可変なパワーの素子を有するズームレンズ系
多重の群の可変な焦点距離のレンズが提供される。レンズは、可変なパワーのレンズ素子を含む第一のレンズ群を有すると共に光軸に沿って静止の様式で位置決めされる。レンズは、また、光軸に沿って可動に位置決めされた第二のレンズ群を有する。可変なパワーのレンズ素子は、はっきりと識別する屈折率を有する二つの液体によって作り出された可変な曲率半径を備えた表面を有する電気的に制御可能な液体レンズであることができると共に、液体の一方は、1.60よりも大きい屈折率を有するものである。代わりに又は加えて、液体レンズに使用された液体の少なくとも一方は、ナノスケールの粒子を含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にレンズ設計に、及び、特に少なくとも一つの可変なパワーの素子を有する可変な焦点距離のレンズ系に、関係する。
【背景技術】
【0002】
従来の可変な焦点距離のレンズ系、例えば、ズームレンズ系は、典型的には、系の像平面における物体の可変な倍率に帰着するのであるが、系の焦点距離を変化させるために、光軸に沿って移動させられるものであるレンズの少なくとも一つの群を含む。ズームレンズ系は、多重の移動する群又は固定されたレンズ群及び移動するレンズ群の組み合わせを含むことができる。これらのタイプのレンズ系は、各々の設計の形態が、大きさ、性能、コスト、機械的な複雑さ、などに関してそれの自体の組みの強みを有することを伴った様々な設計の形態を有する。従来の可変な焦点距離のレンズ系は、可変な焦点距離を達成するためにレンズ群を機械的に移動させる。この移動は、レンズ系へコスト、複雑さ、及び大きさを追加する。消費者のカメラの用途において、例えば、小型の且つ安価なズームレンズ系を有することは、望ましいことである。
【0003】
可変なパワーのレンズ素子は、知られたものである。例えば、米国特許第6,369,954号明細書(特許文献1)及び国際公開第2003/069380号パンフレット(特許文献2)は、電気的に制御可能な液体レンズを開示する。これらのレンズの各々は、透明な外側の表面を有するキャビティに含有された異なる屈折率を有する二つの不混和性の液体で構成される。電極は、キャビティの内側の側面に位置させられる。電圧が、電極へ印加されるとき、二つの液体の間における界面の曲率は、電極間に確立されるものである電場に応答して変化するが、それによって液体レンズの光学的なパワーにおける変化を引き起こす。電気的に制御可能な液体レンズの応答時間は、おおよそ0.02から0.1秒までであると共に大きさは、典型的には2から10mmまでである。これらの液体レンズの光学的な表面の形状は、非点収差が光学系に存在することを許容するものである、電極の変更を通じて最小限に調節可能なものである。
【0004】
米国特許第6,369,954号明細書は、静止状態でデバイスの特定のジオプトリーの値を得るための凹の又は凸のキャビティの表面並びに、第一の液体が導電性のものであると共に第二の液体が絶縁性のものであることを伴った、異なる光学的な屈折率の、及び、実質的に同じ密度の、非混和性のものである第一の及び第二の液体の使用を開示する。加えて、導電性の液体は、イオン性の構成成分の追加によって導電性のものになされることがある。国際公開第2003/069380号パンフレットは、二つの液体の密度が調和させられることを、それによって重力の効果を回避することを、可能とするために液体の一つの密度を増加させるための追加された分子の構成要素と共に、1.25と1.60との間の屈折率を有する液体の使用を開示する。加えて、透明な外側の表面は、望まれた初期の焦点合わせの特性を提供するために且つ視野を平らにするものとして作用するために、非球面の形状を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0179280号明細書(特許文献3)及び米国特許出願公開第2005/0018127号明細書(特許文献4)は、液晶レンズを開示する。このタイプのレンズにおいて、液晶の材料は、一連の電極の間に保持される。電極へ電圧を印加することは、液晶レンズの光学的なパワーが変化するように、液晶が電場と整列することを引き起こす。液晶レンズの応答時間は、電気的に制御可能な液体レンズに類似のある大きさの範囲で0.003秒と同程度に少しのものであることができる。液体レンズに伴ったもののように、電場は、液晶レンズの全体的な光学的な質を決定する。このようなものとして、液晶レンズは、電極の変更を通じた最小限の調節可能性を有すると共に、非点収差は、レンズ系に存在するものである。
【0006】
米国特許第5,574,598号明細書(特許文献5)は、圧力の制御可能な液体レンズを開示する。このレンズは、エラストマーの材料で作られた透明な表面を有する液体で満たされたキャビティを含む。圧力が、隣接するキャビティにかけられるとき、液体で満たされたキャビティのエラストマーの材料の表面を、湾曲した形状へと引き伸ばすことができる。これが起こるとき、液体レンズは、光学的なパワーを有する。レンズの光学的なパワーを、隣接したキャビティにかけられた圧力を変動させることによって、透明なエラストマーの材料の弾性の限度内で制御することができる。圧力の制御可能な液体レンズにおいて、光学的な表面は、表面が表面張力によって決定されるので、形状において球面のものである傾向がある。その結果として、非点収差は、このレンズ組み立て体にもまた存在するものである。
【0007】
H.Oku,K.Hashimoto,M.Ishikawa,Optics Express,Vol.12,No.10,May,2004,pages 2138−2149(非特許文献1)による論文“Variable−focus lens with 1−kHz bandwidth”において、圧力で制御可能な液体レンズは、記載されたものである。このレンズは、また、エラストマーの材料で作られた透明な表面を有する液体で満たされたキャビティを含む。圧電のアクチュエーターは、これらの表面の形状を変化させるために、透明な表面へ圧力をかけるために、使用される。圧電のアクチュエーターへかけられた電圧を変動させることは、レンズへかけられた圧力の量を変動させる。これは、レンズの光学的なパワーを変動させる。このレンズ系の応答のスピードは、おおよそ0.001秒である。非点収差は、また、この圧力で制御可能な液体レンズに存在するものである。
【0008】
上に記載されたレンズのいずれをも、可変な焦点距離のレンズ系において使用することができる一方で、電気的に制御可能な液体レンズ及び液晶レンズの(0.1秒より下の)応答時間及び大きさ(典型的には、2から10mmまで)の特性は、これらのレンズを、消費者のカメラ用のズームレンズにおける使用に特に適切なものとする。レンズの大きさが、企図された用途に適合したものであるとの条件で、圧力で制御可能なレンズをもまた、使用することができる。
【0009】
電気的に制御可能な可変なパワーのレンズを含むズームレンズは、知られたものである。例えば、国際公開第2004/038480号パンフレット(特許文献6)は、物体側から像側へ、前側の固定されたレンズ群、制御可能なレンズ群、及び後側の固定されたレンズ群を含むズームレンズを開示する。制御可能なレンズ群は、少なくとも二つの第一の流体−第二の流体の界面を伴った1.25から1.60までの範囲における異なる屈折率を有する第一の流体及び第二の流体を含有するものである電圧で制御されるエレクトロウェッティングデバイスを含む。これらの界面の、曲率、及び、従ってレンズのパワーを、レンズ素子の機械的な移動が必要とされることがないように、デバイスの電極へ電圧を供給することによって、独立に変化させることができる。
【0010】
国際公開第2004/083899号パンフレットは、結像させるデバイスの角倍率を変化させるための光学的な構成部品を開示する。光学的な構成部品は、光軸に第一の液体の滴及び第二の液体の滴を別個に配置するための一方の側に第一の基板及び反対の側に第二の基板を有するチャンバーを含む。チャンバーは、また、第一の及び第二の液体の滴から異なるものである液体で満たされる。光学的な構成部品は、また、第一の側へ隣接した第一の電極、第二の側へ隣接した第二の電極、並びに、焦点距離の和を変化させることなく、第一の及び第二の液体の滴の焦点距離を変化させるために第一の及び第二の液体の滴に異なる電場を印加するための、第一の及び第二の電極層の間における第三の電極層を有する。
【0011】
上に記載されたズームレンズは、限界を有する。これらのレンズ系に記載された可変なパワーのレンズの各々は、電圧が可変なパワーのレンズへ印加されるとき、各々のレンズ系への非点収差の成分を誘発させる傾向があるものである多重の可変な光学的な表面を提供する。可変なパワーのレンズの使用によって生じさせられた非点収差は、これらのズームレンズの像の質を改善するために、補正されるか、又は、少なくとも低減されるべきである。レンズの全体的な大きさ及び複雑さを低減するために、ズームレンズにおける移動する群の数を低減することがまた望まれたものである一方で、全ての移動する群を除去することは、レンズ系における非点収差を増加させると共に像の質を犠牲にする。加えて、且つ、少なくとも上に記載された液体レンズ系の場合には、液体についての様々な競争する要件、例えば、密度、屈折率、凝固点、沸点、導電率、などが、適当な液体の選択を、最適化することが非常に困難なものとする。
【0012】
このようなものとして、あるものは、低減された数の移動するレンズ群及び、非点収差、横方向の色、などのような、収差によって引き起こされたより少ない悪影響を有する可変な焦点距離のレンズ系に対する要望である。また、あるものは、液体レンズに使用された液体の特性の少なくとも一つの独立な調節に対する要望である。これらの特性は、例えば、密度、屈折率、凝固点、沸点、導電率、などを含む。
【特許文献1】米国特許第6,369,954号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/069380号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0179280号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0018127号明細書
【特許文献5】米国特許第5,574,598号明細書
【特許文献6】国際公開第2004/038480号パンフレット
【非特許文献1】H.Oku,K.Hashimoto,M.Ishikawa,Optics Express,Vol.12,No.10,May,2004,pages 2138−2149
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の一つの態様に従って、多重の群の可変な焦点距離のレンズが、提供される。レンズは、可変なパワーのレンズ素子を含む第一のレンズ群を有すると共に、光軸に沿って静止の様式で位置決めされる。レンズは、また、光軸に沿って可動に位置決めされた第二のレンズ群を有する。
【0014】
発明の別の態様に従って、多重の群の可変な焦点距離のレンズが、提供される。レンズは、光軸に沿って固定された位置に位置させられたレンズ群を有する。レンズ群は、可変なパワーのレンズ素子を有する電気的に制御可能な液体レンズを含む。可変なパワーレンズ素子は、液体の一方が1.60よりも大きい屈折率を有することを伴って、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出された可変な曲率半径を有する表面を含む。
【0015】
発明の別の態様に従って、液体レンズが、提供される。液体レンズは、第一の表面及び第二の表面を含む。第一の液体及び第二の液体は、第一の液体と第二の液体との間における界面が、可変な曲率半径を有する表面を形成するように、第一の表面と第二の表面との間に位置させられる。第一の液体及び第二の液体の少なくとも一方は、ナノスケールの粒子を含む。塩及び/又は混和性の液体及び/又はナノ粒子を、液体の密度及び/又は屈折率及び/又は液体の凝固点及び/又は液体の沸点を調節するために、液体レンズの液体の一つ又はより多くのものへ追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
下に提示された発明の好適な実施形態の詳細な記載において、参照が、付随する図面になされるが、それらにおいて、
図1A、1B、及び1Cは、それぞれ、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である;
図2A、2B、及び2Cは、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である;
図3A、3B、及び3Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;
図4A、4B、及び4Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;
図5A、5B、及び5Cは、それぞれ、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である;
図6A、6B、及び6Cは、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である;
図7A、7B、及び7Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;並びに
図8A、8B、及び8Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【0017】
本記載は、特に、本発明に従った装置の部分を形成する、又は、その装置とより直接的に協働する、素子に向けられることになる。必ずしも具体的に示された又は記載されたものではない要素が、当業者に周知の様々な形態をとることがあるということは、理解されることである。
【0018】
