説明

可溶性エポキシドヒドロラーゼ阻害剤

尿素化合物、その立体異性体、または薬学的に受容可能な塩、および可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害する組成物、これらの化合物および組成物を調製するための方法、ならびにこのような化合物および組成物を用いて患者を処置するための方法が開示される。これらの化合物、組成物、および方法は、高血圧症、心血管疾患、炎症性疾患、肺疾患、および糖尿病関連疾患が挙げられる、種々のsEH媒介疾患を処置するために有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法のもとで、2006年10月20日に出願された仮特許出願番号60/853,226、および2007年3月13日に出願された仮特許出願番号60/894,639の利益を主張する。これらの仮特許出願の両方は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、薬化学の分野に関する。本明細書において、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を阻害する尿素化合物、このような化合物を含む薬学的組成物、該化合物および製剤を調製する方法、ならびにこのような化合物および組成物で患者を処置する方法が提供される。該化合物、組成物、および方法は、高血圧疾患、心血管疾患、炎症性疾患、肺疾患および糖尿病関連疾患を含む、様々なsEH媒介疾患を処置するために有用である。
【背景技術】
【0003】
(技術水準)
アラキドン酸カスケードは、様々な細胞外および/または細胞内シグナルに応答してアラキドン酸が原形質膜の脂質貯蔵から遊離される、広範に分布する脂質シグナル伝達カスケードである。次いで、遊離されたアラキドン酸は、炎症において重要な役割をするシグナル伝達脂質にアラキドン酸を転換する様々な酸化酵素に対する基質として作用するために役に立つ。脂質に至る経路の破壊は、多数の炎症性障害を処置するために使用される多くの市販薬にとって依然として重要な戦略である。例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、シクロオキシゲナーゼ(COX1およびCOX2)を阻害することによりアラキドン酸のプロスタグランジンへの転換を中断する。新たな喘息薬、例えば、SINGULAIRTMは、リポキシゲナーゼ(LOX)を阻害することによりアラキドン酸のロイコトリエンへの転換を破壊する。
【0004】
ある種のシトクロムP450依存性酵素がアラキドン酸をエポキシエイコサトリエン酸(EET)として公知である一連のエポキシド誘導体に転換する。これらのEETは、内皮細胞(動脈および血管床を構成する細胞)、腎臓、および肺に特に広く行き渡っている。プロスタグランジンおよびロイコトリエン経路の多くの最終生成物と対照的に、EETは、様々な抗炎症および抗高血圧特性を有し、強力な血管拡張薬および血管透過性のメディエーターであることが公知である。
【0005】
EETはインビボで強力な効果を有する一方、EETのエポキシド部分は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)と呼ばれる酵素によって、活性がより少ないジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHET)形態に急速に加水分解される。sEHの阻害は、高血圧動物の血圧を著しく低下させ(非特許文献1および非特許文献2を参照)、炎症促進性の一酸化窒素(NO)、サイトカイン、および脂質メディエーターの産生を低下させ、インビボでリポキシンA産生を増強することによって炎症消散に寄与する(非特許文献3を参照)ことが見いだされている。
【0006】
様々な低分子化合物が、sEHを阻害し、EETレベルを上昇させることが見いだされている(非特許文献4)。現在までは、このような低分子は、代表的に、アダマンチル尿素部分、フェニル部分または置換フェニル部分を含んだ。良好な阻害活性を有するが、炎症および高血圧から生じるか、またはそうでなければsEHによって介在されている広範囲の障害を処置するために、sEHおよびそのEET不活性化を阻害することができるより効力のある化合物の利用可能性が強く望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Yuら、Circ.Res.87:992〜8頁(2000年)
【非特許文献2】Sinalら、J.Biol.Chem.275:40504〜10頁(2000年)
【非特許文献3】Schmelzerら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 102(28):9772〜7頁(2005年)
【非特許文献4】Morisseauら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.45:311〜33頁(2005年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、フェニル尿素部分のフェニル基におけるハロ置換が、このハロ基がこのフェニル部分に直接付着しているか、このフェニル部分に結合したアルキル基に付着しているかにかかわらず、これらの化合物の阻害活性の有意な増強を提供するという、予測されない発見に関する。具体的には、本発明は、このような化合物およびこれらの薬学的組成物、これらの調製、ならびに可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)により媒介される疾患を処置するためのこれらの使用に関する。本発明の1つの局面によれば、式Iを有する化合物:
【0009】
【化1】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式Iにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【0010】
【化2】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0011】
いくつかの実施形態において、式IIを有する化合物:
【0012】
【化3】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式IIにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【0013】
【化4】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0014】
いくつかの実施形態において、式VIIを有する化合物:
【0015】
【化5】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式VIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、または3に等しい整数である。
【0016】
いくつかの実施形態において、式VIIIを有する化合物:
【0017】
【化6】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式VIIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、または3に等しい整数である。
【0018】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下に続く本文でさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において用いられる場合、特に断らない限り以下の定義が適用される。
【0020】
「シス−エポキシエイコサトリエン酸」(「EET」)は、シトクロムP450エポキシゲナーゼによって合成されるバイオメディエーターである。
【0021】
「エポキシドヒドロラーゼ」(「EH」;EC3.3.2.3)は、水をエポキシドと呼ばれる3員の環状エーテルに付加するα/βヒドロラーゼフォールドファミリーにおける酵素である。
【0022】
「可溶性エポキシドヒドロラーゼ」(「sEH」)は、内皮、平滑筋および他の細胞型において、EETをジヒドロキシエイコサトリエン酸(「DHET」)と呼ばれるジヒドロキシ誘導体に転換する酵素である。マウスのsEHのクローニングおよび配列は、Grantら、J.Biol.Chem.268(23):17628〜17633頁(1993年)に示されている。ヒトsEH配列のクローニング、配列および登録番号は、Beethamら、Arch.Biochem.Biophys.305(1):197〜201頁(1993年)に示されている。ヒトsEHのアミノ酸配列はまた、米国特許第5,445,956号の配列番号2として示されており;ヒトsEHをコードする核酸配列は、その特許の配列番号1のヌクレオチド42〜1703として示されている。この遺伝子の進化および命名は、Beethamら、DNA Cell Biol.14(1):61〜71頁(1995年)において検討されている。可溶性エポキシドヒドロラーゼは、齧歯動物とヒトとの間に90%を超える相同性を有する高度に保存された単一の遺伝子産物を表す(Arandら、FEBS Lett.、338:251〜256頁(1994年))。
【0023】
「慢性閉塞性肺疾患」または「COPD」はまた、「慢性閉塞性気道疾患」、「慢性閉塞性肺病」、および「慢性気道疾患」として知られていることもある。COPDは一般に、肺の最大呼気流量低下および強制排気遅延によって特徴づけられる疾患と定義される。COPDは、2つの関連した状態、気腫および慢性気管支炎を包含すると考えられる。COPDは、当分野で認められている技術、例えば、患者の努力肺活量(「FVC」)(最大吸気後に強制的に排気され得る空気の最大容量)を用いて、一般開業医によって診断され得る。一般開業医の診療室において、FVCは通常、スパイロメータによる6秒最大呼気によって近似される。COPD、気腫、および慢性気管支炎の定義、診断および治療は、当該分野で周知であり、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、(Fauciら編)、第14版、1998年、McGraw−Hill、New York、1451〜1460頁(以後、「Harrison’s Principles of Internal Medicine」という)において、HonigおよびIngramによって詳細に検討されている。名称が暗示するように、「閉塞性肺疾患」および「閉塞性肺病」は、拘束性疾患に対して、閉塞性疾患という。これらの疾患には、COPD、気管支喘息、および末梢気道病変が特に含まれる。
【0024】
「気腫」は、明白な線維形成を有しない終末細気管支より遠位の気腔の永久的な破壊性拡大によって特徴づけられる肺の疾患である。
【0025】
「慢性気管支炎」は、1カ月のほとんどの日数の間、3カ月間、1年間、2年間など続く慢性の気管支分泌によって特徴づけられる肺の疾患である。
【0026】
「末梢気道病変」は、気流閉塞が、末梢気道の関与にもっぱらまたは主として起因する疾患をいう。これらは直径2mm未満の気道として定義され、末梢軟骨性気管支、終末細気管支、および呼吸細気管支に相当する。末梢気道病変(SAD)は、気道抵抗を増加させる炎症性および線維性変化による管腔閉塞を表す。閉塞は一過性であることも永続的であることもある。
【0027】
「間質性肺疾患(ILD)」は、肺胞壁、肺胞周囲組織、および近接支持構造を含む拘束性肺疾患である。米国肺協会(American Lung Association)のウェブサイトで論じられているように、肺の気嚢間の組織が間質であり、これは該疾患において線維症によって侵される組織である。このような拘束性肺疾患に罹っている人は、肺組織の硬直のために息を吸う困難性を有するが、閉塞性肺疾患に罹っている人と対照的に、息を吐き出す困難性を有しない。間質性肺疾患の定義、診断および治療は、当該分野で周知であり、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、前出、1460〜1466頁でReynolds,H.Y.によって詳細に検討されている。Reynoldsは、ILDが様々な起因事象を有する一方、肺組織の免疫病理学的応答は限定され、したがって、ILDは一般的な特徴を有することを認めている。
【0028】
「特発性肺線維症」または「IPF」は、プロトタイプILDと考えられる。その原因が知られていないことにおいて特発性であるが、前掲のReynoldsは、この用語がよく定義された臨床的概念をいうことを認めている。
【0029】
「気管支肺胞洗浄」または「BAL」は、下気道からの細胞の摘除および検査を可能とし、IPFなどの肺疾患のための診断手法としてヒトに用いられる試験である。ヒト患者において、これは通常、気管支鏡検査の間に行われる。
【0030】
「糖尿病性神経障害」は、糖尿病に起因する急性および慢性の末梢神経機能障害をいう。
【0031】
「糖尿病腎障害」は、糖尿病に起因する腎疾患をいう。
【0032】
「アルキル」は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子を有する一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。この用語には、例として、直鎖および分枝鎖のヒドロカルビル基、例えば、メチル(CH−)、エチル(CHCH−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、イソブチル((CHCHCH−)、sec−ブチル((CH)(CHCH)CH−)、t−ブチル((CHC−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、およびネオペンチル((CHCCH−)が含まれる。
【0033】
「アルケニル」は、2から6個の炭素原子、好ましくは2から4個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1から2個のビニル(>C=C<)不飽和の部位を有する直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル基をいう。このような基は、例えば、ビニル、アリル、およびブタ−3−エン−1−イルによって例示される。この用語の範囲内には、シスおよびトランス異性体またはこれらの異性体の混合物が含まれる。
【0034】
「アルキニル」は、2から6個の炭素原子、好ましくは2から3個の炭素原子を有し、かつ少なくとも1個、好ましくは1から2個のアセチレン性(−C≡C−)不飽和の部位を有する直鎖または分枝鎖の一価ヒドロカルビル基をいう。このようなアルキニル基の例には、アセチレニル(−C≡CH)、およびプロパルギル(−CHC≡CH)が含まれる。
【0035】
「置換アルキル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基を有するアルキル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0036】
「置換アルケニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1から3個の置換基、好ましくは1から2個の置換基を有するアルケニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されており、但し、いずれのヒドロキシ置換もチオール置換もビニル(不飽和)炭素原子に結合していないことを条件とする。
【0037】
「置換アルキニル」は、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される、1から3個の置換基、好ましくは1から2個の置換基を有するアルキニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されており、但し、いずれのヒドロキシ置換もチオール置換もアセチレン性炭素原子に結合していないことを条件とする。
【0038】
「アルコキシ」は、アルキルが本明細書に定義されている基−O−アルキルをいう。アルコキシには、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、およびn−ペントキシが含まれる。
【0039】
「置換アルコキシ」は、置換アルキルが本明細書に定義されている基−O−(置換アルキル)をいう。
【0040】
「アシル」は、基H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、置換アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−、置換シクロアルケニル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)−、複素環式−C(O)−、および置換複素環式−C(O)−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。アシルには、「アセチル」基CHC(O)−が含まれる。
【0041】
「アシルアミノ」は、基−NRC(O)アルキル、−NRC(O)置換アルキル、−NRC(O)シクロアルキル、−NRC(O)置換シクロアルキル、−NRC(O)シクロアルケニル、−NRC(O)置換シクロアルケニル、−NRC(O)アルケニル、−NRC(O)置換アルケニル、−NRC(O)アルキニル、−NRC(O)置換アルキニル、−NRC(O)アリール、−NRC(O)置換アリール、−NRC(O)ヘテロアリール、−NRC(O)置換ヘテロアリール、−NRC(O)複素環式、および−NRC(O)置換複素環式を指し、ここで、Rは水素またはアルキルであり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0042】
「アシルオキシ」は、基アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、アルケニル−C(O)O−、置換アルケニル−C(O)O−、アルキニル−C(O)O−、置換アルキニル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、置換アリール−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、シクロアルケニル−C(O)O−、置換シクロアルケニル−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、置換ヘテロアリール−C(O)O−、複素環式−C(O)O−、および置換複素環式−C(O)O−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0043】
「アミノ」は、基−NHをいう。
【0044】
「置換アミノ」は、R’およびR”が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、置換複素環式、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環式、および−SO−置換複素環式からなる群から独立に選択される基−NR’R”を指し、ここで、R’およびR”は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて、複素環式基または置換複素環式基を形成し、但し、R’およびR”は、両方が水素であることはないことを条件とし、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。R’が水素であり、R”がアルキルである場合、該置換アミノ基は本明細書においてアルキルアミノといわれることもある。R’およびR”がアルキルである場合、該置換アミノ基は本明細書においてジアルキルアミノといわれることもある。一置換アミノをいう場合、R’またはR”のいずれかが水素であるが、両方ではないことが意味される。二置換アミノをいう場合、R’またはR”のいずれも水素でないことが意味される。
【0045】
「アミノカルボニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0046】
「アミノチオカルボニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(S)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0047】
「アミノカルボニルアミノ」は、Rが水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NRC(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0048】
「アミノチオカルボニルアミノ」は、Rが水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NRC(S)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0049】
「アミノカルボニルオキシ」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−O−C(O)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書において定義されたとおりである。
【0050】
「アミノスルホニル」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0051】
「アミノスルホニルオキシ」は、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11は、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−O−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0052】
「アミノスルホニルアミノ」は、Rが水素またはアルキルであり、R10およびR11が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−NR−SONR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0053】
「アミジノ」は、R10、R11、およびR12が、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、R10およびR11が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する基−C(=NR12)NR1011を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0054】
「アリール」または「Ar」は、単一の環(例えば、フェニル)または縮合環が芳香族であってもなくてもよい(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イルなど)複数の縮合した環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する6から14個の炭素原子の一価芳香族炭素環式基を指し、但し、その結合点は芳香族炭素原子にあることを条件とする。好ましいアリール基にはフェニルおよびナフチルが含まれる。
【0055】
「置換アリール」は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基で置換されているアリール基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0056】
「アリールオキシ」は、アリールが本明細書に定義されたとおりである基−O−アリールをいう。これには、例として、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。
【0057】
「置換アリールオキシ」は、置換アリールが本明細書に定義されたとおりである基−O−(置換アリール)をいう。
【0058】
「アリールチオ」は、アリールが本明細書に定義されたとおりである基−S−アリールをいう。
【0059】
「置換アリールチオ」は、置換アリールが本明細書に定義されたとおりである基−S−(置換アリール)をいう。
【0060】
「カルボニル」は、−C(=O)−と同等である二価の基−C(O)−をいう。
【0061】
「カルボキシ」または「カルボキシル」は、−COOHまたはその塩をいう。
【0062】
「カルボキシルエステル」または「カルボキシエステル」は、基−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アルキニル、−C(O)O−置換アルキニル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−シクロアルキル、−C(O)O−置換シクロアルキル、−C(O)O−シクロアルケニル、−C(O)O−置換シクロアルケニル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環式、および−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0063】
「(カルボキシルエステル)アミノ」は、基−NR−C(O)O−アルキル、−NR−C(O)O−置換アルキル、−NR−C(O)O−アルケニル、−NR−C(O)O−置換アルケニル、−NR−C(O)O−アルキニル、−NR−C(O)O−置換アルキニル、−NR−C(O)O−アリール、−NR−C(O)O−置換アリール、−NR−C(O)O−シクロアルキル、−NR−C(O)O−置換シクロアルキル、−NR−C(O)O−シクロアルケニル、−NR−C(O)O−置換シクロアルケニル、−NR−C(O)O−ヘテロアリール、−NR−C(O)O−置換ヘテロアリール、−NR−C(O)O−複素環式、および−NR−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、Rはアルキルまたは水素であり、かつアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0064】
「(カルボキシルエステル)オキシ」は、基−O−C(O)O−アルキル、O−C(O)O−置換アルキル、−O−C(O)O−アルケニル、−O−C(O)O−置換アルケニル、−O−C(O)O−アルキニル、−O−C(O)O−置換アルキニル、−O−C(O)O−アリール、−O−C(O)O−置換アリール、−O−C(O)O−シクロアルキル、−O−C(O)O−置換シクロアルキル、−O−C(O)O−シクロアルケニル、−O−C(O)O−置換シクロアルケニル、−O−C(O)O−ヘテロアリール、−O−C(O)O−置換ヘテロアリール、−O−C(O)O−複素環式、および−O−C(O)O−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0065】
「シアノ」は基−CNをいう。
【0066】
「シクロアルキル」は、単一の環または複数の環式環(縮合環系、架橋環系、およびスピロ環系を含む)を有する3から10個の炭素原子の環式アルキル基をいう。環のうちの1個または複数は、アリール、ヘテロアリール、または複素環式であることができ、但し、その結合点が、非芳香族の、非複素環式環である炭素環式環を介することを条件とする。好適なシクロアルキル基の例には、例えば、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロオクチルが含まれる。シクロアルキル基の他の例には、ビシクロ[2,2,2]オクタニル基、ノルボルニル基、およびスピロ[4,5]デク−8−イル:
【0067】
【化7】

