説明

収容型綿棒ベース診断用システム

診断用テストユニットが提供される。テストユニットは、第一端部及び第二端部を有するステム部を含み、該ステム部は、第一端部と第二端部の間に延びる少なくとも1つの流路を定める。綿棒は、ステム部の第一端部に配置され、分析対象を含む疑いのある生物的物質源から導かれたテスト試料を集積するように形成される。テストユニットは又、流体を収容するために形成された流体チャンバーを含み、該流体チャンバーは、流路を介して綿棒と流体連通する。テストユニットは又、使用前に流体チャンバーから流体の漏れを防止する破壊可能なシール、及び分析対象の存在又は不在を検出するための分析物質を含む。分析物質は、綿棒、流路、及び流体チャンバーと流体連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
患者から生物的被験物を集積するために、医療用綿棒が普通に使用される。このような医療用綿棒は、一般的に細長いスティック又はステム部の端部にある繊維性先端部を含む。試料が集積されると、関心ある分析対象がるかないかを判断する分析を実行するために、該試料は先端部からテスト媒体に移される。免疫検定のための試薬と綿棒の両方が単一の収容型装置内に設けられた、「オール・イン・ワン」型綿棒システムとして知られているいくつかのシステムが開発されてきた。例えば、Nason他の米国特許第6,248,294号に、生物的被験物を集積し、かつ、分析するための、実質的に収容型診断用テストユニットが記載されている。テストユニットは、綿棒から集積された生物的被験物を受け取るための被験物チャンバーを定める管状ハウジングを有する。試薬ディスペンサーキャップが、被験物を被験物チャンバー内に配置するためにハウジングに取り外し可能に取り付けられており、ディスペンサーキャップを取り外した時点で、該キャップは、1つ又はそれより多い選択された化学試薬を被験物チャンバーに供給して、集積された被験物に接触させるように操作することができる。さらに、診断用ストリップ組立体がハウジングに取り付けられ、該ストリップ組立体は、ハウジングに沿って実質的に被験物チャンバーに対して平行に延びる診断用ストリップを含む。被験物と試薬の混合物を被験物チャンバーから移動させて診断用ストリップの一端部に接触させ、かつ、該診断用ストリップを通る吸上げ流を生じさせて、1又はそれ以上の選択された別の試薬と接触させ、可視的なテスト結果を得るようにする転移手段が設けられている。
【0002】
しかしながら、上記した従来の「オール・イン・ワン」型システムにある1つの問題点は、装置内に収容された流体が、使用する前に装置から漏れることがある、ということである。更に、このような装置の使用方法は、典型的には、幾つかの複雑な段階を含んでいて、分析対象があるかないかを検出する場合に、装置のリアルタイムでの効力を低下させるものである。したがって、現在は、単純な手法で効率的に分析対象の存在を検出できる収容型綿棒ベースの装置の必要性がある。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,248,294号公報
【特許文献2】米国特許第6,436,651号公報
【特許文献3】米国特許第4,366,241号公報
【特許文献4】米国特許出願公開番号2003/0119202号
【特許文献5】米国特許第4,168,146号公報
【特許文献6】米国特許第4,235,601号公報
【特許文献7】米国特許第4,442,204号公報
【特許文献8】米国特許第5,208,535号公報
【特許文献9】米国特許第5,395,754号公報
【特許文献10】米国特許第5,670,381号公報
【特許文献11】米国特許第6,194,220号公報
【特許文献12】米国特許第5,508,171号公報
【特許文献13】米国特許第5,534,132号公報
【特許文献14】米国特許第6,241,863号公報
【特許文献15】米国特許第6,270,637号公報
【特許文献16】米国特許第6,281,006号公報
【特許文献17】米国特許第6,461,496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態によると、診断用テストユニットが開示される。テストユニットは、第一端部及び第二端部を持つステム部を含み、該ステム部は、第一端部と第二端部の間に延びる少なくとも1つの流路を定める。綿棒が、ステム部の第一端部に配置され、該綿棒は、分析対象を含むと疑われる生物的物質源からのテスト試料を集積するように形成されている。テストユニットは又、流体を収容するように形成された流体チャンバーを含み、該流体チャンバーは、流路を介して綿棒と流体連通状態にある。テストユニットは又、使用する前に流体チャンバーから流体が漏れることを妨げる破壊可能なシールと、テスト試料内の分析対象の存在又は不在を検出するための分析物質を含む。分析物質は、綿棒、流路、及び流体チャンバーと流体連通状態にある。
【0005】
本発明の別の実施形態によると、生物的物質源からのテスト試料の中に分析対象が存在するか否かを検出する方法が開示される。該方法は、
i)a)第一端部及び第二端部を有し、第一端部と第二端部の間に延びる少なくとも1つの流路を定めるステム部と、
b)該ステム部の第一端部に配置される綿棒と、
c)流体を収容するように形成され、流路を介して綿棒と流体連通状態にある流体チャンバーと、
d)使用する前に、流体チャンバーから流体の漏れを妨げるシールと、
e)綿棒、流路、及び流体チャンバーと流体連通状態にあってテスト試料に分析対象が存在するか否かを検出する分析物質と、
からなる診断用テストユニットを準備し、
ii)綿棒にテスト試料を集積し、
iii)シールを破壊して流体チャンバーから流体を放出し、流体を綿棒上でテスト試料と混合し、次いで分析物質に接触させる
ことからなる。
【0006】
本発明の他の特徴及び態様が、以下に更に詳細に示される。
【0007】
当業者のために、本発明の最良の形態を含む、本発明の十分で発明を実施可能にする開示が、添付図面を参照にして明細書に特定的に説明される。
本発明の明細書及び図面に繰り返し使用されている参照符号は、本発明の同様の又は類似した特徴又は要素を表わすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(定義)