おおむね図1A−8Cを参照すると、本発明は、可変な焦点距離のレンズ系10,20に少なくとも一つの可変な光学的なパワーのレンズ素子を組み込む。少なくとも一つの可変な光学的なパワーのレンズ素子を組み込むものではないレンズ系に対して比較されたとき、これは、可変な焦点距離のレンズ系の少なくとも一つの移動する群の低減に帰着すると共に、可変な焦点距離のレンズ系10,20の全体の長さを低減する。系の最も物体側のレンズ素子の直径を、企図された具体的な用途に依存するが、低減することができる。
【0019】
光のビームが、屈折させる表面に斜めに入射するものであるとき、非点収差は、明白なものであると共に、表面の曲率と共に変動する。これが、可変なパワーのレンズ素子における不変な表面を“曲げること”によって補正可能なものである一方で、この補正は、可変な表面の一つの曲率についてのみ理想的なものである。可変な曲率が、ズーミングを可能にするために調節されると、補償する動き又は曲率の変化が、新しいズーム位置において、変化する非点収差を打ち消すと共に像の質を回復させるために、ズームレンズにおける他の場所で要求される。
【0020】
本発明に従って作られた多重の群の可変な焦点距離のレンズは、第一のレンズ群及び第二のレンズ群を含む。第一のレンズ群は、可変なパワーのレンズ素子を含むと共に、光軸に沿って静止の様式で位置決めされる。第二のレンズ群は、光軸に沿って可動に位置決めされる。可変なパワーのレンズ素子は、いずれの適切なタイプのもの、例えば、上により詳細に記載されてきたものである後に続くタイプのいずれのもの−電気的に制御可能な液体レンズ、液晶レンズ、又は圧力で制御可能な液体レンズ−でもあることができる。
【0021】
多重の群の可変な焦点距離のレンズの用途に依存するが、光軸の像側に位置させられた第二のレンズ群と共に、第一のレンズ群を光軸の物体側に位置させることができる。第一のレンズ群の光学的なパワーの絶対値は、第二のレンズ群の光学的なパワーの絶対値未満であることができる。これは、また、用途に依存性のものである。
【0022】
少なくとも一つの追加のレンズ群は、多重の群の可変な焦点距離のレンズの用途に依存するが、発明の他の実施形態に含まれることができる。追加のレンズ群は、静止のもの、移動するもの、又は両方の組み合わせであることができる。
【0023】
本発明が、移動するレンズ群の数における低減及び/又はより良好な収差の制御が望まれるところのズームレンズ系における用途を見出す一方で、発明を、ここでは、(−/+)の逆の望遠ズームレンズ系を参照して記載することにする。このズームレンズの設計の形態は、それが、相対的に率直な設計の概念を有する、補助のフィルター、カバープレート、などを含むとき助けになるものである、長いバックフォーカスを有する、及び、ディジタルの結像系において有用なものであるためにしばしば十分にテレセントリックに近いものであるために、人気のあるものである。この設計において、二つの移動するレンズ群は、ズームの作用を成し遂げるために、同時に移動する。ズームレンズ組み立て体の全体の長さは、移動するレンズ群がズームの作用の間に動く距離によって確立される。ズームの作用の間における移動するレンズ群の動く距離を低減することは、ズームレンズ系の全体の長さを低減する。これをすることは、また、同様にして一つの又はより多くのレンズ群のレンズの直径における低減に至ることができる。
【0024】
図1A−1C及び5A−5Cを参照すると、発明の第一の及び第二の例の実施形態は、示される。第一の例の実施形態において、(−+)タイプの小型のズームレンズの設計が示される。負のパワーが与えられた第一のレンズ群は、少なくとも一つの可変なパワー素子を含む静止のレンズ群である。他のレンズ素子を、第一のレンズ群における追加の収差の補正を提供するために、含むことができる。
【0025】
発明の第二の実施形態は、可変なパワーの表面を囲む媒体における屈折率及び分散の変化の効果を立証する。特定の用途の要望に適合させるために仕立てられたとき、例えば、屈折率及び/又は分散特性に関して媒体の適当な選択は、改善された性能及び/又は横方向の色の性質を有するレンズ系を生産する。
【0026】
両方の例の実施形態において、第一のレンズ群の可変なパワーの表面を囲むものである表面又は面板は、非点収差及びズーミングの間における可変なパワーの表面の変化として起こるものである他の視野の収差を均衡させるために、光学的なパワーを有することができる。光学的にパワーが与えられた囲む表面及び移動する正のパワーが与えられた第二のレンズ群は、全体のズームの範囲にわたって可変なパワーのレンズによって発生させられた非点収差を補償する。加えて、球面の表面は、改善された収差の補正及び制御が達成されたものであったため、面板に使用される。しかしながら、面板の一つのもの又はより多くのものに非球面の表面を使用することは、より大きいズームの範囲、より大きい視界、又はより明るいF#の系を達成することを助ける。
【0027】
第一の及び第二の例の実施形態に記載されたズームレンズ系10,20の全体の長さは、匹敵する伝統的な(−+)二つの移動する群のズームレンズ系、例えば、類似の一次の光学的な性質及び匹敵する光学的な性能を有するレンズ系に対して比較されたとき、低減される。第一の又は第二の例の実施形態のいずれかに使用された一次の光学的な性質を備えた且つ等価な性能を有する典型的な(−+)二つの移動する群のズームレンズは、それの最も長い位置における長さにおいておおよそ20−25%より大きいものである。また、企図された特定の用途に依存するが、発明のレンズ系の像平面の長さに対する低減された前面頂点は、第一のレンズ群における一つの又はより多くのレンズの直径を低減することを助けることができる。
【0028】
再度、図1A−1C及び5A−5Cを参照すると、発明の第一の及び第二の例の実施形態が、それぞれ、無限遠に焦点合わせされたとき、広角の、中間の又は中程度の範囲の、及び望遠のズーム位置で、示される。両方の例の実施形態において、レンズ系10,20は、物体側から、光軸に沿って位置決めされた(像平面に相対的な)静止の負のパワーが与えられたレンズ群G1を含む。レンズ群G1は、少なくとも一つの可変なパワーの表面R3を含む。機械的に移動する正のパワーが与えられたレンズ群G2の部分であるものである開口絞りR8が、後に続く。レンズ群G2は、レンズ系10,20の焦点距離の変化に寄与する、光軸に沿って移動すると共に、ズーミングの間に固定された像平面にレンズ系の焦点を維持する。表面R15及びR16によって定義された自由選択の平面−平面のプレートは、光学的なパワーを有するものではない素子が、例えば、いずれのタイプ(例.低域)のフィルターも、像のセンサー(例.ccd)のカバープレート、などが、レンズ系10,20に含まれることができることを指摘する。
【0029】
各々の例の実施形態において、可変なパワーの素子は、上に記載されたものと同様の電気的に制御可能な液体レンズである。しかしながら、レンズ系10,20は、上に記載されたものと同様の圧力の制御可能な液体のレンズ又は液晶レンズを含むことができる。第一の及び第二の例の実施形態において、面板又は表面R1,R2及びR4,R5は、相互の間における可変な境界、表面R3、を作り出すものである、異なる特性、例えば、屈折率、アッベ(Abbe)数(ν)、などを有する液体L1,L2を含有する。
【0030】
表面R3の曲率半径が、ズーミングの間に変化させられるとき、表面R3によって作り出された収差は、それの曲率と共に変動する。例えば、非点収差及び/又は像面湾曲は、存在するものであることができる。これらの表面の一つのもの又はより多くのものに曲率半径、レンズ系10,20の物体側から目視されたとすると、正のもの又は負のもののいずれか、を提供することによって表面R1,R2及びR4,R5に光学的なパワーを提供することは、レンズ系10,20が広角の及び望遠のズーム位置の間で移動する際に作り出された収差を均衡させることを助ける。レンズ群G2によって提供された追加の補償は、また、ズームの範囲を通じてレンズ系10を均衡させることを助ける。
【0031】
図1A、1B、及び1Cを参照すると、レンズ系10の物体側から目視されたとすると、レンズ群G1は、両凸の面板R1,R2及び両凹の面板R4,R5を含むものである可変なパワーのレンズ素子を有する。面板R1,R2及びR4,R5の間に位置させられた液体L1,L2は、可変な境界の表面R3を作り出す。液体L1は、1.33の屈折率及び57.1のアッベ数(ν)を有する。液体L2は、1.52の屈折率及び35.0のアッベ数を有する。
【0032】
レンズ群G1は、また、レンズ系の像側に向かって凸のメニスカスのレンズ素子、表面R6,R7を含む。レンズ群G1における追加のレンズの包含は、用途に依存性のものであると共に、そのようなものとして、一つのものよりも多くの追加のレンズ素子を含むことができる。例えば、負のパワーが与えられたレンズ素子を、レンズ群G1に含まれた単数のレンズ又は複数のレンズの直径を低減することを助けることができるものである可変なパワーのレンズ素子の物体側に含むことができる。あるいは、追加のレンズ素子は、レンズ群G1に含まれることを必要とするものではない。
【0033】
レンズ系10の物体側から目視されたとすると、レンズ群G2は、両凸のレンズR9,R10によって後に続けられた開口絞りR8を含む。二つのメニスカスのレンズ素子R11,R12及びR13,R14は、また、レンズ群G2に含まれる。レンズ群G2におけるレンズの選抜は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、いずれの数のレンズ素子をも、レンズ系10の所望の性能に依存するが、レンズ群G2に含むことができる。
【0034】
図2A、2B、及び2Cにおいて、無限遠で焦点合わせされた、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての収差図が、示される。これらの図から決定することができるように、たとえ表面R3の曲率半径が、レンズ系10の焦点距離が変化する際に、37.8から−93.9mmまで変動するとしても、収差は、例えば、非点収差は、ズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0035】
図3A、3B、及び3Cにおいて、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態について20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットが、無限遠の共役において、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。図4A、4B、及び4Cにおいて、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態について60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットが、無限遠の共役において、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。再度、これらのプロットから決定することができるように、収差は、類似の従来のズームレンズ系に対して比較された際に低減された数の移動する群を備えたレンズ系のズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0036】
表1は、図1A、1B、及び1Cに示された第一の例の実施形態についての例の処方を提供する。
【0037】
【表1】
非球面の等式:
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
図5A、5B、及び5Cを参照すると、レンズ系20の物体側から目視されたとすると、レンズ群G1は、両凸の面板R1,R2及び物体側に向かって凸のメニスカスの面板R4,R5を含むものである可変なパワーのレンズ素子を有する。面板R1,R2及びR4,R5の間に位置させられた液体L1,L2は、可変な境界、表面R3を作り出す。液体L1は、1.48の屈折率を有すると共に58.7のアッベ数(ν)を有する。液体L2は、1.64の屈折率及び40.8のアッベ数を有する。
【0040】
第二の例の実施形態において、可変なパワーのレンズ素子において使用された液体は、第一の例の実施形態において使用された液体とは異なるものである。第二の例の実施形態においては、レンズの性能は、より高い屈折率を備えた液体を使用することによって、第一の例の実施形態を超えて、さらに改善されたものであった。加えて、第二の例の実施形態のレンズにおいて増加させられた屈折率を使用することによって、レンズの製造可能性を改善する一方で、非点収差を低減することを助けるものである、レンズの曲率は、低減される。
【0041】
液体の屈折率を選択するための自由度は、本発明に従って作られたズームレンズを設計するとき、追加の利点を提供する。上に記載されたように、固有の非点収差を、平行平面板を使用することよりもむしろ面板を整形することによって、制御することができる。ある範囲の屈折率の利用可能性は、レンズの設計者が、数個の許容可能な面板の形状の因子を決定すること、及び、このように、最も製造することに都合の良い選択肢を選択するための自由度を有することを可能にする。加えて、開示された例の実施形態は、液体の少なくとも一つについて、より高い屈折率(N>1.6)を利用することが、望ましい効果を生じさせることができることを立証する。例えば、第二の例の実施形態の中央のズーム位置における一次の横方向の色は、顕著に低減されるが、若干より高い接線方向のMTFの性能及びより少ない色の縁取りに帰着する。また、第二の例の実施形態における後側の面板の形状は、(第一の例の実施形態に示されたような)重量のある両凹のレンズの形状から(第二の例の実施形態に示されたような)相対的に単純なメニスカスレンズの形状まで移動することを、可能にすることができる。
【0042】