などのスピロ基が含まれる。
【0068】
「シクロアルケニル」は、単環または多環式環を有し、かつ少なくとも1個の>C=C<の環不飽和、好ましくは1から2個の>C=C<の環不飽和の部位を有する3から10個の炭素原子の非芳香族環式アルキル基をいう。
【0069】
「置換シクロアルキル」および「置換シクロアルケニル」は、オキソ、チオン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノチオカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アミノスルホニル、アミノスルホニルオキシ、アミノスルホニルアミノ、アミジノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールチオ、置換アリールチオ、カルボキシル、カルボキシルエステル、(カルボキシルエステル)アミノ、(カルボキシルエステル)オキシ、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、シクロアルキルチオ、置換シクロアルキルチオ、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、置換シクロアルケニルオキシ、シクロアルケニルチオ、置換シクロアルケニルチオ、グアニジノ、置換グアニジノ、ハロ、ヒドロキシ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールチオ、置換ヘテロアリールチオ、複素環式、置換複素環式、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルチオ、置換ヘテロシクリルチオ、ニトロ、SOH、置換スルホニル、スルホニルオキシ、チオアシル、チオール、アルキルチオ、および置換アルキルチオからなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個の置換基を有するシクロアルキル基またはシクロアルケニル基を指し、ここで、該置換基は本明細書に定義されている。
【0070】
「シクロアルキルオキシ」は−O−シクロアルキルをいう。
【0071】
「置換シクロアルキルオキシ」は、−O−(置換シクロアルキル)をいう。
【0072】
「シクロアルキルチオ」は、−S−シクロアルキルをいう。
【0073】
「置換シクロアルキルチオ」は、−S−(置換シクロアルキル)をいう。
【0074】
「シクロアルケニルオキシ」は、−O−シクロアルケニルをいう。
【0075】
「置換シクロアルケニルオキシ」は、−O−(置換シクロアルケニル)をいう。
【0076】
「シクロアルケニルチオ」は−S−シクロアルケニルをいう。
【0077】
「置換シクロアルケニルチオ」は−S−(置換シクロアルケニル)をいう。
【0078】
「グアニジノ」は、基−NHC(=NH)NHをいう。
【0079】
「置換グアニジノ」は、それぞれのR13が、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式からなる群から独立に選択され、かつ共通のグアニジノ窒素原子に結合した2個のR13基が、それらに結合した窒素と一緒になって場合により連結されて複素環式基または置換複素環式基を形成する−NR13C(=NR13)N(R13を指し、但し、少なくとも1個のR13は水素でないことを条件とし、ここで該置換基は本明細書に定義されたとおりである。
【0080】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指し、好ましくはフルオロまたはクロロである。
【0081】
「ハロアルキル」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルキル基を指し、ここで、アルキルおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。「フルオロアルキル」とは、ハロ基がフルオロであるハロアルキル基をいい、例えば、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0082】
「ハロアルコキシ」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルコキシ基を指し、ここで、アルコキシおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。
【0083】
「ハロアルキルチオ」は、1から5個、1から3個、または1から2個のハロ基で置換されたアルキルチオ基を指し、ここで、アルキルチオおよびハロは本明細書に定義されたとおりである。
【0084】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、基−OHをいう。
【0085】
「ヘテロアリール」は、環内に1から10個の炭素原子、および酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1から4個のヘテロ原子を有する芳香族基をいう。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジニルまたはフリル)または複数の縮合した環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)を有することができ、ここで、該縮合環は芳香族であってもなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、但し、その結合点が芳香族ヘテロアリール基の原子を介することを条件とする。1つの実施形態において、ヘテロアリール基の窒素および/または硫黄の環原子(複数可)は、場合により酸化されて、N−オキシド部分(N→O)、スルフィニル部分、またはスルホニル部分を与える。好ましいヘテロアリールには、ピリジニル、ピロリル、インドリル、チオフェニル、およびフラニルが含まれる。
【0086】
「置換ヘテロアリール」は、置換アリールについて定義された置換基の同じ基からなる群から選択される1から5個、好ましくは1から3個、またはより好ましくは1から2個の置換基で置換されているヘテロアリール基をいう。
【0087】
「ヘテロアリールオキシ」は−O−ヘテロアリールをいう。
【0088】
「置換ヘテロアリールオキシ」は、基−O−(置換ヘテロアリール)をいう。
【0089】
「ヘテロアリールチオ」は基−S−ヘテロアリールをいう。
【0090】
「置換ヘテロアリールチオ」は、基−S−(置換ヘテロアリール)をいう。
【0091】
「複素環」または「複素環式」または「ヘテロシクロアルキル」または「ヘテロシクリル」は、1から10個の環炭素原子、および窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択される1から4個の環ヘテロ原子を有する飽和または部分的に飽和であるが芳香族ではない基をいう。複素環は、単一の環または複数の縮合した環(縮合環系、架橋環系およびスピロ環系を含む)を包含する。縮合環系において、1個または複数の環は、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであることができ、但し、その結合点が非芳香族環を介することを条件とする。1つの実施形態において、複素環式基の窒素原子および/または硫黄原子(複数可)は、場合により酸化されてN−オキシド部分、スルフィニル部分、またはスルホニル部分を与える。
【0092】
「置換複素環式」または「置換ヘテロシクロアルキル」または「置換ヘテロシクリル」は、1から5個または好ましくは1から3個の、置換シクロアルキルについて定義された置換基と同じ置換基で置換されているヘテロシクリル基をいう。
【0093】
「ヘテロシクリルオキシ」は、基−O−ヘテロシクリルをいう。
【0094】
「置換ヘテロシクリルオキシ」は、基−O−(置換ヘテロシクリル)をいう。
【0095】
「ヘテロシクリルチオ」は、基−S−ヘテロシクリルをいう。
【0096】
「置換ヘテロシクリルチオ」は、基−S−(置換ヘテロシクリル)をいう。
【0097】
複素環およびヘテロアリールの例には、限定されないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれる)、1,1−ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、およびテトラヒドロフラニルが含まれる。
【0098】
「ニトロ」は、基−NOをいう。
【0099】
「オキソ」は、原子(=O)または(−O)をいう。
【0100】
「スピロ環系」は、両環に共通の一個の環炭素原子を有する二環式環系をいう。
【0101】
「スルホニル」は、二価の基−S(O)−をいう。
【0102】
「置換スルホニル」は、基−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アルケニル、−SO−置換アルケニル、−SO−シクロアルキル、−SO−置換シクロアルキル、−SO−シクロアルケニル、−SO−置換シクロアルケニル、−SO−アリール、−SO−置換アリール、−SO−ヘテロアリール、−SO−置換ヘテロアリール、−SO−複素環式、−SO−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。置換スルホニルには、メチル−SO−、フェニル−SO−、および4−メチルフェニル−SO−などの基が含まれる。「アルキルスルホニル」という用語は、−SO−アルキルをいう。「ハロアルキルスルホニル」という用語は、ハロアルキルが本明細書において定義されている−SO−ハロアルキルをいう。「(置換スルホニル)アミノ」という用語は、−NH(置換スルホニル)を指し、ここで、置換スルホニルは本明細書に定義されたとおりである。
【0103】
「スルホニルオキシ」は、基−OSO−アルキル、−OSO−置換アルキル、−OSO−アルケニル、−OSO−置換アルケニル、−OSO−シクロアルキル、−OSO−置換シクロアルキル、−OSO−シクロアルケニル、−OSO−置換シクロアルケニル、−OSO−アリール、−OSO−置換アリール、−OSO−ヘテロアリール、−OSO−置換ヘテロアリール、−OSO−複素環式、−OSO−置換複素環式を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0104】
「チオアシル」は、基H−C(S)−、アルキル−C(S)−、置換アルキル−C(S)−、アルケニル−C(S)−、置換アルケニル−C(S)−、アルキニル−C(S)−、置換アルキニル−C(S)−、シクロアルキル−C(S)−、置換シクロアルキル−C(S)−、シクロアルケニル−C(S)−、置換シクロアルケニル−C(S)−、アリール−C(S)−、置換アリール−C(S)−、ヘテロアリール−C(S)−、置換ヘテロアリール−C(S)−、複素環式−C(S)−、および置換複素環式−C(S)−を指し、ここで、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環式、および置換複素環式は、本明細書に定義されたとおりである。
【0105】
「チオール」は、基−SHをいう。
【0106】
「チオカルボニル」は、−C(=S)−と同等である二価の基−C(S)−をいう。
【0107】
「チオン」は、原子(=S)をいう。
【0108】
「アルキルチオ」は、基−S−アルキルを指し、ここで、アルキルは本明細書に定義されたとおりである。
【0109】
「置換アルキルチオ」は、基−S−(置換アルキル)を指し、ここで、置換アルキルは本明細書に定義されたとおりである。
【0110】
「立体異性体(単数または複数)」は、1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる化合物をいう。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマーが含まれる。
【0111】
「互変異性体」は、エノール−ケト互変異性体およびイミン−エナミン互変異性体などの、プロトンの位置が異なる化合物の交互型、またはピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、およびテトラゾールなどの、環−NH−部分および環=N−部分の両方に結合した環原子を含むヘテロアリール基の互変異性型をいう。
【0112】
「患者」は、哺乳動物を指し、ヒトおよび非ヒト哺乳動物が含まれる。
【0113】
「薬学的に受容可能な塩」は、化合物の薬学的に受容可能な塩を指し、その塩は当該分野で周知である様々な有機および無機の対イオンから誘導され、そして、例のみとして、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムの塩;ならびに該分子が塩基性の官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシレート、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などの有機または無機酸の塩を含む。
【0114】
「治療有効量」とは、本発明の実施形態に開示されるような活性化合物の、疾患を処置または予防するために有効な量をいう。
【0115】
患者における疾患の「処置する」または「処置」は、(1)疾患に罹患しやすい、または疾患の症状をまだ示さない患者に疾患が発症することを予防すること;(2)疾患を阻害する、またはその発症を止めること;あるいは(3)疾患を改善させる、またはその退行を引き起こすことをいう。
【0116】
特に断りのない限り、本明細書において明示的に定義されていない置換基の命名は、その結合点の方向に官能基の末端部分に続けて隣接する官能基を命名することによって導き出される。例えば、「アリールアルキルオキシカルボニル」という置換基は、基(アリール)−(アルキル)−O−C(O)−をいう。
【0117】
上記に定義された置換された基の全てにおいて、それらに対するさらなる置換基で置換基を定義することによって導き出されるポリマー(例えば、置換アリール基でそれ自体置換されている置換基として置換アリール基を有する置換アリール、これが置換アリール基によってさらに置換されている、など)は、本明細書において含めることを意図されないことが理解される。このような場合、このような置換の最大数は3である。例えば、2個の他の置換アリール基での置換アリール基の一連の置換は、−置換アリール−(置換アリール)−置換アリールに限られる。
【0118】
同様に、上記定義は、許されない置換様式(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル)を含むことは意図されないことが理解される。このような許されない置換様式は、当業者に周知である。
【0119】
したがって、本発明は、式Iの化合物:
【0120】
【化8】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式Iにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、そして
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【0121】
【化9】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IIの化合物:
【0123】
【化10】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式IIにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、そして
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【0124】
【化11】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0125】
いくつかの実施形態において、Zがハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され、そしてnが1〜2に等しい整数である、式IIの化合物が提供される。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IIIの化合物:
【0127】
【化12】

、その立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式IIIにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、フルオロおよびフルオロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、
【0128】
【化13】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0129】
いくつかの実施形態において、nが1〜2に等しい整数である、式IIIの化合物が提供される。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明は、式IVの化合物:
【0131】
【化14】

、その立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式IVにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり;
ただし、
【0132】
【化15】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、Rはアミノまたは置換アミノである。
【0133】
いくつかの実施形態において、Zがフルオロおよびフルオロアルキルからなる群より独立して選択され、そしてnが1〜2に等しい整数である、式IVの化合物が提供される。
【0134】
いくつかの実施形態において
【0135】
【化16】

を表し、ここでRおよびRは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0136】
いくつかの実施形態において、RおよびRが、フッ素、塩素およびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0137】
いくつかの実施形態において、RおよびRがトリフルオロメチルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0138】
いくつかの実施形態において、RおよびRがフッ素である、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0139】
いくつかの実施形態において、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが水素である、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0140】
いくつかの実施形態において、Rが水素であり、そしてRがトリフルオロメチルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0141】
いくつかの実施形態において、Rが塩素であり、そしてRが水素である、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0142】
いくつかの実施形態において、Yが、C〜Cアルキル、フェニル、置換フェニル、ピリジニル、置換ピリジニル、イミダゾリル、置換イミダゾリル、置換イミダゾリル、またはイミダゾリルアルキル、モルホリニル、置換モルホリニル、およびモルホリニルアルキルからなる群より選択される、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0143】
いくつかの実施形態において、Yが、フェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、またはカルボキシルフェニルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0144】
いくつかの実施形態において、Yがピリジニルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0145】
いくつかの実施形態において、Yがモルホリニル、またはモルホリニル−(C〜C)アルキルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0146】
いくつかの実施形態において、Yがイミダゾリル、メチルイミダゾリル、またはイミダゾリル−(C〜C)アルキルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0147】
いくつかの実施形態において、Yが、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールで置換されたアルキルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0148】
いくつかの実施形態において、Yが、ヒドロキシルまたはアルコキシルで置換されたアルキルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0149】
いくつかの実施形態において、Yが、カルボキシで置換されたフェニル、またはハロアルキルである、式I、II、III、またはIVの化合物が提供される。
【0150】
いくつかの実施形態において、本発明は、式Vの化合物:
【0151】
【化17】