ここで用いられる「分析対象」という用語は、一般的には検出される物質を意味する。例えば、分析対象は、抗原性物質、付着素、抗体、及びこれらの組み合わせを含むことができる。分析対象は、これらに制限されるものではないが、毒素、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、アミノ酸、核酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、麻薬(治療用の目的に管理されているものだけでなく、不法目的のために管理されているものも含む)、薬剤中間体又は副産物、細菌、ウイルス粒子及び上記した物質いずれかの代謝産物又は抗体を含む。幾つかの分析対象の特定例として、フェリチン、クレアチニンキナーゼMB(CK−MB)、ジゴキシン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、テオフィリン、バルプロ酸、キニジン、黄体ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、コストラジオール、プロゲステロン、C−反応性タンパク質、リポカリン、IgE抗体、サイトカイン、ビタミンB2、ミクログロブリン、グリケートヘモグロビン(Gly.Hb)、コルチゾール、ジギトキシン、N−アセチルプロカインアミド(NAPA)、プロカインアミド、IgG風疹及びIgM風疹などの風疹抗体、トキソプラズマIgG(Toxo−IgG)及びトキソプラズマIgM(Toxo−IgM)などのトキソプラズマ抗体、テストステロン、サリチル酸、アセタミノーフェン、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、抗B型肝炎内部抗原IgG及びIgM(抗HBC)などの抗B型肝炎内部抗原、ヒト免疫不全ウイルス1及び2(HIV1及び2)、ヒトT細胞白血病ウイルス1及び2(HTLV)、B型肝炎e抗原(HBeAg)、抗B型肝炎e抗原(抗HBe)、インフルエンザウイルス、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロキシン(T4)、トータルトリヨードチロニン(TotalT3)、フリートリヨードチロニン(FreeT3)、癌胎児抗原(CEA)、リポタンパク質、コレステロール、及びトリグルセリド、及びアルファフェトプロテイン(AFP)を含む。乱用及び制御された麻薬物質は、これらに制限される意図はないが、アンフェタミン、メタンフェタミン、アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール及びバルビタールなどのバルビツール酸塩、リブリューム及びバリウムなどのベンゾジアゼピン、ハシシ及びマリファナなどのカンナビノイド、コカイン、フェンタール、LSD、メタカロン、ヘロイン、モルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、メタドン、オキシコドン、オキシモルフォン及びアヘンなどのアヘン剤、フェンシクリジン、及びプロポキシヘンを含む。他の可能な分析対象は、Everhart他の米国特許第6,436,651号及びTom他の米国特許第4,366,241号に記載されている。
【0009】
ここで用いられる「テスト試料」という用語は、一般的に、分析対象を含む、疑いのある生物的材料を意味する。テスト試料は、血液,細胞間流体,唾液,目の中の流体、脳脊髄液、汗、尿、母乳、腹水、粘膜、滑液、腹膜水、膣流体、羊水などを含む生理学的流体のような、あらゆる生物的物質源から抽出することができる。生理学的流体に加えて、水、食物製品などの他の液体試料も、環境特性又は食物製品分析物質のために使用することができる。更に、分析物質を含むと疑われる中実物質も、テスト試料として使用されることができる。テスト試料は、生物的物質源から得られた状態で直接使用するか、或いは、試料の特徴を変成するために前処理をした後に使用することができる。例えば、このような前処理は、血液から血漿を準備するか、粘性流体を希釈するか、或いは同様のものを含むことができる。前処理の方法は又、濾過、凝結、希釈、蒸留、混合、凝縮、干渉成分の不活性化、試薬の付加などを含むことができる。更に、液体媒体を形成するか又は分析対象を放出するために、中実テスト試料を変成することが有益な場合がある。
【0010】
本発明の様々な実施形態について詳細が説明されており、1又はそれより多い例が以下に示されている。各々の例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を制限する意味ではない。事実、様々な修正及び変更が、本発明の範囲及び意図から外れることなく、本発明においてなされ得ることが当業者には明らかである。例えば、1つの実施形態の部分として描かれ、或いは説明される特徴は、別の実施形態において利用し、更に別の実施形態とすることができる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及び同等のものの範囲内にある、このような修正及び変更を含むことが意図されている。
【0011】
一般的には、本発明は、精密で、信頼性があり、効率的で使用しやすい診断用テストユニットに向けられている。テストユニットは、関心ある分析対象を含む疑いのあるテスト試料を集積するための綿棒を含む。当業者によく知られているように、綿棒は、綿、レーヨン、パルプなどの種々異なる吸収性材料から形成することができ、どんな望ましい形状及び/又は大きさを持つこともできる。綿棒は、ステム部の一端部に配置され、ステム部は1つ又はそれより多い流路を含む。流体は、流路と流体連通状態にある流体チャンバー内に含まれる。例えば、流体は、リン酸緩衝塩(PBS)(例えばpH7.2)又は2−(N−モルフォリノ)エタンスルフォン酸(MES)(例えばpH5.3)などの緩衝流体とすることができる。他の形式の流体又は流体への添加剤としては、洗浄剤、塩、溶剤(微生物、例えば連鎖球菌又は酵母菌の検出のためなど)、ブロック剤(例えば、牛血清タンパク)、他のタンパク質などを含むものがある。更に、流体内に存在することができる他の任意の材料は、標識を付された微粒子、検出プローブ、染料、電気化学活性剤(例えばレドックス媒介物質)、又は検出のための信号を形成するために使用される他の試剤を含む。流体チャンバー内に収容される流体の量は、特定のテスト試料に必要とされる試剤の量によって、一般的に求められる。例示的流体の量は、約50から約1000マイクロリットルで、典型的な量は、約100から約200マイクロリットルである。
【0012】
本発明の1つの態様によると、使用者は、テスト試料が綿棒に集積された後、流体チャンバーから流体を制御しながら放出することができる。流体の放出に対してこのような選択された制御を与えるために、様々な機構を使用することができる。例えば、全体的にわたる流体の拡散に対して比較的抵抗性を高めるために、シールを使用することができる。シールは、非多孔性フィルム、金属製シール(例えばアルミホイル)などのような種々異なる材料から形成することができる。シールを形成するためにフィルム製造において使用される幾つかの適当な材料は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及びこれらの混合物を含むポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)のような熱可塑性ポリマー、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸、エチレンメチルアクリレート、エチレンノーマルブチルアクリレート、ポリウレタン、ポリ(エーテル−エステル)、ポリ(アミド−エーテル)ブロックコポリマー、及び同様のものを含むことができる。他の適当な材料は、非熱可塑性材料、シリコンベース材料、他のエラストマー性材料などを含むことができる。幾つかの実施形態においては、使用者が破壊しやすいように、シールの厚さを最小にすることが望ましい。このような場合には、シールの厚さは、約0.05インチより小さく、幾つかの実施形態においては、約0.0003インチから約0.01インチの間、幾つかの実施形態においては、約0.0007インチから約0.02インチの間とすることができる。
【0013】
