説明

受信機を自動的にコールするシステムおよび方法、当該システムにおいて使用される警報エンジンおよび起動ステーション、および、当該システムにおいて実行される警報処理

【課題】 受信機を自動的にコールするシステムおよび方法、システムで使用される警報エンジンおよび起動ステーション、システムで実行される警報処理に関し、各々のユーザーの要求に容易に適応することを可能にすることを目的とする。
【解決手段】 受信機のセットを自動的にコールするシステムにおいて、受信機セットのリストをコールするための複数の段階の間における少なくとも1つの条件付きの遷移を規定する警報処理に従って、受信機セットに対し複数のコールを設定する警報エンジン4を有しており、上記警報処理は、警報エンジンとは独立して変更可能なファイル14内に格納されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機のセットを自動的にコールするシステムおよび方法、当該システムにおいて使用される警報エンジンおよび起動ステーション、および当該システムにおいて実行される警報処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
受信機のセットをコールするための従来技術に係わる自動コールシステムは、一つの警報エンジンを有している。この警報エンジンは、所定のリストの中から、受信機をコールするための複数の段階の間における、少なくとも一定の条件下で遷移するように規定される警報処理に従って、複数のコールを受信機に設定するのに適している。
【0003】
従来技術に係わるシステムでは、例えば、一定の事故が発生した場合に、救助隊員などのような人々に警報を発するのに、特に有用である。
【0004】
これらの従来技術に係わるシステムにおいては、警報処理は、警報エンジンのコードとして統一されており、それとともに、1つまたは同種のプログラムとを構成している。従って、ユーザーが、警報処理の変更を望む場合は、警報エンジンのコードを変更しなければならない。それゆえに、上記で説明した従来技術に係わるシステムでは、各々のユーザーの要求に、適応させることが困難であるという不都合が生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、各々のユーザーの要求に容易に適応することが可能な、自動的に受信機をコールするシステムおよび方法等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の本質は、警報処理が、警報エンジンとは独立して変更可能なファイル内に格納されるような、自動的に受信機をコールするための自動コールシステムにある。
【0007】
本発明に係わる自動コールシステムでは、警報処理が、警報エンジンとは独立して変更することができるようなファイル内に格納される。従って、警報処理のみを変更しなければならない場合は、もはや、警報エンジンのコードを変更する必要はなく、ファイル内のプログラムのみを変更することで済むことになる。
【0008】
上記で説明した本発明のシステムの実行例では、以下に説明する複数の特徴の、1つまたは複数を包含することができる。
【0009】
1)予想される遷移に関連している条件が、真であると評価された場合は、警報エンジンは、先行するコール段階の実行が終了するのを待つことなく、新しいコール段階の実行を命令する。そして、予想される遷移の後に、コールエンジンは、先行するコール段階の実行を中断することなく、先行するコール段階と新しいコール段階を並行して実行することができる。
【0010】
2)予想される遷移は、警報処理の中で規定される。
【0011】
3)本発明のシステムは、警報エンジンの制御下にあるオートダイアラを含んでいる。当該オートダイアラは、受信機リストにもとづき各々の受信機をコールし、これらコール先での進行状態に関する追跡情報を警報エンジンに送信する。そして、警報エンジンは、この追跡情報の内容に応じて、警報処理で規定されている予想される遷移と関連させて、状態を評価するようになっている。
【0012】
4)警報処理は、タグを使用し、かつ、標準汎用マークアップ言語(SGML)から基づいているコンテンツ記述言語(Content Description Language)で作成されている。
【0013】
5)警報エンジンは、警報処理内に含まれているタグを解釈する。
【0014】
6)警報処理は、先行するコール段階が終了する前に、新しいコール段階のトリガを可能にするような、予想される遷移を規定した開始時点を明確にする予想遷移タグを含んでいる。
【0015】
