説明

受光装置

【課題】赤外線を遮光できるビアを備えた受光装置を提供すること。
【解決手段】シリコン基板の上面に形成された第一の配線回路と、前記シリコン基板の下面に形成された第二の配線回路と、前記シリコン基板中に、前記第一の配線回路と前記第二の配線回路とを接続するように設けられたビアと、前記第一の配線回路の上面に設けられた受光素子と、を備え、前記ビアは、樹脂組成物が充填され、厚み20μmの熱硬化した前記樹脂組成物の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である、
受光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光装置に関する。配線基板および配線基板を接続するビアを供える配線基板上に受光素子が設けられた受光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板上に受光素子が設けられた受光装置としては、特許文献1に記載されるような受光装置がある。特許文献1には、A)イメージセンサウエハーとグラスウエハーをボンディングした後、イメージセンサウエハーに貫通孔を形成する段階;B)イメージセンサウエハーに形成された貫通孔を導電物質で充填することによって導電体を形成する段階及び;C)導電体の末端にハンダバンプを形成し、回路が形成されたPCB基板と連結する段階を包含するイメージセンサモジュール用ウエハーレベルチップサイズのパッケージ製造方法により製造される受光装置が開示されている。特許文献1では、ガラスウエハーをIRカットフィルター層でコーティングすることにより、外部から赤外線がイメージセンサウエハーに入射することにより生じ得る故障および誤作動を防止する試みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−073958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、このような受光装置について鋭意研究を重ねた結果、配線基板を接続する貫通孔から入り込む赤外線により、受光素子が誤作動を起こすことを見出した。また、受光装置の製造工程において、配線基板上へ受光素子を正確に配置するためには、その目視のために、可視光は透過する必要があることを見出した。
【0005】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、可視光を透過し、かつ赤外線を遮光できるビアを備えた受光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明によれば、シリコン基板の上面に形成された第一の配線回路と、上記シリコン基板の下面に形成された第二の配線回路と、上記シリコン基板中に、上記第一の配線回路と上記第二の配線回路とを接続するように設けられたビアと、上記第一の配線回路の上面に設けられた受光素子と、を備え、上記ビアは、樹脂組成物が充填され、厚み20μmの熱硬化した上記樹脂組成物の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である、受光装置が提供される。
【0007】
本発明の受光装置は、樹脂組成物の硬化物が充填されたビアを備え、この樹脂組成物の硬化物は、厚み20μmにおいて、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である。このため、受光素子を誤作動させる赤外線が受光素子の作動に影響を与えず、これにより本発明の受光装置は安定的に作動し得る。また、この樹脂組成物の硬化物からなるビアは、可視光は透過するため、受光装置の製造工程における受光素子の配線基板上への正確な配置が可能である。
【0008】
本発明の受光装置において、厚み20μmの上記樹脂組成物の、260℃で10分間加熱した後の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率T'が、15%以下であり得る。
【0009】
本発明の受光装置において、上記樹脂組成物は、赤外線吸収剤を含み得る。
【0010】
本発明の受光装置において、上記赤外線吸収剤は、金属ホウ化物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アゾ化合物、アミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、アントラキノン化合物、フナトキノン化合物、ジチオール化合物、ポリメチン化合物から選択される少なくとも1つを含み得る。
【0011】
本発明の受光装置において、上記金属ホウ化物は、六ホウ化ランタンであり得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可視光を透過し、かつ赤外線を遮光できるビアを備えた受光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における受光装置の模式的な断面図である。
【図2】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図7】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の受光装置の製造工程を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の受光装置の好適な実施形態について説明する。
【0015】
本発明の受光装置は、シリコン基板の上面に形成された第一の配線回路と、上記シリコン基板の下面に形成された第二の配線回路と、上記シリコン基板中に、上記第一の配線回路と上記第二の配線回路とを接続するように設けられたビアと、上記第一の配線回路の上面に設けられた受光素子と、を備え、上記ビアは、樹脂組成物が充填され、厚み20μmの熱硬化した上記樹脂組成物の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である。
【0016】
以下に図1を参照して、本発明の受光装置について説明する。図1は、本発明の受光装置の模式的な断面図である。図1に示すように、本発明の受光装置1は、シリコン基板14の上面に形成された第一の配線回路11と、シリコン基板14の下面に形成された第二の配線回路12と、第一の配線回路11と第二の配線回路12とを接続するように、シリコン基板14中に貫通して設けられたビア20と、第一の配線回路11の上面に設けられた受光素子19とを備える。ビア20の内部には、樹脂層13が形成されている。
受光装置1は、シリコン基板14の上面に形成されるスペーサ15、スペーサ15の上面に配置される透明基板16をさらに備え得る。透明基板16はスペーサ15の上面に、透明基板16と受光素子19との間に隙間21が形成されるように配置される。また、他の回路基板(不図示)に接続するためのハンダ18を備え得る。
受光装置1のシリコン基板14には、貫通孔であるビア20が設けられている。ビア20は、第一の配線回路11と第二の配線回路12とを接続するように設けられる。ビア20の内面には、第一の配線回路11と第二の配線回路12とを接続する配線回路22が形成される。第二の配線回路14には、ハンダ18が設けられ得る。
【0017】
第一の配線回路11および第二の配線回路12としては、銅箔等をエッチング加工した回路パターンに、ニッケル、金等がメッキされた配線回路を使用することができる。
【0018】
本発明で用いられる受光素子19としては、例えば、CMOSイメージセンサ等が挙げられる。
【0019】
透明基板16としては、ガラス基板、またはアクリル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等の有機基板が挙げられる。透明基板16は、受光素子19との間に隙間21を空けて、受光素子19に対向するように、スペーサ15を介して受光素子19の上方に配置される。
【0020】
スペーサ15は、透明基板16と受光素子19との間に隙間21を形成するために配置される。
【0021】
シリコン基板14の上面には、第一の配線回路11を介して受光素子19が設けられている。シリコン基板14の下面には、第二の配線回路12が形成されている。また、シリコン基板14には、ビア20が設けられ、ビア20の内面には配線回路22が形成される。この配線回路22を介して、第一の配線回路11と第二の配線回路12とが接続される。
【0022】
ビア20の内面に形成された配線回路22、および第二の配線回路12は、ハンダ接続部以外は、樹脂組成物からなる樹脂層13で被覆されている。第二の配線回路12上の、ハンダ接続部分には、ハンダ18が配置される。
【0023】
樹脂層13をビア20中に形成することにより、ビア20の下面から入り込む赤外線を遮光することができる。また、樹脂層13は絶縁層として機能するため、第二の配線回路12上のうち、ハンダ接続部のみがハンダ18に接続され、樹脂層13で被覆された部分はハンダ18と接続しないようにできる。
【0024】
