説明

可燃性ガス検出装置および可燃性ガス検出素子の制御方法

【課題】複数の発熱抵抗体を有する可燃性ガス検出装置において、発熱抵抗体の異常の検知精度を向上させる。
【解決手段】通常動作期間(0〜T1,T3〜T1’)は、第1発熱抵抗体341を使用して、被検出雰囲気の可燃性ガスのガス濃度X1を検出し、判定動作期間(T1〜T3,T1’〜T3’)だけ、第2発熱抵抗体342も使用してガス濃度X2を検出し、両検出結果X1,X2を比較することで、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定する。しかも、通常動作期間では、第1発熱抵抗体341のみ通電し、判定動作期間では、第1発熱抵抗体341および第2発熱抵抗体342を、一方への通電時には他方が非通電(通電停止)となるように、交互に通電制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出雰囲気中に存在する可燃性ガスのガス濃度を検出する可燃性ガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境・自然保護などの社会的要求から、高効率で、クリーンなエネルギー源として燃料電池の研究が活発に行われている。その中で、低温作動、高出力密度等の利点により、家庭用、車載用などのエネルギー源として固体高分子形燃料電池(PEFC)や水素内燃機関が期待されている。
【0003】
これらのシステムでは、可燃性ガスである水素を燃料としているため、ガス漏れの検知が重要な課題の一つとして挙げられている。
この種の被検出雰囲気中に存在する可燃性ガスのガス濃度を検出する可燃性ガス検出装置としては、被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスの濃度に応じて自身の抵抗値が変化する発熱抵抗体を使用するものが知られている。具体的には、この発熱抵抗体の抵抗値が、予め設定された温度に対応した抵抗値となるように、ブリッジ回路によって制御し、その時の制御電圧(発熱抵抗体の両端電圧)を、ガス濃度に対応した検出値として出力している。
【0004】
なお、ガス濃度と制御電圧の関係は、長時間の使用等により発熱抵抗体の抵抗値や熱容量が変化することによって変化し、検出値の誤差が増大する要因となる(図5(a)参照)。
これに対して、近接配置された二つの発熱抵抗体を用い、その一方を基準検出用素子、他方を常用検出用素子として、常用検出用素子の劣化診断を行う時に、両素子を用いて同時にガス濃度を検出して、両検出結果を比較するものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−251862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、二つの発熱抵抗体を用いた可燃性ガス検出装置では、製造時には個別に発熱抵抗体の通電時の出力マッチング(ガス濃度と制御電圧の関係の調整)が行われる。また、二つの発熱抵抗体は、同じ場所で検出を行う必要があることからできるだけ接近させて配置する必要があり、一般的には、これらを同一基板上に構成することが多い。
【0007】
従って、特許文献1に記載された従来装置では、常用検出用素子が発生させる熱の影響により基準検出用素子の特性(出力マッチングした特性)からずれてしまう場合があり、異常の検知精度が低下してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために、複数の発熱抵抗体を有する可燃性ガス検出装置において、発熱抵抗体の異常の検知精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の可燃性ガス検出装置は、可燃性ガスのガス濃度を検出する可燃性ガス検出装置において、被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスの濃度に応じて自身の抵抗値が変化する第1発熱抵抗体と、被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスの濃度に応じて自身の抵抗値が変化する第2発熱抵抗体と、前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体のうちいずれかを制御対象として択一的に通電を行い、前記制御対象の抵抗値が予め設定された目標温度に対応した大きさとなるように前記制御対象の通電状態を制御する通電制御手段と、前記通電制御手段の制御対象が前記第1発熱抵抗体である時に検出される当該第1発熱抵抗体の両端電圧から前記可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す第1算出値を算出する第1算出手段と、前記通電制御手段の制御対象が前記第2発熱抵抗体である時に検出される当該第2発熱抵抗体の両端電圧から前記可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す第2算出値を算出する第2算出手段と、前記第1算出手段および第2算出手段にて算出される、前記第1算出値と前記第2算出値とを比較することにより、前記第1発熱抵抗体の異常の有無を判定する異常判定手段と、を設けたことを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明の可燃性ガス検出装置では、通電制御手段が第1発熱抵抗体および第2発熱抵抗体への通電を択一的に行うため、第1算出値が算出される時、つまり第1発熱抵抗体が通電状態となっている時は、第2発熱抵抗体は非通電状態となり熱を発生させない。従って、第2発熱抵抗体が発生させる熱の影響を受けることなく第1算出値を算出することが可能となる。また、第2算出値を算出する時、つまり第2発熱抵抗体が通電状態となっている時は、第1発熱抵抗体は非通電状態となり熱を発生させない。従って、第1発熱抵抗体が発生させる熱の影響を受けることなく第2算出値を算出することが可能となる。
【0011】
その結果、両算出値を比較することによって、発熱抵抗体の異常を精度よく検出することができる。このとき比較する両算出値としては、第1発熱抵抗体への通電が停止される時よりも規定の時間だけ前の時間における第1算出値と、第2発熱抵抗体への通電が開始された時よりも規定の時間だけ後の時間における第2算出値とを用いることが望ましい。
【0012】
ところで、第1発熱抵抗体と第2発熱抵抗体とは、被検出雰囲気が同じ状態の場所でガス濃度を検出する必要があるため、できるだけ接近させて配置する必要がある。
このため、第1発熱抵抗体と第2発熱抵抗体とは、同一基板上に配置されていることが望ましい。この場合、装置を小型化できると共に、製造時の組み付け作業等を簡略化することができる。
【0013】
なお、通常、同一基板上の接近させた位置に二つの発熱抵抗体が存在すると、一方の発熱抵抗体からの熱の影響を他方の発熱抵抗体がうけるため、同一基板上に配置することが困難であるという問題がある。しかしながら、本発明では、上記のように二つの発熱抵抗体への通電を交互に行うため、同一基板上に第1発熱抵抗体と第2発熱抵抗体とを配置することが可能となる。
【0014】
とりわけ、シリコン基板を用いたマイクロマシニング加工により形成されると共に、上記二つの発熱抵抗体を同一の前記シリコン基板上に形成した絶縁層内に配置させたガス検出素子を備える構成に適用した場合に、本発明はより効果を発揮する。なぜなら、シリコン基板を用いたマイクロマシニング加工により形成されるガス検出素子は非常に小型であり、このようなシリコン基板上に形成した絶縁層内に二つの発熱抵抗体が配置される場合には、両者が非常に近接するばかりか、絶縁層による熱の授受が生じ易く、一方の発熱抵抗体からの熱の影響を他方の発熱抵抗体が受け易くなる。しかし、本発明を適用すれば、二つの発熱抵抗体への通電を交互に行うため、一方の発熱抵抗体からの熱の影響を他方の発熱抵抗体に及ばせることなく、第1算出値及び第2算出値を算出することができ、第1発熱抵抗体の異常の判定精度を良好に得ることができる。