7)警報処理は、警報エンジンにより実行される場合に、所定の条件が満足されるまで、前記警報エンジンが任意のコール段階を進めるのを待つことを可能にするような、命令を待機する段階を規定した開始時点を明確にする命令待機(Waiting-for-a-command)タグを含んでいる。
【0016】
8)警報エンジンは、異なる警報処理に属している複数のコール段階を同時に実行する。
【0017】
9)本発明のシステムは、警報エンジンとは独立して変更可能なファイル内に格納されている複数の警報処理を含んでいる。また更に、長距離情報伝送ネットワークを経由して警報エンジンに接続されており、警報エンジンにより実行される複数の警報処理の中の1つを選択し、複数の警報処理の中から1つの実行を起動するステーションも含んでいる。
【0018】
10)本発明のステーションは、実行対象の警報処理、または事前に格納している実行対象の警報処理を示す識別子を警報エンジンに送信する。また一方で、警報エンジンは、送信された内容に応答して、送信されてきた警報処理全体の実行、または送信されてきた識別子に対応するような事前に格納している警報処理の実行をトリガすることになる。
【0019】
また、本発明は、上記の自動コールシステムにおいて、使用される警報エンジンを提供することができる。
【0020】
更には、本発明は、受信機のセットを自動的にコールする方法と、当該受信機のセットに対してコールを設定する段階を有する方法とを提供する。設定する段階では、受信機のリストをコールする段階毎に、少なくとも1つの条件付きの遷移を規定した警報処理に従って実行していく。上記方法は、警報モジュールとは独立して変更可能なファイル内に、警報処理を格納する段階を含んでいる。また、上記方法には、警報処理をコンテンツ記述言語で作成する段階を含むことができる。このコンテンツ記述言語は、タグを使用しており、標準汎用マークアップ言語(SGML)から基づいた記述言語である。
【0021】
添付の図面との関連で、一例として提供されている以下の説明を参照することにより、本発明について十分に理解することができよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、自動コールシステム2の構成を示すものである。当該自動コールシステム2は、オートダイアラ6と協働している警報エンジン4を備えている。
【0023】
警報エンジン4は、1つまたは複数の警報処理を解釈して実行する。ここで、複数の警報処理が存在する場合には、これらの警報処理を同時に実行することができる。例えば、このエンジン4は、通常のプログラム可能なコンピュータに基づいている。このコンピュータは、複数の警報処理に必要な命令を実行する際に、情報記憶媒体に格納されている命令を取り出して、実行することになる。この目的のために、記憶媒体には、図4に示すフローチャートを実行するための命令が格納されている。
【0024】
進行途中の警報処理は、メモリ12内のデータベース10に格納される。このメモリ12には、ファイル14も含まれており、このファイル14には、事前に格納されている警報処理、事前に格納されているコールリスト、および適用可能な場合に事前に格納されているメッセージが、格納されている。そして、事前に格納されている警報処理、コールリスト、およびメッセージは、警報処理識別子、コールリスト識別子、およびメッセージ識別子にそれぞれ関連づけられている。
【0025】
警報処理は、オートダイアラ6がリスト内(例えば、事前に格納されているリスト)の受信機をコールする期間において、複数のコール段階の間における条件付きの遷移を規定されている。これらの条件付きの遷移には、1つのコール段階から次のコール段階に遷移するための1つまたは複数の条件が規定されている。2つのコール段階の間における上記遷移は、現在のコール段階の実行状態を追跡している情報の関数として、エンジン4によって実行されるか、または実行されないようになっている。尚、この警報処理の例については、後で詳細に、図2および図3を参照しながら、説明する。
【0026】
オートダイアラ6は、長距離情報伝送ネットワーク20を介して、複数のコールのコールリストに対応している受信機のセット22をコールする。長距離情報伝送ネットワーク20は、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)である。また一方で、例えば、この受信機のセットの22には、1つまたは複数の固定電話機24、1つまたは複数の携帯電話機26、および1つまたは複数のコンピュータ28が含まれる。
【0027】