このように、使用する前に、シールは流体チャンバー内に流体を保持し、漏れを妨げることができる。流体を放出し、診断用テストを始めるためには、使用者は単にシールを破壊するだけでよい。幾つかの実施形態においては、流体が放出されると、流体は最初に綿棒に接触し、テスト試料と混合され、次に流路に流出する。分析物質と接触させる前に、テスト試料と流体をかなり長い時間混合させるために、流路は十分な長さを持つことが望ましい。他の実施形態においては、流体は最初に流路に流出し、その後で綿棒と接触し、テスト試料と混合される。いずれの場合においても、綿棒に接触し、流路に流出した後、形成されたテスト試料/流体混合物は、分析対象が存在するか否かを検出するために、次に分析物質と接触する。
【0014】
診断用テストユニットの1又はそれ以上の部品は使い棄てで、使用後に廃棄されるものとすることができる。このことは、複数のテストを実施した後、汚染の可能性を減少させ、その結果精密度を高める。しかしながら、診断用テストユニットの1又はそれ以上の部品を使い棄てとすることができるとしても、テストユニットは又、再利用可能な部品を含むことができる。例えば、使い棄てテストユニットは、分析対象の存在を定量的又は定性的に検出するためのリーダーを含むことができる。当業者によく知られているように、このリーダーは、種々異なる検出技術のいずれかを利用することができる。例えば、リーダーは、光学的検出技術(例えば、蛍光性、反射率、密度測定、燐光性、回析など)、電気化学検出技術などを利用することができる。一実施形態においては、反射率リーダーを、可視色を示すプローブ(例えば、染色済みラテックス微粒子)の存在を検出するために利用することができる。1つの適当な反射率リーダーは、例えば、Kaylor他の米国特許出願公開番号2003/0119202号に記載されており、その全体はすべての目的について引用によりここに組み入れられる。リーダーは、使用者に有益な種々異なる任意の部品を含むことができる。例えば、リーダーは、使用者にデジタル又はアナログの結果を与えるための表示部(例えばLED表示部)を含むことができる。リーダーは又、例えば、データの格納を助け、コンピューターまたはインターネットと接続されるように使用することができる、1又はそれ以上の入力装置(例えば、ボタンまたはキー)を含むことができる。望まれるならば、リーダーは又、テストユニットの他の部品の支持部として機能することができる。
【0015】
形成される特定の方法に関わりなく、本発明の診断用テストユニットの1つの顕著な利点は、診断用テストユニットの部品(例えば、綿棒、ステム部、流路、破壊可能なシール、分析物質など)のすべてではないが、そのほとんどが単一のユニットの中に含まれるようにすることができ、すなわち「収容型」にすることができることである。更に、収容型テストユニットは又、多機能である。例えば、テストユニットは、血液濾過、細胞溶解のような複数の作業を達成し、分析物質のための複合粒子などのラベルを運ぶことができる。更に、ステム部そのものが多機能であり、綿棒に流体/試薬を付与する間、綿棒の支持材となる。このような収容型、多機能テストユニットは、使用者に簡易さ、便利さ、低費用、安全性の促進などを含む多くの有益性を与えるものである。
【0016】
もちろん、本発明は多くの他の利点ももたらす。例えば、分析のための分析物質及び/又は試薬は、使用前に、汚染の可能性を減少するために診断用テストユニットの中に予め入れておくことができ、これにより正確さ及び信頼性を改善することができる。本発明の別の利点は、綿棒が、分析物質と接触する前にテスト試料及び/又は流体からの感染の濾材として機能することであり、これにより、診断用テストの精密さ及び信頼性を改善することができる。
【0017】
本発明の診断用テストユニットの様々な実施形態が、これより詳細に述べられる。しかしながら、以下に述べられる実施形態は、単に説明だけのものであり、あらゆる適当な形態の診断用テストユニットを、本発明において利用できることを理解すべきである。これに関して図1を参照すると、本発明により形成することができる綿棒ベース診断用テストユニット10の一実地形態が、以下に詳細に説明される。示されているように、診断用テストユニット10は、第一端部31及び第二端部33を持つステム部22を含む。綿棒24は、ステム部22の第一端部31に保持される。ベース部40は、ステム部22の第二端部33に配置される。ベース部40は、ステム部22と一体に又は別個に形成することができる。例えば、一実施形態においては、ステム部22は、使用者によりベース部40から取り外し可能とする。この方法においては、使用者は、テスト試料を集積したい時にステム部22及び綿棒24を取り外し、次いで診断用テストを開始したい時に、ベース部40にステム部22を再び置くことができる。ステム部22及びベース部40は、成型された又は吹き込み成形プラスチックのような種々異なる材料のいずれかから形成することができる。
【0018】
ステム部22及びベース部40は、使用中に、手による取り扱いが容易であるような形状を持つことができる。例えば、ステム部22は、全体的に細長い管状とすることができるが、ベース部40は、実質的に円錐形である。以下に詳細に示すように、ステム部22の全体的に細長い形状は、テスト試料と流体の混合を促進し、かつ、綿棒24での試料抜き取りを容易にするものである。更に、ベース部40の「湾曲した」形状は、使用者による診断用テストユニットの把持を容易にすることができる。上記した形状及び/又は大きさは、例示的なものであり、実質的には、どんな形状及び/又は大きさもステム部22及びベース部40を形成するために使用することができることが理解されるべきである。例えば、ステム部22及び/又はベース部40に適当な形状の他の例は、これらに制限されるものではないが、四角、長方形、三角形、円、卵型、台形、楕円形、放物線、凸凹型などを含む。
【0019】
ベース部40はチャンバー70を定め、その中に、綿棒24に集積されたテスト試料と混合される流体が入れられる。チャンバー70は、ステム部22に配置された綿棒24と流体連通状態とする。例えば、示された実施形態においては、ステム部22は、第一端部31と第二端部33の間に延びる第一流路50を定め、流体は、図1Bに矢印で示されるように、ベース部40から第一流路50へ、次に綿棒24へと流れることができる。第一流路50の大きさ及び/表面エネルギーは、テスト試料と流体の間の混合を容易にするように選択することができ、毛管力がベース部40から綿棒24までの流体の流れを促進する。例えば、第一流路50の長さは、約1センチメートルより大きく、幾つかの実施形態においては、約1ないし約15センチメートル、更に幾つかの実施形態においては約5ないし約10センチメートルとすることができる。第一流路50の幅(或いは直径)は、実質的に一定とすることができ、或いは、代替的には長さの関数として種々異ならせることができる。例えば、図1に示される実施形態においては、第一流路50の幅は、第一端部31から第二端部33に向かって次第に減少する。これに関わりなく、第一流路50の少なくとも一部分の幅は、典型的には、約3ミリメートルより小さく、幾つかの実施形態においては、約0.01ないし約3ミリメートルの間、更に幾つかの実施形態においては約0.05ないし1ミリメートルの間とする。
【0020】