【0015】
本発明の可燃性ガス検出装置において、異常判定手段は、予め設定された判定条件が成立する毎に作動することが望ましい。なお、予め設定された判定条件とは、一定時間の経過でもよいし、例えば、車両等の機器に組み込まれた場合は、機器の起動時等でもよい。
【0016】
更に、通常時作動手段が、判定条件が成立すると、第2算出手段による第2算出値の算出に必要なデータを取得する期間だけ第2発熱抵抗体を制御対象とし、それ以外の期間では第1発熱抵抗体を制御対象とするように通電制御手段を作動させてもよい。
【0017】
この場合、第1発熱抵抗体と比較して第2発熱抵抗体の使用頻度を少なくすることができるため、第2発熱抵抗体の劣化を抑制することができる。その結果、長期に渡って、第2発熱抵抗体を初期状態に近い特性に維持することができるため、第1発熱抵抗体の異常の判定精度をより向上させることができる。
【0018】
ところで、本発明の可燃性ガス検出装置は、異常判定手段が異常ありと判定した場合、通電制御手段による第1発熱抵抗体および第2発熱抵抗体への通電を停止する第1異常時作動手段を備えていてもよい。つまり、異常ありと判定した場合に、ガス濃度の検出を中止するように構成されていてもよい。こうすることで、異常ありと判定された第1発熱抵抗体を用いての誤ったガス濃度の検出が生ずるのを防げる。
【0019】
また、本発明の可燃性ガス検出装置は、異常判定手段が異常ありと判定した場合、通電制御手段による第2発熱抵抗体への通電、および第2算出手段による第2算出値の算出を行わせる第2異常時作動手段を備えていてもよい。
【0020】
この場合、第1発熱抵抗体の異常が検出された後でも、第2発熱抵抗体を用いてガス濃度の検出を継続して行うことができる。つまり、第1発熱抵抗体が劣化しても第2発熱抵抗体を用いてガス濃度の検出が継続できるため、本発明の可燃性ガス検出装置はより長期間使用可能(長寿命)となる。
【0021】
なお、異常判定手段は、第1算出値と前記第2算出値との差または比が、予め設定された許容範囲を超えた場合に異常ありと判定するように構成することが考えられる。
また、第1算出値および第2算出値は、可燃性ガスのガス濃度との対応関係が明らかな値であればよく、例えば、第1発熱抵抗体や第2発熱抵抗対の両端電圧そのものであってもよいし、両端電圧から測定可能なインピーダンスや、ガス濃度の演算結果(ガス濃度に換算した値)であってもよい。更に、これら両端電圧やインピーダンス、ガス濃度に換算した値等の、ある一定時間の間における平均値(区間平均、移動平均、加重平均等)であってもよい。
【0022】
次に、通電制御手段は、例えば、第1発熱抵抗体の抵抗値が前記目標温度に対応する大きさとなるように当該第1発熱抵抗体への通電状態を制御する第1通電制御手段と、第2発熱抵抗体の抵抗値が前記目標温度に対応する大きさとなるように当該第2発熱抵抗体への通電状態を制御する第2通電制御手段とからなり、第1通電制御手段および第2通電制御手段のいずれかを択一的に作動させることで、第1発熱抵抗体および第2発熱抵抗体のいずれか一方を、制御対象として通電制御するように構成されていてもよい。
【0023】
また、通電制御手段は、例えば、第1発熱抵抗体および第2発熱抵抗体のいずれか一方を制御対象として選択する素子選択手段と、素子選択手段にて選択された制御対象の抵抗値が目標温度に対応する大きさとなるように制御対象への通電状態を制御する第3通電制御手段とで構成されていてもよい。この場合、通電制御手段の構成を簡略化することができる。
【0024】
次に、請求項12に記載の発明は、被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスのガス濃度に応じて自身の抵抗値が変化する発熱抵抗体を複数備え、予め設定された目標温度に対応する抵抗値となるように通電状態が制御された前記発熱抵抗体の両端電圧から可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す算出値を算出する可燃性ガス検出素子の制御方法であって、前記複数の発熱抵抗体のうち一つを、前記被検出雰囲気中の状態を前記算出値として算出するのに用いる測定用抵抗体とし、前記複数の発熱抵抗体のうち前記測定用抵抗体以外の一つを前記測定用抵抗体の異常の有無を判断するのに必要な比較情報の取得に用いる比較用抵抗体として、前記測定用抵抗体への通電時には、前記比較用抵抗体を含む他の全ての発熱抵抗体を非通電とし、前記比較用抵抗体への通電時には、前記測定用抵抗体を含む他の全ての発熱抵抗体を非通電とすることを特徴とする。
【0025】
この制御方法によれば、測定用抵抗体および比較用抵抗体による測定を、他の発熱抵抗体が発生させる熱の影響を受けることなく行うことができるため、両測定結果を比較することによって、測定用抵抗体の異常を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の可燃性ガス検出装置の全体構成図。
【図2】可燃性ガス検出装置の主要部となるガス検出素子の構成を示す図。
【図3】ガス濃度演算処理の内容を示すフローチャート。
【図4】ガス濃度を求める際に、温度設定を変化させる方法、および高温時電圧,低温時電圧,温度電圧を検出するタイミングを示す説明図。
【図5】発熱抵抗体の特性の計時変化を測定した結果を示すグラフ。
【図6】可燃性ガス検出装置の動作例を示すグラフ。
【図7】第2実施形態の可燃性ガス検出装置におけるガス濃度演算処理の内容を示すフローチャート。
【図8】第3実施形態の可燃性ガス検出装置におけるガス濃度演算処理の内容を示すフローチャート。
【図9】第3実施形態の可燃性ガス検出装置の動作例を示すグラフ。
【図10】第4実施形態の可燃性ガス検出装置の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された可燃性ガス検出装置1の全体構図である。図2は、可燃性ガス検出装置の主要部となるガス検出素子3の構成を示す説明図であり、(a)が平面図(但し、内部構成も一部示す)、(b)が(a)におけるA−A断面図である。
【0028】
<全体構成>
可燃性ガス検出装置1は、熱伝導式のガス検出素子3を用いて、可燃性ガスの濃度を検出するものであり、例えば、燃料電池自動車に設置され、水素の漏れを検出する目的等に用いられる。
【0029】
図1に示すように、可燃性ガス検出装置1は、ガス検出素子3(図2参照)を駆動制御する制御回路5と、制御回路5の動作を制御する通電信号S1,S2や切替信号CG1,CG2を生成すると共に、制御回路5から得られる検出信号V1,V2,VTに基づいて、被検出ガス中に含まれる可燃性ガスのガス濃度を演算する処理(ガス濃度演算処理)を少なくとも含む各種処理を実行するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)7と、直流電源Vccからマイコン7への電源供給経路を導通,遮断することでマイコン7を起動,停止する起動スイッチ9とを備えている。
【0030】
なお、制御回路5,マイコン7,起動スイッチ9は単一の回路基板上に構成され、この回路基板とは別体にガス検出素子3は構成されている。
<ガス検出素子>
次に、ガス検出素子3について説明する。
【0031】
図2に示すように、ガス検出素子3は、長方形の平板形状の基部30を備え、基部30の一方の面(以下「表面」という)には、複数の電極31が形成され、他方の面(以下「裏面」という)には、基部30の中心付近に、基部の長手方向に沿って二つの凹部301,302が形成されている。
【0032】
