説明

可塑剤含有熱活性化フィルムの接着

重合体フィルム、可塑剤および基質を含有する製品が包含される。前記フィルムを前記基質に接着させる方法に可塑剤の使用を包含させることにより、前記可塑剤が存在しない時に要求されるであろうそれよりも低い温度および短い結合時間を用いて耐久性のある接着が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2007年11月13日付けで出願した米国仮出願番号60/987,500(これは全体が本明細書に組み入れられる)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、可塑剤を添加して布基質に接着させた接着性重合体フィルムに関する。また、前記フィルムの接着方法も包含される。
【背景技術】
【0003】
様々な重合体、例えばポリアミド、ポリオレフィンおよびポリウレタン(ポリウレタン尿素を包含)が様々な基質(織布を包含)用の接着剤として使用可能である。フィルムの例には、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミドおよびポリオレフィンフィルム(Bemis
Associates、Shirley、MAから商業的に入手可能)が含まれる。水性ポリウレタン尿素分散体から流し込み成形して乾燥させたポリウレタン尿素フィルムの例が特許文献1および2(これらは両方とも引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0004】
重合体フィルムと布基質の接着は熱および/または圧力を用いて実施可能である。熱にさらす温度および時間はいろいろな要因、例えば重合体の種類およびフィルムの厚みなどに依存する。そのような布が特に繰り返される家庭および/または商業的洗濯に耐える衣類に用いられている場合には充分な接着を確保する必要がある。フィルムと布の間の接着部が繰り返される洗濯または洗浄に耐える能力を「洗濯耐久性」と呼び、これは商業的衣類用布にとって重要かつ必要な特性である。
【0005】
接着部が「洗濯耐久性」を示すことを確保する目的で、当該フィルムに含まれている重合体に応じて、熱およびエネルギーをいろいろな度合で用いる必要がある。エネルギー量が少なくかつ/または時間が短くても耐久性のある接着を達成する方法および製品は、エネルギー費用および生産時間が節約されることが理由で商業的利点をもたらすであろう。加うるに、接着させる時に用いる温度が低ければ布が損傷を受ける可能性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,240,371号
【特許文献2】2007年7月20日付けで出願した米国特許出願番号11/780,819
【発明の概要】
【0007】
いくつかの態様では、熱活性化接着性フィルム、可塑剤および基質を含有する製品を提供する。前記フィルムは、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミドおよびこれらの組み合わせから成る群より選択した重合体を含有する。可塑剤を前記フィルムに添加すると、可塑剤の存在無しに接着させたフィルムに比べて、所望もしくは前以て選択しておいた洗濯耐久性を達成しながら接着時に用いる温度を低くすることが可能になる。
【0008】
本発明の別の態様における製品は、熱活性化接着性フィルム(ポリウレタン尿素を包含)、可塑剤(水を包含)および基質を含有する製品である。
【0009】
さらなる態様における方法は基質を接着させる方法であり、この方法は、
(a)熱活性化接着性フィルムを基質に与え、
(b)可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加え、
(c)熱を前記フィルムに加え、そして
(d)場合により圧力を前記フィルム、前記基質または両方にかける、
ことを包含する。
【0010】
追加的態様では布を接着させる方法を提供し、この方法は、
(a)ポリウレタン尿素を包含する熱活性化接着性フィルムを布基質に与え、
(b)水を包含する可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加え、そして
(c)熱を前記フィルムに加え、そして
(d)場合により圧力を前記フィルム、前記基質または両方にかける、
ことを含んで成る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は剥離強度を示すチャートであり、このチャートでは可塑剤の使用有り無しの接着度を比較する。
【図2】図2は温度および時間が剥離強度に対して示す効果を示すチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0012】
本明細書で用いる如き用語「多孔質」は、当該基質の表面または厚みの中または厚みを貫くいずれかの地点に空隙または穴を含有する基質または本発明の製品を接触させることができる材料のいずれかを指す。
【0013】
本明細書で用いる如き用語「プレス」または「プレスされた」は、ある製品が実質的に平らな構造物をもたらすように熱および/または圧力を受けたことを指す。
【0014】
本明細書で用いる如き用語「発泡体」は、布構造物で用いることができる適切な発泡体のいずれか、例えばポリウレタンフォームなどを指す。
【0015】
本明細書で用いる如き用語「分散体」は、分散相が微細な粒子で構成されておりかつ連続相が液体、固体または気体であってもよい系を指す。
【0016】
本明細書で用いる如き用語「水性ポリウレタン分散体」は、水性媒体、例えば水(脱イオン水を包含)の中に分散している少なくともポリウレタンもしくはポリウレタン尿素重合体もしくはプレポリマー(例えば本明細書に記述するポリウレタンプレポリマー)を含有しかつ場合により溶媒を含有していてもよい組成物を指す。
【0017】
本明細書で用いる如き用語「溶媒」は、特に明記しない限り、非水性媒体を指し、そのような非水性媒体には有機溶媒が含まれ、それには揮発性有機溶媒(例えばアセトン)およびいくらか低揮発性の有機溶媒(例えばN−メチルピロリドン(NMP))が含まれる。
【0018】