オートダイアラ6が使用するコールリストには、ネットワーク20を介して、受信機のセット22の各々にコンタクトするための詳細情報が含まれている。例えば、このコールリストには、各々の固定電話機24または携帯電話機26の電話番号と、各々のコンピュータ28のユーザーの電子メールアドレスとが含まれる。
【0028】
オートダイアラ6は、コールリスト内に詳細情報が含まれている多数の受信機に対して、順次または同時にコールすることができる。
【0029】
また、このオートダイアラ6は、実行対象のコールの進行状態を表しているコール追跡情報をエンジン4に返送する。例えば、オートダイアラ6がエンジン4に返送するコール追跡情報には、コールリストと、それぞれ指定された受信機ごとのコールの進行状態に関する情報とが含まれている。そして、この進行状態としては、例えば、「進行中(in progress)」、「失敗(failed)」、および「成功(succeeded)」という3つの値をとることができる。この「進行中」という値は、そのコールが設定されている最中であることを意味しており、「失敗」という値は、その受信機にコンタクトすることができなかったことを意味し、「成功」という値は、その受信機を正常にコールすることができたことを意味している。
【0030】
1台のステーション30は、エンジン4によって実行される警報処理を起動させるものであり、ネットワーク20を介して、エンジン4に接続している。このステーション30は、ユーザーに対して、エンジン4が実行するべき警報処理を選択させることができる。この目的のために、ステーション30は、例えば、エンジン4のファイル14の中の1つに、事前に格納すべき警報処理の識別子を送信する。また一方で、本発明の実行例では、ステーション30は、ローカルに格納している警報処理を、エンジン4に送信する。このために、このステーション30には、1つまたは複数の警報処理34を格納するメモリ32に接続されている。
【0031】
ステーション30により、ユーザーは、すべての受信機に同報通信(broadcast)すべきメッセージを選択することが可能になる。警報処理について説明した方式と同様の方式によって、ステーション30は、メモリ12内に事前に格納すべきメッセージの識別子および/または受信機に同報通信(broadcast)するメッセージを、ネットワーク20を介して、エンジン4に送信する。このエンジン4に送信するメッセージは、例えば、メモリ32内に事前に格納されている。
【0032】
ステーション30は、例えば、エンジン4と通信するためのインターネットブラウザを具備するような標準的なコンピュータに基づいている。
【0033】
また、上記システム2には、インターネットサーバー40、リモートコンサルテーションステーション42、および入力モジュール44も含まれている。
【0034】
サーバー40は、警報処理の進行に関して、遠隔から追跡することができる。この目的のために、このサーバーは、オートダイアラ6に接続されており、コール追跡情報を受信することができる。上記サーバによって、ステーション42が、上記コール追跡情報を参考にすることができる。ステーション42は、インターネットブラウザを具備する典型的なコンピュータである。
【0035】
モジュール44は、データ入力用として標準的に設計されたものであり、新規のコール処理、コールリスト、またはメッセージを入力し、それらをファイル14内に格納するために、使用され得る。
【0036】
本発明の実施例に関し、説明を簡単にするために、エンジン4、オートダイアラ6、サーバー40、およびモジュール44は、同一のデータ処理サーバー内に設けられており、このサーバーは、メモリ12に接続されているものとする。
【0037】
図2は、ファイル14の中の1つに含まれている警報処理の中から例を示すものであり、図3は、図2の警報処理をフローチャートのような形で示すものである。
【0038】
システム2の構成を簡単にするため、コール処理は、タグを使用し、かつ、標準汎用マークアップ言語(SGML)に基づいた言語により記述されている。より正確にいえば、本発明の実行例としては、コール処理は、拡張マークアップ言語(XML)によって記述されている。
【0039】
各々の警報処理は、開始タグまたは開始マーカーである<Model>と、終了タグまたは終了マーカーである</Model>の間に挟まれている。
【0040】
そして、開始タグ<Model>および終了タグ</Model>との間に配置されているタグ<DiffusionStage>およびタグ</DiffusionStage>が、1個のコール段階の規定の開始点および終了点をそれぞれ規定している。
【0041】