綿棒24に接触した後、流体は、使用者によって集積されたテスト試料と混合され、次いで第二流路52に流れ、そこで分析物質60(図1B)と接触する。第二流路52は、第一流路50と同じか又は異なる大きさ及び形状にすることができる。もちろん、流体及びテスト試料の僅かな部分が、分析物質60と接触せずに第一流路50を通って流れ戻ることもある。しかしながら、理論に縛られることを意図することなく、第一流路50の寸法により与えられた毛管力が、最終的には、すべてではないがほとんどの混合物を、第二流路52に通るように圧送すると考えられる。2つの流路を使用することは単なる例示であって、本発明においては、どんな多くの流路も利用されることができることが理解されるであろう。例えば、以下に詳細に述べられているように、単一流路を、本発明の幾つかの実施形態において、利用することができる。
【0021】
示されているように、第一流路50とチャンバー70内の流体の間に流体の流通拡散に比較的抵抗力のあるシール46を配置することができる。チャンバー70から第一流路50に流体を放出するためには、一実施形態においては、使用者がボタン44その他の作動装置のいずれかを押して、シールを破壊し、流体を放出することができる。特定的には、ボタン44は、ボタン44が押された時、シール46に接触するように配置されている可動ピン48に接合される。その結果、押された時、ピン48は、シール46に接触するまで垂直方向に移動し、該シール内に挿入される。シール46が破壊されると、流体はチャンバー70から放出される。
【0022】
図2を参照すると、本発明により形成することができる綿棒ベース診断用テストユニット100の別の実施形態が示されている。この実施形態においては、診断用テストユニット100は、2つの部品、すなわち、第一部品102及び第二部品104からなる。図1に示された実施形態と同様に、第一部品102は、第一端部131及び第二端部133を有するステム部122を含む。綿棒124は、ステム部122の第一端部131に保持される。更に、ベース部140は、ステム部122の第二端部133に配置される。第二部品104は、流体チャンバー170を定める外側壁180を有し、その中に流体が保持される。使用する前には、シール146が、チャンバー170からの流体の漏れを妨げる。テスト試料が集積されると、第一部品102が、第二部品104の中に挿入され、診断用テストが開始される。特定的には、綿棒124がシール146に接触し、シールを破壊するまで、使用者は、綿棒124を第二部品104の開口147二挿入することができる。代替的には、シール146は、シール146を破壊させるような十分な力で第二部品104の外側壁180を搾るなど、様々な他の方法によって破壊することができる。望まれるならば、綿棒124の挿入後、かなりの量の流体が開口147から漏れないことを確実にするために、様々なシール機構を利用することができる。例えば、o−リング、t−リング、d−リング、v−リングなどの水圧シールが利用される。当業者によく知られているように、このような水圧シールは、ステム部122の外側表面と開口147の内側表面の間にシール嵌合を形成するものである。
【0023】
シール146を破壊した後、流体はチャンバー170から放出され、綿棒124に接触する。流体は次に、綿棒124を通って流路150に流れ、そこでテスト試料内の分析対象の存在を検出するために分析物質60と接触する。流路150の寸法は、上記したように、テスト試料と流体の混合を容易にし、毛管流を促進するのに十分なものとすることができる。流路150の寸法に関連する毛管力とは別に、ベース部140内に含まれる吸収性パッド174が、毛管作用及び流路150を通る流体流れを促進するのを助けることができる。例えば、吸収性パッド174は、セルロースベース材料から形成することができる。
【0024】
本発明に使用することができる診断用テストユニット300の別の実施形態が、図4に示されている。図4に示されている実施形態は、図2に類似した形ではあるがベース部140(図2)を使用しないで機能する。特定的には、診断用テストユニット300は、2つの部品、すなわち第一部品302及び第二部品304を含む。図1に示された実施形態と類似して、第一部品302は、第一端部331及び第二端部333を有するステム部322を含む。綿棒324は、ステム部322の第一端部331に保持される。第二部品304は、流体チャンバー370を定める外側壁380を持ち、その中に流体が保持される。使用前には、シール346が、チャンバー370から流体が漏れるのを妨げる。テスト試料が集積されると、第一部品302が、診断用テストを開始するために、第二部品304内に挿入される。特定的には、綿棒324がシール346に接触し、シールを破壊するまで、使用者は、綿棒324を第二部品304の開口347内に挿入することができる。シール346が破壊された後、流体はチャンバー370から放出され、綿棒324に接触する。次いで、流体は、綿棒を通って流路350まで流れ、そこでテスト試料内の分析対象の存在を検出するために、分析物質60に接触する。
【0025】
望まれるならば、第一部品302と第二部品304の両方を、分析物質の結果を分析するためにリーダー390内に置くことができる。図4Bに示されるように、例えば、ステム部322の端部333は、リーダー390の開口391を通して挿入される。第一部品302は、上記したように、ステム部322をリーダー390内に挿入する前、或いは後のいずれかに、第二部品304を覆うように置かれる。リーダー390は、使用者に有益な種々異なる任意の部品を含むことができる。例えば、リーダー390は、使用者にデジタル又はアナログな結果を提供するために、表示装置395(例えば、LED表示)を含むことができる。リーダー390は又、例えば、データの格納を助長し、コンピューター又はインターネットなどに接続するために使用することができる、1つ又はそれより多いボタン393を含むことができる。幾つかの場合においては、リーダー390は、他の診断用テストに再利用することができるが、テストユニット300の残りの部品は、使い棄てとすることができる。更に、幾つかの実施形態においては、分析物質60をリーダー390内に含ませることができる。このことは、リーダー390内に存在する別の洗浄リザーバ(示されず)によって供給される液体で、分析物質60を洗浄させることができるといった、多くの利点をもたらすことができる。
【0026】
図3を参照すると、本発明により形成することができる綿棒ベース診断用テストユニット200の更に別の実施形態が示されている。図2に示された実施形態と同様に、診断用テストユニット200は、2つの部品、すなわち第一部品202及び第二部品204を含む。上記したように、第一部品202は、第一端部231及び第二端部233を有するステム部222を含む。綿棒224は、ステム部222の第一端部231に保持される。この実施形態においては、注入器240が、ステム部222の第二端部233に配置される。注入器240は、開口249を定めるハウジング245を含み、そこを通って可動シャフト242が挿入される。ハウジング245は、流体チャンバー270を定め、その中に流体が保持される。テスト試料を集積する前には、流体は、シャフト242のベース244とシール246の間のチャンバー270の中にシールされたままである。更に詳細に説明するように、シール246は、液体不透過性とし、ステム部222の流路250の中に流体の早期の漏れを妨げる。
【0027】