本明細書で用いる如き用語「無溶媒」または「無溶媒系」は、当該組成物または分散している成分の大半が溶媒の中に溶解も分散もしていない組成物もしくは分散体を指す。
【0019】
本明細書で用いる如き用語「フィルム」は、いずれかの形状のシート材料を記述するものであり得、それにはまたフィルム、テープ、点、ウエブ、片、ビードおよび連続もしくは不連続形態の他の形態物も含まれる。フィルムは自己支持型であってもよく、このことは、基質が存在していなくても形状を維持するが剥離紙または他の有用な基質から供給可能であることを意味する。テープは狭い片形態のフィルムを記述するものであり得、それ
には約0.5cmから約3cmの狭い片が含まれる。フィルムはテープの形態であってもよい。
【0020】
本明細書で用いる如き用語「布」は、これに編み、織りもしくは不織材料のいずれも包含させることを意味する。編布は横編み、丸編み、縦編み、ナローエラスティック(narrow elastic)またはレースであってもよい。織布は如何なる構造の布であってもよく、例えば朱子織り、あや織り、平織り、オックスフォード織り、バスケット織りまたはナローエラスティックなどであってもよい。不織材料は、メルトブローン、スパンボンデッド、ウエットレイド、梳いた繊維が基になったステープルウエブなどの中の1つであってもよい。布はいろいろな種類の繊維、例えばナイロン、綿、ポリエステル、羊毛、絹、セルロース誘導体、アセテート、金属、アクリル樹脂およびこれらの組み合わせなどを含有し得る。
【0021】
本明細書で用いる如き用語「基質」は、いくつかの態様のフィルムを接着させることができる材料のいずれかを指す。ある基質は繊維のように実質的に一次元であるか、平らなシートのように二次元であるか或は三次元製品またはでこぼこしたシートであり得る。平らなシートには例えば布、紙、フロック製品およびウエブが含まれ得る。三次元製品には例えば革および発泡体が含まれ得る。
【0022】
本明細書で用いる如き用語「鋳込み」品は、製品もしくは成形品の形状がかけた熱および/または圧力に反応して変化する結果としてもたらされた製品を指す。
【0023】
本明細書で用いる如き用語「モジュラス」は、ある品目の単位線形密度もしくは面積当たりにかかる応力(力で表す)の比率を指す。
【0024】
いくつかの態様の方法では、重合体を含有するフィルムを基質、例えば布または発泡体などに接着させる。この方法は、熱活性化接着性フィルムを基質に与えることを包含する。そのようなフィルムは以下により詳細に記述する1種以上の重合体を含有する。可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加える。前記フィルムと前記基質の接着を熱および場合により圧力を用いて起こさせることができる。その熱および/または圧力を前記フィルム、布または両方にかけてもよい。
【0025】
当該可塑剤および熱を順次または同時に加えてもよい。例えば、当該可塑剤を前記布に加えた後に乾熱を加えるか或は当該可塑剤を熱を伴う蒸気形態、例えば水蒸気などの形態で加えてもよい。そのような可塑剤は当該フィルムに入っている重合体に依存するであろう。その可塑剤の選択は通常の当業者の技術の範囲内である。例えば、ポリウレタン、ポリウレタン尿素およびポリアミドフィルムの場合には水が可塑剤として有用である。ポリオレフィンの場合に有用な可塑剤には、鉱油、パラフィン系液状可塑剤およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0026】
圧力を加える場合、それを当該可塑剤または熱と同時または順次加えてもよい。例えば、当該可塑剤を加えた後に熱および圧力をかけてもよい。別法として、圧力をかけた後に可塑剤に続いて熱を加えるか、或は熱と可塑剤を一緒に例えば水蒸気を用いることなどで加えてもよい。必要ならば、圧力を鋳型の中に当該フィルムと基質の組み合わせが接着することで成形または鋳込み製品が得られるようにかけることも可能である。
【0027】
熱および圧力を多種多様な手段で一緒にまたは個別にかけてもよい。例えば、熱を対流、伝導または輻射でかけてもよい。他の手段には、マイクロ波、赤外、伝導、超音波が含まれる。また、いずれかの方法の組み合わせを用いることも可能である。熱と圧力を同時にかける場合のそれをオートクレーブまたは加熱プレスまたは水蒸気プレス(この場合に
は水が可塑剤として同時に加えられる)でかけてもよい。また、製品を加熱する前にクランプ留めするか或は鋳型の中に入れることも可能である。
【0028】
かける適切な温度および時間は当該重合体に応じて多様であり得る。ポリウレタン尿素フィルムを用いる場合に適切な温度には約150℃未満が含まれ、それには約100℃から約150℃、約100℃から約130℃および約100℃から約120℃が含まれる。
【0029】
また、いくつかの態様の製品にかける圧力も当該重合体に応じて多様であり得る。その圧力はほぼ大気圧から約60psiであり得る。
【0030】
熱および/または圧力を基質と接着性フィルムに約30秒から約360秒(約45秒から約120秒を包含)の滞留時間かけることで接着を活性化させることができる。また、その滞留時間は約1分未満であってもよく、それには約15秒から約60秒が含まれる。その接着させた製品は良好な引き伸ばし/回復特性を示しかつ通常の着用および洗濯サイクルで耐久性を示す。
【0031】
本発明で用いるに有用なフィルムの調製は多種多様な重合体を用いて実施可能であり、かつ重合体分散体または溶体から流し込み成形して乾燥させるか、溶融させて鋳込み成形するか、溶融押出し加工するか、或はいろいろな通常方法のいずれかを用いて成形可能である。そのフィルムはナイロン、ポリオレフィンまたはポリウレタン、例えばポリウレタン尿素などを含有していてもよい。
【0032】
いくつかの態様に包含させるフィルムを生じさせる時に用いるに有用な水性ポリウレタン分散体を個々のウレタンプレポリマーから生じさせることができる。そのようなプレポリマーには、ポリオールとイソシアネートの反応生成物に鎖延長を受けさせてセグメント化ポリウレタン尿素組成物を生じさせることで得た生成物が含まれる。具体例が米国特許第7,240,371号および2007年7月20日付けで出願した米国特許出願番号11/780,819に示されている。
【0033】
