説明

受信装置、受信方法及びプログラム

【課題】ビームスペースアレーアンテナで移動受信を行う場合に、選局チャンネルがドップラーシフトに対して理想的な受信チャンネル以外である場合の回路規模増大、及びドップラーシフトによる性能劣化の改善を図る。
【解決手段】図1のビームスペースアレーアンテナを用いた構成では、ある受信チャンネルで各ビームのドップラー広がりがほぼ均一とすることが可能であり、移動受信にとっては理想的である。一方選局チャンネルが変わると、前述の理想的なビームパターンが崩れ、ドップラー広がりが大きくなって性能が劣化する。また全方向の電波を受信するためのビーム数が増加し、後段の信号処理に必要な系統数が増加する。本発明では図1に示すように、ビーム形成部101における空間DFTの核Wを変更することにより、各ビームの方向を移動させる。これにより全方向の電波を受信するためのビーム数増加を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナによりマルチビームを形成して受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年地上デジタル放送を車載受信するなど、高速移動中に受信する技術の検討が活発に行われている。国内の地上デジタル放送は多数の直交するキャリアで伝送を行うOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が採用されている。高速移動の受信環境下ではドップラーシフトが発生するためにOFDMの直交性が崩れ、キャリア間干渉(ICI:Inter-Carrier Interference)による受信品質の劣化が大きな問題となる。
【0003】
この問題を解決する従来の受信装置として、下記の非特許文献に開示されている構成が挙げられる。
図17(a)は、非特許文献に開示されている受信装置1000の構成を示す図である。 受信装置1000は、アレーアンテナ1001、複数のチューナ1002、ビーム形成部1003、複数のFFT部1004及びビーム合成部1005を備える。図17(b)は、アレーアンテナ1001の配置を示す図である。アレーアンテナ1001の各素子は車の屋根に配置され、車の移動速度vの進行方向に並行に直線状に並べられる。図17(b)では一例として、素子数を8、素子間隔をdとしている。
【0004】
以下、受信装置1000の動作について説明する。アレーアンテナ1001は電波を受信して電気信号に変換する。図17(b)に示すように、到来波数L、アンテナ素子#iの出力信号をRi、第k番目の到来波の入射角及び複素振幅をそれぞれθk、αkとすると、Riは次式で表される。

Ri = Σ(k = 1〜L) αk exp( -j2πd cosθk / λ ) , (i = 0,1, ・・・, 7)
・・・ <式0−1>
ここでλは選局チャンネルの波長である。
【0005】
各アンテナ素子の出力信号R0 〜R7はそれぞれチューナ1002により、ユーザが選局したチャンネルのみを抜き出して出力する。式0−1は選局チャンネルのみに着目した式であり、チューナ1002の出力とも解釈できる。
ビーム形成部1003はチューナ1002の出力に対して空間DFT(Discrete Fourier Transform)を行い、次式で表される8つのビーム出力B0 〜B7を形成する。なおW8は空間DFTの核である。

Bm = Σ(i = 0〜7) Ri exp( -j2πmi / 8 )
= Σ(i = 0〜7) Ri W8mi , (m = 0,1, ・・・, 7) ・・・ <式0−2>

W8 = exp( -j2π/8 ) ・・・ <式0−3>

図18にビーム形成部1003の構成を示す。ビーム形成部1003は複数の複素加算器1011、複数の回転演算子1012を備える。この構成により、式0−2と式0−4で示される空間DFTを行う。
【0006】
8つのビーム出力B0 〜B7はそれぞれ、FFT部1004によりFFTが行われて周波数軸信号F0 〜F7に変換される。ビーム合成部1005は周波数軸信号F0 〜F7の最大比合成を行って誤り訂正部に出力する。
ここで式0−1、式0−2においてL = 1、α = 1とすると、ビーム出力B0 〜B7は次式で表される。

Bm = Σ(i = 0〜7) exp[ -j[(8d cosθ+ mλ)πi / 4λ] ] , (m = 0,1, ・・・, 7)
・・・ <式0−4>
図19に、式0−5をdB換算したビーム出力B0 〜B7のビームパターンを示す。図において車の進行方向をθ = 0°とし、反時計回りに0°〜 360°としている。図19(a)は
d = 3λ/8の場合である。進行方向を軸として各ビームは対称な形状を有している。例えばB6に関してはピークが48.2°と311.8°であり、cos48.2°= cos311.8°である。
【0007】
入射角θに対するドップラー周波数fdは次式で表される。

