説明

可搬型放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システム

【課題】放射線画像の画質の低下を抑制することができる可搬型放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】電子カセッテ20が、放射線検出器40とカセッテ制御部120とを接続するフレキシブル基板46と、フレキシブル基板46の振動の大きさを測定する振動センサ48と、振動センサ48により測定された振動の大きさが予め定められた閾値を上回っている間、画像情報の読み取りを停止するカセッテ制御部120と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(thin film transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(flat panel detector)が実用化されており、このFPD等を用いて、照射された放射線により表わされる放射線画像を示す画像情報を生成し、生成した画像情報を予め定められた記憶領域に記憶することにより撮影を行う可搬型放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」とも言う。)が実用化されている。
【0003】
ところで、この種の電子カセッテでは、FPDと当該FPDから画像情報を読み取る読取装置とがフレキシブル基板で接続されている。従って、電子カセッテが振動すると、これに伴って電子カセッテの内部でフレキシブル基板が振動してフレキシブル基板と当該フレキシブル基板の周辺部材との距離が変化し、フレキシブル基板及び周辺部材により形成される浮遊容量を介してノイズがフレキシブル基板を伝送中の画像情報に重畳され、当該画像情報により示される放射線画像の画質が低下する場合がある。
【0004】
そこで、フレキシブル基板の振動を抑えるために特許文献1の技術が発明された。すなわち、特許文献1には、画像情報を担持する放射線の照射を受けて前記画像情報を記録し、読取光で走査されることにより記録した前記画像情報を表す画像信号を出力する放射線固体検出器と、該放射線固体検出器に読取光を照射する読取光光源と、前記放射線固体検出器から出力された画像信号の処理を行う信号処理基板と、前記放射線固体検出器と前記信号処理基板とを接続するフレキシブル基板と、環状部を有し、該環状部の上面において前記放射線固体検出器を保持し、前記環状部の内側に前記読取光光源を収容し、前記環状部の外側面において前記フレキシブル基板を保持する基台と、該基台に保持され、前記読取光光源を走査移動させる駆動手段とを、筐体内に収容してなることを特徴とする放射線検出用カセッテが開示されている。
【特許文献1】特開2007−155433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術でも、フレキシブル基板の振動を皆無にすることはできず、フレキシブル基板が振動した際の放射線画像の画質の低下を避けることができない、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、放射線画像の画質の低下を抑制することができる可搬型放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置は、被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換する放射線検出手段と、前記放射線検出手段から画像情報を読み取る読取手段と、前記放射線検出手段と前記読取手段とを接続するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、前記読取手段による読み取りを停止する停止手段と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置によれば、放射線検出手段により、被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換され、読取手段により、前記放射線検出手段から画像情報が読み取られる。
【0009】
また、本発明では、フレキシブル基板により前記放射線検出手段と前記読取手段とが接続される。
【0010】
そして、本発明では、停止手段により、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、前記読取手段による読み取りが停止される。
【0011】
このように、請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置によれば、フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、画像情報の読み取りが停止されるので、放射線画像の画質の低下を抑制することができる。
【0012】
なお、請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置は、請求項2に記載の発明のように、前記フレキシブル基板に対峙する予め定められた部材と前記フレキシブル基板との距離の単位時間あたりの変化量を測定する測定手段を更に含み、前記停止手段が、前記測定手段により測定された変化量が予め定められた変化量を上回ったことをもって前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回ったと判断するものとしてもよい。これにより、フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったか否かを容易に判断することができる。
【0013】
また、請求項1に記載の可搬型放射線画像撮影装置は、請求項3に記載の発明のように、前記フレキシブル基板の振動の大きさを測定する測定手段を更に含み、前記停止手段が、前記測定手段により測定された振動の大きさが予め定められた振動の大きさを上回ったことをもって前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回ったと判断するものとしてもよい。これにより、フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったか否かを容易に判断することができる。
【0014】
また、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の可搬型放射線画像撮影装置は、請求項4に記載の発明のように、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている時間が予め定められた時間を超えた場合に予め定められた表示を行う表示手段を更に含むものとしてもよい。これにより、ユーザは、画像情報の読み取りが停止されていることを容易に知ることができる。
【0015】