いくつかの態様において、ポリウレタン尿素分散体を生じさせるためのセグメント化ポリウレタン尿素は、a)数平均分子量が500から5000(例えば約600から4000および600から3500)のポリオールまたはポリオール共重合体もしくはポリオール混合物[これらに限定するものでないが、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリブタジエングリコールまたはこれらの水添誘導体およびヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンが含まれる]、b)ポリイソシアネート[ジイソシアネート、例えば脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートを包含]、およびc)ジオール化合物[(i)ポリイソシアネートと反応し得るヒドロキシ基および(ii)中和時に塩を形成し得る少なくとも1種のカルボン酸基を含有し、かつ前記少なくとも1種のカルボン酸基は前記ポリイソシアネートと反応しない]、d)鎖延長剤、例えば水、ジオールまたはジアミン系鎖延長剤[脂肪族ジアミン系鎖延長剤または脂肪族ジアミン系鎖延長剤と炭素原子数が2から13の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミンから選択される1種以上のジアミンの組み合わせまたはアミノ末端重合体を包含]、およびe)場合によりブロッキング剤もしくは連鎖停止剤としての第一もしくは第二モノアルコールもしくはモノアミン、および場合により第一級もしくは第二級アミン基を少なくとも3個有する有機化合物もしくは重合体を含有する。
【0034】
いくつかの態様のウレタンプレポリマー(またキャップトグリコールとしても知られる)は一般に中和時に塩を形成し得る化合物とポリオールとポリイソシアネートが当該プレポリマーを水に分散させそしてそれに鎖延長を受けさせる前に反応することで生じた生成物であると概念化可能である。そのようなプレポリマーの製造は典型的に溶媒(これは当
該プレポリマー組成物の粘度を低下させるに有用であり得る)の使用有り無しで1段階以上で実施可能である。
【0035】
当該分散体中に残存するであろう少量の揮発性溶媒(例えばNMP)などに当該プレポリマーが溶解するか否かに応じて、それを揮発性溶媒、例えばアセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)など(これは後で除去可能である)に溶解させるか、或は溶媒が入っていない水に入れて分散させるが、そのような分散工程は実際上それぞれ溶媒工程、アセトン工程またはプレポリマー混合工程として分類分け可能である。プレポリマー混合工程は環境および経済的利点を有し、実質的に溶媒が添加されていない水性分散体を生じさせようとする時に利用可能である。
【0036】
そのようなプレポリマー混合工程では、当該プレポリマーの粘度がそれを溶媒による希釈の有り無しで輸送して水の中に分散させるに充分なほど低いことが重要である。そのような粘度要求に合致しかつプレポリマー中にも分散体中にも有機溶媒が全く存在しないそのようなプレポリマーを用いて生じさせたポリウレタン尿素分散体を用いることができる。
【0037】
当該ポリウレタン尿素フィルムに望まれる効果に応じて、当該フィルムに入れる重合体に持たせる重量平均分子量は約40,000から約250,000に及んで多様であり得、それには約40,000から約150,000、約70,000から約150,000、約100,000から約150,000および約120,000から約140,000が含まれる。
【0038】
他の有用なポリウレタンには熱可塑性ポリウレタンが含まれる。それらはBemis Associates of Shirley、MAから製品番号3405および3410として商業的に入手可能である。
【0039】
また、ポリアミドフィルムを本発明の接着性フィルムとして用いることも可能である。有用なポリアミドにはナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/10およびナイロン6/12が含まれる。商業的に入手可能なナイロンフィルムにはBemis Associatesの製品番号4220が含まれる。
【0040】
また、いくつかの態様の製品ではポリオレフィンフィルムを用いることも可能である。用語「ポリオレフィン」を本明細書で用いる場合、これにCからC20単量体から生じさせたポリオレフィンを包含させることを意味する。それには共重合体および三元重合体、例えばエチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。有用なポリオレフィン共重合体の例がDatta他の米国特許第6,867,260号(引用することによって本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0041】
いくつかの態様の製品では多種多様なポリオレフィン組成物が有用である。例えば、平らな表面上で溶融させて冷却したか、溶融押出し加工したか或は溶体(この溶体には溶媒、例えば沸騰キシレン、沸騰ヘプタン、熱1,2,4−トリクロロベンゼン、熱エチレングリコールモノブチルエーテルまたは熱オルソジクロロベンゼンなどが入っている)、水性分散体(ポリオレフィン粉末および場合により溶媒が入っている)または実質的に無溶媒の水性分散体から流し込み成形することで生じさせたフィルムをいくつかの態様の製品に含有させてもよい。例えば、ポリオレフィン溶体、例えば紡糸用溶体またはゲルなどを用いていくつかの態様に従うフィルムの流し込み成形を行うことができる。商業的に入手可能なポリオレフィンフィルムには、Bemis Associatesの製品番号6218、6343、6344、6371および6385が含まれる。
【0042】
いくつかの態様では多層フィルムを用いてもよい。そのようなフィルムは、異なる重合体または重量平均分子量が異なる同様な重合体の個別層を1層以上含有する。適切な多層フィルムの例は、中心層の重量平均分子量が約120,000でありかつ隣接して位置する層の重量平均分子量が約70,000であるポリウレタン尿素の3層フィルムである。また、1層以上のナイロン層と1層以上のポリオレフィン層の組み合わせ、1層以上のポリオレフィン層と1層以上のポリウレタン尿素層の組み合わせ、および1層以上のポリウレタン尿素層と1層以上のナイロン層の組み合わせも考えられる。そのような組み合わせは個別の重合体層を2層以上含有していてもよく、それには、ある重合体の層が別の重合体で出来ている2つの個別層に隣接して位置する「サンドイッチ」型フィルムも含まれる。