なお、ガス検出素子3は、縦横ともに数mm(例えば3mm×5mm)程度の大きさであり、例えば、シリコン基板を用いたマイクロマシニング技術(マイクロマシニング加工)により製造される。
【0033】
電極31は、基部30の一方の長辺(図2(a)中では下方の辺)に沿って配置された三つの電極311,312,313(以下「第1電極群」ともいう)と、他方の長辺(図2(a)中では上方の辺)に沿って配置された二つの電極314,315(以下「第2電極群」ともいう)からなる。これらのうち、電極312,315を、以下ではグランド電極ともいう。また、電極31を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)または金(Au)が用いられる。
【0034】
基部30は、シリコン製の基板32と、基板32の一方の面に形成された絶縁層33とからなり、絶縁層33が部分的(ここではほぼ正方形)に露出するように基板32の一部を除去することで凹部301,302が形成されたダイアフラム構造をなしている。つまり、基部30では、絶縁層33側が基部30の表面となり、基板32側が基部30の裏面となる。
【0035】
絶縁層33の内部には、凹部301,302により基部30の裏面に露出した部位に、渦巻き状に配線された線状の発熱抵抗体34(第1発熱抵抗体341,第2発熱抵抗体342)がそれぞれ埋設されていると共に、第2電極群314,315が形成された側の基部30の長辺に沿って、温度測定に用いる測温抵抗体35が埋設されている。
【0036】
なお、絶縁層33は、単一の材料で形成されていてもよいし、異なる材料を用いて複数層をなすように形成されていてもよい。また、絶縁層33を構成する絶縁性材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO2 )や窒化ケイ素(Si34)が用いられる。
【0037】
発熱抵抗体34は、自身の温度変化により抵抗値が変化する温度抵抗係数が大きい導電性材料からなり、また、測温抵抗体35は、電気抵抗が温度に比例して変化(本実施形態では、温度の上昇に伴って抵抗値が増大)する導電性材料からなる。但し、発熱抵抗体34および測温抵抗体35は、いずれも同じ抵抗材料、本実施形態では白金(Pt)で形成されている。
【0038】
そして、発熱抵抗体34は、発熱抵抗体34が形成された平面と同じ平面に埋設された配線36、および配線膜37を介して第1電極群311,312,313に接続され、測温抵抗体35は、測温抵抗体35が形成された平面と同じ平面に埋設された配線膜(図示せず)を介して第2電極群314,315に接続されている。
【0039】
なお、配線36や配線膜37を構成する材料としては、発熱抵抗体34および測温抵抗体35と同じ抵抗材料が用いられている。また、基部30の表面に形成される電極31と基部30(絶縁層33)の内部に形成される配線膜37とはコンタクトホール(接続導体)によって接続される。
【0040】
つまり、第1発熱抵抗体341は、一端が電極311、他端がグランド電極312と導通し、第2発熱抵抗体342は、一端が電極313、他端がグランド電極312と導通し、測温抵抗体35は、一端が電極314、他端がグランド電極315と導通するように接続されている。
【0041】
このように構成されたガス検出素子3は、被検出雰囲気内に晒すように配置した状態で使用される。
<制御回路>
次に、制御回路5の構成について説明する。
【0042】
図1に示すように、制御回路5は、第1発熱抵抗体341への通電制御を行い、第1発熱抵抗体341の両端電圧に対応する検出信号V1を出力する第1通電制御回路50と、第2発熱抵抗体342への通電制御を行い第2発熱抵抗体342の両端電圧に対応する検出信号V2を出力する第2通電制御回路60と、測温抵抗体35への通電を行い、被検出雰囲気の温度を表す温度検出信号VTを出力する温度測定回路80とを備えている。
【0043】
<<第1通電制御回路>>
第1通電制御回路50は、第1発熱抵抗体341を含んで構成されたブリッジ回路(ホイーストーンブリッジ)51と、ブリッジ回路51で検出される電位差を増幅する増幅回路53と、増幅回路53の出力に従って、ブリッジ回路51に流れる電流を増減調整する電流調整回路55と、ブリッジ回路51への電源供給を制御するスイッチング回路57とを備えている。
【0044】
スイッチング回路57は、ブリッジ回路51に直流電源Vccを供給する電源ラインに接続され、マイコン7からの通電信号S1に従ってオン,オフ動作するトランジスタからなる。
電流調整回路55は、上記電源ラインにおいてスイッチング回路57と直列接続され、増幅回路53の出力である調整信号Cに従って通電状態(オン抵抗)が変化するトランジスタからなる。具体的には、調整信号Cが大きいほど、オン抵抗が大きくなって、ブリッジ回路51に流れる電流が減少し、逆に、調整信号Cが小さいほど、オン抵抗が小さくなって、ブリッジ回路51に流れる電流が増大するように構成されている。
【0045】
増幅回路53は、演算増幅器531と、演算増幅器531の反転入力端子および非反転入力端子のそれぞれに接続された固定抵抗532,533と、演算増幅器531の反転入力端子と出力端子との間に並列接続された固定抵抗534,コンデンサ535によって構成された周知の差動増幅回路からなる。
【0046】
つまり、非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より大きい場合に、増幅回路53の出力である調整信号Cが大きくなり(ひいては、ブリッジ回路51に流れる電流が減少し)、逆に、非反転入力端子の入力電圧が反転入力端子の入力電圧より小さい場合に、調整信号Cが小さくなる(ひいては、ブリッジ回路51に流れる電流が増大する)ように構成されている。
【0047】
ブリッジ回路51は、第1発熱抵抗体341および2個の固定抵抗511,512、抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部52からなり、固定抵抗511と第1発熱抵抗体341、固定抵抗512と可変抵抗部52をそれぞれ直列接続し、各直列回路のうち、第1発熱抵抗体341および可変抵抗部52側の各端部を接地し、固定抵抗511,512側の各端部を電源側(電流調整回路55)に接続することで構成されている。
【0048】
そして、固定抵抗511と第1発熱抵抗体341との接続点P+は固定抵抗532を介して演算増幅器531の非反転入力端子に接続され、固定抵抗512と可変抵抗部52との接続点P−は固定抵抗533を介して演算増幅器531の反転入力端子に接続されている。更に、接続点P+の電位(即ち第1発熱抵抗体341の両端電圧)を、検出信号V1としてマイコン7に供給するように構成されている。
【0049】
また、可変抵抗部52は、抵抗値の異なる2個の固定抵抗521,522と、マイコン7からの切替信号CG1に従って、固定抵抗521,522のいずれか一方を有効に動作させる切替スイッチ523とからなり、切替スイッチ523により可変抵抗部52の抵抗値を切り替えることで、ブリッジ回路51のバランスを変化させることができるように構成されている。
【0050】
なお、固定抵抗521は、第1発熱抵抗体341が第1設定温度CH(例えば、300℃)となる抵抗値を有し、固定抵抗522は、第1発熱抵抗体341が第1の設定温度CHより低く設定された第2設定温度CL(例えば、200℃)となる抵抗値を有する。
【0051】
このように構成された第1通電制御回路50では、マイコン7からの通電信号S1により、スイッチング回路57がブリッジ回路51への通電を開始すると、増幅回路53および電流調整回路55は、接続点P+,P−間に生じる電位差がゼロになるようにブリッジ回路51に流れる電流を調整する。これにより、第1発熱抵抗体341の抵抗値(ひいては温度)が、可変抵抗部52の抵抗値によって決まる一定値(ひいては第1設定温度CHまたは第2設定温度CL)に制御される。