一方、上記目的を達成するために、請求項5に記載の放射線画像撮影システムは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の可搬型放射線画像撮影装置と、前記可搬型放射線画像撮影装置との間で通信を行うことにより前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている時間が予め定められた時間を超えた場合に予め定められた表示を行う通信装置と、を含んで構成されている。
【0016】
従って、本発明の放射線画像撮影システムは、本発明の請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の可搬型放射線画像撮影装置と同様に作用するので、当該可搬型放射線画像撮影装置と同様の効果を得ることができる。また、ユーザは、通信装置による予め定められた表示を視認することにより、画像情報の読み取りが停止されていることを容易に知ることができる。
【0017】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載の放射線画像撮影システムは、被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換する放射線検出手段と、前記放射線検出手段から画像情報を読み取る読取手段と、前記放射線検出手段と前記読取手段とを接続するフレキシブル基板と、を有する可搬型放射線画像撮影装置と、前記可搬型放射線画像撮影装置との間で通信を行うことにより前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったことを認識し、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている間、撮影が禁止されるように撮影に関連する機器を制御する通信装置と、を含んで構成されている。
【0018】
請求項6に記載の放射線画像撮影システムによれば、可搬型放射線画像撮影装置では、放射線検出手段により、被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換され、読取手段により、前記放射線検出手段から画像情報が読み取られる。
【0019】
また、本発明の可搬型放射線画像撮影装置では、フレキシブル基板により前記放射線検出手段と前記読取手段とが接続される。
【0020】
そして、本発明では、通信装置により、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったことが認識され、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている間、撮影が禁止されるように撮影に関連する機器が制御される。
【0021】
このように、請求項7に記載の可搬型放射線画像撮影装置によれば、フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、撮影が禁止されるので、放射線画像の画質の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、放射線画像の画質の低下を抑制することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0024】
〔第1の実施形態〕
【0025】
先ず、本実施形態に係る放射線画像撮影システム10(以下、「撮影システム10」とも称する。)の構成について説明する。図1には、本実施形態に係る撮影システム10を配置した様子の一例として、撮影システム10が手術室内に設置された様子が示されている。
【0026】
撮影システム10は、医師12や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行うものである。撮影システム10は、患者14が載置される手術台16と、撮影条件に従った放射線量からなる放射線Xを患者14に照射する放射線照射装置18と、患者14を透過した放射線Xを検出し、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報を予め定められた記憶領域に記憶することにより撮影を行う電子カセッテ20と、電子カセッテ20で撮影して得られた放射線画像を表示する表示装置22と、電子カセッテ20に内蔵されるバッテリ50(図3参照。)を充電するクレードル24と、放射線照射装置18、電子カセッテ20及び表示装置22を制御するコンソール26と、を備えている。なお、本実施形態に係る撮影システム10では、放射線照射装置18、電子カセッテ20及び表示装置22と、コンソール26との間で、電波による無線通信が行われるが、これに限らず、赤外線等を用いた光無線通信が行われてもよい。
【0027】
図1に示される手術室では、撮影システム10に加えて、医師12が手術に使用する各種器具が載置される器具台28が手術台16の側部に配置される。また、手術台16の周りには、麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される(これらの機器は、図1では省略されている。)。
【0028】
放射線照射装置18は、自在アーム30に連結され、患者14の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師12による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、表示装置22は、自在アーム32に連結され、撮影された放射線画像を医師12が容易に確認できる位置に移動可能である。
【0029】
図2には、本第1の実施形態に係る電子カセッテ20の構成を示す概略断面図が示されている。
【0030】
同図に示すように、電子カセッテ20は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体34を備えている。電子カセッテ20は、放射線Xが照射される筐体34の照射面として、患者14による放射線Xの散乱線を除去するグリッド35を備えている。筐体34の内部には、撮影装置36が収納されており、撮影装置36を構成する部材として、放射線Xが照射される筐体34の照射面側から、パネル状に形成されており、患者14を透過した放射線Xを検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報を保持する放射線検出器40と、筐体34の内壁に固定されており、放射線検出器40を固定する基台42と、基台42の裏面(放射線検出器40が固定されている面の裏面)に固定されており、放射線検出器40により保持されている画像情報を読み取り、当該画像情報に対して予め定められた処理を施す電子部品44aを搭載した回路基板44と、が順に配設されている。回路基板44は、フレキシブル基板46によって放射線検出器40に接続されている。フレキシブル基板46は、放射線検出器40から画像情報を読み出すための後述するゲート配線100及びデータ配線102を含んで構成されており、放射線検出器40の外周に複数配置されている。各フレキシブル基板46は基台42の側方を通り基台42の裏面に配置された回路基板44まで引き回されている。また、各フレキシブル基板46には、当該フレキシブル基板46の振動の大きさを測定する振動センサ48が取り付けられている。
