体的には電気部品、電子部品等の製造において配線パターン等を印刷する時に使用する版及び版の形成方法並びに印刷物の形成方法に関し、特に、反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版及び版の形成方法並びに印刷物の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板,表示装置等の電子部品の形成にはフォトリソグラフィーと真空プロセスが用いられてきた。近年、電子技術の進歩に伴って、素子類のサイズは益々小さくなっており、それにつれて素子を形成するパターンも微細化することが要求されている。
そこで、従来のフォトレジストを用いた製造方法に比べ、生産性、コスト、高精度、大面積化等の対応や更なる微細化のため、各種印刷方法を用いた微細パターンの製造方法が提案されている。
印刷法のなかでも、微細な画像パターンを形成可能な印刷法として、反転オフセット印刷法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
反転オフセット印刷法に用いる装置は一般的に、通称ブランケットと呼ばれる筒状のインク膜形成基材と、インク膜形成基材にインクを供給しインク膜とするインク供給手段と、インク膜形成基材上に形成されたインク膜から非画像部を除去する除去版と、インク膜形成基材上に残された画像部を転写されて印刷物となる被印刷基板と、被印刷基板を印刷に適切な位置へ搬送する搬送手段とで構成される。
【0004】
インク膜形成基材には通常インク膜が剥がれ易いような処理がなされた、例えばシリコーンゴムが用いられる。また、ここではインク膜形成基材は、均一なインク膜が形成可能であれば筒状であっても板状であってもよく、例えばたわみを持たせた円弧状を選択することもできる。また除去版も適切にインク膜の非画像部を除去可能であればいずれの形状を選択してもよい。
【0005】
反転オフセット印刷の印刷工程を順を追って説明する。まず、インク供給手段からインクをインク膜形成基材上に塗布してインク膜を形成する。このとき、インクはインク膜形成基材上で予備乾燥状態に置かれ、多少の溶媒が失われたインク膜となる。ついで、該インク膜に対し所定形状の除去版を接触させて該インク膜の非画像部を転写してインク膜形成基材から除去する。ここでは除去版として画像部に対応する部位が凹部、非画像部に対応する部位が凸部となった版を使用している。次に、該インク膜形成基材上に残った該インク膜の画像部を被印刷基板に転写して、印刷物を得ることができる。また、次の印刷の前に版の洗浄を行うことが必要である。
【0006】
このような反転オフセット印刷法により画像パターンを形成する例として、基材上に導電性インクを用いて印刷を行い、電磁波シールドを作製する製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このほか、さまざまな画像パターンを印刷した印刷物の製造が望まれている。特に、一つの印刷面に対し、キャパシタ電極と配線パターンなど、大面積のべたパターンと、細く間隔の狭いパターンの両方の形成が望まれている。
【0007】
また、印刷法のなかでも、微細な画像パターンを形成可能な印刷法として、凸版印刷法を用いた電子回路の微細パターン形成技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)

【0008】
凸版印刷法とは、所望の凸部パターンを形成した版に、凸部にインクを付着した後に、版と被印刷基材を接触させ、被印刷基材上にインクを転写し、インクパターンを形成する方法である。特許文献3では、有機薄膜として、欠陥の少ない単分子膜を、再現性よく多様な被印刷基材(金属、半導体、酸化物など)上に形成できる自己組織化膜を利用している。
【0009】
また、印刷法のなかでも、特に、凹版印刷法が、従来のスクリーン印刷技術に代わるものとして注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−289320号公報
【特許文献2】特開2005−175061号公報
【非特許文献1】日経エレクトロニクス別冊「フラットパネル・ディスプレイ'90」(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記反転オフセット印刷方法を用いて従来の構成で実際に印刷してみると、印刷パターンのピッチ(線幅と線間幅の合計)が数十μm以下と、ファインパターン化するほど、ショート(非画像部にインクが付着する欠陥)等の不良発生率が増加し、印刷基板の歩留まりが悪くなるという問題を有している。
【0011】
ショート不良の発生を低減する方法は、ほとんど提案されておらず、実際に、電気回路を反転オフセット印刷方法によって作成した場合にショート不良の原因を分析すると、版凸部の汚染によりインク膜形成機材から版へのインクの転写性が不十分であるために起こる現象や、版表面のインク残りが異物となりショートを引き起こすというのが実態である。
【0012】
今後、印刷パターンのピッチがファインパターン化するほど、線間幅も短くなり、従来のピッチの広い場合では問題にならなかったような、小さなインク残りでも、ショート不良になる確率が増える。
【0013】
このような版表面のインク残りの対策としては、版表面の平滑化、版洗浄条件の最適条件を見出す研究が行われてきたが、今日現在でこれらを満足する結果はまだ得られていないのが実情である。
【0014】
また、しかしながら、上記凸版印刷方法を用いて従来の構成で実際に印刷してみると、印刷パターンのピッチ(線幅と線間幅の合計)が数十μm以下と、ファインパターン化するほど、オープン(画像部のインクが欠ける欠陥)やショート(非画像部にインクが付着する欠陥)等の不良発生率が増加し、印刷基板の歩留まりが悪くなるという問題を有している。
【0015】