【0052】
具体的には、被検出雰囲気中の可燃性ガスの含有量が変化し、第1発熱抵抗体341が発生させる熱量より、可燃性ガスによって奪われる熱量が大きくなった場合には、第1発熱抵抗体341の温度が低下することによって、第1発熱抵抗体341の抵抗値が減少する。逆に、第1発熱抵抗体341が発生させる熱量より、可燃性ガスによって奪われる熱量が小さくなった場合には、第1発熱抵抗体341の温度が上昇することによって、第1発熱抵抗体341の抵抗値が増大する。
【0053】
これに対して、増幅回路53および電流調整回路55は、第1発熱抵抗体341の抵抗値が減少すると、ブリッジ回路51に流れる電流、ひいては第1発熱抵抗体341が発生させる熱量を増大させ、逆に、第1発熱抵抗体341の抵抗値が増大すると、ブリッジ回路51に流れる電流、ひいては第1発熱抵抗体341が発生させる熱量を減少させることで、第1発熱抵抗体341の抵抗値(ひいては温度)を一定の大きさに保つ。
【0054】
つまり、接続点P+の電位を表す検出信号V1からは、第1発熱抵抗体341に流れる電流の大きさ、即ち、第1発熱抵抗体341の温度(抵抗値)を一定に保つために必要な熱量(更には、可燃性ガスによって奪われる熱量)がわかり、その熱量はガス濃度に応じた大きさとなるため、検出信号V1から可燃性ガスのガス濃度がわかることになる。
【0055】
<<第2通電制御回路>>
次に第2通電制御回路60は、第1発熱抵抗体341の代わりに第2発熱抵抗体342を用いている点、通電信号S1,切替信号CG1の代わりに通電信号S2,切替信号CG2を用いる点、検出信号V1の代わりに検出信号V2が出力される点以外は、第1通電制御回路50と同様に構成され、これと同様に動作する。従って、第2通電制御回路60についての説明は省略する。
【0056】
<<温度測定回路>>
次に、温度測定回路80は、測温抵抗体35を含んで構成されたブリッジ回路(ホイーストーンブリッジ)81と、ブリッジ回路81から得られる電位差を増幅する増幅回路83とを備えている。
【0057】
増幅回路83は、演算増幅器831と、演算増幅器831の反転入力端子および非反転入力端子のそれぞれに接続された固定抵抗832,833と、演算増幅器831の反転入力端子と出力端子との間に並列接続された固定抵抗834,コンデンサ835によって構成された周知の差動増幅回路からなる。
【0058】
ブリッジ回路81は、測温抵抗体35および3個の固定抵抗811,812,813からなり、固定抵抗811と測温抵抗体35、固定抵抗812と固定抵抗813をそれぞれ直列接続し、各直列回路のうち、測温抵抗体35および固定抵抗813側の各端部を接地し、固定抵抗811,812側の各端部を電源に接続することで構成されている。
【0059】
そして、固定抵抗811と測温抵抗体35との接続点P−が固定抵抗833を介して演算増幅器531の反転入力端子に接続され、固定抵抗812と固定抵抗813との接続点P+が固定抵抗832を介して演算増幅器831の非反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器831の出力を温度検出信号VTとしてマイコン7に供給するように構成されている。
【0060】
測温抵抗体35は、ガス検出素子3が晒される被検出雰囲気の温度が、予め設定された基準温度の時に、温度検出信号VTが基準値となるように設定される。
そして、被検出雰囲気の温度変化に伴って、測温抵抗体35の抵抗値が変化することにより、基準温度との差に応じた電位差が生じ、この電位差を増幅したものが温度検出信号VTとして出力される。
【0061】
なお、ガス検出素子3と制御回路5との接続において、ガス検出素子3の各電極31(311〜315)は、電極311が第1通電制御回路50の接続点P+に、電極313が第2通電制御回路60の接続点P+に、電極314が温度測定回路80の接続点P−に、グランド電極312,315が制御回路5に共通のグランドラインに接続される。
【0062】
<マイコン>
マイコン7は、少なくとも、ガス濃度演算処理を実行するためのプログラムや各種データを格納する記憶装置(ROM,RAM等)、この記憶装置に記憶されたプログラムを実行するCPU、各種信号を入出力するためのIOポート、計時用タイマー等を備えた周知のものである。
【0063】
ここで、第1設定温度(300℃)の時に検出される検出信号Vi(i=1,2)の信号レベルを高温時電圧VHi、第2設定温度(200℃)時に検出される検出信号Viの信号レベルを低温時電圧VLi、温度測定回路80から読み込んだ温度検出信号VTの信号レベルを温度電圧VTというものとする。
【0064】
そして、記憶装置には、被検出雰囲気内の環境温度Tと温度電圧VTとの相関関係を表す温度換算データ、被検出雰囲気内の湿度Hと高温時電圧VHi,低温時電圧VLi,温度電圧VTとの相関関係を表す湿度換算データ、高温時電圧VHiまたは低温時電圧VLiと可燃性ガスのガス濃度Xとの相関関係を表す濃度換算データが少なくとも記憶されている。なお、各換算データは、具体的には、換算用マップデータや換算用計算式等からなり、実験等により得られたデータに基づいて予め作成されたものである。
【0065】
更に、記憶装置には、後述する判定用測定時間ΔTの間に算出されるガス濃度Xを、全て記憶しておくのに必要な濃度記憶領域が確保されている。
また、マイコン7は、起動スイッチ9がオンされることによって直流電源から給電が開始されると起動して、マイコン7内の各部を初期化後、ガス濃度演算処理を開始する。
【0066】
<ガス濃度演算処理>
ここで、マイコン7のCPUが実行するガス濃度演算処理を、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0067】
本処理が実行されると、まず、S110では、計時用タイマーをリセットし、続くS120では、第1通電制御回路50に対して通電信号S1を出力することで、ブリッジ回路51、ひいては第1発熱抵抗体341への通電を開始する。なお、初回の第1発熱抵抗体341への通電開始時においては、第2発熱抵抗体342への通電は停止されている。
【0068】
S130では、第1発熱抵抗体341を使用して、被検出雰囲気中の可燃性ガスのガス濃度X1を算出し、その算出結果を記憶すると共に、装置外部に出力する処理を行う。
具体的には、切替信号CG1によりブリッジ回路51の抵抗値、即ち、第1発熱抵抗体341の設定温度を、一定時間TWの間(以下「低温測定期間」という)、第2設定温度CLに保持した後、設定を切り替えて、再び一定時間TWの間(以下「高温測定期間」という)、第1設定温度CHに保持する制御を行う(図4参照)。これと並行して、低温測定期間中に低温時電圧VL1、高温測定期間中に高温時電圧VH1、両期間のいずれかのタイミングで温度電圧VTを検出し、その検出結果VL1,VH1,VTを用いて、ガス濃度X1を求める演算を実行する。なお、一定時間TWは、例えば、温度設定を切り替えた後、検出信号V1の出力が十分に安定するのに要する時間以上であればよく、数百ms程度(例えば200ms)に設定される。
【0069】
但し、低温時電圧VL1,高温時電圧VH1,温度電圧VTの検出結果としては、上記一定時間TW毎に1回だけ検出した値を用いてもよいし、一定時間TWの間に複数回検出した値に基づいて、一定時間TW毎に求めた区間平均値を用いてもよい。
【0070】
また、ガス濃度X1を求める演算では、まず、低温時電圧VL1または高温時電圧VH1のいずれかから濃度換算データを用いてガス濃度X1を求め、温度電圧VTから温度換算データを用いて環境温度Tを求め、低温時電圧VL1,高温時電圧VH1,温度電圧VTから湿度換算データを用いて湿度Hを求める。更に、演算結果であるガス濃度X1を、同じく演算結果である環境温度Tと湿度Hとを用いて補正し、この補正されたガス濃度X1を記憶装置の濃度記憶領域に記憶する。但し、濃度記憶領域に空きがない場合は、古いデータから順番にデータを更新していくものとする。