次いで、図2〜図11を参照して、本発明の受光装置の製造方法を説明する。図2〜図11は、受光装置1の製造工程を示す模式的な断面図である。なお、図7〜図11は、受光装置のうち、ビアが設けられる近辺を拡大した図である。したがって、受光装置全体を示したものではない。
【0025】
まず、図2に示すように、シリコン基板14の上面に、第一の配線回路11を形成し、この第一の配線回路11の上面に、受光素子19を形成する。
【0026】
次いで、図3に示すように、受光素子19の上面全体を覆うように、スペーサ用感光性樹脂組成物層15aを形成する。スペーサ用感光性樹脂組成物層15aは、スペーサ用の感光性樹脂組成物から構成される。スペーサ用感光性樹脂組成物を、受光素子19上に層状に形成した後、露光および現像し、所望の形状にパターニングして、スペーサ15を形成する。このようなスペーサ用感光性樹脂組成物としては、露光および現像によりパターニング可能なものであれば特に制限されない。スペーサ用感光性樹脂組成物は、ネガ型であってもポジ型であってもよい。また、スペーサ用感光性樹脂組成物は、25℃で液状でもフィルム状でもよい。スペーサ用感光性樹脂組成物が25℃で液状である場合、スペーサ用感光性樹脂組成物層15aの形成は、スピンコート、印刷等の手法により行うことができる。スペーサ用感光性樹脂組成物が25℃でフィルム状の場合、スペーサ用感光性樹脂組成物層15aの形成は、ラミネート等の手法により行うことができる。
【0027】
次いで、図4に示すように、スペーサ用感光性樹脂組成物層15aの上方に、所定のパターンを有するマスク33を配置する。次いで、露光光34を照射し、スペーサ用感光性樹脂組成物15aのうち、マスク33でマスクされていない部分を露光する。ここで、スペーサ用感光性樹脂組成物がネガ型の場合、隙間21が形成される部分をマスクし、スペーサ15が形成される部分に露光光を照射する。一方、スペーサ用感光性樹脂組成物がポジ型の場合、スペーサ4が形成される部分をマスクし、隙間21が形成される部分に露光光34を照射する。露光光34は紫外線であり、露光光の光源としては、g線、i線、エキシマレーザ等が挙げられる。
【0028】
次いで、図5に示すように、露光されたスペーサ用感光性樹脂組成物層15aを、現像液で現像して、スペーサ15を形成する。ここで、スペーサ用感光性樹脂組成物がネガ型の場合、未露光部分(隙間21が形成される部分)が、除去される。一方、スペーサ用感光性樹脂組成物がポジ型の場合、露光部分(隙間21が形成される部分)が除去される。形成されたスペーサ15は、後の工程で、受光素子19と透明基板16との間に隙間21を形成するとともに、シリコン基板14と透明基板16とを接着するよう機能する。現像液としては、例えば、溶剤、アルカリ現像液等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、環境に対する負荷の少ないアルカリ現像液が好ましい。
【0029】
次いで、図6に示すように、受光素子19上に、スペーサ15を介して、透明基板16を配置する。受光素子19と透明基板16との接着は、例えば、シリコン基板14と透明基板16とを位置合わせし、シリコン基板14側からかまたは透明基板16側から加熱および加圧することにより行うことができる。
【0030】
次いで、図7に示すように、シリコン基板14にビアホール20を形成する。なお、以下で説明する図7〜図11は、受光装置1のうち、ビア20の近辺を拡大した図であり、受光装置1全体を示したものではない。
詳細には、図7に示すように、シリコン基板13に、ドライエッチング等によって貫通孔であるビアホール20を形成する。このとき、第一の配線回路11の下面が露出される。次いで、ビアホール20の内面およびシリコン基板14の下面の全体に、SiO等からなる絶縁膜17を、化学蒸着(CVD)等により形成する。次いで、ドライエッチング等により、第一の配線回路11の下面に形成された絶縁膜17を除去して、第一の配線回路11を露出させる。
【0031】
次いで、図8に示すように、絶縁膜17を覆う第二の配線回路12を形成する。第二の配線回路12の形成は、絶縁膜17上に、シード層(不図示)を形成し、シード層上に、無電解メッキ法、電解メッキ法等により銅メッキ層を形成し、その後、シード層および銅メッキ層を、所定のパターンにエッチングすることにより行うことができる。シード層としては、Ti、Ti/Cu、Cu、Ni、Cr/Ni等が挙げられるが、これらに限定されない。上記工程により、シリコン基板14の下面に形成された第二の配線回路12と、ビアホール20の内面に形成された第一の配線回路11と、第二の配線回路12とを接続する配線回路22とが形成される。
【0032】
次いで、図9に示すように、ビアホール20の内部を本発明の樹脂組成物で充填するとともに、絶縁層17および第二の配線回路12の全体を、本発明の樹脂組成物で覆い、これにより樹脂層13を形成する。樹脂層13は、溶媒に溶解または分散させた本発明の樹脂組成物を、シリコン基板14の下面を上向にして、このシリコン基板14の下面に樹脂組成物を塗布し、次いで、溶媒を揮発除去させることにより形成することができる。または、樹脂層13は、ペースト状の本発明の樹脂組成物を調製し、次いで、シリコン基板14の下面を上向きにして、このシリコン基板13の下面にペースト状の樹脂組成物を塗布することにより形成することができる。あるいは、樹脂層13は、フィルム状の本発明の樹脂組成物を樹脂シート上に形成して、接着フィルムとし、この接着フィルムをシリコン基板14の下面に圧着することにより形成することができる。
【0033】
次いで、図10に示すように、樹脂層13のうち、ハンダ搭載部分に対応する部分を除去する。樹脂層13の除去は、マスクを用いる露光および現像により行うことができる。第二の配線回路12上のハンダ搭載部分に存在する樹脂層13は、露光および現像により除去され、第二の配線回路12のハンダ搭載部分が露出される。
なお、シリコン基板13の下面側の所望の位置に樹脂層13を形成するために、樹脂層13の露光前に、マスクの位置合わせ(アライメント)を行う必要がある。この位置合わせは、シリコン基板13の下面に予め配置されたアライメントマークと、マスクに設けられたアライメントマークとを一致させることにより行われる。シリコン基板14の下面全体には樹脂層13が形成されているが、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂層13は、可視光を透過する性質を有しているため、確実にアライメントマークを視認することができる。次いで、パターニングされた樹脂層13を加熱して熱硬化させる。
【0034】
次いで、図11に示すように、ハンダ搭載部分に、ハンダ18を搭載する。これにより、本発明の受光装置1が得られる。
【0035】
図2〜図11では、受光素子19が、スペーサ15の形成前に、第一の配線回路11上に搭載される態様を示したが、スペーサ15の形成後に受光素子19を第一の配線回路11上に搭載する態様を採用することもできる。
【0036】
次いで、樹脂層13を構成する本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、その熱硬化物の、厚み20μmにおける、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である。これにより、本発明の樹脂組成物が充填されたビアを備える配線基板は、配線基板の側部からの赤外線の入り込みが防止される。また、本発明の樹脂組成物は、その硬化物が、可視光を透過する性質を有する。このような樹脂組成物は、樹脂と赤外線吸収剤とを含む。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、樹脂と赤外線吸収剤とを含む。本発明で用いられる樹脂は、露光光34を照射することにより重合する光重合性樹脂であることが好ましい。またこのような樹脂は、露光光34の照射およびアルカリ現像液によりパターニングされ得るアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。さらに、本発明で用いられる樹脂は、加熱により熱硬化して熱硬化物となり得る樹脂であることが好ましい。
【0038】
このようなアルカリ可溶性樹脂は、アルカリ可溶性基を有するとともに、加熱による熱硬化に寄与し得る基、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、シアネート基等を有することが好ましい。
【0039】
本発明で使用できるアルカリ可溶性樹脂としては、光重合性の二重結合を有さず且つアルカリ可溶性基を有するアルカリ可溶性樹脂(A−1)と、光重合性の二重結合を有し且つアルカリ可溶性基を有するアルカリ可溶性樹脂(A−2)とが挙げられる。光重合性の二重結合とは、露光光の照射により、他の分子の光重合性の二重結合と重合反応する基であり、例としては、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基等の置換基中の二重結合や、分子鎖中の二重結合が挙げられる。
