可変キャパシタを形成する方法
【課題】望ましい形状を示す空洞に配置される導電層を含む可変キャパシタを製造する方法を提供する。
【解決手段】空洞の内部を覆う導電帯片、及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む可変キャパシタを形成する方法であり、その空洞は、基板に凹所を形成する;その凹所に打ち延ばし可能な材料を配置する;打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために、凹所のレベルで基板に型を載せる;その打ち延ばし可能な材料を硬化させる;及びその型を取り除くという工程により形成される。
【解決手段】空洞の内部を覆う導電帯片、及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む可変キャパシタを形成する方法であり、その空洞は、基板に凹所を形成する;その凹所に打ち延ばし可能な材料を配置する;打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために、凹所のレベルで基板に型を載せる;その打ち延ばし可能な材料を硬化させる;及びその型を取り除くという工程により形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変キャパシタ、及びさらに具体的には出願人のフランス特許出願No.0350911に記載されているような可変キャパシタを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の特許出願に記載されている可変キャパシタは、基板の表面に形成される空洞の内部を覆う導電層及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む。本可変キャパシタの特徴によると、導電層により覆われる空洞部分は、その深さが溝の縁の1つから溝の底面まで連続的に増大するような溝形状を有する。さらに、導電層は、少なくとも導電層が覆う2つの縁のうちの1つまでこの溝部分の内部を覆う。
【0003】
上述の特許出願に記載されているように、こうした可変キャパシタを形成する方法は、一部溝形状の空洞を基板に形成すること、第1の導電層で溝の内部を覆うこと、犠牲部分で空洞を満たすこと、側溝縁上に載る橋形状の導電帯片を犠牲部分上に形成すること、及び最後に犠牲部分を取り除くことを含む。導電帯片は、空洞の内部を覆う導電層に近づく又はそこから離れていくように変形できる弾力性のある導電膜を形成する。
【0004】
少なくとも一部溝形状の空洞を基板に形成することは、上述のフランス特許出願に記載されたような様々な方法で行われる。絶縁スペーサを用いて空洞を形成する方法を除き、その他の記載された空洞形成方法は、実施が比較的複雑であり及び多数の動作を必要とする。さらに、これらの方法のそれぞれが、断面図において、適切に決定された外郭を伴う溝形状を示す空洞を提供する。それがなければ「理想の」外郭を得ることが可能である。さらに、こうした方法により得られた空洞の形状は均一ではなく、及びとりわけ、基板上に形成された空洞の密度に左右される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、望ましい形状を示す空洞に配置される導電層を含む可変キャパシタを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の別の目的は、実行が簡単なこうした方法を提供することである。
【0007】
本発明は、空洞の内部を覆う導電帯片、及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む可変キャパシタを形成する方法を提供し、その空洞は、基板に凹所を形成する;凹所に打ち延ばし可能な材料を配置する;打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために凹所のレベルで基板に型を載せる;その打ち延ばし可能な材料を硬化させる;及びその型を取り除くという工程により形成される。
【0008】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、硬化工程は加熱工程を含む。
【0009】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、打ち延ばし可能な材料は非網状樹脂である。
【0010】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、型は、望ましい形状の空洞を基板の上方部に形成する;硬化可能な材料を基板上に付着させる;及び基板と硬化可能な材料を切り離し、後者がその後型を形成するという方法により得られる。
【0011】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、空洞の少なくとも一部は溝の形状を有し、溝に近接して配置される基板の上方部分が2つの縁を形成し、及びその溝の深さは、その縁の1つから溝の中央へ連続的に増大する。
【0012】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、その方法はさらに、空洞の溝形状部分の内部を覆い、少なくともそれが覆う溝の2つの縁のうちの1つまで伸びる第1の導電帯片を形成する;空洞に犠牲部分を形成する;犠牲部分上に、実質的には第1の導電帯片の上に絶縁帯片を形成する;絶縁層上に第2の導電帯片を形成する;及び犠牲部分を取り除くという工程を含む。
