説明

可動連結式手摺装置

【課題】ガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする可動式手摺装置を提供する。
【解決手段】横桟12,13と縦桟14,15とを有する手摺体11と、手摺体11を手摺体10にスライド可能に連結する連結体20とを備えた可動連結式手摺装置8,9であって、連結体20は、手摺体10に固定される固定側挿通孔21と、手摺体11の横桟12,13にスライド可能に連結される可動側挿通孔22とを備え、可動側挿通孔22を、手摺体11の横桟12,13が嵌合する挿通孔としたことにより、ガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣り合う躯体などの固定部間に設けられる可動連結式手摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、所定間隔を置いて対向する床版と、各床版の側部に立設し、互いに所定間隔を置いて対向している手摺本体と、上記両床版の一方の床版の対向面に取り付け床版の幅方向に溝部を有するカバー取付け部と、この取付け部に一端部を上記溝にそってスライド可能に取り付け他端部を他方の床版上に位置させた自由端としている上記床版間隙を覆うカバーと、このカバーの側部に立上げかつ上記両手摺本体の内側で本体の間隙を覆うエキスパンション手摺とからなるエキスパンション継手の構造があり、エキスパンション手摺として、一方の手摺本体の内端に他方の手摺本体の内端を差し入れ、スライド自在にする構造や、手摺本体の間隙を手摺カバーで覆い、このカバー内を手摺本体の内端部が摺動自在とする構造が開示されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】実開昭62−26410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記エキスパンション手摺を隣り合う躯体などの固定部間に設け、前記スライド構造や手摺カバーを用いることにより、固定部間の間隔変位を吸収することができる。
【0004】
ところで、上記エキスパンション手摺では、長期の使用に伴い、スライド構造のスライド動作に影響が出てくる、という問題点があった。
【0005】
そこで、本発明では、上記の問題点を考慮して、ガタつきを抑えたスムーズなスライド動作が可能な可動連結式手摺装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、横桟と縦桟とを有する手摺体と、前記手摺体を連結対象物にスライド可能に連結する連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、前記連結体は、前記連結対象物に固定される固定側連結部と、前記手摺体の横桟にスライド可能に連結される可動側連結部とを備え、この可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことである。
【0007】
請求項2の発明は、横桟と縦桟とを有する対をなす手摺体と、これら対をなす手摺体を重ね合わせスライド可能に連結する連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、前記連結体は、どちらか一方の手摺体に固定される固定側連結部と、どちらか他方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される可動側連結部とを備え、この可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことである。
【0008】
請求項3の発明は、横桟と縦桟とを有する対をなす手摺体と、これら対をなす手摺体を重ね合わせスライド可能に連結する第1及び第2の連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、前記第1の連結体は、一方の手摺体に固定される第1の固定側連結部と、他方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される第1の可動側連結部とを備えると共に、前記第2の連結体は、前記他方の手摺体に固定される第2の固定側連結部と、前記一方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される第2の可動側連結部とを備え、前記第1及び第2の可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことである。
【0009】
請求項4の発明は、前記手摺体の基端側を固定部に水平回動自在及び垂直変位可能に連結する基端側連結部を備え、この基端側連結部は、前記手摺体又は前記固定部のどちらか一方に備えられた軸部と、前記手摺体又は前記固定部のどちらか他方に備えられた軸受部とを備え、前記軸部を前記軸受部に備えられた貫通部に水平回動自在及び垂直変位可能に備えたことである。
【0010】
請求項5の発明は、前記挿通孔には、前記横桟の外面に接する突起部を設けたことである。
【0011】
請求項6の発明は、前記手摺体は、前記横桟を上下に備え、これら上の横桟同士を前記連結体により連結すると共に、それら下の横桟同士を前記連結体により連結したことである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、連結対象物に変位が発生すると、連結体に対して手摺体がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体を繋ぐ渡り廊下などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、連結体に対して連結対象物を固定し、さらに連結体に対して手摺体をスライド可能に連結したことにより、手摺体のガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。
【0013】
請求項2の発明によれば、本発明の可動連結式手摺装置を備えた躯体間に間隔変位が発生すると、連結体に対して他方の手摺体がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体を繋ぐ渡り廊下などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、連結体に対して一方の手摺体を固定し、さらに連結体に対して他方の手摺体をスライド可能に連結したことにより、手摺体のガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、本発明の可動連結式手摺装置を備えた躯体間に間隔変位が発生すると、連結体に対して手摺体がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体などを繋ぐ渡り廊下などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、各連結体に対して一方の手摺体を固定し、さらに連結体に対して他方の手摺体をスライド可能に連結したことにより、手摺体のガタつきを抑えたさらにスムーズなスライド動作を可能とする。
【0015】
請求項4の発明によれば、固定部間の間隔が変る間隔変位が発生すると、連結体に対して一方の横桟がスライドすることにより、間隔変位が吸収される。また、固定部間に横ずれを生じる水平変位が発生すると、連結体に対して一方の横桟のスライドと、基端側連結部に対しての手摺体の回動とにより、前記水平変位が吸収される。さらに、固定部間に上下のずれを生じる垂直変位が発生すると、基端側連結部に対しての手摺体の垂直方向の移動により、前記垂直変位が吸収される。このように本可動連結式手摺では、隣接躯体を繋ぐ渡り廊下などにおいて、X,Y,Z方向の可動に対して対応することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、挿通孔に対して横桟が突起部で接するため、面接触する場合に比べて、横桟のスライド移動が容易となる。
【0017】
請求項6の発明によれば、上下の横桟同士をそれぞれ連結することにより、安定した連結強度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1乃至図14は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、ビルなどの躯体1,2は所定間隔を置いて隣り合い、これら固定部たる躯体1,2には、出入口3,4が設けられ、これら出入口3,4間に通路たる渡り廊下5が設けられ、図1に示すように、渡り廊下5の床部分は、一方の躯体1から上床版部6を突設し、他方の躯体2から下床版7を突設し、それら床版6,7の先端側を重ね合わせて躯体1,2間の変位を吸収している。ここで、躯体1,2は耐震・免震構造物とすることが好ましい。また、上床版6は回動連結部6Aにより躯体1に回動可能に連結し、その上床版6の先端を前記下床版7の上に載せて重ねることが好ましい。
【0019】
前記渡り廊下5の幅方向両側には、躯体1,2間を連結する可動連結式手摺装置8,9が設けられる。この回動連結式手摺装置8,9は、一方の手摺体10と、この一方の手摺体10と対をなす連結対象物たる、他方の手摺体11とを備え、この例では、これら手摺体10,11は、同一構成であり、外形が方形で断面角形の上,下横桟12,13と、これら上,下横桟12,13の両端部を連結する縦桟14,15とを有する枠体16を備え、この枠体16内に中上,中下横桟17,18を設け、この中上横桟17は、前記上横桟12の下部との間に100mm程度の間隔をおいて、両側を前記縦桟14,15に固定し、その中下横桟18は、前記下横桟13の上部との間に100mm程度の間隔をおいて、両側を前記縦桟14,15に固定している。また、それら中上,中下横桟17,18の間には、所定間隔で、複数の中縦桟19が配置されている。そして、前記手摺体10,11の各部材は、アルミニウムの押出成形品などにより構成される。
