説明

可燃物処理装置

【課題】環境汚染の抑制と焼却コストの低減を図れる可燃物処理装置を提供する。
【解決手段】可燃物処理装置1は、処理容器3と、外気を内部に取り込む吸気パイプ5と、取り込まれる空気を磁化する磁界発生手段7と、複数の滞留槽43A、43B、43Cを備えた煙突15を有している。投入口65から処理容器3内に投入された可燃物に着火し、エアーバルブ9により空気量を調整すると、磁化空気の存在により無炎に近い状態で燃焼が持続し、有害物は処理容器3内の還元雰囲気により無害化される。
燃焼により生じたガスの一部は、木酢液と同様の特性を有する液として滞留槽43の液溜め部45に集められるとともに、最上の活性炭層53により無害化されて外部に放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃材等の可燃物を焼却処理するための可燃物処理装置に関し、詳しくは無炎に近い状態で燻しながら燃焼させる可燃物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、可燃物の焼却には、火炎を伴う燃焼を生じさせる焼却炉が用いられている。この種の焼却炉では、酸素(空気)を積極的に供給しながら燃やす方式となっており、大量に処理する場合には重油炉や電気炉などが用いられている。
ここで、「可燃物」とは、金属やガラス等の不燃物を除くものを指す。
可燃廃棄物を焼却炉内で燃焼させた場合、炭化水素やダイオキシン等の有害物質が発生するため、火力や電力等のエネルギー消費の問題の他に、環境汚染の問題を避けられない。
環境汚染の問題を解消すべく、ダイオキシン等の有害物質を極めて高い温度で熱分解する高温焼却炉も開発されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−48150号公報
【特許文献2】特開2005−201485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高温焼却炉ではダイオキシン等の有害物質の発生を高度に抑制できるが、耐熱性に優れた焼却炉が必要であり、エネルギー消費の増大に加え設備コストが高くなり、結果的に焼却コストの高騰を避けられなかった。
【0005】
本発明は、環境汚染の抑制と焼却コストの低減を図れる可燃物処理装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための、請求項1記載の発明は、開閉自在な投入口を有する処理容器と、該処理容器内に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段により供給される空気を磁化する磁界発生手段と、前記処理容器内で発生したガスを排出する排気手段とを備え、前記処理容器内に投入された可燃物の一部に着火し、磁化された空気を供給しつつ無炎に近い状態で燻しながら燃焼させることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の可燃物処理装置において、前記空気供給手段によって供給される空気の量を調整する空気量調整手段を有し、該空気量調整手段による空気量の調整により無炎に近い燃焼状態を得ることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の可燃物処理装置において、前記処理容器の側面が外壁と内壁の2重構造を有し、前記空気供給手段により供給される空気は前記外壁と前記内壁の間の空間に流入した後、前記内壁に設けられた通気部を通って内方へ入り込むことを特徴とする可燃物処理装置である。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の可燃物処理装置において、前記通気部は複数設けられているとともに、前記内壁の内方へ略水平に突出するパイプ状をなし、その内方側先端部は下面側が斜めにカットされた形状を有していることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の可燃物処理装置において、前記排気手段が前記処理容器から上方に延びる煙突であり、該煙突には前記処理容器から排出されるガスを滞留させて液化する滞留槽が上下方向に間隔をおいて複数設けられ、前記各滞留槽は液溜め部を有しているとともに、前記液溜め部の上方に位置しガスの上昇流動を妨げる邪魔板を複数有していることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の可燃物処理装置において、前記複数の滞留槽のうち最上のものは前記液溜め部の上方に活性炭層を有していることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の可燃物処理装置において、前記排気手段の排気路の終端部を折り返して前記処理容器近傍まで下降させて延長し、該延長排気路に導かれたガスを少なくとも1つの濾過部を通した後に排気することを特徴とする可燃物処理装置である。