レンズ群G1は、また、レンズ系の像側に向かって凸nメニスカスのレンズ素子、表面R6,R7を含む。レンズ群G1における追加のレンズの包含は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、一つよりも多くの追加のレンズ素子を含むことができる。例えば、負のパワーが与えられたレンズ素子を、レンズ群G1に含まれた単数のレンズ又は複数のレンズの直径を低減することを助けることができるものである可変なパワーのレンズ素子の物体側に含むことができる。あるいは、追加のレンズ素子は、レンズ群G1に含まれることを必要とするものではない。
【0043】
レンズ系20の物体側から目視されたとすると、レンズ群G2は、両凸のレンズR9,R10によって後に続けられた開口絞りR8を含む。二つのメニスカスのレンズ素子R11,R12及びR13,R14は、また、レンズ群G2に含まれる。レンズ群G2におけるレンズの選抜は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、いずれの数のレンズ素子をも、レンズ系20の所望の性能に依存するが、レンズ群G2に含むことができる。
【0044】
図6A、6B、及び6Cにおいて、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図が、示される。これらの図から決定することができるように、たとえ表面R3の曲率半径が、レンズ系20の焦点距離が変化する際に、負の及び正のミリメートルの半径の間で形状において変動するとしても、収差、例えば、非点収差は、ズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0045】
図7A、7B、及び7Cにおいて、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスのMTFプロットが、無限遠の共役で、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。図8A、8B、及び8Cにおいて、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスのMTFプロットが、無限遠の共役で、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。再度、これらのプロットから決定することができるように、収差は、類似の従来のズームレンズ系に対して比較された際に低減された数の移動する群を備えたレンズ系のズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0046】
表2は、図5A、5B、及び5Cに示された第二の例の実施形態についての例の処方を提供する。
【0047】
【表2】
非球面の等式:
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
上に記載された例の実施形態において、電気的に制御可能な液体レンズは、後に続く特性を有する液体を含む。両方の液体は、等価な又はおおよそ等価な密度を備えた不混和性のものであるが、液体は、一方の液体が導電性であると共に一方の液体が絶縁体であることを伴って、異なる屈折率を有するべきである。加えて、液体は、通常の動作する条件内で、凍結する、沸騰する、又は気体放出することが決してないものであるべきである。液体は、液体の間の界面での曲率における速い変化を可能とするために十分に低い粘度のものであるべきであると共に透明性及び/又は色の特性の欠如を有するべきである。
【0050】
液体が、互いに異なる屈折率を有するべきである一方で、上に記載された例の実施形態において、一方の液体の屈折率が、他方の液体の屈折率の85%から95%までの間にある、及び、より好ましくは他方の液体のおおよそ90%である、べきであることは、見出されてきたことであった。第二の例の実施形態において、液体の少なくとも一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する。表3は、水と不混和性のものである高い屈折率(N>1.6)を備えた絶縁する液体の一覧表を提供すると共に、例えば、ディジタルの又はフィルムのカメラ又はビデオのデバイスの典型的な動作する範囲(−20℃から60℃まで)の外側にあるものである強固点及び沸点を有する。表3に列挙された液体は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の液体を使用することができることが、理解されるべきことである。
【0051】
【表3】
電気的に制御可能な液体レンズに使用された液体の特性の多数の要件が与えられたとすると、これらの特性の一つのもの又はより多くのものを、他の特性から実質的に独立に、調節することができるものであることは、好都合なことである。例えば、一方の又は両方の液体の密度及び/又は屈折率を、二つの液体の間の屈折率における所望の差異を同時に達成する一方で、他方の液体との所望の密度の調和を達成するために、独立に調節することは、好都合なことである。
【0052】
上に記載された先行技術のいくつかは、導電率を増加させるために塩又はイオン性の構成成分を追加すること、及び、液体の密度を増加させるための分子の構成要素の追加を開示する。塩を水へ追加することは、例えば、水の導電率、密度、及び屈折率の少なくとも一つを増加させると共に、水の凝固点を抑制するが、そのため、液体が通常の動作する条件の下で凍結することがない。しかしながら、水の屈折率、密度、及び凝固点における塩の効果は、相互関連させられるが、そのため、水の密度及び屈折率を相互に独立して調節することが困難なことであり得る。類似して、分子の構成要素における変化が、屈折率、導電率、及び凝固点における変化によって付随される。表4は、多くの例を示すが、そこでは、水への塩の追加が、それの密度、屈折率、及び沸点を増加させると共に、それの凝固点を低減する。
【0053】
本発明は、第一の及び第二の例の実施形態に関して記載された電気的に制御可能な液体レンズに使用された各々の液体についての望まれた組みの特性を達成するための複合物のアプローチの使用を教示する。例えば、二つの又はより多くの塩の混合物をもまた、液体の密度及び屈折率の両方を変更するために、使用することができる。類似して、不混和性の液体、例えば、メタノール、プロパノール、などを、屈折率を実質的に変化させることなく液体レンズにおける液体の密度及び凝固点を調節するために、溶液へ追加することができる。ショ糖のような可溶性の化合物を、例えば、また、溶液の導電率を変化させることなく密度及び屈折率を変更するために、使用することができる。
【0054】
表4は、水の密度、屈折率、及び凝固点を変更するために使用することができるものである、導電性の塩、混和性の液体、及び可溶性の化合物の一覧表を提供する。表4に列挙された塩は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の塩を使用することができることは、理解されるべきことである。
【0055】
【表4】
本発明によって開示された別のアプローチにおいて、レンズに使用された液体のものよりも高い密度及びレンズに使用された液体のものに対して調和されるものである屈折率を有するナノ粒子を、液体へ追加された高い密度のナノ粒子の量を変動させることによって調節することができるものである密度を備えた複合物の液体の分散物を形成するためにレンズに使用された液体の少なくとも一つへ追加することができる。欧州特許第0911360号明細書は、例えば、温度及び湿度に関して改善された安定性を備えた高い透明度を有する射出成形された光学部品を作るためのプラスチック中における屈折率で調和させられた粒子の使用を開示する。本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体の単数のレンズ又は複数のレンズにおいて、屈折率で調和させられたナノ粒子を、液体それ自体の密度に対して比較された際に調節された密度を備えた液体の分散物を作り出すために、レンズに使用された液体の一方又は両方へ追加することができる。液体の分散物の密度を、液体の分散物と電気的に制御可能な液体レンズに使用された他方の液体との間で調和させられた密度を生じさせるために、調節することができる。他方の液体のものに対して液体の分散物の密度を調和させることによって、重力で誘発させられた不安定性が、液体レンズにおいて、低減されるか、又は、回避されることさえある。
【0056】
好ましくは、屈折率で調和させられたナノ粒子は、低い粘度の液体が使用されるときナノ粒子の少数が時間をかけて分散物の中から沈降する又はナノ粒子の全てが時間をかけても分散物の中から沈降することがないところの安定な分散物が、作り出されるように、粒子の大きさにおいて100ナノメートル未満である。屈折率で調和させられたナノ粒子が、少しの光の散乱が起こるか又は全く光の散乱が起こらないで、それによって、液体の分散物を透明なものとするように、液体それ自体の0.05内にあるものである屈折率を有することは、また好適なことである。屈折率で調和させられたナノ粒子が、少なくとも2.0g/ccの密度を有すると共に、それによって、屈折率で調和させられたナノ粒子の少ない追加をなすことによって液体の分散物の密度が急速に調節されることを可能にすることは、また、好適なことである。表5は、屈折率で調和させられたナノ粒子としての使用に適切な、高い密度及びある範囲の屈折率を備えた材料の一覧表を記載する。表5に列挙された材料は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の材料を使用することができることが、理解されるべきことである。
【0057】
【表5】
本発明によって開示されたなお別のアプローチにおいて、40ナノメートル未満の粒子の大きさを備えたナノ粒子を、結果として生じる透明な液体の分散物の密度又は屈折率を調節するために、レンズに使用された液体の少なくとも一つへ追加することができる。このアプローチにおいては、ナノ粒子の大きさこそが、(上に記載されたアプローチにおける屈折率で調和させられたナノ粒子の使用に対して比較された際に)光の散乱を低減する、又は、除去することさえあるものである。国際公開第97/10527号パンフレットは、例えば、光の散乱及び保持する透明度を回避する一方で、眼科用のプラスチックの屈折率を増加させるための大きさにおいて40ナノメートル未満のナノ粒子の使用を開示する。本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体の単数のレンズ又は複数のレンズにおいて、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するナノ粒子を、液体それ自体の密度及び/又は屈折率に対して比較された際に調節された密度及び/又は屈折率を備えた液体の分散物を作り出すために、レンズに使用された液体の一方、例えば、低い粘度の液体、へ追加することができる。液体の分散物の密度及び/又は屈折率を、液体の分散物と電気的に制御可能な液体レンズに使用された他方の液体との間に調和させられた密度及び/又は屈折率における所望の差異を生じさせるために、調節することができる。ナノ粒子の大きさは、また、少数のナノ粒子が分散物の中から沈降するか又はナノ粒子が分散物の中から沈降することが全くないところの安定な液体の分散物を作ることを助ける。
【0058】
このアプローチにおいて、材料の選択は、レンズに使用された液体に依存する。例えば、レンズに使用された液体のものよりも高い密度及びレンズに使用された液体の屈折率に近似するものである屈折率を有する表5に列挙された材料が、液体の分散物の密度を調節するとき良好に働くことは、見出されてきたことである。逆に、レンズに使用された液体のものよりも高い屈折率及びレンズに使用された液体の密度に近似するものである密度を有する表5に列挙された材料が、液体の分散物の屈折率を調節するために良好に働くことは、見出されてきたことである。最後に、液体よりも高い密度及び液体よりも高い屈折率を有する材料を、密度及び屈折率の両方を同時に調節するために、使用することができる。
【0059】
表6は、液体へのナノ粒子の追加によってなされた密度における調節の二つの例を記載する。第一の例において、Nissan Chemical America Corporation,Houston,TXから商業的に入手可能な、シリカのナノ粒子が、1.0g/ccから1.102g/ccまで結果として生じる分散物の密度を増加させるために、水へ追加された。この例においては、シリカのナノ粒子の粒子サイズは、10ナノメートルであった。表6に示されたように、水の屈折率、1.33、と比較された際に、シリカの屈折率は、表5に示されたように、1.548である。結果として生じる分散物は、表6に示されたように、実質的に増加させられた密度及び適度に増加させられた屈折率を備えた安定な且つ透明なものであった。
【0060】
第二の例において、Nissan Chemical America Corporation,Houston,TXから商業的に入手可能な、シリカのナノ粒子が、1.096g/ccから1.225g/ccまで結果として生じる分散物の密度を増加させるために、エチレングリコールへ追加された。シリカのナノ粒子の粒子サイズは、10ナノメートルであった。この例においては、エチレングリコールの屈折率は、表6に示されたように、1.4326であるが、それは、水に対して比較されたとき、表5に示されたような、シリカのもの、1.548、により近いものである。結果として生じる分散物は、実質的に増加させられた密度を備えた安定な且つ透明なものであった。しかしながら、この例においては、屈折率は、表6に示されたように、事実上不変のものであった。
【0061】
【表6】