図3Aに矢印で示されるように、使用者は、テスト試料を集積した後、第二部品204の外側壁290によって定められた検出チャンバー247内に、綿棒224を挿入する。検出チャンバー247の大きさ及び形状は、綿棒224及び/又はステム部222の大きさ及び形状に対応して選択することができる。望まれるならば、シャフト222の挿入し過ぎを防ぐために、リップ271を検出チャンバー247内に配置することができる。すなわち、リップ271は、診断用テストが非効率的となりうる分析物質60の下への綿棒224の位置決めを防止する。リップ271とは別に、様々な他の停止機構も使用することができる。例えば、一実施形態においては、シャフト222の一部分の幅(又は直径)は、開口247の幅(又は直径)より単に大きくして、挿入のし過ぎを防止することができる。上記したように、綿棒224を挿入した後、検出チャンバー247を通って流体が漏れるのを防ぐために水圧シール機構を利用することができる。
【0028】
綿棒224を検出チャンバー247に挿入する時、使用者は、図3Bの矢印に示されるように、シャフト242を押すことにより診断用テストを作動状態にすることができる。シャフト242を押すと、シール246が破壊されるまで、流体チャンバー270内の流体圧力が増加する。シール246の破壊は、チャンバー270からステム部222内の流路250まで流体を流出させる。流体は流路250を通って流出し、綿棒224上に存在するテスト試料と混合される。その後、流体及びテスト試料の混合物は、テスト試料内に分析対象が存在するかを検出するために、分析物質60と接触する。
【0029】
説明だけの目的のために、図1から図4の分析物質60の様々な例が、詳細に述べられる。しかしながら、他の分析物質も本発明において考慮できることを理解すべきである。事実、本発明は、どんな特定の分析物質形態にも制限されるものではない。これに関して、図5を参照すると、横流型で膜ベース免疫検定装置である分析装置60の一実施形態が示されている。免疫検定装置は、免疫システム機構を利用するもので、これは、生体に対して発病させるか又は異物である抗原の存在に反応して抗体が形成されるものである。これらの抗体及び抗原、すなわち免疫反応物質は、互いに結合することができ、それにより高度な特定の反応機構を生じ、テスト試料における特定の抗原の存在又は濃度を求めるために使用することができる。
【0030】
示された実施形態においては、分析物質60は、剛性材料61によって任意に支持される多孔性膜63を含む。一般的には、多孔性膜63は、流体が通過することができる、種々異なる材料のいずれかから形成することができる。例えば、多孔性膜63を形成するために使用される材料は、これらに制限されるものではないが、天然物質、合成物質、又は多糖類(例えば、紙、及びセルロースアセテート及びニトロセルロースなどのセルロース派生物のようなセルロース物質)のような合成的に変成された天然物質から生成した物質、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレン、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエステル、ポリプロピレン、シリカ、更に非活性アルミナ、珪藻土、MgSO4、又は他の多孔性ポリマーマトリックスに均一に分散された、塩化ビニール、塩化ビニールプロピレンコポリマー、及び塩化ビニールアセテートコポリマ−などのポリマーを持つ無機質微細物質、天然物質から生成された布(例えば綿)及び合成布(例えばナイロン又はレーヨン)、シリカゲル、アガロース、デキストラン、及びゼラチンなどの多孔性ゲル、ポリアクリルアミドのようなポリマー性フィルム、及び同様のものを含む。1つの特定の実施形態においては、多孔性膜463は、ニトロセルロース及び/又はポリエーテルスルフォン材料から形成される。「ニトロセルロース」という用語は、セルロースの硝酸エステルを意味し、ニトロセルロース単体か、或いは、硝酸と1から7の炭素原子を持つ脂肪族カルボキシル酸のような他の酸との混合物とすることができることを理解するべきである。
【0031】
分析物質60は又、吸収性パッド68を含む。吸収性パッド68は、一般的に、多孔性膜63を通って移動してきた流体を受け取る。当業者によく知られるように、吸収性パッド68は、毛管作用及び膜63を通る流体流れを促進するのを助けることができる。試料パッドを形成するために使用できる幾つかの適当な材料は、これらに制限されるものではないが、ニトロセルロース、セルロース、多孔性ポリエチレンパッド、及びガラス繊維濾過紙を含む。望まれるならば、試料パッドは、1又はそれ以上の、共有結合又は非共有結合のいずれかである分析物質前処理試薬を含むことができる。示された実施形態においては、テスト資料は、試料パッド(示されず)から試料抜き取りパッドの1つの端部と連通するように置かれた複合パッド62まで移動する。複合パッド62は、流体が通過することが可能な材料から形成される。例えば、一実施形態においては、複合パッド62は、ガラス繊維から形成される。1つの複合パッド62だけが示されているが、他の複合パッドも本発明において使用できることを理解すべきである。
【0032】
テスト試料内に分析対象があるか否かの検出を容易にするために、様々な検出プローブを複合パッド62に設けることができる。これらの検出プローブは、複合パッド62に含まれているのであるが、試料が試料採取パッドから複合パッド62を通り抜ける(或いは任意ではあるが流体の中を)時、検出プローブは分析対象と結合することが可能である。分析対象と結合すると、検出プローブは、後で分析対象の有無を識別するためのものとして作用することができる。検出プローブは、分析物質60の検出及びキャリブレーションの両方のために使用することができる。しかしながら、代替的実施形態においては、キャリブレーション及び検出を同時に行うことができるように、検出プローブと組み合わせて使用するための別のキャリブレーションプローブを複合パッド62に設けることができ、これにより従来の分析物質キャリブレーションシステムにおいて頻繁に起こっていた不精密さを排除することができる。しかしながら、検出プローブ及び/又はキャリブレーションプローブは、分析物質60のどのような位置にでも、共に或いは別個に設けることができ、複合パッド62に設ける必要はないことを理解すべきである。更に、検出プローブ及び/又はキャリブレーションプローブは、同じか又は異なる複合パッドに設けることができることを理解すべきである。代替的には、検出プローブ及び/又はキャリブレーションプローブは、流体、流路、又は綿棒の中など、診断用テストユニット10、100、200、又は300(図1−図4)の別の領域に配置することができる。
【0033】