、その立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式Vにおいて:
Yは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
mは、1、2、または3に等しい整数であり、好ましくは、1または2に等しい整数であり;
ただし、
【0152】
【化18】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである。
【0153】
いくつかの実施形態において、本発明は、式VIの化合物:
【0154】
【化19】

、その立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩を提供し、式VIにおいて:
Yは、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
mは、1、2、または3に等しい整数であり、好ましくは、1または2に等しい整数であり;
ただし、
【0155】
【化20】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、Rはアミノまたは置換アミノである。
【0156】
いくつかの実施形態において、式VIIを有する化合物:
【0157】
【化21】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式VIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、または3に等しい整数である。
【0158】
いくつかの実施形態において、式VIIIを有する化合物:
【0159】
【化22】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供され、式VIIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、または3に等しい整数である。
【0160】
式VIIまたはVIIIのいくつかの実施形態において、X’はSOである。
【0161】
いくつかの実施形態において、
【0162】
【化23】

を表す、式VIIまたはVIIIの化合物が提供され、ここでRおよびRは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0163】
いくつかの実施形態において、RおよびRがフッ素、塩素およびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0164】
いくつかの実施形態において、RおよびRがトリフルオロメチルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0165】
いくつかの実施形態において、RおよびRがフッ素である、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0166】
いくつかの実施形態において、Rがトリフルオロメチルであり、そしてRが水素である、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0167】
いくつかの実施形態において、Rが水素であり、そしてRがトリフルオロメチルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0168】
いくつかの実施形態において、Rが塩素であり、そしてRが水素である、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0169】
いくつかの実施形態において、YがC〜Cアルキル、フェニル、置換フェニル、ピリジニル、置換ピリジニル、イミダゾリル、置換イミダゾリル、置換イミダゾリル、またはイミダゾリルアルキル、モルホリニル、置換モルホリニル、およびモルホリニルアルキルからなる群より選択される、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0170】
いくつかの実施形態において、Yがフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、またはカルボキシルフェニルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0171】
いくつかの実施形態において、Yがピリジニルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0172】
いくつかの実施形態において、Yが、モルホリニル、またはモルホリニル−(C〜C)アルキルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0173】
いくつかの実施形態において、Yがイミダゾリル、メチルイミダゾリル、またはイミダゾリル−(C〜C)アルキルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0174】
いくつかの実施形態において、Yが、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールで置換されたアルキルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0175】
いくつかの実施形態において、Yが、ヒドロキシルまたはアルコキシルで置換されたアルキルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0176】
いくつかの実施形態において、Yが、カルボキシで置換されたフェニル、またはハロアルキルである、式VIIまたはVIIIの化合物が提供される。
【0177】
いくつかの実施形態において、表1から選択される化合物、その立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩が提供される。
【0178】
【表1−1】

【0179】
【表1−2】

【0180】
【表1−3】

【0181】
【表1−4】

【0182】
【表1−5】

【0183】
【表1−6】

いくつかの実施形態において、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を処置するための、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の式I〜VIIIのいずれか1つの化合物を含む薬学的組成物が提供される。
【0184】
別の局面において、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患の処置において可溶性エポキシドヒドロラーゼを阻害する方法であって、この方法は、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の式Ia:
【0185】
【化24】