後に続くものは、本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体レンズに使用された液体を選択すると共に調節することの一つの方式を記載する。第一に、高い屈折率の絶縁性の液体、例えば、表3に列挙されたものの一つが、液体レンズに望まれた屈折率に基づいて、選択される。第二に、導電性の液体、例えば、水は、他方の液体として選択される。第三に、塩、例えば、表4に列挙されたものの一つが、高い屈折率の絶縁性の液体のものにより近いものである密度を備えた導電性の液体の溶液を生産するために、望まれたもののように導電率を増加させる、及び/又は望まれたもののように凝固点を減少させる、及び/又は、密度を増加させるために、導電性の液体へ追加される。
【0062】
この点において、上に記載されたアプローチのいずれかを、レンズに使用された液体の密度及び屈折率を調節するために、使用することができる。第一のアプローチを使用すると、高い密度のナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つ、好ましくは、100ナノメートル未満の粒子の大きさ及びナノ粒子が追加されるものであるところの液体の屈折率に調和するものである屈折率を有するものが、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかへ追加されると共に、それによって電気的に制御可能な液体における他方の液体のものに調和するものである密度を有する液体の分散物を形成する。
【0063】
第二のアプローチを使用すると、ナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つは、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するが、他方の液体のものに調和するものである密度を有する液体の分散物を形成するために、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかへ追加される。代わりに、ナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つは、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するが、液体の分散物とレンズに使用された他方の液体との間の屈折率における所望の差異を生じさせるために液体の分散物の屈折率を調節するための液体の分散物を形成するために、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかに追加される。
【0064】
上に記載された可変なパワーのレンズ素子が、可変の境界の表面を作り出すために液体を使用することで、そのようにされてきたものである一方で、他のタイプの材料又は流体を、これらの材料又は流体が、可変の境界の表面、例えば、表面R3を作り出すことが可能なものであるとの条件で、可変のパワーのレンズ素子において使用することができることは、企図されたことである。
【0065】
上に記載された可変の焦点距離のレンズは、従来のズームレンズが用途を見出すところのいずれの用途における使用にも適切なものである。これらの用途は、例えば、フィルムのカメラ、ディジタル・カメラ、ビデオ・カメラなどを、これらのカメラを組み込むものである用途(例えば、携帯電話のカメラ、パーソナル・コンピューターと関連したカメラ、など)のみならず、含む。例えば、ディジタル・カメラのズームレンズについての典型的な設計の要件は、3−20mmのレンズの直径及び0.1−2秒の応答のズームのスピードを含む。上に記載された可変の焦点距離のレンズ系は、これらの設計の要件内で行うことが可能なものである。
【0066】
いずれかの例の実施形態において、可変の表面R3を、無限塩にはない物体について急速な近い焦点を可能とするために、使用することができる。これは、可変の表面R3の曲率半径に対して小さい変化をなすことによって成し遂げられる。ズーミングの間に、像が、像平面から離れて移動することを引き起こすことができる。ズーミングの間又はズーミングの後のいずれかで、小さい曲率半径が変化することをなすことは、許容可能な公差内にレンズ系の全体的な焦点距離を維持する一方で、像を像平面へと逆戻りに移動させる。小さい変化は、ズーミングの間における可変の表面R3の曲率半径になされた変化よりも少ないものである。レンズ群G1は、この過程の間に光軸に沿って静止のままである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】図1Aは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図1B】図1Bは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図1C】図1Cは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図2A】図2Aは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図2B】図2Bは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図2C】図2Cは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図3A】図3Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図3B】図3Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図3C】図3Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4A】図4Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4B】図4Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4C】図4Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図5A】図5Aは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図5B】図5Bは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図5C】図5Cは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図6A】図6Aは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図6B】図6Bは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図6C】図6Cは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図7A】図7Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図7B】図7Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図7C】図7Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8A】図8Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8B】図8Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8C】図8Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般にレンズ設計に、及び、特に少なくとも一つの可変なパワーの素子を有する可変な焦点距離のレンズ系に、関係する。
【背景技術】
【0002】
従来の可変な焦点距離のレンズ系、例えば、ズームレンズ系は、典型的には、系の像平面における物体の可変な倍率に帰着するのであるが、系の焦点距離を変化させるために、光軸に沿って移動させられるものであるレンズの少なくとも一つの群を含む。ズームレンズ系は、多重の移動する群又は固定されたレンズ群及び移動するレンズ群の組み合わせを含むことができる。これらのタイプのレンズ系は、各々の設計の形態が、大きさ、性能、コスト、機械的な複雑さ、などに関してそれの自体の組みの強みを有することを伴った様々な設計の形態を有する。従来の可変な焦点距離のレンズ系は、可変な焦点距離を達成するためにレンズ群を機械的に移動させる。この移動は、レンズ系へコスト、複雑さ、及び大きさを追加する。消費者のカメラの用途において、例えば、小型の且つ安価なズームレンズ系を有することは、望ましいことである。
【0003】
可変なパワーのレンズ素子は、知られたものである。例えば、米国特許第6,369,954号明細書(特許文献1)及び国際公開第2003/069380号パンフレット(特許文献2)は、電気的に制御可能な液体レンズを開示する。これらのレンズの各々は、透明な外側の表面を有するキャビティに含有された異なる屈折率を有する二つの不混和性の液体で構成される。電極は、キャビティの内側の側面に位置させられる。電圧が、電極へ印加されるとき、二つの液体の間における界面の曲率は、電極間に確立されるものである電場に応答して変化するが、それによって液体レンズの光学的なパワーにおける変化を引き起こす。電気的に制御可能な液体レンズの応答時間は、おおよそ0.02から0.1秒までであると共に大きさは、典型的には2から10mmまでである。これらの液体レンズの光学的な表面の形状は、非点収差が光学系に存在することを許容するものである、電極の変更を通じて最小限に調節可能なものである。
【0004】
米国特許第6,369,954号明細書は、静止状態でデバイスの特定のジオプトリーの値を得るための凹の又は凸のキャビティの表面並びに、第一の液体が導電性のものであると共に第二の液体が絶縁性のものであることを伴った、異なる光学的な屈折率の、及び、実質的に同じ密度の、非混和性のものである第一の及び第二の液体の使用を開示する。加えて、導電性の液体は、イオン性の構成成分の追加によって導電性のものになされることがある。国際公開第2003/069380号パンフレットは、二つの液体の密度が調和させられることを、それによって重力の効果を回避することを、可能とするために液体の一つの密度を増加させるための追加された分子の構成要素と共に、1.25と1.60との間の屈折率を有する液体の使用を開示する。加えて、透明な外側の表面は、望まれた初期の焦点合わせの特性を提供するために且つ視野を平らにするものとして作用するために、非球面の形状を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0179280号明細書(特許文献3)及び米国特許出願公開第2005/0018127号明細書(特許文献4)は、液晶レンズを開示する。このタイプのレンズにおいて、液晶の材料は、一連の電極の間に保持される。電極へ電圧を印加することは、液晶レンズの光学的なパワーが変化するように、液晶が電場と整列することを引き起こす。液晶レンズの応答時間は、電気的に制御可能な液体レンズに類似のある大きさの範囲で0.003秒と同程度に少しのものであることができる。液体レンズに伴ったもののように、電場は、液晶レンズの全体的な光学的な質を決定する。このようなものとして、液晶レンズは、電極の変更を通じた最小限の調節可能性を有すると共に、非点収差は、レンズ系に存在するものである。
【0006】
米国特許第5,574,598号明細書(特許文献5)は、圧力の制御可能な液体レンズを開示する。このレンズは、エラストマーの材料で作られた透明な表面を有する液体で満たされたキャビティを含む。圧力が、隣接するキャビティにかけられるとき、液体で満たされたキャビティのエラストマーの材料の表面を、湾曲した形状へと引き伸ばすことができる。これが起こるとき、液体レンズは、光学的なパワーを有する。レンズの光学的なパワーを、隣接したキャビティにかけられた圧力を変動させることによって、透明なエラストマーの材料の弾性の限度内で制御することができる。圧力の制御可能な液体レンズにおいて、光学的な表面は、表面が表面張力によって決定されるので、形状において球面のものである傾向がある。その結果として、非点収差は、このレンズ組み立て体にもまた存在するものである。
【0007】
H.Oku,K.Hashimoto,M.Ishikawa,Optics Express,Vol.12,No.10,May,2004,pages 2138−2149(非特許文献1)による論文“Variable−focus lens with 1−kHz bandwidth”において、圧力で制御可能な液体レンズは、記載されたものである。このレンズは、また、エラストマーの材料で作られた透明な表面を有する液体で満たされたキャビティを含む。圧電のアクチュエーターは、これらの表面の形状を変化させるために、透明な表面へ圧力をかけるために、使用される。圧電のアクチュエーターへかけられた電圧を変動させることは、レンズへかけられた圧力の量を変動させる。これは、レンズの光学的なパワーを変動させる。このレンズ系の応答のスピードは、おおよそ0.001秒である。非点収差は、また、この圧力で制御可能な液体レンズに存在するものである。
【0008】
上に記載されたレンズのいずれをも、可変な焦点距離のレンズ系において使用することができる一方で、電気的に制御可能な液体レンズ及び液晶レンズの(0.1秒より下の)応答時間及び大きさ(典型的には、2から10mmまで)の特性は、これらのレンズを、消費者のカメラ用のズームレンズにおける使用に特に適切なものとする。レンズの大きさが、企図された用途に適合したものであるとの条件で、圧力で制御可能なレンズをもまた、使用することができる。
【0009】
