説明

収容容器

【課題】容器本体内への収容物投入の際等に蓋が邪魔にならず、投入作業等を作業効率良く進めることができ、開口が下方に向く天地逆姿勢で容器本体から収容物を排出する際にも蓋を確実に開閉することができる収容容器を得る。
【解決手段】粉状体や粒状体等の収容物を収容するための容器本体2と、容器本体2の上面に設けた開口5を封止する蓋体15と、蓋体15を水平方向にスライド移動可能に、しかも蓋体15を揺動軸17まわりに揺動可能に支持する開閉部6とを備える。蓋体15は、開口5を閉塞する閉姿勢と、該閉姿勢から水平方向にスライド移動したことで開口5を開いているスライド開姿勢と、該開姿勢から揺動軸17まわりに外開き方向に揺動したことで開口5を開いている揺動開姿勢の三つの姿勢間で変位可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状体や粒状体等の収容物を収容する収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の収容容器(コンテナ)の従来例としては、例えば特許文献1を挙げることができる。そこでは、容器本体の上面開口(以下、単に「開口」と記す)を覆う蓋が着脱可能に装着されており、収容物の収容容器内への投入作用、或いは収容容器からの排出作業の際には蓋を分離するようになっている。具体的には、収容物を収容容器内に収容する際には、例えば、容器本体から蓋を取り外して退避位置まで運搬したうえで、開口から収容物投入用のパイプを差し込み、該パイプを介して容器本体内に収容物を投入している。収容物を収容容器内から取り出す際には、容器本体から蓋を取り外して退避位置まで運搬したうえで、該容器本体を開口が下方に向く天地逆姿勢とすることにより、容器本体内から収容物を排出している(特許文献1の段落番号0014参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−255104号公報(段落番号0013、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の収容容器では、取り外した蓋の退避位置までの運搬や管理が必要であり、その運搬や管理等の手間が煩わしい。また、この種の収容容器からの収容物の取り出し操作は、自動排出装置によるオートメーション化が進んでいるが、特許文献1の形態では、当該オートメーション化に対応することが実質的に不可能である。すなわち、自動排出装置を用いた場合には、例えば収容容器を天地逆姿勢にして自動排出装置で収容容器の開口を開いたうえで、収容物を排出することになるが、特許文献1のように蓋を容器本体から分離する形態では、収容容器を天地逆姿勢にして蓋を分離したことで収容物が落下している中で、蓋の脱落を防ぎながら当該蓋を所定の退避位置まで運搬する必要があり、その蓋の取り扱いが困難であって自動排出装置には不適であると言わざるを得ない。
【0005】
かかる問題を解決する方法としては、例えば、容器本体に対して蓋を外開き方向に揺動可能に支持することが考えられる。これによれば蓋を分離することなく揺動軸まわりに閉姿勢から開姿勢に変位させることで、容器本体の開口を開けることができるうえ、その蓋が容器本体に保持されている。したがって蓋の運搬や管理等の手間は不用となる。また、収容容器を天地逆姿勢にしたうえで、揺動軸まわりに蓋を閉姿勢から開姿勢に揺動して開口を開くだけでよいために、自動排出装置への適用も容易である。
【0006】
以上のような外開き蓋の問題は、開口を上にした姿勢で収容物を収容容器内へ投入する際に、蓋が斜めに立ち上がった開姿勢となるために、当該蓋が収容物投入用のパイプ等に干渉しやすく、パイプの収容容器内への差し込み作業等をスムーズに進めることができず、したがって収容物の投入作業等を作業効率良く進めることができないことにある。
【0007】
これとは別に、水平方向にスライド移動可能に蓋を組み付けることも考えられる。しかしこの場合には、収容容器を天地逆姿勢とした場合に、収容物の略全重量が蓋に掛かるとともに、蓋と容器本体の開口周辺との間に収容物が挟まりやすいため、蓋を軽滑にスライド移動させることが難しい。