【0040】
光重合性の二重結合を有さず且つアルカリ可溶性基を有するアルカリ可溶性樹脂(A−1)としては、例えば、クレゾール型、フェノール型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、カテコール型、レゾルシノール型、ピロガロール型等のノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、α−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、β−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、アクリル酸樹脂、水酸基、カルボキシル基等を含む環状オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂(具体的には、ポリベンゾオキサゾール構造およびポリイミド構造の少なくとも一方を有し、かつ主鎖または側鎖に水酸基、カルボキシル基、エーテル基またはエステル基を有する樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂、ポリイミド前駆体構造を有する樹脂、ポリアミド酸エステル構造を有する樹脂等)等が挙げられ、これらの樹脂は、分子内にアルカリ可溶性基であるフェノール性水酸基又はカルボキシル基を有する。なお、アルカリ可溶性樹脂(A−1)には、クレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール等の繰り返し単位の数が1個である低分子量化合物も、クレゾール型、フェノール型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、カテコール型、レゾルシノール型、ピロガロール型等のノボラック樹脂などの繰り返し単位の数が2個以上である高分子量化合物も含まれる。
【0041】
また、本発明の樹脂組成物は、カルボキシル基含有アクリル樹脂のようなアルカリ可溶性の熱可塑性樹脂を含み得る。
【0042】
光重合性の二重結合を有し且つアルカリ可溶性基を有するアルカリ可溶性樹脂(A−2)としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂(A−1)のようなアルカリ可溶性基を有する樹脂に、二重結合を有する基が導入された樹脂;光重合性の二重結合を有する樹脂に、アルカリ可溶性基が導入された樹脂等が挙げられる。なお、本発明おいて、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを指し、また、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを指す。
【0043】
アルカリ可溶性樹脂(A−1)等のようなアルカリ可溶性基を有する樹脂に、二重結合を有する基が導入された樹脂としては、例えば、フェノール樹脂のフェノール性水酸基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリル変性フェノール樹脂や、ビスフェノールA等のビスフェノール化合物の一方の水酸基とグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリル変性ビスフェノール等が挙げられる。また、光重合性の二重結合を有する樹脂に、アルカリ可溶性基が導入された樹脂としては、例えば、ビスフェノール化合物の両方の水酸基に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートのエポキシ基を反応させて得られる樹脂の水酸基に、酸無水物を反応させて、カルボキシル基を導入した樹脂、ビスフェノール化合物の両方の水酸基に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートのエポキシ基を反応させて得られる樹脂の水酸基に、ジカルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入した樹脂等が挙げられる。
中でも、アルカリ可溶性樹脂(A−2)が好ましく、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂が特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A−2)は、露光時に露光部が確実に架橋し、後の現像時に露光部が現像液に溶解するのを防止できる。また、露光後の露光部の機械強度を向上させることができる。したがって、得られるビアの形状保持特性を向上させることができる。
【0044】
ここで、アルカリ可溶性樹脂(A−2)のうち、アルカリ可溶性樹脂(A−1)等のようなアルカリ可溶性基を有する樹脂のアルカリ可溶性基に、二重結合を有する基が導入された樹脂の場合、アルカリ可溶性基当量(分子量/アルカリ可溶性基の数)は、特に限定されないが、好ましくは30〜2000、特に好ましくは50〜1000である。アルカリ可溶性基当量が、上限値より大きいとアルカリ現像性が低下し、現像に長時間要する場合がある。また、下限値より小さいと、露光部のアルカリ現像耐性が低下する場合がある。なお、アルカリ可溶性基当量は、分子量として重量平均分子量を用いて算出される。
【0045】
また、アルカリ可溶性樹脂(A−2)のうち、ビスフェノール化合物の両方の水酸基に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物のエポキシ基を反応させて得られる樹脂の水酸基に、酸無水物又はジカルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入した樹脂の場合、アルカリ可溶性基当量(分子量/アルカリ可溶性基の数)は、特に限定されないが、好ましくは30〜2000、特に好ましくは50〜1000である。該アルカリ可溶性基当量が、上限値より大きいとアルカリ現像性が低下し、現像に長時間要する場合がある。また、下限値より小さいと、露光部のアルカリ現像耐性が低下する場合がある。
【0046】
本発明の樹脂組成物に用いられる赤外線吸収剤としては、好ましくは、最大吸収波長が800〜2500nmの範囲内にある赤外線吸収剤が挙げられる。また、赤外線吸収剤の最大吸収波長の最小透過率は、15%以下、好ましくは1〜10%、特に好ましくは2〜5%である。樹脂組成物が赤外線吸収剤を含むことにより、樹脂組成物の硬化物が充填されたビアが赤外線の遮光性を有する。
【0047】
また、赤外線吸収剤の熱分解温度は、好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上である。これにより、樹脂組成物を熱硬化する工程において、赤外線吸収剤が変質することがない。これにより、熱硬化後も上記した赤外線を吸収する性質を保つことができる。
【0048】
このような赤外線吸収剤としては、例えば、金属ホウ化物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アゾ化合物、アミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、アントラキノン化合物、フナトキノン化合物、ジチオール化合物、ポリメチン化合物が挙げられる。
【0049】
金属ホウ化物としては、例えば、六ホウ化ランタン(LaB)、六ホウ化プラセオジム(PrB)、六ホウ化ネオジム(NdB)、六ホウ化セリウム(CeB)、六ホウ化ガドリニウム(GdB)、六ホウ化テルビウム(TbB)、六ホウ化ジスプロシウム(DyB)、六ホウ化ホルミウム(HoB)、六ホウ化イットリウム(YB)、六ホウ化サマリウム(SmB)、六ホウ化ユーロピウム(EuB)、六ホウ化エルビウム(ErB)、六ホウ化ツリウム(TmB)、六ホウ化イッテルビウム(YbB)、六ホウ化ルテチウム(LuB)、六ホウ化ストロンチウム(SrB)、六ホウ化カルシウム(CaB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrBおよびCrB)、ホウ化モリブデン(MoB、MoおよびMoB)およびホウ化タングステン(W)、およびそれらの混合物等が挙げられる。
【0050】
アゾ化合物は、−N=N−結合を有する化合物であり、且つ最大吸収波長が800〜2500nmの範囲内にある化合物である。より具体的には、−N=N−結合を有し、かつ、−N=N−結合のパラ位に、水酸基または水酸基から誘導される官能基を有する化合物である。アゾ化合物としては、例えば、下記一般式(1):
−N=N−R (1)
で表されるアゾ化合物が挙げられる。上記一般式(1)中、R及びRは、芳香族基であり、アゾ基のパラ位に少なくとも1つ以上の水酸基または水酸基から誘導される官能基を有する。なお、R及びRは、同一でも異なってもよい。更に具体的には、アゾ化合物としては、下記式(1−1)〜(1−6)で表わされるアゾ化合物が挙げられる。
【0051】
【化1】