【0013】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、その方法はさらに、空洞形成に先立って、基板の上方部分に2つの導電トラックの形成をさらに含み、前記凹所が2つの導電トラック間に配置され、及び第1の導電帯片が導電トラックの1つを覆うために基板上に伸び、及び第2の導電帯片が、導電帯片のもう一方を覆うために絶縁帯片を越えて基板上に伸びる。
【0014】
本発明の先行する目的、特徴、及び利点、及びその他は、添付の図面に関連して、以下の具体的な実施形態の非限定的な記述で詳細に論じられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
明確にするために、同一の要素は異なる図面でも同一の参照番号で示され、及びさらに集積回路の表示ではよくあることだが、各種図面は正確な縮尺ではない。
【0016】
本発明による可変キャパシタを製造する方法は、前もって製造された型を使用するナノインプリント方法による空洞を形成する工程を含む。このナノインプリント方法は、打ち延ばし可能な材料で基板の凹所を満たし、続いて凹所のレベルで型を基板上に配置し及び最後にその形状を整えるために打ち延ばし可能な材料を硬化させることを含む。従って、硬化された材料はその上方部分に型の形状に対応する所定の形状を示す空洞を含む。
【0017】
本発明による可変キャパシタを製造する方法の例は、図1Aから図1Jに関連し、以下に記載されている。
【0018】
図1Aに示される最初の工程では、導電トラック2及び3が、絶縁基板1に形成される、つまり基板1の上方部分の開口部に形成される。
【0019】
図1Bに示される次の工程では、基板1がエッチング処理されて、導電トラック2及び3の間の基板1の上方部分に凹所10を形成する。凹所10は、本例示では、異方性エッチング方法により形成され、それによりその凹所の壁は実質的に垂直である。しかし、凹所10は等方性エッチング方法でも形成される。
【0020】
図1Cに示される次の工程では、後で硬化される打ち延ばし可能な材料20が凹所10に配置される。こうした打ち延ばし可能な材料は例えば非網状樹脂である。
【0021】
図1Dに示される次の工程では、型30が凹所10のレベルで基板1に配置される。型30は、本例示では凹所10に埋め込む隆起した突出物31を示すウエハ部分である。その後この全構造は、材料20を硬化させるために加熱筐体に配置される。一旦材料20が硬化されると、型30は取り除かれる。
【0022】
図1Eで明らかなように、硬化された材料20の一部分はその後、断面で、溝35の形状を有する。導電トラック2、3及び溝35間に配置される基板の上方部分は2つの外側縁36及び37を形成する。注目すべきは、溝35の深さが縁36、37の1つから溝35の中央へ連続的に増大していることである。
【0023】
図1Fに示される次の工程では、すでに得られた構造上で導電層の共形付着が行われる。この導電層はその後エッチング処理され、溝35を覆い及び縁36、37上に伸びて導電トラックの1つ、本例示ではトラック3を覆う導電帯片40を保持する。
【0024】
図1Gに示される次の工程では、すでに得られた構造上に犠牲層が付着される。基板1、導電トラック2、及び導電帯片40上に配置され、すでに形成された空洞の外側の犠牲層の部分は、その後取り除かれる。従って、すでに形成された空洞に配置された犠牲部分50が得られる。犠牲層のこの部分的な除去は、基板1、導電帯片40、及び導電トラック2を露出させるために犠牲層の化学研磨−機械研磨法により行われる、又は犠牲層のフォトリソグラフィーエッチングの方法により行われる。
【0025】
図1Hに示される次の工程では、すでに得られた構造上に絶縁層が付着され、その後絶縁帯片60を犠牲部分50上に保持するためにエッチング処理される。絶縁帯片60は、実質上、導電帯片40の上に、溝35に対して横方向に配置され及び溝35の縁36及び37上に伸びる。絶縁帯片は縁36及び37の上に伸びる。絶縁帯片60は導電トラック2を覆うのではなく、導電帯片40上の導電トラック3の上に伸びなければならない。
【0026】
図1Iに示される次の工程では、すでに得られた構造の上に導電層が付着され及び導電トラック2と別の導電トラック3の近くに配置される縁37までの絶縁帯片60を覆う導電帯片70を保持するためにエッチング処理される。
【0027】
図1Jに示される最後の工程では、犠牲部分50が異方性エッチング方法により取り除かれる。従って、導電帯片70及び絶縁帯片60は「自由」であり及び変形することができる。従って、導電帯片70は弾力性のある導電膜を形成する。導電トラック2及び3は、形成される可変キャパシタの2つの電極を形成する導電帯片40と導電膜70間の電圧の印加の端子を形成する。印加された電圧により、導電膜70が導電帯片40に近づく又はそれから離れる。従って、キャパシタの静電容量が増大する又は減少する。
【0028】
他の可変キャパシタ構造が本発明の方法により得られる。キャパシタの電極間の電圧の印加の端子は、例えば導電膜70上及び導電帯片40上に配置される接点を介して、異なって形成される。さらに、絶縁帯片60は導電帯片40上に配置され、及び導電膜70の下には配置されない。
【0029】
本発明による製造方法で使用される型は、図2Aから図2Cに関連して記載されている以下の方法により得られる。
【0030】
図2Aに示される最初の工程では、空洞100が、例えばシリコン製の基板の上方部分に形成される。空洞100は、上述のフランス特許出願に記載された方法の1つにより形成される。
【0031】
図2Bに示される次の工程では、一旦付着されると「硬化」でき、及びその後本発明による方法で使用される打ち延ばし可能な材料を加熱するための加熱筐体に配置されるとその形状を保持するニッケルといった材料110が付着される。