【0008】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、容器本体内への収容物の投入の際等に蓋が邪魔にならず、投入作業等を作業効率良く進めることができ、しかも開口が下方に向く天地逆姿勢で容器本体から収容物を排出する際にも蓋を確実に開閉することができる、自動排出装置に適した収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る収容容器1は、図1に示すように、収容物が収容される容器本体2と、容器本体2の上面に設けた開口5を封止する蓋体15と、蓋体15を水平方向にスライド移動可能に、しかも蓋体15を揺動軸17まわりに揺動可能に支持する開閉部6とを備えており、開口5を閉塞する閉姿勢と、該閉姿勢から水平方向にスライド移動したことで開口5を開いているスライド開姿勢と、該開姿勢から揺動軸17まわりに外開き方向に揺動したことで開口5を開いている揺動開姿勢の三つの姿勢間で、蓋体15が変位可能に構成されていることを特徴とする。ここでの収容物は、粉状体や粒状体や液体状等のものが含まれる。
【0010】
具体的には、開閉部6には、蓋体15の揺動軸17を支持する軸受け部19が設けられており、軸受け部19の周壁には、揺動軸17の挿入係合および抜け外れを許す切欠部29が設けられており、軸受け部19に揺動軸17が挿入係合して軸支されたとき、蓋体15は閉姿勢と揺動開姿勢との間で変位可能であり、蓋体15が閉姿勢からスライド開姿勢に変位するときに、揺動軸17が切欠部29から抜け外れるように構成されていることができる。
【0011】
開閉部6には、蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制するためのロック機構16が設けられており、ロック機構16は、ロックアーム23と、該ロックアーム23に回転自在に装着されたローラ25とを有し、ロックアーム23は、ローラ25が蓋体15に当接して蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制するロック姿勢と、ローラ25が蓋体15から離れて蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を許すアンロック姿勢との間で水平軸24まわりに揺動自在に支持されており、常態においては付勢手段26によりロック姿勢側に付勢されており、ロック姿勢において、蓋体15を閉姿勢からスライド開姿勢に向かって変位させると、ローラ25が転動して、蓋体15とローラ25との当接状態が解除されるように構成されているようにすることができる。
【0012】
容器本体2は、ロックアーム23の一端側にローラ25が装着され、他端側に操作部23aが設けられており、容器本体2を天地逆姿勢としたうえで、付勢手段26に抗して操作部23aを押し上げ操作すると、ロックアーム23がロック姿勢からアンロック姿勢に変位して、蓋体15が閉姿勢から揺動開姿勢に変位するように構成されているようにすることができる。
【0013】
容器本体2は、図4に示すように、開口5側に向かうに従って漏斗状に窄まる漏斗状部2bを有しており、漏斗状部2bを構成する、向かい合う一対の内面部分の傾斜角度が、互いに異なる角度に設定されているようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
蓋体15は、開口5を閉塞する閉姿勢からスライド移動して開口5を開くこともでき、また開姿勢から外開き方向に揺動して開口5を開くこともできるので、容器本体2内に収容物を収容する場合に、例えば蓋体15をスライド移動させて容器本体2の開口5を開くことで、蓋体15が斜めに立ち上がった姿勢となって容器本体2の開口5に収容物投入用のパイプ39を差し込む等の際の邪魔になることを防ぐことができ、これによって収容物を収容する際の良好な作業性を確実に得ることができる。
【0015】
また、容器本体2内の収容物を取り出す場合に、例えば収容容器1を天地逆姿勢にして容器本体2の開口5を下側にし、その状態で蓋体15を揺動させて容器本体2の上面開口5を開くことで、たとえ蓋体15と容器本体2の開口5の周縁との間に収容物が挟まっていても、蓋体15をスライド移動させる場合よりも容易に蓋体15を動かして、容器本体2の開口5を確実に開いて収容物を排出することができる。しかも収容容器1を天地逆姿勢にして容器本体2内の収容物を取り出す際に、収容物と蓋体15の自重とが相俟って、蓋体15を勢い良く開姿勢に変位させることができて、開操作する際の動作不良の発生を効果的に防ぐことができる点でも優れている。
【0016】
蓋体15が閉姿勢からスライド開姿勢に変位するときに、揺動軸17が切欠部29から抜け外れるようにすると、蓋体15をスライド移動させる際に、蓋体15の揺動軸17を軸受け部19から取り外す等の作業を省略でき、蓋体15をスライド移動して容器本体2の開口5を開く際の良好な作業性を確実に得ることができる。
【0017】