【0052】
アミニウム化合物は、アミンの非共有電子対電子の1つが酸化されて陽イオンとなり、陰イオンと塩を作っている化合物であり、且つ最大吸収波長が800〜2500nmの範囲内にある化合物である。アミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(2):
【0053】
【化2】

【0054】
で表されるアミニウム化合物が挙げられる。上記一般式(2)中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、Aは芳香族基、XはI、BF、ClO、AsF、SbFからなる群から選ばれる一種である。なお、Rは、同一でも異なってもよい。
【0055】
アントラキノン化合物は、下記式:
【0056】
【化3】

【0057】
で表されるアントラキノン構造を有し、且つ最大吸収波長が800〜2500nmの範囲内にある化合物である。例えば、アントラキノン化合物としては、下記式(9):
【0058】
【化4】

【0059】
で表されるアントラキノン化合物が挙げられる。上記式(9)中、R12及びR13は、窒素原子を有する置換基、水酸基、芳香環を有する置換基であり、p及びqは、1〜3の整数である。なお、R12及びR13は、同一でも異なってもよい。更に具体的には、アントラキノン化合物としては、下記式(9−1):
【0060】
【化5】

で表されるアントラキノン化合物、下記式(9−2):
【0061】
【化6】

で表されるアントラキノン化合物、下記式(9−3):
【0062】
【化7】

で表されるアントラキノン化合物が挙げられる。
【0063】
ジチオール・金属錯体化合物は、下記式(10):
【0064】
【化8】

で表される構造を有し、且つ最大吸収波長が800〜2500nmの範囲内にある化合物である。上記式(10)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、ハロゲンいずれかを表し、Mはニッケル、白金、パラジウムのいずれかを表す。
【0065】
これら赤外線吸収剤の中でも、赤外線吸収能にすぐれ、且つ、耐熱性に優れる金属ホウ化物が好ましい。
【0066】
赤外線吸収剤は、1種単独でもあっても2種以上の組み合わせであってもよい。また、本発明の樹脂組成物は、最大吸収波長が異なる複数の赤外線吸収剤を組み合わせることにより、広範囲の波長の赤外線を遮光することができる。例えば、最大吸収波長が871nmの赤外線吸収剤と、最大吸収波長が913nmの赤外線吸収剤と、最大吸収波長が966nmの赤外線吸収剤とを組み合わせることにより、875〜960nmの領域の赤外線を遮光することができる。
【0067】
なお、本発明において、赤外線吸収剤の最大吸収波長とは、分光光線透過率分析で分析したときに、透過率が最も小さくなる波長を指す。また、赤外線吸収剤の熱分解温度は、熱重量変化分析によって測定される値である。
【0068】
樹脂組成物中の赤外線吸収剤の量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは、0.01重量%以上、15重量%以下であり、より好ましくは、0.1重量%以上、10重量%以下である。赤外線吸収剤の含有量が上記下限値以上であることにより、得られるビアが赤外線を遮光する効果が高くなる。また、赤外線吸収剤の含有量が上記上限値以下であることにより、波長400〜700nmの可視光透過率を5.0%以上とすることができる。なお、赤外線吸収剤として、1種類の赤外線吸収剤を用いる場合、各赤外線吸収剤の含有量とは、その1種類の赤外線吸収剤の含有量を指す。また、最大吸収波長が異なる複数の赤外線吸収剤を用いる場合、各赤外線吸収剤の含有量とは、用いられている複数の赤外線吸収剤の各々の含有量を指す。例えば、最大吸収波長が871nmの赤外線吸収剤と、最大吸収波長が913nmの赤外線吸収剤と、最大吸収波長が966nmの赤外線吸収剤とを組み合わせて用いる場合、各々の赤外線吸収剤の含有量が、樹脂組成物全体の0.01〜15重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることが特に好ましい。
【0069】
また、最大吸収波長が異なる複数の赤外線吸収剤を用いる場合、用いられている赤外線吸収剤の合計の含有量は、樹脂組成物全体の0.01〜15重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることが特に好ましい。
【0070】
また、赤外線吸収剤の平均粒子径は、特に限定されないが、10μm以下であることが好ましい。さらに、5μm以下であることが好ましい。なお、ここで言う「平均粒子径」は、レーザー回折散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径(D50)をいう。
【0071】
赤外線吸収剤の平均粒子径が上記した上限値以上である場合、ビアを形成したときに、厚み方向に嵩高くなることによって、粒子間に空隙が生じて赤外線の透過率が高くなってしまう。そのため、赤外線吸収剤の添加量を増やさなければ、赤外線の透過率を低くすることができない。
【0072】
一方、赤外線吸収剤の平均粒子径が上記した上限値以下であることにより、樹脂組成物中における赤外線吸収剤の分散性が良くなり、厚み方向の嵩を低くすることができる。すなわち、ビアを形成したときに、平面方向に広がる粒子が増えるため、ビア全体として、赤外線吸収剤の粒子の占める充填率を高くすることができる。結果として、ビア全体として赤外線の透過率を低くすることができる。
【0073】
このように、本発明において、赤外線吸収剤が少ない含有量であっても、確実に赤外域の透過率を下げることができる。したがって、低コストに赤外線の遮光性を得ることができる。
【0074】
ここで、上記のような平均粒子径を有する赤外線吸収剤のうち、無機物であるものは、厳しい条件で破砕することにより形成することができる。赤外線吸収剤の形成方法としては、たとえば、ボールミル法またはビーズミル法などが挙げられる。
【0075】
本発明の樹脂組成物は、上記樹脂および赤外線吸収剤に加え、熱硬化性樹脂、光重合化合物、光重合開始剤、光酸発生剤、無機充填材等をさらに含み得る。
【0076】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と反応することにより硬化物を形成する熱硬化性樹脂付加型の樹脂、および自らの分子鎖に結合している官能基が分子鎖内で環化反応することにより硬化物を形成する自己縮合型の樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂付加型の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル変性フェノール樹脂、(メタ)アクリル変性ビスフェノール、ビスフェノール化合物の両方の水酸基に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物を反応させて得られる樹脂の水酸基に、酸無水物を反応させて、カルボキシル基を導入した樹脂、ビスフェノール化合物の両方の水酸基に(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物を反応させて得られる樹脂の水酸基に、ジカルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入した樹脂等が挙げられる。自己縮合型の樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂に(メタ)アクリル基が導入された樹脂、更に具体的には、ポリベンゾオキサゾール構造及びポリイミド構造の少なくとも一方を有し、且つ主鎖または側鎖に水酸基、カルボキシル基、エーテル基又はエステル基を有する樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有する樹脂、ポリイミド前駆体構造を有する樹脂、ポリアミド酸エステル構造を有する樹脂等に、(メタ)アクリル基が導入された樹脂などが挙げられる。
【0077】
熱硬化性樹脂を含めることにより、樹脂組成物層が現像された後、加熱による熱硬化により熱硬化物となる樹脂組成物を得ることができる。
【0078】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾールフェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂が、樹脂組成物の自由体積を大きくすることができ、硬化物の透湿率を向上させることができる点で好ましい。また、樹脂組成物の硬化物の吸水率を下げることができる。更に、透湿率を高めることができる点で、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。なお、熱硬化性樹脂には、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂のような繰り返し単位の数が1個である低分子量化合物も、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂のような繰り返し単位の数が2個以上である高分子量化合物も含まれる。
【0079】
熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物中、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜65重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。熱硬化性樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、得られるビアの機械特性を高くすることができる。
【0080】
熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合、本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物を含むことができる。エポキシ樹脂の硬化剤として作用する化合物としては、フェノール誘導体、カルボン酸誘導体、イミダゾール類等が挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、フェノール誘導体が、露光及び現像の際に、溶解促進剤としての作用を有するため好ましい。
【0081】
フェノール誘導体としては、フェノールノボラック樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、トリスフェニルメタン型フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、α−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂、β−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。なかでも、フェノールノボラック樹脂が、露光及び現像後の残渣を低減する効果が高くなる点で、好ましい。
【0082】
光重合化合物とは、光を照射することにより、光重合する化合物であり、光重合性の二重結合を有する化合物である。光重合性化合物としては、光重合性の二重結合を有する光重合性モノマー、光重合性オリゴマー、主鎖又は側鎖に光重合性の二重結合を有する樹脂等が挙げられる。
【0083】
光重合性モノマーとしては、ビスフェノールAエチレングリコール変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレングリコール変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレングリコールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレングリコール変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0084】
光重合性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0085】
主鎖又は側鎖に光重合性の二重結合を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸の構造単位を有する(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基にグリシジル(メタ)アクリレートのグリシジル基を反応させた樹脂、グリシジル(メタ)アクリレートの構造単位を有する(メタ)アクリル系樹脂のグリシジル基に(メタ)アクリル酸のカルボキシル基を反応させた樹脂が挙げられる。主鎖又は側鎖に光重合性の二重結合を有する樹脂の分子量は、50〜5000が好ましい。
【0086】
また、光重合性化合物としては、親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物が挙げられる。親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物により、樹脂組成物層をパターンニング処理した後の残渣を低減することができる。この理由は、親水性基又は親水性構造を付与することで水との親和性が上がる為、樹脂組成物がアルカリ現像液に溶解しやすくなるからと考えられる。親水性基又は親水性構造としては、アルコール性水酸基等の親水性基、オキシエチレン構造、オキシプロピレン構造等の親水性構造が挙げられる。
【0087】
親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物としては、例えば、水酸基を有するアクリル系化合物、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有するアクリル系化合物等が挙げられ、これらの中でも水酸基を有するアクリル系化合物が好ましい。本発明の樹脂組成物が、水酸基を有するアクリル系化合物またはオキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造を有するアクリル系化合物を含むことにより、パターニング性(現像性)が高くなる。
【0088】
水酸基を有するアクリル系化合物としては、エポキシ化合物のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて付加させた化合物が好ましく、具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテルにメタクリル酸を付加させた化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテルにアクリル酸を付加させた化合物、プロピレングリコールジグリシジルエーテルにメタクリル酸を付加させた化合物、プロピレングリコールジグリシジルエーテルにアクリル酸を付加させた化合物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルにメタクリル酸を付加させた化合物、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテルにアクリル酸を付加させた化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルにメタクリル酸を付加させた化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルにアクリル酸を付加させた化合物等が挙げられる。
【0089】
水酸基を有するアクリル系化合物に係るエポキシ化合物、つまり、(メタ)アクリル酸が付加されるエポキシ化合物としては、芳香環を有するエポキシ化合物であることが、形状保持性も優れる点で好ましい。水酸基を有するアクリル系化合物のうち、下記式(11)の中から選ばれる1種以上の化合物が、残渣の低減効果に加えて、形状保持性にも優れる点で好ましい。
【0090】
【化9】