【0032】
図2Cに示される最後の工程では、材料110及び基板100が切り離される。その後材料110は、本発明の方法により製造される可変キャパシタの空洞を形成するのに使用できる型を形成する。
【0033】
もちろん、本発明は当業者が容易に思いつく様々な代替案、変形及び改良を有する。特に、当業者は打ち延ばし可能な材料を硬化させる別の方法を考案する。
【0034】
さらに、いくつかの可変キャパシタが、本発明の方法により同一基板内及び上に形成される。こうしたキャパシタは異なる寸法及び異なる形状である。キャパシタが後にその中及び上で形成される空洞を形成するために、同一であろうとなかろうと、型一式を含む「型」プレートが使用され、各型はそのプレートの隆起した突出物に対応する。
【0035】
こうした代替案、変形、及び改良は本開示の一部であると意図され、及び本発明の精神及び範囲内にあると意図される。従って、先行する記述は単なる例示であって、限定することを意図していない。本発明は請求項及びそれと同等のもので定義されるときのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1B】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1C】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1D】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1E】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1F】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1G】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1H】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1I】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1J】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の斜視図である。
【図2A】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【図2B】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【図2C】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 絶縁基板
2 導電トラック
3 導電トラック
10 凹所
20 打ち延ばし可能な材料
30 型
35 溝
36 外側縁
37 外側縁
40 導電帯片
50 犠牲部分
60 絶縁帯片
70 導電膜
100 空洞
110 ニッケルのような材料
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変キャパシタ、及びさらに具体的には出願人のフランス特許出願No.0350911に記載されているような可変キャパシタを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の特許出願に記載されている可変キャパシタは、基板の表面に形成される空洞の内部を覆う導電層及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む。本可変キャパシタの特徴によると、導電層により覆われる空洞部分は、その深さが溝の縁の1つから溝の底面まで連続的に増大するような溝形状を有する。さらに、導電層は、少なくとも導電層が覆う2つの縁のうちの1つまでこの溝部分の内部を覆う。
【0003】
上述の特許出願に記載されているように、こうした可変キャパシタを形成する方法は、一部溝形状の空洞を基板に形成すること、第1の導電層で溝の内部を覆うこと、犠牲部分で空洞を満たすこと、側溝縁上に載る橋形状の導電帯片を犠牲部分上に形成すること、及び最後に犠牲部分を取り除くことを含む。導電帯片は、空洞の内部を覆う導電層に近づく又はそこから離れていくように変形できる弾力性のある導電膜を形成する。
【0004】
少なくとも一部溝形状の空洞を基板に形成することは、上述のフランス特許出願に記載されたような様々な方法で行われる。絶縁スペーサを用いて空洞を形成する方法を除き、その他の記載された空洞形成方法は、実施が比較的複雑であり及び多数の動作を必要とする。さらに、これらの方法のそれぞれが、断面図において、適切に決定された外郭を伴う溝形状を示す空洞を提供する。それがなければ「理想の」外郭を得ることが可能である。さらに、こうした方法により得られた空洞の形状は均一ではなく、及びとりわけ、基板上に形成された空洞の密度に左右される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、望ましい形状を示す空洞に配置される導電層を含む可変キャパシタを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の別の目的は、実行が簡単なこうした方法を提供することである。
【0007】