ローラ25を蓋体15に当接して蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制すると、例えば、容器本体2内の収容物を取り出すために容器本体2の開口5を下側にしても、蓋体15が勝手に揺動して容器本体2の開口5を開くことがない。つまり、容器本体2の開口5が不本意に開いて収容物が落下することが防止される。そして、蓋体15を揺動させるために、ローラ25を蓋体15から離したときには、蓋体15を揺動させて容器本体2の開口5を開いて収容物を排出することができる。また、例えば容器本体2の開口5を上側にして、蓋体15をスライド移動させたときには、ローラ25が転動して、蓋体15とローラ25との当接状態が解除されるので、蓋体15をスライド移動させる際に、ローラ25を蓋体15から離す作業を省略できて、蓋体15をスライド移動する際の良好な作業性を確実に得ることができる。
【0018】
漏斗状部2bにおいて、向かい合う一対の内面部分の傾斜角度が、互いに異なる角度に設定されていると、例えば容器本体2の開口5を下側にして、容器本体2内の収容物を排出する際に、一方の内面部分に沿って落下する収容物の落下速度と、他方の内面部分に沿って落下する収容物の落下速度とが異なって、収容物が収容容器1の開口5付近に押し固まって詰まること等が抑えられ、容器本体2内の収容物がスムーズ、且つ、迅速に排出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1ないし図5は、本発明に係る収容容器の実施形態を示している。収容容器1は、運搬可能になっており、図3に示すように、粉状体や粒状体等の収容物を収容するための鋼鉄製の容器本体2と、該容器本体2を囲むように直方体状に枠組みされて容器本体2を保持する鋼鉄製の枠体3とを有している。容器本体2は、図4および図5に示すように、その上面に開口5を設けてあり、その上面開口5には、該開口5を封止するための蓋体15を保持する開閉部6を配置してある。容器本体2を構成する板材は、その厚さ寸法が2.3mmであり、枠体3を構成する板材は、その厚さ寸法が3.2mmである。
【0020】
容器本体2は、図2に示すように平面視で長方形状になっており、図3および図4に示すように、下部2aが直方体状の有底箱型に形成されている。容器本体2の上部(漏斗状部)2bは、上面開口5側に向かうに従って漏斗状に窄まる四角錐台状に形成されている。つまり、容器本体2の上部2bは、その前後左右の側板9・10・13・14(図4および図5参照)がそれぞれ容器本体2の内方に傾く傾斜状に配置されている。
【0021】
そのうえで、図4に示すように、容器本体2の上部2bを構成する、前後および左右で向かい合う二対の側板のうち、いずれか一対の側板9・10(図4の左右の側板)の内面は、その向かい合う一方の側面9(図4の左側)の内面部分の傾斜角度d1が向かい合う他方の側板10(図4の右側)の内面部分の傾斜角度d2よりも大きくなっている。つまり、向かい合う一対の内面部分の傾斜角度が、互いに異なる角度に設定されている。
【0022】
容器本体2の上部2bにおける一方の側面9の内面部分は、例えば70〜80度の傾斜角度d1を有しており、他方の側板10の内面部分は、例えば50〜60度の傾斜角度d2を有している。これによって、容器本体2の上面開口5が、収容容器1において前後左右のいずれか一の周縁側に偏った位置に形成される(図2参照)。なお、容器本体2の上部2bにおける他方の一対の側板13・14は、図5に示すように、ほぼ等しい傾斜角度で容器本体2の内方に傾いている。
【0023】
容器本体2の上部2bの上面開口5の縁は、図1に示すように、四角筒状に立上げ形成されており、その上端に開閉部6の支持板11が固定されている。支持板11は、長方形の平板状に形成してあり、その中央には容器本体2の上面開口5に重ねて開口12を形成してある。開閉部6は、蓋体15を水平方向にスライド移動可能に、しかも蓋体15を揺動軸17まわりに揺動可能に支持する。開閉部6は、前記支持板11と、長方形状の前記蓋体15と、蓋体15において前後左右の縁部のうちの一方の縁部15a(図1では左側)に当接して蓋体15の揺動を規制するロック機構16と、蓋体15において前記一方の縁部15aの反対側(図1では右側)に位置する他方の縁部15bに配置した横向きの前記揺動軸17と、支持板11の上面に固定されていて前記揺動軸17の軸方向の各端部(図5参照)をそれぞれ着脱自在に支持する一対の軸受け部19・19とを有している。
【0024】
開閉部6の蓋体15は、その長方形の周縁に沿って上向きに膨出する環状溝部20が形成されており、その環状溝部20の下面開口側には、クロロプレンゴム等から成る環状のパッキン21が嵌合している。そして、蓋体15が容器本体2の上面開口5を閉じたときには、パッキン21が支持板11の上面に密着して(図1の状態)、容器本体2の上面開口5が蓋体15によって封止される。