【0091】
本発明の樹脂組成物中の親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物の含有量は、特に限定されないが、1〜20重量%が好ましく、2〜8重量%が特に好ましい。親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、特に残渣の低減効果と、形状保持性の両方の性能を高くする効果に優れる。
【0092】
また、光重合性化合物としては、多官能光重合性化合物が挙げられる。多官能光重合性化合物(G−2)を含むことにより、前述したアルカリ可溶性樹脂と共にパターニング性をより向上させることができる。多官能光重合性化合物は、光重合性の二重結合を2以上有しており、且つ、親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物とは異なる光重合性化合物である。ここで、親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物と異なるとは、構造、分子量等が異なることを意味する。
【0093】
多官能光重合性化合物(G−2)としては、例えば、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0094】
多官能光重合性化合物(G−2)としては、3官能以上の多官能光重合性化合物が好ましい。本発明の樹脂組成物が、3官能以上の多官能光重合性化合物を含むことにより、フィラーを実質的に含まない場合であっても形状保持性に優れる。
【0095】
3官能以上の該多官能光重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート等が挙げられる。本発明の樹脂組成物が3官能以上の多官能光重合性化合物を含むことにより、フィラーを実質的に含まない場合であっても形状保持性に優れる理由は、3次元的に光架橋が起こり、光架橋密度が高くなり、熱時弾性率が低くならないためと考えられる。
【0096】
本発明の樹脂組成物中の多官能光重合性化合物の含有量は、特に限定されないが、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が特に好ましい。多官能光重合性化合物(G−2)の含有量が、上記上限値を超えると密着強度が低くなる場合がある。一方、上記下限値未満であると形状保持性が低くなる場合がある。
【0097】
親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物(G−1)と、多官能光重合性化合物(特に、3官能以上の多官能光重合性化合物)とを併用することにより、パターンを形成する際の残渣の低減効果およびパターンの形状保持性効果の両方に優れる樹脂組成物が得られる。併用する場合、多官能光重合性化合物(G−2)の含有量に対する親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物(G−1)の含有量の比(親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物の含有量/多官能光重合性化合物の含有量)は、特に限定されないが、0.05〜1.5が好ましく、0.1〜1.0が特に好ましい。多官能光重合性化合物に対する親水性基又は親水性構造を有する光重合性化合物(G−1)の比が上記範囲内であると、上述の残渣低減効果および形状保持性効果に加えて、作業性、微細加工性、信頼性にも優れる。
【0098】
光重合開始剤としては、特には限定されないが、例えば、ジアゾキノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルフィニルサルファイド、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ジベンジル、ジアセチルなどが挙げられる。これらのうち、パターニング性に優れるベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタールが好ましい。
【0099】
本発明の樹脂組成物中、光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の0.5〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記下限値未満であると光重合を開始する効果が低くなる場合がある。また、上記上限値を超えると反応性が高くなり過ぎて、使用前における樹脂組成物の保存性やパターニング後の解像性が低くなる場合がある。したがって、光重合開始剤の含有量を上記範囲内とすることにより、光重合を開始する効果と、使用前の保存性及びパターニング後の解像性を高くする効果とのバランスに優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0100】
光酸発生剤は、露光光を吸収することにより分解して酸を発生する物質をいう。光により発生した酸は、樹脂組成物の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させるため、樹脂組成物のパターニング性が向上し得る。
【0101】
光酸発生剤としては、例えば、フェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステルが挙げられる。具体的には、式(16)〜式(19)で示されるエステル化合物が挙げられる。光酸発生剤(C)は1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
【0102】
【化10】