本発明は、空洞の内部を覆う導電帯片、及び空洞の上に配置される弾力性のある導電膜を含む可変キャパシタを形成する方法を提供し、その空洞は、基板に凹所を形成する;凹所に打ち延ばし可能な材料を配置する;打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために凹所のレベルで基板に型を載せる;その打ち延ばし可能な材料を硬化させる;及びその型を取り除くという工程により形成される。
【0008】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、硬化工程は加熱工程を含む。
【0009】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、打ち延ばし可能な材料は非網状樹脂である。
【0010】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、型は、望ましい形状の空洞を基板の上方部に形成する;硬化可能な材料を基板上に付着させる;及び基板と硬化可能な材料を切り離し、後者がその後型を形成するという方法により得られる。
【0011】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、空洞の少なくとも一部は溝の形状を有し、溝に近接して配置される基板の上方部分が2つの縁を形成し、及びその溝の深さは、その縁の1つから溝の中央へ連続的に増大する。
【0012】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、その方法はさらに、空洞の溝形状部分の内部を覆い、少なくともそれが覆う溝の2つの縁のうちの1つまで伸びる第1の導電帯片を形成する;空洞に犠牲部分を形成する;犠牲部分上に、実質的には第1の導電帯片の上に絶縁帯片を形成する;絶縁層上に第2の導電帯片を形成する;及び犠牲部分を取り除くという工程を含む。
【0013】
可変キャパシタを形成する上記方法の実施形態によると、その方法はさらに、空洞形成に先立って、基板の上方部分に2つの導電トラックの形成をさらに含み、前記凹所が2つの導電トラック間に配置され、及び第1の導電帯片が導電トラックの1つを覆うために基板上に伸び、及び第2の導電帯片が、導電帯片のもう一方を覆うために絶縁帯片を越えて基板上に伸びる。
【0014】
本発明の先行する目的、特徴、及び利点、及びその他は、添付の図面に関連して、以下の具体的な実施形態の非限定的な記述で詳細に論じられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
明確にするために、同一の要素は異なる図面でも同一の参照番号で示され、及びさらに集積回路の表示ではよくあることだが、各種図面は正確な縮尺ではない。
【0016】
本発明による可変キャパシタを製造する方法は、前もって製造された型を使用するナノインプリント方法による空洞を形成する工程を含む。このナノインプリント方法は、打ち延ばし可能な材料で基板の凹所を満たし、続いて凹所のレベルで型を基板上に配置し及び最後にその形状を整えるために打ち延ばし可能な材料を硬化させることを含む。従って、硬化された材料はその上方部分に型の形状に対応する所定の形状を示す空洞を含む。
【0017】
本発明による可変キャパシタを製造する方法の例は、図1Aから図1Jに関連し、以下に記載されている。
【0018】
図1Aに示される最初の工程では、導電トラック2及び3が、絶縁基板1に形成される、つまり基板1の上方部分の開口部に形成される。
【0019】
図1Bに示される次の工程では、基板1がエッチング処理されて、導電トラック2及び3の間の基板1の上方部分に凹所10を形成する。凹所10は、本例示では、異方性エッチング方法により形成され、それによりその凹所の壁は実質的に垂直である。しかし、凹所10は等方性エッチング方法でも形成される。
【0020】
図1Cに示される次の工程では、後で硬化される打ち延ばし可能な材料20が凹所10に配置される。こうした打ち延ばし可能な材料は例えば非網状樹脂である。
【0021】
図1Dに示される次の工程では、型30が凹所10のレベルで基板1に配置される。型30は、本例示では凹所10に埋め込む隆起した突出物31を示すウエハ部分である。その後この全構造は、材料20を硬化させるために加熱筐体に配置される。一旦材料20が硬化されると、型30は取り除かれる。
【0022】
図1Eで明らかなように、硬化された材料20の一部分はその後、断面で、溝35の形状を有する。導電トラック2、3及び溝35間に配置される基板の上方部分は2つの外側縁36及び37を形成する。注目すべきは、溝35の深さが縁36、37の1つから溝35の中央へ連続的に増大していることである。
【0023】
図1Fに示される次の工程では、すでに得られた構造上で導電層の共形付着が行われる。この導電層はその後エッチング処理され、溝35を覆い及び縁36、37上に伸びて導電トラックの1つ、本例示ではトラック3を覆う導電帯片40を保持する。
【0024】
図1Gに示される次の工程では、すでに得られた構造上に犠牲層が付着される。基板1、導電トラック2、及び導電帯片40上に配置され、すでに形成された空洞の外側の犠牲層の部分は、その後取り除かれる。従って、すでに形成された空洞に配置された犠牲部分50が得られる。犠牲層のこの部分的な除去は、基板1、導電帯片40、及び導電トラック2を露出させるために犠牲層の化学研磨−機械研磨法により行われる、又は犠牲層のフォトリソグラフィーエッチングの方法により行われる。
【0025】
図1Hに示される次の工程では、すでに得られた構造上に絶縁層が付着され、その後絶縁帯片60を犠牲部分50上に保持するためにエッチング処理される。絶縁帯片60は、実質上、導電帯片40の上に、溝35に対して横方向に配置され及び溝35の縁36及び37上に伸びる。絶縁帯片は縁36及び37の上に伸びる。絶縁帯片60は導電トラック2を覆うのではなく、導電帯片40上の導電トラック3の上に伸びなければならない。