【0043】
また、いくつかの態様のフィルムと基質の組み合わせは多層製品であってもよい。1層以上のフィルムまたは1層以上の基質層を組み合わせることで多層構造物を生じさせてもよい。そのような構造物をプレスして平らにしてもよいか或は鋳型の中に入れてそれに三次元形状を与えてもよい。
【0044】
そのようなフィルムが布または衣類の内側もしくは外側層を形成するようにしてもよい。別法として、そのフィルムを布層を1層のみ用いた「折り重なり」縁形態で用いるか或は2個の個別布セグメントを一緒に接着させることも可能である。そのようなフィルムを衣類の内側表面に含めると数多くの有利な機能がもたらされる。例えば、そのフィルムは、このフィルムを含有する製品と外側基質の間の相対的動きが低下するように摩擦力が向上したアンカーまたは領域を生じさせ得る。このことは、当該製品が皮膚接触面を含有する下着である時に特に有用である(この場合には着用者の皮膚が外側基質である)。別法として、その基質は、本発明の製品のフィルムと接触する外側衣服であってもよい。その基質が着用者の外側衣服でありかつ当該製品が下着として着用される場合、そのような製品は、外側衣服の相対的動きを防止または低下させる。加うるに、外側衣服(例えばドレス)にポリウレタン尿素組成物を含有させることで内側衣服(例えばスリップ)の相対的位置を維持することも可能である。
【0045】
当該分散体と布から調製したフィルム自身が多孔質材料であることとフィルムを含有させた製品に熱と圧力をかけることが理由で、そのようなフィルムはある程度または完全に当該基質(布または発泡体基質を包含)に染み込み得ると認識している。例えば、そのフィルムは、隣接して位置する基質からある程度分離した層を形成し得るか或はその取り巻く層1層もしくは2層以上に完全に移行することで、フィルム層を区別することができるほどそれが分離していない一体式製品がもたらされ得る。
【0046】
本発明の多層製品が有する1つの用途は、体形成形用衣服、例えばブラジャー(特にカップまたはウィング)および男性用下着である。そのような製品は、心地良さ、体形成形および支持の好ましい特徴を与え得ると同時に更に心地良さ、通気性、空気透過性、水分/蒸気輸送、ウィッキングおよびこれらの組み合わせを与え得る。本発明のいくつかの態様の製品では、鋳込みもしくは成型品、例えばブラジャー構造物のカップなどのデザインに関して、それらの層に前以て決めておいた形状を持たせてもよくかつそれらを互いに関して前以て決めておいた配向に配列させてもよい。そのような布の層は単独でか或は他の材料と組み合わせて使用可能であり、それらを縫い込むか、糊付けするか或は他の様式で当該布に取り付ける。
【0047】
いくつかの態様におけるシステムは、布がもたらす一体型形状成形能力を持つ体形成形用衣類を構築するためのシステムである。そのような構築システムは、とりわけ、多種多様な衣類構造物、例えば活動着、スポーツウエア、男性用および女性用の肌に直接触れる衣類、例えばブラジャー、下着、パンティー、成形用衣類、レッグウエアおよび靴下、例
えばパンティーストッキングなど、既製衣類、例えばデニムジーンズ、キャミソール、注文仕立てシャツおよびズボンなどで使用可能である。このような構築は形を成し得る体領域のいずれにも適用可能である。そのような布構造物が有する数多くの利点を含めたが、その有用性を衣類に限定するものでなく、また、成形可能もしくは形を成し得る媒体のいずれに関しても適用性を有し、それには家具用クッション(これらもまた成形可能領域に接触した状態で布が移動しかつある程度の滑りを受ける)も含まれると更に認識している。
【0048】
当該製品に追加的支持および他の特徴を加える目的で、当該フィルムをそれのいろいろな領域に添加してもよい。そのフィルムを当該製品の領域全体に渡って広げてもよいか或は選択した部分に広げることで異なる利点を得ることも可能である。例えば、ブラジャーのカップ部分にいくつかの態様の層状布を含めてもよい。ブラジャーのカップの場合、フィルムの一部を支持の目的でカップの下方部分、しとやかさの目的でカップの中心部分、成形の目的で側部分または飾りまたは装飾の目的で特定の領域に入れて用いるのが有用であり得る。
【0049】
いくつかの態様の布に関して多種多様な繊維およびヤーンを用いることができる。それらには、綿、羊毛、アクリル樹脂、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、スパンデックス、再生セルロース、ゴム(天然もしくは合成)、竹、絹、大豆またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0050】
ポリウレタン尿素分散体から調製するいくつかの態様のポリウレタン尿素フィルムに含める成分を以下により詳細に記述する。
【0051】
ポリオール
本発明に従うウレタンプレポリマーを生じさせる時に出発材料として用いるに適したポリオール成分は、数平均分子量が約600から約3,500もしくは約4,000のポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびポリエステルグリコールである。
【0052】
使用可能なポリエーテルポリオールの例には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフランおよび3−メチルテトラヒドロフランの開環重合および/または共重合または各分子中の炭素原子数が12以下の多価アルコール、好適にはジオールもしくはジオール混合物、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなどの重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のグリコールが含まれる。線状の二官能ポリエーテルポリオールが好適であり、本発明では特に分子量が約1,700から約2,100のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、例えば官能性が2のTerathane(商標)1800(Invista)などが好適である。