幾つかの例においては、検出プローブが分析対象と結合しやすくできるように、何らかの手法で検出プローブを変成処理することが望ましい。このような場合には、検出プローブは、複合プローブを形成するために接着させる、ある種の特定結合部材とともに変成処理される。特定結合部材は、一般的に、特定結合対の部材、すなわち1つの分子が化学的に及び/又は物理的に第二分子と結合する、2つの異なる分子を意味する。例えば、免疫反応特定結合部材は、抗原、付着素、アプタマー、抗体(第一又は第二)、及び組み換え型DNA法又はペプチド合成により形成されるこれらの複合体を含むことができる。抗体は、単クローン抗体又は多クローン抗体、遺伝子組み換え型タンパク質又はこれらの混合物又は断片、更に抗体及び他の特定結合部材の混合物とすることができる。このような抗体の形成及び特定結合部材として使用するための抗体の適合性の詳細は、当業者によく知られている。他の共通した特定結合対は、これらに制限されるものではないが、ビオチンとアビジン(又はこれらの派生物)、ビオチンとストレプトアビジン、炭水化物とレクチン、相補的核酸塩基配列(対象とする核酸配列を検出するためにDNA交雑分析物質で使用されるプローブ及び捕捉核酸配列を含む)、遺伝子組み換え法により形成されたものを含む相補的ペプチド配列、エフェクター分子とレセプター分子、ホルモンとホルモン結合タンパク質、酵素補助因子と酵素、酵素抑制物質と酵素などを含む。更に、特定結合対は、本来の特定結合部材の類似物とする部材を含むことができる。例えば、分析対象に共通して少なくとも1つのエピトープを有する限り、分析対象の派生物又は断片、すなわち分析対象類似物が使用されることができる。
【0034】
特定結合部材は、一般的には、種々異なるよく知られた技術のいずれかを使用して、検出プローブに結合させることができる。例えば、特定結合部材と検出プローブ(例えば粒子)との共有結合は、タンパク質結合反応を達成することができる、カルボキシル基、アミノ、アルデヒド、ブルムアセチル、ヨード、チオール、エポキシ及び他の反応性官能基又は架橋官能基、並びに、残留遊離基及び陽イオンを使用して達成することができ、これにより。表面官能基は又、検出プローブの表面が比較的高い表面濃度の有極基を含むことができるという理由から、官能化されたコポリマーとして組み込むことができる。更に、検出プローブは、ある場合においては、ポリ(チオフェノール)のように合成後に官能化されることがしばしばあるが、プローブは、更なる変成処理の必要なく直接タンパク質と共有結合が可能である。共有結合に加えて、物理的吸着のような他の結合技術も利用されることができる。
【0035】
一実施形態においては、例えば、テスト試料を含む流体は、複合パッド62に移動し、そこで分析対象複合体を形成するために、分析対象は特定結合部材で変成処理された検出プローブと混合される。複合パッド62は、多孔性膜63と流体連通状態であるので、複合体は、複合パッド62から多孔性膜63上に存在する検出領域65まで移動することができる。検出領域65は、分析対象及び/又はその複合体(例えば分析物質と検出プローブの複合体)と化学的又は物理的結合を形成することが一般的に可能である、不動化された受容物質を含むことができる。幾つかの実施形態においては、受容物質は、生物的受容物質とすることができる。このような生物的受容物質は、当業者によく知られており、これらに制限されるものではないが、抗原、付着素、抗体、Aタンパク質又はGタンパク質、アビジン、ストレプトアビジン、及びこれらの複合体を含むことができる。幾つかの場合においては、これらの生物的受容物質が、分析物質及び/又は分析物質の複合体に検出プローブを結合させることができることが望ましい。
【0036】
これらの受容物質は、検出プローブ/分析物質複合体に対して固定された結合位置として機能する。幾つかの場合には、抗体、抗原などのような分析物質は、2つの結合位置を有する。検出領域65に到達する時、これらの結合位置の1つは、複合体プローブの特定結合部材によって占められている。しかしながら、分析物質のない結合位置は、不動化された受容物質と結合することができる。不動化された受容物質に結合される時は、複合プローブは、新しい三元サンドイッチ複合体を形成する。
【0037】
検出領域65は、一般的に、使用者がテスト試料内における特定の分析対象の濃度を求めることができるように、何らかの数の異なる検出領域を設けることができる。各々の領域は、同じ受容物質を含むことができるか、又は複数の分析対象を捕捉するために異なる受容物質を含むことができる。例えば、検出領域65は、2つ又はそれより多い異なる検出領域(例えば、線、ドットなど)を含むことができる。検出領域は、分析物質60を通って、テスト試料の流れに実質的に垂直な方向に、線状に配置することができる。同様に、幾つかの実施形態においては、検出領域は、分析物質装置を通って、テスト試料の流れに実質的に平行な方向に、線状に配置することができる。
【0038】
検出領域65は、分析対象の存在を示すことができるが、単一の検出領域65を使用してテスト試料内の分析対象の相対濃度を求めることは困難な場合がある。そのため、分析物質60は又、キャリブレーション領域64を含むことができる。この実施形態においては、キャリブレーション領域64は、多孔性膜63上に形成され、検出領域65から下方に配置される。キャリブレーション領域64は、残存する捕捉されていない検出プローブ及び/又は膜63の長さに沿って通過するキャリブレーションプローブに結合可能な受容物質を備えている。特定的には、テスト試料と接触する時、分析対象と結合していない捕捉されていないプローブは、検出領域65を通って移動し、多孔性膜63のキャリブレーション領域64に入る。次に、キャリブレーション領域64で、これらの捕捉されていないプローブは受容物質と結合する。
【0039】
キャリブレーション領域64において利用される受容物質は、検出領域65において使用される受容物質と同じものか又は異なるものとすることができる。例えば、幾つかの実施形態においては、受容物質は、捕捉されていないプローブと結合できる高分子電解質を含むことができる。高分子電解質は、正味の正電荷又は負電荷、ほぼ中性である正味電荷を有することができる。例えば、正味の正電荷を有する高分子電解質の幾つかの適当な例は、これらに制限されるものではないが、ポリリジン(ミズーリ−州、セントルイス所在のSigma−Aldrich Chemical Co.,Inc.より入手可能)、ポリエチレンイミン、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロヒドリン)などのエピクロヒドリン官能化ポリアミン及び/又はポリアミドアミン、ポリジアリルジメチル−塩化アンモニウム、4元素アンモニウム水溶性モノマーとグラフトされたセルロースコポリマー又はセルロース派生物などの陽イオンセルロース派生物、及び同様のものを含む。1つの特定の実施形態においては、4元素水溶性モノマーを含むセルロース派生物である、CelQuat(登録商標)SC−230M又はH−100(National Starch&Chemical,Inc.より入手可能)を利用することができる。更に、正味の負電荷を有する高分子電解質の幾つかの適当な例は、これらに制限されるものではないが、ポリ(エチレン−コ−メタクリル酸、ナトリウム塩)などのポリアクリル酸、及び同様のものを含む。両親媒性高分子電解質(すなわち、有極部及び無極部を有する)のような他の高分子電解質も、本発明において利用できることも理解されるべきである。例えば、適当な両親媒性高分子電解室の幾つかの例は、これらに制限されるものではないが、ポリ(スチリル−b−N−メチル2−ビニルピリジニンヨウ化物)及びポリ(スチリル−b−アクリル酸)を含み、どちらもカナダ、ドーバル所在のPolymer Source,Inc.より入手可能である。
【0040】