【0071】
そして、S140では、計時用タイマーを参照して、試験タイミングを示す時間T1に、所定の判定用測定時間ΔTを加えた切替タイミングを示す時間T2(=T1+ΔT)が経過しているか否かを判断し、経過していなければ、S130に戻って、第1発熱抵抗体341を用いたガス濃度X1の算出,記憶,出力を繰り返す。
【0072】
つまり、S130の処理は、低温測定期間,高温測定期間の両期間に要する時間2×TW毎に繰り返し実行され、その周期でガス濃度X1の演算結果が得られることになる。
また、時間T1は、その時間中に必要な測定精度が得られないほど劣化が進んでしまうことがないように設定すればよく、例えば1日〜数百日のオーダの値である。また、判定用測定時間ΔTは、例えば、時間2×ΔTの間に、被検出雰囲気中の可燃性ガスのガス濃度が大きく変化してしまう可能性ができるだけ低くなるような時間に設定すればよく、数秒オーダの値である。
【0073】
そして、ガス濃度X1の演算結果を記憶する濃度記憶領域としては、少なくとも、判定用測定時間ΔTの間にガス濃度X1が算出される回数、即ち、ΔT/(2×TW)個のデータを記憶することが可能な容量を少なくとも確保する必要がある。
【0074】
先のS140にて、時間T2が経過していると判断した場合は、S150にて、濃度記憶領域の記憶内容に基づき、期間T1〜T2の間に第1発熱抵抗体341を用いて算出されたガス濃度X1の平均値X1ΔTを算出する。
【0075】
続くS160では、通電信号S1により第1通電制御回路50(ひいては第1発熱抵抗体341)への通電を停止すると共に、通電信号S2により第2通電制御回路60(ひいては第2発熱抵抗体342)への通電を開始する。
【0076】
S170では、第2発熱抵抗体342を使用して被検出雰囲気中の可燃性ガスのガス濃度X2を算出し、その算出結果を記憶すると共に、装置の外部に出力する処理を行う。
この処理は、S130と同様に、切替信号CG2によりブリッジ回路の抵抗値、即ち、第2発熱抵抗体342の設定温度を切り替える制御を行うと共に、その制御と並行して、低温測定期間中に低温時電圧VL2、高温測定期間中に高温時電圧VH2、両期間のいずれかのタイミングで温度電圧VTを検出し、その検出結果VL2,VH2,VTを用いて、ガス濃度X2を求める演算を実行し、その算出結果(環境温度Tと湿度Hとを用いて補正されたガス濃度X2)を、濃度記憶領域に記憶する。
【0077】
但し、低温時電圧VL2,高温時電圧VH2,温度電圧VTの検出結果としては、S130の場合と同様に、一定時間TW毎に1回だけ検出した値を用いてもよいし、一定時間TWの間に複数回検出した値に基づいて、一定時間TW毎に求めた区間平均値を用いてもよい。
【0078】
S180では、計時用タイマーを参照して、時間T2に更に判定用測定時間ΔTを加えた終了タイミングを示す時間T3(=T2+ΔT)が経過しているか否かを判断し、経過していなければ、S170に戻って、第2発熱抵抗体342を用いたガス濃度X2の算出,記憶,出力を繰り返す。
【0079】
つまり、S170の処理も、S130の処理と同様に、時間2×TW毎に繰り返し実行され、その周期でガス濃度X2の演算結果が得られることになる。
一方、S180にて、時間T3が経過していると判断した場合は、S190にて、濃度記憶領域の記憶内容に基づき、期間T2〜T3の間に第2発熱抵抗体342を用いて算出されたガス濃度X2の平均値X2ΔTを算出する。
【0080】
S200では、先のS150で算出されたガス濃度X1の平均値X1ΔTと、S190で算出されたガス濃度X2の平均値X2ΔTとの濃度差Y(=X1ΔT−X2ΔT)を算出し、S210では、通電信号S2により第2通電制御回路60(ひいては第2発熱抵抗体342)への通電を停止する。
【0081】
S220では、S200で求めた濃度差の絶対値|Y|が、予め設定された閾値THy以下であるか否かを判断する。
なお、この閾値THyは、ガス濃度X1の検出結果を利用する各種処理において、必要となるガス濃度の検出精度に応じて適宜設定すればよく、例えば、THy=0.4%H2 とすることが考えられる。
【0082】
そして、|Y|≦THyであり、S220にて肯定判断した場合は、第1発熱抵抗体341に異常がないものとして、S110に戻り、上述の処理(S110〜S210)を繰り返す。
一方、|Y|>THyであり、S220にて否定判断した場合は、第1発熱抵抗体341に異常があるものとして、S230にて、その旨を装置の外部に通知するための異常検知信号を出力し、更に、S240にて、起動スイッチ9をオフすることで、可燃性ガス検出装置1の作動を停止して、本処理を終了する。
【0083】
<動作例>
図5は、発熱抵抗体34の特性の経時変化を測定した結果を示すグラフであり、(a)が第1発熱抵抗体341を連続して長期間動作させつつ時間0,T1,2×T1で測定した結果を示し、(b)は第2発熱抵抗体342を、時間0,T1,2×T1の時に、判定用測定時間ΔTの間だけ動作させて測定した結果を示す。なお、図5,図6の測定にあたっては、T1として400日を設定した。
【0084】
図5からは、第1発熱抵抗体341は、時間の経過と共に特性が変化し、初期の特性からのずれが大きくなること、第2発熱抵抗体342は、初期の特性からほとんど変化しないことがわかる。
また、図6は、可燃性ガス検出装置1の動作例を示すグラフである。
【0085】
図6に示すように、可燃性ガス検出装置1では、第1発熱抵抗体341を用いてガス濃度Xを算出するための動作を行う通常動作期間(0〜T1,T3〜T1’)と、両発熱抵抗体341,342を用いて、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定するための動作を行う判定動作期間(T1〜T3,T1’〜T3’)とが交互に繰り返される。
【0086】
第1発熱抵抗体341は、通常動作期間にて、長時間連続的に使用されることによって出力特性が変化することにより、検出信号V1の検出精度、ひいてはガス濃度X1の算出精度が、時間の経過と共に劣化する。なお、図では、時間経過と共に出力が低下する変化を示しているが、実際には、出力が増大するような変化を示す場合もある。
【0087】
通電を開始してから時間T2が経過し、期間T1〜T2の間に算出されたガス濃度X1のデータが濃度記憶領域に蓄積されると、その蓄積されたデータに基づいて平均値X1ΔTを求めると共に、第1発熱抵抗体341への通電を停止し、代わりに、第2発熱抵抗体342への通電を開始して、第2発熱抵抗体342を用いたガス濃度X2の算出を行う。
【0088】
その後、時間T3に達し、期間T2〜T3の間に算出されたガス濃度X2のデータが濃度記憶領域に蓄積されると、その蓄積されたデータに基づいて平均値X2ΔT(これが判定の基準値となる)を求めると共に、第2発熱抵抗体342への通電を停止する。そして、第1発熱抵抗体341を用いて算出したガス濃度の平均値X1ΔTと、第2発熱抵抗体342を用いて算出したガス濃度の平均値X2ΔTとの差である濃度差Yを求め、その絶対値|Y|と閾値THyとを比較する。
【0089】
この時点(T3)では、濃度差の絶対値|Y|は閾値THyを越えていないため、第1発熱抵抗体341に異常はないものとして、第1発熱抵抗体341への通電を再開して、第1発熱抵抗体341を用いたガス濃度X1の算出を行う(T3〜T2’)。
【0090】
時間T2’に達すると、以下、上述した時間T2以降の処理と同様の処理を実行する。
そして、時間T3’では、濃度差の絶対値|Y|が閾値THyを越えているため、第1発熱抵抗体341に異常があるものとして、そのまま、可燃性ガス検出装置1の動作自体を停止する。
