説明

合成平板状マガディアイトを含む紙被覆用組成物及び充填剤組成物

平板状マガディアイト顔料を含む被覆組成物;平板状マガディアイト顔料を含む紙製品;平板状マガディアイトと、ポリアクリレートポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、無水マレイン酸含有コポリマー及びポリリン酸塩よりなる群から選ばれる沈殿防止剤と、スチレン・ブタジエンポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシル化アクリロニトリル・ブタジエンポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、フッ素化ポリエチレン及びポリプロピレン及びポリテトラフルオロエチレンよりなる群から選ばれるラテックスポリマーのラテックス分散液又はラテックスポリマーのエマルジョンを含む水性懸濁液;並びに、平板状層状珪酸塩を含む物品又は配合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆用組成物及びその最終使用用途に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は、通常審美的な特性を向上させるために被覆される。紙の顔料は、現代の紙被覆及び表面サイジング技術の必須成分である。広汎な種類の顔料、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、合成珪酸塩並びにベントナイト及びカオリン等のクレーなどが、紙の充填剤及び/又は被覆剤としての使用に適しているということは、紙産業界では周知である。カオリン(天然の水和珪酸アルミニウム)が、現在、最も広く使用されており、広範囲の粒径及び輝度で入手できる。
【0003】
意外にも、カオリン粘土を除くシリカ又は珪酸塩(シリケート、silicates)に基づく無機顔料は、紙産業ではほとんど使用されていない。シリカ、珪酸塩及び、その他の顔料(例えばTiO2)は紙の顔料の3%にもならない。紙産業では、高次構造の(high-structure)非晶質シリカ顔料が、TiO2を少なくとも部分的に置き換えるために、又はインキ受容性を高めるために、使用されてきた。非特許文献1を参照されたい。
【0004】
【非特許文献1】“Pigments for Paper”(R.W.Hagemeyer編、TAPPI PRESS 1997年刊)における、G.Alderfer及びR.Crawfordの第12章「紙における高次構造非晶質シリカ顔料」(“High Structure Amorphous Silica Pigment in Paper”)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シリカ又は珪酸塩に基づくものであって、印刷、食品包装及びその他の産業用の高級な紙製品を製造するために望ましい特徴を組合せて有する、新しい種類の紙用合成顔料を提供することは望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の側面において、本発明は平板状マガディアイト顔料を含む被覆用組成物である。
【0007】
第二の側面において、本発明は平板状マガディアイト顔料と、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(PCC)、カオリン、タルク、アルミナ三水和物及び二酸化チタンよりなる群から選ばれる別の顔料との混合物を含む被覆用組成物である。
【0008】
第三の側面において、本発明は平板状マガディアイト顔料を含む紙製品である。
【0009】
第四の側面において、本発明は平板状マガディアイト並びに、ポリアクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリリン酸塩及びスチレンと無水マレイン酸のコポリマー樹脂及びその他の無水マレイン酸コポリマーよりなる群から選ばれる沈殿防止剤(suspending agent)を含む水性懸濁液である。
【0010】
第五の側面において、本発明は平板状マガディアイト、沈殿防止剤並びに、例えばスチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−無水マレイン酸ラテックス、スチレン−アクリレート−無水マレイン酸ラテックス、多糖類、蛋白質、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロース及びセルロース誘導体よりなる群から選ばれるラテックスポリマー又は結合剤(バインダー)を含む水性懸濁液である。
【0011】
本明細書において、「ラテックスポリマー」なる用語は、水相に分散された陽イオン性、陰イオン性又は非イオン性のポリマー及び乳化剤を含む、ポリマーの水中のコロイド状分散液を意味する。
【0012】
第六の側面において、本発明は平板状マガディアイト、平板状ケニヤアイト、平板状オクタ珪酸塩、平板状KHSi25、平板状Na2Si25、平板状タルク、平板状CaCO3、平板状ベントナイト、平板状マイカ、平板状サテンホワイト、平板状バーミキュライト及びその他の平板状顔料よりなる群から選ばれる層状珪酸塩顔料を含む被覆組成物である。
【0013】
本発明のその他の側面は以下の詳細な記載及び請求項の記載から明らかになるであろう。
【0014】
本明細書で用いる用語「平板状マガディアイト(platy magadiite)」、外寸(lateral dimensions)[長さ及び幅]0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1〜2μmの実質的に平らな板状体からなる平板状形態を有する結晶珪酸ナトリウムを意味する。