【0020】
図1乃至図4に示すように、第1の連結体20は、一方の手摺体10の上横桟12の先端側と、他方の手摺体11の上横桟12との重なり部分を連結可能に構成されたものである。この第1の連結体20は、図4及び図5に示すように一方の手摺体10の上横桟12を挿通可能な固定側連結部たる固定側挿通孔21と、他方の手摺体11の上横桟12を挿通可能な可動側連結部たる可動側挿通孔22を有している。具体的には、第1の連結体20は角パイプ状の外枠23の中央を仕切り板24により仕切り、この仕切り板24の両側に隣り合わせて前記の各挿通孔21,22を設けたものである。
【0021】
ここで、可動側挿通孔22の内周面25には、硬質樹脂などの所定の強度を備え、さらに優れた滑り性を有する材料から形成された環状体26を嵌着して備えている。
【0022】
さらに、この環状体26の内周面には、内側に突出した突起部たる突条部27が所定間隔で形成され、この突条部27は、図5に示すように当接する上横桟12、下横桟13との接触面積を少なくするために、先端を円弧状に形成している。また、突条部27は、手摺体10,11の上横桟12の長手方向(X方向)に連続して形成される。ここで、突条部27の先端形状の変形例としては、断面三角形などの先端が先鋭な断面形状としても構わないものとする。
【0023】
また、この第1の連結体20は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料から形成される。
【0024】
さらに、環状体26の内側に設けた突条部27は、環状体26の内周面の1つの面に対して、所定の間隔を設けて2つずつ設置されている。
【0025】
このように、可動側挿通孔22に挿通された上横桟12は、この環状体26の内周面に設けた突条部27により当接可能に設けられている。
【0026】
また、第1の連結体20と、一方の手摺体10の上横桟12の先端側とは、第1の連結体20における外枠23の固定側挿通孔21側より、ビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第1の固定手段28によって一体に固定されている。
【0027】
図1乃至図4に示すように、第2の連結体29は、他方の手摺体11の上横桟12の先端側と、一方の手摺体10の上横桟12との重なり部分を連結可能に構成されたもので、前記第1の連結体20と同様の構成を有し、前記固定側挿通孔21に他方の手摺体11の上横桟12を挿通し、また前記可動側挿通孔22に一方の手摺体10の上横桟12を挿通し、他方の手摺体11の上横桟12の先端側に、外枠23の固定側挿通孔21側より、第1の固定手段28によって一体に固定されたものである。
【0028】
さらに図1、図3、及び図4に示すように、第3の連結体30は、一方の手摺体10の下横桟13の先端側と、他方の手摺体11の下横桟13との重なり部分を連結可能に構成されたもので、前記第1及び第2の連結体20,29と同様の構成を有し、前記固定側挿通孔21に一方の手摺体10の下横桟13を挿通し、また前記可動側挿通孔22に他方の手摺体11の下横桟13を挿通し、一方の手摺体10の下横桟13の先端側に、外枠23の固定側挿通孔21側より、第1の固定手段28によって一体に固定されたものである。
【0029】
また、図1、図3、及び図4に示すように、第4の連結体31は、他方の手摺体11の下横桟13の先端側と、一方の手摺体10の下横桟13との重なり部分を連結可能に構成されたもので、前記第1から第3の連結体20,29,30と同様の構成を有し、前記固定側挿通孔21に他方の手摺体11の下横桟13を挿通し、また前記可動側挿通孔22に一方の手摺体10の下横桟13を挿通し、他方の手摺体11の下横桟13の先端側に、外枠23の固定側挿通孔21側より、第1の固定手段28によって一体に固定されたものである。
【0030】
また、前記環状体26の変形例として、環状体26の内周面の一面に対して2個ずつ設けた突条部27については、前記内周面の一面に対して、1つずつでも、2以外のその他複数ずつ設けても構わないものとする。
【0031】
続いて、図6乃至図9に基づき、基端側連結部32の構成について説明する。
【0032】
基端側連結部32は、手摺体10,11の基端側上部と躯体1,2とを固定する上部基端側連結部33と、手摺体10,11の基端側下部と躯体1,2とを固定する下部基端側連結部34を備えている。
【0033】
この上部基端側連結部33には、第1の軸部35と、この第1の軸部35を垂直移動可能及び水平回動自在に支持する第1の軸受部36とを備えている。
【0034】
第1の軸部35は、手摺体10,11の上横桟12における上面12a基端側から垂直上向きに突出して、形成されたものである。具体的には、図7に示すように手摺体10,11は、上横桟12の基端側と縦桟14の上部とを、各桟12,14の内側より一体に接続する、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体たる第1の止め板37を備えている。
【0035】
この第1の止め板37において、手摺体10,11における上横桟12の長さ方向(X方向)と略平行に配置された第1の水平辺部38には、上部基端側連結部33の軸部本体たる第1のボルト39の第1の雄ネジ部40が挿通可能に形成された第1の貫通部41を備えており、この第1の貫通部41に対応して、手摺体10,11の上横桟12における上面12a基端側には、前記第1の雄ネジ部40が挿通可能に形成されるとともに、第1の貫通部41と連通可能に形成された第2の貫通部42を備えている。
【0036】
そして、この第1の貫通部41及び第2の貫通部42を連通可能に揃えた状態から、第1の止め板37の第1の貫通部41側から第1のボルト39の第1の雄ネジ部40を挿通させることにより、第1のボルト39により第1及び第2の貫通部41,42を連通させ、この第2の貫通部42を通じて上横桟12の上面12aより突出した状態の第1の雄ネジ部40を、第1のワッシャー43を介して第1のナット44により固定し、第1の軸部35は構成されている。
【0037】
また、この第1の止め板37において、前記第1の水平辺部38と、手摺体の縦桟の長さ方向(Z方向)と略平行に配置された第1の垂直辺部45とには、それぞれ一対の貫通孔からなる、第3の貫通部46及び第4の貫通部47を備えており、これら第3の貫通部46又は第4の貫通部47に対応して、手摺体10,11の上横桟12の上面12a及び縦桟14における基端側の側面14a上部には、第3の貫通部46又は第4の貫通部47とそれぞれ連通可能に形成され、且つそれぞれ一対の貫通孔からなる第5の貫通部48又は第6の貫通部49を備えている。
【0038】
そして、第3の貫通部46及び第5の貫通部48を連通させて、一対のビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第2の固定手段50により、上横桟12側から手摺体10,11の上横桟12と第1の止め板37とを固定するとともに、第4の貫通部47及び第6の貫通部49を連通させて、一対のビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第3の固定手段51により、縦桟14における基端側の側面14aから手摺体10,11の縦桟14と第1の止め板37とを固定することにより、手摺体10,11の基端側上部では上横桟12と縦桟14とが連結され、手摺体10,11における枠体16の基端側上部の角部16aを形成している。
【0039】
次に、第1の軸受部36について図6及び図7に基づいて説明すると、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体たる第2の止め板52において、この第2の止め板52が固定される躯体1,2の垂直な壁面1A,2Aと略平行に配置された第2の垂直辺部53に、上下に並設された一対の貫通孔からなる第7の貫通部54を形成し、この第7の貫通部54に一対のビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第4の固定手段55を挿通させ、第2の止め板52を躯体1,2の壁面1A,2Aに固定して構成している(図6参照)。
【0040】
また、第2の止め板52において、前記壁面1A,2Aに垂直に配置され、且つ手摺体の上横桟12の長さ方向(X方向)と略平行に配置された第2の水平辺部56には、上横桟12の長さ方向(X方向)と略平行に形成された長手方向を有し、且つ該長手方向(X方向)と水平方向で直交する短手方向(Y方向)の寸法を、第1のボルト39の第1の雄ネジ部40が遊貫状態で挿通可能に形成した長穴状の第8の貫通部57を備えている。この第8の貫通部57は、第1のボルト39の第1の雄ネジ部40を上横桟12の長さ方向(X方向)と略平行に案内可能に設けたものである。
【0041】
さらに、第2の水平辺部56において、第8の貫通部57における短手方向(Y方向)の両側には、それぞれ第9の貫通部58及び第10の貫通部59を備えている。
【0042】
また、この第8の貫通部57に挿通された、第1のボルト39における第1の雄ネジ部40の先端には、第1の板材60を接続している。この第1の板材60には、第1のボルト39における第1の雄ネジ部40が遊貫状態で挿通可能に形成された第11の貫通部61と、この第11の貫通部61におけるY方向の両側に設けられ、且つ前記第2の止め板52における第9の貫通部58及び第10の貫通部59にそれぞれ連通可能に形成され、上横桟12の長さ方向(X方向)と略平行、つまり第8の貫通部57の長手方向(X方向)と略平行に形成された長穴状の第12の貫通部62及び第13の貫通部63を備えている。
【0043】
続いて、この上部基端側連結部33における第1の軸部35と第1の軸受部36との接続構造について、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0044】