【0031】
図3には、本第1の実施形態に係る撮影システム10の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0032】
電子カセッテ20に内蔵された放射線検出器40は、TFTアクティブマトリクス基板90上に、放射線Xを吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線Xが照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線Xを電荷へ変換する。なお、放射線検出器40は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換する放射線-電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換しても良い。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GOS)やヨウ化セシウム(CsI)が良く知られている。この場合、蛍光材料によって放射線X−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行う。
【0033】
また、TFTアクティブマトリクス基板90上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量92と、蓄積容量92に蓄積された電荷を読み出すためのTFT94とを備えた画素部96(図3では個々の画素部96に対応する光電変換層を光電変換部98として模式的に示している。)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ20への放射線Xの照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部96の蓄積容量92に蓄積される。これにより、電子カセッテ20に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器40に保持される。
【0034】
また、TFTアクティブマトリクス基板90には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部96のTFT94をオンオフさせるための複数本のゲート配線100と、ゲート配線100と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT94を介して蓄積容量92から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線102が設けられている。個々のゲート配線100はゲート線ドライバ104に接続されており、個々のデータ配線102は信号処理部110に接続されている。個々の画素部96の蓄積容量92に電荷が蓄積されると、個々の画素部96のTFT94は、ゲート線ドライバ104からゲート配線100を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT94がオンされた画素部96の蓄積容量92に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線102を伝送されて信号処理部110に入力される。従って、個々の画素部96の蓄積容量92に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0035】
図4には、本実施形態に係る放射線検出器40の1画素部分に注目した等価回路図が示されている。
【0036】
同図に示すように、TFT94のソースは、データ配線102に接続されており、このデータ配線102は、信号処理部110に接続されている。また、TFT94のドレインは蓄積容量92及び光電変換部98に接続され、TFT94のゲートはゲート配線100に接続されている。
【0037】
信号処理部110は、個々のデータ配線102毎にサンプルホールド回路112を備えている。個々のデータ配線102を伝送された電荷信号はサンプルホールド回路112に保持される。サンプルホールド回路112はオペアンプ112Aとコンデンサ112Bを含んで構成され、電荷信号をアナログ電圧に変換する。また、サンプルホールド回路112にはコンデンサ112Bの両電極をショートさせ、コンデンサ112Bに蓄積された電荷を放電させるリセット回路としてスイッチ112Cが設けられている。
【0038】
サンプルホールド回路112の出力側にはマルチプレクサ114、A/D変換器116が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はアナログ電圧に変換されてマルチプレクサ114に順に(シリアルに)入力され、A/D変換器116によってデジタルの画像情報へ変換される。
【0039】
信号処理部110にはラインメモリ118が接続されており(図3参照。)、信号処理部110のA/D変換器116から出力された画像情報はラインメモリ118に順に記憶される。ラインメモリ118は放射線画像を示す画像情報を所定ライン分記憶可能な記憶容量を有しており、1ラインずつ電荷の読み出しが行われる毎に、読み出された1ライン分の画像情報がラインメモリ118に順次記憶される。
【0040】
ラインメモリ118は電子カセッテ20全体の動作を制御するカセッテ制御部120と接続されている。カセッテ制御部120はマイクロコンピュータによって実現されており、無線通信制御部122が接続されている。この無線通信制御部122は、アンテナ20Aに接続されており、アンテナ20Aを介して外部機器との間での各種情報の伝送の制御を行う。
【0041】
また、カセッテ制御部120には振動センサ48が接続されている。従って、カセッテ制御部120は、振動センサ48により測定された振動の大きさを把握することができる。
【0042】
また、カセッテ制御部120には予め定められた可聴表示を行うためのスピーカ121が接続されている。従って、カセッテ制御部120は、予め定められた可聴表示が行われるようにスピーカ121を制御することができる。
【0043】
更に、電子カセッテ20は、充電可能な二次電池であるバッテリ50を備えており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ104、信号処理部110、ラインメモリ118、無線通信制御部122やカセッテ制御部120として機能するマイクロコンピュータ)は、バッテリ50から供給された電力によって作動する。
【0044】
一方、コンソール26は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ136(図1も参照。)と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル140(図1も参照。)と、を備えている。