【0015】
本明細書で用いる用語「層状珪酸塩(layered silicate)」は、多数の隣接する結合した層を有し、それぞれの層が厚さ約0.03μm〜約0.5μm、好ましくは約0.1μmを有するような形態の、スメクタイト粘土物質などの無機物質を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好ましくは、本発明の実施において使用される平板状マガディアイトは、50重量%より多くの、より好ましくは80重量%より多くの、最も好ましくは90重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトであるのがよい。
【0017】
平板状マガディアイトは、水ガラス(水溶性珪酸ナトリウム)、水及び水酸化ナトリウム(NaOH)を、ハイドロサーマル又はサブ−ハイドロサーマル条件の下で、長さ約0.2〜約10μm、厚さ約0.1〜約0.1μmの平らなガラス平板に似た結晶を有する、平板状形態を持った結晶性生成物を生成させることにより製造されることができる。その生成物は白色粉末として製造され、その平板状形態は、紙の上に白く非常に平滑な被膜を作製するのに理想的に適応している。
【0018】
平板状マガディアイトの表面は、無機酸もしくは有機酸での滴定及び/又は有機界面活性剤での処理によるナトリウム含有量の調節によって、おおよそ親水性又は疎水性にすることができる。これらの処理剤はまた、表面の酸性又は塩基性の性質を整えるために使用することもできる。更に、表面のシラノール(Si−OH)を多くの薬剤と反応させて表面官能基(Si−OR)を生成させることにより、種々の官能基を平板状マガディアイトの表面に導入することが可能であり、そのことにより、平板状マガディアイトとセルロース繊維マトリックスとの相互作用を促進することができる。
【0019】
平板状マガディアイトは、独特の表面特性、例えば光学特性及び接着特性などを持った紙製品を提供するために、反応性有機カップリング剤、例えばオルガノシラン類、アルコール類及び第四級塩類などで変性することができる。
【0020】
平板状マガディアイト及びそれらの製造方法は、同時係属出願中の米国特許出願第10/257487号明細書に詳細に記載されており、この出願は引用によりその全てを本明細書に組込む。
【0021】
本発明の平板状マガディアイト顔料は、例えばポリオレフィンナノ複合体におけるナノ充填剤、塗料用顔料配合物、ポリオレフィン触媒用の触媒坦持体(チグラー及びメタロセン)、プラスチック又は紡織繊維での使用のための、分散された染料−マガディアイト顔料粒子等を含む染料安定化剤など、様々な用途で使用することができる。
【0022】
平板状マガディアイト顔料はまた、(a)二層又は多層の製品中にポリマーフィルムと組合された平板状マガディアイトを含む紙製品、(b)紙以外の用途、例えば道路標識用の塗料及びフィルムなどのマガディアイトを含むラテックス製品、(c)厚紙(又は板紙)製品、(d)インキ製品、(e)FR(難燃)配合に対するマガディアイト−ラテックス添加剤、(f)独特の表面特性、例えば光学特性及び接着特性などを持った紙製品を提供するために、反応性有機カップリング剤、例えばオルガノシラン類、アルコール類、第四級塩類等で変性されたマガディアイトなどを製造する際にも使用することができる。
【0023】
平板状マガディアイト顔料はまた、ラテックス、澱粉などの結合剤(バインダー)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの共結合剤並びに滑剤、界面活性剤、流動性調整剤及び分散助剤など、紙被覆をするために用いられるその他の添加剤と組合せて使用することができる。
【0024】
平板状マガディアイト顔料はまた、紙製造工程でも、充填剤として使用することができる。
【0025】
一般に、本発明の紙被覆用組成物は、マガディアイト顔料を脱イオン水中に分散させることにより製造することができる。
【0026】
使用される平板状マガディアイト顔料の量は、シート光沢、インキ光沢、輝度(brightness)、乳白度(opacity)、鮮明性(ヘリオ、Helio)、粗さ、CIE白度、B値など;炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタンなどその他の顔料の相対量;並びに、ラテックス、界面活性剤及び分散剤(disperging agent)などのその他の成分の相対量;を含む所望の紙被膜の性能に依存する。
【0027】
一般に、平板状マガディアイト顔料は、基材の紙又は原料、紙の顔料及び結合剤を含む紙組成物の重量に基づいて、約0.1重量%〜約30重量%、より好ましくは約1重量%〜約30重量%、最も好ましくは約3重量%〜約30重量%の量で使用される。
【0028】
有利には、平板状マガディアイト顔料は、紙への被覆剤としての適用に適した濃度及び粘度で、その平板状粒子を分散させ安定化させるために、沈降防止剤を用いて水中に懸濁させる。
【0029】
本発明の実施において使用されることができる沈降防止剤には、例えば高分子酸の塩の水溶液であり、Allied Colloids Inc.の製品である“DISPEX(登録商標) N40”などのポリアクリル酸塩ポリマー、Air Productsの製品である“Polyvinyl Alcohol 103”などのポリビニルアルコール、トリポリリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムなどのポリリン酸塩並びにスチレンと無水マレイン酸のコポリマー樹脂及びその他の無水マレイン酸のコポリマーが含まれる。