まずは、手摺体10,11の上横桟12の上面12aより垂直上向きに突出して配置固定された第1のボルト39の第1の雄ネジ部40の先端を、第1の軸受部36における第8の貫通部57、第1の板材60の第11の貫通部61の順に、連通して構成する。
【0045】
次に、第8の貫通部57及び第11の貫通部61に第1の雄ネジ部40の先端を挿通させた状態で、ビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第5の固定手段64及び第6の固定手段65を、第2のワッシャー66及び第3のワッシャー67を介して第12の貫通部62及び第13の貫通部63に挿通した後、第2の止め板52の第9の貫通部58及び第10の貫通部59に固定し、第1の板材60を第2の止め板52に固定する。この場合、第1の板材60を、第2の止め板52に対して長穴状の第12の貫通部62及び第13の貫通部63の長手方向(共にX方向)に沿わせて案内可能なスライド構造によって固定している。
【0046】
さらに、第8の貫通部57に挿通された第1のボルト39の第1の雄ネジ部40は、第8の貫通部57の長手方向(X方向)に沿って、揺動可能に設けられており、さらに揺動動作制限手段たる、第1の板材60によって前記揺動動作が制限可能に設けられている。
【0047】
第1のボルト39の揺動構造について、具体的には第8の貫通部57に挿通された、第1のボルト39の第1の雄ネジ部40は、この第8の貫通部57の長手方向(X方向)に沿わせて揺動可能に構成されており、ここで、図7に示すように第8の貫通部57の長手方向(X方向)の寸法に対して、第12の貫通部62及び第13の貫通部63の長手方向(X方向)の寸法を小さく形成されているため、前記第1のボルト39の前記揺動動作の振れ幅は、第1のボルト39の第1の雄ネジ部40を挿通させた第1の板材60の第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が、それら第12の貫通部62及び第13の貫通部63の長手方向(X方向)において、第2の止め板52に固定された前記第5の固定手段64及び第6の固定手段65に対して移動可能な距離に基づいて制限可能に構成されている。具体的には、第8の貫通部57に挿通させた状態の第1の雄ネジ部40を、第8の貫通部57の内周面に沿わせて、第8の貫通部57の長手方向(X方向)において躯体1,2に向けて揺動させた場合、第1の雄ネジ部40が第8の貫通部57の内周面の長手方向(X方向)側の壁面に当接する以前に、第1の雄ネジ部40とともに揺動する第1の板材60の第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が第5の固定手段64及び第6の固定手段65に当接して、第1の雄ネジ部40の前記揺動動作の制限を行うように構成されている。同様に、前記第1の雄ネジ部40を、第8の貫通部57の長手方向(X方向)において躯体1,2から離れる向きに揺動させた場合、第1の雄ネジ部40が第8の貫通部57の内周面の長手方向(X方向)側の壁面に当接する以前に、第1の雄ネジ部40とともに揺動する第1の板材60において、第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が、第5の固定手段64及び第6の固定手段65に当接すると、第1の雄ネジ部40の前記揺動動作を制限する構成を備えている。
【0048】
以上のように手摺体10,11は、上部基端側連結部33に対して、上横桟12の長さ方向(X方向)に揺動可能で、しかも水平方向(X,Y方向)に回動自在で、さらに垂直方向(Z方向)に変位可能に構成される。
【0049】
次に、図6及び図9を参照しながら下部基端側連結部34について説明する。
【0050】
図6及び図9に示すように下部基端側連結部34は、第2の軸部68と、この第2の軸部68を垂直移動可能及び水平回動自在に支持する第2の軸受部69とを備えている。ここで、第2の軸部68は、手摺体10,11の下横桟13における基端側から垂直下向きに突出して形成されたものである。具体的には、図6及び図9に示すように手摺体10,11は、下横桟13の基端側と縦桟14の下部とを、各桟13,14の内側より一体に接続し、枠体16の基端側下部の角部16bを形成するための、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体たる第3の止め板70を備えている。
【0051】
この第3の止め板70において、手摺体10,11の下横桟13の長さ方向(X方向)と略平行に配置された第3の水平辺部71には、第2の軸部68における軸部本体たる第2のボルト72の第2の雄ネジ部73が挿通可能に形成された第14の貫通部74を備えている。
【0052】
図6及び図9に示すように、この第14の貫通部74に対応して、手摺体10,11の下横桟13における底面13aの基端側には、前記第2の雄ネジ部73が挿通可能に形成されるとともに、第14の貫通部74と連通可能に形成された第15の貫通部75を備えている。
【0053】
そして、第14の貫通部74及び第15の貫通部75を連通可能に揃えた状態から、この第14の貫通部74及び第15の貫通部75に、第3の止め板70の第14の貫通部74側からばね座金76を介して、第2のボルト72の第2の雄ネジ部73を挿通させ、この第15の貫通部75を通じて下横桟13の底面13aより突出した第2の雄ネジ部73を、第4のワッシャー77を介して第2のナット78により固定し、第2の軸部68は構成されている。
【0054】
また、第3の止め板70において、前記第3の水平辺部71と、手摺体10,11の縦桟14の長さ方向(Z方向)と略平行に配置された第3の垂直辺部79とには、それぞれ一対の貫通孔からなる、第16の貫通部80及び第17の貫通部81を備えており、これら第16の貫通部80及び第17の貫通部81に対応して、手摺体10,11の下横桟13の底面13a及び縦桟14における基端側の側面14a下部には、第16及び第17の貫通部80,81とにそれぞれ連通可能に形成され、それぞれ一対の貫通孔からなる第18の貫通部82及び第19の貫通部83を備えている。
【0055】
そして、第16の貫通部80及び第18の貫通部82を連通させて、一対のビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第7の固定手段84により、下横桟13側から手摺体10,11の第2の止め板52を固定するとともに、また第17の貫通部81及び第19の貫通部83を連通させて、一対のビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第8の固定手段85により、縦桟14における基端側側面14aから手摺体10,11の縦桟14と第2の止め板52とを固定することにより、手摺体10,11の基端側下部では下横桟13と縦桟14は連結して構成される。
【0056】
次に、第2の軸受部69について図6及び図9に基づいて説明すると、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体たる第4の止め板86において、この第4の止め板86が固定される躯体1,2の垂直な壁面1A,2Aに略平行に配置された第4の垂直辺部87の第20の貫通部88を介して、ビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第9の固定手段89により、第4の止め板86と躯体1,2の壁面1A,2Aとを固定する(図6参照)。
【0057】
また、第4の止め板86において、前記壁面1A,2Aに垂直に配置され、且つ手摺体10,11の下横桟13の長さ方向(X方向)と略平行に配置された第4の水平辺部90には、第2のボルト72の第2の雄ネジ部73が遊貫状態で挿通可能な第21の貫通部91を備えている。
【0058】
続いて、この下部基端側連結部34におけるこの第2の軸部68と第2の軸受部69との接続構造について、図6を参照しながら説明する。
【0059】
まずは、手摺体10,11の下横桟13の底面より垂直下向きに突出した配置固定された第2のボルト72の第2の雄ネジ部73を、第5のワッシャー92を介して第21の貫通部91に遊貫状態で挿通し、手摺体10,11を第4の止め板86に水平方向(X,Y方向)に回動自在及び垂直方向(Z方向)に変位可能に構成する。
【0060】
また、連結体20,29,30,31の枠体23、挿通孔21,22、および環状体26の断面形状についても、図5に示すような四角形以外に、図26に示すような丸形や、四角形以外の多角形としてもよく、同様に連結体20,29,30,31の挿通孔21,22及び環状体26に挿通される、横桟12,13の断面形状についても、図5に示すような四角形以外に、図26に示すような丸形や、四角形以外の多角形としても構わないものとする。
【0061】
次に、前記構成につきその作用を説明すると、図3に示したように、第1の連結体20は、一方の手摺体10と、連結対象物たる他方の手摺体11との、それぞれの枠体16を重ね合わせた状態から、それぞれの手摺体10,11の先端側で、相互の枠体16における上横桟12の中間位置に配置し、且つ一方の手摺体10に固定された第1の連結体20は、他方の手摺体11にスライド可能に配置されている。
【0062】
また、図3に示すように、第2の連結体29は、他方の手摺体11と、連結対象物たる一方の手摺体10との、それぞれの枠体16を重ね合わせた状態から、それぞれの手摺体10,11の先端側で、相互の枠体16における上横桟12の中間位置に配置し、且つ他方の手摺体11に固定された第2の連結体29は、一方の手摺体10にスライド可能に配置されている。
【0063】
さらに、図3に示すように、第3の連結体30は、一方の手摺体10と、連結対象物たる他方の手摺体11との、それぞれの枠体16を重ね合わせた状態から、それぞれの手摺体10,11の先端側で、相互の枠体16における下横桟13の中間位置に配置し、且つ一方の手摺体10に固定された第3の連結体30は、他方の手摺体11にスライド可能に配置されている。