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の可燃物処理装置において、前記濾過部が複数設けられ、各濾過部間は前記処理容器内を通る通気パイプで連結されていることを特徴とする可燃物処理装置である。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の可燃物処理装置において、前記濾過部の濾過材を洗浄する濾過材洗浄手段を有し、該濾過材洗浄手段は、前記処理容器の内部を通り先端部が前記濾過材の近傍に臨む送液パイプと、該送液パイプから液体を吐出させるための開閉弁を備えていることを特徴とする可燃物処理装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、火炎を伴う燃焼によるダイオキシン等の発生を低減でき、環境汚染を抑制できる。
また、電力エネルギーや火力エネルギーをほとんど必要としないのでエネルギーコスト(ランニングコスト)を低減できるとともに、過度の耐熱対策を要しないので、焼却コストの大幅な低減を実現できる。
また、装置高さの嵩張りを抑制しながら排出されるガスの無害化を高精度に実現できるとともに、無害化構成における濾過材の交換、メンテナンスの容易化を図ることができる。
また、濾過材の濾過機能の回復を任意に行うことができ、濾過材の使用寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態に係る可燃物処理装置を図面(図1〜図5)にしたがって説明する。
図1は本実施の形態に係る可燃物処理装置1の全体構成を示している。可燃物処理装置1は、内部に処理空間を有し、可燃物が投入される処理容器3と、処理容器3の下部外面に配置された空気供給手段としての吸気パイプ5と、吸気パイプ5に設けられ、吸気パイプ5に入り込む空気を磁化する磁界発生手段7と、吸気パイプ5に設けられた空気量調整手段としてのエアーバルブ9と、処理容器3の上面に設けられ、後述する投入口を開閉する投入口蓋11と、処理容器3の前面の下部に設けられ、後述する灰出し口を開閉する蓋13と、処理容器3の上面から上方に延びる排気手段としての煙突15等を有している。
【0017】
投入口蓋11は、一端側(後端側)をヒンジ17で支持されて上下方向に回動自在に設けられている。投入口蓋11の前端側の両側にはレバー19が回動自在に設けられており、各レバー19を処理容器3の対応位置に固定されたフック21に係合することにより、閉じた位置にロックされる。
蓋13は、処理容器3内に投入された可燃物に着火する場合、あるいは処理容器3の底に溜まる灰を取り出す場合に開放される。蓋13は一端側をヒンジ23で支持されて水平方向に回動自在に設けられている。蓋13の他端側にはレバー25が上下方向に回動自在に設けられており、レバー25を処理容器3の対応位置に固定されたフック27に係合することにより、閉じた位置でロックされる。
【0018】
処理容器3の底面側には、投入された可燃物を底面29から離間した状態で支持するとともに処理後に生成する灰を底面29に落とすための仕切り部材31が設けられている。
処理容器3の両側面は、外壁33と、内壁35からなる2重構造を有しており、外壁33と内壁35との間は吸気パイプ5により取り入れられた空気の流入空間37となっている。内壁35は外壁33に固定された支持片39により支持されている。
【0019】
煙突15は、排気管41と、排気管41に連通した状態で上下方向に間隔をおいて複数設けられた滞留槽43A、43B、43Cを有している。下方の滞留槽43A、43Bは、下端部に液溜め部45を有しているとともに、両側から交互に略水平に延びてガスの上昇流を妨げる邪魔板47を複数有している。
処理容器3内で発生したガスは邪魔板47に接触し、流路を変更されながら冷却されて一部が液化し、液溜め部45に溜まる。
最上の滞留槽43Cには、液溜め部45の上方にパンチングメタル49が略水平に配置され、その上方には金網51が略水平に配置されている。