タグ<DiffusionStage>は、1つまたは複数の属性を含むことができるが、属性を含まなくてもよい。第1の属性である「エントリ(entry)」は、コール段階が値として「真(true)」をとった場合に、当該コール段階が警報処理に対するエントリポイントであることを意味している。この場合には、エンジン4は、そのコール段階の実行を開始する。第2の属性である「段階名(StageName)」は、その段階の名前を規定している。本発明の実行例では、警報処理内で、5つのコール段階が規定されており、これらのコール段階は、「タームボス(TermBoss)」、「パーソナルボス(PersoBoss)」、「チームメンバ(Team member)」、「パーソナルメンバ(Perso Member)」、および「レスキューチーム(Rescue Team)」とそれぞれ表記されている。なお、図3においては、これらのコール段階に対し、上記に記述した順序に従って、参照符号66〜76を付与している。
【0042】
そして、1個のコール段階の規定には、少なくとも1つのタグ<Diffusion List>を含んでいる。このタグは、当該コール段階において使用されるコールリストを識別する目的のために、コールリストの名前を規定する属性の「名前(name)」を含んでいる。ここでは、例えば、次のようなタグ、
<diffusionlist name = ”List1”/>
が含まれている。このタグは、上記コール段階において、呼ばれるべき受信機のリストが、「リスト1(List1)」という名前のファイル内に含まれていることを意味している。
【0043】
そして、このコール段階の規定は、別のコール段階に対する1つまたは複数の条件付きまたは無条件の遷移の規定を含むことができる。例えば、この場合には、警報処理には、開始タグ<BeforeEndDiffusion>と、終了タグ</BeforeEndDiffusion>とが含まれており、これらの2つのタグの間において、その他のコール段階に対する予想される遷移が規定されている。より正確にいえば、タグ<BeforeEndDiffusion>は、先行する段階の実行を停止することなしに、エンジン4が次の段階を実行できるようにする予想される遷移を規定するといったような特殊な特徴を有している。図3には、このような2つの段階の間における予想される遷移が破線によって表されている。例えば、この警報処理の場合には、段階66と段階68との間には、予想条件付きの遷移70が含まれており、段階67および段階68間とのには、予想条件付きの遷移71が含まれている。
【0044】
これらの遷移70および遷移71の規定は、開始タグ<Transition>と、終了タグ</Transition>との間に配置されている。そして、この開始タグ<Transition>には、条件が真であると評価された場合に、その遷移が、どのコール段階に対して実行されるのかを示すための属性である「段階名(StageName)」属性が含まれている。例えば、タグ<Transition StageName=”Team members”>は、その遷移が、コール段階68に対して実行されることを意味している。
【0045】
遷移をトリガする条件は、開始タグ<Transition>と終了タグ</Transition>との間に配置されている。ここでは、上記条件は、開始タグ<If>と終了タグ<If/>によって挟まれている。開始タグ<If>および終了タグ<If/>との間に配置されているタグは、上記の条件付きの遷移が起動される条件を規定している。ここでは、上記条件は、一例として、次の段階への遷移を起動するために、コールリスト中の少なくとも1つのコールが正常に完了していなければならないということである。
【0046】
図2では、このような条件は、サインタグ<AtLeastOne nbAppel=”1”typeAppel=”success”fromList=” List1”>に対応しており、3つの属性を具備している。第1の属性である「nbアピール(nbAppel)」は、コール番号を規定しており、第2の属性である「タイプアピール(typeAppel)」は、コールの進行状態を規定しており、第3の属性である「フロムリスト(fromList)」は、関係するコールリストの名前を規定している。
【0047】
より正確に説明すると、この例においては、遷移70は、リスト内の「リスト1(List1)」中の受信機が正常にコールされた場合に実行され、遷移71は、リスト内の「リスト2(List2)」中の受信機が正常にコールされた場合に実行されることになる。
【0048】
また一方で、警報処理には、警報処理の実行の際に、常に実行される無条件遷移も含まれている。
【0049】