検出領域65と同様に、キャリブレーション領域64も又、使用者がテスト試料における特定の分析対象の濃度を求めることができるように、どんな方向にも、幾つでも異なるキャリブレーション領域を設けることができる。キャリブレーション領域は、異なる量の結合体と多孔正膜63上に予め配置することができ、捕捉されていないプローブが移動する時に、各々のキャリブレーション領域によって異なる信号強度が生成される。異なる大きさのキャリブレーション領域を用いることにより、及び/又は、各々のキャリブレーション領域における結合体の濃度又は体積を種々変えることにより、各々のキャリブレーション領域内における受容物質の全体量を変えることができる。望まれるならば、各々のキャリブレーション領域が、十分で予め決められた信号強度の電位に到達するように、過度のプローブ分子を分析物質60において使用することができる。すなわち、キャリブレーション領域に堆積される捕捉されていないプローブの量は、予め決められた、周知のレベルに固定される。検出領域65及びキャリブレーション領域64でのプローブの信号は、捕捉されると、視覚により測定されるか、或いは検出の他の手段(例えば器具)を通して測定することができる。視覚的に求められる場合には、診断用テストユニット10、100、200又は300は、当業者によく知られているような窓13(図1−図4)を任意に備えることができ、使用者は、分析物質60を容易に観察することができる。
【0041】
幾つかの場合においては、膜63は、分析装置が適正に機能しているという信号を使用者に与える制御領域(示されず)を定める。例えば、制御領域(示されず)は、プローブ或いはプローブ上に不動化された受容物質と化学的及び/又は物理的に結合するように一般的に形成することができる、不動化された受容物質を含むことができる。このような受容物質の幾つかの例は、これらに制限されるものではないが、抗原、付着素、抗体、Aタンパク質又はGタンパク質、アビジン、ストレプトアビジン、第二抗体、及びこれらの複合体を含む。更に、制御領域受容物質のために、様々な非生物的物質を利用することが望まれるであろう。例えば幾つかの実施形態においては、制御領域受容物質は又、上記したように、捕捉されていないプローブと結合することができる高分子電解質を含むことができる。制御領域の受容物質は、プローブに対して特異なものだけであるので、分析対象が存在するかどうかに関わらず信号を形成する。制御領域は、膜63に沿ったどの位置にでも位置決めすることができるが、検出領域65から上方向に位置決めされることが好ましい。
【0042】
分析物質60を使用して、分析対象が存在するか否かのテストをするために、様々なフォーマットを使用することができる。例えば、上記した実施形態においては、「サンドイッチ」フォーマットが利用される。このようなサンドイッチ型分析物質の他の例は、Grubb他の米国特許第4,168,146号、Tom他の米国特許第4,366,241号に記載されており、その全体はすべての目的について引用によりここに組み入れられる。更に、「競合的」フォーマットのような他のフォーマットも利用することができる。競合的分析物質においては、ラーベルされたプローブが、一般的に、分析対象と同一か或いは似ている分子と組み合わされる。その結果、ラーベルされたプローブは、入手可能な受容物質に対して関心ある分析対象と競合することとなる。競合的分析物質は、典型的には、付着素のような分析対象の検出のために使用され、各々の付着素は一価であり、1つの抗体分子とだけ結合することが可能である。競合的免疫検定装置は、Deutsch他の米国特許第4,235,601号、Liotta他の米国特許第4,442,204号、及びBuechler他の米国特許第5,208,535号に記載されており、その全体はすべての目的について引用によりここに組み入れられる。様々な他の装置形態及び/又は分析物質フォーマットも、Lambotte他の米国特許第5,395,754号、Jou他の米国特許第5,670,381号、及びMalick他の米国特許第6,194,220号に記載されており,その全体はすべての目的について引用によりここに組み入れられる。
【0043】
更に、あらゆる周知の検出技術も本発明に利用することができることを理解すべきである。例えば、当業者によく知られているように、分析物質60は又、電気化学的親和性分析物質とすることができ、これは、分析対象(又はその複合体)と電極上の捕捉リガンドの間における電気化学的反応を検出する。例えば、様々な電気化学的分析物質は、Walling他の米国特許第5,508,171号、Vreeke他の米国特許第5,534,132号、Monbouquette他の米国特許第6,241,863号、Crismore他の米国特許第6,270,637号、Heller他の米国特許第6,281,006号、及びFeldman他の米国特許第6,461,496号に記載されており、その全体はすべての目的について引用によりここに組み入れられる。
【0044】
本発明のシステムは、集積をしやすくし、更に実質的に分析対象を即座に現場テストするための、比較的簡単で、コンパクトで、使いやすく経済的な装置を提供するものであることがわかった。このシステムは、綿棒で迅速かつ容易な被験物集積を可能にする。その後、テストユニットは、集積された被験物を分析しテスト結果を提供するために操作されることができる。テスト結果は目で見ることができるので、すばやい方法で、かつ、高度に信頼性があり、一定したテスト結果を導くテスト条件のもとで、テストを実施した人によって、容易に観察される。最初の被験物集積の後、ヒトと被験物との接触は、実質的にテストプロトコルを通して防止され、安全に収容された集積された被験物を内部に含む装置の全体部分は、テストが終了した時に、ユニットとして廃棄される。
【0045】
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細を述べているが、前述したものの理解を得た後では、当業者は、これらの実施形態の代替物、変更及び同等のものを容易に理解できることが分かるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲及びあらゆる均等手段を含むものとして評価されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1A】本発明による診断用テストユニットの一実施形態の斜視図である。
【図1B】本発明による診断用テストユニットの一実施形態の断面図である。
【図2A】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態で、第一部品及び第二部品が別々に示された診断用テストユニットの斜視図である。
【図2B】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態を、第一部品が第二部品内に挿入された状態で示す診断用テストユニットの断面図である。
【図3A】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態において、第一部品及び第二部品を別々に示すテストユニットの斜視図である。
【図3B】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態を、第一部品が第二部品内に挿入された状態で示すテストユニットの断面図である。
【図4A】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態において、第一部品及び第二部品を別々に示すテストユニットの斜視図である。