金網51の上面には、煙突15から排出されるガスの無害化を促進させるための濾過層としての活性炭層53が設けられている。
各滞留槽43の液溜め部45には、後述するように木酢液の特性を有する液を取り出すための排出バルブ55が設けられている。
図1において符号57は、処理容器3内の温度を表示する温度表示計を示している。
【0020】
図2に示すように、吸気パイプ5、磁界発生手段7、エアーバルブ9が一体に構成されたユニットは処理容器3の両側の前後方向においてそれぞれ複数(ここでは4つ)配置されている。
吸気パイプ5は外気を強制的に吸引する動力源を有しておらず、単に外気を取り込むためのパイプ構造を有しているにすぎない。処理容器3内で燃焼(無炎状態の燃焼)が生じると、これに伴って吸気パイプ5を介して自然に内部へ空気が取り込まれる。このときの空気の取り込み量がエアーバルブ9によって調整される。
【0021】
両側の内壁35は外壁33に沿ってコ字状に配置されており、これにより流入空間37も処理容器3の内側周囲を囲むように形成されている。内壁35には通気部としての通気パイプ59が略水平に突出するように設けられており、矢印で示すように、吸気パイプ5から取り込まれた空気は流入空間37に入り込んだ後、通気パイプ59を通って処理容器3の処理空間61へ流れる。
通気パイプ59は処理空間61を囲むように複数設けられている。
【0022】
灰出し口63は処理容器3の前後に設けられており、処理容器3の底面29に溜まった灰を効率的に取り出せるようになっている。
仕切り部材31は2つ配置されており、各仕切り部材31は矩形の枠と前後方向に延びる複数本の桟から構成されている。
図3に示すように、可燃物は投入口蓋11を上方に回動して開けた状態で投入口65から投入される。
各通気パイプ59はその内方側先端部の下面側が斜めに(ここでは略45°に)カットされた形状を有しており、投入口65から投入された可燃物で先端が塞がれずに給気できるようになっている。
内壁35における通気パイプ59の上方には通気部としての通気穴67が形成されており、この通気穴67からも空気が処理空間61へ入り込むようになっている。
内壁35の高さは所定位置に制限されており、処理容器3の上部では外壁33との間が開放されている。
【0023】
図4に示すように、磁界発生手段7は、非磁性材料で形成された円筒状のホルダ69と、ホルダ69内に対向して保持された磁石71、71を有している。ホルダ69の一端側には雄ネジ部73が形成されており、この雄ネジ部73を吸気パイプ5に形成された雌ネジ部75に螺合することにより吸気パイプ5に連結されている。吸気パイプ5も非磁性材料で形成されている。
ホルダ69内を通過する空気は、磁石71の磁力線に触れることにより磁化され、磁化された状態で吸気パイプ5を介して処理容器3の処理空間61に入り込む。
磁石71、71の極性にもよるが、磁力線の向きは空気の流れに直交する方向、空気の流れに沿う方向のいずれでもよい。
【0024】
次に、可燃物処理装置1による処理動作を説明する。
まず、可燃物を投入口65から処理容器3内に入れた後、投入口蓋11を閉め、蓋13を開けて可燃物に着火する。この着火は新聞紙等に火を点けたものを入れてもよく、処理容器3内に設けられた電熱棒やバーナー等の着火手段で点けてもよい。要するに、処理容器3内の可燃物の一部において燃焼を生じさせればよい。この着火での燃焼は、通常の火炎を伴う燃焼である。
着火が確認されたら蓋13を閉める。初期段階ではエアーバルブ9は全開されており、処理容器3内の温度上昇に伴って空気量の調節がなされる。エアーバルブ9を全開のままにしておくと、十分な酸素供給による火炎を伴う通常の燃焼となり、従来の焼却炉と同様の原理で焼却がなされる。
しかしながら、本実施の形態に係る可燃物処理装置1では、空気の供給量を徐々に制限して無炎に近い状態の燃焼が維持されるようにする。ここで、「無炎に近い状態」とは、十分な酸素供給による大きな火炎を伴う燃焼とは異なり、ほとんど火炎を伴わない状態をいう。
【0025】
可燃物処理装置1における処理工程の状態モデルを、図5に示す。
処理容器3内において、その状態は、上から順に、容器内の処理メカニズムの影響をほとんど受けていない未処理域C1、可燃物の水分が蒸発する乾燥域C2、可燃物の揮発分が揮発する炭化域C3、水分や揮発分が抜けた可燃物が酸化分解される灰化域C4、完全なセラミック状の粉体となる灰化完了域C5に分けられると考えられる。
炭化域C3において揮発した成分は内壁35に付着し、容器内の輻射熱により炭化が進行して灰化域C4へ移行する。