【0025】
開閉部6の各軸受け部19は、横向きのフック形状になっている。つまり、軸受け部19の周壁には、蓋体15の揺動軸17の挿入係合および抜け外れを許す切欠部29が容器本体2の上面開口5側へ凹入形成されている。そして、各軸受け部19の切欠部29に、蓋体15の揺動軸17の軸方向の端部がそれぞれ挿入係合して軸支されることで(図1の状態)、蓋体15が揺動可能に支持される。この状態で、蓋体15をスライド移動(図1では右方向へ移動)したときには、そのスライド移動に伴って、蓋体15の揺動軸17が各軸受け部19の切欠部29から抜け外れる。
【0026】
この構成により、蓋体15は、開口5を閉塞する閉姿勢(図1の姿勢)と、該閉姿勢から水平方向にスライド移動したことで開口5を開いているスライド開姿勢(図6の姿勢)と、該開姿勢から揺動軸17まわりに外開き方向に揺動したことで開口5を開いている揺動開姿勢(図7の姿勢参照)の三つの姿勢間で変位可能になっている。つまり、軸受け部19に揺動軸17が挿入係合したときには、蓋体15は閉姿勢と揺動開姿勢との間で変位可能になり、揺動軸17が切欠部29から抜け外れることで、蓋体15が閉姿勢からスライド開姿勢に変位可能になる。
【0027】
開閉部6のロック機構16は、支持板11の下面に設けたアーム支持部22に対して水平軸24を介して上下揺動可能に支持されたロックアーム23と、ロックアーム23における容器本体2の上面開口5側である一端側(図1では右側)に回転可能に装着されたローラ25と、ロックアーム23の他端側(図1では左側)と枠体3の上側の枠3aの下面との間に介在する引っ張りばね(付勢手段)26とを有している。そして、ロックアーム23は、蓋体15が開口5を閉塞した常態において、引っ張りばね26によってロックアーム23の他端側が上側へ引っ張られる。これによってロックアーム23は、ローラ25が蓋体15に当接して蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制するロック姿勢側に付勢され、そのロック姿勢で保持される。
【0028】
また、図1の状態において、ロックアーム23の他端側である操作部23aを引っ張りばね26の付勢力に抗して押し下げ操作すると、ロックアーム23は、水平軸24まわりに揺動して、ローラ25が蓋体15から離れて蓋体15の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を許すアンロック姿勢へ変位する。図1のロック姿勢において、蓋体15を閉姿勢からスライド開姿勢に向かって変位させると、ローラ25が転動して、蓋体15とローラ25との当接状態が解除される。そして、ローラ25が転動することで、蓋体15の一方の縁部15aはローラ25から容易に離れることができる。なお、ロックアーム23に対してローラ25は、複数個配置される。
【0029】
ロック機構16のロックアーム23は、その一端部が支持板11に形成された通孔27を通って支持板11の上側に突出しており、その突出上端側が容器本体2の上面開口5側にL字状に折れ曲がっている。その先端に前記ローラ25が支持されている。ロックアーム23は、一端側から他端側にわたってV字状に折れ曲がっており、その折れ曲がり部分に引っ張りばね26の下端が連結される。
【0030】
蓋体15をスライド移動して容器本体2の上面開口5を開くときには、支持板11の上面に配置した、図2に示す一対のガイド板30・30によって蓋体15が案内される。また、蓋体15の揺動軸17の軸方向の両端が、支持板11と枠体3の上側の枠3aとの間に配置した一対のガイド部31・31によって案内される。これによって、蓋体15が斜めになることなく適正にスライド移動する。各軸受け部19の切欠部29の上面は、蓋体15の揺動軸17を容易に嵌め込むことができるように傾斜している。各ガイド部31における容器本体2の上面開口5側の端部は外向きに広がっており、ガイド部31・31間に蓋体15の揺動軸17が容易に案内されるようになっている。
【0031】
枠体3は、図3に示すように、その上下にそれぞれ配置された四角形状の枠3a・3aと、上下の枠3a・3aの四隅同士を繋ぐ四本の支柱3bと、各支柱3bの上下中間に配置された四角形状の補強枠3cとを有している。容器本体2は、その下部2a側が各支柱3bの内側に固定される。容器本体2の上面開口5および開閉部6は、枠体3の上側の枠3aよりも下側に位置する。
【0032】
収容容器1の使用態様を説明すると、図1に示すように容器本体2の上面開口5を閉じた蓋体15の閉姿勢では、開閉部6のロック機構16のローラ25が蓋体15の一方の縁部15aの上面に押し付けられ、また蓋体15の揺動軸17が軸受け部19の切欠部29に係合しており、パッキン21が支持板11の上面に押し付けられて容器本体2の上面開口5が密封されている。