オープン不良は凸版から被印刷基材へのインクの転写性が不十分であるために起こる現象であるが、オープン不良に対しては重ね刷り印刷を行うことや、特開昭57−169357号公報に提案されているような、各々異なる位置で受け取ったインクを同一箇所に転写することで凸版や転写用のブランケットゴムの不良に起因するようなオープン不良の発生を低減させる方法が考案されているが、量産性に乏しいという問題点がある。
【0016】
一方ショート不良の発生を低減する方法は、ほとんど提案されておらず、実際に、電気回路を凸版印刷方法によって作成した場合にショート不良の原因を分析すると、凸版表面のインク残りが異物となりショートを引き起こすというのが実態である。
【0017】
今後、印刷パターンのピッチがファインパターン化するほど、線間幅も短くなり、従来のピッチの広い場合では問題にならなかったような、小さなインク残り5でも、ショート不良になる確率が増える。
【0018】
このような凸版表面のインク残りの対策としては、凸版表面の平滑化、凸版洗浄条件の最適条件を見出す研究が行われてきたが、今日現在でこれらを満足する結果はまだ得られていないのが実情である。
【0019】
また、しかしながら、上記凹版オフセット印刷方法を用いて従来の構成で実際に印刷してみると、印刷パターンのピッチ(線幅と線間幅の合計)が数十μm以下と、ファインパターン化するほど、オープンやショート等の不良発生率が増加し、印刷基板の歩留まりが悪くなるという課題を有していた。このような課題に対し、オープン不良に対しては重ね刷り印刷を行うことや、特開昭57−169357号公報に提案されているような、各々異なる位置で受け取ったインキを同一箇所に転写することで凹版や転写用のブランケットゴムの不良に起因するようなオープン不良の発生を低減させる方法が考案されているが、量産性に乏しいという問題点がある。
【0020】
一方ショート不良の発生を低減する方法は、ほとんど提案されておらず、実際に、回路基板を凹版オフセット印刷方法にて作成し、ショート不良の原因を分析すると、90%以上が凹版表面のインキ残りであるというのが実態である。
【0021】
今後、印刷パターンのピッチがファインパターン化するほど、線間幅も短くなり、従来のピッチの広い場合では問題にならなかったような、凹部パターン間の小さなインキ残りでも、ショート不良になる確率が増える。また、ピッチが狭くなることは、凹部パターンの単位長さ当りの凹溝本数が増加することにつながり、結果的に、スキージが細かく振動し、場合によっては凹部パターン内のインキを物理的に飛ばしてしまうことさえある。従来のスキージ条件で問題なくスキージできていた条件でも、パターンピッチが狭くなるだけで、インキ残りが発生しやすくなるという新たな課題も併せ持っている。
【0022】
このような凹版表面のインキ残りの対策としては、凹版表面の平滑化、スキージ(材質,硬度,研磨等)の最適条件を見出す研究が行われてきたが、今日現在でこれらを満足する結果はまだ得られていないのが実情である。
【0023】
本発明は、上記問題点に鑑み考案されたもので、高精度、高品質の印刷物が作製可能で、洗浄性に優れた反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版と、版の形成方法並びに印刷物の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、基材上に非画線部もしくは画線部に対応する凸部と画線部もしくは非画線部に対応する凹部とからなる版パターンが設けられている反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版であって、前記凸部は樹脂凸部と前記樹脂凸部表面に形成された吸着層とで構成されていることを特徴とする版としたものである。
【0025】
また、請求項2においては、前記吸着層が、シランカップリング剤で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の版としたものである。
【0026】
また、請求項3においては、前記シランカップリング剤が、下記の化学式1、化学式2、化学式3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の版としたものである。
R1SiX1X2X3・・・・・・・・・・・・・・・(化学式1)
(式中、R1は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1、X2、X3は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
R1R2SiX1X2・・・・・・・・・・・・・・・(化学式2)
(式中、R1、R2は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1、X2は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
R1R2R3SiX1・・・・・・・・・・・・・・・(化学式3)
(式中、R1、R2、R3は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)。
【0027】
また、請求項4においては、基材上に感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層をパターニング処理して前記基材の所定位置に樹脂凸部を形成する工程と、前記樹脂凸部表面に気相もしくは液相で吸着層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする版の形成方法としたものである。
【0028】
また、請求項5においては、膜形成基材上にインク膜を形成した転写基材を作製する工程と、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凸部に転写基材のインク膜を転写し、前記転写基材上にインク膜パターンを形成する工程と、前記転写基材上のインク膜パターンを被印刷基材に転写する工程と、を備えていることを特徴とする反転オフセット印刷による印刷物の形成方法としたものである。
【0029】