【0064】
また、図3に示すように、第4の連結体31は、他方の手摺体11と、連結対象物たる一方の手摺体10との、それぞれの枠体16を重ね合わせた状態から、それぞれの手摺体10,11の先端側で、相互の枠体16における下横桟13の中間位置に配置し、且つ他方の手摺体11に固定された第4の連結体31は、一方の手摺体10にスライド可能に配置されている。
【0065】
このように、本実施例の可動連結式手摺装置8,9では、各手摺体10,11は、枠体16を相互に重ね合わせた状態で、第1から第4の連結体20,29,30,31によって、一方の手摺体10(或いは、他方の手摺体11)の各横桟12,13を固定するとともに、他方の手摺体11(或いは、一方の手摺体10)の各横桟12,13をその横桟12,13の長さ方向(X方向)にスライド可能に連結されている。
【0066】
また、本実施例の可動連結式手摺装置8,9では、各手摺体10,11は、基端側連結部32により、躯体1,2に対して、水平方向(X,Y方向)に回動可能、垂直方向(Z方向)に変位可能、及び各横桟12,13の長さ方向(X方向)に揺動可能に配置されている。
【0067】
以下、本実施例の可動連結式手摺装置8,9の躯体1,2の変位に対応した動作について具体的に説明する。
【0068】
図6に示すように手摺体10,11では、躯体1,2の垂直な壁面1A,2Aに配置されたそれぞれの軸受部36,69に対し、手摺体10,11に設けられ垂直方向(Z方向)に対して略平行な軸方向を有した軸部35,68を、遊貫状態に挿通させて保持されており、そのため手摺体10,11は、躯体1,2の壁面1A,2Aに対して水平方向(X,Y方向)に回動可能に配置されている。
【0069】
また、手摺体10,11は、躯体1,2の前記壁面1A,2Aに対して上部基端側連結部33の第2の止め板52における第2の水平辺部56の底面と、下部基端側連結部34の第4の止め板86における第4の水平辺部90の上面との間で、垂直方向(Z方向)に変位可能に構成されている。この手摺体10,11の垂直方向(Z方向)への変位に関して具体的に説明すると、躯体1,2の壁面1A,2Aに対して、手摺体10,11は、第1の軸受部36における第2の止め板52の第2の水平辺部56の底面に第1の軸部35の第1のナット44が当接する上限位置(図13において、左側に表示された上部基端側連結部33を参照)と、第4の止め板86における第4の水平辺部90の上面に手摺体10,11の下部基端側連結部34に配置された第2の軸部68における第2のナット78が当接する下限位置(図13において、右側に表示された下部基端側連結部34を参照)との間で、垂直方向(Z方向)に変位可能に設けられている。
【0070】
そして、図10に示すように地震などにより、隣接する躯体1,2間のX方向の間隔が狭まる間隔変位が生じると、連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22に挿通された一方の手摺体10(第2及び第4の連結体29,31においては、他方の手摺体11)の横桟12,13が、連結体20,29,30,31に対してその横桟12,13の長さ方向(X方向)において、他方の手摺体11(第2及び第4の連結体29,31においては、一方の手摺体10)に向かいスライドして、各手摺体10,11の重なり部分が大きくなり、前記間隔変位が吸収される。
【0071】
また、逆に図11に示すように、隣接する躯体1,2間のX方向の間隔が広がる間隔変位が生じると、連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22に挿通された一方の手摺体10(第2及び第4の連結体29,31においては、他方の手摺体11)の横桟12,13が、連結体20,29,30,31に対してその横桟12,13の長さ方向(X方向)において、他方の手摺体11(第2及び第4の連結体29,31においては、一方の手摺体10)から離れる方向へとスライドして、各手摺体10,11の重なり部分が小さくなり、前記間隔変位が吸収される。
【0072】
さらに、図12に示すように、隣接する躯体1,2間が平面逆方向(Y方向)に移動する水平変位が生じると、手摺体10,11は、軸部35,68を回動軸として、躯体1,2の壁面1A,2Aに対して水平方向(Y方向)に回動し、且つ連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22に挿通された一方の手摺体10(第2及び第4の連結体29,31においては、他方の手摺体11)の横桟12,13が、連結体20,29,30,31に対してその横桟12,13の長さ方向(X方向)において、他方の手摺体11(第2及び第4の連結体29,31においては、一方の手摺体10)から離れる方向、または他方の手摺体11(第2及び第4の連結体29,31においては、一方の手摺体10)に近づく方向にスライドし、手摺体10,11の重なり部分を変化させて、前記水平変位が吸収される。
【0073】
さらに、図13に示すように、地盤の沈下・隆起などにより、隣接する躯体1,2の上下のずれが生じて垂直方向(Z方向)の変位が発生すると、図13において左側に示した相対的に下がった方の躯体1側では、基端側連結部32において、手摺体10がZ方向を第2の止め板52の第2の水平辺部56に向かって上昇(図13では、手摺体10は上限位置まで上昇)して、前記垂直方向(Z方向)の変位を吸収する。
【0074】
その上さらに、図14に示すように、隣接する躯体1,2間に生じた垂直方向(Z方向)の変位がより大きな場合には、図14において左側に示した相対的に下がった方の躯体1における上部基端側連結部33では、手摺体10が上限位置まで上昇して前記垂直方向(Z方向)の変位を吸収するとともに、第1の軸部35の第1の雄ネジ部40が、第1の軸受部36の第8の貫通部57の長手方向(X方向)に対して、躯体1側に向かって傾斜するように揺動し、反対に図14において右側に示した相対的に上がった方の躯体2における上部基端側連結部33では、第1の軸部35の第1の雄ネジ部40が、第1の軸受部36の第8の貫通部57の長手方向(X方向)に対して、躯体2側から離れる方向に傾斜するように揺動することにより、各手摺体10,11を、隣接する躯体1,2に生じた垂直方向(Z方向)の変位量に伴い、相対的に上がった方の躯体1,2から相対的に下がった方の躯体1,2へと傾斜させ、垂直方向(Z方向)の変位を吸収し、垂直方向(Z方向)のより大きな変位を吸収している。
【0075】
ここで、第1の雄ネジ部40の第8の貫通部57の長手方向(X方向)に沿わせた前記揺動動作は、図14に示すように第8の貫通部57の長手方向(X方向)の距離に対し、第12の貫通部62及び第13の貫通部63の長手方向(X方向)の距離を小さく形成されているため、前記第1のボルト39の前記揺動動作の振れ幅は、第1のボルト39の第1の雄ネジ部40を挿通させた第1の板材60の第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が、それら第12の貫通部62及び第13の貫通部63の長手方向(X方向)において、第2の止め板52に固定された前記第5の固定手段64及び第6の固定手段65に対して移動可能な距離に基づいて制限されるので、第1の雄ネジ部40の先端に挿通させた第1の板材60により制限されている。具体的には、図14に示すように相対的に下がった方の躯体1において、第8の貫通部57に挿通させた状態の第1の雄ネジ部40を、第8の貫通部57な内周面に沿わせて、第8の貫通部57の長手方向(X方向)で躯体1,2に向けて揺動させた場合、第1の雄ネジ部40が第8の貫通部57の内周面の長手方向(X方向)側の壁面に当接する以前に、第1の雄ネジ部40とともに揺動する第1の板材60の第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が,第5の固定手段64及び第6の固定手段65に当接して、第1の雄ネジ部40の前記揺動動作の制限を行うように構成されている。同様に、前記第1の雄ネジ部40を、第8の貫通部57の長手方向(X方向)で躯体2から離れる向きに揺動させた場合、第1の雄ネジ部40が第8の貫通部57の内周面の長手方向(X方向)側の壁面に当接する以前に、第1の雄ネジ部40とともに揺動する第1の板材60において、第12の貫通部62及び第13の貫通部63の内周面が、第5の固定手段64及び第6の固定手段65に当接すると、第1の雄ネジ部40の前記揺動動作を制限している。この場合、第1の雄ネジ部40のX方向の揺動動作に伴い手摺体10,11の枠体16が躯体1,2の壁面1A,2Aに接触し、手摺体10,11や躯体1,2の壁面1A,2Aが破損することを防止する。
【0076】
また、図4に示すように、連結体20,29,30,31は、固定側挿通孔21に一方の手摺体10(第2の連結体29及び第4の連結体31においては、他方の手摺体11)の横桟12,13を挿通して、その横桟12,13と連結体20,29,30,31とを固定し、さらに可動側挿通孔22に他方の手摺体11(第2の連結体29及び第4の連結体31においては、一方の手摺体10)の横桟12,13を、その横桟12,13の長さ方向(X方向)にスライド可能に設けたことにより、連結体20,29,30,31は、必ず一対に配置された手摺体10,11のどちらか一方に固定されているため、連結体20,29,30,31に対して、他方の手摺体11(第2の連結体29及び第4の連結体31においては、一方の手摺体10)の横桟12,13をスライドさせる場合に、連結体20,29,30,31が一方の手摺体10(第2の連結体29及び第4の連結体31においては、他方の手摺体11)に固定されているので、ガタつきのないスムーズなスライド動作が可能となる。
【0077】