【0026】
着火後、エアーバルブ9を調整して空気流入量を調整、すなわち酸素量を調整することにより、無炎に近い状態で燻しながら燃焼させ、且つこの燃焼状態を維持することが可能となる。
この「燻焼」とも言うべき燃焼状態の維持は、磁化された空気の供給により初めて実現されることが本発明者らの実験により確認されている。
その原理は明らかでないが、磁化されていない空気を供給しながらその量を調整しても、単に酸素不足となって上記「無炎に近い状態での燃焼」は維持されないことが判っている。
磁化された空気は炭化域C3又はその近傍に供給される。酸素供給量の制限により、処理容器3内は還元雰囲気となり、有機物は無機化され、NOx、SOx、ダイオキシン等の有害物は無害化される。
したがって、処理容器3内では、磁化された空気の供給により、極めて酸素の少ない状態での燃焼(酸化反応)が可能になると考えられる。なお、処理容器3内の温度は100℃〜300℃である。
【0027】
上記のように、磁化された空気の供給は極めて重要であるが、図2で示したように、本実施の形態に係る可燃物処理装置1では、処理容器3の周囲を囲むように通気パイプ59及び通気穴67が複数設けられているので、磁化空気の供給が偏ることなくなされ、「無炎に近い状態での燃焼」を良好に維持することができる。
処理前の可燃物の分別は必要ではなく、生ゴミや石油製品等を混ぜても構わない。
処理が進行すると、処理容器3の底面29に灰が溜まり、処理容器3内の可燃物の容積が徐々に減少していくため、投入口蓋11を開けてその減り具合を見ながら可燃物を新たに投入していけばよい。
したがって、一旦着火がなされて処理が進行し始めると、可燃物の投入が断たれない限り、上述した「無炎に近い状態での燃焼」が止むことなく継続される。この燃焼の継続は電力等の供給エネルギーゼロの状態で進行する。
【0028】
適宜、蓋13を開けて溜まった灰を取り出すようにする。焼却に伴う固体残渣としての灰(セラミック)は無害化されているため、消臭剤や培養土等として再利用することもできる。
また、煙突15の滞留槽43の液溜め部45に溜まった気体残渣としての液は、木酢液と同様の特性を示すため、防腐剤や消毒液等に再利用することができる。
【0029】
図6〜図9に基づいて第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施の形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要が無い限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
上述のように、煙突15から排出されるガスは極めて良好な状態に無害化されているが、本実施の形態では、その無害化(クリーン化)をさらに高めることを主な目的としている。
【0030】
図6に示すように、煙突15の上端部には、該上端部から折り返して下方に略垂直に延びる排気管81が接続されている。排気管81の排気側端部81aは、図7に示すように、処理容器3の背面に固定された濾過ユニット83に接続されている。
図8及び図9に示すように、濾過ユニット83は、各々空間的に仕切られた2つの濾過部85A、85Bを有しており、排気管81の排気側端部81aは濾過部85Aの底面に接続されて濾過部85Aの内部に連通している。
各濾過部85A、85Bは処理容器3の背面側からそれぞれ開閉カバー87により開閉できるようになっており、内部に濾過体89を出し入れ可能に設置できるようになっている。図9では開閉カバー87を省略している。
【0031】
濾過部85Aと濾過部85Bの内部は通気パイプ91で連通されている。通気パイプ91は、濾過部85Aの上端部側面から出て処理容器3内を通り、再び処理容器3外部に出て濾過部85Bの下端部側面に接続される通気路構成を有している。
図9に示すように、各濾過部85A、85Bの底面には穴93が開口されており、穴93の上に濾過体89が設置されている。濾過体89は、網状の底面89aを有する容器89b内に濾過材としての活性炭89cを入れた構成を有している。
図8に矢印で示すように、煙突15の上端部から出たガスは排気管81を通って濾過部85Aの底面からその内部に入り、濾過体89の活性炭(活性炭層)89cに接触した後、通気パイプ91から一旦外部に出て処理容器3の内部を通り、濾過部85Bの下部からその内部に入る。
その後、濾過部85B内の濾過体89の活性炭(活性炭層)89cに接触した後、濾過部85Bの上面に接続された排気ダクト93を通り、最終的に排気ダクト93の上面に接続された略垂直に延びる煙突95から排気される。