また、請求項6においては、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凸部にインク膜を形成する工程と、前記凸部の前記インク膜を被印刷基材に印刷する工程と、を備えていることを特徴とする印刷物の形成方法としたものである。
【0030】
さらにまた、請求項7においては、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凹部にインクを充填するインキング工程と、前記凹部に充填された前記インクを被印刷基材に印刷する工程と、を備えていることを特徴とする凹版印刷による印刷物の形成方法としたものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の反転オフセット印刷用版、凸版印刷用版及び凹版印刷に用いる版は、感光性樹脂層をパターンニング処理して樹脂凸部を形成し、樹脂凸部表面にインクとの付着性が弱い吸着層が形成されているので、被印刷基材へのインク膜の転写性と版の洗浄性が優れており、ショートなどの印刷不良を抑制できる。したがって、高詳細かつ高品質の印刷物の形成が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1(a)は、反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる本発明の版の一実施
例を示す部分模式上面図を、図1(b)は、図1(a)をA−A’線で切断した部分模式断面図を、それぞれ示す。
本発明の版100は、基材11上に凸部20と凹部30とからなる版パターンが形成されており、凸部20は樹脂凸部21と樹脂凸部21表面に形成された吸着層22とから構成されている。
樹脂凸部21表面に吸着層22が形成されていると、凸部20にインク膜を形成した際にインク付着力が低下し、版からインクを除去する際のインク洗浄性が向上する。
【0033】
樹脂凸部21を形成している樹脂は、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、ウレタン、ポリビニルアルコール、メトキシメチル化ナイロン、ポリアミド、ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、オキセタン、ビニルエーテルなどの樹脂やこれらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイなどの樹脂を用いることができる。
【0034】
本発明の請求項2に係る吸着層22は、シランカップリング剤で構成されており、本発明の請求項3に係るシランカップリング剤は、下記の化学式1、化学式2、化学式3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物よりなる。
R1SiX1X2X3・・・・・・・・・・・・・・・(化学式1)
R1R2SiX1X2・・・・・・・・・・・・・・・(化学式2)
R1R2R3SiX1・・・・・・・・・・・・・・・(化学式3)
上記式中、R1、R2、R3は独立してアルキル基もしくは、全フッ素化もしくは部分フッ素化されたアルキル基である。また、式中、X1、X2、X3は独立してアルコキシ基もしくはハロゲンである。
ここで、R1、R2、R3、X1、X2、X3は、それぞれSiに結合している。
【0035】
具体的には、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、n−オクチルメトキシシロキサン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、フェノキシトリメチルシラン、シクロヘキロキシトリメチルシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘプチルトリクロロラン、オクチルトリクロロシラン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランなどのアルキル基や、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、(シクロプロピルメチル)ジメチルメトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシランなどのシクロアルキル基を有するアルコキシシランや、
ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−(ノナデカフルオロノニル)エチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、(ペンタフルオロフェニル)トリエトキシシラン、8,8,8−トリフルオロオクチルトリエトキシシラン、2−(ヘニコサフルオロデシル)エチルトリエトキシシラン、(4−フルオロフェニル)トリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H‐ペルフルオロデシルトリクロロシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリクロロシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、ヘニコサフルオロデシルトリクロロシラン、4‐フルオロベンジルトリクロロシランなどのフッ素化されたアルコキシシランなどを例としてあげることができる。
【0036】
このように、アルキル基やフッ化アルキル基を有する低表面エネルギーの表面を与える
材料を吸着層22として用いることにより、凸部20へインク膜を形成した際にインクの付着力が低下し、版からインクを除去する際の版の洗浄性が向上する。このため、高詳細の印刷においてもショートの不良を抑制でき、高詳細かつ高品質の印刷物の形成が可能な版を供給することができる。
【0037】
本発明の請求項4に係る反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版の形成方法について説明する。
