説明

可変コンデンサおよびバンドパスフィルタ

【課題】 大きな送信電力に耐え得ると共に安定して静電容量を可変できること。
【解決手段】 可変コンデンサ1は、誘電体板10に取り付けられた円筒状のステータ導体15とを備えるステータ部2と、アース板20の軸受21に形成されているネジに螺合されているネジ部23a、中央部23b、先端部23cとを有する回転調整軸23と、一端が閉じた円筒状とされ、回転調整軸23とほぼ同軸に配置されたロータ導体22とを備えるロータ部3とを備えている。誘電体板10とアース板20とが所定間隔で対面するように四隅が支柱16によりそれぞれ結合されている。回転調整軸23を回転させることにより、ロータ導体22および中央部23bとステータ導体15との対向面積が変化して静電容量が変化する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐電圧の可変コンデンサおよびバンドパスフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量が可変できるコンデンサとしては種々のものが知られているが、半導体を用いたものとしては、可変容量ダイオード(バリキャップ)がある。可変容量ダイオードは、直流制御電圧に伴う接合容量の変化を利用して、可変静電容量を得ている。また、機構部品からなる可変コンデンサとしては、対向する半円板形の金属板を回転させて静電容量を変化させるバリアブルコンデンサ(通称バリコン)や、金属円筒内に金属棒を挿入する構造のシリンダー型トリマーコンデンサ等がある。
ところで、近年の通信においてはアナログからデジタルへの移行が加速しており、π/4シフトQPSKや64QAM等のデジタル変調が主流となっている。これらのデジタル変調波は従来のアナログ変調波に比べピーク電力が大きく、必然的に瞬時の電圧も高いと言う特徴がある。特にそれらを複数多重化した場合にはより顕著となる。従って、送信装置のフィルタ等に内蔵されている可変コンデンサには、送信電力に耐える耐電圧特性が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−45785号公報
【特許文献2】特開平6−6110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バリコンやシリンダー型トリマーコンデンサは、家電用電気機器や受信機器用のものは多数市販されている。バリコンはステータに対してロータを0°〜約180°の間で回転させることにより静電容量を可変としていることから、静電容量の微調を行うことが困難であった。また、シリンダー型トリマーコンデンサでは、複数回回転可能とされて静電容量を可変していることから静電容量の微調を行うことができるが、送信用で特に高耐電圧とするには電極間の間隔を広げるように大型化することになる。しかし、シリンダー型トリマーコンデンサを大型化すると、ロータの回転時に芯ぶれを起こしやすく安定して静電容量を可変することができないと云う問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、大きな送信電力に耐え得る安定して静電容量を可変することができる構造の可変コンデンサおよびバンドパスフィルタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可変コンデンサは、断面形状がほぼ正方形とされた絶縁性の誘電体板と、該誘電体板の一面に取り付けられた円筒状とされた金属製のステータ導体とを備えるステータ部と、前記誘電体板とほぼ同形状とされ、一面に軸受が設けられている金属製のアース板と、前記軸受に形成されているネジに螺合されて、前記アース板に対して出没自在とされたネジ部と、該ネジ部から延伸されている径が大きくされた中央部と、該中央部から延伸されている径が細くされた先端部とを有する金属製とされている回転調整軸と、一端が閉じた円筒状とされ、前記回転調整軸における前記中央部とほぼ同軸に配置され、前記中央部を覆うように前記回転調整軸に固着された金属製のロータ導体とを備えるロータ部とからなり、前記誘電体板と前記アース板とが所定間隔で対面するように、前記誘電体板と前記アース板との四隅を支柱によりそれぞれ結合させた際に、前記ステータ導体が、前記ロータ導体と前記中央部との間の空間内にほぼ同心円状に非接触で配置されると共に、前記先端部が、前記誘電体板のほぼ中央に形成されている摺動孔内に挿通されて軸支され、前記回転調整軸を回転させることにより、前記ロータ導体および前記中央部と前記ステータ導体との対向面積が変化して静電容量が変化することを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転調整軸の回転機構によりアース板と誘電体板の間をロータ導体が移動でき、ステータ導体との間に一定のギャップを保って対向面積が変化するため、所望の可変静電容量特性を得ることができる。この時のギャップやロータ導体およびステータ導体の長さを任意に選択できることから、高耐電圧で大容量の可変コンデンサを容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例の可変コンデンサの構成を示す正面図、側面図、背面図である。