電気的に制御可能な可変なパワーのレンズを含むズームレンズは、知られたものである。例えば、国際公開第2004/038480号パンフレット(特許文献6)は、物体側から像側へ、前側の固定されたレンズ群、制御可能なレンズ群、及び後側の固定されたレンズ群を含むズームレンズを開示する。制御可能なレンズ群は、少なくとも二つの第一の流体−第二の流体の界面を伴った1.25から1.60までの範囲における異なる屈折率を有する第一の流体及び第二の流体を含有するものである電圧で制御されるエレクトロウェッティングデバイスを含む。これらの界面の、曲率、及び、従ってレンズのパワーを、レンズ素子の機械的な移動が必要とされることがないように、デバイスの電極へ電圧を供給することによって、独立に変化させることができる。
【0010】
国際公開第2004/083899号パンフレットは、結像させるデバイスの角倍率を変化させるための光学的な構成部品を開示する。光学的な構成部品は、光軸に第一の液体の滴及び第二の液体の滴を別個に配置するための一方の側に第一の基板及び反対の側に第二の基板を有するチャンバーを含む。チャンバーは、また、第一の及び第二の液体の滴から異なるものである液体で満たされる。光学的な構成部品は、また、第一の側へ隣接した第一の電極、第二の側へ隣接した第二の電極、並びに、焦点距離の和を変化させることなく、第一の及び第二の液体の滴の焦点距離を変化させるために第一の及び第二の液体の滴に異なる電場を印加するための、第一の及び第二の電極層の間における第三の電極層を有する。
【0011】
上に記載されたズームレンズは、限界を有する。これらのレンズ系に記載された可変なパワーのレンズの各々は、電圧が可変なパワーのレンズへ印加されるとき、各々のレンズ系への非点収差の成分を誘発させる傾向があるものである多重の可変な光学的な表面を提供する。可変なパワーのレンズの使用によって生じさせられた非点収差は、これらのズームレンズの像の質を改善するために、補正されるか、又は、少なくとも低減されるべきである。レンズの全体的な大きさ及び複雑さを低減するために、ズームレンズにおける移動する群の数を低減することがまた望まれたものである一方で、全ての移動する群を除去することは、レンズ系における非点収差を増加させると共に像の質を犠牲にする。加えて、且つ、少なくとも上に記載された液体レンズ系の場合には、液体についての様々な競争する要件、例えば、密度、屈折率、凝固点、沸点、導電率、などが、適当な液体の選択を、最適化することが非常に困難なものとする。
【0012】
このようなものとして、あるものは、低減された数の移動するレンズ群及び、非点収差、横方向の色、などのような、収差によって引き起こされたより少ない悪影響を有する可変な焦点距離のレンズ系に対する要望である。また、あるものは、液体レンズに使用された液体の特性の少なくとも一つの独立な調節に対する要望である。これらの特性は、例えば、密度、屈折率、凝固点、沸点、導電率、などを含む。
【特許文献1】米国特許第6,369,954号明細書
【特許文献2】国際公開第2003/069380号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0179280号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0018127号明細書
【特許文献5】米国特許第5,574,598号明細書
【特許文献6】国際公開第2004/038480号パンフレット
【非特許文献1】H.Oku,K.Hashimoto,M.Ishikawa,Optics Express,Vol.12,No.10,May,2004,pages 2138−2149
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の一つの態様に従って、多重の群の可変な焦点距離のレンズが、提供される。レンズは、可変なパワーのレンズ素子を含む第一のレンズ群を有すると共に、光軸に沿って静止の様式で位置決めされる。レンズは、また、光軸に沿って可動に位置決めされた第二のレンズ群を有する。
【0014】
発明の別の態様に従って、多重の群の可変な焦点距離のレンズが、提供される。レンズは、光軸に沿って固定された位置に位置させられたレンズ群を有する。レンズ群は、可変なパワーのレンズ素子を有する電気的に制御可能な液体レンズを含む。可変なパワーレンズ素子は、液体の一方が1.60よりも大きい屈折率を有することを伴って、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出された可変な曲率半径を有する表面を含む。
【0015】
発明の別の態様に従って、液体レンズが、提供される。液体レンズは、第一の表面及び第二の表面を含む。第一の液体及び第二の液体は、第一の液体と第二の液体との間における界面が、可変な曲率半径を有する表面を形成するように、第一の表面と第二の表面との間に位置させられる。第一の液体及び第二の液体の少なくとも一方は、ナノスケールの粒子を含む。塩及び/又は混和性の液体及び/又はナノ粒子を、液体の密度及び/又は屈折率及び/又は液体の凝固点及び/又は液体の沸点を調節するために、液体レンズの液体の一つ又はより多くのものへ追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
下に提示された発明の好適な実施形態の詳細な記載において、参照が、付随する図面になされるが、それらにおいて、
図1A、1B、及び1Cは、それぞれ、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である;
図2A、2B、及び2Cは、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である;
図3A、3B、及び3Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;
図4A、4B、及び4Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;
図5A、5B、及び5Cは、それぞれ、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である;
図6A、6B、及び6Cは、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である;
図7A、7B、及び7Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである;並びに
図8A、8B、及び8Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【0017】
本記載は、特に、本発明に従った装置の部分を形成する、又は、その装置とより直接的に協働する、素子に向けられることになる。必ずしも具体的に示された又は記載されたものではない要素が、当業者に周知の様々な形態をとることがあるということは、理解されることである。
【0018】
おおむね図1A−8Cを参照すると、本発明は、可変な焦点距離のレンズ系10,20に少なくとも一つの可変な光学的なパワーのレンズ素子を組み込む。少なくとも一つの可変な光学的なパワーのレンズ素子を組み込むものではないレンズ系に対して比較されたとき、これは、可変な焦点距離のレンズ系の少なくとも一つの移動する群の低減に帰着すると共に、可変な焦点距離のレンズ系10,20の全体の長さを低減する。系の最も物体側のレンズ素子の直径を、企図された具体的な用途に依存するが、低減することができる。
【0019】
光のビームが、屈折させる表面に斜めに入射するものであるとき、非点収差は、明白なものであると共に、表面の曲率と共に変動する。これが、可変なパワーのレンズ素子における不変な表面を“曲げること”によって補正可能なものである一方で、この補正は、可変な表面の一つの曲率についてのみ理想的なものである。可変な曲率が、ズーミングを可能にするために調節されると、補償する動き又は曲率の変化が、新しいズーム位置において、変化する非点収差を打ち消すと共に像の質を回復させるために、ズームレンズにおける他の場所で要求される。
【0020】
本発明に従って作られた多重の群の可変な焦点距離のレンズは、第一のレンズ群及び第二のレンズ群を含む。第一のレンズ群は、可変なパワーのレンズ素子を含むと共に、光軸に沿って静止の様式で位置決めされる。第二のレンズ群は、光軸に沿って可動に位置決めされる。可変なパワーのレンズ素子は、いずれの適切なタイプのもの、例えば、上により詳細に記載されてきたものである後に続くタイプのいずれのもの−電気的に制御可能な液体レンズ、液晶レンズ、又は圧力で制御可能な液体レンズ−でもあることができる。
【0021】
多重の群の可変な焦点距離のレンズの用途に依存するが、光軸の像側に位置させられた第二のレンズ群と共に、第一のレンズ群を光軸の物体側に位置させることができる。第一のレンズ群の光学的なパワーの絶対値は、第二のレンズ群の光学的なパワーの絶対値未満であることができる。これは、また、用途に依存性のものである。
【0022】
少なくとも一つの追加のレンズ群は、多重の群の可変な焦点距離のレンズの用途に依存するが、発明の他の実施形態に含まれることができる。追加のレンズ群は、静止のもの、移動するもの、又は両方の組み合わせであることができる。
【0023】
本発明が、移動するレンズ群の数における低減及び/又はより良好な収差の制御が望まれるところのズームレンズ系における用途を見出す一方で、発明を、ここでは、(−/+)の逆の望遠ズームレンズ系を参照して記載することにする。このズームレンズの設計の形態は、それが、相対的に率直な設計の概念を有する、補助のフィルター、カバープレート、などを含むとき助けになるものである、長いバックフォーカスを有する、及び、ディジタルの結像系において有用なものであるためにしばしば十分にテレセントリックに近いものであるために、人気のあるものである。この設計において、二つの移動するレンズ群は、ズームの作用を成し遂げるために、同時に移動する。ズームレンズ組み立て体の全体の長さは、移動するレンズ群がズームの作用の間に動く距離によって確立される。ズームの作用の間における移動するレンズ群の動く距離を低減することは、ズームレンズ系の全体の長さを低減する。これをすることは、また、同様にして一つの又はより多くのレンズ群のレンズの直径における低減に至ることができる。
【0024】
図1A−1C及び5A−5Cを参照すると、発明の第一の及び第二の例の実施形態は、示される。第一の例の実施形態において、(−+)タイプの小型のズームレンズの設計が示される。負のパワーが与えられた第一のレンズ群は、少なくとも一つの可変なパワー素子を含む静止のレンズ群である。他のレンズ素子を、第一のレンズ群における追加の収差の補正を提供するために、含むことができる。
【0025】
発明の第二の実施形態は、可変なパワーの表面を囲む媒体における屈折率及び分散の変化の効果を立証する。特定の用途の要望に適合させるために仕立てられたとき、例えば、屈折率及び/又は分散特性に関して媒体の適当な選択は、改善された性能及び/又は横方向の色の性質を有するレンズ系を生産する。
【0026】
両方の例の実施形態において、第一のレンズ群の可変なパワーの表面を囲むものである表面又は面板は、非点収差及びズーミングの間における可変なパワーの表面の変化として起こるものである他の視野の収差を均衡させるために、光学的なパワーを有することができる。光学的にパワーが与えられた囲む表面及び移動する正のパワーが与えられた第二のレンズ群は、全体のズームの範囲にわたって可変なパワーのレンズによって発生させられた非点収差を補償する。加えて、球面の表面は、改善された収差の補正及び制御が達成されたものであったため、面板に使用される。しかしながら、面板の一つのもの又はより多くのものに非球面の表面を使用することは、より大きいズームの範囲、より大きい視界、又はより明るいF#の系を達成することを助ける。
【0027】
第一の及び第二の例の実施形態に記載されたズームレンズ系10,20の全体の長さは、匹敵する伝統的な(−+)二つの移動する群のズームレンズ系、例えば、類似の一次の光学的な性質及び匹敵する光学的な性能を有するレンズ系に対して比較されたとき、低減される。第一の又は第二の例の実施形態のいずれかに使用された一次の光学的な性質を備えた且つ等価な性能を有する典型的な(−+)二つの移動する群のズームレンズは、それの最も長い位置における長さにおいておおよそ20−25%より大きいものである。また、企図された特定の用途に依存するが、発明のレンズ系の像平面の長さに対する低減された前面頂点は、第一のレンズ群における一つの又はより多くのレンズの直径を低減することを助けることができる。
【0028】
再度、図1A−1C及び5A−5Cを参照すると、発明の第一の及び第二の例の実施形態が、それぞれ、無限遠に焦点合わせされたとき、広角の、中間の又は中程度の範囲の、及び望遠のズーム位置で、示される。両方の例の実施形態において、レンズ系10,20は、物体側から、光軸に沿って位置決めされた(像平面に相対的な)静止の負のパワーが与えられたレンズ群G1を含む。レンズ群G1は、少なくとも一つの可変なパワーの表面R3を含む。機械的に移動する正のパワーが与えられたレンズ群G2の部分であるものである開口絞りR8が、後に続く。レンズ群G2は、レンズ系10,20の焦点距離の変化に寄与する、光軸に沿って移動すると共に、ズーミングの間に固定された像平面にレンズ系の焦点を維持する。表面R15及びR16によって定義された自由選択の平面−平面のプレートは、光学的なパワーを有するものではない素子が、例えば、いずれのタイプ(例.低域)のフィルターも、像のセンサー(例.ccd)のカバープレート、などが、レンズ系10,20に含まれることができることを指摘する。
【0029】
各々の例の実施形態において、可変なパワーの素子は、上に記載されたものと同様の電気的に制御可能な液体レンズである。しかしながら、レンズ系10,20は、上に記載されたものと同様の圧力の制御可能な液体のレンズ又は液晶レンズを含むことができる。第一の及び第二の例の実施形態において、面板又は表面R1,R2及びR4,R5は、相互の間における可変な境界、表面R3、を作り出すものである、異なる特性、例えば、屈折率、アッベ(Abbe)数(ν)、などを有する液体L1,L2を含有する。