図2(a)〜(c)は、反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版の形成方法の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
まず、基材11上に感光性樹脂溶液を塗布し、所定厚の感光性樹脂層を形成する(図2(a)参照)。
ここで、基材11は、石英ガラスやクリスタルガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウ珪酸ガラスなどのガラス系基材、ステンレスやアルミ、銅などの金属基材、シリコンなどから構成されるウェハー系基材や、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、シクロオレフィンポリマー、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂などの材料を用いることができ、これらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイや、ガラスエポキシ基板、1種または2種以上の上記樹脂材料を組み合わせて積層した多層構造の積層構造フィルムなどのプラスチック基材を用いることができる。
【0038】
感光性樹脂層を形成している感光性樹脂溶液は、アクリル、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、エポキシ、シリコーン、ポリメチルメタクリレート、ウレタン、ポリビニルアルコール、メトキシメチル化ナイロン、ポリアミド、ポリブタジエン、不飽和ポリエステル、オキセタン、ビニルエーテルなどの感光性樹脂やこれらの樹脂を組み合わせたポリマーアロイなどの感光性樹脂を用いることができる。また、感光性樹脂はポジ型の感光機構でもネガ型の感光機構でも用いることができる。
また、感光性樹脂層は、感光性樹脂溶液をスプレーコート、バーコート、ディップコート、ダイコート、キャップコート、スピンコート、ロールコート、アプリケーター、グラビアコートなどのウェットプロセスやラミネート法で形成することができる。
【0039】
次に、所定の露光マスクを用いて、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、基材11の所定位置に樹脂凸部21を形成する(図2(b)参照)。
【0040】
次に、上記シランカップリング剤を水や有機溶媒に溶かした溶液を用いた浸漬法、ディップ法、スピンコート法などのウェットプロセス法、または、密閉容器内で上記シランカップリング剤蒸気を用いたドライプロセス法にて、樹脂凸部21表面に吸着層22を形成し、基材11上に凸部20と凹部30とが形成された反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる本発明の版100を得ることができる(図2(c)参照)
請求項5に係る本発明の版100を用いた反転オフセット印刷による印刷物の形成方法について説明する。
図3(a)〜(e)は、本発明の版100を用いた反転オフセット印刷による印刷物の形成方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
まず、膜形成基材41上にインク膜51を形成し、膜形成基材41上にインク膜51が形成された転写基材80を作製する(図3(a)参照)。
ここで、膜形成基材41は、通称ブランケットと呼ばれ、この材料としてはインク膜の形成、版による非画像部のインク膜除去及び被印刷基板への画像部インク膜の転写が可能なものが用いられる。また、変形の少ない材料が好ましいが、ある程度の柔軟性が求められる。このような材料として、シリコーン系エラストマー、ブチルゴム、エチレンプロピレ
ンゴム、ウレタンゴムなどの各種高分子材料を用いることができる。また、ブランケット表面の濡れ性を調整するため、ブランケット表面にフッ素樹脂およびシリコーンの塗布、プラズマ処理、UVオゾン洗浄処理などの表面処理を施しても良い。このようなインク膜形成部材は通常可とう性の板として供給されるので、これを円筒形の版胴に巻きつけて用いたり、強度のある平板に固定して用いたりすることができる。
【0041】
インク膜51形成に用いるインクは、製造する印刷物の種類に応じて調整すればよく、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属、金属酸化物微粒子分散液に必要に応じて各種添加剤を加えた無機系導電性インクや、PEDOT/PSSやポリアニリン、ポリピロールなどを水や有機溶媒に溶かした有機系導電性インクや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料を有機溶媒に溶解または分散させたインク、カラーフィルター用顔料分散液、エッチングレジストなどが挙げられる。
【0042】
次に、転写基材80上に本発明の版100を密着し(図3(b)参照)、版100を剥離することにより、転写基材80上のインク膜51の一部を本発明の版100の凸部20に転写させ、膜形成基材41上にインク膜パターン51aが形成された転写基材80aを作製する(図3(c)参照)。
【0043】
次に、転写基材80aを被印刷基材61に密着させることにより(図3(d)参照)、インクパターン51bが被印刷基材61上に形成された印刷物200aを得ることができる(図3(e)参照)。
最後に、版100に付着したインクを除去するため、版の洗浄を行い次の印刷に備える。ここで、被印刷基材61は、目的とする印刷物に応じて適宜選択することができる。電子部品を製造する場合は通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ガラスエポキシ基板などのプラスチック材料、石英などのガラス基板やシリコンウェハーなどを挙げることができる。印刷物が使用される環境に合わせてフィルム等のフレキシブルな基材を選択することも可能であり、この場合は生産効率の向上のために長尺の基材を用い、連続して印刷を行うことが好ましい。