【図4B】本発明による診断用テストユニットの別の実施形態を、第一及び第二部品が読み器に挿入された状態で示すテストユニットの断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に利用することができる分析物質の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10 診断用テストユニット
22 ステム部
24 綿棒
31 第一端部
33 第二端部
40 ベース部
46 シール
50 流路
60 分析物質
62 パッド
63 膜
64 キャリブレーション領域
65 検出領域
70 チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部及び第二端部を有し、前記第一端部と前記第二端部との間に延びる少なくとも1つの流路を定めるステム部と、
前記ステム部の前記第一端部に配置され、分析対象を含む疑いのある生物的物質源からのテスト試料を集積するように形成された綿棒と、
流体を収容するように形成され、前記流路を介して前記綿棒と流体連通する流体チャンバーと、
使用前に、前記流体チャンバーからの前記流体の漏れを妨げる破壊可能なシールと、
前記綿棒、前記流路及び前記流体チャンバーと流体連通し、前記テスト試料に分析対象が存在するか否かを検出する分析物質と、
からなることを特徴とする診断用テストユニット。
【請求項2】
流体が、前記流体チャンバーから、前記流路に流れ、次に前記綿棒と接触するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の診断用テストユニット。
【請求項3】
流体が、前記流体チャンバーから流れ、前記綿棒に接触し、次に前記流路に流れるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の診断用テストユニット。
【請求項4】
前記ステム部の前記第二端部に配置された注入器を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット。
【請求項5】
前記注入器は、前記流体チャンバーを定めることを特徴とする請求項4に記載の診断用テストユニット。
【請求項6】
前記流体チャンバーは、前記綿棒を選択して受け取るように形成された部品によって定められることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット。
【請求項7】
前記シールは、前記部品に受け取られた時に破壊されるように形成されたことを特徴とする請求項6に記載の診断用テストユニット。
【請求項8】
生物的物質源からのテスト試料内に分析対象が存在するか否かを検出するための方法であって、前記方法は、
i) a)第一端部及び第二端部を有し、前記第一端部と前記第二端部との間に延びる少なくとも1つの流路を定めるステム部と、
b)前記ステム部の第一端部に配置された綿棒と、
c)流体を収容するように形成され、前記流路を介して前記綿棒と流体連通する流体チャンバーと、
d)使用前に、前記流体チャンバーからの前記流体の漏れを妨げるシールと、
e)前記綿棒、前記流路、及び前記流体チャンバーと流体連通し、前記テスト試料内に分析対象が存在するか否かを検出する分析物質と、
からなる診断用テストユニットを準備し、
ii)前記綿棒上に前記テスト試料を集積し、
iii)前記シールを破壊して前記流体チャンバーから前記流体を放出し、該流体が、前記綿棒上で前記テスト試料と混合され、次に前記分析物質と接触するようにする、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記シールの破壊が、前記流体を前記流体チャンバーから前記流路に流出させ、次に前記綿棒に接触させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シールの前記破壊が、前記流体を前記流路から流れ出させ、前記綿棒に接触させ、次に前記流路に流れるようにすることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記シールは、物理的に前記シールに穴をあけるか、又は流体圧力によって破壊されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記流路は、約1センチメートルより大きい長さを、好ましくは約1ないし約15センチメートル、更に好ましくは約5ないし約10センチメートルの長さを持つことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項13】
前記流路の少なくとも一部分は、約3ミリメートルより小さい幅を、好ましくは約0.01ないし約3ミリメートル、更に好ましくは約0.05ないし約1ミリメートルの幅を持つことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項14】
前記ステム部の前記第二端部に配置されたベース部を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項15】
前記ベース部は、前記流体チャンバーを定めることを特徴とする請求項15に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項16】
前記ベース部は、吸い上げを促進するための吸収性パッドを含むことを特徴とする請求項15に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項17】
前記ステム部は、少なくとも1つの付加的流路を定めることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項18】
前記流体は、前記流体チャンバーから前記流路の1つを通って流れて前記綿棒に接触することができ、更に前記流体は、前記綿棒から別の前記流路を通って流れて前記分析物質に接触することができることを特徴とする請求項17に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項19】
前記分析物質は、前記流路の中に置かれることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。
【請求項20】
前記シールは、約0.05インチより小さい厚さを、更に好ましくは約0.0007インチないし約0.02インチの間の厚さとすることを特徴とする請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の診断用テストユニット又は方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−516444(P2007−516444A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546961(P2006−546961)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/025860
【国際公開番号】WO2005/068969
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】