【図2】本発明の実施例の可変コンデンサの構成を示す分解組立図である。
【図3】本発明の実施例の可変コンデンサにおけるロータ部の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例の可変コンデンサにおけるステータ部の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例の可変コンデンサにおける最小容量の状態の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施例の可変コンデンサにおける最大容量の状態の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例の可変コンデンサを使用した本発明の実施例のバンドパスフィルタの構成を示す平面図、側面図、正面図、背面図である。
【図8】本発明の実施例のバンドパスフィルタの等価回路図である。
【図9】本発明の実施例のバンドパスフィルタのリターンロス特性および減衰量の周波数特性を示す図である。
【図10】本発明の実施例のバンドパスフィルタの他のリターンロス特性および減衰量の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例の可変コンデンサの構成を図1(a)(b)(c)に、分解組立図を図2に示す。図1(a)は本発明にかかる可変コンデンサの構成を示す正面図であり、図1(b)は本発明にかかる可変コンデンサの構成を示す側面図であり、図1(c)は本発明にかかる可変コンデンサの構成を示す背面図である。
図1(a)〜(c)および図2に示すように、本発明にかかる可変コンデンサ1はステータ部2とロータ部3とを備え、ステータ部2の誘電体板10とロータ部3のアース板20とが対向して配置されるように、その間を4本の支柱16で結合した構成とされている。本発明にかかる可変コンデンサ1を説明する前に、ステータ部2およびロータ部3の構成について説明する。
【0010】
ロータ部3の構成を図3(a)〜(d)に示す。図3(a)はロータ部3の構成を示す正面図であり、図3(b)はロータ部3の構成を示す側面図であり、図3(c)はロータ部3の構成を断面図で示す側面図であり、図3(d)はロータ部3の構成を示す背面図である。
これらの図に示すように、ロータ部3は一辺が長さH1とされている断面形状がほぼ正方形とされた所定の厚みの金属製のアース板20を有しており、アース板20の一面から断面形状が円形の軸受21が突出して形成されている。アース板20および軸受21のほぼ中央にはネジが切られたネジ穴が形成されており、アース板20の四隅にはそれぞれ挿通孔20aが形成され、挿通孔20aの間にそれぞれネジが切られた取付穴20cが形成されている。アース板20および軸受21に形成されたネジ穴には金属製とされた回転調整軸23においてネジが形成されているネジ部23aが螺合されて、回転調整軸23を回転させることにより、回転調整軸23はアース板20に対して出没自在とされている。ネジ部23aの端部に形成された溝部24dは、マイナスドライバー等を係合して回転調整軸23を回転させるための溝とされている。
【0011】
ネジ部23aから延伸している中央部23bは外径がφ2とされてネジ部23aより径が大きくされており、中央部23bからさらに先端部23cが延伸されて形成されている。先端部23cの外径は中央部23bより細くされている。そして、一端が閉じた円筒状とされているロータ導体22の閉じた面のほぼ中央にネジが切られたネジ穴が形成されており、このネジ穴に回転調整軸23のネジ部23aを螺合して中央部23bとネジ部23aとの境界に、ロータ導体22を螺着している。この際に、中央部23bを覆うようにロータ導体22が配置されるようになる。ロータ導体22の内径はφ2とされて、長さはL3とされている。
【0012】
次に、ステータ部2の構成を図4(a)〜(d)に示す。図4(a)はステータ部2の構成を示す正面図であり、図4(b)はステータ部2の構成を示す側面図であり、図4(c)はステータ部2の構成を断面図で示す側面図であり、図4(d)はステータ部2の構成を示す背面図である。
これらの図に示すように、ステータ部2は一辺が長さH1とされてアース板20と同様とされ、その断面形状がほぼ正方形とされた所定の厚みの絶縁性の誘電体板10を有している。そして、誘電体板10は例えば三フッ化樹脂等の耐熱性に優れた絶縁材料により作成されている。誘電体板10のほぼ中央に円形の摺動孔10aが形成されており、四隅にはそれぞれネジが挿通される嵌挿孔10bが形成されている。摺動孔10aには、回転調整軸23の先端部23cが挿通可能とされている。