の化合物もしくはその立体異性体または薬学的に受容可能な塩を含む薬学的組成物を患者に投与する工程を包含し、式Iaにおいて、
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、または3に等しい整数である。
【0186】
これらの方法のいくつかの局面において、上記化合物は、式I〜VIIIのうちのいずれか1つである。
【0187】
これらの方法のいくつかの局面において、上記化合物は、表1中の化合物2〜4および6〜55のうちのいずれか1つである。
【0188】
可溶性エポキシドヒドロラーゼ(「sEH」)の阻害剤は、高血圧を減少させ得ることが前に示されている(例えば、米国特許第6,351,506号を参照)。このような阻害剤は、糖尿病を患う人を含む、望ましくないほど高い血圧を有する人の血圧を制御するのに有用であり得る。
【0189】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、高血圧、特に腎性、肝性、または肺性高血圧;炎症、特に腎性炎症、肝性炎症、脈管性炎症、および肺炎症;成人呼吸困難症候群;糖尿病合併症;末期腎疾患;レイノー症候群;および関節炎のための処置を必要とする被験体に投与される。
【0190】
(ARDSおよびSIRSを治療する方法)
成人呼吸困難症候群(ARDS)は、死亡率50%を有する肺疾患であり、外傷患者および重度の熱傷被害者に見いだされる様々な状態によって引き起こされる肺病変から生ずる。Ingram,R.H.Jr.、「Adult Respiratory Distress Syndrome」、Harrison’s Principles of Internal Medicine、13、1240頁、1995年。グルココルチコイドの例外はあり得るが、ARDSの発症初期の間に生じる、急性炎症に関連した組織損傷、例えば、微小血管損傷を予防または改善するのに有用であることが知られている治療薬は存在しなかった。
【0191】
肺胞水腫の発症によって部分的に定義されるARDSは、直接的および間接的の両方の肺損傷から生じる肺疾患の臨床症状を示す。以前の研究は一見したところ関係のない様々な原因物質を詳述しているが、ARDSの病態生理学の根底にある初期事象はよく理解されていない。ARDSは、単一の臓器不全として当初みられていたが、現在は多系統臓器不全症候群(MOFS)の一要素と考えられている。炎症性反応の薬理学的介入または予防は現在、改善された換気支援技法に比べて疾患過程を制御するより有望な方法とみられている。例えば、Demling、Annu.Rev.Med.、46、193〜203頁、1995年を参照されたい。
【0192】
急性炎症を伴う別の疾患(または疾患の群)は、系統的炎症性反応症候群、すなわちSIRSであり、これは、例えば、敗血症、膵炎、脳への損傷などの多発外傷、ならびに筋肉組織の裂傷などの組織損傷、脳手術、出血性ショック、および免疫介在臓器損傷から生じる関連状態を記述するために研究者のグループによって最近確立された命名である(JAMA、268(24):3452〜3455頁(1992年))。
【0193】
ARDS不快は、重度の熱傷または敗血症を有する様々な患者にみられる。敗血症は、SIRS症状の1つである。ARDSにおいて、間質および肺胞に遊走する多くの好中球を有する急性炎症性反応が存在する。これが進むと、炎症、水腫、細胞増殖の増加があり、最終結果は酸素を抽出する能力低下である。したがって、ARDSは、広範で様々な疾患および外傷において一般的な合併症である。唯一の処置は支持療法である。1年当たり推定150,000の症例があり、死亡率は10%から90%の範囲である。
【0194】
ARDSの正確な原因は知られていない。しかし、好中球の過剰活性化が、ホスホリパーゼA活性を介する高レベルのリノール酸の放出を導くことが仮定されている。リノール酸は順次、好中球シトクロムP−450エポキシゲナーゼおよび/または活性酸素のバーストによって酵素的に9,10−エポキシ−12−オクタデセノエートに転換される。この脂質エポキシド、またはロイコトキシンは、熱傷皮膚ならびに熱傷患者の血清および気管支洗浄に高レベルに見いだされる。さらに、ラット、マウス、イヌ、および他の哺乳動物に注射した場合、これはARDSを引き起こす。作用の機構は知られていない。しかし、可溶性エポキシドヒドロラーゼの作用によって生成されるロイコトキシンジオールは、ミトコンドリア内膜透過性転移(MPT)の特異的誘導因子であるように思われる。細胞死を導く、このロイコトキシンジオールによる誘導、シトクロムCの診断的放出、核濃縮、DNA断片化、およびCPP32活性化は、シクロスポリンAによって全て阻害されており、これはMPT誘導細胞死に関して診断的である。ミトコンドリアレベルおよび細胞レベルでの作用は、この作用の機構と一致しており、本発明の阻害剤がMPTを遮断する化合物と一緒に治療的に用いることができることを示唆する。
【0195】
したがって、1つの実施形態において、ARDSを処置する方法が提供される。別の実施形態において、SIRSを処置する方法が提供される。
【0196】
(腎臓変質(腎症)の進行を阻害し、血圧を減少させる方法)
本発明の別の局面において、本発明の化合物は、タンパク尿で測定して、腎臓に対する損傷、特に糖尿病由来の腎臓に対する損傷を減少させ得る。本発明の化合物は、高血圧を有しない個体においてさえも糖尿病由来の腎臓変質(腎症)を減少させ得る。治療投与の条件は上記のとおりである。
【0197】
シス−エポキシエイコサトリエン酸(「EET」)は、腎臓損傷をさらに減少させるために本発明の化合物と併用して用いられ得る。アラキドン酸のエポキシドであるEETは、血圧のエフェクター、炎症の調節因子、および血管透過性のモジュレータであることが公知である。sEHによるエポキシドの加水分解はこの活性を減少させる。EETがDHETに加水分解される速度が低下するので、sEHの阻害はEETのレベルを上昇させる。理論によって拘束されることを望まないが、EETのレベルを上昇させることは、微小血管系の変化および糖尿病性高血糖症の他の病理学的効果による腎臓細胞に対する損傷を妨げることが考えられる。したがって、腎臓におけるEETレベルを上昇させることは、微量アルブミン尿から末期腎疾患へ進行することから腎臓を保護することが考えられる。
【0198】
EETは当該分野で周知である。本発明の方法において有用なEETには、優先順に、14,15−EET、8,9−EETおよび11,12−EET、ならびに5,6EETが含まれる。好ましくは、EETはより安定であるメチルエステルとして投与される。当業者は、EETが位置異性体、例えば、8S,9R−EETおよび14R,15S−EETであることを認める。8,9−EET、11,12−EET、および14R,15S−EETは、例えば、Sigma−Aldrich(それぞれ、カタログ番号E5516、E5641、およびE5766、Sigma−Aldrich Corp.、St.Louis、Mo)から市販されている。
【0199】
内皮によって産生されるEETは抗高血圧特性を有し、11,12−EETおよび14,15−EETのEETは、内皮由来過分極化因子(EDHF)であり得る。さらに、11,12−EETなどのEETは、線維素溶解促進性効果、抗炎症性作用を有し、平滑筋細胞の増殖および遊走を阻害する。本発明の文脈において、これらの有利な特性は、腎疾患および心血管疾患の状態の間に脈管構造および臓器を保護すると考えられる。
【0200】
sEH活性の阻害は、EETのレベルを増加させることによって効果をもたらすことができる。これは、本発明の方法において、EETを1種以上のsEH阻害剤と併用して、腎症を減少させることを可能にする。これはさらに、EETを1種以上のsEH阻害剤と併用して、高血圧、もしくは炎症、または両方を減少させることを可能にする。したがって、1種以上のsEH阻害剤と併用して投与され得るEETの医薬が作製され得るか、または1種以上のsEH阻害剤を含む医薬は1種以上のEETを場合により含み得る。
【0201】
EETは、sEH阻害剤と同時か、またはsEH阻害剤の投与後に投与され得る。全ての薬物と同様に、阻害剤は、身体で代謝されるかまたは身体から排泄される速度によって定義される半減期を有すること、および阻害剤が有効であるのに十分な量で存在する投与後の期間を有することが理解される。したがって、阻害剤が投与された後にEETが投与される場合、EETの加水分解を遅らせるのに有効な量で阻害剤が存在する期間中にEETが投与されることが望ましい。通常、EET(単数または複数)は、sEH阻害剤投与の48時間以内に投与される。好ましくは、EET(単数または複数)は、阻害剤投与の24時間以内に投与され、さらにより好ましくは12時間以内に投与される。望ましさの増加する順で、EET(単数または複数)は、阻害剤投与後10時間、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間、または30分以内に投与される。最も好ましくは、EET(単数または複数)は、阻害剤と同時に投与される。
【0202】
好ましい実施形態において、EET、本発明の化合物、または両方は、それらがより長い持続時間の作用を与えるために時間をかけて放出されることを可能にする材料中で提供される。徐放コーティングは医薬業界で周知であり;特定の徐放コーティングの選択は本発明の実施に重要ではない。
【0203】
EETは酸性条件下で分解を受ける。したがって、EETが経口投与される場合、胃における分解から保護することが望ましい。都合よいことに、経口投与のためのEETは、コーティングされ、それらが胃の酸性環境を通過して腸の塩基性環境に入ることを可能にし得る。このようなコーティングは当該分野で周知である。例えば、いわゆる「腸溶コーティング」でコーティングしたアスピリンは、広く市販されている。このような腸溶コーティングを用いて、胃を通過中のEETを保護し得る。例示的なコーティングは、本実施例中に示される。
【0204】
EETの抗高血圧効果は認められているが、EETが何らかの有用な効果を示すには内因性sEHはEETをあまりに速く加水分解すると考えられたので、EETは高血圧を処置するために投与されてこなかった。意外なことに、本発明の基礎をなす研究の過程の間に、EETのレベルが体外EETの投与によってさらに上昇させられ得るように、体外から投与されたsEHの阻害剤が十分にsEHを阻害することに成功することが見いだされた。これらの所見は、腎症の発症および進行を阻害することに関して上に記載されたsEH阻害剤およびEETの共投与の基礎となる。これは処置を増強するのに重要な改善である。内因性EETのレベルがsEH阻害剤の作用によって生じたsEH活性の阻害とともに上昇し、したがって、症状または病変の少なくとも一部の改善をもたらすことが予想される一方、腎臓障害の進行を完全に、または意図された程度に阻害することは全ての例で十分であるとは限らないこともある。これは、疾患または他の因子がEETの体内濃度を健常な個体に通常存在するもの未満に低下させた場合、特に当てはまる。したがって、sEH阻害剤と併用した体外EETの投与は、糖尿病性腎症の進行を減少させるのに有用であり、かつsEH阻害剤の効果を増強させることが予想される。
【0205】
本発明は、腎臓または腎機能への進行性損傷を伴う範囲まで任意のおよび全ての型の糖尿病に関して使用され得る。糖尿病の慢性高血糖は、様々な臓器、特に眼、腎臓、神経、心臓、および血管の長期損傷、機能障害、および不全を伴う。糖尿病の長期合併症には、失明可能性のある網膜症;腎不全をもたらす腎症;足の潰瘍、切断、およびシャルコー関節の危険性を伴う末梢神経障害が含まれる。
【0206】
さらに、代謝症候群を有する患者は、2型糖尿病へ進行する高いリスク、したがって、糖尿病腎症に対して平均より高いリスクがある。したがって、微量アルブミン尿に関してこのような患者をモニターし、腎症の発症を減少させるための診療行為としてsEH阻害剤、および場合により1種以上のEETを投与することが望ましい。開業医は、診療行為を始める前に微量アルブミン尿がみられるまで待ってもよい。人は130/85またはそれより高い血圧を有しない代謝症候群と診断され得るので、130/85またはそれより高い血圧を有する人および130/85未満の血圧を有する人の両方は、彼らの腎臓への損傷の進行を遅らせるためにsEH阻害剤および場合により1種以上のEETの投与から利益を得ることができる。一部の好ましい実施形態において、人は代謝症候群および130/85未満の血圧を有する。
【0207】
脂質代謝異常すなわち脂質代謝の障害は、心疾患の別の危険因子である。このような障害には、LDLコレステロールのレベル増加、HDLコレステロールのレベル低下、およびトリグリセリドのレベル増加が含まれる。血清コレステロールおよび特にLDLコレステロールのレベル増加は、心疾患の危険増加を伴う。腎臓もこのような高レベルにより損傷される。高レベルのトリグリセリドは腎臓損傷を伴うと考えられる。特に、200mg/dLを超えるコレステロールのレベル、特に225mg/dLを超えるレベルは、sEH阻害剤および場合によりEETが投与されるべきであることを示唆する。同様に、215mg/dLを超える、特に250mg/dLまたはそれを超えるトリグリセリドのレベルは、sEH阻害剤および場合によりEETの投与が望ましいことを示す。EETと一緒またはなしでの本発明の化合物の投与は、患者へスタチン系薬剤(HMG−COA還元酵素阻害剤)を投与する必要性を低下させ、または必要とされるスタチンの量を減少させることができる。一部の実施形態において、本発明の方法、使用、および組成物に対する候補は、215mg/dLを超えるトリグリセリドレベルおよび130/85未満の血圧を有する。一部の実施形態において、候補は250mg/dLを超えるトリグリセリドレベルおよび130/85未満の血圧を有する。一部の実施形態において、本発明の方法、使用および組成物に対する候補は、200mg/dLを超えるコレステロールレベルおよび130/85未満の血圧を有する。一部の実施形態において、候補は225mg/dLを超えるコレステロールレベルおよび130/85未満の血圧を有する。
【0208】
(血管平滑筋細胞の増殖を阻害する方法)
他の実施形態において、式I〜VIIIおよびIaのうちのいずれか1つ、または表1の化合物は、重大な細胞傷害性を有さずに血管平滑筋(VSM)細胞の増殖を阻害する(例えば、VSM細胞に対して特異的に)。VSM細胞増殖は、アテローム性動脈硬化の病態生理学において不可欠な過程であるので、これらの化合物はアテローム性動脈硬化を遅延させ、または阻害するために好適である。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化のリスクがある被験体、例えば、糖尿病を有する個体および心臓発作または心臓への血液循環低下を示す検査結果を示した個体に有用である。治療上の投与条件は上記のとおりである。
【0209】
本発明の方法は、狭窄動脈を再開する、再狭窄による再開通路の狭窄を減少または遅延させるための血管形成などの経皮的介入を受けた患者に特に有用である。一部の好ましい実施形態において、動脈は冠状動脈である。本発明の化合物は、再狭窄を減少させるために制御された局所放出を与えるポリマーコーティングの状態でステントに配置され得る。ステントなどの埋め込み式医療装置のためのポリマー組成物、および制御放出のためにポリマー中に薬剤を埋め込む方法は当該分野で公知であり、例えば、米国特許第6,335,029号;同第6,322,847号;同第6,299,604号;同第6,290,722号;同第6,287,285号;および同第5,637,113号に教示されている。好ましい実施形態において、コーティングは、ある期間、好ましくは数日、数週、または数カ月の期間にわたって阻害剤を放出する。選択される特定のポリマーまたは他のコーティングは、本発明の重要な部分ではない。
【0210】
本発明の方法は、天然および合成の血管移植片の狭窄または再狭窄を遅延させ、または阻害するために有用である。ステントと関連して上記したように、合成血管移植片は、VSM増殖および結果として生じる移植片の狭窄を遅延させ、または阻害するための時間にわたって本発明の化合物を放出する材料を含むことが望ましい。血液透析移植片は特に好ましい実施形態である。
【0211】
これらの使用に加えて、本発明の方法は、心臓発作を有した、またはその検査結果が心臓発作の危険があることを示す人の血管の狭窄または再狭窄を遅延させ、または阻害するために使用され得る。
【0212】
血管形成または組織プラスミノゲン活性因子(tPA)を用いた処置によるなどの血餅の除去はまた、再潅流傷害に至り得、ここで、低酸素細胞への血液および酸素の再供給が酸化的損傷を引き起こし、炎症性事象の誘因となる。一部の実施形態において、再潅流傷害を処置するために本発明の化合物および組成物を投与する方法が提供される。一部のこのような実施形態において、該化合物および組成物は、血管形成もしくはtPAの投与前または後に投与される。
【0213】
一群の好ましい実施形態において、本発明の化合物は、高血圧を有しない人のVSM細胞の増殖を減少させるために投与される。別の群の実施形態において、本発明の化合物は、高血圧に関して処置されているが、sEH阻害剤ではない薬剤を用いる人のVSM細胞の増殖を減少させるために使用される。
【0214】
本発明の化合物は、不適切な細胞周期制御を示す細胞の増殖を妨げるために使用され得る。重要な1つの組の実施形態において、細胞は癌の細胞である。このような細胞の増殖は、細胞を本発明の化合物と接触させることによって遅延または阻害され得る。本発明の特定の化合物が任意の特定型の癌の細胞の増殖を遅延または阻害し得るかどうかの決定は、当該分野において慣用的であるアッセイ手段を用いて決定され得る。
【0215】
本発明の化合物の使用に加えて、EETのレベルは、EETを添加することによって上昇され得る。EETおよび本発明の化合物の両方と接触したVSM細胞は、EET単独または本発明の化合物単独のいずれかに暴露した細胞に比べてより遅い増殖を示した。したがって、必要に応じて、本発明の化合物のVSM細胞の遅延または阻害は、本発明の化合物とともにEETを添加することによって増強され得る。例えば、ステントまたは血管移植片の場合、ステントまたは移植片がいったん適所に存在するとEETおよび本発明の化合物の両方が放出されるように、本発明の化合物とともにコーティング中にEETを埋め込むことによって都合よく達成され得る。
【0216】
(閉塞性肺疾患、間質性肺疾患、または喘息の進行を阻害する方法)
慢性閉塞性肺疾患、すなわちCOPDは、気腫および慢性気管支炎の2つの状態を包含し、これは空気汚染、化学物質への慢性暴露、およびタバコの煙により肺に生じた損傷に関係する。疾患としての気腫は、肺の肺胞への損傷に関係し、これは肺胞間の分離喪失および結果として生じる、ガス交換に利用できる全表面積の減少をもたらす。慢性気管支炎は、細気管支の刺激に関係し、ムチンの過剰産生、およびその結果としての、肺胞につながる気道のムチンによる閉塞を生じる。気腫を有する人は慢性気管支炎を必ずしも有しないか、または逆も同様である一方、状態の1つに罹っている患者が他の肺疾患のみならず、他の疾患も有することは、一般的である。
【0217】
COPD、気腫、慢性気管支炎、および他の閉塞性肺疾患による肺への損傷の一部は、可溶性エポキシドヒドロラーゼ、すなわち「sEH」として知られている酵素の阻害剤を投与することによって阻害または反転され得る。sEH阻害剤の効果は、EETを投与することによっても増加され得る。この効果は、2つの薬剤を別個に投与することよりも、少なくとも相加的であり、実際に相乗的でもあり得る。
【0218】
本明細書において報告される研究は、EETが、タバコの煙、または拡張、職業上のもしくは環境の刺激物による肺への損傷を減少させるためにsEH阻害剤と併用して使用され得ることを示す。これらの所見は、sEH阻害剤およびEETの共投与が、COPD、気腫、慢性気管支炎、または肺に刺激をもたらす他の慢性閉塞性肺疾患の発症または進行を阻害または遅延させるために使用され得ることを示す。
【0219】
COPDの動物モデルおよびCOPDを有するヒトは、免疫調節性リンパ球および好中球の上昇したレベルを有する。好中球は、組織損傷を引き起こす薬剤を放出し、制御されない場合は、時間とともに破壊的効果を示す。理論に拘束されることを望まないが、好中球のレベルを減少させると、COPD、気腫、および慢性気管支炎などの閉塞性肺疾患の一因となる組織損傷を減少させると考えられる。COPDの動物モデルのラットにsEH阻害剤を投与すると、肺中に見いだされる好中球の数の減少を生じた。sEH阻害剤に加えてEETの投与はまた、好中球レベルを減少させた。sEH阻害剤およびEETの存在下での好中球レベルの減少は、sEH阻害剤単独の存在下におけるよりも大きかった。
【0220】
内因性EETのレベルは、sEH阻害剤の作用により生じるsEH活性の阻害とともに上昇し、したがって、症状または病変の少なくとも一部の改善をもたらすことが予想されるが、COPDまたは他の肺疾患の進行を阻害するために、全ての例では十分でないかもしれない。これは、疾患または他の要因が健常個体に通常存在する濃度未満にEETの内因性濃度を減少させた場合に特に当てはまる。したがって、sEH阻害剤と併用した外因性EETの投与は、COPDまたは他の肺疾患の進行を阻害または減少させる際にsEH阻害剤の効果を増加させることが予想される。
【0221】
慢性閉塞性気道状態の進行を阻害または減少させることに加えて、本発明はまた、慢性拘束性気道疾患の重症度または進行を減少させる新しい方法を提供する。閉塞性気道疾患は肺実質、特に肺胞の破壊から生じる傾向があるが、拘束性疾患は実質中の過剰コラーゲンの沈着から生じる傾向がある。これらの拘束性疾患は一般的に、「間質性肺疾患」、すなわち「ILD」と称され、特発性肺線維症などの状態を含む。本発明の方法、組成物、および使用は、特発性肺線維症などのILDの重症度または進行を減少させるために有用である。マクロファージは間質細胞、特に線維芽細胞を刺激して、コラーゲンを固着させるのに重要な役割を果す。理論に拘束されることを望まないが、好中球はマクロファージを活性化させることに関与しており、本明細書において報告される研究において見いだされる好中球レベルの減少は、本発明の方法および使用がまた、ILDの重症度および進行を減少させることに利用できることを示すと考えられる。
【0222】
一部の好ましい実施形態において、ILDは特発性肺線維症である。他の好ましい実施形態において、ILDは職業または環境暴露と関連するものである。このようなILDの代表例は、石綿肺症、珪肺症、炭鉱作業員塵肺症、およびベリリウム肺症である。さらに、セメントダスト、コークス炉排出物、雲母、岩粉、綿塵、および穀物粉を含む多くの無機塵埃および有機塵埃のいずれかへの職業暴露は、粘液分泌過多および呼吸器疾患と関係していると考えられる(これらの状態に関連する職業性塵埃のより完全なリストについては、Speizer、「Environmental Lung Diseases」、Harrison’s Principles of Internal Medicineの表254−1、後出、1429〜1436頁を参照されたい)。他の実施形態において、ILDは肺のサルコイドーシスである。ILDはまた、特に乳癌に関する、医学的治療における放射線、ならびに関節リウマチおよび全身性硬化症などの結合組織病または膠原病から生じ得る。本発明の方法、使用および組成物は、これらの間質性肺疾患のそれぞれにおいて有用であり得ると考えられる。
【0223】
実施形態の別の組において、本発明は喘息の重症度または進行を減少させるために使用される。喘息は通常、ムチン分泌過多をもたらし、部分的気道閉塞をもたらす。さらに、気道の刺激は、気道閉塞をもたらすメディエーターの放出をもたらす。喘息において肺に動員されるリンパ球および他の免疫調節細胞は、COPDまたはILDの結果として動員されるものと異なることがあるが、本発明は好中球および好酸球などの免疫調節細胞の流入を減少させ、閉塞の程度を改善することが予想される。したがって、sEH阻害剤の投与、およびEETと併用したsEH阻害剤の投与は、喘息による気道閉塞を減少させるのに有用であることが予想される。
【0224】
これらの疾患および状態のそれぞれにおいて、肺への損傷の少なくとも一部は、肺の中に浸入する好中球によって放出される薬剤に起因すると考えられる。したがって、気道内の好中球の存在は疾患または状態からの損傷継続を示すが、一方好中球の数の減少は損傷または疾患進行の減少を示す。したがって、薬剤の存在下での気道の好中球の数の減少は、該薬剤が疾患または状態による損傷を減少させており、疾患または状態のさらなる発症を遅延させていることの指標である。肺に存在する好中球の数は、例えば、気管支肺胞洗浄によって測定され得る。
【0225】
(脳卒中損傷を減少させるための予防および処置方法)
可溶性エポキシドヒドロラーゼ(「sEH」)の阻害剤およびsEHの阻害剤と併用投与したEETは、脳卒中由来の脳損傷を減少させることが示されている。これらの結果に基づき、発明者らは虚血性脳卒中の前に服用されるsEH阻害剤が脳損傷の範囲を減少させ、その結果として機能障害の程度を減少させる見込みがあることを予想する。損傷の範囲減少はまた、卒中の影響からのより速い回復を伴うはずである。
【0226】
脳卒中の異なる亜型の病態生理学は異なるが、それらは全て脳損傷を引き起こす。損傷が主として、血管破裂後に頭蓋内の制限された空間で血液が蓄積するにつれての組織の圧迫による点で出血性脳卒中は虚血性脳卒中と異なるが、一方虚血性脳卒中においては、損傷は主として、血餅による血管の閉塞の下流の組織への酸素供給喪失による。虚血性脳卒中は、血餅が脳の血管を閉塞させる血栓性脳卒中と、身体の他所で形成された血餅が血流によって運ばれ、そこで血管を閉塞させる塞栓性脳卒中に分けられる。出血性脳卒中および虚血性脳卒中の両方において、損傷は脳細胞の死による。発明者らの研究でみられた結果に基づいて、発明者らは全ての種類の脳卒中および全ての亜型における脳損傷の、少なくともいくらかの減少を予想する。
【0227】
多数の要因が脳卒中の危険増加に関連する。本発明の根底にある研究の結果によれば、以下の状態または危険因子:高血圧、喫煙、糖尿病、頚動脈障害、末梢動脈疾患、心房細動、一過性脳虚血発作(TIA)、高赤血球数および鎌状赤血球症などの血液疾患、高血中コレステロール、肥満症、女性について1日当たり1回以上の飲酒もしくは男性について1日当たり2回以上の飲酒のアルコール使用、コカインの使用、脳卒中の家族歴、既往脳卒中もしくは心臓発作、または老年であることのいずれか1つ以上を有する患者に投与されるsEH阻害剤は、脳卒中による脳損傷の範囲を減少させる。老年であることに関して、卒中の危険度は10年毎に増加する。したがって、個人が60、70、もしくは80歳に達するにつれて、sEH阻害剤の投与はますます大きな潜在的利益を有する。次節に記すように、1種以上のsEH阻害剤と併用したEETの投与は、脳損傷をさらに減少させるのに有益であり得る。
【0228】
一部の好ましい使用および方法において、sEH阻害剤および場合によりEETは、タバコを吸うか、頚動脈障害を有するか、末梢動脈障害を有するか、心房細動を有するか、1回以上の一過性脳虚血発作(TIA)を有したことがあるか、高赤血球数および鎌状赤血球症などの血液疾患を有するか、高血中コレステロールを有するか、肥満症であるか、女性の場合1日当たり1回以上の飲酒、または男性の場合1日当たり2回以上の飲酒でアルコールを使用するか、コカインを使用するか、脳卒中の家族歴を有するか、既往脳卒中または心臓発作を有したことがあるが、高血圧または糖尿病は有しないか、あるいは60、70、もしくは80歳またはそれ以上であるが、高血圧または糖尿病を有しない人に投与される。
【0229】
組織プラスノミゲン活性化因子(tPA)などの血餅溶解剤は、卒中後に短時間で投与されれば、虚血性卒中由来の損傷の程度を減少させることが示されている。例えば、tPAは、卒中後最初の3時間内での使用がFDAにより認可されている。したがって、卒中由来の少なくとも一部の脳損傷は瞬間でなく、むしろ脳卒中後にある期間にわたってか、または脳卒中後にある期間が経過後に生じる。脳卒中が起こった後6時間以内、より好ましくは、脳卒中が起こった後5、4、3、または2時間以内(それぞれ連続的なより短い間隔がより好ましい)に投与される場合、場合によりEETと一緒のsEH阻害剤の投与は脳損傷を減少させることもできることが企図される。さらにより好ましくは、脳損傷の減少を最大化するために、該阻害剤(単数または複数)は脳卒中後、2時間もしくはそれ未満、またはさらに1時間もしくはそれ未満で投与される。当業者は、患者が卒中を有しているか否かの診断の仕方をよく知っている。このような決定は通常、標準の鑑別診断プロトコルおよび撮像法に従って病院の救急治療室で行われる。
【0230】
一部の好ましい使用および方法において、sEH阻害剤および場合によりEETは、タバコを吸うか、頚動脈障害を有するか、末梢動脈障害を有するか、心房細動を有するか、1回以上の一過性脳虚血発作(TIA)を有したことがあるか、高赤血球数または鎌状赤血球症などの血液疾患を有するか、高血中コレステロールを有するか、肥満症であるか、女性の場合1日当たり1回以上の飲酒もしくは男性の場合1日当たり2回以上の飲酒でアルコールを使用するか、コカインを使用するか、脳卒中の家族歴を有するか、既往脳卒中または心臓発作を有したことがあるが、高血圧または糖尿病は有しないか、あるいは60、70、もしくは80歳またはそれ以上であるが、高血圧または糖尿病を有さない人で、この6時間以内に脳卒中を起こしたことがある人に投与される。
【0231】
(代謝症候群)
可溶性エポキシドヒドロラーゼ(「sEH」)の阻害剤、およびsEHの阻害剤と一緒に投与されるEETsは、米国仮出願番号60/887,124(これは、本明細書中に参考として援用される)に提供されるように、代謝症候群に関連する1つ以上の状態を処置することが示されている。
【0232】
代謝症候群は、一人の人に存在する代謝危険因子の群によって特徴付けられる。代謝危険因子としては、中心性肥満(腹の内部および周囲における過剰な脂肪組織)、アテローム性異常脂肪血症(血液脂肪障害であり、すなわち、高いトリグリセリドおよび低いHDLコレステロール)、インスリン抵抗性またはグルコース不耐性、血栓前状態(例えば、血液中の高濃度のフィブリノーゲンもしくはプラスミノゲン活性化因子阻害剤)、および高い血圧(130/85mmHg以上)が挙げられる。
【0233】
代謝症候群は、一般に、一人の被験体における以下の臨床症状発現のうちの3つ以上の存在に基づいて、診断され得る:
a)男性において40インチ(102cm)以上、および女性において35インチ(88cm)以上の、増加した腰周り寸法により特徴付けられる、腹の肥満;
b)150mg/dL以上の上昇したトリグリセリド;
c)女性において40mg/dL未満、および男性において50mg/dL未満の、低下したレベルの高密度リポタンパク質;
d)130/85mmHg以上の高い血圧;ならびに
e)100mg/dL以上の上昇した空腹時グルコース。
【0234】
代謝症候群の発生を予防して、この症候群によりもたらされる医学的合併症を回避するために、初期の介入を提供することが望ましい。代謝症候群の予防または阻害とは、代謝症候群に罹患しやすいがまだ発症していない被験体における、初期の介入をいう。これらの被験体は、代謝症候群に関連する遺伝的素因を有し得、そして/またはこれらの被験体は、代謝症候群に関連する特定の外的に獲得される要因(例えば、過剰な体脂、乏しい食餌、および身体的不活発)を有し得る。さらに、これらの被験体は、代謝症候群に関連する状態のうちの1つ以上を示し得る。これらの状態は、その初期の形態であり得る。
【0235】
したがって、1つの局面において、本発明は、代謝症候群に罹患しやすい被験体に有効量のsEH阻害剤を投与することによる、代謝症候群の発生を阻害するための方法を提供する。
【0236】
別の局面は、被験体における1つ以上の代謝症候群に関連する状態を処置するための方法を提供し、ここでこれらの状態は、初期糖尿病、肥満症、グルコース不耐性、高い血圧、上昇した血清中コレステロール、および上昇したトリグリセリドから選択される。この方法は、この被験体に、この被験体に発症している状態を処置するために有効な量のsEH阻害剤を投与する工程を包含する。この局面の1つの実施形態において、上記状態のうちの2つ以上が、この被験体に有効量sEH阻害剤を投与することにより処置される。この局面において、処置されるべき状態としては、高血圧症の処置が挙げられる。
【0237】
sEH阻害はまた、被験体が代謝症候群に罹患しやすいか代謝症候群を発症しているかにかかわらず、代謝状態(肥満症、グルコース不耐性、高血圧症、高い血圧、上昇したレベルの血清中コレステロール、および上昇したレベルのトリグリセリド、またはこれらの組み合わせが挙げられる)を処置する際に有用である。
【0238】
したがって、本発明の別の局面は、被験体における代謝状態を処置するための方法を提供し、この方法は、この被験体に、有効量のsEH阻害剤を投与する工程を包含し、この代謝状態は、肥満症、グルコース不耐性、高い血圧、上昇した血清中コレステロール、および上昇したトリグリセリド、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる状態からなる群より選択される。
【0239】
一般に、グルコース、血清中コレステロール、トリグリセリド、肥満症、および血圧のレベルは、周知のパラメータであり、そして当該分野において公知である方法を使用して容易に決定される。
【0240】
グルコース不耐性の数種の異なるカテゴリーが存在し、これらのカテゴリーとしては例えば、1型真性糖尿病、2型真性糖尿病、妊娠糖尿病(GDM)、耐糖能障害(IGT)、および空腹時耐糖能障害(IFG)が挙げられる。IGTおよびIFGは、通常の血糖症の状態から糖尿病への移行段階である。IGTは、75g経口耐糖能試験(OGTT)において1dLあたり140mg〜199mg(7.8mmol〜11.0mmol)の2時間グルコースレベルとして定義され、そしてIFGは、空腹時の患者における、1dLあたり100mg〜125mg(1Lあたり5.6mmol〜6.9mmol)の空腹時血漿中グルコース(FG)値として定義される。これらのグルコースレベルは、正常より高いが、糖尿病であるとの診断レベルより低い。Raoら,Amer.Fam.Phys.69:1961−1968(2004)。
【0241】
現在の知識は、グルコース不耐性または糖尿病の発症が、インスリン抵抗性により開始され、そして代償性高インスリン血症により悪化することを示唆する。2型糖尿病への進行は、遺伝的特質、および環境要因または後天性要因(例えば、座っていることが多い生活習慣および肥満症を促進する乏しい食習慣が挙げられる)により影響を受ける。2型糖尿病の患者は、通常、肥満症であるので、肥満症はまた、インスリン抵抗性に関連する。
【0242】
「初期糖尿病」とは、被験体が上昇したレベルのグルコース、あるいは上昇したレベルのグリコシル化ヘモグロビンを有するが、糖尿病を発症していない状態をいう。患者における糖尿病の長期間の重篤度および進行の標準的な尺度は、グリコシル化タンパク質(代表的に、グリコシル化ヘモグロビン)の濃度である。グリコシル化タンパク質は、グルコースとタンパク質の遊離アミノ基(代表的に、N末端アミノ基)との自発的反応により形成される。HbA1cは、グリコシル化ヘモグロビン(Hb)のうちの1つの特定の型であり、約80%の全てグリコシル化されたヘモグロビンからなり、ここで、Hb Aβ鎖のN末端アミノ基が、グリコシル化されている。
【0243】
HbA1cの形成は、非可逆的であるので、その血中レベルは、赤血球の寿命(平均120日間)と、血中グルコース濃度との両方に依存する。赤血球中でのグリコシル化ヘモグロビンの蓄積は、この細胞がその生活環中に曝露されたグルコースの平均レベルを反映する。したがって、グリコシル化ヘモグロビンの量は、長期間の血清グルコース調節を監視することにより、治療の有効性の指標であり得る。HbA1cレベルは、4週間〜3ヶ月前の平均血中グルコース濃度に比例する。したがって、HbA1cは、時間平均した血中グルコース値を表し、そして血中グルコース値において観察される広い摂動(糖尿病を制御するための候補薬物の臨床治験と最も代表的に組み合わせられる尺度)を受けにくい。
【0244】
肥満は、被験体の体重を測定すること、または被験体のボディマス指数(BMI)を測定することによって、監視され得る。BMIは、被験体の体重(kg)を、その被験体の身長(m)の二乗で割ることにより決定される(BMI=kg/m)。あるいは、肥満は、体脂の百分率を測定することにより監視され得る。体脂の百分率は、当該分野において公知である方法(被験体の体重を水中で測定することによる方法、皮下脂肪試験による方法(この方法において、ひとつまみの皮膚が正確に測定されて、皮下脂肪層の厚さが決定される)または生物電気的インピーダンス分析による方法が挙げられる)により測定され得る。
【0245】
(併用療法)
上記したように、一部の場合において、本発明の化合物は、所望の効果をもたらすために他の治療薬と併用して使用される。大部分において、さらなる薬剤の選択は、所望の標的療法に依存する(例えば、Turner,N.ら、Prog.Drug Res.(1998年)51:33〜94頁;Haffner,S.、Diabetes Care(1998年)21:160〜178頁;およびDeFronzo,R.ら(編)、Diabetes Reviews(1997年)第5巻、第4号を参照されたい)。いくつかの研究で、経口剤との併用療法の利点が研究されている(例えば、Mahler,R.、J.Clin.Endocrinol.Metab.(1999年)84:1165〜71頁;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group:UKPDS 28、Diabetes Care(1998年)21:87〜92頁;Bardin,C.W.(編)、Current Therapy In Endocrinology And Metabolism、第6版(Mosby−Year Book,Inc.、St.Louis、Mo.1997年);Chiasson,J.ら、Ann.Intern.Med.(1994年)121:928〜935頁;Coniff,R.ら、Clin.Ther.(1997年)19:16〜26頁;Coniff,R.ら、Am.J.Med.(1995年)98:443〜451頁;およびIwamoto,Y.ら、Diabet.Med.(1996年)13 365〜370頁;Kwiterovich,P.、Am.J.Cardiol(1998年)82(12A):3U〜17U頁を参照されたい)。併用療法には、式I〜VIIIおよびIaのうちのいずれか1つ、または表1の化合物および1種以上のさらなる活性薬剤を含む単一の医薬製剤の投与、ならびにそれぞれの別個の医薬製剤における該化合物およびそれぞれの活性薬剤の投与が含まれる。例えば、式I〜VIIIおよびIaのうちのいずれか1つの化合物および1種以上のアンギオテンシン受容体遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、中枢性作動薬、バソペプチダーゼ阻害薬、レニン阻害薬、エンドセリン受容体アゴニスト、AGE(進行糖化終末産物)架橋ブレーカー、ナトリウム/カリウムATPアーゼ阻害剤、エンドセリン受容体アゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、アンギオテンシンワクチンなどは、錠剤もしくはカプセルなどの単一の経口投薬組成物において一緒にヒト被験体に投与され得るか、またはそれぞれの薬剤は別個の経口製剤で投与され得る。別個の投薬形態が使用される場合、式I〜VIIIおよびIaのうちのいずれか1つの化合物および1種以上のさらなる活性薬剤は、実質的に同じ時間に(すなわち、同時に)、または別個にずれた時間に(すなわち、順次に)投与され得る。併用療法はこれらの治療方式全てを含むと理解される。
【0246】
(投与および薬学的組成物)
一般に、本発明の化合物は、同様の有用性を供する薬剤のための投与の容認されたいずれかの様式によって治療有効量で投与される。本発明の化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、治療される疾患の重症度、被験体の年齢および相対的健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、ならびに他の要因などの多くの要因に依存する。該薬物は1日1回より多く、好ましくは、1日1回または2回投与され得る。これらの要因の全ては、担当臨床医の技術範囲内にある。
【0247】
該化合物の治療有効量は、1日当たりレシピエントのキログラム体重当たり約0.05から50mg;好ましくは約0.1〜25mg/kg/日、より好ましくは約0.5から10mg/kg/日の範囲であることが企図される。したがって、70kgの人への投与について、投薬量範囲は、最も好ましくは、1日当たり約35〜70mgである。本明細書中で使用される場合、治療有効量とは、本発明の実施形態に開示されるような活性化合物の、疾患を処置または予防するために有効な量をいう。
【0248】
一般に、本発明の化合物は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内または坐薬による)、非経口(例えば、筋内、静脈内または皮下)、またはくも膜下投与のいずれか1つによって薬学的組成物として投与される。投与の好ましい方式は、苦痛の程度によって調整され得る好都合な1日投与方式を用いる経口である。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉末、持続放出製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル、または他の適切な任意の組成物の形態を取り得る。本発明の化合物を投与するための別の好ましい方式は、吸入である。これは、気道に直接治療薬を送達する有効な方法である(米国特許第5,607,915号参照)。
【0249】
製剤の選択は、薬物投与方法および薬物物質の生体内利用率などの様々な要因に依存する。吸入を介した送達のために、該化合物は、液体の溶液、懸濁液、エアロゾル推進剤または乾燥粉末として製剤化され、投与に好適なディスペンサー中に充填され得る。数種類の医薬吸入装置(ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI))が存在する。ネブライザー装置は、患者の気道中に運ばれるミストとして治療薬(液体形態で製剤化される)を噴霧させる高速空気の流れを生成する。MDIは通常、圧縮ガスと一緒に詰められた製剤である。作動の際に、該装置は圧縮ガスにより定量の治療薬を放出し、したがって、一定量の薬剤を投与する信頼できる方法を与える。DPIは、装置による呼吸の間に患者の吸入空気流に分散され得る自由に流れる粉末の形態で治療薬を供給する。自由に流れる粉末を得るために、該治療薬は乳糖などの賦形剤とともに製剤化される。定量の治療薬は、カプセル形態で保存され、それぞれの作動で供給される。
【0250】
最近、医薬製剤は、生体内利用率が表面積を増加させること、すなわち、粒径を減少させることによって生体内利用率が増加され得るという原理に基づいて不十分な生体内利用率を示す薬物について特に開発されている。例えば、米国特許第4,107,288号には、活性物質が巨大分子の架橋マトリックス上に支持される10から1,000nmの粒径範囲の粒子を有する医薬製剤が記載されている。米国特許第5,145,684号には、薬物物質が表面改良剤の存在下でナノ粒子(平均粒径400nm)に粉砕され、次いで、液体媒体に分散されて、顕著に高い生体内利用率を示す医薬製剤を与える医薬製剤の製造が記載されている。
【0251】
該組成物は、一般に、少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤と併用した本発明の化合物を含む。許容される賦形剤は、非毒性であり、投薬を補助し、該化合物の治療利点に悪影響を及ぼさない。このような賦形剤は、当業者に一般に利用可能な、固体、液体、半固体のいずれかの賦形剤、またはエアロゾル組成物の場合には、ガス状賦形剤であってもよい。
【0252】
固体医薬賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどが含まれる。液体および半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび(石油、動物、植物または合成起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む)様々な油から選択される。特に注射用液のために好ましい液体キャリアには、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが含まれる。
【0253】
圧縮ガスは、エアロゾル形態に本発明の化合物を分散させるために使用され得る。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の好適な医薬賦形剤およびそれらの製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、E.W.Martin編(Mack Publishing Company、第18版、1990年)に記載されている。
【0254】
製剤中の該化合物の量は、当業者によって採用されるあらゆる範囲内で変り得る。通常、該製剤は、重量パーセント(wt%)基準で、製剤全体に基づいて約0.01〜99.99wt%の化合物を含み、残余が1種以上の適切な医薬賦形剤である。該化合物は、約1〜80wt%のレベルで存在するのが好ましい。式I〜VIIIのうちのいずれか1つの化合物を含む代表的医薬製剤は下記に記載される。
【0255】
(一般合成法)
本発明の化合物は、以下の一般的な方法および手順を用いて容易に入手可能な出発物質から調製され得る。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、他のプロセス条件も特に断らない限り用いられ得ることが理解される。最適反応条件は、使用される特定の反応物質または溶媒で変り得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順により当業者によって決定され得る。
【0256】
さらに、当業者には明らかであるように、従来の保護基は、特定の官能基が望ましくない反応を起こすことを防止するのに必要であり得る。様々な官能基の好適な保護基ならびに特定の官能基を保護および脱保護する好適な条件は、当該分野で周知である。例えば、多数の保護基がT.W.GreeneおよびG.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999年およびそこに引用された参考文献に記載されている。
【0257】
さらに、本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を含み得る。したがって、必要に応じて、このような化合物は、純粋な立体異性体、すなわち、個々のエナンチオマーもしくはジアステレオマーとして、または立体異性体豊富化混合物として、調製または単離され得る。このような立体異性体(および豊富化混合物)の全ては、特に断らない限り、本発明の範囲内に含まれる。純粋立体異性体(または豊富化混合物)は、例えば、当該分野で周知である光学的に活性な出発物質または立体選択性反応物質を用いて調製され得る。あるいは、このような化合物のラセミ混合体は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤などを用いて分離され得る。
【0258】
以下の反応のための出発物質は一般的に公知の化合物であるか、または公知の手順もしくはその明らかな変更によって調製され得る。例えば、多くの出発物質が、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)、Bachem(Torrance、California、USA)、Emka−ChemceまたはSigma(St.Louis、Missouri、USA)などの商業的供給業者から入手可能である。他のものは、FieserおよびFieserのReagents for Organic Synthesis、第1〜15巻(John Wiley and Sons、1991年)、RoddのChemistry of Carbon Compounds、第1〜5巻および補遺(Elsevier Science Publishers、1989年)、Organic Reactions、第1〜40巻(John Wiley and Sons、1991年)、MarchのAdvanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons、第4版)、ならびにLarockのComprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)などの標準的参考教科書に記載される手順、またはその明らかな変更によって調製され得る。
【0259】
本発明の様々な出発物質、中間体、および化合物は、適切な場合に、沈殿、ろ過、結晶化、エバポレーション、蒸留、およびクロマトグラフィーなどの従来の技術を用いて、単離および精製され得る。これらの化合物の特徴づけは、融点、質量スペクトル、核磁気共鳴、および様々な他の分光分析によるなどの従来の方法を用いて行われ得る。
【0260】
(スキーム1)
【0261】
【化25】