【0026】
図1Iに示される次の工程では、すでに得られた構造の上に導電層が付着され及び導電トラック2と別の導電トラック3の近くに配置される縁37までの絶縁帯片60を覆う導電帯片70を保持するためにエッチング処理される。
【0027】
図1Jに示される最後の工程では、犠牲部分50が異方性エッチング方法により取り除かれる。従って、導電帯片70及び絶縁帯片60は「自由」であり及び変形することができる。従って、導電帯片70は弾力性のある導電膜を形成する。導電トラック2及び3は、形成される可変キャパシタの2つの電極を形成する導電帯片40と導電膜70間の電圧の印加の端子を形成する。印加された電圧により、導電膜70が導電帯片40に近づく又はそれから離れる。従って、キャパシタの静電容量が増大する又は減少する。
【0028】
他の可変キャパシタ構造が本発明の方法により得られる。キャパシタの電極間の電圧の印加の端子は、例えば導電膜70上及び導電帯片40上に配置される接点を介して、異なって形成される。さらに、絶縁帯片60は導電帯片40上に配置され、及び導電膜70の下には配置されない。
【0029】
本発明による製造方法で使用される型は、図2Aから図2Cに関連して記載されている以下の方法により得られる。
【0030】
図2Aに示される最初の工程では、空洞100が、例えばシリコン製の基板の上方部分に形成される。空洞100は、上述のフランス特許出願に記載された方法の1つにより形成される。
【0031】
図2Bに示される次の工程では、一旦付着されると「硬化」でき、及びその後本発明による方法で使用される打ち延ばし可能な材料を加熱するための加熱筐体に配置されるとその形状を保持するニッケルといった材料110が付着される。
【0032】
図2Cに示される最後の工程では、材料110及び基板100が切り離される。その後材料110は、本発明の方法により製造される可変キャパシタの空洞を形成するのに使用できる型を形成する。
【0033】
もちろん、本発明は当業者が容易に思いつく様々な代替案、変形及び改良を有する。特に、当業者は打ち延ばし可能な材料を硬化させる別の方法を考案する。
【0034】
さらに、いくつかの可変キャパシタが、本発明の方法により同一基板内及び上に形成される。こうしたキャパシタは異なる寸法及び異なる形状である。キャパシタが後にその中及び上で形成される空洞を形成するために、同一であろうとなかろうと、型一式を含む「型」プレートが使用され、各型はそのプレートの隆起した突出物に対応する。
【0035】
こうした代替案、変形、及び改良は本開示の一部であると意図され、及び本発明の精神及び範囲内にあると意図される。従って、先行する記述は単なる例示であって、限定することを意図していない。本発明は請求項及びそれと同等のもので定義されるときのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1B】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1C】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1D】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1E】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1F】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1G】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1H】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1I】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の断面図である。
【図1J】本発明による可変キャパシタ製造方法の一連の工程で得られる構造の斜視図である。
【図2A】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【図2B】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【図2C】本発明による可変キャパシタ製造方法で使用される型の製造で得られる構造の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 絶縁基板
2 導電トラック
3 導電トラック
10 凹所
20 打ち延ばし可能な材料
30 型
35 溝
36 外側縁
37 外側縁
40 導電帯片
50 犠牲部分
60 絶縁帯片
70 導電膜
100 空洞
110 ニッケルのような材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞(35)の内部を覆う導電帯片(40)、及び前記空洞の上に配置される弾力性のある導電膜(70)を含む可変キャパシタを形成する方法において、
前記空洞(35)の形成が、
基板(1)に凹所(10)を形成し、
打ち延ばし可能な材料(20)を前記凹所に配置し、
前記打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために、前記凹所のレベルで前記基板に型(30)を載せ、
前記打ち延ばし可能な材料を硬化させ、及び