【0044】
版の洗浄方法は、プラスチックフィルムや粘着層を有するプラスチックフィルムに版上のインクを写し取る方法、洗浄液を用いた超音波洗浄やスピン洗浄、ブラシ洗浄、ディップ洗浄などのウェット洗浄を用いることができる。
【0045】
本発明の版100を用いて反転オフセット印刷にて作成された印刷物としては、例えば、回路基板、薄膜トランジスタ基板、カラーフィルター、プリント配線板、有機エレクトロルミネッセンス素子、部品内蔵基板等を挙げることができる。薄膜トランジスタ基板は、複数の薄膜トランジスタを画素に対応してアレイ状に備え、液晶ディスプレイ等各種画素毎のオン−オフが必要なディスプレイの部材として使用することができる。
【0046】
本発明の反転オフセット印刷にて形成されるインクパターンとしては、例えば、薄膜トランジスタ基板用の電極、キャパシタ電極、配線等を、また、カラーフィルター用の着色層、有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極や有機エレクトロルミネッセンス層、プリント配線板用の配線や、素子内蔵型のプリント配線板用のキャパシタ電極や誘電体層、抵抗素子電極や抵抗体、インダクタ、トランジスタ構成部材等の受動素子・能動素子、回路基板形成のためのエッチングレジスト等を挙げることができる。
【0047】
請求項6に係る本発明の版100を用いた凸版印刷による印刷物の形成方法について説明する。
図4(a)〜(e)は、本発明の版100を用いた凸版印刷による印刷物の形成方法の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
まず、膜形成基材41上にインク膜51を形成し、膜形成基材41上にインク膜51が形成された転写基材80を作製する(図4(a)参照)。
ここで、膜形成基材41は、通称ブランケットと呼ばれ、この材料としてはインク膜の形成、版による非画像部のインク膜除去及び被印刷基板への画像部インク膜の転写が可能なものが用いられる。また、変形の少ない材料が好ましいが、ある程度の柔軟性が求められる。このような材料として、シリコーン系エラストマー、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムなどの各種高分子材料を用いることができる。また、ブランケット表面の濡れ性を調整するため、ブランケット表面にフッ素樹脂およびシリコーンの塗布、プラズマ処理、UVオゾン洗浄処理などの表面処理を施しても良い。このようなインク膜形成部材は通常可とう性の板として供給されるので、これを円筒形の版胴に巻きつけて用いたり、強度のある平板に固定して用いたりすることができる。
【0048】
インク膜51形成に用いるインクは、製造する印刷物の種類に応じて調整すればよく、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属、金属酸化物微粒子分散液に必要に応じて各種添加剤を加えた無機系導電性インクや、PEDOT/PSSやポリアニリン、ポリピロールなどを水や有機溶媒に溶かした有機系導電性インクや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料を有機溶媒に溶解または分散させたインク、カラーフィルター用顔料分散液、エッチングレジストなどが挙げられる。
【0049】
次に、転写基材80上に本発明の版100を密着させて(図4(b)参照)、版100を剥離することにより、本発明の版100の凸部20上にインク膜51cが形成された版100aを作製する(図4(c)参照)。
【0050】
次に、版100aを被印刷基材61に密着させて(図4(d)参照)、インク膜51cを被印刷基材61に転移させて、版100aを剥離することにより、インクパターン51dが被印刷基材61上に形成された印刷物200bを得ることができる(図4(e)参照)。
最後に、版100aに付着したインクを除去するため、版の洗浄を行い次の印刷に備える。
ここで、被印刷基材61は、目的とする印刷物に応じて適宜選択することができる。電子部品を製造する場合は通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ガラスエポキシ基板などのプラスチック材料、石英などのガラス基板やシリコンウェハーなどを挙げることができる。印刷物が使用される環境に合わせてフィルム等のフレキシブルな基材を選択することも可能であり、この場合は生産効率の向上のために長尺の基材を用い、連続して印刷を行うことが好ましい。
【0051】
版の洗浄方法は、プラスチックフィルムや粘着層を有するプラスチックフィルムに版上のインクを写し取る方法、洗浄液を用いた超音波洗浄やスピン洗浄、ブラシ洗浄、ディップ洗浄などのウェット洗浄を用いることができる。
【0052】
本発明の版100を用いて凸版印刷にて作成された印刷物としては、例えば、回路基板、薄膜トランジスタ基板、カラーフィルター、プリント配線板、有機エレクトロルミネッセンス素子、部品内蔵基板等を挙げることができる。薄膜トランジスタ基板は、複数の薄膜トランジスタを画素に対応してアレイ状に備え、液晶ディスプレイ等各種画素毎のオン−オフが必要なディスプレイの部材として使用することができる。
【0053】
本発明の凸版印刷にて形成されるインクパターンとしては、例えば、薄膜トランジスタ基板用の電極、キャパシタ電極、配線等を、また、カラーフィルター用の着色層、有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極や有機エレクトロルミネッセンス層、プリント配線板用の配線や、素子内蔵型のプリント配線板用のキャパシタ電極や誘電体層、抵抗素子電極や抵抗体、インダクタ、トランジスタ構成部材等の受動素子・能動素子、回路基板形成のためのエッチングレジスト等を挙げることができる。
【0054】
請求項7に係る本発明の版100を用いた凹版印刷法による印刷物の形成方法について説明する。