【0030】
表面R3の曲率半径が、ズーミングの間に変化させられるとき、表面R3によって作り出された収差は、それの曲率と共に変動する。例えば、非点収差及び/又は像面湾曲は、存在するものであることができる。これらの表面の一つのもの又はより多くのものに曲率半径、レンズ系10,20の物体側から目視されたとすると、正のもの又は負のもののいずれか、を提供することによって表面R1,R2及びR4,R5に光学的なパワーを提供することは、レンズ系10,20が広角の及び望遠のズーム位置の間で移動する際に作り出された収差を均衡させることを助ける。レンズ群G2によって提供された追加の補償は、また、ズームの範囲を通じてレンズ系10を均衡させることを助ける。
【0031】
図1A、1B、及び1Cを参照すると、レンズ系10の物体側から目視されたとすると、レンズ群G1は、両凸の面板R1,R2及び両凹の面板R4,R5を含むものである可変なパワーのレンズ素子を有する。面板R1,R2及びR4,R5の間に位置させられた液体L1,L2は、可変な境界の表面R3を作り出す。液体L1は、1.33の屈折率及び57.1のアッベ数(ν)を有する。液体L2は、1.52の屈折率及び35.0のアッベ数を有する。
【0032】
レンズ群G1は、また、レンズ系の像側に向かって凸のメニスカスのレンズ素子、表面R6,R7を含む。レンズ群G1における追加のレンズの包含は、用途に依存性のものであると共に、そのようなものとして、一つのものよりも多くの追加のレンズ素子を含むことができる。例えば、負のパワーが与えられたレンズ素子を、レンズ群G1に含まれた単数のレンズ又は複数のレンズの直径を低減することを助けることができるものである可変なパワーのレンズ素子の物体側に含むことができる。あるいは、追加のレンズ素子は、レンズ群G1に含まれることを必要とするものではない。
【0033】
レンズ系10の物体側から目視されたとすると、レンズ群G2は、両凸のレンズR9,R10によって後に続けられた開口絞りR8を含む。二つのメニスカスのレンズ素子R11,R12及びR13,R14は、また、レンズ群G2に含まれる。レンズ群G2におけるレンズの選抜は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、いずれの数のレンズ素子をも、レンズ系10の所望の性能に依存するが、レンズ群G2に含むことができる。
【0034】
図2A、2B、及び2Cにおいて、無限遠で焦点合わせされた、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての収差図が、示される。これらの図から決定することができるように、たとえ表面R3の曲率半径が、レンズ系10の焦点距離が変化する際に、37.8から−93.9mmまで変動するとしても、収差は、例えば、非点収差は、ズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0035】
図3A、3B、及び3Cにおいて、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態について20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットが、無限遠の共役において、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。図4A、4B、及び4Cにおいて、それぞれ、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態について60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットが、無限遠の共役において、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。再度、これらのプロットから決定することができるように、収差は、類似の従来のズームレンズ系に対して比較された際に低減された数の移動する群を備えたレンズ系のズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0036】
表1は、図1A、1B、及び1Cに示された第一の例の実施形態についての例の処方を提供する。
【0037】
【表1】
非球面の等式:
【0038】
【数1】
【0039】
【数2】
図5A、5B、及び5Cを参照すると、レンズ系20の物体側から目視されたとすると、レンズ群G1は、両凸の面板R1,R2及び物体側に向かって凸のメニスカスの面板R4,R5を含むものである可変なパワーのレンズ素子を有する。面板R1,R2及びR4,R5の間に位置させられた液体L1,L2は、可変な境界、表面R3を作り出す。液体L1は、1.48の屈折率を有すると共に58.7のアッベ数(ν)を有する。液体L2は、1.64の屈折率及び40.8のアッベ数を有する。
【0040】
第二の例の実施形態において、可変なパワーのレンズ素子において使用された液体は、第一の例の実施形態において使用された液体とは異なるものである。第二の例の実施形態においては、レンズの性能は、より高い屈折率を備えた液体を使用することによって、第一の例の実施形態を超えて、さらに改善されたものであった。加えて、第二の例の実施形態のレンズにおいて増加させられた屈折率を使用することによって、レンズの製造可能性を改善する一方で、非点収差を低減することを助けるものである、レンズの曲率は、低減される。
【0041】
液体の屈折率を選択するための自由度は、本発明に従って作られたズームレンズを設計するとき、追加の利点を提供する。上に記載されたように、固有の非点収差を、平行平面板を使用することよりもむしろ面板を整形することによって、制御することができる。ある範囲の屈折率の利用可能性は、レンズの設計者が、数個の許容可能な面板の形状の因子を決定すること、及び、このように、最も製造することに都合の良い選択肢を選択するための自由度を有することを可能にする。加えて、開示された例の実施形態は、液体の少なくとも一つについて、より高い屈折率(N>1.6)を利用することが、望ましい効果を生じさせることができることを立証する。例えば、第二の例の実施形態の中央のズーム位置における一次の横方向の色は、顕著に低減されるが、若干より高い接線方向のMTFの性能及びより少ない色の縁取りに帰着する。また、第二の例の実施形態における後側の面板の形状は、(第一の例の実施形態に示されたような)重量のある両凹のレンズの形状から(第二の例の実施形態に示されたような)相対的に単純なメニスカスレンズの形状まで移動することを、可能にすることができる。
【0042】
レンズ群G1は、また、レンズ系の像側に向かって凸nメニスカスのレンズ素子、表面R6,R7を含む。レンズ群G1における追加のレンズの包含は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、一つよりも多くの追加のレンズ素子を含むことができる。例えば、負のパワーが与えられたレンズ素子を、レンズ群G1に含まれた単数のレンズ又は複数のレンズの直径を低減することを助けることができるものである可変なパワーのレンズ素子の物体側に含むことができる。あるいは、追加のレンズ素子は、レンズ群G1に含まれることを必要とするものではない。
【0043】
レンズ系20の物体側から目視されたとすると、レンズ群G2は、両凸のレンズR9,R10によって後に続けられた開口絞りR8を含む。二つのメニスカスのレンズ素子R11,R12及びR13,R14は、また、レンズ群G2に含まれる。レンズ群G2におけるレンズの選抜は、用途依存性のものであると共に、そのようなものとして、いずれの数のレンズ素子をも、レンズ系20の所望の性能に依存するが、レンズ群G2に含むことができる。
【0044】
図6A、6B、及び6Cにおいて、無限遠に焦点合わせされた、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図が、示される。これらの図から決定することができるように、たとえ表面R3の曲率半径が、レンズ系20の焦点距離が変化する際に、負の及び正のミリメートルの半径の間で形状において変動するとしても、収差、例えば、非点収差は、ズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0045】
図7A、7B、及び7Cにおいて、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスのMTFプロットが、無限遠の共役で、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。図8A、8B、及び8Cにおいて、それぞれ、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスのMTFプロットが、無限遠の共役で、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータと共に、示される。再度、これらのプロットから決定することができるように、収差は、類似の従来のズームレンズ系に対して比較された際に低減された数の移動する群を備えたレンズ系のズームの範囲にわたって許容可能に制御される。
【0046】
表2は、図5A、5B、及び5Cに示された第二の例の実施形態についての例の処方を提供する。
【0047】
【表2】
非球面の等式:
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
上に記載された例の実施形態において、電気的に制御可能な液体レンズは、後に続く特性を有する液体を含む。両方の液体は、等価な又はおおよそ等価な密度を備えた不混和性のものであるが、液体は、一方の液体が導電性であると共に一方の液体が絶縁体であることを伴って、異なる屈折率を有するべきである。加えて、液体は、通常の動作する条件内で、凍結する、沸騰する、又は気体放出することが決してないものであるべきである。液体は、液体の間の界面での曲率における速い変化を可能とするために十分に低い粘度のものであるべきであると共に透明性及び/又は色の特性の欠如を有するべきである。
【0050】
液体が、互いに異なる屈折率を有するべきである一方で、上に記載された例の実施形態において、一方の液体の屈折率が、他方の液体の屈折率の85%から95%までの間にある、及び、より好ましくは他方の液体のおおよそ90%である、べきであることは、見出されてきたことであった。第二の例の実施形態において、液体の少なくとも一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する。表3は、水と不混和性のものである高い屈折率(N>1.6)を備えた絶縁する液体の一覧表を提供すると共に、例えば、ディジタルの又はフィルムのカメラ又はビデオのデバイスの典型的な動作する範囲(−20℃から60℃まで)の外側にあるものである強固点及び沸点を有する。表3に列挙された液体は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の液体を使用することができることが、理解されるべきことである。
【0051】
【表3】
電気的に制御可能な液体レンズに使用された液体の特性の多数の要件が与えられたとすると、これらの特性の一つのもの又はより多くのものを、他の特性から実質的に独立に、調節することができるものであることは、好都合なことである。例えば、一方の又は両方の液体の密度及び/又は屈折率を、二つの液体の間の屈折率における所望の差異を同時に達成する一方で、他方の液体との所望の密度の調和を達成するために、独立に調節することは、好都合なことである。
【0052】
上に記載された先行技術のいくつかは、導電率を増加させるために塩又はイオン性の構成成分を追加すること、及び、液体の密度を増加させるための分子の構成要素の追加を開示する。塩を水へ追加することは、例えば、水の導電率、密度、及び屈折率の少なくとも一つを増加させると共に、水の凝固点を抑制するが、そのため、液体が通常の動作する条件の下で凍結することがない。しかしながら、水の屈折率、密度、及び凝固点における塩の効果は、相互関連させられるが、そのため、水の密度及び屈折率を相互に独立して調節することが困難なことであり得る。類似して、分子の構成要素における変化が、屈折率、導電率、及び凝固点における変化によって付随される。表4は、多くの例を示すが、そこでは、水への塩の追加が、それの密度、屈折率、及び沸点を増加させると共に、それの凝固点を低減する。
【0053】
本発明は、第一の及び第二の例の実施形態に関して記載された電気的に制御可能な液体レンズに使用された各々の液体についての望まれた組みの特性を達成するための複合物のアプローチの使用を教示する。例えば、二つの又はより多くの塩の混合物をもまた、液体の密度及び屈折率の両方を変更するために、使用することができる。類似して、不混和性の液体、例えば、メタノール、プロパノール、などを、屈折率を実質的に変化させることなく液体レンズにおける液体の密度及び凝固点を調節するために、溶液へ追加することができる。ショ糖のような可溶性の化合物を、例えば、また、溶液の導電率を変化させることなく密度及び屈折率を変更するために、使用することができる。
【0054】
表4は、水の密度、屈折率、及び凝固点を変更するために使用することができるものである、導電性の塩、混和性の液体、及び可溶性の化合物の一覧表を提供する。表4に列挙された塩は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の塩を使用することができることは、理解されるべきことである。
【0055】
【表4】