これらの無条件遷移は、条件と関連付けられていない。この例においては、これらの無条件遷移は、開始タグ<AfterDiffusion>と終了タグ</AfterDiffusion>によって規定されている。これらの遷移は、先行するコール段階の実行の終了に続くコール段階への体系的な遷移に対応している。開始タグ<AfterDiffusion>と終了タグ</AfterDiffusion>との間において、前述のタグ<Transition>が、遷移が実行される先のコール段階の名前が規定している。ここで、図示されている警報処理には、このような無条件遷移が2つ規定されている。図3では、これらの無条件遷移が、実線72、73によって表されている。
【0050】
最終的に、この図2の警報処理には、タグ<ControleStage>と</ControleStage>との間に規定されている命令待機段階75が含まれている。このタグ<ControleStage>には、前述のタグ<DiffusionStage>と同一の属性が含まれている。例えば、この図2の特定の例においては、命令待機段階75の「pb の場合(In case of pb)」は、この警報処理に対する第2のエントリポイントに対応している。
【0051】
この段階75においては、エンジン4は、何のアクションも実行することなく、遷移74に関連している条件が真であると評価されるのを待つのみとなる。
【0052】
この遷移74に関連している条件は、タグ<MessageEqual messageName=” messageEtat”>によって規定されている。このタグは、属性「メッセージネーム(messageName)」により、名前が指定されている受信メッセージが、属性「値(value)」により指定されている値を有する場合に、この遷移が実行されることを意味している。即ち、この図2の警報処理において、この遷移を実行するためには、受信メッセージが、「メッセージ階層(messageEtat)」という名前を具備すると共に、「介入(intervention)」という値をとらなければならないのである。尚、この遷移は、図3のライン74によって表されている。
【0053】
つぎに、システム2全体の動作については、図4を参照して説明する。警報処理が実行されるような特定の状態については、図2に示すものに拠る。
【0054】
初期段階、すなわち、段階100においては、入力モジュール44を使用しながら、システム2におけるオペレータは、事前に規定されているタグを利用して、図2に示した警報処理をXMLで作成する。そして、この警報処理の作成が完了したら、段階102において、その警報処理をファイル14に格納する。このファイル14は、メモリ12に格納されている。
【0055】
段階103において、オペレータは、1つまたは複数のコールリストと、1つまたは複数の同報通信(broadcast)するメッセージとを入力し、メモリ12内に格納する。
【0056】
そして、必要に応じて、ステーション30は、段階104において、介入の要求をエンジン4に対して送信するが、この要求には、実行対象の1つまたは複数の警報処理を選択する動作106が含まれている。より正確に説明すれば、この動作106においては、ステーション30は、事前に格納されている実行すべき警報処理の識別子または警報処理自体をエンジン4に送信する。また一方で、段階104には、様々な受信機に対して同報通信(broadcast)するメッセージを選択する動作108も含まれている。この同報通信(broadcast)対象のメッセージは、動作106の場合と同様な方式で、ステーション30により選択され、同報通信(broadcast)対象の事前に格納されているメッセージの識別子または当該メッセージ自体がエンジン4に送信される。
【0057】
段階110では、エンジン4は、段階104での介入の要求に応答するために、段階104において選択された警報処理に対応するファイル14の内容を解釈する。特に、段階110には、選択された警報処理の各段階をデータベース10内に格納するオペレータ112と、上記の選択されたコール処理が参照するコールリストをデータベース12内に格納するための動作114とが含まれている。
【0058】
ついで、段階120において、エンジン4は、データベース10内に格納されているコール処理のすべてを並行して実行する。例えば、図2の警報処理の特定のケースにおいては、エンジン4は、段階66および段階75の同時実行を開始する。
【0059】
より正確にいえば、段階66において、警報処理において示されている内容に従って、エンジン4は動作122を実行する。この動作122で、エンジン4は、コールリスト内の「リスト1(List1)」をオートダイアラ6に送信し、このコールリスト内に詳細が記載されている受信機のコールを開始するよう、オートダイアラ6に命令する。
【0060】