前記型を取り除くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記硬化工程が加熱工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記打ち延ばし可能な材料(20)が非網状樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記型(30)の形成が、
望ましい形状の空洞(100)を基板(101)の上方部分に形成し、
前記基板上に硬化できる材料(110)を付着させ、及び
前記基板と硬化できる材料を切り離し、後者がその後前記型を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記空洞の少なくとも一部が溝(35)の形状を有し、前記溝に近接して配置される上方基板部分が2つの縁(36、37)を形成し、及び前記溝の深さが、前記縁の1つから前記溝の中央に連続的に増大することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空洞の溝形状部分の内部を覆い、少なくともそれが覆う前記溝の縁(36、37)のうちの1つまで伸びる第1の導電帯片(40)を形成し、
犠牲部分(50)を前記空洞に形成し、
絶縁帯片(60)を前記犠牲部分上、実質的には前記第1の導電帯片の上に形成し、
第2の導電帯片(70)を前記絶縁層上に形成し、及び
前記犠牲部分を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記空洞形成に先立って、前記基板(1)の上方部分に2つの導電トラック(2、3)の形成を更に含み、前記凹所(10)が前記2つの導電トラック間に配置され、及び前記第1の導電帯片(40)が前記導電トラックの1つを覆うために基板上に伸び、及び第2の導電帯片(70)が前記導電帯片の別の1つを覆うために前記絶縁帯片を越えて前記基板上に伸びることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項1】
空洞(35)の内部を覆う導電帯片(40)、及び前記空洞の上に配置される弾力性のある導電膜(70)を含む可変キャパシタを形成する方法において、
前記空洞(35)の形成が、
基板(1)に凹所(10)を形成し、
打ち延ばし可能な材料(20)を前記凹所に配置し、
前記打ち延ばし可能な材料の上方部に望ましい形状を与えるために、前記凹所のレベルで前記基板に型(30)を載せ、
前記打ち延ばし可能な材料を硬化させ、及び
前記型を取り除くことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記硬化工程が加熱工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記打ち延ばし可能な材料(20)が非網状樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記型(30)の形成が、
望ましい形状の空洞(100)を基板(101)の上方部分に形成し、
前記基板上に硬化できる材料(110)を付着させ、及び
前記基板と硬化できる材料を切り離し、後者がその後前記型を形成することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記空洞の少なくとも一部が溝(35)の形状を有し、前記溝に近接して配置される上方基板部分が2つの縁(36、37)を形成し、及び前記溝の深さが、前記縁の1つから前記溝の中央に連続的に増大することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空洞の溝形状部分の内部を覆い、少なくともそれが覆う前記溝の縁(36、37)のうちの1つまで伸びる第1の導電帯片(40)を形成し、
犠牲部分(50)を前記空洞に形成し、
絶縁帯片(60)を前記犠牲部分上、実質的には前記第1の導電帯片の上に形成し、
第2の導電帯片(70)を前記絶縁層上に形成し、及び
前記犠牲部分を取り除く工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記空洞形成に先立って、前記基板(1)の上方部分に2つの導電トラック(2、3)の形成を更に含み、前記凹所(10)が前記2つの導電トラック間に配置され、及び前記第1の導電帯片(40)が前記導電トラックの1つを覆うために基板上に伸び、及び第2の導電帯片(70)が前記導電帯片の別の1つを覆うために前記絶縁帯片を越えて前記基板上に伸びることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図1I】
【図1J】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【公開番号】特開2007−67413(P2007−67413A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−233702(P2006−233702)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591035139)エステーミクロエレクトロニクス ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233702(P2006−233702)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(591035139)エステーミクロエレクトロニクス ソシエテ アノニム (31)
【Fターム(参考)】
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