【0053】
使用可能なポリエステルポリオールの例には、脂肪族ポリカルボン酸と各分子中の炭素原子数が12以下の低分子量のポリオールもしくはこれらの混合物の重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のエステルグリコールが含まれる。適切なポリカルボン酸の例は、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸である。ポリエステルポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリエステルポリオールが好適である。
【0054】
使用可能なポリカーボネートポリオールの例には、ホスゲン、クロロ蟻酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートと各分子中の炭素原子数が12以下の低分子量の脂肪族ポリオールもしくはこれらの混合物の重縮合で生じたヒドロキシ基数が2以上のカーボネートグリコールが含まれる。ポリカーボネートポリオールの製造で用いるに適したポリオールの例は、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールおよび1,12−ドデカンジオールである。溶融温度が約5℃から約50℃の線状二官能ポリカーボネートポリオールが好適である。
【0055】
ポリイソシアネート
適切なポリイソシアネート成分の例には、ジイソシアネート、例えば1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,12−ジイソシアナトドデカン、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、ジイソシアナト−シクロヘキサン、メチレン−ビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、テトラメチル−キシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トルエンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートおよび前記ジイソシアネートの混合物などが含まれる。例えば、そのようなジイソシアネートは芳香族ジイソシアネート、例えばフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびこれらの組み合わせであってもよい。
【0056】
本発明に従うウレタンプレポリマーを製造する時に別の出発材料として用いるに適したポリイソシアネート成分は、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)と2,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)を4,4’−MDIと2,4’−MDI異性体の比率が約65:35から約35:65の範囲、好適には約55:45から約45:55の範囲、より好適には約50:50であるように含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)異性体混合物であり得る。適切なポリイソシアネート成分の例には、Mondur(商標)ML(Bayer)、Lupranate(商標)MI(BASF)およびIsonate(商標)50 O,P’(Dow Chemical)が含まれる。
【0057】
ジオール
本発明に従うウレタンプレポリマーを生じさせる時にさらなる出発材料として用いるに適したジオール化合物には、(i)ポリイソシアネートと反応し得るヒドロキシ基を2個および(ii)中和時に塩を形成する能力を有しかつ前記ポリイソシアネート(b)と反応する能力を持たない少なくとも1種のカルボン酸基を有する少なくとも1種のジオール化合物が含まれる。カルボン酸基を有するジオール化合物の典型的な例には、2,2−ジメチロプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロブタン酸、2,2−ジメチロ吉草酸およびDMPA開始カプロラクトン、例えばCAPA(商標)HC 1060(Solvay)などが含まれる。本発明ではDMPAが好適である。
【0058】
中和剤
酸基を塩基に変化させるに適した中和剤の例には、第三級アミン(例えばトリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエタノールアミン)およびアルカリ金属の水酸化物(例えばリチウム、ナトリウムおよびカリウムの水酸化物)が含まれる。また、第一級および/または第二級アミンを酸基中和用の中和剤として用いることも可能である。その中和の度合は一般に酸基の約60%から約140%、例えば約80%から約120%の範囲である。
【0059】
鎖延長剤
本発明で用いるに有用な鎖延長剤には、ジアミン系鎖延長剤および水が含まれる。有用な鎖延長剤の数多くの例が通常の当業者に公知である。適切なジアミン系鎖延長剤の例には、1,2−エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、メタ−テトラメチルキシレンジアミンおよび分子量が500未満のJeffamine(商標)(Texaco)が含まれる。
【0060】
表面活性剤
適切な表面活性剤(界面活性剤)の例には、アニオン性、カチオン性または非イオン性分散剤または界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エトキシル化アルキルフェノール、例えばエトキシル化ノニルフェノールなど、およびエトキシル化脂肪アルコール、臭化ラウリルピリジニウム、ポリエーテルホスフェートおよび燐酸エステル、修飾アルコール−エトキシレートおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0061】
ブロッキング剤