【0013】
また、誘電体板10の一面に円筒状とされた金属製のステータ導体15が配置され、誘電体板10の他面には金属製のリング状電極11が配置されている。ステータ導体15の内径はφ3とされ外径はφ4とされており、その長さはL5とされている。内径φ3は回転調整軸23における中央部23bの外径φ2より大きく、外径φ4はロータ導体22の内径φ1より小さくされており、長さL5はロータ導体22の長さL3より若干短くされている。リング状電極11に形成された4つの挿通孔にそれぞれ挿通されたネジ13は、摺動孔10aの周囲に形成されている誘電体板10における4つの挿通孔にそれぞれ挿通されて、ステータ部2の円筒状の壁部に軸方向に形成された4つのネジ穴にそれぞれ螺着されている。これにより、誘電体板10の一面にステータ導体15が固着される。なお、ネジ13の一本にはラグ端子12を挿通した後にリング状電極11に挿通され、リング状電極11にラグ端子12が電気的に接続されている。ラグ端子12は、可変コンデンサ1から他の部品へ配線するための端子である。
【0014】
次に、本発明にかかる可変コンデンサ1の組み立て工程について図2を参照して説明する。
まず、ステータ部2の四隅に形成されている嵌挿孔10bのそれぞれに金属製の支柱の先端に形成されている細径部16aを嵌挿し、ネジ14にスプリングワッシャ17および平ワッシャ18を挿通して細径部16aから支柱16にネジ14を螺合していく。これにより、4本の支柱16が誘電体板10の一面に固着される。次いで、ロータ部3をステータ部2に挿入していく。この際に、回転調整軸23の先端部23cが誘電体板10に形成された摺動孔10aに挿通されると共に、回転調整軸23の中央部23bとロータ導体22との間の空間に非接触でステータ導体15が挿入されるようになる。
【0015】
そして、アース板20の四隅に形成された挿通孔20aに皿ネジ26をそれぞれ挿通して支柱16の他端にそれぞれ螺着する。これにより、ステータ部2の誘電体板10にロータ部3のアース板20が対面するように、ステータ部2にロータ部3を4本の支柱16により固着することができる。さらに、中央にネジが切られたネジ穴が形成されたロック用リング24をネジ部23aの端部から螺合していき、軸受21とロック用リング24とを所定間隙を持って対面させる。次いで、4本のロック用ネジ25のそれぞれにスプリングワッシャ27を挿通して、ロック用リング24のネジ穴の周囲に形成された挿通孔にそれぞれ挿通し、軸受21の周辺部に形成されているネジ穴21aにそれぞれ螺合させる。ロック用ネジ25を緩めている場合は、回転調整軸23を自由に回転させることができるが、ロック用ネジ25を締着すると回転調整軸23がロック用リング24の作用によりロックされて回転させることができないようになる。
【0016】
このようにして組み立てられた可変コンデンサ1が図1に示す構成の可変コンデンサ1とされる。図1に戻り、ロック用ネジ25を緩めておいて、回転調整軸23の溝部24dにマイナスドライバ等の先端を係合して、回転調整軸23を右回転させていくとロータ導体22が誘電体板10側に移動していき、ステータ導体15との対向面積が増加して静電容量が増加していくようになる。また、回転調整軸23を左回転させていくとロータ導体22がアース板20側に移動していき、ステータ導体15との対向面積が減少して静電容量が低減していくようになる。この際に、回転調整軸23の先端部23cは誘電体板10に形成されている摺動孔10aにより軸支され、ネジ部23aは軸受21により軸支されることから、回転調整軸23は芯振れを起こすことなく回転できるようになる。従って、本発明にかかる可変コンデンサ1においては、静電容量を安定して可変することができるようになる。静電容量を調整した後は、ロック用ネジ25を締着しておく。
【0017】
ここで、本発明にかかる可変コンデンサ1における最小容量の状態の構成を側面図および断面で示す側面図で図5(a)(b)に示す。これらの図に示す状態では、回転調整軸23を回転させることによりロータ導体22の閉じた面がアース板20に接触するまで右側に移動されており、ステータ導体15とロータ導体22とはほぼ対面していない状態とされている。この状態においても、回転調整軸23の先端部23cは摺動孔10aに軸支されていることが分かる。
また、本発明にかかる可変コンデンサ1における最大容量の状態の構成を側面図および断面で示す側面図で図6(a)(b)に示す。これらの図に示す状態では、回転調整軸23を回転させることによりロータ導体22の開放されている先端面が誘電体板10に接触するまで左側に移動されており、ステータ導体15とロータ導体22との対向面積が最も大きい状態とされている。
【0018】