【0103】
【化11】

【0104】
【化12】

【0105】
【化13】

【0106】
式(16)〜(19)中、Qは、水素原子、式(20)及び式(21)で示される構造のうちのいずれかから選ばれるものである。ここで各化合物のQのうち、少なくとも1つは式(20)又は式(21)で示される構造である。
【0107】
【化14】

【0108】
本発明の樹脂組成物中の光酸発生剤(C)の含有量は、用いられる樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、10〜40重量部が特に好ましい。光酸発生剤(C)の含有量が上記範囲内であることにより、特に感度が優れる。
【0109】
無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、結晶シリカ等のシリカ粉末等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物等が挙げられる。これら無機充填材は、1種単独でも2種以上の組み合わせでもよい。これらのうち、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末が好ましく、球状溶融シリカが特に好ましい。
【0110】
本発明の樹脂組成物が、無機充填剤を含むことにより、硬化させた樹脂組成物の耐熱性、耐湿性、強度等が高くなる。なお、無機充填材の形状は、特に限定されないが、真球状であることが好ましい。
【0111】
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5〜50nm、特に好ましくは10〜30nmである。無機充填材の平均粒子径が、上記下限値未満だと無機充填材が凝集し易くなるために、樹脂組成物中で無機充填材の分布にばらつきが発生する場合がある。また、上記上限値を超えると露光及び現像による解像性が低くなり過ぎる場合がある。
【0112】
本発明の樹脂組成物は、フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物(化合物E)を含むことができる。これにより、樹脂組成物とアルカリ現像液との親和性を高めることができる。また、樹脂組成物を構成する他の成分との相溶性を高めることができる。したがって、露光及び現像した後の残渣を低減することができる。1分子中のカルボキシル基濃度を高めた方が、アルカリ現像液に対する親和性は向上する。しかし、濃度を高くしすぎると、この化合物の分子間の結晶性が高くなり過ぎてしまい、感光性樹脂組成物を構成する他の成分との相溶性が低くなってしてしまう。そのため、感光性樹脂組成物が、カルボキシル基に加えて、カルボキシル基ほどではないがアルカリ現像液に対する親和性を有する化合物Eを含むことにより、アルカリ現像液に対する親和性と樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を両立することができる。
【0113】
フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物(E)の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは100〜5000、より好ましくは150〜3000、特に好ましくは200〜2000である。化合物(E)の重量平均分子量を上記範囲とすることで、アルカリ現像液に対する親和性と感樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を両立する効果が高まる。ここで、重量平均分子量は、前述と同様の方法で測定される。
【0114】
フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物(E)は、フェノール性水酸基とカルボキシル基を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(22)〜(24)で示される化合物が挙げられる。本発明の樹脂組成物が、フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物(E)として、下記一般式(22)〜(24)で示される化合物を含むことにより、露光及び現像後の残渣を低減させる効果が更に高まる。
【0115】
【化15】

【0116】
【化16】

【0117】
【化17】

【0118】
上記一般式(22)中、R21は、芳香族以外の有機基を示し、a及びbは、1〜3の整数である。a及びbは、特に限定されるものではないが、a=1且つb=2が好ましい。a=1且つb=2とすることで、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる効果及び樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を両立することができる。
【0119】
21は、芳香族以外の有機基であれば、特に限定されるものではなく、単結合、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の炭化水素基が挙げられる。bが1の場合、具体的な例示としては、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレン、i−ペンチレン、sec−ペンチレン、t−ペンチレン、メチルブチル、1,1,ジメチルプロピレン、n−ヘキシレン、1−メチルペンチレン、2−メチルペンチレン、3−メチルペンチレン、4−メチルペンチレン、1−エチルブチレン、2−エチルブチレン、3−エチルブチレン、1,1−ジメチルブチレン、2,2−ジメチルブチレン、3,3−ジメチルブチレン、1−エチル−1−メチルプロピレン、n−ヘプチレン、1−メチルヘキシレン、2−メチルヘキシレン、3−メチルヘキシレン、4−メチルヘキシレン、5−メチルヘキシレン、1−エチルペンチレン、2−エチルペンチレン、3−エチルペンチレン、4−エチルペンチレン、1,1−ジメチルペンチレン、2,2−ジメチルペンチレン、3,3−ジメチルペンチレン、4,4−ジメチルペンチレン、1−プロピルブチレン、n−オクチレン、1−メチルヘプチレン、2−メチルヘプチレン、3−メチルヘプチレン、4−メチルヘプチレン、5−メチルヘプチレン、6−メチルヘプチレン、1−エチルヘキシレン、2−エチルヘキシレン、3−エチルヘキシレン、4−エチルヘキシレン、5−エチルヘキシレン、6−エチルヘキシレン、1,1−ジメチルヘキシレン、2,2−ジメチルヘキシレン、3,3,−ジメチルヘキシレン、4,4−ジメチルヘキレン、5,5−ジメチルヘキシレン、1−プロピルペンチレン、2−プロピルペンチレン等が挙げられ、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の基が好ましい。炭素数を1〜6とすることで、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる効果及び樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を向上させることができる。
【0120】
また、bが2の場合、具体的には、下記一般式(25)で示される基が例示される。
【0121】
【化18】

【0122】
前記一般式(25)中、R23及びR24は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基(末端はカルボキシル基)、カルボキシル基を示す。*には一般式(22)中のフェノール性水酸基を有するベンゼン環が結合する。但し、R23またはR24の両方が、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることはなく、R23又はR24の一方が水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基である場合、他方は炭素数1〜20の直鎖状アルキレン基(末端はカルボキシル基)である。
【0123】
前記一般式(25)中のR23及びR24の少なくとも一方は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキレン基(末端はカルボキシル基)である。これにより、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる。また、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を高くすることができる。さらに、炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン基(末端はカルボキシル基)であることが、特に好ましい。
【0124】
bが3の場合、具体的には、下記一般式(26)で示される基が例示される。
【0125】
【化19】