定期的な時間間隔で、エンジン4は、問合せ動作124を実行する。この問合せ動作124では、エンジン4から、オートダイアラ6に対して、コール追跡情報を問い合わせし、オートダイアラ6は、エンジン4に対して、コール追跡情報を返信する。
【0061】
エンジン4は、受信した最新のコール追跡情報を考慮して、様々な条件付きの遷移を評価する動作126を実行する。そして、条件付きの遷移に関連している条件が「真」であると評価された場合には、エンジン4は、その警報処理における次の段階の実行を開始する。例えば、コール段階66の実行継続している最中に、リスト内の「リスト1(List1)」中の受信機の1つを正常にコールしたという旨の通知をオートダイアラ6から受領すると、エンジン4は、即座に、コール段階68の実行を開始する。
【0062】
1つのコール段階が完了すると、エンジン4は、タグ<AfterDiffusion>により指名されている次のコール段階の実行を開始する(次のコール段階が存在している場合)。例えば、コール段階66の終了の時点において、エンジン4は、コール段階67の実行に自動的に進むことになる。
【0063】
また一方で、エンジン4は、動作130を実行する。この動作130では、任意のコマンドが、待機の段階から離れるような条件付きの遷移を示しているか否かを評価する。
【0064】
例えば、図2の警報処理の場合には、エンジン4は、定期的な時間間隔で、メッセージ「メッセージ階層(messageEtat)」が「介入(intervention)」という値を有しているか否かを判断する。そして、この判定結果が「真」である場合には、エンジン4は、即座に段階70を開始する。一方、この判定結果が「偽」である場合には、エンジン4は、待機状態を継続することになる。尚、このメッセージ「メッセージ階層(messageEtat)」の値は、例えば、ステーション30から変更することが可能である。従って、エンジン4は、条件付きの遷移に関連している条件を定期的に確認することによって、段階ごとに、ファイル14内に規定されている警報処理を追跡し、当該遷移に関連している条件が「真」と評価された場合にのみ、上記の遷移を実行することになる。
【0065】
より正確に説明すれば、警報エンジンは、並行して現在実行中の警報処理のすべての条件付きの遷移の条件を同時に確認し、これらの遷移および/または段階が属する警報処理とは独立して、現在動作中のコール段階のすべての実行を同時に命令する。従って、エンジン4は、単独で複数の警報処理を同時に実行することが可能である。
【0066】
尚、このエンジン4の動作を変更することなしに、警報処理を変更することが可能であることに留意されたい。この結果、エンジン4の動作をクライアントの要求に対して容易に適応させることができる。
【0067】
また、予想される遷移のおかげで、警報処理の実行を加速することができる。なぜならば、先行するコール段階の終了を待つことなしに、その警報処理の新しいコール段階の実行を開始することが可能になるからである。
【0068】
また一方で、タグを採用したコンテンツ記述言語を使用することによって、システム2の構成が簡単になっている。なぜならば、プログラムの作成とこれに続くコンパイルといったようなプログラミングの段階の使用を回避することができるからである。これらのタグは事前に規定されているため、ユーザーがエンジン4の操作方法の詳細について認知している必要はない。さらに、コール段階と命令待機段階を規定するタグを使用することによって、警報処理の作成が簡単になっている。
【0069】
尚、本明細書においては、1つの警報エンジン(4)のみを含むといったような特定の状態におけるシステム2について説明しているが、その代わりに、システム2が、同一のサーバー内または個々のサーバー内にインストールされた複数の同一の警報エンジンを含むことも可能である。
【0070】
また一方で、受信機は、任意の種類の機械であってよく、或いは、任意の種類の機械に内蔵させることも可能である。この場合には、その機械を制御するための命令を警報メッセージに付加することができる。本発明のシステムを使用すれば、例えば、ビデオカメラ、センサ(例えば、温度センサ、圧力センサ、レベルセンサ、または化学製品の検出器等)、または汚染除去システムの電源投入をトリガすることができる。さらに、本発明のシステムを使用することによって、こわれやすい機械の停止、配電ネットワーク等のネットワークの重要性の低い箇所の分離、あるいは、危険なまたは損傷しやすい対象物の分離をトリガすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】自動コールシステムのアーキテクチャを示す図である。