本発明によって開示された別のアプローチにおいて、レンズに使用された液体のものよりも高い密度及びレンズに使用された液体のものに対して調和されるものである屈折率を有するナノ粒子を、液体へ追加された高い密度のナノ粒子の量を変動させることによって調節することができるものである密度を備えた複合物の液体の分散物を形成するためにレンズに使用された液体の少なくとも一つへ追加することができる。欧州特許第0911360号明細書は、例えば、温度及び湿度に関して改善された安定性を備えた高い透明度を有する射出成形された光学部品を作るためのプラスチック中における屈折率で調和させられた粒子の使用を開示する。本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体の単数のレンズ又は複数のレンズにおいて、屈折率で調和させられたナノ粒子を、液体それ自体の密度に対して比較された際に調節された密度を備えた液体の分散物を作り出すために、レンズに使用された液体の一方又は両方へ追加することができる。液体の分散物の密度を、液体の分散物と電気的に制御可能な液体レンズに使用された他方の液体との間で調和させられた密度を生じさせるために、調節することができる。他方の液体のものに対して液体の分散物の密度を調和させることによって、重力で誘発させられた不安定性が、液体レンズにおいて、低減されるか、又は、回避されることさえある。
【0056】
好ましくは、屈折率で調和させられたナノ粒子は、低い粘度の液体が使用されるときナノ粒子の少数が時間をかけて分散物の中から沈降する又はナノ粒子の全てが時間をかけても分散物の中から沈降することがないところの安定な分散物が、作り出されるように、粒子の大きさにおいて100ナノメートル未満である。屈折率で調和させられたナノ粒子が、少しの光の散乱が起こるか又は全く光の散乱が起こらないで、それによって、液体の分散物を透明なものとするように、液体それ自体の0.05内にあるものである屈折率を有することは、また好適なことである。屈折率で調和させられたナノ粒子が、少なくとも2.0g/ccの密度を有すると共に、それによって、屈折率で調和させられたナノ粒子の少ない追加をなすことによって液体の分散物の密度が急速に調節されることを可能にすることは、また、好適なことである。表5は、屈折率で調和させられたナノ粒子としての使用に適切な、高い密度及びある範囲の屈折率を備えた材料の一覧表を記載する。表5に列挙された材料は、代表的なものである。そのようなものとしては、他の材料を使用することができることが、理解されるべきことである。
【0057】
【表5】
本発明によって開示されたなお別のアプローチにおいて、40ナノメートル未満の粒子の大きさを備えたナノ粒子を、結果として生じる透明な液体の分散物の密度又は屈折率を調節するために、レンズに使用された液体の少なくとも一つへ追加することができる。このアプローチにおいては、ナノ粒子の大きさこそが、(上に記載されたアプローチにおける屈折率で調和させられたナノ粒子の使用に対して比較された際に)光の散乱を低減する、又は、除去することさえあるものである。国際公開第97/10527号パンフレットは、例えば、光の散乱及び保持する透明度を回避する一方で、眼科用のプラスチックの屈折率を増加させるための大きさにおいて40ナノメートル未満のナノ粒子の使用を開示する。本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体の単数のレンズ又は複数のレンズにおいて、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するナノ粒子を、液体それ自体の密度及び/又は屈折率に対して比較された際に調節された密度及び/又は屈折率を備えた液体の分散物を作り出すために、レンズに使用された液体の一方、例えば、低い粘度の液体、へ追加することができる。液体の分散物の密度及び/又は屈折率を、液体の分散物と電気的に制御可能な液体レンズに使用された他方の液体との間に調和させられた密度及び/又は屈折率における所望の差異を生じさせるために、調節することができる。ナノ粒子の大きさは、また、少数のナノ粒子が分散物の中から沈降するか又はナノ粒子が分散物の中から沈降することが全くないところの安定な液体の分散物を作ることを助ける。
【0058】
このアプローチにおいて、材料の選択は、レンズに使用された液体に依存する。例えば、レンズに使用された液体のものよりも高い密度及びレンズに使用された液体の屈折率に近似するものである屈折率を有する表5に列挙された材料が、液体の分散物の密度を調節するとき良好に働くことは、見出されてきたことである。逆に、レンズに使用された液体のものよりも高い屈折率及びレンズに使用された液体の密度に近似するものである密度を有する表5に列挙された材料が、液体の分散物の屈折率を調節するために良好に働くことは、見出されてきたことである。最後に、液体よりも高い密度及び液体よりも高い屈折率を有する材料を、密度及び屈折率の両方を同時に調節するために、使用することができる。
【0059】
表6は、液体へのナノ粒子の追加によってなされた密度における調節の二つの例を記載する。第一の例において、Nissan Chemical America Corporation,Houston,TXから商業的に入手可能な、シリカのナノ粒子が、1.0g/ccから1.102g/ccまで結果として生じる分散物の密度を増加させるために、水へ追加された。この例においては、シリカのナノ粒子の粒子サイズは、10ナノメートルであった。表6に示されたように、水の屈折率、1.33、と比較された際に、シリカの屈折率は、表5に示されたように、1.548である。結果として生じる分散物は、表6に示されたように、実質的に増加させられた密度及び適度に増加させられた屈折率を備えた安定な且つ透明なものであった。
【0060】
第二の例において、Nissan Chemical America Corporation,Houston,TXから商業的に入手可能な、シリカのナノ粒子が、1.096g/ccから1.225g/ccまで結果として生じる分散物の密度を増加させるために、エチレングリコールへ追加された。シリカのナノ粒子の粒子サイズは、10ナノメートルであった。この例においては、エチレングリコールの屈折率は、表6に示されたように、1.4326であるが、それは、水に対して比較されたとき、表5に示されたような、シリカのもの、1.548、により近いものである。結果として生じる分散物は、実質的に増加させられた密度を備えた安定な且つ透明なものであった。しかしながら、この例においては、屈折率は、表6に示されたように、事実上不変のものであった。
【0061】
【表6】
後に続くものは、本発明に従って作られた電気的に制御可能な液体レンズに使用された液体を選択すると共に調節することの一つの方式を記載する。第一に、高い屈折率の絶縁性の液体、例えば、表3に列挙されたものの一つが、液体レンズに望まれた屈折率に基づいて、選択される。第二に、導電性の液体、例えば、水は、他方の液体として選択される。第三に、塩、例えば、表4に列挙されたものの一つが、高い屈折率の絶縁性の液体のものにより近いものである密度を備えた導電性の液体の溶液を生産するために、望まれたもののように導電率を増加させる、及び/又は望まれたもののように凝固点を減少させる、及び/又は、密度を増加させるために、導電性の液体へ追加される。
【0062】
この点において、上に記載されたアプローチのいずれかを、レンズに使用された液体の密度及び屈折率を調節するために、使用することができる。第一のアプローチを使用すると、高い密度のナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つ、好ましくは、100ナノメートル未満の粒子の大きさ及びナノ粒子が追加されるものであるところの液体の屈折率に調和するものである屈折率を有するものが、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかへ追加されると共に、それによって電気的に制御可能な液体における他方の液体のものに調和するものである密度を有する液体の分散物を形成する。
【0063】
第二のアプローチを使用すると、ナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つは、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するが、他方の液体のものに調和するものである密度を有する液体の分散物を形成するために、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかへ追加される。代わりに、ナノ粒子、例えば、表5に列挙されたものの一つは、40ナノメートル未満の粒子の大きさを有するが、液体の分散物とレンズに使用された他方の液体との間の屈折率における所望の差異を生じさせるために液体の分散物の屈折率を調節するための液体の分散物を形成するために、高い屈折率の絶縁性の液体又は導電性の液体の溶液のいずれかに追加される。
【0064】
上に記載された可変なパワーのレンズ素子が、可変の境界の表面を作り出すために液体を使用することで、そのようにされてきたものである一方で、他のタイプの材料又は流体を、これらの材料又は流体が、可変の境界の表面、例えば、表面R3を作り出すことが可能なものであるとの条件で、可変のパワーのレンズ素子において使用することができることは、企図されたことである。
【0065】
上に記載された可変の焦点距離のレンズは、従来のズームレンズが用途を見出すところのいずれの用途における使用にも適切なものである。これらの用途は、例えば、フィルムのカメラ、ディジタル・カメラ、ビデオ・カメラなどを、これらのカメラを組み込むものである用途(例えば、携帯電話のカメラ、パーソナル・コンピューターと関連したカメラ、など)のみならず、含む。例えば、ディジタル・カメラのズームレンズについての典型的な設計の要件は、3−20mmのレンズの直径及び0.1−2秒の応答のズームのスピードを含む。上に記載された可変の焦点距離のレンズ系は、これらの設計の要件内で行うことが可能なものである。
【0066】
いずれかの例の実施形態において、可変の表面R3を、無限塩にはない物体について急速な近い焦点を可能とするために、使用することができる。これは、可変の表面R3の曲率半径に対して小さい変化をなすことによって成し遂げられる。ズーミングの間に、像が、像平面から離れて移動することを引き起こすことができる。ズーミングの間又はズーミングの後のいずれかで、小さい曲率半径が変化することをなすことは、許容可能な公差内にレンズ系の全体的な焦点距離を維持する一方で、像を像平面へと逆戻りに移動させる。小さい変化は、ズーミングの間における可変の表面R3の曲率半径になされた変化よりも少ないものである。レンズ群G1は、この過程の間に光軸に沿って静止のままである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】図1Aは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図1B】図1Bは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図1C】図1Cは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図2A】図2Aは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図2B】図2Bは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図2C】図2Cは、無限遠に焦点合わせされた、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図3A】図3Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図3B】図3Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図3C】図3Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4A】図4Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4B】図4Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図4C】図4Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図1A、1B、及び1Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図5A】図5Aは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図5B】図5Bは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図5C】図5Cは、広角の、中程度の、望遠のズームの位置において、発明に従ってなされた第一の例の実施形態の断面図である。
【図6A】図6Aは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図6B】図6Bは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図6C】図6Cは、無限遠に焦点合わせされた、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態の収差図である。