fd = v cosθ/ λ ・・・ <式0−5>

式0−5より、θ = 48.2°と311.8°のドップラー周波数は同一であり、B6は2つのピークを有するがそれぞれのドップラーシフトは同一と見なせる。
【非特許文献1】Wijesena他「Beam-Space Adaptive Array Antenna for Suppressing the Doppler Spread in OFDM Mobile Reception」, IEICE TRANS. COMMUN., VOL.E87-B, NO.1, Jan. 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献には記述されていないが、図19(a)のビームパターン には、進行方向に近い程ビーム幅が広い、という特長がある。式0−5より、ドップラー周波数fdはcosθに比例する。cosθは0°付近では値の変化率が小さく、90°に近くなる程値の変化率が大きくなる。ビーム出力B0 〜B7が全て同一のビーム幅であると、ピークが90°であるB0のドップラー広がりが大きくなってしまう。図19(a)のビームパターンは、ビーム幅がcosθに比例しており、B0 〜B7のドップラー広がりは確率的に同一な分布となる。この性質により、L個の到来波の電力分布があるビームのみに偏ったとしても、入射角θに関わらずドップラー広がりは確率的に同一な分布となる。以上より、図19(a)のビームパターンは理想的と言える。
【0009】
ところで非特許文献には、「ビームパターンは波長に依存しているため、地上デジタル放送の全チャンネルを受信するのは困難であり、これは今後の課題である。」と記載されている。図19(b)のビームパターンはd = λ/2の場合である。これは図19(a)で受信するチャンネルと比較して、波長が3/4倍のチャンネルを受信する場合に相当する。図19(b)のビームパターンでは、ビーム出力B4に関してθ = 0°と180°にピークが存在する。式0−5よりfd = ±v / λであり、B4のドップラー広がりは大きくなってしまう。
【0010】
以上より、非特許文献は単一チャンネルの受信には有効だが、複数チャンネルの受信では受信性能が劣化するという課題があった。
また図19(a)のビームパターンではB0 〜B3、B5 〜B7の7ビームで全方向をカバーするため、図17(a)の受信装置1000におけるFFT部1004は7つで良い。一方図19(b)のビームパターンではB0 〜B7の8ビームで全方向をカバーするため、図17(a)の受信装置1000におけるFFT部1004は8つ必要となる。
【0011】
以上より、非特許文献は複数チャンネルの受信では回路規模が増大するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本願の請求項1の発明は、受信装置であって、前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して、受信周波数が前記特定の値の場合には空間DFT(Discrete Fourier Transform)を行って複数のビームに分けて出力し、受信周波数が前記特定の値と異なる場合には前記空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更するビーム形成部を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0013】
本願の請求項2の発明は、請求項1の受信装置において、前記ビーム形成部は、全方向をカバーするビーム数が前記特定の受信周波数における全方向をカバーするビーム数以下となるように、前記空間DFT演算の変形を行うことを特徴とするものである。
本願の請求項3の発明は、請求項1または2の受信装置において、前記ビーム形成部における前記空間DFT演算の変形は、DFTの核Wの変更であることを特徴とするものである。
【0014】
本願の請求項4の発明は、請求項3の受信装置において、前記ビーム形成部は、各受信周波数に対する前記DFTの核Wの変形パターンを記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前期変形パターンを読み出して前記空間DFT演算の変形を行うことを特徴とするものである。
本願の請求項5の発明は、受信装置であって、電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの合成を行うビーム合成部を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0015】
本願の請求項6の発明は、請求項5の受信装置において、前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定されることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項7の発明は、請求項5または6の受信装置において、前記ビーム合成部は、各ビームの信号品質によって前記所定の基準を設けることを特徴とするものである。
本願の請求項8の発明は、請求項7の受信装置において、前記ビーム合成部は、信号品質に関わらず前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることを特徴とするものである。
【0017】
本願の請求項9の発明は、請求項7の受信装置において、前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることを特徴とするものである。
本願の請求項10の発明は、請求項7の受信装置において、前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質と、前記対称な形状を有するビームの信号品質の合計との比または差が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることを特徴とするものである。
【0018】
本願の請求項11の発明は、請求項7の受信装置において、前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有するビームの信号品質の合計が閾値以上の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることを特徴とするものである。
本願の請求項12の発明は、受信装置であって、電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの内の1つを選択するビーム選択部を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0019】
本願の請求項13の発明は、請求項12の受信装置において、前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、 更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定されることを特徴とするものである。
【0020】
本願の請求項14の発明は、請求項12または13の受信装置において、前記ビーム選択部は、各ビームの信号品質によって前記所定の基準を設けることを特徴とするものである。
本願の請求項15の発明は、請求項14の受信装置において、前記ビーム選択部は、信号品質に関わらず前記対称な形状を有さないビームを選択しないことを特徴とするものである。
【0021】
本願の請求項16の発明は、請求項14の受信装置において、前記ビーム選択部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質が全ビームの内最大であっても、前記対称な形状を有するビームの内の最大信号品質との比または差が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームを選択しないことを特徴とするものである。
本願の請求項17の発明は、受信装置であって、電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力するビーム修正部と、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記対称な形状を有さないビームに関する前記ビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの合成を行うビーム合成部を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0022】
本願の請求項18の発明は、受信装置であって、電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力するビーム修正部と、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記対称な形状を有さないビームに関する前記ビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの内の1つを選択するビーム選択部を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0023】
本願の請求項19の発明は、請求項17または19の受信装置において、前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定されることを特徴とするものである。
【0024】
本願の請求項20の発明は、請求項17〜19のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム修正部における前記演算は、前記対称な形状を有さないビームから隣接するビームの減算であることを特徴とするものである。
本願の請求項21の発明は、請求項17、19、20のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームに関する前記演算結果の信号品質によって前記所定の基準を設けることを特徴とするものである。
【0025】
本願の請求項22の発明は、請求項18〜20のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム選択部は、前記対称な形状を有さないビームに関する前記演算結果の信号品質によって前記所定の基準を設けることを特徴とするものである。
本願の請求項23の発明は、請求項17〜22のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム修正部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理することを特徴とするものである。
【0026】
本願の請求項24の発明は、受信装置であって、電波を受信するアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各素子をそれぞれオンまたはオフするための制御信号を出力するアンテナ制御部と、前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部とを含んで構成され、前記アレーアンテナの各素子は、前記アンテナ制御部から出力される前記制御信号に基づいてそれぞれオンまたはオフし、
前記アレーアンテナの素子間隔は、前記各素子をそれぞれオンまたはオフする所定のパターンに対して、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記アンテナ制御部は所定の基準に基づいて前記制御信号を生成して出力することを特徴とするものである。
【0027】
本願の請求項25の発明は、請求項24の受信装置において、前記アンテナ制御部の前記所定の基準は、オンする素子の間隔を受信周波数が前記特定の値である場合と同じにすることであることを特徴とするものである。
本願の請求項26の発明は、受信装置であって、電波を受信するアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各素子をそれぞれ移動させるための制御信号を出力するアンテナ制御部と、前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部と、前記アレーアンテナの各素子は、各受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような素子間隔を満たすように移動することを特徴とするものである。
【0028】
本願の請求項27の発明は、請求項26の受信装置において、前記アレーアンテナはレール上に配置され、各素子はレール上を移動可能とすることを特徴とするものである。
本願の請求項28の発明は、請求項7〜11、14〜16、21、22のいずれか1項の受信装置において、前記信号品質は、電力またはC/Nまたは誤り率または信頼性情報であることを特徴とするものである。
【0029】
本願の請求項29の発明は、請求項5〜12、17,19〜21、23のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム合成部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理することを特徴とするものである。
本願の請求項30の発明は、請求項12〜17、18〜20、22〜24のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム選択部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理することを特徴とするものである。
【0030】
本願の請求項31の発明は、請求項24〜27のいずれか1項の受信装置において、前記アンテナ制御部は、各受信周波数に対する前記制御信号を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記信号を読み出して処理することを特徴とするものである。