図5(a)〜(e)は、本発明の版100を用いた凹版印刷法による印刷物の形成方法の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
まず、本発明の版100を準備し(図5(a)参照)、インクをスキージ71にてドクターリングすることにより、凹部30にインクを充填し(図5(b)参照)、版100の凹部30にインク51eが充填された版100bを作製する(図5(c)参照)。
【0055】
凹版印刷に用いるインクは、製造する印刷物の種類に応じて調整すればよく、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、ロジウム、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属、金属酸化物微粒子分散液に必要に応じて各種添加剤を加えた無機系導電性インクや、PEDOT/PSSやポリアニリン、ポリピロールなどを水や有機溶媒に溶かした有機系導電性インクや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料を有機溶媒に溶解または分散させたインク、カラーフィルター用顔料分散液、エッチングレジストなどが挙げられる。
【0056】
次に、インク51eが充填された版100bを被印刷基材61に密着させて(図5(d)参照)、インク51eを被印刷基材61に転移させて、版100bを剥離することにより、インクパターン51fが被印刷基材61上に形成された印刷物200cを得ることができる(図5(e)参照)。
最後に、版100bに付着したインクを除去するため、版の洗浄を行い次の印刷に備える。
ここで、被印刷基材61は、目的とする印刷物に応じて適宜選択することができる。電子部品を製造する場合は通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ガラスエポキシ基板などのプラスチック材料、石英などのガラス基板やシリコンウェハーなどを挙げることができる。印刷物が使用される環境に合わせてフィルム等のフレキシブルな基材を選択することも可能であり、この場合は生産効率の向上のために長尺の基材を用い、連続して印刷を行うことが好ましい。
【0057】
版の洗浄方法は、プラスチックフィルムや粘着層を有するプラスチックフィルムに版上のインクを写し取る方法、洗浄液を用いた超音波洗浄やスピン洗浄、ブラシ洗浄、ディップ洗浄などのウェット洗浄を用いることができる。
【0058】
本発明の版100を用いて凹版印刷にて作成された印刷物としては、例えば、回路基板、薄膜トランジスタ基板、カラーフィルター、プリント配線板、有機エレクトロルミネッセンス素子、部品内蔵基板等を挙げることができる。薄膜トランジスタ基板は、複数の薄膜トランジスタを画素に対応してアレイ状に備え、液晶ディスプレイ等各種画素毎のオン−オフが必要なディスプレイの部材として使用することができる。
【0059】
本発明の凹版印刷にて形成されるインクパターンとしては、例えば、薄膜トランジスタ基板用の電極、キャパシタ電極、配線等を、また、カラーフィルター用の着色層、有機エレクトロルミネッセンス素子用の電極や有機エレクトロルミネッセンス層、プリント配線板用の配線や、素子内蔵型のプリント配線板用のキャパシタ電極や誘電体層、抵抗素子電
極や抵抗体、インダクタ、トランジスタ構成部材等の受動素子・能動素子、回路基板形成のためのエッチングレジスト等を挙げることができる。
【0060】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0061】
まず、100mm×100mm、0.1mm厚のPENフィルムからなる基材11上にポジレジストを塗布して感光性樹脂層を形成し(図2(a)参照)、所定の露光マスクを用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、200℃で30分の熱処理を行って、基材11の所定位置に高さが5μmの樹脂凸部21を形成した(図2(b)参照)。
【0062】
次いで、シランカップリング剤としてフルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン社製:商品名TSL8233)をイソプロピルアルコールに0.5重量%となるよう溶解させた溶液に樹脂凸部21が形成された基材11を10分間浸漬後、120℃で10分乾燥させることにより樹脂凸部21の表面に吸着層31を形成して凸部20を形成し、基材11上に凸部20と凹部30とが形成された本発明の反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版100を作製した(図2(c)参照)。
また、ここで形成したパターンは、図1(a)に示したパターンを1単位として、ガラス板中央部の100mm四方の領域に、10単位×10単位で計100単位配置した。パターン疎領域121に対応するインクパターンは250μm×250μmの方形であり、パターン密領域111に対応するインクパターンは140μm×210μmの矩形である。パターン疎領域121とパターン密領域111との間のライン/スペース幅は5μm/5μmとした。
【実施例2】
【0063】
まず、シリコーンシートからなる膜形成基材41上に導電性インクをバーコータで塗布して導電性のインク膜51を形成し、膜形成基材41上に導電性のインク膜51が形成された転写基材80を作製した(図3(a)参照)。
ここで、導電性インクは、平均粒径20nmの銀粒子水分散液を、銀粒子が20重量部、水が80重量部となるように溶解させたものを用いた。
【0064】
次に、実施例1で得られた版100を導電性のインク膜51が形成された転写基材80に密着させ、剥離することにより、インク膜51の一部を本発明の版100の凸部20に転写させ、転写基材80上にインク膜パターン51aが形成された転写基材80aを作製した(図3(c)参照)。
【0065】