【図7A】図7Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図7B】図7Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図7C】図7Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての20サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8A】図8Aは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8B】図8Bは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【図8C】図8Cは、プロットの上部に位置させられる軸上のデータ及びプロットの下部に位置させられる全部の視野のデータを伴った、無限の共役における、図5A、5B、及び5Cに示された例の実施形態についての60サイクル/mmでのスルーフォーカスMTFプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重の群の可変な焦点距離のレンズであって、
可変なパワーのレンズ素子を含む第一のレンズ群、該第一のレンズ群が、光軸に沿って静止の様式で位置決めされること;及び
該光軸に沿って可動に位置決めされた第二のレンズ群
:を含む、レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、二つの追加の表面の間に位置決めされた可変な曲率半径を有する表面を含む、レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子の前記二つの追加の表面の少なくとも一方は、光学的なパワーを有する、レンズ。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズにおいて、
前記光学的なパワーは、球面のものである、レンズ。
【請求項5】
請求項3に記載のレンズにおいて、
前記光学的なパワーは、非球面のものである、レンズ。
【請求項6】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記第一のレンズ群は、少なくとも一つの追加の光学素子を含む、レンズ。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つの追加の光学素子は、前記可変なパワーのレンズ素子の物体側に位置させられる、レンズ。
【請求項8】
請求項6に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一方の追加の光学素子は、前記可変なパワーのレンズ素子の像側に位置させられる、レンズ。
【請求項9】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、電気的に制御可能な液体レンズを含む、レンズ。
【請求項10】
請求項9に記載のレンズにおいて、
前記可変な曲率半径を有する表面は、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出される、レンズ。
【請求項11】
請求項10に記載のレンズにおいて、
前記液体の一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する、レンズ。
【請求項12】
請求項9に記載のレンズにおいて、
一方の液体は、Xの屈折率を有すると共に他方の液体は、0.85Xから0.95Xまでの屈折率を有する、レンズ。
【請求項13】
請求項9に記載のレンズにおいて、
一方の液体は、屈折率Xを有すると共に他方の液体は、おおよそ0.90Xの屈折率を有する、レンズ。
【請求項14】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記第一のレンズ群及び前記第二のレンズ群は、前記光軸の物体側から順番に位置決めされる、レンズ。
【請求項15】
請求項1に記載のレンズであって、
前記第一の群は、光学的なパワーを有すると共に前記第二のレンズ群は、光学的なパワーを有するレンズにおいて、前記第一のレンズ群の光学的なパワーの絶対値は、前記第二のレンズ群の光学的なパワーの絶対値未満である、レンズ。
【請求項16】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、圧力で制御可能な流体のレンズを含む、レンズ。
【請求項17】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、液晶レンズを含む、レンズ。
【請求項18】
請求項1に記載のレンズであって、少なくとも一つの追加のレンズ群をさらに含む、レンズ。
【請求項19】
請求項18に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つの追加のレンズ群は、移動するレンズ群である、レンズ。
【請求項20】
多重の群の可変な焦点距離のレンズであって、
光軸に沿って固定された位置に位置させられたレンズ群、該レンズ群が、可変なパワーのレンズ素子を有する電気的に制御可能な液体レンズを含むこと、該可変なパワーのレンズ素子が、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出された可変な曲率半径を有する表面を含むこと
:を含む、レンズにおいて、
該液体の一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する、レンズ。
【請求項21】
液体レンズであって、
第一の表面;
及び第二の表面;並びに
第一の液体と第二の液体との間の界面が、可変な曲率半径を有する表面を形成するように、該第一の表面と該第二の表面との間に位置させられた第一の液体及び第二の液体
:を含む、レンズにおいて、
該第一の液体及び該第二の液体の少なくとも一方は、ナノスケールの粒子を含む、レンズ。
【請求項22】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記ナノスケールの粒子は、前記ナノスケールの粒子を含有する液体のものよりも高い密度を有する、液体レンズ。
【請求項23】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記ナノスケールの粒子は、前記ナノスケールの粒子を含有する液体のものよりも高い屈折率を有する、液体レンズ。
【請求項24】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくとも一方は、混合させられた塩を含む、液体レンズ。
【請求項25】
請求項24に記載の液体レンズにおいて、
前記混合させられた塩は、前記混合させられた塩を含有する液体のものよりも高い密度を有する、液体レンズ。
【請求項26】
請求項24に記載の液体レンズにおいて、
前記混合させられた塩は、前記混合させられた塩を含有する液体のものよりも高い屈折率を有する、液体レンズ。
【請求項27】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記第一の表面及び前記第二の表面の少なくとも一方は、光学的なパワーを有する、液体レンズ。
【請求項28】
請求項27に記載の液体レンズにおいて、
前記光学的なパワーは、球面のものである、液体レンズ。
【請求項29】
請求項27に記載の液体レンズにおいて、
前記光学的なパワーは、非球面のものである、液体レンズ。
【請求項1】
多重の群の可変な焦点距離のレンズであって、
可変なパワーのレンズ素子を含む第一のレンズ群、該第一のレンズ群が、光軸に沿って静止の様式で位置決めされること;及び
該光軸に沿って可動に位置決めされた第二のレンズ群
:を含む、レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、二つの追加の表面の間に位置決めされた可変な曲率半径を有する表面を含む、レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子の前記二つの追加の表面の少なくとも一方は、光学的なパワーを有する、レンズ。
【請求項4】
請求項3に記載のレンズにおいて、
前記光学的なパワーは、球面のものである、レンズ。
【請求項5】
請求項3に記載のレンズにおいて、
前記光学的なパワーは、非球面のものである、レンズ。
【請求項6】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記第一のレンズ群は、少なくとも一つの追加の光学素子を含む、レンズ。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つの追加の光学素子は、前記可変なパワーのレンズ素子の物体側に位置させられる、レンズ。
【請求項8】
請求項6に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一方の追加の光学素子は、前記可変なパワーのレンズ素子の像側に位置させられる、レンズ。
【請求項9】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、電気的に制御可能な液体レンズを含む、レンズ。
【請求項10】
請求項9に記載のレンズにおいて、
前記可変な曲率半径を有する表面は、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出される、レンズ。
【請求項11】
請求項10に記載のレンズにおいて、
前記液体の一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する、レンズ。
【請求項12】
請求項9に記載のレンズにおいて、
一方の液体は、Xの屈折率を有すると共に他方の液体は、0.85Xから0.95Xまでの屈折率を有する、レンズ。
【請求項13】
請求項9に記載のレンズにおいて、
一方の液体は、屈折率Xを有すると共に他方の液体は、おおよそ0.90Xの屈折率を有する、レンズ。
【請求項14】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記第一のレンズ群及び前記第二のレンズ群は、前記光軸の物体側から順番に位置決めされる、レンズ。
【請求項15】
請求項1に記載のレンズであって、
前記第一の群は、光学的なパワーを有すると共に前記第二のレンズ群は、光学的なパワーを有するレンズにおいて、前記第一のレンズ群の光学的なパワーの絶対値は、前記第二のレンズ群の光学的なパワーの絶対値未満である、レンズ。
【請求項16】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、圧力で制御可能な流体のレンズを含む、レンズ。
【請求項17】
請求項1に記載のレンズにおいて、
前記可変なパワーのレンズ素子は、液晶レンズを含む、レンズ。
【請求項18】
請求項1に記載のレンズであって、少なくとも一つの追加のレンズ群をさらに含む、レンズ。
【請求項19】
請求項18に記載のレンズにおいて、
前記少なくとも一つの追加のレンズ群は、移動するレンズ群である、レンズ。
【請求項20】
多重の群の可変な焦点距離のレンズであって、
光軸に沿って固定された位置に位置させられたレンズ群、該レンズ群が、可変なパワーのレンズ素子を有する電気的に制御可能な液体レンズを含むこと、該可変なパワーのレンズ素子が、明瞭な屈折率を有する二つの液体によって作り出された可変な曲率半径を有する表面を含むこと
:を含む、レンズにおいて、
該液体の一方は、1.60よりも大きい屈折率を有する、レンズ。
【請求項21】
液体レンズであって、
第一の表面;
及び第二の表面;並びに
第一の液体と第二の液体との間の界面が、可変な曲率半径を有する表面を形成するように、該第一の表面と該第二の表面との間に位置させられた第一の液体及び第二の液体
:を含む、レンズにおいて、
該第一の液体及び該第二の液体の少なくとも一方は、ナノスケールの粒子を含む、レンズ。
【請求項22】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記ナノスケールの粒子は、前記ナノスケールの粒子を含有する液体のものよりも高い密度を有する、液体レンズ。
【請求項23】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記ナノスケールの粒子は、前記ナノスケールの粒子を含有する液体のものよりも高い屈折率を有する、液体レンズ。
【請求項24】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくとも一方は、混合させられた塩を含む、液体レンズ。
【請求項25】
請求項24に記載の液体レンズにおいて、
前記混合させられた塩は、前記混合させられた塩を含有する液体のものよりも高い密度を有する、液体レンズ。
【請求項26】
請求項24に記載の液体レンズにおいて、
前記混合させられた塩は、前記混合させられた塩を含有する液体のものよりも高い屈折率を有する、液体レンズ。
【請求項27】
請求項21に記載の液体レンズにおいて、
前記第一の表面及び前記第二の表面の少なくとも一方は、光学的なパワーを有する、液体レンズ。
【請求項28】
請求項27に記載の液体レンズにおいて、
前記光学的なパワーは、球面のものである、液体レンズ。
【請求項29】
請求項27に記載の液体レンズにおいて、
前記光学的なパワーは、非球面のものである、液体レンズ。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公表番号】特表2009−505166(P2009−505166A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527958(P2008−527958)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/030964
【国際公開番号】WO2007/024482
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/030964
【国際公開番号】WO2007/024482
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]