【0045】
また、コンソール26は、装置全体の動作を司るCPU128と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM130と、各種データを一時的に記憶するRAM132と、各種データを記憶して保持するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)134と、ディスプレイ136への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ138と、操作パネル140に対する操作状態を検出する操作入力検出部142と、アンテナ26Aに接続され、アンテナ26Aを介して放射線照射装置18との間で曝射条件や放射線照射装置18の状態情報等の各種情報の無線通信を行うと共に、アンテナ26Bに接続され、アンテナ26Bを介して電子カセッテ20との間で画像情報等の各種情報の無線通信を行う無線通信制御部144と、を備えている。
【0046】
CPU128、ROM130、RAM132、HDD134、ディスプレイドライバ138、操作入力検出部142及び無線通信制御部144は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU128は、ROM130、RAM132、HDD134へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ138を介したディスプレイ136への各種情報の表示の制御、操作入力検出部142を介した操作パネル140に対するユーザの操作状態の把握、無線通信制御部144を介した放射線照射装置18及び電子カセッテ20との各種情報の送受信の制御、を各々行うことができる。
【0047】
一方、放射線照射装置18は、放射線Xを出力する放射線源152と、アンテナ18Aに接続され、アンテナ18Aを介してコンソール26との間で曝射条件や放射線照射装置18の状態情報等の各種情報の無線通信を行う無線通信制御部154と、受信した曝射条件に基づいて放射線源152を制御する線源制御部156と、を備えている。線源制御部156もマイクロコンピュータによって実現されており、受信した曝射条件を記憶し、記憶した曝射条件に基づいて放射線源152から放射線Xを照射させる。
【0048】
次に、図5を参照して、カセッテ制御部120が放射線検出器40に保持されている画像情報の読み取りを行っているときの電子カセッテ20の処理ルーチンを説明する。なお、図5は、この際に電子カセッテ20のカセッテ制御部120によって実行される電子カセッテ制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはカセッテ制御部120を実現しているマイクロコンピュータに含まれるメモリの所定領域に予め記憶されている。
【0049】
同図のステップ200では、少なくとも1つのフレキシブル基板46の振動の大きさが予め定められた振動の大きさ(一例として、フレキシブル基板46を伝送中の画像情報にノイズが重畳されることが予想される振動の大きさ)を上回るまで待機する。すなわち、少なくとも1つのフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値(一例として、フレキシブル基板46を伝送中の画像情報にノイズが重畳されることが予想されるフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量)を上回るまで待機する。
【0050】
次のステップ202では、放射線検出器40により保持されている画像情報の読み取りを停止し、次のステップ203にて、フレキシブル基板46の振動の大きさが予め定められた閾値を上回っている時間が所定時間(例えば、2秒)経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ204へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ204の処理を行わずにステップ206へ移行する。
【0051】
ステップ204では、予め定められた可聴表示が行われるようにスピーカ121を制御する。すなわち、予め定められた音声(一例として、「画像情報の読み取り停止中」との音声)或いはアラーム音を出力させるようにスピーカ121を制御する。なお、本実施形態では、スピーカ121を用いて可聴表示を行っているが、これに限らず、有機ELディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)などの可視表示装置を用いて予め定められた可視表示(画像情報の読み取りが停止していることを示す情報の可視表示)を行ったり、記録紙に印字することによる永久可視表示(画像情報の読み取りが停止していることを示す情報の永久可視表示)を行っても良い。また、コンソール26のディスプレイ136を用いて上述した予め定められた可視表示を行ってもよいし、コンソール26にスピーカを設置し、当該スピーカを用いて上述した予め定められた可聴表示を行ってもよいし、コンソール26にプリンタを設置し、当該プリンタを用いて上述した予め定められた永久可視表示を行ってもよい。更に、電子カセッテ20及びコンソール26の少なくとも一方において、上記可視表示、可聴表示及び永久可視表示の複数を組み合わせても良い。
【0052】
次のステップ206では、各フレキシブル基板46の振動の大きさが上記予め定められた振動の大きさ以下になっているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ202へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ208へ移行する。
【0053】
ステップ208では、放射線検出器40により保持されている画像情報の読み取りを再開し、次のステップ209にて、スピーカ121に対して可聴表示を行わせているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ210へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ210の処理を実行せずに本電子カセッテ制御処理プログラムを終了する。
【0054】
ステップ210では、予め定められた可聴表示が停止されるようにスピーカ121を制御した後、本電子カセッテ制御処理プログラムを終了する。
【0055】
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態に係る電子カセッテ20は、患者14を透過した放射線Xを検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換する放射線検出器40と、放射線検出器40から画像情報を読み取るカセッテ制御部120と、放射線検出器40とカセッテ制御部120とを接続するフレキシブル基板46と、フレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、画像情報の読み取りを停止するカセッテ制御部120と、を備えているので、放射線画像の画質の低下を抑制することができる。