【0033】
収容容器1の容器本体2内に収容物を収容する場合には、収容容器1が、例えば図6に示す自動収容装置35に装着される。この自動収容装置35は、筐体36に支持された蓋開閉機構37と、収容物投入用のパイプ39とを有している。蓋開閉機構37は、収容容器1の蓋体15の揺動軸17を把持する把持部40と、その把持部40をスライド移動させるスライド移動部41とを有している。そして、蓋開閉機構37の把持部40で収容容器1の蓋体15の揺動軸17を把持し、そのまま把持部40をスライド移動(図6では右方向へ移動)して、蓋体15を閉姿勢からスライド開姿勢に変位させることで、容器本体2の上面開口5が開かれる。
【0034】
次に、容器本体2の上面開口5から容器本体2内に収容物投入用のパイプ39を差し込み、そのパイプ39によって容器本体2内に収容物が投入されて収容される。その容器本体2内への収容物の収容が完了すると、容器本体2の上面開口5からパイプ39が抜き取られる。その後に自動充填装置35の蓋開閉機構37の把持部40が、収容容器1の蓋体15の揺動軸17を把持したままスライド移動(図6では左方向へ移動)することで、蓋体15がスライド開姿勢から閉姿勢に変位して容器本体2の上面開口5が閉じられる。
【0035】
収容容器1の容器本体2内の収容物を取り出す場合には、蓋体15の閉姿勢で、収容容器1の天地を図3とは逆にした天地逆姿勢にする。つまり、容器本体2の上面開口5が下側になる。この天地逆姿勢の収容容器1が、例えば図7に示す自動排出装置41に装着される。この自動排出装置41は、筐体42に支持されて収容容器1の蓋体15を開閉揺動するための蓋開閉機構43と、収容容器1のロック機構16のロックアーム23を引っ張りばね26の付勢方向とは逆方向(図7では上方向)に揺動させる挟持解除部45とを有している。
【0036】
そして、自動排出装置41の蓋開閉機構43に設けた支持アーム46によって収容容器1の蓋体15を支持した状態で、自動排出装置41の挟持解除部45に設けた押上ロッド47を上昇させて、収容容器1のロック機構16のロックアーム23の操作部23aを引っ張りばね26の付勢方向とは逆方向に押し上げる。すると、ロックアーム23が揺動してロック姿勢からアンロック姿勢に変位し、ロック機構16のローラ25が蓋体15の一方の縁部15aから離れる。次いで、自動排出装置41の蓋開閉機構43の支持アーム46を下方に揺動して、その支持アーム46で支持している収容容器1の蓋体15を自重で下方に揺動させる。つまり、蓋体15が閉姿勢から揺動開姿勢に変位して、容器本体2の上面開口5が開かれ、収容物の自重で上面開口5から収容物が落下して排出される。なお、この排出された収容物は、ホッパー49等で受け止められる。
【0037】
その際、容器本体2の上部2bが漏斗状になっていることで、容器本体2内の全ての収容物がスムーズ、且つ、迅速に排出される。また、容器本体2の上部2bにおける向かい合う一方の側面9の内面部分の傾斜角度d1と、向かい合う他方の側板10の内面部分の傾斜角度d2とが異なることにより、一方の側面9の内面部分に沿って落下する収容物の落下速度と、他方の側板10の内面部分に沿って落下する収容物の落下速度とが異なって、収容物が収容容器1の上面開口5付近に押し固まって詰まること等が抑えられる。
【0038】
収容容器1の容器本体2内からの収容物の排出が完了すると、自動排出装置41の蓋開閉機構43の支持アーム46を上方に揺動させて、蓋体15を揺動開姿勢から閉姿勢に変位させて、蓋体15によって収容容器1の容器本体2の上面開口5を閉じる。この状態で、自動排出装置41の挟持解除部45の押上ロッド47を下降させる。すると、収容容器1のロック機構16の引っ張りばね26の付勢力によって、ロックアーム23が揺動してアンロック姿勢からロック姿勢に変位し、ロック機構16のローラ25が蓋体15の一方の縁部15aに押し付けられる。これにより、蓋体15の閉姿勢が保持される。なお、枠体3の上側の枠3aには、自動排出装置41の挟持解除部45の押上ロッド47が挿通できる孔50が形成されている。
【0039】
このように、収容容器1の容器本体2内に収容物を収容する場合には、蓋体15をスライド移動させて容器本体2の上面開口5を開くので、蓋体15が、容器本体2の上面開口5に収容物投入用のパイプ39を差し込む等の際の邪魔にならない。また、収容容器1の容器本体2内の収容物を取り出す場合には、蓋体15を揺動させて収容容器1の容器本体2の上面開口5を開くので、蓋体15をスライド移動させる場合よりも容易に蓋体15を動かして収容容器1の容器本体2の上面開口5を開くことができる。なお、容器本体を形成する板材は、アルミニウム等の金属やプラスチック等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る収容容器の要部を示す縦断面図である。