図5に示すように、可動側挿通孔22に環状体26を備え、この環状体26の内周面に横桟12,13の長さ方向(X方向)と平行に連続して形成された突条部27を備えたことにより、手摺体10,11の横桟12,13と連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22との接触面積が低減し、長期使用に伴う、連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22と手摺体10,11の横桟12,13との付着を防止し、長期間においてガタつきのないスムーズなスライド動作を可能とする。
【0078】
さらに、突条部27の断面形状を、円弧状に形成したことにより、手摺体10,11の横桟12,13と、連結体20,29,30,31の可動側挿通孔22との接触面積をさらに低減させ、よりガタつきのないスムーズなスライド動作を可能とする。
【0079】
また、図3及び図4に示すように、一対の手摺体10,11の各横桟12,13に対して、その長さ方向(X方向)に複数の連結体20,29,30,31を並設し、連結体20,29,30,31に対して手摺体10,11を横桟12,13の長さ方向(X方向)へとスライド可能に連結している。この場合、各手摺体10,11を、連結体20,29,30,31に対して各横桟12,13の長さ方向(X方向)にスライドさせた場合に、この複数の連結体20,29,30,31を横桟12,13の長さ方向(X方向)に並設(図3及び図4では、各横桟12,13にそれぞれ2つずつ並設)したことにより、長さ方向以外の手摺体10,11の動きを規制し、連結体20,29,30,31に対する手摺体10,11の横桟12,13の長さ方向(X方向)へのガタつきのないスムーズなスライド動作を可能とする。
【0080】
さらに、図3及び図4に示すように、各手摺体10,11を横桟12,13の長さ方向(X方向)に複数の連結体20,29,30,31を並設させて連結する場合に、横桟12,13の長さ方向(X方向)へと並設した各連結体20,29,30,31に対して、連結体20,29,30,31のうちどちらか一方の連結体20,30を一方の手摺体10の横桟12,13に固定させ、他方の連結体29,31を他方の手摺体11の横桟12,13に固定し、各手摺体10,11の横桟12,13に対して、並設させた複数の連結体20,29,30,31を交互に固定して配置することにより、手摺体10,11の横桟12,13と連結体20,29,30,31とを第1の固定手段28により、締め付け固定するときに生じる、横桟12,13の反り等による変形が、各手摺体10,11の横桟12,13のどちらか一方へと集中することを防いで、手摺体10,11と連結体20,29,30,31とを固定したことにより生じる前記変形が手摺体10,11のX方向へのスライド動作に及ぼす影響を抑え、連結体20,29,30,31に対する手摺体10,11のガタつきのないスムーズなスライド動作を可能とする。
【0081】
その上さらに、図3及び図4に示すように、この連結体20,29,30,31は、手摺体10,11の枠体16の角部16aにあたる、横桟12,13の先端側という、横桟12,13に反り等の変形が生じにくい位置で、第1の固定手段28により固定されているため、連結体20,29,30,31と手摺体10,11とを固定したことにより、手摺体10,11に生じる前記変形が手摺体10,11のスライド動作に及ぼす影響を抑制し、連結体20,29,30,31に対する手摺体10,11のさらにガタつきのないスムーズなスライド動作を可能とする。
【0082】
図3及び図4に示すように、各手摺体10,11の上横桟12と下横桟13とをそれぞれ連結体20,29,30,31で連結し、各手摺体10,11の各横桟12,13の長さ方向(X方向)に複数の連結体20,29,30,31を並設させて、この複数の連結体20,29,30,31により各横桟12,13同士を連結することにより、手摺体10,11のスライド方向(X方向)以外のあらゆる方向のガタつきを防ぎ、連結体20,29,30,31に対する手摺体10,11のスムーズなスライド動作を可能とする。
【0083】
また、本実施例の手摺体10,11と躯体1,2とを連結する基端側連結部32の構造を、手摺体10,11に設けた第1の軸部35及び第2の軸部68における第1のボルト39及び第2のボルト72を、躯体1,2側に配置した第1の軸受部36及び第2の軸受部69における第8の貫通部57及び第21の貫通部91に、それぞれ遊貫状態で挿通した、という簡素な構造としたことにより、軸部35,68と軸受部36,69との隙間に異物が侵入した場合においても、容易に異物を除去することが可能である。具体的には、上部基端側連結部33では、第2の止め板52に形成された第8の貫通部57は、手摺体10,11の横桟12,13の長さ方向(X方向)と平行に長手方向を備えた長穴であり、その長手方向(X方向)に対して水平方向において直交する短手方向(Y方向)の寸法についても、第1の軸部35に設けた第1のボルト39の第1の雄ネジ部40の外径より大きく形成されたものである。また、下部基端側連結部34では、第4の止め板86に形成された第21の貫通部91は、第2の軸部68に設けた第2のボルト72の第2の雄ネジ部73の外径より大きく形成されたものである。上記の上部基端側連結部33及び下部基端側連結部34の構成により、各貫通部57,91にそれぞれ雄ネジ部40,73は遊貫状態で挿通されているので、この雄ネジ部40,73と貫通部57,91との隙間に異物が侵入した場合に、前記隙間から容易に異物を除去することが可能であり、このように軸部35,68と軸受部36,69の構造を簡素な構造とすることにより、基端側連結部32のメンテナンス性を向上させる。また上記構造としたことにより、軸部35,68と軸受部36,69との接触部分とを抑えた構造とし、長期の使用に伴う軸部35,68と軸受部36,69との付着を防止し、長期間においてスムーズな動作を可能とする。
【0084】
このように本実施例は、請求項1に対応して、横桟12,13と縦桟14,15とを有する手摺体11と、前記手摺体11を連結対象物たる手摺体10にスライド可能に連結する連結体20とを備えた可動連結式手摺装置8,9であって、前記連結体20は、前記手摺体10に固定される固定側連結部たる固定側挿通孔21と、前記手摺体11の横桟12,13にスライド可能に連結される可動側連結部たる可動側挿通孔22とを備え、前記可動側挿通孔22を、前記手摺体11の横桟12,13が嵌合する挿通孔としたことにより、手摺体10に変位が発生すると、連結体20に対して手摺体11がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体1,2を繋ぐ渡り廊下5などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、連結体20に対して手摺体10を固定し、さらに連結体20に対して手摺体11をスライド可能に連結したことにより、手摺体10,11のガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。
【0085】
このように本実施例は、請求項2に対応して、横桟12,13と縦桟14,15とを有する対をなす手摺体10,11と、これら対をなす手摺体10,11を重ね合わせスライド可能に連結する連結体20とを備えた可動連結式手摺装置8,9であって、前記連結体20は、どちらか一方の手摺体10に固定される固定側連結部たる固定側挿通孔21と、どちらか他方の手摺体11の横桟12,13にスライド可能に連結される可動側連結部たる可動側挿通孔22とを備え、前記可動側挿通孔22を、前記手摺体11の横桟12,13が嵌合する挿通孔としたことにより、本発明の可動連結式手摺装置8,9を備えた躯体1,2間に間隔変位が発生すると、連結体20に対して他方の手摺体11がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体1,2を繋ぐ渡り廊下5などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、連結体20に対して一方の手摺体10を固定し、さらに連結体20に対して他方の手摺体11をスライド可能に連結したことにより、手摺体10,11のガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。
【0086】
このように本実施例は、請求項3に対応して、横桟12,13と縦桟14,15とを有する対をなす手摺体10,11と、これら対をなす手摺体10,11を重ね合わせスライド可能に連結する第1及び第2の連結体20,29とを備えた可動連結式手摺装置8,9であって、前記第1の連結体20は、一方の手摺体10に固定される第1の固定側連結部たる固体側挿通孔21と、他方の手摺体11の横桟12,13にスライド可能に連結される第1の可動側連結部たる可動側挿通孔22とを備えると共に、前記第2の連結体29は、前記他方の手摺体11に固定される第2の固定側連結部たる固定側挿通孔21と、前記一方の手摺体10の横桟12,13にスライド可能に連結される第2の可動側連結部たる可動側挿通孔22とを備え、前記可動側挿通孔22を、前記手摺体10,11の横桟12,13が嵌合する挿通孔としたことにより、本発明の可動連結式手摺装置8,9を備えた躯体1,2間に間隔変位が発生すると、連結体20,29に対して手摺体10,11がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体1,2などを繋ぐ渡り廊下5などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、各連結体20,29に対して一方の手摺体10,11を固定し、さらに連結体20,29に対して他方の手摺体10,11をスライド可能に連結したことにより、手摺体10,11のガタつきを抑えたさらにスムーズなスライド動作を可能とする。
【0087】
