説明

可変タービンジオメトリを有するターボチャージャのブレード支持リング組立体

本発明は、可変タービンジオメトリを有するターボチャージャに関する。前記ターボチャージャは、ブレード支持リング(2)と、流路(4)を形成するようにブレード支持リング(2)に固定されることが可能なディスク(3)と、を有するブレード支持リング組立体(1)を備え、また、少なくとも1つの支持ピン(5)を備え、その1つの第1端部(6)はブレード支持リング(2)に接続され、その第2端部(7)はディスク(3)に接続される。支持ピンの両端は、ブレード支持リング(2)及びディスク(3)に突き合せ溶接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の可変タービンジオメトリ(VTG)を有するターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
EP−A−1 236 866号明細書から既知であるこのタイプのターボチャージャのVTGカートリッジは、タービンハウジング側に、ブレード(羽根)及びレバーを有する固定子ユニットとディスクとを備える。一般的なタイプのターボチャージャでは、ディスクは、ねじ又は溶接によりブレード支持リング組立体のブレード支持リングに締結される。ブレード支持リングとディスクとの間に形成されかつVTGのブレードが位置する流路に対し、所定の幅を設定するのを可能にするために、溶接接続の場合、溶接後に再び取り除くことができるスペーサスリーブが必要である。しかしながら、顕著な熱の導入の結果として、溶接によりディスクの歪みがもたらされる可能性がある。ディスクの歪みにより、それによってブレードとディスクとの間にもたらされる局部的な間隙低減の結果として、ブレードが詰まって動かなくなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、請求項1の前文において規定されるタイプのターボチャージャであって、可能な限り歪みなしにディスクをブレード支持リングに接続する溶接接続をもたらすことが可能であり、その結果、ねじによる接続の場合と同様に常に一定の間隔がもたらされる、ターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
本発明によるブレード支持リング組立体は、従属請求項2によって定義される。
【0006】
本発明によるターボチャージャ用のブレード支持リング組立体を製造するための、本発明による方法は、請求項3〜請求項5において規定される。
【0007】
保持ピンは、それらによって生じる流れ断面を低減するとともに関連する流れの渦を最小限に留めるために、数ミリメートルの非常に小さい径を有することが好ましい。
【0008】
本発明のさらなる詳細、利点及び特徴は、添付図面を使用して例示的な実施形態の以下の説明からもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
可変タービンジオメトリを有するターボチャージャの構造詳細すべての完全な説明は、本発明による構造原理の以下の説明に対して必要ではないため、図1には、本発明によるターボチャージャ15の基本構成要素のみを示し、そのターボチャージャ15は、従来のように、コンプレッサハウジング17内のコンプレッサインペラ16と、シャフト19に対し必要な軸受を備えた軸受ハウジング18と、タービンハウジング21内のタービンホイール20と、を有する。残りの部品は、本発明の原理を完全に説明するために、本発明の説明には必要ではないが、当然ながら設けられる。
【0010】
したがって、図2は、本発明によるターボチャージャのブレード支持装置1のみを示す。ブレード支持組立体1は、ブレード支持リング2を有し、その上には、ディスク3が所定の間隔で配置される。ディスク3は、ブレード支持リング2と同じ材料から構成されることが好ましく、上述したように、流路4を画定することが可能であるように、正確な軸方向間隙を設定する役割を果たす。
【0011】
ディスク3をブレード支持リング2に締結するために、少なくとも1つ、しかしながら一般に複数の保持ピンが設けられ、図2にはそのうちの1つの保持ピン5を示す。保持ピン5は、第1端部6及び第2端部7を有する。流路4に配置されるシャンク部9は、取付状態において端部6と端部7との間に配置される。
【0012】
本発明による方法によれば、本発明による上述したブレード支持リング組立体1を製造するために、ブレード支持リング2、ブレードシャフト、レバー、及び通常提供される他の部品に対する従来の製造ステップに加えて、ブレード支持リング2及びディスク3に、各場合、1つ又は複数の保持ピン5に対し好ましくは平坦な締結領域12及び13が設けられる。
【0013】