【図2】収容容器の平面図である。
【図3】収容容器の斜視図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図3のB−B線断面図である。
【図6】蓋体をスライド移動させた状態で収容物を収容する自動収容装置を示す概略構成図である。
【図7】蓋体を揺動させた状態で収容物を排出する自動排出装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0041】
1 収容容器
2 容器本体
2b 容器本体の上部
5 容器本体の上面開口
6 開閉部
11 支持板
15 蓋体
16 ロック機構
17 揺動軸
19 軸受け部
23 ロックアーム
23a 操作部
25 ローラ
26 引っ張りばね
27 切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物が収容される容器本体(2)と、容器本体(2)の上面に設けた開口(5)を封止する蓋体(15)と、蓋体(15)を水平方向にスライド移動可能に、しかも蓋体(15)を揺動軸(17)まわりに揺動可能に支持する開閉部(6)とを備えており、
開口(5)を閉塞する閉姿勢と、該閉姿勢から水平方向にスライド移動したことで開口(5)を開いているスライド開姿勢と、該開姿勢から揺動軸(17)まわりに外開き方向に揺動したことで開口(5)を開いている揺動開姿勢の三つの姿勢間で、蓋体(15)が変位可能に構成されていることを特徴とする収容容器。
【請求項2】
開閉部(6)には、蓋体(15)の揺動軸(17)を支持する軸受け部(19)が設けられており、
軸受け部(19)の周壁には、揺動軸(17)の挿入係合および抜け外れを許す切欠部(29)が設けられており、
軸受け部(19)に揺動軸(17)が挿入係合して軸支されたとき、蓋体(15)は閉姿勢と揺動開姿勢との間で変位可能であり、
蓋体(15)が閉姿勢からスライド開姿勢に変位するときに、揺動軸(17)が切欠部(29)から抜け外れるように構成されている請求項1記載の収容容器。
【請求項3】
開閉部(6)には、蓋体(15)の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制するためのロック機構(16)が設けられており、
ロック機構(16)は、ロックアーム(23)と、該ロックアーム(23)に回転自在に装着されたローラ(25)とを有し、
ロックアーム(23)は、ローラ(25)が蓋体(15)に当接して蓋体(15)の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を規制するロック姿勢と、ローラ(25)が蓋体(15)から離れて蓋体(15)の閉姿勢から揺動開姿勢への変位を許すアンロック姿勢との間で水平軸(24)まわりに揺動自在に支持されており、常態においては付勢手段(26)によりロック姿勢側に付勢されており、
ロック姿勢において、蓋体(15)を閉姿勢からスライド開姿勢に向かって変位させると、ローラ(25)が転動して、蓋体(15)とローラ(25)との当接状態が解除されるように構成されている請求項2記載の収容容器。
【請求項4】
ロックアーム(23)の一端側にローラ(25)が装着され、他端側に操作部(23a)が設けられており、
容器本体(2)を天地逆姿勢としたうえで、付勢手段(26)に抗して操作部(23a)を押し上げ操作すると、ロックアーム(23)がロック姿勢からアンロック姿勢に変位して、蓋体(15)が閉姿勢から揺動開姿勢に変位するように構成されている請求項3記載の収容容器。
【請求項5】
容器本体(2)は、開口(5)側に向かうに従って漏斗状に窄まる漏斗状部(2b)を有しており、
漏斗状部(2b)を構成する、向かい合う一対の内面部分の傾斜角度が、互いに異なる角度に設定されている請求項1乃至4のいずれかに記載の収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−18860(P2009−18860A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184817(P2007−184817)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000156086)株式会社和光製作所 (10)
【Fターム(参考)】