【0091】
<効果>
以上説明したように、可燃性ガス検出装置1は、通常動作期間は、第1発熱抵抗体341を使用して、被検出雰囲気の可燃性ガスのガス濃度X1を検出し、判定動作期間だけ、第2発熱抵抗体342も使用してガス濃度X2を検出し、両検出結果X1,X2を比較することで、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定するようにされている。
【0092】
しかも、通常動作期間では、第1発熱抵抗体341のみ通電し、判定動作期間では、第1発熱抵抗体341および第2発熱抵抗体342を、一方への通電時には他方が非通電(通電停止)となるように、交互に通電制御を行うようにされている。
【0093】
従って、可燃性ガス検出装置1によれば、両発熱抵抗体341,342は、互いに他方の発熱抵抗体が発生させる熱の影響を受けることなくガス濃度X1,X2を求めることができると共に、基準値となるガス濃度X2の算出に用いる第2発熱抵抗体342の劣化を抑制することができるため、長期間に渡って、第1発熱抵抗体341の異常を精度よく検出することができる。
【0094】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
本実施形態では、マイコン7が実行するガス濃度演算処理の一部が、第1実施形態とは異なるだけであるため、この異なる部分を中心に説明する。
【0095】
<ガス濃度演算処理>
図7は、本実施形態におけるガス濃度演算処理の内容を示すフローチャートである。但し、図7において、図3のフローチャートとステップ番号が同じものは、その処理内容も全く同じであり、また、S110〜S200は、図3と全く同じであるため、記載も省略している。
【0096】
図7に示すように、本実施形態では、濃度差Yが算出されると(S110〜S200)、第2発熱抵抗体342への通電を停止することなく、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定し(S220)、異常なしと判定した場合(S220:YES)は、第2発熱抵抗体342への通電を停止(S260)後、S110に戻り、異常ありと判定した場合(S220:NO)は、異常検知信号を出力(S230)した後、第2発熱抵抗体342を使用したガス濃度X2の算出(S170相当の処理)を繰り返す(S250)。
【0097】
<効果>
このように構成された本実施形態の可燃性ガス検出装置1によれば、第1発熱抵抗体341に異常が発生するとガス濃度の検出自体を止めてしまう第1実施形態の場合とは異なり、第1発熱抵抗体341に異常が発生しても、その時点ではほとんど劣化していない第2発熱抵抗体342を用いてガス濃度の検出を継続して行うことができる。
【0098】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
本実施形態では、マイコン7が実行するガス濃度演算処理の一部が、第1実施形態とは異なるだけであるため、この異なる部分を中心に説明する。なお、マイコン7には、ガス濃度X1を記憶する濃度記憶領域と、高温時電圧VH1,VH2を記憶する高温時電圧記憶領域とが確保されている。
【0099】
<ガス濃度演算処理>
図8は、本実施形態におけるガス濃度演算処理の内容を示すフローチャートである。
図8からわかるように、本実施形態では、図3に示したS130,S150,S170,S190,S200,210,S220の処理が、それぞれ、S135,S155,S175,S195,S205,215,S225に置き換わっているだけである。
【0100】
そして、S135では、第1発熱抵抗体341を使用して、被検出雰囲気中の可燃性ガスのガス濃度X1を算出し、その算出結果を記憶して装置外部に出力するだけでなく、ガス濃度X1の算出のために求められる高温時電圧VH1も記憶する。
【0101】
S155では、濃度記憶領域の記憶内容に基づき、期間T1〜T2の間に第1発熱抵抗体341を用いて算出されたガス濃度の平均値X1ΔT、および高温時電圧VH1の平均値VH1ΔTを算出し、ガス濃度の平均値X1ΔTを、S135にて算出されるガス濃度X1に変えて、装置外部に出力する。
【0102】
S175では、第2発熱抵抗体342を使用して高温時電圧VH2を算出し、その算出結果を記憶する。
S195では、高温時電圧領域の記憶内容に基づき、期間T2〜T3の間に第2発熱抵抗体342を用いて算出される高温時電圧VH2の平均値VH2ΔTを算出する。
【0103】
S205では、先のS155で算出された高温時電圧の平均値VH1ΔTと、S195で算出された高温時電圧の平均値VH2ΔTとの電圧差Z(=VH1ΔT−VH2ΔT)を算出し、S215では、通電信号S2により第2通電制御回路60(ひいては第2発熱抵抗体342)への通電を停止すると共に、装置外部へのガス濃度の平均値X1ΔTの出力を停止する。
【0104】
S225では、S220では、S205で求めた電圧差の絶対値|Z|が、予め設定された閾値TVz以下であるか否かを判断する。
なお、この閾値TVzは、ガス濃度X1の検出結果を利用する各種処理において、必要となるガス濃度の検出精度に応じて適宜設定すればよく、例えば、TVz=15mVとすることが考えられる。
【0105】
そして、|Z|≦TVzであり、S225にて肯定判断した場合は、第1発熱抵抗体341に異常がないものとして、S110に戻り、一方、|Z|>TVzであり、S225にて否定判断した場合は、第1発熱抵抗体341に異常があるものとして、S230に進む。
【0106】
<動作例>
図9は、本実施形態における可燃性ガス検出装置1の動作例を示すグラフである。
但し、図6では、時間経過と共に出力が減少する場合を示したが、ここでは逆に、時間経過と共に、出力が増大する場合を示す。
【0107】
図9に示すように、可燃性ガス検出装置1では、第1発熱抵抗体341を用いてガス濃度Xを算出するための動作を行う通常動作期間(0〜T1,T3〜T1’)と、両発熱抵抗体341,342を用いて、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定するための動作を行う判定動作期間(T1〜T3,T1’〜T3’)とが交互に繰り返される。
【0108】
第1発熱抵抗体341は、通常動作期間にて、長時間連続的に使用されることによって出力特性が変化することにより、高温時電圧VH1の検出精度、ひいてはガス濃度X1の算出精度が、時間の経過と共に劣化する。
【0109】
通電を開始してから時間T2が経過し、期間T1〜T2の間に算出されたガス濃度X1および高温時電圧VH1のデータが濃度記憶領域や高温時電圧記憶領域に蓄積されると、その蓄積されたデータに基づいてガス濃度の平均値X1ΔTおよび高温時電圧の平均値VH1ΔTを求める。そして、第1発熱抵抗体341への通電を停止し、代わりに、第2発熱抵抗体342への通電を開始して、第2発熱抵抗体342を用いた高温時電圧VH2の算出を行う。これと共に、ガス濃度X1の出力を停止し、代わりに、ガス濃度の平均値X1ΔTの出力を開始する。
【0110】
その後、時間T3に達し、期間T2〜T3の間に算出された高温時電圧VH2のデータが高温時電圧記憶領域に蓄積されると、その蓄積されたデータに基づいて高温時電圧の平均値VH2ΔT(これが判定の基準値となる)を求めると共に、第2発熱抵抗体342への通電を停止する。そして、第1発熱抵抗体341を用いて算出した高温時電圧の平均値VH1ΔTと、第2発熱抵抗体342を用いて算出した高温時電圧の平均値VH2ΔTとの差である電圧差Zを求め、その絶対値|Z|と閾値TVzとを比較する。
【0111】