イソシアネート基用ブロッキング剤は、単官能アルコールまたは単官能アミンのいずれであってもよい。このブロッキング剤を添加する時期はプレポリマー生成前、プレポリマー生成中またはプレポリマー生成後のいずれであってもよく、それには、プレポリマーを水性媒体、例えば脱イオン水などに入れて分散させる前および後が含まれる。いくつかの態様では、そのブロッキング剤は任意であるか或はそれを排除してもよい。他の態様では、そのようなブロッキング剤を当該プレポリマーの重量を基準にして約0.05%から約10.0%(約0.1%から約6.0%および約1.0%から約4.0%を包含)の量で含有させてもよい。そのようなブロッキング剤を最終的分散体の重量を基準にして約0.01%から約6.0%(約0.05%から約3%および約0.1%から約1.0%を包含)の量で存在させてもよい。
【0062】
ブロッキング剤を含有させると当該分散体に入っている重合体が示す重量平均分子量の調節が可能になるばかりでなく前記重合体が示す分子量分布の調節を行うことも可能になる。当該ブロッキング剤がそのような調節をもたらす効果は、当該ブロッキング剤の種類および当該ブロッキング剤を当該分散体調製中に添加する時期に依存する。例えば、単官能アルコールをプレポリマー生成前、プレポリマー生成中もしくは後に添加してもよい。また、単官能アルコールであるブロッキング剤を当該プレポリマーを分散させる水性媒体に添加するか或は当該プレポリマーを水性媒体に分散させた直後に添加することも可能である。しかしながら、最終的分散体に入っている重合体の分子量および分子量分布を調節する必要がある場合、当該プレポリマーを分散させる前にそれの一部として単官能アルコールを添加して反応させるのが最も有効であり得る。単官能アルコールを当該プレポリマー分散中もしくは後に水性媒体に添加すると、鎖延長反応と競合することが理由で、重合体の分子量調節でそれが示す効果が低下するであろう。
【0063】
本発明に関して用いるに有用な単官能アルコールの例には、炭素数が1から18の脂肪族および脂環式第一および第二アルコール、フェノール、置換フェノール、分子量が約750未満(分子量が500未満を包含)のエトキシル化アルキルフェノールおよびエトキシル化脂肪アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルで置換されている複素環式化合物およびこれらの組み合わせから成る群より選択される少なくとも一員が含まれ、それにはフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N−(2−ヒドロキシエチル)スクシニミド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−ジメチルアミノエタノールおよび4−ピペリジンエタノールおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0064】
単官能アミン化合物、例えば単官能ジアルキルアミンなどをイソシアネート基用ブロッキング剤として用いる場合、それを添加する時期もまた当該分散体調製中の如何なる時期であってもよいが、好ましくはプレポリマーを分散させている間または後の水媒体に単官能アミンであるブロッキング剤を添加する。例えば、このような単官能アミンであるブロッキング剤を当該プレポリマーを分散させた直後の水混合物に添加してもよい。
【0065】
適切な単官能ジアルキルアミンであるブロッキング剤の例には、N,N−ジエチルアミン、N−エチル−N−プロピルアミン、N,N−ジイソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−メチルアミン、N−t−ブチル−N−ベンジルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−エチル−N−イソプロピルアミン、N−t−ブチル−N−イソプロピルアミン、N−イソプロピル−N−シクロヘキシルアミン、N−エチル−N−シクロヘキシルアミン、N,N−ジエタノールアミンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが含まれる。当該プレポリマーを水に分散させる前のそれが有するイソシアネート基に対するアミン系ブロッキング剤のモル比が一般に約0.05から約0.50、例えば約0.20から約0.40の範囲になるようにすべきである。その脱ブロッキング反応で触媒を用いることも可能である。
【0066】
場合により、高分子1モル当たりの第一級および/または第二級アミノ基の数が少なくとも3以上の少なくとも1種の高分子成分(MW>約500)を当該プレポリマーを分散させかつブロッキング剤を添加した後の水性媒体に添加してもよい。適切な高分子成分の例には、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)およびポリ(アミドアミン)のデンドリマーおよびこれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
他の添加剤
適切な消泡もしくは脱泡または泡制御剤の例には、Additive 65およびAdditive 62(Dow Corningのシリコーンが基になった添加剤)、FoamStar(商標)I 300[Cognisの鉱油が基になった脱泡剤(シリコーンを含有しない)]およびSurfynol(商標)DF 110L(Air Products & Chemicalsの非イオン性界面活性剤である高分子量のアセチレン系グリコール)が含まれる。
【0068】
適切な流動調整剤の例には、疎水修飾エトキシレートウレタン(HEUR)、疎水修飾アルカリ膨潤性乳液(HASE)および疎水修飾ヒドロキシ−エチルセルロース(HMHEC)が含まれる。
【0069】
場合により当該水性分散体もしくはプレポリマーに含有させてもよい他の添加剤には、