本願の請求項32の発明は、請求項6〜11、13〜16、19〜31のいずれか1項の受信装置において、前記ビーム形成部の演算は空間DFT(Discrete Fourier Transform)であることを特徴とするものである。
【0031】
本願の請求項33の発明は、受信方法であって、電波を受信するアレーアンテナと、前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して、受信周波数が前記特定の値の場合には空間DFT(Discrete Fourier Transform)を行って複数のビームに分けて出力し、受信周波数が前記特定の値と異なる場合には前記空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更するビーム形成ステップを含んで構成されることを特徴とするものである。
【0032】
本願の請求項34の発明は、請求項33に記載の受信方法を実行するための信号処理手順を記載したことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0033】
上記目的を達成する請求項1の発明によれば、アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が特定の値と異なる場合には空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更することにより、複数チャンネルの受信においてビームパターンを修正することができる。
【0034】
また上記目的を達成する請求項2の発明によれば、全方向をカバーするビーム数が特定の受信周波数における全方向をカバーするビーム数以下となるように、空間DFT演算の変形を行うことにより、複数チャンネルの受信において回路規模の増大を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項3の発明によれば、空間DFTの核Wの変更により、複数チャンネルの受信においてビームパターンを修正することができる。
【0035】
また上記目的を達成する請求項4の発明によれば、テーブルを用いて空間DFT演算の変形を行うことにより、複数チャンネルの受信においてビームパターンを修正することができる。
また上記目的を達成する請求項5の発明によれば、アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0036】
また上記目的を達成する請求項6の発明によれば、特にアレーアンテナを用いて、アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0037】
また上記目的を達成する請求項7の発明によれば、特に各ビームの信号品質によって所定の基準を設けて各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項8の発明によれば、特に信号品質に関わらず対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0038】
また上記目的を達成する請求項9の発明によれば、特に対称な形状を有さないビームの信号品質が閾値以下の場合に、対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減し、かつ対称な形状を有さないビームを含めないと電力が小さい場合には対称な形状を有さないビームも合成に用いることにより、受信性能劣化を防止することができる。
【0039】
また上記目的を達成する請求項10の発明によれば、特に対称な形状を有さないビームの信号品質と、対称な形状を有するビームの信号品質の合計との比または差が閾値以下の場合に、対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減し、かつ対称な形状を有さないビームを含めないと電力が小さい場合には対称な形状を有さないビームも合成に用いることにより、受信性能劣化を防止することができる。
【0040】
また上記目的を達成する請求項11の発明によれば、対称な形状を有するビームの信号品質の合計が閾値以上の場合に、対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くすることにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減し、かつ対称な形状を有さないビームを含めないと電力が小さい場合には対称な形状を有さないビームも合成に用いることにより、受信性能劣化を防止することができる。
【0041】
また上記目的を達成する請求項12の発明によれば、アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0042】
また上記目的を達成する請求項13の発明によれば、特にアレーアンテナを用いて、アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0043】
また上記目的を達成する請求項14の発明によれば、特に各ビームの信号品質によって所定の基準を設けて各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項15の発明によれば、特に信号品質に関わらず対称な形状を有さないビームに関してビームを選択しないことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0044】
また上記目的を達成する請求項16の発明によれば、特に対称な形状を有さないビームの信号品質が全ビームの内最大であっても、対称な形状を有するビームの内の最大信号品質との比または差が閾値以下の場合に、対称な形状を有さないビームを選択しないことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減し、かつ対称な形状を有さないビームを選択しないと電力が小さい場合には対称な形状を有さないビームを選択することにより、受信性能劣化を防止することができる。
【0045】
また上記目的を達成する請求項17の発明によれば、アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力し、かつ対称な形状を有さないビームに関するビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0046】
また上記目的を達成する請求項18の発明によれば、アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力し、かつ対称な形状を有さないビームに関するビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0047】
また上記目的を達成する請求項19の発明によれば、特にアレーアンテナを用いて、アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの合成を行うか、各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0048】
また上記目的を達成する請求項20の発明によれば、対称な形状を有さないビームから隣接するビームの減算により、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項21の発明によれば、特に各ビームの信号品質によって所定の基準を設けて各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0049】
また上記目的を達成する請求項22の発明によれば、特に各ビームの信号品質によって所定の基準を設けて各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項23の発明によれば、テーブルを用いて対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0050】
また上記目的を達成する請求項24の発明によれば、各受信周波数に対してアレーアンテナの各素子をそれぞれ所定のパターンでオンまたはオフすることにより、複数チャンネルの受信において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような理想的なビームパターンを生成でき、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0051】
また上記目的を達成する請求項25の発明によれば、各受信周波数に対してオンする素子の間隔を理想的なビームパターンを生成する場合と同じにすることにより、複数チャンネルの受信において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような理想的なビームパターンを生成でき、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0052】
また上記目的を達成する請求項26の発明によれば、各受信周波数に対してアレーアンテナの各素子間隔を満たすように移動することにより、複数チャンネルの受信において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような理想的なビームパターンを生成でき、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0053】
また上記目的を達成する請求項27の発明によれば、各素子をレール上で移動可能とすることにより、複数チャンネルの受信において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような理想的なビームパターンを生成でき、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0054】
また上記目的を達成する請求項28の発明によれば、信号品質として電力またはC/Nまたは誤り率または信頼性情報を用いて所定の基準を設けることにより、対称な形状を有さないビームに関して処理を行った上で、ビーム合成を行うか、あるいは各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0055】
また上記目的を達成する請求項29の発明によれば、テーブルを用いて対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの合成を行うことにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
また上記目的を達成する請求項30の発明によれば、テーブルを用いて対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、各ビームの内の1つを選択することにより、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0056】
また上記目的を達成する請求項31の発明によれば、テーブルを用いてアレーアンテナの各素子の制御を行うことにより、複数チャンネルの受信において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような理想的なビームパターンを生成でき、複数チャンネルの受信においてドップラー広がりの影響を低減して、受信性能劣化を防止することができる。
【0057】
また上記目的を達成する請求項32の発明によれば、空間DFTを行うことにより、複数のビームに分けることができる。
上記目的を達成する請求項33の発明によれば、アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、受信周波数が前記特定の値と異なる場合には前記空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更することにより、複数チャンネルの受信においてビームパターンを修正することができる。
【0058】
また請求項34記載の発明によれば、受信方法を実行するための信号処理手順を記載したプログラムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の各実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における受信装置100の構成を示す図である。図1の受信装置100は図17(a)の受信装置1000と比較して、ビーム形成部101を置き換えた構成である。
【0060】
以下、受信装置100の動作について説明する。ビーム形成部101は選局情報に基づいてユーザがどのチャンネルを選局したかを知り、空間DFT演算の核を変更して演算結果B0' 〜B7'を出力する。
図2(a)にビーム形成部101の構成を、図2(b)に、d = λ/2の場合の演算結果B0'〜B7'に関するビームパターンを示す。図2(a)にビーム形成部101は図18のビーム形成部1003と比較して、ROMテーブル111を追加した構成である。
【0061】
ROMテーブル111は選局情報に基づいて、各回転演算子1012の核Wを選択して出力する。すなわち図18のビーム形成部1003において、各回転演算子の核が受信チャンネルに関わらず固定であったのに対して、図2(a)にビーム形成部101は受信チャンネル毎に各回転演算子の核を変更する。
図2(b)のビームパターンを見ると、B0 〜B5の6ビームで全方向をカバーするため、図1(a)の受信装置100におけるFFT部1004は6つあれば良いことが分かる。図17(a)の受信装置1000におけるFFT部1004はd = 3λ/8の場合に7つ必要であり、本実施の形態ではその内の6つを使用すればよい。
【0062】
次に、図2(a)にビーム形成部101における各回転演算子の核の設計方法について説明する。式0−5においてd = 3λ/8、d = λ/2とすると、ビーム出力B0 〜B7はそれぞれ次式で表される。