その後、ディスク3をブレード支持リング2に固定するために、まず、保持ピン5の第1端部6がブレード支持リング2に突き合せて接続され、すなわち、ほぼ平坦な端部6が、好ましくは平坦な締結領域12の上に、好ましくは位置決め器具8を用いて配置され(図3A)、その後、締結領域12に接続、好ましくは溶接される(図3B)。そして、ブレード支持リング2とディスク3との間の所定の間隔を設定することが可能になるように、図3Bに示す1つ又は複数の間隔体11が、ブレード支持リング2とディスク3との間に挿入される。そして、保持ピン5の第2のほぼ平坦な端部7が、ディスク3の関連する好ましくは平坦な締結領域13に接続、好ましくは溶接され、1つ又は複数の間隔体11が除去される。ここでは、本発明によれば、まずブレード支持リング又はディスク3のいずれかが保持ピン端部のうちの一方に接続され、その後、他方の保持ピン端部がそれぞれの他方の側(すなわち、ディスク又はブレード支持リングのいずれか)に接続されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるターボチャージャの斜視図を示す。
【図2】本発明によるターボチャージャ用のブレード支持組立体の断面図を示す。
【図3A】本発明による方法を説明するために図2の細部Xを拡大図で示す。
【図3B】本発明による方法を説明するために図2の細部Xを拡大図で示す。
【図3C】本発明による方法を説明するために図2の細部Xを拡大図で示す。
【符号の説明】
【0015】
1 ブレード支持リング組立体
2 ブレード支持リング
3 ディスク
4 流路
5 1つ又は複数の保持ピン
6 保持ピン5の第1端部
7 保持ピン5の溶接されるべき第2端部
8 位置決め器具
9 シャンク部
10
11 スペーサ片/体
12 2の平坦締結領域
13 3の平坦締結領域
14、14’ 溶接ゾーン
15 ターボチャージャ
16 コンプレッサインペラ
17 コンプレッサハウジング
18 軸受ハウジング
19 シャフト
20 タービンホイール
21 タービンハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−ブレード支持リング(2)と、流路(4)を形成するために前記ブレード支持リング(2)に固定されることが可能なディスク(3)と、を有するブレード支持リング組立体(1)と、
−前記ブレード支持リング(2)に第1端部(6)によって接続され、かつ前記ディスク(3)に第2端部(7)によって接続される、少なくとも1つの保持ピン(5)と
を有する、可変タービンジオメトリを有するターボチャージャであって、
前記保持ピン(5)の両端部(6、7)が、それぞれ前記ブレード支持リング(2)及び前記ディスク(3)に突き合せて溶接されることを特徴とする、ターボチャージャ。
【請求項2】
−ブレード支持リング(2)と、流路(4)を形成するために前記ブレード支持リング(2)に固定されることが可能なディスク(3)と、
−前記ブレード支持リング(2)に第1端部(6)によって接続され、かつ前記ディスク(3)に第2端部(7)によって接続される、少なくとも1つの保持ピン(5)と
を有する、可変タービンジオメトリを有するターボチャージャ用のブレード支持リング組立体(1)であって、
前記保持ピン(5)の両端部(6、7)が、それぞれ前記ブレード支持リング(2)及び前記ディスク(3)に突き合せて溶接されることを特徴とする、ブレード支持リング組立体。
【請求項3】
ターボチャージャ用のブレード支持リング組立体(1)を製造する方法であって、
−1つ又は複数の保持ピン(5)の第1端部(6)を、ブレード支持リング(2)の好ましくは平坦な締結領域(12)に、又はディスクに、材料間接続によって締結するステップと、
−前記ブレード支持リング(2)と前記ディスク(3)との間にスペーサ体(11)を配置するステップと、
−前記保持ピン(5)の第2端部(7)を、前記ディスク(3)の同様に好ましくは平坦な締結領域(13)に、又は前記ブレード支持リング(2)に、材料間接続によって締結するステップと、
−前記保持ピン(5)の前記端部(6、7)の締結後に前記スペーサ体(11)を除去するステップと
を特徴とする方法。
【請求項4】
溶接部(14、14’)が、材料間接続として使用されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
熱伝導性でないスペーサ体(11)が使用されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate


【公表番号】特表2009−526938(P2009−526938A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554672(P2008−554672)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001291
【国際公開番号】WO2007/093406
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー・インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】