このように本実施例は、請求項4に対応して、前記手摺体10,11の基端側を固定部たる躯体1,2に水平回動自在及び垂直変位可能に連結する基端側連結部32を備え、この基端側連結部32は、前記手摺体10,11又は前記躯体1,2のどちらか一方に備えられた軸部35,68と、前記手摺体10,11又は前記躯体1,2のどちらか他方に備えられた軸受部36,69とを備え、前記軸部35,68を前記軸受部36,69に備えられた貫通部たる第8の貫通部57及び第21の貫通部91に水平回動自在及び垂直変位可能に備えたことにより、躯体1,2間の間隔が変る間隔変位が発生すると、連結体20に対して一方の横桟12,13がスライドすることにより、間隔変位が吸収される。また、躯体1,2間に横ずれを生じる水平変位が発生すると、連結体20に対して一方の横桟12,13のスライドと、基端側連結部32に対しての手摺体10,11の回動とにより、前記水平変位が吸収される。さらに、躯体1,2間に上下のずれを生じる垂直変位が発生すると、基端側連結部32に対しての手摺体10,11の垂直方向の移動により、前記垂直変位が吸収される。このように本可動連結式手摺装置8,9では、隣接躯体1,2を繋ぐ渡り廊下5などにおいて、X,Y,Z方向の可動に対して対応することができる。
【0088】
このように本実施例は、請求項5に対応して、前記挿通孔22に備えられた環状体26の内周面には、前記横桟12,13の外面に接する突起部たる突条部27を設けたことにより、挿通孔22に対して横桟12,13が突条部27で接するため、面接触する場合に比べて、横桟12,13のスライド移動が容易となる。
【0089】
このように本実施例は、請求項6に対応して、前記手摺体10,11は、前記横桟12,13を上下に備え、これら上の横桟12,12同士を前記連結体20により連結すると共に、それら下の横桟13,13同士を前記連結体30により連結している。この場合、上下の横桟12,13同士をそれぞれ連結することにより、安定した連結強度が得られる。
【0090】
続いて、本発明の基端側連結部32の変形例を図15乃至図18に示す。以下、本実施例と共通する符号については、省略し、その説明についても省略する。
【0091】
図15に示すような第1の変形例では、上部基端側連結部33の第1の軸部35は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体からなる第5の止め板101と、この第5の止め板101に固定され第1の軸部35本体となる第3のボルト102とを備えている。
【0092】
この第5の止め板101に備えられた第5の垂直辺部103と第5の水平辺部104には、それぞれ第22の貫通部105及び第23の貫通部106を備え、第3のボルト102は第5の止め板101の第5の水平辺部104に備えられた第23の貫通部106に対し、第5の水平辺部104の上面側から挿通し、第3のボルト102の第3の雄ネジ部107を第5の水平辺部104の底面側から垂直下向きに突出させ、第5の水平辺部104の底面側からナット等の雌ネジ部材からなる第10の固定手段108を第3の雄ネジ部107に装着し、第5の止め板101に固定されたものである。
【0093】
そして、第5の止め板101の第5の垂直辺部103を、手摺体10,11の枠体16における縦桟14の躯体側の側面14a上部に配置して、第22の貫通部105を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第11の固定手段109により固定している。
【0094】
次に、上部基端側連結部33の第1の軸受部36は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体からなる第6の止め板110を備え、この第6の止め板110に備えられた第6の垂直辺部111と第6の水平辺部112には、それぞれ第24の貫通部113及び第25の貫通部114を備えている。第6の水平辺部112に設けた第25の貫通部114は、前記第3の雄ネジ部107が遊貫状態で挿通可能な大きさに形成されたものである。
【0095】
この第1の軸受部36は、第6の止め板110を、第24の貫通部113を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第12の固定手段115により躯体1,2の壁面1A,2Aに固定されている。
【0096】
続いて、上部基端側連結部33における第1の軸部35と第1の軸受部36との接続構造について述べると、第1の軸受部36に備えられた第25の貫通部114に、第1の軸部35に備えられた第3のボルト102の第3の雄ネジ部107を遊貫状態で挿通させ、第1の軸受部36に対して第1の軸部35を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0097】
一方、下部基端側固定部34の構成は、図6に示すものと同様の構成であり、この変形例において下部基端側固定部34における第2の軸部68と第2の軸受部69との接続構造について述べると、第2の軸受部69に備えられた第21の貫通部91に、第2の軸部68に備えられた第2のボルト72の第2の雄ネジ部73を遊貫状態で挿通した後で、第2のボルト72の第2の雄ネジ部73の先端には、この第2の雄ネジ部73の垂直方向(Z方向)上向きの移動に対する抜け止めとして、それぞれナット等の雌ネジ部材からなる第13の固定手段116及び第14の固定手段117を連続して装着している。この場合図15に示すように、第13の固定手段116及び第14の固定手段117の回り止めとしてワイヤーロック等の第1の連結手段118により、第13の固定手段116及び第14の固定手段117が連結されていることが好ましい。このようにして、第2の軸受部69に対して第2の軸部68を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0098】
また図16に示すような第2の変形例では、上部基端側連結部33の第1の軸部35は、図15に示すものと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0099】
一方、下部基端側連結部34の第2の軸部68は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体からなる第7の止め板121と、この第7の止め板121に固定され第2の軸部本体となる第4のボルト122とを備えている。
【0100】
この第7の止め板121に備えられた第7の垂直辺部123と第7の水平辺部124には、それぞれ第26の貫通部125及び第27の貫通部126を備えている。第4のボルト122は、第7の止め板121の第7の水平辺部124に備えられた第27の貫通部126に対し、第7の水平辺部124の上面側から挿通し、第4のボルト122の第4の雄ネジ部127を第7の水平辺部124の底面側から垂直下向きに突出させ、第7の水平辺部124の底面側からナット等の雌ネジ部材からなる第15の固定手段128を第4の雄ネジ部127に装着し、第7の止め板121に固定されたものである。
【0101】
そして、第7の止め板121の第7の垂直辺部123を、第26の貫通部125を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第16の固定手段129により躯体1,2の壁面1A,2Aに固定されている。
【0102】
次に、下部基端側連結部34の第2の軸受部69は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体からなる第8の止め板130を備え、この第8の止め板130に備えられた第8の垂直辺部131と第8の水平辺部132には、それぞれ第28の貫通部133及び第29の貫通部134を備えている。第8の水平辺部132に設けた第29の貫通部134は、前記第4の雄ネジ部127が遊貫状態で挿通可能な大きさに形成されたものである。
【0103】
この第2の軸受部69は、第8の止め板130を、手摺体10,11の枠体16における縦桟14の躯体側の側面14a上部に配置して、第28の貫通部133を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第17の固定手段135により固定されている。
【0104】
続いて、下部基端側連結部34における第2の軸部68と第2の軸受部69との接続構造について述べると、第2の軸受部69に備えられた第29の貫通部134に、第2の軸部68に備えられた第4のボルト122の第4の雄ネジ部127を遊貫状態で挿通させ、第2の軸受部69に対して第2の軸部68を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0105】
また図17に示すような第3の変形例では、上部基端側連結部33の第1の軸部35は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体からなる第9の止め板141と、この第9の止め板141に固定され第1の軸部35本体となる第5のボルト142とを備えている。
【0106】
この第9の止め板141に備えられた第9の垂直辺部143と第9の水平辺部144には、それぞれ第30の貫通部145及び第31の貫通部146を備えている。第5のボルト142は、第9の止め板141の第9の水平辺部144に備えられた第31の貫通部146に対し、第9の水平辺部144の底面側から挿通し、第5のボルト142の第5の雄ネジ部147を第9の水平辺部144の上面側から垂直上向きに突出させ、第9の水平辺部144の上面側からナット等の雌ネジ部材からなる第18の固定手段148を第5の雄ネジ部147に装着し、第9の止め板141に固定されたものである。
【0107】
そして、第9の止め板141の第9の垂直辺部143を、第30の貫通部145を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第19の固定手段149により躯体1,2の壁面1A,2Aに固定している。
【0108】