Bm(d = 3λ/8) = Σ(i = 0〜7) exp[ -j[(3cosθ+ m)πi / 4] ] , (m = 0,1, ・・・, 7)
・・・ <式1−1>
Bm(d = λ/2) = Σ(i = 0〜7) exp[ -j[(4cosθ+ m)πi / 4] ] , (m = 0,1, ・・・, 7)
・・・ <式1−2>
式1−1は 次式が成り立つときに全素子i = 0〜7の位相が揃い、最大値となる。

(3cosθ+ m)i / 4 = 2n, (nは整数) ・・・ <式1−3>

式1−3より、次式が成り立つとき式1−1のビーム出力B0〜B7がそれぞれ最大値(ピーク)となる。

B0: cosθ= 0、B1: cosθ= -1/3、B2: cosθ= -2/3、B3: cosθ= -1、
B4: なし、 B5: cosθ= 1、 B6: cosθ= 2/3、B7: cosθ= 1/3
・・・ <式1−4>
式1−2を以下のように変形することにより、d = λ/2の場合にもピークの分布が式1−4と同様になる。
【0063】

Bm'(d = λ/2) = Σ(i = 0〜7) exp[ -j[(4cosθ+ m)πi / 4] ]・exp( -jmπi / 12 ),
(m = 0,1, ・・・, 7) ・・・ <式1−5>

この場合、次式が成り立つときd = λ/2のビーム出力B0〜B7が最大値(ピーク)となる。

B0: cosθ= 0、 B1: cosθ= -1/3、B2: cosθ= -2/3、B3: cosθ= ±1、
B4: cosθ= 2/3、 B5: cosθ= 1/3、B6: cosθ= 0、B7: cosθ= -1/3
・・・ <式1−6>

ここで、

exp( -jmπi / 12 ) = W24mi ・・・ <式1−7>

より、式1−5の変形を式0−2に適用すると、以下の式となる。
【0064】

Bm'(d = λ/2) = Σ(i = 0〜7) Ri W8mi W24mi
= Σ(i = 0〜7) Ri W6mi, (m = 0,1, ・・・, 7) ・・・ <式1−8>