次に、本発明にかかる可変コンデンサ1の寸法例について説明する。可変コンデンサ1における誘電体板10の外面からアース板20の外面までの長さL1は例えば約49mmとされ、誘電体板10の内面からアース板20の内面までの長さL2は例えば約42mmとされる。また、誘電体板10およびアース板20の一辺の長さH1は約46mmとされる。さらに、ステータ導体15の内径φ3は約14mm、外径φ4は約24mm、長さL5は約18mmとされ、ロータ導体22の内径φ1は約27mm、長さL3は約22mmとされている。さらに、回転調整軸23の中央部23bの外径φ2は約10mmとされている。このような寸法とされた可変コンデンサ1において、図5に示す状態の最小容量は約1pFとなり、図6に示す状態の最大容量は約12pFと大きな可変容量範囲となる。また、耐電圧試験の結果、スパーク開始電圧は5000V以上となり、市販されている可変コンデンサにおいては耐電圧が500〜1000Vであるのに対して、本発明にかかる可変コンデンサ1の耐電圧特性は大幅に改善されている。
【0019】
次に、本発明にかかる可変コンデンサ1を使用した本発明の実施例のバンドパスフィルタ(BPF)50の構成を図7(a)〜(d)に示す。図7(a)はBPF50の構成を一部破断して示す平面図であり、図7(b)はBPF50の構成を断面図で示す側面図であり、図7(c)はBPF50の構成を示す正面図であり、図7(d)はBPF50の構成を示す背面図である。また、本発明にかかるBPF50等価回路図を図8に示す。
これらの図に示すように、BPF50は金属製のケース51を有しており、ケース51の前面板には第1コネクタ54および第2コネクタ55が設けられている。第1コネクタ54は入力信号が入力される同軸端子であり、第2コネクタ55は出力信号が出力される同軸端子である。第1コネクタ54の中心導体は接続線53aにより第1共振用コイル53の中途に接続されている。第1共振用コイル53の一端の近傍はケース51の下面に固定された金属台56に固着されており、第1共振用コイル53の他端側はケース51の下面板に固定された絶縁台57に固着されている。金属台56により第1共振用コイル53の一端側がケース51にアースされている。
【0020】
第1共振用コイル53の他端は接続線53bにより、図1に示す可変コンデンサ1と同様の構成とされている第1可変コンデンサ52のラグ端子に接続されて、第1共振用コイル53と第1可変コンデンサ52とが直列に接続される。これにより、図8の等価回路図に示す第1ヘリカル型共振回路60が構成されている。また、ケース51の後面板から挿通されたネジが、第1可変コンデンサ52のアース板に形成されている取付穴に螺着されることにより、第1可変コンデンサ52はケース51内に取り付けられている。また、第2共振用コイル59と第2可変コンデンサ58とが直列に接続され、図8の等価回路図に示す第2ヘリカル型共振回路60が構成されている。第2コネクタ55は、図示してないが第2共振用コイル59の中途に接続されている。また、ケース51の後面板から挿通されたネジが、第2可変コンデンサ58のアース板に形成されている取付穴に螺着されることにより、第2可変コンデンサ58はケース51内に取り付けられている。
【0021】
第1ヘリカル型共振回路60と第2ヘリカル型共振回路61とは、その間に設けられている仕切り板に形成された結合窓51aを介して電磁気的に結合(M結合)されて、BPF50は2段のヘリカル型共振回路60,61からなるバンドパスフィルタとされている。2段のヘリカル型共振回路60,61における各段の共振周波数は、第1可変コンデンサ52および第2可変コンデンサ58により調整することができる。ケース51の寸法の一例を挙げると、ケース51の長さL10は約180mm、幅W10は約140mm、高さH10が約70mmとされている。第1可変コンデンサ52および第2可変コンデンサ58が約1pF〜約12pFで可変される時に、BPF50は54MHz〜76MHzの広い周波数帯域において共振可能となる。
【0022】
BPF50を54MHzに共振するよう第1可変コンデンサ52および第2可変コンデンサ58を調整した際の、BPF50におけるリターンロス特性および減衰量の周波数特性を図9に示す。図9を参照すると、54.000MHzにおいてリターンロスは約36.459dBが得られており、通過損失は約0.69830dBと良好な特性が得られている。また、減衰量は52.000 MHzにおいて約20.636dB、56.000MHzにおいて約20.130dB、50.000MHzにおいて約32.936dB、58.000MHzにおいて約32.227dBが得られている。
【0023】
また、BPF50を76MHzに共振するよう第1可変コンデンサ52および第2可変コンデンサ58を調整した際の、BPF50におけるリターンロス特性および減衰量の周波数特性を図10に示す。図10を参照すると、76.000MHzにおいてリターンロスは約28.752dBが得られており、通過損失は約0.73410dBと良好な特性が得られている。また、減衰量は74.000 MHzにおいて約20.322dB、78.000MHzにおいて約20.397dB、72.000MHzにおいて約32.768dB、80.000MHzにおいて約32.600dBが得られている。