抗酸化剤、紫外線安定剤、着色剤、顔料、架橋剤、相変化物質[即ち、Outlast Technologies(Boulder、コロラド)から商業的に入手可能なOutlast(商標)]、抗菌剤、鉱物(即ち銅)、ミクロカプセル封じされた安心な添加剤(即ち、アロエ、ビタミンEゲル、アロエ、昆布、ニコチン、カフェイン、香水または芳香剤)、ナノ粒子(即ちシリカまたは炭素)、炭酸カルシウム、難燃剤、抗粘着添加剤、耐塩素分解添加剤、ビタミン、薬品、香料、導電性添加剤および/または染色補助剤が含まれる。本プレポリマーもしくは水性分散体に添加可能な他の添加剤には、接着促進剤、帯電防止剤、抗クレーター形成剤、抗クローリング剤、光学的光沢剤、合体剤、導電性添加剤、発光添加剤、流動および平滑化剤、凍結解凍安定剤、滑剤、有機および無機充填剤、防腐剤、テクスチャリング剤、サーモクロミック添加剤、昆虫忌避剤および湿潤剤が含まれる。
【0070】
任意の添加剤を当該プレポリマーを分散させる前、間または後の水性分散体に添加してもよい。
【0071】
被膜、分散体、フィルムまたは成形品に着色または色づけすることも可能であり、かつまたそれらをデザイン要素として用いることも可能である。
【0072】
加うるに、フィルムもしくは分散体を積層させた製品に鋳込みを受けさせることも可能である。例えば、布に鋳込みを布中のハードヤーンに適した条件下で受けさせてもよい。鋳込みをまた成形品もしくは分散体が鋳込みを受ける温度であるがハードヤーンの鋳込みに適した温度より低い温度で実施することも可能である。
【0073】
当該フィルムに持たせる厚みは用途に応じて多様であり得る。最終的厚みは、例えば約0.1ミルから約250ミル、例えば約0.5ミルから約25ミル(約1から約6ミルを包含)の範囲であってもよい(1ミル=1インチの千分の1)。適切な厚みの追加的例には、約0.5ミルから約12ミル、約0.5から約10ミルおよび約1.5ミルから約9ミルが含まれる。
【0074】
本発明の範囲内に入る分散体および成形品を用いて製造可能な最終製品には、これらに限定するものでないが、衣服(如何なる種類の衣類も衣服製品も包含)、編み手袋、室内装飾品、髪アクセサリー、ベッドシーツ、カーペットおよびカーペット裏地、コンベアベルト、医学用途、例えば伸縮性包帯など、パーソナルケア品目(失禁および女性衛生品を包含)および履物が含まれる。分散体で被覆された製品またはフィルムもしくはテープで覆われた製品は騒音防止製品として使用可能である。
【0075】
本発明の範囲内に入る分散体および成形品を用いて製造可能な衣服もしくは衣類の例には、これらに限定するものでないが、下着、ブラジャー、パンティー、ランジェリー、水着、シェイパー(shapers)、キャミソール、靴下、寝間着、エプロン、ウエットスーツ、ネクタイ、手術着、宇宙服、ユニフォーム、帽子、ガーター、汗止めバンド、ベルト、活動着、上着、雨具、寒冷用ジャケット、ズボン、シャツ地、ドレス、ブラウス、男性および女性が上半身に着る服、セーター、コルセット、ベスト、ニッカーボッカー、ソックス、ハイソックス、ドレス、ブラウス、エプロン、タキシード、ビシュト、アバーヤ、ヒジャーブ、ジルバブ(jilbab)、トーブ(thoub)、ブルカ、ケープ、コスチューム、ダイビングスーツ、キルト、キモノ、ジャージ、ガウン、保護着、サリー、サロン、スカート、スパッツ、ストーラ(stola)、スーツ、ストレートジャケット、トーガ、タイツ、タオル、ユニフォーム、ベール、ウエットスーツ、医学用圧迫帯、包帯、スーツの芯地、ウエストバンドおよびそれらのあらゆる構成要素が含まれる。
【0076】
逆ロールコーティングの実施およびそれの一般的問題を克服する方法がWalter他
、“Solving common coating flaws in Reverse Roll Coating,”AIMCAL Fall Technical Conference(2003年10月26−29日)(これの開示は全体が引用することによって本明細書に組み入れられる)に記述されている。
【0077】
例示の目的で示す以下の実施例を用いて本発明の特徴および利点をより詳細に示すが、決して本発明を限定するとして解釈されるべきでない。
【0078】
試験方法
本実施例で考察する如き接着強度の指標である剥離強度の測定をASTM D903−93(これの開示全体はフィルム積層布を試験するための修飾として引用することによって本明細書に組み入れられる)に従って実施した。試験で用いたサンプルの大きさは1インチ x 6インチ(2.5cm x 15cm)であった。分離速度を1分当たり2インチ(1分当たり5センチメートル)にした。データをサンプル幅1インチ当たりの力(ポンド)として報告する。
【実施例】
【0079】
実施例1−3に、水を可塑剤としてポリウレタン尿素(PUU)フィルムと組み合わせて含有させる方法を示す。そのポリウレタン尿素組成物は米国特許第7,240,371号および2007年7月20日付けで出願した米国特許出願番号11/780,819に開示されている。本実施例に記述する分子量(Mw)は重量平均分子量である。
【実施例1】
【0080】
ポリウレタン尿素(PUU)テープと布の接着をSewSystems(商標)熱テープ接着機を用いて起こさせた。Mwが40,000および70,000のPUUを用いた試験の結果を以下の表1に要約する。このSewSystems(商標)熱テープ接着機設定プレート温度は表1に示す通りでありそして熱風を350℃にした。前記布はRuey Tay、930413 222の縦編み布であり、これはTactel(商標)ナイロンとLycra(商標)スパンデックスで出来ており、これを前記機械に0.5m/分の速度で送り込んだ。接着ゾーンの実際の温度を測定した。表1に示すフィルムを受け取ったまま用いた場合のサンプル条件は「乾式」である。接着前に水を可塑剤としてサンプルに付着させた場合のサンプル条件は「湿式」である。
【0081】
【表1】

【0082】
このデータは、Mwが40,000のフィルムの場合には100℃の湿熱を用いると170℃の乾熱を用いた時に達成される接着強度に相当する強度が得られることを示している。接着時の温度がより低いことは基質である布の美観、取り扱いおよび力を維持するに役立つ。Mwが70,000のフィルムの場合には100℃の湿熱を用いると170℃の乾熱を用いた時に達成される接着強度の>50%の強度が得られた。Mwが70,000のフィルムの場合の接着温度および強度の差を図1に示す。
【実施例2】
【0083】