式1−8より、核W8をW6に変更することになる。
【0065】
ROMテーブル111はチャンネル毎に各回転演算子1012の核Wを記憶すれば良い。その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。よってd = 3λ/8の場合には非対称ビームが存在せず、結果的に受信装置100は図17(a)の受信装置1000と全く同じ動作を行うことになる。一方d = λ/2の場合には非対称ビームが存在し、上記のような制御を行う。
【0066】
以上の構成により、複数チャンネルの受信においても回路規模の増大を防止することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における受信装置200の構成を示す図である。図3の受信装置200は図17(a)の受信装置1000と比較して、ビーム合成部201を置き換えた構成である。図4はビーム合成部201の構成を示す図である。ビーム合成部201は、合成部211、電力測定部212、ROMテーブル213を備える。
【0067】
以下、受信装置200の動作について説明する。ビーム合成部201は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。ROMテーブル213は選局情報に基づいて、非対称ビーム情報を出力する。非対称ビーム情報は、周波数軸信号F0 〜F7それぞれのビームが車の進行方向を軸として、非対称か否かを示す情報である。ROMテーブル213はチャンネル毎に、F0 〜F7それぞれのビームが非対称か否かを記憶すれば良い。
【0068】
電力測定部212はF0 〜F7の電力をそれぞれ算出し、非対称ビーム情報に基づいて非対称ビーム制御信号を出力する。非対称ビーム制御信号は、非対称ビームを合成に用いるか否かを示す情報である。電力測定部212は、非対称ビームに関しては常に合成に用いないように非対称ビーム制御信号を生成する。
合成部211は非対称ビーム制御信号に基づいて、周波数軸信号F0 〜F7の内非対称ビーム以外の信号のみを用いて合成を行って、誤り訂正部に出力する。
【0069】
その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。よってd = 3λ/8の場合には非対称ビームが存在せず、結果的に受信装置200は図17(a)の受信装置1000と全く同じ動作を行うことになる。一方d = λ/2の場合には非対称ビームが存在し、上記のように非対称ビームに関する制御を行う。
以上の構成により、複数チャンネルの受信においても非対称ビームを合成に用いないように制御して、ドップラー広がりの影響を受けずに受信性能の劣化を防止することができる。
【0070】
なお電力測定部212は以下のように、非対称ビーム制御信号を生成しても良い。非対称ビームを含めないと電力が小さい場合には、以下の構成により非対称ビームも合成に用いることができる。
(1)非対称ビームの電力が閾値以下の場合に、合成に用いない。
(2)非対称ビームの電力と対称ビームの電力合計の比または差が閾値以下の場合に、合成に用いない。
【0071】
(3)対称ビームの電力合計が閾値以上の場合に、合成に用いない。
また合成部211は非対称ビーム制御信号に基づいて、上記で“合成に用いない“としていた代わりに、F0 〜F7の内非対称ビームの重み係数を小さくして、合成しても良い。
またアレーアンテナ1001の代わりに、1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群を用いた構成としても良い。図5はその場合の受信装置220の構成を示す図である。図5の受信装置220は図3の受信装置200と比較して、アレーアンテナ1001がアンテナ群221に置き換わり、ビーム形成部1003を削除した構成である。図6はアンテナ群221の配置とビームパターンを示す図である。
【0072】
図6に示すように、アンテナ群221は12本の指向性アンテナを車の屋根に配置し、図19(b)と同様のビームパターンを生成する。よってビーム形成部1003は不要である。その他の動作は図3の受信装置200と同じである。
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における受信装置300の構成を示す図である。図7の受信装置300は図17(a)の受信装置1000と比較して、ビーム合成部1005をビーム選択部301に置き換えた構成である。図8はビーム選択部301の構成を示す図である。ビーム選択部301は図4のビーム合成部201と比較して、合成部211を選択部311に置き換え、電力測定部312の機能が変わった構成である。
【0073】
以下、受信装置300の動作について説明する。ビーム選択部301において、ROMテーブル213は図4のビーム合成部201と同じ動作を行う。電力測定部312の動作で図4のビーム合成部201における電力測定部212と異なる点は、非対称ビーム制御信号の代わりにビーム選択信号を生成することである。ビーム選択信号は周波数軸信号F0 〜F7のいずれを選択するかを示す情報である。電力測定部312は対称ビームに関する周波数軸信号の内、最大の電力を有する信号を選択するようにビーム選択信号を生成する。
【0074】
選択部311はビーム選択信号に基づいて、F0 〜F7の内1つの信号を選択して、誤り訂正部に出力する。
その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。よってd = 3λ/8の場合には非対称ビームが存在せず、結果的に受信装置300は図17(a)の受信装置1000と全く同じ動作を行うことになる。一方d = λ/2の場合には非対称ビームが存在し、上記のように非対称ビームに関する制御を行う。
【0075】
以上の構成により、複数チャンネルの受信においても非対称ビームを選択しないように制御して、ドップラー広がりの影響を受けずに受信性能の劣化を防止することができる。
なお電力測定部312は以下のように、ビーム選択信号を生成しても良い。この構成により、対称ビームの各ビームの電力が小さく、非対称ビームの電力が大きい場合には、非対称ビームを選択して出力することができる。
【0076】
(1)非対称ビームの電力が全ビームの内最大であっても、対称ビームの内の最大電力との比または差が閾値以下の場合に、非対称ビームに関する周波数軸信号を選択しない。
またアレーアンテナ1001の代わりに、1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群を用いた構成としても良い。図9はその場合の受信装置320の構成を示す図である。図9の受信装置320は図7の受信装置300と比較して、アレーアンテナ1001がアンテナ群221に置き換わり、ビーム形成部1003を削除した構成である。
【0077】
アンテナ群221は図6に示す通りであり、ビーム形成部1003は不要である。その他の動作は図7の受信装置300と同じである。
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4における受信装置400の構成を示す図である。図10の受信装置400は図17(a)の受信装置1000と比較して、ビーム修正部401を追加し、ビーム合成部402の構成を置き換えた構成である。
【0078】
図11(a)はビーム修正部401の構成を示す図である。ビーム修正部401は、修正部411とROMテーブル412を備える。図11(b)はビーム合成部402の構成を示す図である。ビーム合成部402は、合成部421、BER(Bit Error Rate)測定部422、ROMテーブル423を備える。
以下、受信装置400の動作について説明する。ビーム修正部401は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。ROMテーブル412は選局情報に基づいて、非対称ビーム変換信号を出力する。非対称ビーム変換信号は、周波数軸信号F0 〜F7の内非対称ビームと、演算に用いる他のビームを示す信号である。ROMテーブル412はチャンネル毎に、前述の信号を記憶すれば良い。
【0079】
図19(b)のビームパターンを有するd = λ/2の場合、修正部411は非対称ビームB4に関して以下の複素減算を行って出力し、その他の対称ビームB0〜B3、B5〜B7に関してはそのまま出力する。