本発明の化合物の合成が、スキーム1に示されており、スキーム1において、X、Y、Z、およびnは、先に定義されたとおりである。説明の目的のみで、−X−Yを有する環は、ピペリジン環として示される。X−Yを有する環がピロリジンまたはアゼチジンである、式Iの化合物もまた、同様に合成され得ることが指摘されるべきである。アミン1.2は、適切なイソシアネート1.1と反応して、式Iの対応する尿素を形成する。代表的に、この尿素の形成は、極性溶媒(例えば、DMF(ジメチルホルムアミド))を使用して、0℃〜50℃で行われる。化合物Iは、適切な合成反応を使用してさらに修飾され、所望の置換基を導入され得る。このような方法は、当業者に明らかである。このカップリング反応の例は、以下の実施例1および2に示されている。
【0262】
イソシアネート1.1は、公知の化合物、または従来の合成手順により公知の化合物から調製され得る化合物のいずれかであり得る。例えば、以下のイソシアネート化合物が、容易に入手可能である:イソシアン酸フェニル、イソシアン酸トリフルオロメチルフェニル、イソシアン酸クロロフェニルおよびイソシアン酸フルオロフェニル。
【0263】
アミン1.2は、公知の化合物、または従来の合成手順により公知の化合物から調製され得る化合物のいずれかであり得る。例えば、アミン1.2は、スキーム2に従って調製され得、スキーム2において、LGは、適切な脱離基を表す。
【0264】
(スキーム2)
【0265】
【化26】