次に、転写基材80aを厚さ0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板からなる被印刷基材61に密着し(図3(d)参照)、転写基材80aを剥離することにより、インク膜パターン51aを被印刷基材61上に転写する工程を10回繰り返し、200℃で30分間熱処理して、被印刷基材61上に導電性のインクパターン51bが形成された印刷物200aを得ることができた(図3(e)参照)。
導電性のインクパターン51bを光学顕微鏡で観察したところ、非画像部へのインク付着やインク由来の異物はみられなかった。
【実施例3】
【0066】
まず、シリコーンシートからなる膜形成基材41上に下記に示すカラーフィルター用の赤色インクをバーコータで塗布して赤色インク膜51を形成し、膜形成基材41上に赤色インク膜51が形成された転写基材80を作製した(図3(a)参照)。
【0067】
赤色カラーフィルター用の赤色インクの調合
〔赤色顔料分散液の調合〕
・赤色顔料
C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)…18重量部
C.I. Pigment Red 177 (チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)…2重量部
・アクリルワニス(固形分20%)…108重量部
〔赤色インクの調合〕
上記赤色顔料分散液と下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色インクを得た。
・赤色顔料分散液…100重量部
・メチル化メチロールメラミン(三洋化成工業株式会社製:商品名MW−30)…20重量部
・レベリング剤(大日本インキ化学工業株式会社製:商品名メガファック F−483SF)…1重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル…85重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート…45重量部
次に、実施例1で得られた版100を赤色インク膜51が形成された転写基材80に密着させ、版100を剥離することにより、インク膜51の一部が本発明の版100の凸部20に転写されて、転写基材80上に赤色インク膜パターン51aが形成された転写基材80aを作製した(図3(c)参照)。
【0068】
次に、転写基材80aを厚さ0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板からなる被印刷基材61に密着し(図3(d)参照)、剥離することにより、赤色インク膜パターン51aを被印刷基材61上に転写する工程を10回繰り返し、200℃で30分間熱処理して、被印刷基材61上に赤色インクパターン51bが形成された印刷物200aを得ることができた(図3(e)参照)。
赤色インクパターン51bを光学顕微鏡で観察したところ、非画像部へのインク付着やインク由来の異物はみられなかった。
【実施例4】
【0069】
まず、シリコーンシートからなる膜形成基材41上に導電性インクをバーコータで塗布して導電性のインク膜51を形成し、膜形成基材41上に導電性のインク膜51が形成された転写基材80を作製した(図4(a)参照)。
ここで、導電性インクは、平均粒径20nmの銀粒子水分散液を、銀粒子が20重量部、水が80重量部となるように溶解させたものを用いた。
【0070】
次に、実施例1で得られた版100を導電性のインク膜51が形成された転写基材80に密着させ(図4(b)参照)、版100を剥離することにより、インク膜51の一部を本発明の版100の凸部20に転写させ、版100の凸部20上にインク膜51cが形成された版100aを作製した(図4(c)参照)。
【0071】
次に、版100aを厚さ0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板からなる被印刷基材61に密着し(図4(d)参照)、版100aを剥離することにより、インク膜51cを被印刷基材61上に転写する工程を10回繰り返し、200℃で30分間熱処理して、被印刷基材61上に導電性のインクパターン51dが形成された印刷物200bを得ることができた(図4(e)参照)。
導電性のインクパターン51dを光学顕微鏡で観察したところ、非画像部へのインク付着やインク由来の異物はみられなかった。
【実施例5】
【0072】
まず、本発明の版100を準備し(図5(a)参照)、導電性のインクをスキージ71にてドクターリングすることにより、凹部30に導電性インクを充填し(図5(b)参照)、版100の凹部30に導電性のインク51eが充填された版100bを作製した(図5(c)参照)。
ここで、導電性インクは、平均粒径20nmの銀粒子水分散液を、銀粒子が20重量部、水が80重量部となるように溶解させたものを用いた。
【0073】
次に、版100bを厚さ0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板からなる被印刷基材61に密着し(図5(d)参照)、版100bを剥離することにより、インク51eを被印刷基材61上に転写し、200℃で30分間熱処理して、被印刷基材61上に導電性のインクパターン51fが形成された印刷物200cを得ることができた(図4(e)参照)。
導電性のインクパターン51fを光学顕微鏡で観察したところ、非画像部へのインク付着やインク由来の異物はみられなかった。
【実施例6】
【0074】
まず、本発明の版100を準備し(図5(a)参照)、実施例3で用いた赤色インクと同じカラーフィルター用の赤色インクをスキージ71にてドクターリングすることにより、凹部30に赤色インクを充填し(図5(b)参照)、版100の凹部30に赤色インク51eが充填された版100bを作製した(図5(c)参照)。
【0075】
次に、版100bを厚さ0.7mm、大きさが100mm×100mmのソーダライムガラス基板からなる被印刷基材61に密着し(図5(d)参照)、版100bを剥離することにより、赤色インク51dを被印刷基材61上に転写し、200℃で30分間熱処理して、被印刷基材61上に赤色パターン51fが形成された印刷物200cを得ることができた(図4(e)参照)。