【図2】警報処理が格納されるファイルの内容を示す図である。
【図3】図2のファイル内容に対応するフローチャートである。
【図4】自動コール処理手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
2 自動コールシステム
4 警報エンジン
6 オートダイアラ
10 データベース
12 メモリ
14 ファイル
20 遠距離情報通信ネットワーク
22 受信機のセット
24 固定電話機
26 携帯電話機
28 コンピュータ
30 ステーション
32 メモリ
34 警報処理
40 インターネットサーバ
42 リモートコンサルテーションステーション
44 入力モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機のセットを自動的にコールするシステムであって、
前記システムは、前記受信機のセットのリストをコールするための複数の段階の間における少なくとも1つの条件付きの遷移を規定する警報処理に従って、前記受信機のセットに対し
複数のコールを設定する警報エンジン(4)を有しており、
前記警報処理は、前記警報エンジンとは独立して変更可能なファイル(14)内に格納されていることを特徴とする、受信機を自動的にコールするシステム。
【請求項2】
予想される遷移に関連している条件が真であると評価される場合に、前記警報エンジン(4)は、先行するコール段階の実行の終了を待つことなしに、新しいコール段階の実行を命令し、前記予想される遷移の後に、コールエンジンは、前記先行するコール段階の実行を中断することなしに、前記先行するコール段階と前記新しいコール段階とを並行して実行することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記予想される遷移(70、71)が、前記警報処理の中で規定されていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記警報エンジン(4)の制御下にあるオートダイアラ(6)を有しており、前記オートダイアラは、受信機のリスト中の各々の受信機をコールすると共に、前記コールの進行状態に関する追跡情報を前記警報エンジン(4)に送信し、また一方で、前記警報エンジンは、前記追跡情報の関数として、前記警報処理によって規定されている遷移に関連している条件を評価するようになっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記警報処理が、タグを使用し、かつ、標準汎用マークアップ言語(SGML)に基づいたコンテンツ記述言語で作成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記警報エンジン(4)が、前記警報処理内に含まれている前記タグを解釈することを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記警報処理が、先行するコール段階が終了する前に、新しいコール段階のトリガを可能にするような予想される遷移を規定した開始点を明確にする予想遷移タグを含んでいることを特徴とする請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記警報処理が、前記警報エンジンにより実行される場合に、所定の条件が満足されるまで、前記警報エンジンが任意のコール段階を進めるのを待つことを可能にするような、命令を待機する段階(75)を規定した開始点を明確にする命令待機タグを含んでいることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記警報エンジンが、異なる警報処理に属している複数のコール段階を同時に実行することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムが、
前記警報エンジンとは独立して変更可能なファイル内に格納されている複数の警報処理と、
長距離情報伝送ネットワークを介して前記警報エンジンに接続されると共に、前記警報エンジンにより実行される前記警報処理の中の1つを選択するステーションであって、前記警報処理の中の1つの実行を起動するステーション(30)と、