【0032】
煙突95の上端部(排気側端部)には、強風時の外気の入り込みによる逆流を防止したり、雨水の浸入を防止する等の観点から防風キャップ97が設けられている。
上記のように通気パイプ91は処理容器3の内部を通っているので、濾過部85Aを通って活性炭89cとの接触により熱を奪われて温度が低下したガスは、濾過部85Bに向かう過程で加熱される。このガスの昇温により、排気ダクト93を経て煙突95から排出される排気上昇流の機能が高められ、防風キャップ97による閉塞性も問題とならない。
また、ガスの温度が低下した状態で濾過部85Bに入る場合に比べて、濾過部85B内の濾過体89の活性炭89cとの接触による無害化反応が高められる利点もある。
【0033】
濾過ユニット83を煙突15の上方に延長して設ける構成としても上記無害化機能は同等に得られるが、本実施の形態ように、濾過体89を処理容器3の近傍(ここでは背面側)に設けることにより、装置全体の高さ方向の嵩張りを抑えることができるとともに、ユーザーによる濾過体89の交換やメンテナンスを容易に行うことができる利点がある。
すなわち、濾過ユニット83の位置は、装置のコンパクト化、作業性の容易性及び処理容器3の熱を有効利用する観点から最適な位置を決定することができる。
また、本実施の形態では2つの濾過部85A、85Bを設ける構成としたが、3つ以上の他段階濾過方式としてもよい。
また、本実施の形態では濾過ユニット83によって煙突15から出るガスの無害化がなされるので、最上の滞留槽43Cの活性炭層53は必ずしも必要ではない。
【0034】
濾過体89の活性炭89cは排気されるガスとの接触により徐々に汚れていくため、経時的には無害化機能が低下する。長期的には交換が必要であるが、その間は定期的に活性炭89cを洗浄することによりその無害化機能を回復させることができる。
活性炭89cの機能を回復させて長持ちさせるために、本実施の形態では活性炭(活性炭層)89cを洗浄する濾過材洗浄手段99が設けられている。
濾過材洗浄手段99は、図示しない洗浄液供給源(水源、ポンプ等を含む)に接続された送液パイプ101と、送液パイプ101の先端部に設けられたノズル103と、開閉弁105を有している。
例えば水源に一端側101aを接続された送液パイプ101は、図9に示すように、濾過部85B側から処理容器3内に入り、加熱効率を高めるべく蛇行して延び、濾過部85A側から処理容器3外へ出て分岐し、一方は濾過部85Aの上面から内部へ入り、他方は濾過部85Bの上面から内部へ入る構成となっている。
【0035】
開閉弁105を開くと、ノズル103から温水又は熱水が吐出し、ノズル103の下方に位置する濾過体89の活性炭(活性炭層)89cをシャワー洗浄することができる。
本実施の形態では洗浄液として水を例示したが、洗浄力を高めることができる薬液でもよい。
送液パイプ101の水源接続側と反対側には、水取り出し口101bが設けられており、図示しない開閉弁により処理容器3内の熱で暖められた温水を他の目的に利用できるようになっている。すなわち、処理容器3の熱を利用した給湯装置としての付加価値もある。
活性炭(活性炭層)89cの洗浄は常温の水で行ってもよいが、本実施の形態のように処理容器3の熱を利用して温水又は熱水で洗浄すれば、洗浄機能を高めることができるとともに、洗浄のための新たな加熱エネルギー源を設ける必要もない。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、処理容器3内に取り込む空気の量をオペレータがエアーバルブ9を操作して調整する方式としたが、エアーバルブ9の代わりに電磁弁を設け、温度検知手段等からの情報に基づいてコントローラにより自動的に調整するようにしてもよい。
また、吸気パイプ5に流入する前に空気を磁化する構成としたが、流入空間37内で磁化するようにしてもよい。また、磁界発生手段7としては永久磁石に代えて電磁石を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る可燃物処理装置の全体構成図である。
【図2】処理容器の水平断面図である。
【図3】処理容器の投入口蓋と灰出し口の蓋を開けた状態の斜視図である。
【図4】磁界発生手段の断面図である。
【図5】処理容器内の処理状態を示す模式図である。
【図6】第2の実施の形態に係る可燃物処理装置の全体構成図である。
【図7】第2の実施の形態において、処理容器の投入口蓋と灰出し口の蓋を開けた状態の斜視図である。