次に、上部基端側連結部33の第1の軸受部36は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、L型に形成された板体からなる第10の止め板150を備え、この第10の止め板150に備えられた第10の垂直辺部151と第10の水平辺部152には、それぞれ第32の貫通部153及び第33の貫通部154を備えている。第10の水平辺部152に設けた第33の貫通部154は、前記第5の雄ネジ部147が遊貫状態で挿通可能な大きさに形成されたものである。
【0109】
この第1の軸受部36は、第10の止め板150を、手摺体10,11の枠体16における縦桟14の躯体側の側面14a上部に配置して、第32の貫通部153を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第20の固定手段155により固定して構成される。
【0110】
続いて、上部基端側連結部33における第1の軸部35と第1の軸受部36との接続構造について述べると、第1の軸受部36に備えられた第33の貫通部154に、第1の軸部35に備えられた第5のボルト142の第5の雄ネジ部147を遊貫状態で挿通させ、第1の軸受部36に対して第1の軸部35を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0111】
一方、下部基端側連結部34の構成は、図16に示すものと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0112】
また図18に示すような第4変形例では、第3変形例と同様の上部基端側固定部33の構成において、第1の軸受部36に備えられた第33の貫通部154に、第1の軸部35に備えられた第5のボルト142の第5の雄ネジ部147を遊貫状態で挿通した後で、第5のボルト142の第5の雄ネジ部147の先端には、この第5の雄ネジ部147の垂直方向(Z方向)下向きの移動に対する抜け止めとして、それぞれナット等の雌ネジ部材からなる第21の固定手段161及び第22の固定手段162を連続して装着している。この場合図18に示すように、第21の固定手段161及び第22の固定手段162の回り止めとしてワイヤーロック等の第2の連結手段163により、第21の固定手段161及び第22の固定手段162が連結されていることが好ましい。このようにして、第1の軸受部36に対して第1の軸部35を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0113】
一方、下部基端側固定部34の第2の軸部68は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体からなる第11の止め板164と、この第11の止め板164に固定され第2の軸部68本体となる第6のボルト165とを備えている。
【0114】
この第11の止め板164に備えられた第11の垂直辺部166と第11の水平辺部167には、それぞれ第34の貫通部168及び第35の貫通部169を備え、第6のボルト165は第11の止め板164の第11の水平辺部167に備えられた第35の貫通部169に対し、第11の水平辺部167の上面側から挿通し、第6のボルト165の第6の雄ネジ部170を第11の水平辺部167の底面側から垂直下向きに突出させ、第11の水平辺部167の底面側からナット等の雌ネジ部材からなる第23の固定手段171を第6の雄ネジ部170に装着し、第11の止め板164に固定されたものである。
【0115】
そして、第11の止め板164の第11の垂直辺部166を、手摺体10,11の外枠23における縦桟14の躯体1,2側の側面14a下部に配置して、第34の貫通部168を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第24の固定手段172により固定している。
【0116】
次に、下部基端側固定部34の第2の軸受部69は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料からなり、逆L型に形成された板体からなる第12の止め板173を備え、この第12の止め板173に備えられた第12の垂直辺部174と第12の水平辺部175には、それぞれ第36の貫通部176及び第37の貫通部177を備えている。第12の水平辺部175に設けた第37の貫通部177は、前記第6の雄ネジ部170が遊貫状態で挿通可能な大きさに形成されたものである。
【0117】
この第2の軸受部69は、第12の止め板173を、第36の貫通部176を介してビス・ボルト等の雄ネジ部材からなる第25の固定手段178により躯体1,2の壁面1A,2Aに固定されている。
【0118】
続いて、下部基端側固定部34における第2の軸部68と第2の軸受部69との接続構造について述べると、第2の軸受部69に備えられた第37の貫通部177に、第2の軸部68に備えられた第6のボルト165の第6の雄ネジ部170を遊貫状態で挿通させ、第2の軸受部69に対して第2の軸部68を、垂直方向(Z方向)に変位可能、且つ水平方向(X,Y方向)に回動可能に設けている。
【0119】
図15乃至図18に示すような基端側連結部32において、各軸部35,68又は各軸受部36,69が、それぞれ手摺体10,11に外付け可能な構造としたことにより、既存の手摺体を利用して本実施例の可動連結式手摺装置を設置することを可能とし、設置にかかるコストを下げることができる。
【0120】
図19乃至図25は、本発明の第2の実施例を示し、上記第1の実施例と同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では、前記渡り廊下5の幅方向(Y方向)両側には、躯体1、2間を連結する可動連結式手摺装置201,202が設けられ、一方の可動連結式手摺装置201は、一方の手摺体203と、固定対象物たる一方の躯体1における渡り廊下5の進行方向(X方向)と略平行な壁面1Aとを連結する第5の連結体204及び第6の連結体205を備え、また他方の可動連結式手摺装置202は、他方の手摺体206と、固定対象物たる他方の躯体2において一方の躯体1に面した壁面2Aとを連結する第7の連結体207及び第8の連結体208を備えている。
【0121】
ここで、各手摺体203,206の構成について説明すると、この例では、手摺体203,206は、外形が方形で断面角形の上,下横桟209,210と、これら上,下横桟209,210の端部を連結する縦桟211とを有する枠体212を備え、上,下横桟209,210の間には、所定間隔で、複数の中縦桟213が配置されている。そして、前記手摺体203,206の各部材は、アルミニウムの押出成形品などにより構成される。
【0122】
図19乃至図21に示すように、第5及び第6の連結体204,205は、一方の手摺体203の上,下横桟209,210と、躯体1の壁面1Aとを連結可能に構成されたものであり、また第7及び第8の連結体207,208は、他方の手摺体206の上,下横桟209,210と、躯体2の壁面2Aとを連結可能に構成されたものである。
【0123】
この第5乃至第8の連結体204,205,207,208は、図21に示すように躯体1,2の壁面1A,2Aに固定可能な固定側連結部214と、手摺体203,206の横桟209,210をスライド可能に連結する可動側連結部たる可動側挿通孔215とを備えている。具体的には、第5乃至第8の連結体204,205,207,208は、角パイプ状の外枠216の中央を仕切り板217により区切り、この仕切り板217の両側に隣り合わせて固定側連結部214と可動側挿通孔215とを備えている。ここで、固定側連結部214は、外枠216において躯体1,2の壁面1A,2Aと平行に配置された側面216Aを、Z方向に延設したものであり、この側面216Aには、第40の貫通部218を備えている。
【0124】
そして、可動側挿通孔215の内周面には、内側に突出した突条部219が所定間隔で形成され、この突条部219は図21に示すように当接する上横桟209、下横桟210との接触面積を少なくするために、先端を円弧状に形成している。また、突条部219は、横桟209,210の長手方向に連続して形成される。ここで、突条部219の先端形状の変形例としては、断面三角形などの先端が先鋭な断面形状としても構わないものとする。
【0125】
また、可動側挿通孔215には、この可動側挿通孔215に中縦桟213を通すために、中縦桟213に向けて中縦桟213の幅方向の寸法より大きく形成された開口部220を備えており、この開口部220は、横桟209,210の長さ方向に連続して形成される。
【0126】
また、この第5乃至第8の連結体204,205,207,208は、アルミニウムの押出成形品、鋼製、ステンレス製や硬質樹脂製などの所定の強度を備えた材料から形成される。
【0127】
さらに、可動側挿通孔215の内周面に設けた突条部219は、可動側挿通孔215の内周面の1つの面に対して、所定の間隔を設けて2つずつ設置されている。
【0128】
このように、可動側挿通孔215に挿通された横桟209,210は、突条部219により当接可能に設けられている。
【0129】
また、第5乃至第8の連結体204,205,207,208と、躯体1,2の壁面1A,2Aとは、各連結体204,205,207,208における外枠216の側面216Aより、ビス・ボルト等からなる第27の固定手段221、第28の固定手段222、第29の固定手段223、および第30の固定手段224によって一体に固定されている。
【0130】
図22に示すように、L型に配置された手摺体203,206は、手摺体203,206の先端同士を丁番等からなる第9の連結体225によって水平方向に回動可能に連結される。
【0131】
また、連結体204,205,207,208の枠体212、挿通孔215の断面形状についても、図21に示すような四角形以外に、図27に示すような丸形や、四角形以外の多角形としてもよく、同様に連結体204,205,207,208の挿通孔215に挿通される、横桟209,210の断面形状についても、図21に示すような四角形以外に、図27に示すような丸形や、四角形以外の多角形としても構わないものとする。
【0132】