【0056】
また、本第1の実施形態に係る電子カセッテ20は、振動センサ48により測定された振動の大きさが予め定められた振動の大きさを上回ったことをもってフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったと判断しているので、フレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったか否かを容易に判断することができる。
【0057】
また、本第1の実施形態に係る電子カセッテ20は、振動センサ48により測定された振動の大きさが予め定められた閾値を上回っている時間が予め定められた時間を超えた場合に予め定められた表示を行うスピーカ121を備えているので、ユーザは、画像情報の読み取りが停止されていることを容易に知ることができる。
【0058】
〔第2の実施形態〕
【0059】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本第2の実施形態に係る撮影システムの構成は、電子カセッテの一部の構成を除いて上記第1の実施形態に係る撮影システム10と同様であるので、ここでの説明は省略する。本第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0060】
図6には、本第2の実施形態に係る電子カセッテ20Bの構成を示す概略断面図が示されている。また、図7には本第2の実施形態に係る撮影システム10Bの要部構成を示すブロック図が示されている。
【0061】
図6及び図7に示すように、電子カセッテ20Bは、上記第1の実施形態で説明した電子カセッテ20と比較して、振動センサ48に代えて、筐体34の内壁34Aに向けて光を発する発光部250A及び内壁34Aで反射された光を受光する受光部250Bを有する反射型フォトセンサ250が適用されている点のみが異なっている。
【0062】
次に、図8を参照して、カセッテ制御部120が放射線検出器40に保持されている画像情報の読み取りを行っているときの電子カセッテ20Bの処理ルーチンを説明する。なお、図8は、この際に電子カセッテ20Bのカセッテ制御部120によって実行される電子カセッテ制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはカセッテ制御部120を実現しているマイクロコンピュータに含まれるメモリの所定領域に予め記憶されている。
【0063】
同図のステップ300では、少なくとも1つのフレキシブル基板46と内壁34Aとの距離の単位時間あたりの変化量が予め定められた変化量(一例として、フレキシブル基板46を伝送中の画像情報にノイズが重畳されることが予想されるフレキシブル基板46と内壁34Aとの距離の単位時間あたりの変化量)を上回るまで待機する。すなわち、少なくとも1つのフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値(一例として、フレキシブル基板46を伝送中の画像情報にノイズが重畳されることが予想されるフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量)を上回るまで待機する。なお、本第2の実施形態に係る電子カセッテ20Bでは、フレキシブル基板46と内壁34Aとの距離に対応する物理量として反射型フォトセンサ250の受光部250Bで受光される受光量を適用している。
【0064】
次のステップ302では、放射線検出器40により保持されている画像情報の読み取りを停止し、次のステップ304にて、各フレキシブル基板46と内壁34Aとの距離の単位時間あたりの変化量が予め定められた変化量以下になっているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ302へ戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ306へ移行する。
【0065】
ステップ306では、放射線検出器40により保持されている画像情報の読み取りを再開した後、本電子カセッテ制御処理プログラムを終了する。
【0066】
以上詳細に説明したように、本第2の実施形態に係る電子カセッテ20Bは、フレキシブル基板46の周辺の予め定められた部材(ここでは、内壁34A)とフレキシブル基板46との距離の単位時間あたりの変化量を測定し、測定した変化量が予め定められた変化量を上回ったことをもってフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったと判断しているので、フレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったか否かを容易に判断することができる。
【0067】
以上、本発明を上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の主旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0068】
また、上記各実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、また、上記各実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における状況に応じた組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0069】
例えば、上記第2の実施形態では、反射型フォトセンサ250により受光量を測定することによりフレキシブル基板46と内壁34Aとの距離を測定するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図9に示すように、内蔵されたリターンスプリングによって外方に突出するように付勢された押圧部350Aを有するマイクロスイッチ350を、押圧部350Aの先端がフレキシブル基板46に対向するように内壁34Aに設け、フレキシブル基板46が振動した際に当該フレキシブル基板46によって押圧部350Aが押圧され、マイクロスイッチ350がオンされることをもってフレキシブル基板46と内壁34Aとの距離が予め定められた距離になったと判断するようにしてもよい。
【0070】
また、上記第2の実施形態では、フレキシブル基板46に反射型フォトセンサ250を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、フレキシブル基板46に対向するように内壁34Aに反射型フォトセンサ250を設けてもよい。この場合、フレキシブル基板46の軽量化を図ることができる。
【0071】