【0126】
一般式(26)中、R25は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状のアルキレン基(末端はカルボキシル基)、カルボキシル基を示し、*には、前記一般式(22)中のフェノール性水酸基を有するベンゼン環が結合する。
【0127】
一般式(26)中、R25は、たとえば、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のアルキレン基(末端はカルボキシル基)である。これにより、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる。また、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を高くすることができる。さらに、炭素数1〜6の直鎖又は分岐状のアルキレン基(末端はカルボキシル基)であることが、特に好ましい。
【0128】
一般式(23)中、c及びdは、1〜5の整数である。一般式(23)で示される化合物としては、特に限定されるものではなく、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸等が挙げられ、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる効果及び樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果が高くなる点で、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0129】
一般式(24)中、e及びfは、1〜3の整数である。e及びfは、特に限定されるものではないが、たとえば、e=1且つf=2である。これにより、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる。また、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を高くすることができる。
【0130】
一般式(24)中、R22は、芳香族以外の有機基を示し、特に限定されるものではなく、単結合、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状の炭化水素基が挙げられる。R22は、たとえば、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の炭化水素基である。これにより、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる。また、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を高くすることができる。さらに、炭素数1〜6の直鎖又は分岐状の炭化水素基であることが、特に好ましい。
【0131】
一般式(24)で示される化合物としては、特に限定されるものではなく、フェノールフタリン、フェノールフタリンの誘導体等が挙げられる。これにより、フェノールフタリンが、樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減できる。また、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を向上させる効果を高くすることができる。
【0132】
フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.3〜20重量%、特に好ましくは0.5〜15重量%である。化合物(E)の含有量が、上記範囲内であることにより、感光性樹脂組成物の露光及び現像後の残渣を低減する効果が高まる。更に、樹脂組成物を構成する他の樹脂成分との相溶性を確保することができる。
【0133】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、レベリング剤、カップリング剤、酸化防止剤等の添加剤を含み得る。
【0134】
樹脂組成物は、上記成分を、当該分野で通常用いられる方法により混合して、得ることができる。このようにして得られた樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、厚み20μmにおいて、波長800nm〜2500nmの光に対する光透過率Tが、15%以下であり、好ましくは1〜15%、特に好ましくは、2〜10%である。これにより、受光素子を誤作動させる赤外線が、シリコン基板の側面および下面から入射するのを防止することができる。そのため、本発明の受光装置は、安定的に作動し得る。
【0135】
また、本発明の樹脂組成物の硬化物は、厚み20μmにおいて、260℃で10分間加熱した後の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率T'が、15%以下であり、好ましくは1〜15%、特に好ましくは、2〜10%である。本発明の樹脂組成物の硬化物は、熱処理後であってもその赤外線透過率の上昇が抑制される。そのため、ビア形成の際に樹脂組成物が受ける加熱処理により、赤外線透過率の上昇の発生が抑制される。
【実施例】
【0136】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1.アルカリ可溶性基および二重結合を有する樹脂(光および熱の両方で硬化可能な硬化性樹脂:メタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂:MPN)の合成
ビスフェノールA型ノボラック樹脂(フェノライトLF−4871、大日本インキ化学社製)の固形分60%MEK溶液500gを、2Lフラスコ中に投入した。次いで、これに触媒としてトリブチルアミン1.5g、および重合禁止剤としてハイドロキノン0.15gを添加し、100℃に加温した。その中へ、グリシジルメタクリレート180.9gを30分間で滴下し、100℃で5時間攪拌反応させた。これにより、不揮発分74%のメタクリル変性ビスフェノールA型ノボラック樹脂(MPN)(メタクリル変性率50%)を得た。
【0137】
2.樹脂ワニスの調製
アルカリ可溶性樹脂として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)57.0重量%と、光重合開始剤としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)33.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)4.0重量%と、赤外線吸収剤として、ホウ化ランタンLaB6−F(日本新金属株式会社社製)3.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た。なお、赤外線吸収剤のホウ化ランタンLaB6−Fは、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0138】
3.接着フィルムの調製
上述の樹脂ワニスをコンマコーターで支持基材ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社社製、RL−07、厚さ38μm)に塗布し、70℃、10分間乾燥して膜厚20μmの接着フィルムを得た。
【0139】
(実施例2)
アルカリ可溶性樹脂として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)43.0重量%と、アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)12.0重量%と、光重合開始剤としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)33.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)4.0重量%と、赤外線吸収剤として、ホウ化ランタンLaB6−F(日本新金属株式会社社製)5.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た。接着フィルムの調製は実施例1と同様に行った。なお、実施例1と同様に、赤外線吸収剤のホウ化ランタンLaB6−Fは、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0140】
(実施例3)
アルカリ可溶性樹脂として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)42.0重量%と、アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)12.0重量%と、フェノール性水酸基とカルボキシル基を有する化合物として4,4’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸(東京化成工業株式会社社製)1.0重量%と、光重合開始剤(B)としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)33.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)4.0重量%と、赤外線吸収剤として、ホウ化ランタンLaB6−F(日本新金属株式会社社製)5.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た。接着フィルムの調製は実施例1と同様に行った。なお、実施例1と同様に、赤外線吸収剤のホウ化ランタンLaB6−Fは、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0141】
(実施例4)
アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)の配合量を12.0重量部から10.0重量部へ、ホウ化ランタンLaB6−F(日本新金属株式会社社製)の配合量を5.0重量%から7.0重量%へ変更した以外は、実施例2と同様に樹脂ワニスの調製、接着フィルムの調製を行った。なお、実施例2と同様に、赤外線吸収剤のホウ化ランタンLaB6−Fは、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0142】
(実施例5)
アルカリ可溶性樹脂(A)として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)42.0重量%と、アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)12.0重量%と、光重合開始剤としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)33.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)4.0重量%と、赤外線吸収剤として、錫ドープ酸化インジウム ITO粉末(三菱マテリアル電子化成株式会社社製)6.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た。接着フィルムの調製は実施例1と同様に行った。なお、赤外線吸収剤の錫ドープ酸化インジウム ITO粉末は、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0143】
(実施例6)
赤外線吸収剤として、錫ドープ酸化インジウム ITO粉末6.0重量%を、アンチモンドープ酸化錫 導電性粉末T−1(三菱マテリアル電子化成株式会社社製)6.0重量%へ変更した以外は、実施例5と同様に樹脂ワニスの調製、接着フィルムの調製を行った。なお、赤外線吸収剤のアンチモンドープ酸化錫 導電性粉末T−1は、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0144】
(実施例7)
アルカリ可溶性樹脂(A)としてフェノールノボラック樹脂S−3(住友ベークライト株式会社社製)54.0重量%と、エポキシ樹脂としてシリコン変性エポキシ樹脂BY16−115(東レダウコーニングシリコーン株式会社社製)29.0重量部と、光重合開始剤(B)に代えて、光酸発生剤(C)として下記式で示されるトリスフェノールとナフトキノンジアジドのスルホン酸エステル9.0重量%と、赤外線吸収剤として、ホウ化ランタンLaB6−F(日本新金属株式会社社製)5.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た以外は、接着フィルムの調製を実施例1と同様に行った。なお、実施例1と同様に、赤外線吸収剤のホウ化ランタンLaB6−Fは、厳しい条件で破砕することにより形成した。
【0145】
【化20】