B4_1 = B4 - B5 ・・・ <式3−1>
B4_2 = B4 - B3 ・・・ <式3−2>

B5はB4とビームパターンが重なる部分があり、B4_1はB4からθ = 0°の受信信号を除去し、θ = 180°のみピークを有するビーム出力と見なせる。同様に、B3はB4とビームパターンが重なる部分があり、B4_2はB4からθ = 180°の受信信号を除去し、θ = 0°のみピークを有するビーム出力と見なせる。
【0080】
複数のFFT部1004は、ビーム修正部401の出力に対してそれぞれFFTを行って、周波数軸信号F0 〜F3、F4_1、F4_2、F5 〜F7を出力する。
ビーム合成部402は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。ROMテーブル423は選局情報に基づいて、非対称ビーム情報を出力する。非対称ビーム情報はこの例の場合、F4_1とF4_2が車の進行方向を軸として非対称のビームを基にした信号であることを示す情報である。ROMテーブル423はチャンネル毎に、前日の情報を記憶すれば良い。
【0081】
BER測定部422がF4_1、F4_2のBER測定を行い、非対称ビーム選択信号を出力する。非対称ビーム選択信号は非対称ビームに関して、周波数軸信号F4_1、F4_2のどちらを合成に使用するかを示す情報である。合成部421は非対称ビーム選択信号に基づいて、周波数軸信号F0 〜F3、F5 〜F7、及びF4_1とF4_2の一方を用いて合成を行い、誤り訂正部に出力する。
【0082】
その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。よってd = 3λ/8の場合には非対称ビームが存在せず、結果的に受信装置400は図17(a)の受信装置1000と全く同じ動作を行うことになる。一方d = λ/2の場合には非対称ビームが存在し、上記のように非対称ビームに関する制御を行う。
以上の構成により、複数チャンネルの受信においても非対称ビームにおけるドップラー広がりの影響を小さくして、受信性能の劣化を防止することができる。
【0083】
またビーム合成部402の代わりに、ビーム選択部を用いた構成としても良い。図12はその場合の受信装置430の構成を示す図である。図12の受信装置430は図10の受信装置400と比較して、ビーム合成部402がビーム選択部431に置き換わった構成である。図13はビーム選択部431の構成を示す図である。ビーム選択部431は図11のビーム合成部402と比較して、合成部421が選択部441に置き換わり、電力測定部442を追加した構成である。
【0084】
以下、受信装置430の動作について説明する。ビーム選択部431は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。BER測定部422とROMテーブル423は図11(b)のビーム合成部402と同じ動作をする。但し非対称ビーム選択信号は非対称ビームに関して、周波数軸信号F4_1、F4_2のどちらを選択部441における選択信号の候補とするかを示す情報である。電力測定部442は周波数軸信号F0 〜F3、F5 〜F7の電力測定と、非対称ビーム選択信号に基づいて周波数軸信号F4_1とF4_2の一方の電力測定を行い、最大の電力を有する信号を選択するようにビーム選択信号を出力する。
【0085】
選択部441はビーム選択信号に基づいて、F0 〜F3、F4_1、F4_2、F5 〜F7の内1つの信号を選択して、誤り訂正部に出力する。
その他の動作は図10の受信装置400と同じである。よってd = 3λ/8の場合には非対称ビームが存在せず、結果的に受信装置430は図17(a)の受信装置1000と全く同じ動作を行うことになる。一方d = λ/2の場合には非対称ビームが存在し、上記のように非対称ビームに関する制御を行う。
【0086】
以上の構成により、複数チャンネルの受信においても非対称ビームにおけるドップラー広がりの影響を小さくして、受信性能の劣化を防止することができる。
またアレーアンテナ1001の代わりに、1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群を用いた構成としても良い。図14(a)、(b)はそれぞれその場合の受信装置450、460の構成を示す図である。図14(a)の受信装置450は図10の受信装置400と比較して、アレーアンテナ1001がアンテナ群221に置き換わり、ビーム形成部1003を削除した構成である。図14(b)の受信装置460は図12の受信装置430と比較して、アレーアンテナ1001がアンテナ群221に置き換わり、ビーム形成部1003を削除した構成である。
【0087】
アンテナ群221は図6に示す通りであり、ビーム形成部1003は不要である。その他の動作はそれぞれ図10の受信装置400、図12の受信装置430と同じである。
(実施の形態5)
図15(a)は、本発明の実施の形態5における受信装置500の構成を示す図である。図15(a)の受信装置500は図17(a)の受信装置1000と比較して、アレーアンテナ501の構成を置き換え、アンテナ制御部502を追加した構成である。図15(b)はアンテナ制御部502の構成を示す図である。アンテナ制御部502はROMテーブル511を備える。図15(c)はアレーアンテナ501の構成を示す図である。アレーアンテナ501は図17(b)のアレーアンテナ1001と比較して、アンテナ素子の数が16に増えた構成とである。
【0088】
以下、受信装置500の動作について説明する。アンテナ制御部502は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。ROMテーブル511は選局情報に基づいて、オンオフ制御信号を各アンテナ素子にそれぞれ出力する。オンオフ制御信号は各アンテナ素子それぞれをオンするか否かを制御する信号である。ROMテーブル511はチャンネル毎に、各アンテナ素子それぞれに関してオンするか否かを記憶すれば良い。
【0089】
アレーアンテナ501はオンオフ制御信号に従って、各素子をオンまたはオフする。
d = 3λ/16の場合、素子#2N(N = 0, 1, ・・・ , 7)をオンし、素子#2N+1(N = 0, 1, ・・・, 7)をオフすれば、図19(a)と同一の理想的なビームパターンを生成できる。また例えばそのチャンネルの波長の2倍のチャンネルを受信する場合には、8つ連続する素子をオンし、他の8つの素子をオフすれば、図19(a)と同一の理想的なビームパターンを生成できる。その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。
【0090】
以上の構成により、複数チャンネルの受信においてもアレーアンテナの各素子をオンまたはオフして、オンするアンテナ素子間隔を波長に対して理想的にすることができ、ドップラー広がりの影響を受けずに受信性能の劣化を防止することができる。
(実施の形態6)
図16(a)は、本発明の実施の形態6における受信装置600の構成を示す図である。図16(a)の受信装置600は図17(a)の受信装置1000と比較して、アレーアンテナ601の構成を置き換え、アンテナ制御部602を追加した構成である。図16(b)はアンテナ制御部602の構成を示す図である。アンテナ制御部602はROMテーブル611とアンテナ移動信号生成部612を備える。図16(c)はアレーアンテナ601の構成を示す図である。アレーアンテナ601は図17(b)のアレーアンテナ1001と比較して、レール621を追加した構成となっている。
【0091】
以下、受信装置600の動作について説明する。アンテナ制御部602は選局情報に基づいて、ユーザがどのチャンネルを選局したかを知る。ROMテーブル611は選局情報に基づいて、素子間隔情報を出力する。素子間隔情報は、図19(a)と同一の理想的なビームパターンとなる素子間隔d(= 3λ/8)を示す信号である。ROMテーブル611はチャンネル毎に、前述の素子間隔を記憶すれば良い。アンテナ移動信号生成部612は素子間隔情報が示す間隔となるように、アレーアンテナの各素子を移動させるためのアンテナ移動信号を出力する。
【0092】
アレーアンテナ601の各素子はアンテナ移動信号に従って、前述の素子間隔となるようにレール621の上を移動する。その他の動作は図17(a)の受信装置1000と同じである。
以上の構成により、複数チャンネルの受信においてもアレーアンテナの各素子間隔を波長に対して理想的にすることができ、ドップラー広がりの影響を受けずに受信性能の劣化を防止することができる。
【0093】
なお実施の形態1〜6において、素子数を8、理想的なビームパターンの素子間隔
d = 3λ/8とした。図19(a)と同様に進行方向を軸として各ビームは対称な形状を有し、進行方向から離れて直角方向へ近付くにつれてビーム幅が狭くなるビームパターンであれば、これに限らない。
また実施の形態1〜6において、FFT部1004の出力を用いてビーム合成またはビーム選択を行ったが、FFT部1004の入力や他ブロックの信号を用いても良く、これらに限らない。
【0094】
また実施の形態1〜6において、ビーム形成部、ビーム合成部、ビーム選択部、アンテナ制御部でROMテーブルを用いて処理を行っていた。同じ機能を実現できればロジック回路などを用いて処理を行っても良く、これらに限らない。
また実施の形態1〜6において、ビーム形成部を空間DFTで構成したが、空間DFTの一種である空間FFTで構成しても良い。
【0095】