あるいは、本発明に開示される化合物はスキーム3に示されるように合成され得、スキーム3において、PGは、適切な保護基を表す。この保護基は、第二級アミンについて通常認識されている保護基のうちの任意のものであり得、最も通常には、カルバメート(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基)である。スキーム3によれば、適切なイソシアネート1.1は、保護された4−アミノピペリジン3.1と反応して、尿素化合物3.2を形成する。次いで、適切な条件が使用され、その保護基を除去して、アミン3.3を形成する。アミン3.3とLG−X−Y(ここでLGは脱離基であり、そしてX、Yは、先に定義されたとおりである)との反応は、式IIの所望の化合物を与える。この転換の詳細は、実施例3〜42に見出され得る。
【0266】
(スキーム3)
【0267】
【化27】

以下の実施例は、本発明の特定の局面を説明するため、および本発明を実施するのに当業者を補助するために提供される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定すると考えられることを意図しない。
【実施例】
【0268】
以下の実施例ならびに本出願において、以下の略語は以下の意味を有する。定義されない場合、それらの用語はそれらの一般に認められた意味を有する。
【0269】
aq. =水性
brs =広い一重線
℃ =摂氏温度
d =二重線
DCM =ジクロロメタン
DMAP =ジメチルアミノピリジン
DMF =ジメチルホルムアミド
DMSO =ジメチルスルホキシド
EtOAc=酢酸エチル
g =グラム
LCMS =液体クロマトグラフィー質量分析
m =多重線
mg =ミリグラム
mmol =ミリモル
MHz =メガヘルツ
mL =ミリリットル
m.p. =融点
N =規定
RT =室温
s =一重線
t =三重線
TEA =トリエチルアミン
THF =テトラヒドロフラン
TLC =薄層クロマトグラフィー。
【0270】
(比較例1)
1−[1−(4−モルホリン−4−イル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−3−フェニル−尿素(1)
4−ブロモブチリルクロリドの調製
【0271】
【化28】

4−ブロモ酪酸(2.00g,12.0mmol,1.2当量)の、DCM(40mL)中の溶液に、塩化オキサリル(ジクロロエタン中2M,36mL,18mmol,1.8当量)および触媒量のDMF(20μL)を添加した。この混合物を室温で1.75時間攪拌し、そしてその溶媒をロータリーエバポレーションにより除去して、4−ブロモブチリルクロリドを得た(この生成物の潜在的な揮発性に起因して、この生成物を乾燥させるために高真空を使用しなかった)。この粗製物質をさらに精製せずに、次の工程において即座に使用した。
【0272】
1−(4−ブロモブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルの調製
【0273】
【化29】

ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(2.00g,10.0mmol,1.0当量)およびピリジン(971μL,12.0mmol,1.2当量)の、DCM(10mL)中のスラリーを、30秒かけて、粗製4−ブロモブチリルクロリドのDCM(20mL)中の溶液に添加した。このスラリーを含むバイアルをDCM(10mL)でリンスし、そして得られたDCM洗浄液をこの反応混合物に添加した。この反応物を室温で2時間攪拌し、次いで、DCM(50mL)で希釈し、そして5%水性HPO(50mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧中でエバポレートして、1−(4−ブロモブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルを得た。LCMS m/z 349.4および351.4[M+H]。注記:この反応中にハロゲン交換が起こり、1−(4−クロロブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルが得られた。LCMS m/z 305.4[M+H]。この粗製生成物を、さらに精製せずに次の工程において即座に使用した。
【0274】
1−(4−モルホリノブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルの調製
【0275】
【化30】

粗製1−(4−ブロモブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルの、DMF(40mL)中の溶液に、モルホリン(4.37mL,50.0mmol,5.0当量)を添加した。得られた混合物を50℃で14時間攪拌した。この混合物を冷却し、DCM(200mL)で希釈し、そしてブライン(200mL)で洗浄した。その水層をDCM(50mL)で抽出し、そしてその有機層を合わせ、そしてブライン(3×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧中でエバポレートして、1−(4−モルホリノブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルを得た(2.08g,5.5mmol,1−(4−ブロモブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルから55%)。LCMS m/z 356.4[M+H]。この粗製生成物を、さらに精製せずに次の工程において使用した。
【0276】
1−(4−アミノピペリジン−1−イル)−4−モルホリノブタン−1−オンの調製
【0277】
【化31】

粗製1−(4−モルホリノブタノイル)ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチル(2.08g,5.5mmol,1当量)の、DCM(15mL)中の溶液に、ジオキサン中のHCl(4M,15mL,60mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温で3時間攪拌した。その溶媒を減圧中で除去して、1−(4−アミノピペリジン−1−イル)−4−モルホリノブタン−1−オンを定量的な収率で二塩酸塩として得た。LCMS m/z 256.4[M+H]。この粗製生成物を、さらに精製せずに次の工程において使用した。
【0278】
1−[1−(4−モルホリン−4−イル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−3−フェニル−尿素の調製
【0279】
【化32】

1−(4−アミノピペリジン−1−イル)−4−モルホリノブタン−1−オン(0.75mmol)の、DMF(2.5mL)およびジイソプロピルエチルアミン(0.39mL,2.25mmol,3当量)中のスラリーに、イソシアン酸フェニル(98μL,0.9mmol,1.2当量)を添加した。この混合物を室温で14時間攪拌し、その後、DMFを減圧中で除去した。その残渣をMeOH(約1mL)でクエンチし、そしてその混合物を減圧中で濃縮した。得られた粗製物質を逆相HPLCにより精製して、1−[1−(4−モルホリン−4−イル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−3−フェニル−尿素を得た。純度95%;LCMS m/z 375.5[M+H]H NMR(DMSO−d,300MHz):δ8.32(s,1H),7.34(m,2H),7.18(m,2H),6.86(m,1H),6.18(d,J=3Hz,1H),4.13−4.24(bd,2H),3.6−3.85(bm,3H),3.47−3.6(m,4H),3.05−3.2(bt,1H),2.7−2.85(bt,1H),2.2−2.38(m,6H),1.76−1.9(bt,2H),1.58−1.70(m,2H),1.1−1.4(bm,2H)。
【0280】
(実施例2)
1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[1−(4−モルホリン−4−イル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(2)
【0281】
【化33】

1−(4−アミノピペリジン−1−イル)−4−モルホリノブタン−1−オン(0.75mmol,1当量)の、DMF(2.5mL)およびジイソプロピルエチルアミン(0.39mL,2.25mmol,3当量)中のスラリーに、3,4−ジフルオロイソシアン酸フェニル(106μL,0.9mmol,1.2当量)を添加した。この混合物を室温で14時間攪拌し、その後、DMFを減圧中で除去した。その残渣をMeOH(約1mL)でクエンチし、減圧中で濃縮し、そして逆相HPLCにより精製して、表題化合物を得た。純度90%;LCMS m/z 411.5[M+H]H NMR(DMSO−d,300MHz):δ8.62(s,1H),7.58(dd,J=3Hz,1Hz),7.25(q,J=4Hz,1H),6.94−7.04(m,1H),6.32(d,J=4Hz,1H),4.13−4.24(bd 2H),3.6−3.85(bm,3H),3.47−3.6(m,4H),3.04−3.22(bt,1H),2.68−2.85(bt,1H),2.18−2.37(m,6H),1.72−1.88(bt,2H),1.57−1.68(m,2H),1.1−1.42(bm,2H)。
【0282】
(実施例3)
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(3)
4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0283】
【化34】

4−アミノピペリジン(5.0g,50mmol,1当量)を、Dean−Starkトラップおよび冷却器を備える250mLの三口フラスコ中の、ベンズアルデヒド(5.09mL,50mmol,1当量)のトルエン(130mL)中の溶液に添加した。窒素ラインをこの冷却器の頂部に接続し、そしてこの反応物を3時間還流し、この時間の間に、水がDean−Starkトラップ中で凝縮するのが見られた。この反応物を室温まで冷却し、そしてBoc無水物(5.8mL,50mmol,1当量)を5分間かけて添加した。この反応物を、Nのブランケット下で一晩攪拌した。次いで、その溶媒を減圧下で除去し、そしてNaHSO(水中1M,50mL)をその残渣に添加した。得られた混合物を2時間激しく攪拌し、その後、ジエチルエーテル(250mL)と水(250mL)との間で分配した。その水層を分離し、ジエチルエーテル(3×150mL)で洗浄し、NaOH溶液で、そのpHが約11になるまで塩基性化した。得られた溶液をDCM(4×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、そしてエバポレートして、8.0gの4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを黄色油状物として得た。
【0284】
4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの調製
【0285】
【化35】

4−トリフルオロメチルイソシアン酸フェニル(1.0当量)を、4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの(1当量)のエタノール(10容量)中の溶液に添加した。この反応混合物を50℃で一晩攪拌した。その溶媒を減圧下で除去し、そして粗製生成物をジエチルエーテル中で結晶化させて、4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを白色固体として得た。
【0286】
1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素の調製
【0287】
【化36】

4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを、MeOH/HCl中で一晩攪拌した。その溶媒を除去し、そしてその残渣を、白色の固体沈殿物が見られるまで、ジエチルエーテル中で攪拌した。その沈殿物を濾過により収集して、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素をその塩酸塩として得た。
【0288】
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素の調製
【0289】
【化37】

氷水浴で冷却した1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(10.3g,35.8mmol)のDCM(150mL)中の溶液に、EtN(14.9mL,107mmol)および無水酢酸(5.0mL,53.8mmol)を順番に添加した。室温で18時間攪拌した後に、生じた沈殿物を濾過し、DCM(2×50mL)で洗浄し、高真空下で4時間乾燥させて、1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素を白色固体として得た(8.4g,71%)。HPLC純度99.0%;m.p.:240−248C;MS:330[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:8.79(s,1H,NH),7.62−7.48(m,4H),6.18(d,1H,J=7.5Hz,NH),4.11(d,J=15Hz,1H),3.89−3.72(m,2H),3.08(t,1H),2.91(m,1H),1.99(s,3H),1.85−1.77(m,2H),1.45−1.07(m,2H)。
【0290】
(実施例4)
1−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(4)
【0291】
【化38】

氷水浴で冷却した1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(10.8g,37.6mmol)のDCM(150mL)中の溶液に、EtN(15.7mL,113mmol)およびメタンスルホニルクロリド(4.37mL,56.4mmol)を順番に添加した。この反応物を室温で18時間攪拌した。水(200mL)を添加し、そしてこの混合物をさらに18時間攪拌した。生じた沈殿物を濾過により収集し、水(2×50mL)で洗浄し、そして18時間乾燥させて、表題生成物を得た(3.6g)。濾液からの上清の相を分離した。この有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、さらに4.0gの生成物を得た。合わせた粗製生成物(7.6g)をEtOAcから再結晶して、純粋な生成物を白色固体として得た(3.15g,23%)。HPLC純度93.8%;MS:366[M+H]H NMR(300MHz,CDCl+DMSO−d):δ8.03(s,1H,NH),7.12−7.00(m,4H),5.86(s,1H),3.37−3.20(m,3H),2.95−2.82(m,1H),2.58−2.41(m,4H),1.72−1.58(m,2H),1.24−1.08(m,2H)。
【0292】
(比較例5)
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−フェニル−尿素(5)
【0293】
【化39】

表題化合物を、容易に入手可能な出発物質から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、オフホワイトの固体として合成した。MS:349[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ7.2−7.5(2d,4H,Ar−CH),7.0(m,1H,ArCH),4.2−4.4(d,H,CH),3.8−4(m,2H,CH),3.1−3.3(tr,1H,CH),2.7−2.9(tr,1H,CH);6.1および8.6(s,2H,NH);LCMS純度:96.4%;収率:70.2%。
【0294】
(実施例6)
1−[1−(3−メチル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(6)
【0295】
【化40】

氷水浴で冷却した1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(9.80g,34.1mmol)のDCM(150mL)中の溶液に、EtN(14.2mL,102mmol)および塩化イソバレリル(6.25mL,51.2mmol)を順番に添加した。この反応物を室温で18時間攪拌した。水(200mL)を添加し、そしてこの混合物をさらに18時間攪拌した。生じた沈殿物を濾過により収集し、そして水(2×50mL)で洗浄し、高減圧下で18時間乾燥させて、表題生成物を白色固体として得た(5.4g,42%)。HPLC純度95.4%;MS:372[M+H]H NMR(300MHz,CDCl):δ8.14(S,1H,NH),7.32−7.18(m,4H),4.24(S,1H,NH),3.88−3.65(m,2H),3.16−2.95(m,3H),2.74−2.58(m,1H),2.06−1.98(m,1H),1.95−1.68(m,3H),1.29−1.11(m,2H),0.82−0.74(m,6H)。
【0296】
(実施例7)
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(7)
【0297】
【化41】