なお、第2コネクタ55に入力信号を入力し、第1コネクタ54から出力信号を出力するようにしても、BPF50は前述した通りに動作する。また、本発明にかかるBPF50においても、スパーク開始電圧は5000V以上となり、耐電圧特性は大幅に改善されている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上説明した本発明の可変コンデンサにおいて、誘電体板10の硬度が低い場合は、摺動孔10aの周囲に形成されている誘電体板10における4つの挿通孔にそれぞれ誘電体板10の厚さと同じ長さの金属リングを圧入しておいてもよい。このようにすると、ネジ13を締着した際に、その圧力で誘電体板10が変形しない構造とできる。
また、本発明の可変コンデンサにおいて、回転調整軸における先端部の外径が細くされていることから、図5に示す状態における可変コンデンサの最小容量を小さくすることができ、回転調整軸における中央部の外径を大きくしたことから、図6に示す状態における可変コンデンサの最大容量を大きくすることができるようになる。
【符号の説明】
【0025】
1 可変コンデンサ、2 ステータ部、3 ロータ部、10 誘電体板、10a 摺動孔、10b 嵌挿孔、11 リング状電極、12 ラグ端子、13 ネジ、14 ネジ、15 ステータ導体、16 支柱、16a 細径部、17 スプリングワッシャ、18 平ワッシャ、20 アース板、20a 挿通孔、20c 取付穴、21 軸受、21a ネジ穴、22 ロータ導体、23 回転調整軸、23a ネジ部、23b 中央部、23c 先端部、24 ロック用リング、24d 溝部、25 ロック用ネジ、26 皿ネジ、27 スプリングワッシャ、51 ケース、51a 結合窓、52 第1可変コンデンサ、53 第1共振用コイル、53a 接続線、53b 接続線、54 第1コネクタ、55 第2コネクタ、56 金属台、57 絶縁台、58 第2可変コンデンサ、59 第2共振用コイル、60 第1ヘリカル型共振回路、61 第2ヘリカル型共振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ部とロータ部とを複数本の支柱により結合して構成された可変コンデンサであって、
前記ステータ部は、
断面形状がほぼ正方形とされた絶縁性の誘電体板と、
該誘電体板の一面に取り付けられた円筒状とされた金属製のステータ導体とを備え、
前記ロータ部は、
前記誘電体板とほぼ同形状とされ、一面に軸受が設けられている金属製のアース板と、
前記軸受に形成されているネジに螺合されて、前記アース板に対して出没自在とされたネジ部と、該ネジ部から延伸されている径が大きくされた中央部と、該中央部から延伸されている径が細くされた先端部とを有する金属製とされている回転調整軸と、
一端が閉じた円筒状とされ、前記回転調整軸における前記中央部とほぼ同軸に配置され、前記中央部を覆うように前記回転調整軸に固着された金属製のロータ導体とを備え、
前記誘電体板と前記アース板とが所定間隔で対面するように、前記誘電体板と前記アース板との四隅を前記支柱によりそれぞれ結合させた際に、前記ステータ導体が、前記ロータ導体と前記中央部との間の空間内にほぼ同心円状に非接触で配置されると共に、前記先端部が、前記誘電体板のほぼ中央に形成されている摺動孔内に挿通されて軸支され、前記回転調整軸を回転させることにより、前記ロータ導体および前記中央部と前記ステータ導体との対向面積が変化して静電容量が変化することを特徴とする可変コンデンサ。
【請求項2】
前記軸受に所定間隙を持って対面して設けられると共に、前記ネジ部に螺合するリング状とされたロック用リングが前記軸受にロック用ネジで取り付けられており、該ロック用ネジを締着することにより、前記ネジ部が前記軸受に対して回転できないようロックされることを特徴とする請求項1記載の可変コンデンサ。
【請求項3】
金属製のケース内に、請求項1または2記載の第1可変コンデンサと第1共振用コイルとが直列に接続された第1ヘリカル型共振回路と、請求項1または2記載の第2可変コンデンサと第2共振用コイルとが直列に接続された第2ヘリカル型共振回路とが収納されており、
入力信号が供給される前記第1ヘリカル型共振回路と、出力信号を出力する前記第2ヘリカル型共振回路とが電磁気的に結合していることを特徴とするバンドパスフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−82333(P2011−82333A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233274(P2009−233274)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】