この時点(T3)では、電圧差の絶対値|Z|は閾値TVzを越えていないため、第1発熱抵抗体341に異常はないものとして、第1発熱抵抗体341への通電を再開して、第1発熱抵抗体341を用いたガス濃度X1の算出を行い、その算出結果を装置外部に出力する(T3〜T2’)。
【0112】
時間T2’に達すると、以下、上述した時間T2以降の処理と同様の処理を実行する。
そして、時間T3’では、電圧差の絶対値|Z|が閾値TVzを越えているため、第1発熱抵抗体341に異常があるものとして、そのまま、可燃性ガス検出装置1の動作自体を停止する。
【0113】
<効果>
以上説明したように、本実施形態の可燃性ガス検出装置1は、ガス濃度の平均値X1ΔT,X2ΔTではなく、その算出に使用される高温時電圧の平均値VH1ΔT,VH2ΔTを比較することで、第1発熱抵抗体341の異常の有無を判定するようにされている。
【0114】
従って、本実施形態の可燃性ガス検出装置1によれば、第1実施形態の場合と同様の効果が得られるだけでなく、第2発熱抵抗体342に基づくガス濃度X2を算出する必要がないため、異常の有無を判定するために費やされる処理量を大幅に削減することができる。
【0115】
また、本実施形態の可燃性ガス検出装置1では、第2発熱抵抗体342への通電制御を行っている期間T2〜T3は、リアルタイムに検出されるガス濃度X1の代わりに、その直前の期間T1〜T2での検出結果に基づくガス濃度の平均値X1ΔTを装置外部に出力しているため、第2発熱抵抗体342への通電制御を行っている期間であっても、ガス濃度の検出結果を途切れることなく装置外部に提供することができる。
【0116】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
<全体構成>
図10は、本実施形態の可燃性ガス検出装置1aの全体構成図である。
【0117】
なお、可燃性ガス検出装置1aは、第1実施形態の可燃性ガス検出装置1とは、制御回路5の構成、制御回路5とマイコン7との間で入出力される信号の一部が異なり、また、入出力される信号が異なることに伴って、マイコン7で実行する処理の一部が異なっている。
【0118】
図10に示すように、可燃性ガス検出装置1aは、ガス検出素子3(図2参照)を駆動制御する制御回路5と、制御回路5の動作を制御する切替信号CG,CEを生成すると共に、制御回路5から得られる検出信号V1/V2,VTに基づいて、被検出ガス中に含まれる可燃性ガスのガス濃度を演算する処理(ガス濃度演算処理)を少なくとも含む各種処理を実行するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)7と、直流電源Vccからマイコン7への電源供給経路を導通,遮断することでマイコン7を起動,停止する起動スイッチ9とを備えている。
【0119】
<制御回路>
制御回路5は、第1発熱抵抗体341および第2発熱抵抗体342のいずれかを択一的に選択して通電制御を行い、第1発熱抵抗体341または第2発熱抵抗体342の両端電圧に対応する検出信号V1/V2を出力する第3通電制御回路50aと、測温抵抗体35への通電を行い、被検出雰囲気の温度を表す温度検出信号VTを出力する温度測定回路80とを備えている。
【0120】
このうち、温度測定回路80は、第1実施形態のものと同様に構成されている。
<<第3通電制御回路>>
第3通電制御回路50aは、図1に示した第1通電制御回路50と比較して、スイッチング回路57が省略されている点、およびブリッジ回路51の代わりにブリッジ回路51aが設けられている点が異なっている。
【0121】
そして、ブリッジ回路51aには、図1に示したブリッジ回路51を構成する第1発熱抵抗体341の代わりに、二つの発熱抵抗体を切り替え可能な抵抗体切替部58が設けられている。
この抵抗体切替部58は、第1発熱抵抗体341,第2発熱抵抗体342と、マイコン7からの素子切替信号CEに従って、両発熱抵抗体341,342のいずれか一方を有効に動作させる切替スイッチ581とからなり、発熱抵抗体341,342のいずれかが択一的にブリッジの構成要素となるよう、接続が切り替わるように構成されている。
【0122】
このように構成された第3通電制御回路50aでは、直流電源Vccからの電源供給が開始されると、増幅回路53および電流調整回路55は、接続点P+,P−間に生じる電位差がゼロになるようにブリッジ回路51に流れる電流を調整する。
【0123】
これにより、素子切替信号CEに従って抵抗体切替部58にて選択される第1発熱抵抗体341または第2発熱抵抗体342の抵抗値(ひいては温度)が、切替信号CG1に従って可変抵抗部52にて選択される抵抗値によって決まる一定値(ひいては第1設定温度CHまたは第2設定温度CL)に制御される。
【0124】
つまり、接続点P+の電位を表す検出信号V1/V2は、素子切替信号CEが第1発熱抵抗体341を選択するように設定されていれば、第1発熱抵抗体341の両端電圧を表す検出信号V1となり、素子切替信号CEが第2発熱抵抗体342を選択するように設定されていれば、第2発熱抵抗体342の両端電圧を表す検出信号V2となる。
【0125】
より詳細には、素子切替信号CEにより第1発熱抵抗体341が選択された状態のもと、切替スイッチ523により可変抵抗部52の抵抗値を切り替えることにより、高温測定期間中には高温時電圧VH1,低温測定期間中には低温時電圧VL1が出力される。一方、素子切替信号CEにより第2発熱抵抗体342が選択された状態のもと、切替スイッチ523により可変抵抗部52の抵抗値を切り替えることにより、高温測定期間中には高温時電圧VH2,低温測定期間中には低温時電圧VL2が出力される。
【0126】
従って、本実施形態の制御回路5では、制御に用いる信号の一部が異なるだけで、第1実施形態のものと同様の検出信号V1,V2を取得することができる。
なお、第3通電制御回路50aにおいてスイッチング回路57が省略されているのは、第3通電制御回路50aは、第1発熱抵抗体341および第2発熱抵抗体342のいずれを通電制御する時にも使用され、常時通電されている必要があるからである。
【0127】
<ガス濃度演算処理>
マイコン7が実行するガス濃度演算処理の内容は、通電制御の対象となる発熱抵抗体341,342を切り替える時に、通電信号S1,S2の代わりに、素子切替信号CEを用い、設定温度を切り替える時に、いずれの発熱抵抗体341,342の通電制御時にも、切替信号CG1を用いること以外は、第1実施形態の場合と全く同様である。
【0128】
<効果>
以上説明したように、本実施形態の可燃性ガス検出装置1aは、制御回路5が、発熱抵抗体341,342のそれぞれに個別の通電制御回路50,60を設け、作動させる通電制御回路を択一的に切り替えるのではなく、単一の第3通電制御回路50aを用い、ブリッジに接続する発熱抵抗体341,342を択一的に切り替えることによって、両発熱抵抗体341,342の通電制御を行うようにされている。
【0129】
従って、可燃性ガス検出装置1aによれば、装置構成を大幅に簡素化することができ、装置を小型できると共に、安価に構成することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
【0130】
例えば、上記実施形態では、第1発熱抵抗体341と第2発熱抵抗体342を同一基板に形成したが、別基板に形成してもよい。
上記実施形態では、発熱抵抗体34が二つである場合について説明したが、発熱抵抗体34は三つ以上であってもよい。この場合、二つ以上の発熱抵抗体34が同時に通電されることがないように制御すればよい。
【0131】
上記実施形態では、第1〜第3通電制御回路50,60,50aを構成するブリッジ回路51,51aを、可変抵抗部52を用いて構成し、発熱抵抗体34の温度設定を変化させることができるように構成したが、検出雰囲気の湿度変化が少ない場合には、可変抵抗部52の代わりに固定抵抗を用いて、単一の温度設定で動作させるように構成してもよい。