次に、前記構成につきその作用を説明すると、図23に示すように隣接する躯体1,2間のX方向の間隔が狭まる間隔変位が生じると、第5の連結体204により一方の躯体1の壁面1Aに沿わせてスライド可能に固定された手摺体203が、第5の連結体204に対してX方向にスライドして、手摺体203の横桟209,210と一方の躯体1の壁面1Aとの重なり部分が大きくなり、前記間隔変位が吸収される。
【0133】
また、逆に図24に示すように、隣接する躯体1,2間のX方向の間隔が広がる間隔変位が生じると、第5の連結体204により一方の躯体1の壁面1Aに沿わせてスライド可能に固定された手摺体203が、第5の連結体204に対してX方向にスライドして、手摺体203の横桟209,210と一方の躯体1の壁面1Aとの重なり部分が小さくなり、前記間隔変位が吸収される。
【0134】
さらに、図25に示すように、隣接する躯体1,2間が平面逆方向(Y方向)に移動する水平変位が生じると、一方の躯体1に備えられた手摺体203は、第5の連結体204に対してX方向にスライドして、躯体1の壁面1Aとの重なり部分を変化させ、且つ他方の躯体2に備えられた手摺体205は、第7の連結体207に対してY方向にスライドして、躯体2の壁面2Aとの重なり部分を変化させて前記間隔変位を吸収する。
【0135】
このように本実施例では、請求項1に対応して、横桟209,210と縦桟211とを有する手摺体203,206と、前記手摺体203,206を連結対象物たる躯体1,2にスライド可能に連結する連結体204,205,207,208とを備えた可動連結式手摺装置201,202であって、前記連結体204,205,207,208は、前記躯体1,2に固定される固定側連結部214と、前記手摺体203,206の横桟209,210にスライド可能に連結される可動側連結部たる可動側挿通孔215とを備え、この可動側挿通孔215を、前記手摺体203,206の横桟209,210が嵌合する挿通孔としたことにより、躯体1,2に変位が発生すると、連結体204,205,207,208に対して手摺体203,206がスライドすることにより、前記変位を吸収し、隣接躯体1,2を繋ぐ渡り廊下5などにおいて水平方向の可動に対応することができる。また、連結体20に対して躯体1,2を固定し、さらに連結体204,205,207,208に対して手摺体203,206をスライド可能に連結したことにより、手摺体203,206と躯体1,2のガタつきを抑えたスムーズなスライド動作を可能とする。
【0136】
このように本実施例では、請求項5に対応して、前記挿通孔213には、前記横桟209,210の外面に接する突起部たる突条部219を設けたことにより、挿通孔215に対して横桟209,210が突条部219で接するため、面接触する場合に比べて、横桟209,210のスライド移動が容易となる。
【0137】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上横桟を円筒状にし、下横桟を角形にしてもよい。また上記各実施例に記載した突条部についても、図28及び図29に示すように、環状体26の内周面の各面に1つずつ配置したものや、可動側挿通孔22の内周面に直接配置したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の実施例1を示す側面図である。
【図2】同上、平面図である。
【図3】同上、斜視図である。
【図4】同上、連結体を示す斜視図である。
【図5】同上、連結体の断面図である。
【図6】同上、基端側連結部を示す側面図である。
【図7】同上、上部基端側連結部における第1の軸部を示す斜視図である。
【図8】同上、上部基端側連結部の分解斜視図である。
【図9】同上、下部基端側連結部の分解斜視図である。
【図10】同上、躯体間が狭まった場合を示し、図10(A)は要部の平面図、図10(B)は側面図である。
【図11】同上、躯体間が広がった場合を示し、図11(A)は要部の平面図、図11(B)は側面図である。
【図12】同上、躯体間が水平変位した場合を示し、図12(A)は要部の平面図、図12(B)は側面図である。
【図13】同上、躯体間が垂直変位した場合を示した要部の側面図である。
【図14】同上、躯体間がさらに垂直変位した場合を示した要部の側面図である。
【図15】同上、基端側連結部の変形例を示す側面図である。
【図16】同上、基端側連結部のその他の変形例を示す側面図である。
【図17】同上、基端側連結部のその他の変形例を示す側面図である。
【図18】同上、基端側連結部のその他の変形例を示す側面図である。
【図19】本発明の実施例2を示す平面図である。
【図20】同上、要部の断面図である。
【図21】同上、連結体の断面図である。
【図22】同上、手摺体同士の連結部分における要部の平面図である。
【図23】同上、躯体間が狭まった場合を示した要部の平面図である。
【図24】同上、躯体間が広がった場合を示した要部の平面図である。
【図25】同上、躯体間が水平変位した場合を示した要部の平面図である。
【図26】本発明における連結体の変形例を示す断面図である。
【図27】本発明における連結体の他の変形例を示す断面図である。
【図28】本発明における突条部の変形例を示す断面図である。
【図29】本発明における突条部の他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0139】
1,2 躯体(固定部・連結対象物)
8,9,201,202 可動連結式手摺装置
10 手摺体(連結対象物)
11 手摺体
12,13 横桟
14,15 縦桟
20 第1の連結体(連結体)
21 固定側挿通孔(固定側連結部)
22 可動側挿通孔(可動側連結部)
26 環状体
27 突条部(突起部)
29 第2の連結体(連結体)
30 第3の連結体(連結体)
31 第4の連結体(連結体)
32 基端側連結部
35 第1の軸部(軸部)
36 第1の軸受部(軸受部)
68 第2の軸部(軸部)
69 第2の軸部(軸受部)
57 第8の貫通部(貫通部)
91 第21の貫通部(貫通部)
203,206 手摺体
204 第5の連結体(連結体)
205 第6の連結体(連結体)
207 第7の連結体(連結体)
208 第8の連結体(連結体)
209,210 横桟
211 縦桟
214 固定側連結部
215 可動側挿通孔(可動側連結部)
219 突条部(突起部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横桟と縦桟とを有する手摺体と、前記手摺体を連結対象物にスライド可能に連結する連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、
前記連結体は、前記連結対象物に固定される固定側連結部と、前記手摺体の横桟にスライド可能に連結される可動側連結部とを備え、
この可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことを特徴とする可動連結式手摺装置。
【請求項2】
横桟と縦桟とを有する対をなす手摺体と、これら対をなす手摺体を重ね合わせスライド可能に連結する連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、
前記連結体は、どちらか一方の手摺体に固定される固定側連結部と、どちらか他方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される可動側連結部とを備え、
この可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことを特徴とする可動連結式手摺装置。
【請求項3】
横桟と縦桟とを有する対をなす手摺体と、これら対をなす手摺体を重ね合わせスライド可能に連結する第1及び第2の連結体とを備えた可動連結式手摺装置であって、
前記第1の連結体は、一方の手摺体に固定される第1の固定側連結部と、他方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される第1の可動側連結部とを備えると共に、
前記第2の連結体は、前記他方の手摺体に固定される第2の固定側連結部と、前記一方の手摺体の横桟にスライド可能に連結される第2の可動側連結部とを備え、
前記第1及び第2の可動側連結部には、前記手摺体の横桟が嵌合する挿通孔を備えたことを特徴とする可動連結式手摺装置。
【請求項4】
前記手摺体の基端側を固定部に水平回動自在及び垂直変位可能に連結する基端側連結部を備え、
この基端側連結部は、前記手摺体又は前記固定部のどちらか一方に備えられた軸部と、前記手摺体又は前記固定部のどちらか他方に備えられた軸受部とを備え、前記軸部を前記軸受部に備えられた貫通部に水平回動自在及び垂直変位可能に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の可動連結式手摺装置。
【請求項5】
前記挿通孔には、前記横桟の外面に接する突起部を設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の可動連結式手摺装置。
【請求項6】
前記手摺体は、前記横桟を上下に備え、これら上の横桟同士を前記連結体により連結すると共に、それら下の横桟同士を前記連結体により連結したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の可動連結式手摺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−97286(P2009−97286A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271847(P2007−271847)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(592018294)トライエンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】