赤色パターン51fを光学顕微鏡で観察したところ、非画像部へのインク付着やインク由来の異物はみられなかった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】(a)は、反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる本発明の版の一実施例を示す部分模式上面図である。(b)は、(a)をA−A’線で切断した本発明の版の部分模式断面図である。
【図2】反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる本発明の版の形成方法を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【図3】(a)〜(e)は、反転オフセット印刷による印刷物の形成方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【図4】(a)〜(e)は、凸版印刷による印刷物の形成方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【図5】(a)〜(e)は、凹版印刷による印刷物の形成方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
【符号の説明】
【0077】
11……基材
20……凸部
21……樹脂凸部
22……吸着層
30……凹部
41……膜形成基材
51……インク膜
51a……インク膜パターン
51b、51d、51f……インクパターン
51c……インク膜
51e……インク
61……被印刷基材
71……スキージ
80……インク膜が形成された膜形成基材
80a……インク膜パターンが形成された膜形成基材
100……版
100a……凸部にインク膜が形成された版
100b……凹部にインクが充填された版
200a、200b、200c……印刷物




【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に非画線部もしくは画線部に対応する凸部と画線部もしくは非画線部に対応する凹部とからなる版パターンが設けられている反転オフセット印刷、凸版印刷及び凹版印刷に用いる版であって、前記凸部は樹脂凸部と前記樹脂凸部表面に形成された吸着層とで構成されていることを特徴とする版。
【請求項2】
前記吸着層が、シランカップリング剤で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の版。
【請求項3】
前記シランカップリング剤が、下記の化学式1、化学式2、化学式3からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の版。
R1SiX1X2X3・・・・・・・・・・・・・・・(化学式1)
(式中、R1は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1、X2、X3は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
R1R2SiX1X2・・・・・・・・・・・・・・・(化学式2)
(式中、R1、R2は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1、X2は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
R1R2R3SiX1・・・・・・・・・・・・・・・(化学式3)
(式中、R1、R2、R3は独立してアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基は全フッ素化もしくは部分フッ素化されていてもよい。また、X1は独立して塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンもしくはアルコキシ基である。)
【請求項4】
基材上に感光性樹脂層を形成し、前記感光性樹脂層をパターニング処理して前記基材の所定位置に樹脂凸部を形成する工程と、前記樹脂凸部表面に気相もしくは液相で吸着層を形成する工程と、を備えていることを特徴とする版の形成方法。
【請求項5】
膜形成基材上にインク膜を形成した転写基材を作製する工程と、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凸部に転写基材のインク膜を転写し、前記転写基材上にインク膜パターンを形成する工程と、前記転写基材上のインク膜パターンを被印刷基材に転写する工程と、を備えていることを特徴とする反転オフセット印刷による印刷物の形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凸部にインク膜を形成する工程と、前記凸部の前記インク膜を被印刷基材に印刷する工程と、を備えていることを特徴とする凸版印刷による印刷物の形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の版を用いて、前記凹部にインクを充填するインキング工程と、前記凹部に充填された前記インクを被印刷基材に印刷する工程と、を備えていることを特徴とする凹版印刷による印刷物の形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−56685(P2009−56685A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225603(P2007−225603)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 超フレキシブルディスプレイ部材技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】