を更に含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ステーション(30)は、実行対象の警報処理全体、または事前に格納されている実行対象の警報処理を示す識別子を前記警報エンジンに送信し、また一方で、前記警報エンジンは、送信された内容に応答して、送信された警報処理全体の実行、または送信された前記識別子に対応するような事前に格納されている警報処理の実行をトリガすることを特徴とする請求項10記載のシステム。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載のシステムにおいて使用されると共に、前記警報処理に従って、前記受信機のセットに対し、複数のコールを命令する前記警報エンジンであって、前記警報処理は、前記受信機のセットのリスト中の受信機をコールするための複数の段階間における少なくとも1つの追加的な遷移を規定し、前記警報エンジンは、前記警報エンジンとは独立して変更可能なファイル内に格納されている警報処理を実行することを特徴とする警報エンジン。
【請求項13】
請求項10または11に記載のシステムにおいて使用される起動ステーションであって、
長距離情報伝送ネットワークを介して、前記警報エンジン(4)に接続されており、
前記警報エンジン(4)によって実行される前記警報処理を選択して、前記選択された警報処理の実行の開始を起動することを特徴とする起動ステーション。
【請求項14】
受信機のセットを自動的にコールする方法であって、
受信機のリストをコールするための複数の段階間における少なくとも1つの条件付きの遷移を規定する警報処理に従って、前記受信機のセットに対し、複数のコールを命令する段階(122)を有しており、
前記方法は、更に前記複数のコールを命令する段階を実行する警報エンジンとは独立して変更可能なファイル内に警報処理を格納する段階(102)を含んでいることを特徴とする受信機を自動的にコールする方法。
【請求項15】
前記方法は、タグを使用し、かつ、標準汎用マークアップ言語(SGML)に基づいたコンテンツ記述言語によって、前記警報処理を作成する段階(100)を含んでいることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から11のいずれか一項に記載のシステムにおいて実行される警報処理であって、警報エンジンが、受信機に対し複数のコールを設定し、かつ、受信機のリストをコールするための複数の段階間における少なくとも1つの条件付きの遷移を規定することによって、前記警報処理が実行可能となる前記警報処理は、前記警報エンジンとは独立して変更可能なファイル(14)内に格納されることが可能であることを特徴とする警報処理。
【請求項17】
前記警報処理が真であると評価された場合に、先行するコール段階の実行の終了を待つことなしに、前記警報エンジンは新しいコール段階を実行させることを可能にするような予想される遷移を規定し、これをもって、前記予想される遷移の後に、コールエンジンは、前記先行するコール段階の実行を中断することなく、前記先行するコール段階と前記新しいコール段階とを並行して実行するようになっていることを特徴とする請求項16に記載の警報処理。
【請求項18】
前記警報処理にて規定されている遷移に関連している条件が、オートダイアラから前記警報エンジンに送信されているような前記コールの進行状態に関する追跡情報の関数であることを特徴とする請求項16または17に記載の警報処理。
【請求項19】
前記警報処理が、タグを使用し、かつ、標準汎用マークアップ言語(SGML)に基づいたコンテンツ記述言語で作成されていることを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の警報処理。
【請求項20】
前記警報処理が、先行するコール段階が終了する前に、新しいコール段階のトリガを可能にするような予想される遷移を規定した開始点を明確にする予想遷移タグを含んでいることを特徴とする請求項19に記載の警報処理。
【請求項21】
前記警報処理が、前記警報エンジンにより実行される場合に、所定の条件が満足されるまで、前記警報エンジンが、任意のコール段階を進めるのを待つことを可能にするような、命令を待機する段階(75)を規定した段階の開始点を明確にする命令待機タグを含んでいることを特徴とする請求項19または20に記載の警報処理。
【請求項22】
請求項16から20のいずれか一項に記載の警報処理を格納していることを特徴とするメモリ。
【請求項23】
前記命令が、電子計算機によって実行される場合は、請求項16から21のいずれか一項に記載の警報処理を実行するための命令を含んでいることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−67589(P2006−67589A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243174(P2005−243174)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】