また実施の形態1〜6において、アレーアンテナを屋根の上に設置するものとしたが、例えばフィルムアンテナをアレーアンテナとしてガラスに貼り付けて構成してもよく、これらに限らない。
ビーム形成部を空間DFTで構成したが、空間DFTの一種である空間FFTで構成しても良い。
【0096】
また実施の形態1〜4において、一例として受信チャンネルが素子間隔d =λ/2となる場合の動作を説明した。素子間隔が他の値の場合でも、同様な機能を有するように動作すれば良い。
また実施の形態5において、一例としてd = 3λ/16を満たす受信チャンネルから、その波長の2倍のチャンネルを受信する場合に切り替えた場合の動作を説明した。他のチャンネルを受信する場合でも、同様な機能を有するように動作すれば良い。
【0097】
また実施の形態2、3、5、6において、実施の形態1で説明したビーム変換部101を追加した構成としても良い。これにより複数チャンネルの受信においても、回路規模増大のと受信性能の劣化の両方を防止することができる。
また実施の形態2〜4において、ビーム合成部またはビーム選択部で電力測定の結果に基づいて合成または選択を行っていたが、BER、C/N(Carrier to Noise power ratio)、キャリア毎の信頼性情報(CSI:Carrier State Information)などの測定結果に基づいて処理を行っても良く、これらに限らない。
【0098】
また実施の形態4において、ビーム合成部402及びビーム選択部431でBER測定結果に基づいて周波数軸信号F4_1とF4_2の一方を選択していたが、電力、C/N、CSIなどの測定結果に基づいて選択しても良く、これらに限らない。
また実施の形態2〜4において、図6のアンテナ群は12本の指向性アンテナで構成したが、例えば1本の指向性アンテナで図6と同様のビームパターンを生成しても良く、1本以上のアンテナで構成すれば良い。
【0099】
また実施の形態2〜4において、図6のアンテナ群を屋根の上に設置するものとしたが、例えばフィルムアンテナをガラスに貼り付けて構成して図6と同様のビームパターンを生成しても良く、これらに限らない。
また実施の形態1において、式1−8により空間DFTの核Wを変更したが、このd=λ/2の例では7ビーム以下で全方向をカバーできればこの値に限らず、また空間DFTの一種である空間FFTを用いた方法など、他の方法でも良い。
【0100】
また実施の形態1において、空間DFTの核Wの変更を適切に設定することにより、各ビームの方向を任意に変更でき、また空間DFTの一種である空間FFTを用いた方法など、他の方法で実現しても良い。
また実施の形態4において、ビーム修正部402で式3−1、式3−2に示すように非対称ビームから隣接するビームの減算を行ったが、演算としてはこれに限らない。
【0101】
また実施の形態6において、アレーアンテナ601で各素子がレール621の上を移動するものとしたが、素子間隔を可変する機能を実現できればこれに限らない。
また実施の形態1〜6における処理は全てをハードウエアで構成しても良く、少なくとも一部をソフトウェアで構成しても良い。特に本発明に特有の処理をソフトウェアで構成すると、設計の自由度が上がるという利点がある。
【0102】
また実施の形態1〜6における処理をプログラムとしてプログラムメモリに記載し、CPUを用いて復調処理をリアルタイム処理することにより、本発明の目的を実現することもできる。
また、以上に述べた全ての実施形態の構成は、典型的には集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、上述した実施形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。
【0103】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0104】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明に係る受信装置、受信方法及びプログラムは、地上波デジタル放送受信装置や、無線受信機等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施の形態1における受信装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1におけるビーム形成部の構成とビームパターンを示す図である。
【図3】実施の形態2おける受信装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態2におけるビーム合成部の構成を示す図である。
【図5】実施の形態2における受信装置の構成の他の一例を示す図である。
【図6】実施の形態2における受信装置の他の一例で、アンテナ群の配置とビームパターンを示す図である。
【図7】実施の形態3における受信装置の構成を示す図である。
【図8】実施の形態3におけるビーム選択部の構成を示す図である。
【図9】実施の形態3における受信装置の構成の他の一例を示す図である。
【図10】実施の形態4における受信装置の構成を示す図である。
【図11】実施の形態4におけるビーム修正部とビーム合成部の構成を示す図である。
【図12】実施の形態4における受信装置の構成の他の一例を示す図である。
【図13】実施の形態4における受信装置の他の一例で、ビーム選択部の構成を示す図である。
【図14】実施の形態4における受信装置の他の一例の構成を示す図である。
【図15】実施の形態5における受信装置、アンテナ制御部、アレーアンテナの構成を示す図である。
【図16】実施の形態6における受信装置、アンテナ制御部、アレーアンテナの構成を示す図である。
【図17】受信装置とアレーアンテナの構成を示す図である。
【図18】ビーム形成部の構成を示す図である。
【図19】ビームパターンを示す図である。
【符号の説明】
【0107】
100、200、220、300、320,400,430、450,460,500、600、1000 受信装置
101、1003 ビーム形成部
111、213、412,423、511、611 ROMテーブル
201、402、1005 ビーム合成部
211、421 合成部
212、312、442 電力測定部
221 アンテナ群
301、431 ビーム選択部
311,441 選択部
401 ビーム修正部
411 修正部
422 BER測定部
501、601、1001 アレーアンテナ
502、602 アンテナ制御部
612 アンテナ移動信号生成部
621 レール
1002 チューナ
1004 FFT部
1011 複素加算器
1012 回転演算子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信するアレーアンテナと、
前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、
前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して、受信周波数が前記特定の値の場合には空間DFT(Discrete Fourier Transform)を行って複数のビームに分けて出力し、受信周波数が前記特定の値と異なる場合には前記空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更するビーム形成部を含んで構成される受信装置。
【請求項2】
前記ビーム形成部は、全方向をカバーするビーム数が前記特定の受信周波数における全方向をカバーするビーム数以下となるように、前記空間DFT演算の変形を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記ビーム形成部における前記空間DFT演算の変形は、DFTの核Wの変更である請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記ビーム形成部は、各受信周波数に対する前記DFTの核Wの変形パターンを記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前期変形パターンを読み出して前記空間DFT演算の変形を行う請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、
前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの合成を行うビーム合成部を含んで構成される受信装置。
【請求項6】
前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、
更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、
前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定される請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記ビーム合成部は、各ビームの信号品質によって前記所定の基準を設ける請求項5または6に記載の受信装置。
【請求項8】
前記ビーム合成部は、信号品質に関わらず前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くする請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くする請求項7に記載の受信装置。
【請求項10】
前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質と、前記対称な形状を有するビームの信号品質の合計との比または差が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くする請求項7に記載の受信装置。