また、上記第2の実施形態では、本発明の予め定められた部材として内壁34Aを適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、基台42を適用してもよい。この場合、光が基台42に向けて発せられるように反射型フォトセンサ250をフレキシブル基板46に取り付ける。このように、電子カセッテ20Bの構成部材であって、フレキシブル基板46との間で浮遊容量を形成し得る部材であれば如何なる部材も本発明の予め定められた部材として適用可能である。
【0072】
また、上記各実施形態では、フレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、画像情報の読み取りを停止する場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンソール26と電子カセッテ20との間で通信を行うことによりコンソール26に対してフレキシブル基板46の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったことを認識させ、当該変動量が当該閾値を上回っている間、撮影が禁止されるように撮影に関連する機器(一例として、放射線照射装置18)を制御するようにしてもよい。
【0073】
また、上記各実施形態では、フレキシブル基板46によって放射線検出器40と回路基板44とが接続されており、フレキシブル基板46と、放射線検出器40と、回路基板44とが別々になっているが、回路基板44とフレキシブル基板46とを一体製造してもよく、この場合も本発明は有効である。
【0074】
その他、上記各実施形態で説明した撮影システム10の構成(図1及び図3を参照。)、撮影システム10B(図7を参照。)、電子カセッテ20の構成(図2〜図4を参照。)及び電子カセッテ20Bの構成(図6及び図7を参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0075】
また、上記各実施形態で説明したプログラムの処理の流れ(図5及び図8を参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態に係る撮影システムが設置された手術室の様子を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る電子カセッテの構成を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る撮影システムの要部構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る放射線検出器の1画素部分に注目した等価回路図である。
【図5】第1の実施形態に係る電子カセッテ制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る電子カセッテの構成を示す概略断面図である。
【図7】第2の実施形態に係る撮影システムの要部構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態に係る電子カセッテ制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態に係る電子カセッテの他の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 放射線画像撮影システム
14 患者(被検体)
18 放射線照射装置
20 電子カセッテ
26 コンソール(通信装置)
34 筐体
34A 内壁
40 放射線検出器(放射線検出手段)
46 フレキシブル基板
48 振動センサ(測定手段)
120 カセッテ制御部(読取手段、停止手段)
121 スピーカ(表示手段)
136 ディスプレイ(表示手段)
250 反射型フォトセンサ(測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換する放射線検出手段と、
前記放射線検出手段から画像情報を読み取る読取手段と、
前記放射線検出手段と前記読取手段とを接続するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回っている間、前記読取手段による読み取りを停止する停止手段と、
を含む可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記フレキシブル基板に対峙する予め定められた部材と前記フレキシブル基板との距離の単位時間あたりの変化量を測定する測定手段を更に含み、
前記停止手段は、前記測定手段により測定された変化量が予め定められた変化量を上回ったことをもって前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回ったと判断する請求項1記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記フレキシブル基板の振動の大きさを測定する測定手段を更に含み、
前記停止手段は、前記測定手段により測定された振動の大きさが予め定められた振動の大きさを上回ったことをもって前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回ったと判断する請求項1記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている時間が予め定められた時間を超えた場合に予め定められた表示を行う表示手段を更に含む請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の可搬型放射線画像撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の可搬型放射線画像撮影装置と、
前記可搬型放射線画像撮影装置との間で通信を行うことにより前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている時間が予め定められた時間を超えた場合に予め定められた表示を行う通信装置と、
を含む放射線画像撮影システム。
【請求項6】
被検体を透過した放射線を検出して、検出した放射線量に応じた放射線画像を示す画像情報に変換する放射線検出手段と、前記放射線検出手段から画像情報を読み取る読取手段と、前記放射線検出手段と前記読取手段とを接続するフレキシブル基板と、を有する可搬型放射線画像撮影装置と、
前記可搬型放射線画像撮影装置との間で通信を行うことにより前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が予め定められた閾値を上回ったことを認識し、前記フレキシブル基板の単位時間あたりの変動量が前記閾値を上回っている間、撮影が禁止されるように撮影に関連する機器を制御する通信装置と、
を含む放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−127903(P2010−127903A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306558(P2008−306558)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】