【図8】第2の実施の形態において、全体的な排気状態を示す背面図である。
【図9】第2の実施の形態において、濾過ユニットの内部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 可燃物処理装置 3 処理容器
5 空気供給手段としての吸気パイプ 7 磁界発生手段
9 空気量調整手段としてのエアーバルブ
15 排気手段としての煙突 33 外壁 35 内壁
37 空間としての流入空間 43 滞留槽 45 液溜め部
53 活性炭層 59 通気部としての通気パイプ
65 投入口 67 通気部としての穴
81 排気路としての排気管 85A、85B 濾過部
89c 濾過材としての活性炭 91 通気パイプ
99 濾過材洗浄手段 101 送液パイプ
105 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な投入口を有する処理容器と、該処理容器内に空気を供給する空気供給手段と、該空気供給手段により供給される空気を磁化する磁界発生手段と、前記処理容器内で発生したガスを排出する排気手段とを備え、前記処理容器内に投入された可燃物の一部に着火し、磁化された空気を供給しつつ無炎に近い状態で燻しながら燃焼させることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の可燃物処理装置において、
前記空気供給手段によって供給される空気の量を調整する空気量調整手段を有し、該空気量調整手段による空気量の調整により無炎に近い燃焼状態を得ることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の可燃物処理装置において、
前記処理容器の側面が外壁と内壁の2重構造を有し、前記空気供給手段により供給される空気は前記外壁と前記内壁の間の空間に流入した後、前記内壁に設けられた通気部を通って内方へ入り込むことを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の可燃物処理装置において、
前記通気部は複数設けられているとともに、前記内壁の内方へ略水平に突出するパイプ状をなし、その内方側先端部は下面側が斜めにカットされた形状を有していることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の可燃物処理装置において、
前記排気手段が前記処理容器から上方に延びる煙突であり、該煙突には前記処理容器から排出されるガスを滞留させて液化する滞留槽が上下方向に間隔をおいて複数設けられ、前記各滞留槽は液溜め部を有しているとともに、前記液溜め部の上方に位置しガスの上昇流動を妨げる邪魔板を複数有していることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の可燃物処理装置において、
前記複数の滞留槽のうち最上のものは前記液溜め部の上方に濾過層を有していることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の可燃物処理装置において、
前記排気手段の排気路の終端部を折り返して前記処理容器近傍まで下降させて延長し、該延長排気路に導かれたガスを少なくとも1つの濾過部を通した後に排気することを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の可燃物処理装置において、
前記濾過部が複数設けられ、各濾過部間は前記処理容器内を通る通気パイプで連結されていることを特徴とする可燃物処理装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の可燃物処理装置において、
前記濾過部の濾過材を洗浄する濾過材洗浄手段を有し、該濾過材洗浄手段は、前記処理容器の内部を通り先端部が前記濾過材の近傍に臨む送液パイプと、該送液パイプから液体を吐出させるための開閉弁を備えていることを特徴とする可燃物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−202845(P2008−202845A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38856(P2007−38856)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(507054847)株式会社扶桑技研 (1)
【Fターム(参考)】