【0146】
(比較例1)
アルカリ可溶性樹脂として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)45.0重量%と、アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)12.0重量%と、光重合開始剤としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)35.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)5.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た以外は、接着フィルムの調製を実施例1と同様に行った。
【0147】
(比較例2)
アルカリ可溶性樹脂として上記のメタクリル変性ビスフェノールA型フェノールノボラック樹脂(MPN)45.0重量%と、アクリル樹脂としてトリメチロールプロパントリメタクリレート ライトエステルTMP(共栄社化学株式会社社製)12.0重量%と、光重合開始剤としてイルガキュア651(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社社製)3.0重量%と、トリスフェノール型エポキシ樹脂E1032H60(ジャパン・エポキシレジン株式会社社製)33.0重量%と、フェノール樹脂としてフェノールノボラック型樹脂PR53647(住友ベークライト株式会社社製)4.0重量%と、赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物 イーエクスカラー910(日本触媒株式会社製)3.0重量%とを、メチルエチルケトン(MEK、大伸化学社製)に溶解して、樹脂ワニスを得た。接着フィルムの調製は実施例1と同様に行った。
【0148】
(比較例3)
赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物 イーエクスカラー910(日本触媒株式会社製)の代わりに、フタロシアニン系化合物 イーエクスカラー906(日本触媒株式会社製)3.0重量%を用いること以外は比較例2と同様にして、樹脂ワニスの調製、接着フィルムの調製を行った。
【0149】
(比較例4)
赤外線吸収剤として、フタロシアニン系化合物 イーエクスカラー910(日本触媒株式会社製)の代わりに、ジイモニウム系化合物 KAYASORB IRG−068(日本化株式会社製)6.0重量%を用いること以外は、比較例2と同様にして、樹脂ワニスの調製、接着フィルムの調製を行った。
【0150】
1.透過率評価
各実施例および比較例で得られた接着フィルムを分光光度計(UV−3100PC、島津製作所社製)により透過率を測定し、波長400〜700nmにおける透過率が最小となる波長およびその時の透過率を最小透過率(1)とし、波長360〜400nmにおける透過率が最小となる波長(最大吸収波長)およびその時の透過率を最小透過率(2)とし、さらに、波長800nm〜2500nmにおける透過率が最小となる波長(最大吸収波長)およびその時の透過率を最小透過率(3)とした。さらに、フィルムを260℃で10分間加熱した後、上記の方法で透過率を測定した。フィルムを260℃で10分間加熱した後に測定した、波長800nm〜2500nmにおける透過率が最小となる透過率を最小透過率(4)とした。
結果を以下の表1に示す。
【0151】
2.25℃および260℃における弾性率
各実施例および比較例で得られた接着フィルムを、波長:365nm、露光量:700mJ/cmの条件で露光し、さらに、180℃、5時間の条件により熱硬化し、動的粘弾性測定装置(DMA)で、周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分)条件で貯蔵弾性率を測定し、25℃および260℃における貯蔵弾性率を測定値とした。
【0152】
3.フラックス耐性
各実施例および比較例で得られた接着フィルムを半導体ウエハーに貼り付け、波長:365nm、露光量:700mJ/cmの条件で露光し、さらに、180℃、5時間の条件により接着フィルムを熱硬化させた後、半田ペーストとしてM34−226C−21−10.8H(千住金属工業株式会社社製)を接着フィルム上に塗り、ホットプレートで250℃、10分間加熱し半田を凝集させた。次いで、フラックス洗浄液であるパインアルファST−1000SX(荒川化学工業株式会社社製)を用い、70℃、10分の条件で接着フィルム上のフラックスを洗浄し、さらに、純水を用い、45℃、1分+25℃、1分の条件で洗浄した。その後、接着フィルムの表面状態を顕微鏡で確認した。
○:薬液処理前後で表面状態に差が見られない
×:薬液処理後に表面にシワ、膨潤が観察される。
【0153】
4.吸水率評価
各実施例および比較例で得られた接着フィルムを60℃に設定されたラミネータを用いて貼り合せ、膜厚100μmの接着フィルムを作製し、波長:365nm、露光量:700mJ/cmの条件で露光し、さらに、180℃、5時間の条件により接着フィルムを熱硬化させた。得られた熱硬化後の接着フィルムを約5mm角に粉砕し、さらに、約10mg精秤し測定サンプルとした。次に、測定サンプルを、85℃、10分熱処理をし、測定サンプルの重量を精秤し(この時の重量をaとする。)、次に、測定サンプルを85℃、湿度85%、10分間湿熱処理し、湿熱処理処理後の重量を精秤する(この時の重量をbとする。)。吸水率は、以下の式により算出した。
吸水率(%)=((b−a)/a)×100
【0154】
5.平均線膨張係数α1
各実施例および比較例で得られた接着フィルムを、波長:365nm、露光量:700mJ/cmの条件で露光した。さらに、180℃、5時間の条件により熱硬化させ、測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルを用い、熱機械特性測定装置(TMA)(モード:引張り、荷重:30mN、昇温速度:5℃/分)により線膨張係数を測定し、雰囲気温度が0℃から30℃の平均の線膨張係数を測定値とした。
結果を以下の表1に示す。
【表1】



【0155】
以上のように、比較例1では、赤外線吸収剤を含まないため、800〜2500nmの波長の光の最小透過率が85.4%と大きな値を示していた。この比較例の接着フィルムを受光素子のビアに用いた場合、回路基板の側面からビアを透過して入り込む赤外線により、受光素子が誤作動を起こしてしまう。
【0156】
(受光装置)
下記のような手順で受光装置を作製した。まず、図1のように、実施例4の接着フィルムを回路基板に圧着した。次いで、露光および現像し、接着フィルムをパターニングし、次いで、加熱硬化してビアを形成した。次いで、得られたビア上に回路基板を圧着し、この回路基板上に受光素子を配置することにより受光装置を作製した。この受光装置は、赤外線の遮光性が良いため、受光素子に誤動作を起こさせることが無く、安定的に動作させることができた。
【符号の説明】
【0157】
1 受光装置
11 第一の配線回路
12 第二の配線回路
13 樹脂層
14 シリコン基板
15 スペーサ
15a スペーサ用感光性樹脂組成物層
16 透明基板
17 絶縁膜
18 ハンダ
19 受光素子
20 ビア
21 隙間
22 配線回路
33 マスク
34 露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の上面に形成された第一の配線回路と、
前記シリコン基板の下面に形成された第二の配線回路と、
前記シリコン基板中に、前記第一の配線回路と前記第二の配線回路とを接続するように設けられたビアと、
前記第一の配線回路の上面に設けられた受光素子と、を備え、
前記ビアは、樹脂組成物が充填され、
厚み20μmの熱硬化した前記樹脂組成物の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率Tが、15%以下である、
受光装置。
【請求項2】
厚み20μmの前記樹脂組成物の、260℃で10分間加熱した後の、波長800nm〜2500nmの光に対する最小透過率T'が、15%以下である、請求項1に記載の受光装置。
【請求項3】
前記樹脂組成物が、赤外線吸収剤を含む、請求項1に記載の受光装置。
【請求項4】
前記赤外線吸収剤が、金属ホウ化物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、アゾ化合物、アミニウム化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、アントラキノン化合物、フナトキノン化合物、ジチオール化合物、ポリメチン化合物から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の受光装置。
【請求項5】
前記金属ホウ化物が、六ホウ化ランタンである、請求項4に記載の受光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41922(P2013−41922A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176862(P2011−176862)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】