【請求項11】
前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有するビームの信号品質の合計が閾値以上の場合に、前記対称な形状を有さないビームに関して合成に用いないか、または重み付けを低くする請求項7に記載の受信装置。
【請求項12】
電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、
前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記各ビームの内、特に対称な形状を有さないビームに関して所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの内の1つを選択するビーム選択部を含んで構成される受信装置。
【請求項13】
前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、
更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、
前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定される請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
前記ビーム選択部は、各ビームの信号品質によって前記所定の基準を設ける請求項12または13に記載の受信装置。
【請求項15】
前記ビーム選択部は、信号品質に関わらず前記対称な形状を有さないビームを選択しない請求項14に記載の受信装置。
【請求項16】
前記ビーム選択部は、前記対称な形状を有さないビームの信号品質が全ビームの内最大であっても、前記対称な形状を有するビームの内の最大信号品質との比または差が閾値以下の場合に、前記対称な形状を有さないビームを選択しない請求項14に記載の受信装置。
【請求項17】
電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、
前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力するビーム修正部と、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記対称な形状を有さないビームに関する前記ビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの合成を行うビーム合成部を含んで構成される受信装置。
【請求項18】
電波を受信する1本以上のアンテナで構成されるアンテナ群と、
前記アンテナ群を用いて、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるようにビームパターンが決定され、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記複数のビームの内、対称な形状を有さないビームに関して他のビームとの演算を行って出力するビーム修正部と、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記対称な形状を有さないビームに関する前記ビーム修正部からの出力を所定の基準に基づいて処理を行った上で、前記各ビームの内の1つを選択するビーム選択部を含んで構成される受信装置。
【請求項19】
前記アンテナ群はアレーアンテナで構成され、
更に前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部を含んで構成され、
前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において前記ビームパターンとなるように決定される請求項17または18に記載の受信装置。
【請求項20】
前記ビーム修正部における前記演算は、前記対称な形状を有さないビームから隣接するビームの減算である請求項17〜19のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項21】
前記ビーム合成部は、前記対称な形状を有さないビームに関する前記演算結果の信号品質によって前記所定の基準を設ける請求項17、19、20のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項22】
前記ビーム選択部は、前記対称な形状を有さないビームに関する前記演算結果の信号品質によって前記所定の基準を設ける請求項18〜20のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項23】
前記ビーム修正部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理する請求項17〜22のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項24】
電波を受信するアレーアンテナと、
前記アレーアンテナの各素子をそれぞれオンまたはオフするための制御信号を出力するアンテナ制御部と、
前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部とを含んで構成され、
前記アレーアンテナの各素子は、前記アンテナ制御部から出力される前記制御信号に基づいてそれぞれオンまたはオフし、
前記アレーアンテナの素子間隔は、前記各素子をそれぞれオンまたはオフする所定のパターンに対して、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、
受信周波数が前記特定の値と異なる場合に、前記アンテナ制御部は所定の基準に基づいて前記制御信号を生成して出力する受信装置。
【請求項25】
前記アンテナ制御部の前記所定の基準は、オンする素子の間隔を受信周波数が前記特定の値である場合と同じにすることである請求項24に記載の受信装置。
【請求項26】
電波を受信するアレーアンテナと、
前記アレーアンテナの各素子をそれぞれ移動させるための制御信号を出力するアンテナ制御部と、
前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して演算を行い、複数のビームに分けて出力するビーム形成部と、
前記アレーアンテナの各素子は、各受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるような素子間隔を満たすように移動する受信装置。
【請求項27】
前記アレーアンテナはレール上に配置され、各素子はレール上を移動可能とする請求項26に記載の受信装置。
【請求項28】
前記信号品質は、電力またはC/Nまたは誤り率または信頼性情報である請求項7〜11、14〜16、21、22のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項29】
前記ビーム合成部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理する請求項5〜12、17,19〜21、23のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項30】
前記ビーム選択部は、各受信周波数に対する前記対称な形状を有さないビームに関する情報を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記情報を読み出して処理する請求項12〜17、18〜20、22〜24のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項31】
前記アンテナ制御部は、各受信周波数に対する前記制御信号を記憶したテーブルを有し、前記テーブルから前記信号を読み出して処理する請求項24〜27のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項32】
前記ビーム形成部の演算は空間DFT(Discrete Fourier Transform)である請求項6〜11、13〜16、19〜31のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項33】
電波を受信するアレーアンテナと、
前記アレーアンテナの素子間隔は、ある特定の受信周波数において移動方向を軸として各ビームが対称な形状を有し、かつ移動方向から直角方向に離れるに従ってビーム幅が狭くなるように決定され、
前記アレーアンテナの各素子の受信信号に対して、受信周波数が前記特定の値の場合には空間DFT(Discrete Fourier Transform)を行って複数のビームに分けて出力し、受信周波数が前記特定の値と異なる場合には前記空間DFT演算を変形して複数のビームに分けるとともに、各ビームの方向を変更するビーム形成ステップを含んで構成される受信方法。
【請求項34】
請求項33に記載の受信方法を実行するための信号処理手順を記載したプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2006−345426(P2006−345426A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171381(P2005−171381)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】