表題化合物を、1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素から、上記実施例6に記載された手順と類似の手順を使用して、オフホワイトの固体として合成した。MS:343[M+H]HNMR(300MHz;DMSO−d):δ2.06−2.2(m,4H,2CH),3−4(m,4H,2CH),6.7(m,1H,CH),7−8(m,6H,Ar−CH),8−9(br,2H,2NH);m.p.:118−122℃;LCMS純度:98.5%;収率:47.2%。
【0298】
(実施例8)
1−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(8)
【0299】
【化42】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素から、実施例7に記載された手順と類似の手順を使用して、オフホワイトの固体として合成した。MS:393[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH);3.1−3.4(m,2H,CH),4.4(m,1H,CH),6.3(d,1H,NH),7.3−8.3(m,4H,Ar−CH),8.1(s,1H,Ar−CH),8.7−8.9(m,3H,Ar−CH),7.8(brs,1H,NH);m.p.:213−217℃;LCMS純度:96%;収率:52.8%。
【0300】
(実施例9)
1−[1−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(9)
【0301】
【化43】

ピコリン酸(1.28g,10.4mmol)のDMF(30mL)中の溶液に、EtN(2.9mL,20.9mmol)およびN−[(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)(ジメチルアミノ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HBTU)(3.29g,8.70mmol)を室温で順番に添加した。5分後、DMF(20mL)中の1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(2.0g,6.96mmol)を添加し、そしてこの混合物を18時間室温で攪拌し、その後、水(100mL)で希釈した。生じた沈殿物を濾過により収集し、水(2×100mL)およびDCM(2×50mL)で洗浄し、そして高真空下で18時間乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(2.7g,98%)。HPLC純度97.3%;MS:393[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.58−8.41(m,2H),7.92−7.78(m,2H),7.54−7.22(m,6H),6.19(s,1H),4.42−4.31(m,1H),3.91−3.69(m,2H),3.23−2.96(m,2H),2.12−1.94(m,1H),1.93−81(m,1H),1.58−1.34(m,2H)。
【0302】
(実施例10)
4−{4−[3−(4−フルオロ−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−カルボニル}−安息香酸(10)
【0303】
【化44】

表題化合物を、1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(以下の実施例13を参照のこと)から、以下の実施例11に記載される手順と類似の手順を使用して、オフホワイトの固体として合成した。MS:386[M+H]H NMR(300MHz,CDCl):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH),3.6−3.8(m,2H,CH),3.1−3.4(m,2H,CH),4.4(m,1H,CH),7.3−7.6(m,4H,Ar−CH),8.1(d,2H,NH);m.p.:195−198℃;LCMS純度:99.6%;収率:52.8%。
【0304】
(実施例11)
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−カルボニル}−安息香酸(11)
【0305】
【化45】

4−シアノ安息香酸(1当量)、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)−フェニル)尿素(1.15当量)、DMAP(1.1当量)の、DCM(15容量)中の溶液に、N−[(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(1.05当量)を室温で添加した。この反応混合物を一晩攪拌した。その溶媒を除去し、そしてその残渣を酢酸エチルに溶解し、そして1N水性NaOH、水、1N水性HClおよび水で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去により得られた粗製生成物を、EtOAc/MeOHを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1−(1−(4−シアノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素を得た。
【0306】
HClガスを、2時間にわたって、氷浴温度の1−(1−(4−シアノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素のメタノール中の溶液にバブリングした。次いで、この反応混合物を室温で一晩攪拌した。その溶媒を減圧により除去し、そしてその残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCO、水性NaCl溶液および水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の除去により得られた粗製生成物を、EtOAc/MeOHを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸メチルを得た。
【0307】
4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸メチル(1当量)およびLiOH(3当量)を、THF:MeOH:HO(9:1:1)の室温の攪拌溶液に添加した。この反応混合物を一晩攪拌した。この反応をTLCにより監視した。完了したら、この反応混合物を減圧下で濃縮し、そしてその残渣をHOに溶解し、そしてエーテルで洗浄した。その水層を、1N水性HCl溶液を使用して酸性化し、そしてDCMで抽出した。その有機層をブラインで洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、表題生成物を得た。
【0308】
(実施例12)
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(12)
【0309】
【化46】

イソシアン酸4−フルオロフェニル(10.0g,72.9mmol)の、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)中の溶液に、4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(14.6g,72.9mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩攪拌した。その溶媒を除去し、そしてその残渣をエーテルで洗浄して、4−(3−(4−フルオロフェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(11.4g,47.6%)を白色結晶性固体として得た。MS:338(M+H)
【0310】
4−(3−(4−フルオロフェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(11.4g,30.0mmol)のメタノール(10mL)中の溶液に、ジオキサン中の塩酸(4M,100mL)を添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。その溶媒を除去し、そして得られた固体をエーテルで洗浄し、そして減圧下で乾燥させた。次いで、その固体(5.00g,17.8mmol)をDCM(150mL)に溶解した。m−トリフルオロメチルフェニルスルホニルクロリド(7.32g,30mmol)をこの溶液に添加し、続いてジイソプロピルエチルアミン(4.35g,33.6mmol)を添加した。得られた反応混合物を一晩攪拌した。次いで、この混合物をDCM(100mL)で抽出し、水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去したら、その粗製生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(50%)を使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物(5.00g,63%)を白色結晶性固体として得た。MS:446(M+H);HPLC純度:96.4%;H NMR(CDOD,300MHz):δ8.02(m,3H),7.84(t,J=7.5Hz,1H),7.27(m,2H),6.95(t,J=8.7Hz,2H),3.65(m,2H),3.55(m,1H),2.61(t,J=11.1Hz,2H),1.92(dd,J=3Hz,2H),1.48−1.61(m,2H)。
【0311】
(実施例13)
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素(13)
【0312】
【化47】

表題化合物を、実施例12に記載された手順と類似の手順を使用して合成した。
【0313】
(実施例14)
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(14)
【0314】
【化48】

表題化合物を、実施例12に記載された手順と類似の手順を使用して合成した。
【0315】
(実施例15)
4−{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−スルホニル}−安息香酸(15)
【0316】
【化49】

表題化合物を、容易に入手可能な出発物質から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、白色固体として合成した。MS:436[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d)δ:1.5−1.6(m,2H,CH);1.8−2.0(d,2H,CH),2.6−2.8(m,2H,CH),3.5−3.7(d,m,3H,CH,CH),7.2−8.3(d,4H,ArCH),13.4(brs,1H,COOH),8.5および6.3(d,2H,NH);m.p.:266−270℃;LCMS純度:98.9%;収率:30%。
【0317】
(実施例16)
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−スルホニル}−安息香酸(16)
【0318】
【化50】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)−フェニル)尿素および4−シアノベンゼンスルホニルクロリドから、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、白色固体として合成した。MS:472[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.0(d,2H,CH),2.6−2.8(m,2H,CH),3.5−3.7(d,m,3H,CH,CH),7.8(s,4H,Ar−CH),7.9−8.3(d,4H,ArCH−COOH),13.6(brs,1H,COOH),8.1および6.3(d,2H,NH);m.p.:188−192C;LCMS純度:99.6%;収率:20%。
【0319】
(実施例17)
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(17)
【0320】
【化51】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素から、実施例4に記載された手順と類似の手順により、白色固体として合成した。MS 428[M+H]H NMR(300MHz,CDCl):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.0(d,2H,CH),2.6−2.8(m,2H,CH),3.5−3.7(d,m,3H,CH,CH),7.6−7.8(m,9H,Ar−CH),8.1および6.3(d,2H,NH);m.p.:248−252℃;LCMS純度:99.4%;収率:70%。
【0321】
(実施例18)
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(18)
【0322】
【化52】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素から、実施例4に記載された手順と類似の手順を使用して白色固体として合成した。MS:462[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH),3.6−3.8(m,2H,CH),3.1−3.4(d,m,3H,CH,CH),7.6−7.8(m,4H,Ar−CH),8.1および6.3(d,2H,NH);m.p.:266−270℃;LCMS純度:99.0.%;収率:60%。
【0323】
(実施例19)
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素(19)
【0324】
【化53】

4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(3.8g,19mmol)の乾燥DMF(20mL)中の溶液に、イソシアン酸4−フルオロフェニル(2.6g,19mmol)を0℃で添加した。この混合物を0℃〜10℃で8時間攪拌した。この反応の完了後、この反応混合物を水に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下でエバポレートして、4.45gの粗製4−(3−(4−フルオロフェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。
【0325】
次いで、この粗製4−(3−(4−フルオロフェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル80mLの4N HCl/ジオキサンに添加し、そして室温で4時間攪拌した。次に、この反応混合物を100mLの水に注ぎ、1N NaOHで中和し、そしてジクロロメタンで抽出した。次いで、その有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液、続いてブラインで洗浄し、そして減圧下で蒸留して、3.2gの粗製物質を得た。次いで、この粗製物質を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(2:3)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.45)により精製して、2.8gの1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素を得た。
【0326】
1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(100mg,4.21mmol)を20mLの乾燥DCMに溶解し、続いてトリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(88mg,0.419mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温でさらに1時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、そしてDCMで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた残渣を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.58)により精製して、125mgの1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.82(m,2H),7.62−7.60(m,2H),7.50−7.42(m,2H),6.95(m,2H),5.90(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:412(M+H);m.p.:160−162℃。
【0327】
(実施例20)
1−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(20)
【0328】
【化54】

表題化合物を、容易に入手可能な出発物質から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、淡褐色固体として合成した。MS:496[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.0(d,2H,CH),2.6−2.8(m,2H,CH),3.5−3.7(m,3H,CH,CH),7.6(brs,4H,ArH),7.8−8.3(d,4H,ArCH),13.4(brs,1H,COOH),8.8および6.3(brs,d,2H,NH);m.p.:246−251℃;LCMS純度:98.89%;収率:70%。
【0329】
(実施例21)
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素(21)
【0330】
【化55】

1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(100mg,0.421mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、蒸留したばかりの塩化アセチル(33mg,0.419mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。次いで、この反応物を50mLの水に注ぎ、そしてDCMで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた粗製生成物を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.65)により精製して、95mgの1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.50−7.42(m,2H),6.95−6.85(m,2H),5.80(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),2.0(s,1H),1.82−1.70(m,4H);MS:280(M+H);m.p.:146−148℃。
【0331】
(実施例22)
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素(22)
【0332】
【化56】

1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(以下の実施例24を参照のこと、100mg,4.19mmol)の、20mLの乾燥DCM中の溶液に、トリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加し、そしてこの混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで、蒸留したばかりのベンゼンスルホニルクロリド(80mg,0.456mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。その有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、ブライン処理し、そしてエバポレートした。その残渣を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.65)により精製して、95mgの1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.75(s,1H),7.50−7.22(m,7H),6.95−6.85(m,2H),6.80(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS 378(M+H);m.p.:186−188℃。
【0333】
(実施例23)
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素(23)
【0334】
【化57】

4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.5g,7.5mmol)の乾燥DMF(20mL)中の溶液に、イソシアン酸3−フルオロフェニル(1.02g,7.5mmol)を0℃で添加した。得られた混合物を0℃〜10℃で2時間攪拌した。この反応の完了後、この反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下でエバポレートして、2.45gの粗製4−(3−(3−フルオロフェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。次いで、この粗製生成物を50mlの4N HCl/ジオキサンに溶解し、そして室温で4時間攪拌した。次いで、この反応混合物を100mLの水に注ぎ、1N NaOHにより中和し、そしてDCMで抽出した。次いで、その有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液、続いてブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた粗製生成物を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(2:3)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.45)により精製して、1.28gの純粋な1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素を得た。
【0335】
100mg(4.19mmol)の1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素を20mLの乾燥DCMに溶解し、続いてトリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(88mg,0.419mmol)をゆっくりと添加し、この混合物を室温でさらに1時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、そしてDCMで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、濃縮し、そして溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.58)により精製して、85mgの純粋な1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.82(s,1H),7.62−7.60(m,2H),7.50−7.42(m,3H),6.95(m,2H),5.90(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:412(M+H);m.p.:245−248℃。
【0336】
(実施例24)
1−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(24)
【0337】
【化58】

表題化合物を、以下の実施例27に記載された手順と類似の手順を使用して、オフホワイトの固体として合成した。MS:366[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH),3.1−3.4(m,2H,CH),4.4(m,1H,CH),3.0(s,3H,CH),6.3(d,1H,NH),7.3−7.5(m,3H,Ar−CH),8.9(s,1H,Ar−CH),7.8(brs,1H,NH);25。m.p.:226−229℃;LCMS純度:96.9%;収率:55.5%。
【0338】
(実施例25)
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(25)
【0339】
【化59】

表題化合物を、以下の実施例27に記載された手順と類似の手順を使用して、白色固体として合成した。MS:330[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.2−1.5(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH),2.9−3.2(t,2H,CH),3.8(m,2H,CH),4.4(m,1H,CH),2.0(s,3H,CH),6.3(d,1H,NH),7.3−7.5(m,3H,Ar−CH),8.9(s,1H,Ar−CH),7.8(brs,1H,NH);m.p.:212−217℃;LCMS純度:96.9%;収率:55.5%。
【0340】
(実施例26)
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(26)
【0341】
【化60】

4−アミノピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.5g,7.4mmol)の乾燥DMF(20mL)中の溶液に、3−トリフルオロメチルイソシアン酸フェニル(1.4g,7.4mmol)を0℃で添加した。この混合物を0℃〜10℃で5時間攪拌した。この反応の完了後、この反応混合物を水に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。その有機抽出物を水およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下でエバポレートして、2.85gの粗製生成物を得た。この粗製生成物を80mLの4N HCl/ジオキサンに溶解し、そして室温で4時間攪拌した。次いで、この反応混合物を100mLの水に注ぎ、1N NaOHで中和し、そしてジクロロメタンで抽出した。その有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、そしてエバポレートした。得られた粗製生成物を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(2:3)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.45)により精製して、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素を得た。
【0342】
200mg(0.696mmol)の1−(ピペリジン−4−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素を20mLの乾燥ジクロロメタンに溶解し、続いてトリエチルアミン(118mg,1.16mmol)を添加した。得られた混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、ベンゼンスルホニルクロリド(136mg,0.773mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温でさらに1時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.68)により精製して、115mgの1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.82(m,2H),7.62−7.70(s,1H);7.50−7.42(m,6H),6.95(m,2H),5.90(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:428(M+H)
【0343】
(実施例27)
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素(27)
【0344】
【化61】

1−(4−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(100mg,0.419mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を室温で10分間攪拌した。次いで、蒸留したばかりのメタンスルホニルクロリド(49mg,0.419mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、そしてエバポレートした。その残渣を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.65)により精製して、85mgの1−(4−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.50−7.42(m,2H),6.95−6.85(m,2H),5.80(bs,2H),3.60(m,1H),3.12(s,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:316(M+H);m.p.:186−188℃。
【0345】
(実施例28)
1−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(28)
【0346】
【化62】

1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(100mg,0.421mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで、3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニルクロリド(113mg,0.463mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、そしてジクロロメタンで抽出した。その有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、ブライン処理し、そしてエバポレートした。その残渣を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.65)により精製して、155mgの1−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.65(s,1H),7.50−7.22(m,5H),6.95−6.85(m,2H),6.80(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:446(M+H);m.p.:86−88℃。
【0347】
(実施例29)
1−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(29)
【0348】
【化63】

表題化合物を、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して合成した。
【0349】
(実施例30)
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(30)
【0350】
【化64】