【0132】
上記実施形態では、異常の判定を周期的(時間T毎)に実行するように構成したが、例えば、可燃性ガス検出装置1を搭載する被搭載装置が始動する毎に実行したり、被搭載装置の動作状況から、可燃性ガスのガス濃度が変化する可能性が低い状況の時に実行したりするように構成してもよい。
【符号の説明】
【0133】
1,1a…可燃性ガス検出装置 3…ガス検出素子 5…制御回路 7…マイクロコンピュータ(マイコン) 9…起動スイッチ 30…基部 31(311〜315)…電極 32…基板 33…絶縁層 34…発熱抵抗体 35…測温抵抗体 36…配線 37…配線膜 50…第1通電制御回路 50a…第3通電制御回路 51,51a,81…ブリッジ回路 52…可変抵抗部 53,83…増幅回路 55…電流調整回路 57…スイッチング回路 58…抵抗体切替部 60…第2通電制御回路 80…温度測定回路 301,302…凹部 341…第1発熱抵抗体 342…第2発熱抵抗体 511,512,521,522,532〜534,811〜813,832〜834…固定抵抗 523,581…切替スイッチ 531,831…演算増幅器 535,835…コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性ガスのガス濃度を検出する可燃性ガス検出装置において、
被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスの濃度に応じて自身の抵抗値が変化する第1発熱抵抗体と、
被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスの濃度に応じて自身の抵抗値が変化する第2発熱抵抗体と、
前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体のうちいずれかを制御対象として択一的に通電を行い、前記制御対象の抵抗値が予め設定された目標温度に対応した大きさとなるように前記制御対象の通電状態を制御する通電制御手段と、
前記通電制御手段の制御対象が前記第1発熱抵抗体である時に検出される当該第1発熱抵抗体の両端電圧から前記可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す第1算出値を算出する第1算出手段と、
前記通電制御手段の制御対象が前記第2発熱抵抗体である時に検出される当該第2発熱抵抗体の両端電圧から前記可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す第2算出値を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段および第2算出手段にて算出される、前記第1算出値と前記第2算出値とを比較することにより、前記第1発熱抵抗体の異常の有無を判定する異常判定手段と、
を設けたことを特徴とする可燃性ガス検出装置。
【請求項2】
前記第1発熱抵抗体と前記第2発熱抵抗体とは、同一基板上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項3】
前記異常判定手段は、予め設定された判定条件が成立する毎に作動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項4】
前記判定条件が成立すると、前記第2算出手段による前記第2算出値の算出に必要なデータを取得する期間だけ前記第2発熱抵抗体を制御対象とし、それ以外の期間では前記第1発熱抵抗体を制御対象とするように、前記通電制御手段を作動させる通常時作動手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項5】
前記異常判定手段が異常ありと判定した場合、前記通電制御手段による前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体への通電を停止する第1異常時作動手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項6】
前記異常判定手段が異常ありと判定した場合、前記通電制御手段による前記第2発熱抵抗体への通電、および前記第2算出手段による前記第2算出値の算出を行わせる第2異常時作動手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項7】
前記異常判定手段は、前記第1算出値と前記第2算出値との差または比が、予め設定された許容範囲を超えた場合に異常有りと判定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項8】
前記第1算出手段は、前記第1発熱抵抗体の両端電圧に基づいてガス濃度に換算した値を前記第1算出値として算出すると共に、前記第2算出手段は、前記第2発熱抵抗体の両端電圧に基づいてガス濃度に換算した値を前記第2算出値として算出することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項9】
前記第1算出手段は、前記第1発熱抵抗体の両端電圧または該両端電圧の平均値を前記第1算出値として算出すると共に、前記第2発熱抵抗体の両端電圧または該両端電圧の平均値を前記第2算出値として算出することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項10】
前記通電制御手段は、
前記第1発熱抵抗体の抵抗値が前記目標温度に対応する大きさとなるように当該第1発熱抵抗体への通電状態を制御する第1通電制御手段と、
前記第2発熱抵抗体の抵抗値が前記目標温度に対応する大きさとなるように当該第2発熱抵抗体への通電状態を制御する第2通電制御手段と、
からなり、前記第1通電制御手段および前記第2通電制御手段のいずれかを択一的に作動させることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項11】
前記通電制御手段は、
前記第1発熱抵抗体および前記第2発熱抵抗体のいずれか一方を制御対象として選択する素子選択手段と、
前記素子選択手段にて選択された制御対象の抵抗値が前記目標温度に対応する大きさとなるように前記制御対象への通電状態を制御する第3通電制御手段と、
からなることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の可燃性ガス検出装置。
【請求項12】
被検出雰囲気内に配置されて、可燃性ガスのガス濃度に応じて自身の抵抗値が変化する発熱抵抗体を複数備え、予め設定された目標温度に対応する抵抗値となるように通電状態が制御された前記発熱抵抗体の両端電圧から可燃性ガスのガス濃度に応じた値を示す算出値を算出する可燃性ガス検出素子の制御方法であって、
前記複数の発熱抵抗体のうち一つを、前記被検出雰囲気中の状態を前記算出値として算出するのに用いる測定用抵抗体とし、前記複数の発熱抵抗体のうち前記測定用抵抗体以外の一つを前記測定用抵抗体の異常の有無を判断するのに必要な比較情報の取得に用いる比較用抵抗体として、
前記測定用抵抗体への通電時には、前記比較用抵抗体を含む他の全ての発熱抵抗体を非通電とし、前記比較用抵抗体への通電時には、前記測定用抵抗体を含む他の全ての発熱抵抗体を非通電とすることを特徴とする可燃性ガス検出素子の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−237407(P2011−237407A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36033(P2011−36033)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】