隣接して位置する下記の如きPUU層を含有する「サンドイッチ」型のポリウレタン尿素を調製した:3ミルでMwが70,000、3ミルでMwが120,000および3ミルでMwが70,000。実施例1と同様にして、SewSystems(商標)熱テープ接着機を用いて前記テープを布に接着させた。その試験の結果を以下の表2に示す。SewSystems(商標)熱テープ接着機設定プレート温度を表に示し、熱風を350Cにし、Ruey Tay、930413 222の縦編み布はTactel(商標)ナイロンとLycra(商標)スパンデックスで出来ており、それを前記機械に0.5m/分の速度で送り込んだ。接着ゾーンの実際の温度を測定した。表2に示すフィルムを受け取ったまま用いた場合のサンプル条件は「乾式」である。接着前に水をサンプルに付着させた場合のサンプル条件は「湿式」である。
【0084】
【表2】

【0085】
表2に示した結果は、可塑剤を含有させる本発明の方法を用いると乾式フィルムが示す接着強度に比べて高い強度が同じ温度で達成されたことを示している。
【実施例3】
【0086】
Mwが約70,000のポリウレタン尿素を含有するフィルムをナイロン/スパンデックス布の2層の間に位置させて、若干の熱を用いてプレスした。次に、その布サンプルを加圧水蒸気オートクレーブに入れていろいろな時間/温度組み合わせで接着させた。そのオートクレーブはFIRSAN Bravaソックボーディング(sock boarding)機であった。サンプルを垂直に吊るした後、ボーディングプロセスによるプレスをいろいろな条件で実施した。
【0087】
温度の範囲を120−144℃にし、時間の範囲を10−30秒にした。図2の等高線図は、温度または時間または両方を増加させると接着力が次第に高くなることを示している。図2は、また、加圧水蒸気を用いると適切な接着強度を達成することができることも示している。
【0088】
現在のところ本発明の好適な態様であると考えている事項を記述してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することのないそれの変形および修飾できること、並びに、本発明の真の範囲内に入る如きそのような変形および修飾の全部が本発明に包含されるべく意図されていること、を理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品であって、
(a)ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミドおよびこれらの組み合わせから成る群より選択される重合体を含有して成る熱活性化接着性フィルム、
(b)可塑剤、および
(c)基質、
を含有して成る製品。
【請求項2】
前記基質が布を含んで成る請求項1記載の製品。
【請求項3】
前記重合体がポリウレタンでありそして前記可塑剤が水である請求項1記載の製品。
【請求項4】
前記重合体がポリウレタン尿素でありそして前記可塑剤が水である請求項1記載の製品。
【請求項5】
前記重合体がポリオレフィンでありそして前記可塑剤が鉱油、パラフィン系液状可塑剤およびこれらの組み合わせから選択される請求項1記載の製品。
【請求項6】
前記布基質がナイロン、綿、ポリエステル、羊毛、絹およびこれらの組み合わせから成る群より選択される請求項1記載の製品。
【請求項7】
製品であって、
(a)ポリウレタン尿素を含有して成る熱活性化接着性フィルム、
(b)水を含有して成る可塑剤、および
(c)布基質、
を含有して成る製品。
【請求項8】
基質を接着させる方法であって、
(a)熱活性化接着性フィルムを基質に与え、
(b)可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加え、
(c)前記フィルムに熱を加え、そして
(d)場合により圧力を前記フィルム、前記基質または両方にかける、
ことを含んで成る方法。
【請求項9】
前記基質が布を含んで成る請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記可塑剤および前記熱を順次加える請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記可塑剤および前記熱を同時に加える請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記可塑剤が水でありそして前記熱を水蒸気として加える請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記可塑剤が水でありそして前記熱および前記圧力を水蒸気プレスで加える請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加えそして前記熱が乾熱である請求項8記載の方法。
【請求項15】
約150℃未満の温度の前記熱を加える請求項8記載の方法。
【請求項16】
約130℃未満の温度の前記熱を加える請求項8記載の方法。
【請求項17】
約100℃から約120℃の範囲内の前記熱を加える請求項8記載の方法。
【請求項18】
布を接着させる方法であって、
(a)ポリウレタン尿素を含有して成る熱活性化接着性フィルムを布基質に与え、
(b)水を含有して成る可塑剤を前記フィルム、前記基質または両方に加え、そして
(c)熱を前記フィルムに加え、そして
(d)場合により圧力を前記フィルム、前記基質または両方にかける、
ことを含んで成る方法。
【請求項19】
前記ポリウレタン尿素の重量平均分子量が約120,000未満である請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ポリウレタン尿素の重量平均分子量が約70,000未満である請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502842(P2011−502842A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534136(P2010−534136)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083197
【国際公開番号】WO2009/064763
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】