トリエチルアミン(132mg,1.30mmol)を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(200mg,0.696mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで、蒸留したばかりの4−クロロベンゼンスルホニルクロリド(102mg,0.873mmol)をゆっくりと添加し、そして得られた混合物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この反応混合物を50mLの水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、そして飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた残渣を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.55)により精製して、115mgの1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.55(s,1H),7.50−7.22(m,5H),6.90−6.85(m,2H),6.80(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:462(M+H);m.p.:116−118℃。
【0351】
(実施例31)
1−(3−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素(31)
【0352】
【化65】

1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(100mg,0.421mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(43mg,0.422mmol)を添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで、メタンスルホニルクロリド(54mg,0.463mmol)をゆっくりと添加し、そして得られた混合物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、そして飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄した。溶媒の除去により得られた残渣を、溶出液として酢酸エチル:ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.55)により精製して、155mgの1−(3−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素を白色固体として得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.65(s,1H),7.50−7.22(m,3H),6.90(brs,2H),3.60(m,1H),3.12(s,3H),2.80−2.78(m,4H),1.82−1.70(m,4H);MS:316(M+H);m.p.:212−214℃。
【0353】
(実施例32)
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素(32)
【0354】
【化66】

1−(3−フルオロフェニル)−3−(ピペリジン−4−イル)尿素(200mg,0.841mmol)の、20mLの乾燥ジクロロメタン中の溶液に、トリエチルアミン(85mg,0.844mmol)を添加した。この混合物を0℃で10分間攪拌した。次いで、塩化アセチル(66mg,0.840mmol)をゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。この反応の完了後、この混合物を50mLの水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。その有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液およびブラインで洗浄し、そしてエバポレートした。その残渣を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(1:4)を用いるシリカゲル(120〜240メッシュ)でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(R=0.55)により精製して、155mgの1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素を得た。H NMR(200MHz,CDCl):δ7.65(s,1H),7.50−7.22(m,3H),6.90(brs,2H),3.60(m,1H),2.80−2.78(m,4H),2.12(s,3H),1.82−1.70(m,4H);MS:280(M+H);m.p.:112−114℃。
【0355】
(実施例33)
1−[1−(2−1H−イミダゾール−4−イル−アセチル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(33)
【0356】
【化67】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、淡黄色固体として合成した。MS:386[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.2−1.3(m,2H,CH),1.8−2.0(d,2H,CH),3.1−3.5(m,4H,CH),2.9−3.0(tr,H,CH),3.9−4.1(brs,H,CH),3.7(s,2H,CH),4.4(d,2H,CH),6.9(s,1H,CH),7.6(brs,4H,Ar−CH),11.9(brs,4H,Ar−CH),8.8および6.2(brs,d,2H,NH);m.p.:121−124℃;LCMS純度:91.45.%;収率:29.8%。
【0357】
(実施例34)
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[1−(2−1H−イミダゾール−4−イル−アセチル)−ピペリジン−4−イル]−尿素(34)
【0358】
【化68】

表題化合物を、容易に入手可能な出発物質から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、淡黄色固体として合成した。MS:362[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d+CDCl):δ1.5−1.6(m,2H,CH),1.8−2.2(d,2H,CH),3.6−3.8(m,2H,CH),3.1−3.4(m,2H,CH),3.9−4.1(brs,2H,CH),4.4(m,1H,CH),6.9(brs,1H,CH),7.6(brs,1H,CH),7.3−7.5(d,4H,Ar−CH),8.1および5.9(brs,d,2H,NH);m.p.:174−176℃;LCMS純度:90.56%;収率:32.8%。
【0359】
(実施例35)
1−[1−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素(35)
【0360】
【化69】

表題化合物を、1−(ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素から、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して、白色固体として合成した。MS:396[M+H]H NMR(300MHz,DMSO−d):δ1.2−1.4(m,2H,CH),1.8−2.0(d,2H,CH),4.1−4.3(m,2H,CH),4.7−4.9(m,2H,CH),3.7(brs,2H,CH),3.8−3.9(m,1H,CH),7.6−7.8(m,4H,Ar−CH),9.2および6.9(brs,2H,NH);m.p.:222−226℃;LCMS純度:93.64.%;収率:30.5%。
【0361】
以下の実施例36〜42を、上記実施例に記載された手順と類似の手順を使用して合成した。
【0362】
(実施例36)
1−(4−クロロフェニル)−3−(1−(4−モルホリノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)尿素(36)
【0363】
【化70】

(実施例37)
1−(1−(4−モルホリノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(37)
【0364】
【化71】

(実施例38)
2−メチル−2−(4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)プロパン酸tert−ブチル(38)
【0365】
【化72】

(実施例39)
1−(1−(2,5−ジメチルオキサゾール−4−カルボニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(39)
【0366】
【化73】

(実施例40)
2−メチル−2−(4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)プロパン酸(40)
【0367】
【化74】

(実施例41)
1−(1−ピバロイルピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(41)
【0368】
【化75】

(実施例42)
1−(1−(イソプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素(42)
【0369】
【化76】

(実施例43〜54)
【0370】
【化77】

【0371】
【化78】

【0372】
【化79】

(生物学的実施例)
(実施例1)
マウスおよびヒトの可溶性エポキシドヒドロラーゼについての蛍光アッセイ
組換えマウスsEH(MsEH)およびヒトsEH(HsEH)を前に報告されたようにバキュロウイルス発現系で生成した。Grantら、J.Biol.Chem.、268:17628〜17633頁(1993年);Beethamら、Arch.Biochem.Biophys.、305;197〜201頁(1993年)。発現されたタンパク質を、アフィニティークロマトグラフィーによって細胞溶解物から精製した。Wixtromら、Anal.Biochem.、169:71〜80頁(1988年)。タンパク質濃度は、較正標準物質としてウシ血清アルブミンを用いるPierce BCAアッセイを用いて定量した。調製物は、SDS−PAGEおよび走査デンシトメトリーで判定して、少なくとも97%純度であった。これらは、アッセイを妨害し得る検出可能なエステラーゼまたはグルタチオントランスフェラーゼ活性を含まなかった。アッセイをまた、粗細胞溶解物または組織のホモジェネートにおいて評価し、同様の結果を得た。
【0373】
それぞれの阻害剤のIC50を、以下の手順に従って決定した:
基質:
【0374】
【化80】

炭酸シアノ(2−メトキシナフタレン−6−イル)メチル(3−フェニルオキシラン−2−イル)メチル(CMNPC;Jones P.D.ら;Analytical Biochemistry 2005年;343:66〜75頁)。
【0375】
溶液:
0.1mg/mLのBSAを含むBis/Tris HCl 25mM、pH7.0(緩衝液A)
DMSO中0.25mMでのCMNPC
緩衝液A中酵素の母液(6μg/mLでマウスsEHおよび5μg/mLでヒトsEH)
適当な濃度でDMSOに溶解した阻害剤。
【0376】
プロトコル:
黒色の96ウェルプレートにおいて、全てのウェルを150μLの緩衝液Aで満たす。
【0377】
ウェルA2およびA3に2μLのDMSOを添加し、次いで、A1およびA4からA12に2μLの阻害剤溶液を添加する。
【0378】
横列Aに150μLの緩衝液Aを添加し、次いで、数時間混合し、150μLを横列Bに移す。この操作を横列Hまで繰り返す。横列Hから除去された150μLを廃棄する。
【0379】
縦列1および2に20μLの緩衝液Aを添加し、次いで、縦列3から12に20μLの酵素溶液を添加する。
【0380】
プレートをプレートリーダー中、30℃で5分間インキュベートする。
【0381】
インキュベーションの間に、3.68mLの緩衝液A(4×0.920mL)を266μL(2×133μL)の基質溶液と混合して基質の作業溶液を調製する。
【0382】
時間=0で、「Briggs303」と標識されたマルチチャンネルピペットで30μLの基質作業溶液を添加し、読み取りを開始する([S]final:5μM)。
【0383】
30秒毎に10分間ex:330nm(20nm)およびem:465nm(20nm)で読み取る。この速度を用いて、解析し、IC50を計算する。
【0384】
表2は、50nM〜5000nMでのアッセイで試験した場合の化合物1〜55の活性を示す。
【0385】
【表2−1】

【0386】
【表2−2】

【0387】
【表2−3】

【0388】
【表2−4】

【0389】
【表2−5】

【0390】
【表2−6】

【0391】
【表2−7】

上記データは、フェニル尿素ピペリジンのフェニル部分へのハロ基の導入が、活性の有意な増強を付与することを実証する。例えば、比較例1についての阻害データを実施例2と比較のこと。比較例5についての阻害データを実施例3および4と比較のこと。上記データは、フェニルウレアピペリジンへのハロ基の付加が、式Iの化合物のXY部分における有意な可撓性を可能にすることをさらに実証する。
【0392】
(製剤実施例)
以下は、本発明の化合物を含む代表的医薬製剤である。
【0393】
(実施例1:錠剤製剤)
以下の成分を十分に混合し、割線が一本入った錠剤に押圧する。
【0394】
【表3】

(実施例2:カプセル製剤)
以下の成分を十分に混合し、ハードシェルゼラチンカプセルに充填する。
【0395】
【表4】

(実施例3:懸濁液製剤)
以下の成分を混合して、経口投与用懸濁液を生成する(q.s.=十分量)。
【0396】
【表5】

(実施例4:注射製剤)
以下の成分を混合して、注射製剤を生成する。
【0397】
【表6】

(実施例5:坐薬製剤)
本発明の化合物とWitepsol(登録商標)H−15(飽和植物性脂肪酸のトリグリセリド;Riches−Nelson,Inc.、New York)を混合することによって総重量2.5gの坐薬を調製し、以下の組成を有する:
【0398】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化81】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式Iにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、および3に等しい整数であり、
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【化82】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項2】
式IIの化合物:
【化83】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式IIにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり、
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【化82】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項3】
nが1または2に等しい整数である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式IIIにより表される、請求項2に記載の化合物であって、:
【化85】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式IIIにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり、
ただし、
【化86】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項5】
nが1〜2の整数に等しい、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式IV:
【化87】

により表される、請求項2に記載の化合物、もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式IVにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、および3に等しい整数であり、
ただし、
【化88】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、Rはアミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項7】
nが1〜2の整数に等しい、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
【化89】

により表される、請求項2に記載の化合物、もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式Vにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
mは、1または2であり、
ただし、
【化90】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項9】
【化91】

によって表される、請求項2に記載の化合物、もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式VIにおいて:
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;そして
mは、1または2であり、
ただし、
【化92】

ではなく、ここでArは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、Rはアミノまたは置換アミノである、化合物。
【請求項10】
Yがフェニルまたは置換フェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
Yがピリジニルまたは置換ピリジニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項12】
Yがモルホリニルまたはモルホリニル−(C〜C)アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項13】
Yがイミダゾリル、(C〜C)メチルイミダゾリル、またはイミダゾリル−(C〜C)アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】

【化93】

を表し、ここでRおよびRが、水素、ハロゲン、およびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項15】
およびRがトリフルオロメチルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
およびRがフッ素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
およびRが独立して、トリフルオロメチルおよび水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
およびRが独立して、ハロゲンおよび水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
XがC=OまたはSOであり、Yがフェニルまたは置換フェニルであり、そしてRおよびRがフルオロおよびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
XがC=OまたはSOであり、Yがピリジニルまたは置換ピリジニルであり、そしてRおよびRがフルオロおよびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
XがC=OまたはSOであり、Yがイミダゾリル、(C〜C)アルキル−イミダゾリル、またはイミダゾリル−(C〜C)アルキルであり、そしてRおよびRがフルオロおよびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項22】
XがC=OまたはSOであり、Yがモルホリニル、(C〜C)アルキル−モルホリニル、またはモルホリニル−(C〜C)アルキルであり、そしてRおよびRがフルオロおよびトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項23】
1−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[1−(4−モルホリン−4−イル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[1−(3−メチル−ブチリル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
1−[1−(ピリジン−3−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[1−(ピリジン−2−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
4−{4−[3−(4−フルオロ−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−カルボニル}−安息香酸,
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−カルボニル}−安息香酸,
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
4−{4−[3−(4−クロロ−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−スルホニル}−安息香酸,
4−{4−[3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ウレイド]−ピペリジン−1−スルホニル}−安息香酸,
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(4−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(1−ベンゼンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(4−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素、
1−(3−フルオロ−フェニル)−3−[1−(3−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
1−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−[1−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(3−フルオロ−フェニル)−3−(1−メタンスルホニル−ピペリジン−4−イル)−尿素、
1−(1−アセチル−ピペリジン−4−イル)−3−(3−フルオロ−フェニル)−尿素、
1−[1−(2−1H−イミダゾール−4−イル−アセチル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(4−クロロ−フェニル)−3−[1−(2−1H−イミダゾール−4−イル−アセチル)−ピペリジン−4−イル]−尿素、
1−[1−(1−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボニル)−ピペリジン−4−イル]−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−尿素、
1−(4−クロロフェニル)−3−(1−(4−モルホリノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)尿素、
1−(1−(4−モルホリノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
2−メチル−2−(4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)プロパン酸tert−ブチル、
1−(1−(2,5−ジメチルオキサゾール−4−カルボニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
2−メチル−2−(4−(4−(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ウレイド)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)プロパン酸,
1−(1−ピバロイルピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、および
1−(1−(イソプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−3−(4−ブロモフェニル)尿素、
1−(4−ブロモフェニル)−3−(1−(イソプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル)尿素、
1−(1−イソブチリルピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(4−ブロモフェニル)−3−(1−イソブチリルピペリジン−4−イル)尿素、
1−(1−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタノイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−(3,3−ジメチルブタノイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−(3−ヒドロキシプロパノイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−(3−ヒドロキシプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−(2−メトキシアセチル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
1−(1−(4−ヒドロキシブタノイル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、および
1−(1−(tert−ブチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、
もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、化合物。
【請求項24】
式VIIの化合物:
【化94】

もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式VIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、または3に等しい整数である、
化合物。
【請求項25】
式VIII:
【化95】

の、請求項24に記載の化合物、もしくはその立体異性体、互変異性体、または薬学的に受容可能な塩であって、式VIIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、または3に等しい整数である、
化合物。
【請求項26】
1−(1−(tert−ブチルスルフィニル)ピペリジン−4−イル)−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)尿素である、請求項24に記載の化合物。
【請求項27】
薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の請求項1または請求項24に記載の化合物を含有する薬学的組成物であって、可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を処置するための、薬学的組成物。
【請求項28】
可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を処置するための方法であって、該方法は、患者に、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の式Iの化合物:
【化96】

もしくはその立体異性体、または薬学的に受容可能な塩を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含し、式Iにおいて:
Xは、C=OまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;そして
nは、1、2、または3に等しい整数であり、
pは、1、2、または3に等しい整数であり、
ただし、XがC=Oであり(Z)が4−フルオロである場合、Yはメチルでもエトキシでもなく、そして
ただし、XがSOであり(Z)が3−フルオロである場合、Yは、4−tert−ブチルフェニルでも、4−アセチルフェニルでも、3−メチルエステルフェニルでも、4−アセチルアミノフェニルでもなく、そして
ただし、
【化97】

ではなく、ここでXは本明細書中で定義されるとおりであり、Arは、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレンまたは置換ヘテロアリーレンであり、そしてRは、アミノであるかまたは置換されている、
方法。
【請求項29】
可溶性エポキシドヒドロラーゼ媒介疾患を処置するための方法であって、該方法は、患者に、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の式VIIの化合物:
【化98】

もしくはその立体異性体、または薬学的に受容可能な塩を含有する薬学的組成物を投与する工程を包含し、式VIIにおいて:
X’は、SまたはSOであり;
Yは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され;
Zは、ハロゲンおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され;
nは、1、2、および3に等しい整数であり;そして
pは、1、2、または3に等しい整数である、
方法。

【公表番号】特表2010−507586(P2010−507586A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533578(P2009−533578)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/082009
【国際公開番号】WO2008/051873
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(509029335)アレテ セラピューティクス, インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】