【0030】
好ましい沈降防止剤は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、無水マレイン酸含有コポリマー及びポリリン酸塩である。より好ましい沈降防止剤は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、及びポリアクリル酸塩コポリマーである。最も好ましい沈降防止剤は、“Polyvinyl Alcohol 103”及び“Dispex(登録商標) N40”である。
【0031】
本発明の実施において使用される沈降防止剤の量は、顔料分散液の所望の固形分含有量及び固形分の組成に依存する。一般に、沈降防止剤は、組成物中のその顔料の重量に基づいて、約0.01重量%〜約2.0重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約1.0重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の量で使用する。
【0032】
本発明の実施において使用し得る、好ましいラテックスポリマー分散液又は結合剤には、例えばカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス、カルボキシル化スチレン−アクリレートラテックス、カルボキシル化スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルとアクリレートとのカルボキシル化コポリマーラテックスが含まれる。
【0033】
本発明の実施において使用し得る多糖類には、例えば寒天、アルギン酸ナトリウム並びに、熱変性澱粉、カルボキシメチル化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉及び酸化澱粉などの変性澱粉を含む澱粉が含まれる。
【0034】
本発明の実施で好適に使用される蛋白質の例には、アルブミン、大豆蛋白質及びカゼインが含まれる。
【0035】
本発明の平板状マガディアイト顔料は、様々なその他の用途、例えばポリオレフィンナノ複合体におけるナノ充填剤、塗料顔料配合物、ポリオレフィン触媒用の触媒坦持体(チグラー及びメタロセン)、プラスチック又は紡織繊維での使用のための、分散された染料−マガディアイト顔料粒子等を含む染料安定化剤などで使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、本発明を更に詳しく説明するために示すものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。別段の記載がなければ、部及び百分率は全て重量による。
【0037】
以下の実施例で使用する用語は次のように定義される。
“DISPEX(登録商標)−N40”:高分子酸の塩の水溶液、Allied Colloids Inc.の製品。
“Cowl(登録商標)”ミキサー:顔料を分散して安定なスラリーを作製するための高剪断混合装置。この装置はMorehouse Industries,Inc.で製造されている。
“CP 638NA”:カルボキシル化スチレン/ブタジエンラテックス。The Dow Chemical Companyの製品。
“FINNFIX(登録商標)10”:カルボキシメチルセルロース、流動性調整剤。“FINNFIX 10”はMetsaeleetonの登録商標である。
“RAP(登録商標) 501NA”:カルボキシル化スチレン/ブタジエン/アクリロニトリルラテックス。The Dow Chemical Companyの製品。
輪転用原紙(Roto base paper):顔料と結合剤の組合せで被覆された紙であり、輪転グラビア印刷法を用いて印刷するのに適している。
“Dow”卓上ナイフ塗工機:紙被覆用配合物を紙に塗布するための卓上規模の塗工機であり、余分な被覆物を処理するために刃を使用して平滑な被覆表面を作製する。
【0038】
実施例1:輪転グラビア被覆剤の配合
1)顔料分散液
乾燥顔料100部に基づいて分散剤“Dispex(登録商標)−N40”0.25部を用いて、顔料を脱イオン水中に固形分43%で分散させた。この分散剤は水に添加し、次いで“Cowl”ミキサーで攪拌しながら、平板状マガディアイト顔料をゆっくりと加えた。平板状マガディアイト顔料の全てを水に加えたときに、攪拌速度を高め、平板状マガディアイト顔料は更に15分攪拌した。
【0039】
2)紙被覆用配合物
いくつかの紙被覆用配合物を、それぞれの配合物用の異なる成分を表Iに示した通り混合することにより製造された。流動性調整剤であるカルボキシメチルセルロース(“Finnfix 10”)を、所望の塗布重量を達成すべく、いくらかの増粘を与えるために加えた。これらの配合物は固形分51%に製造し、そのpHをNaOHで8.5に調節した。
【0040】
3)試料の作製
紙被覆用配合物を、“Dow”卓上ナイフ塗工機を用いて、塗布した。被覆剤は輪転用原紙を取り付けた木材上に塗布した。目標の塗布重量は4.5 lb/3300ft3であった。
【0041】
被覆紙の試料は、次いで標準の実験室規模のスーパーカレンダーを用いてスーパーカレンダーに掛けた。配合1である対照標準を、線圧1500 lb/ft(pli)、67℃で目標の光沢までカレンダー掛けした。次に同じスーパーカレンダー条件を他の全ての被覆剤系に用いた。
【0042】
前記紙試料は、次いで試験の前に一定の湿潤条件に状態調整した。次にその試料は、光学性能及び印刷性能を含む基本の特性をテストした。それらの結果は図1〜8に示す。
【0043】
テストの手順
1.シート光沢:TAPPI試験法−T480
2.インキ光沢A
3.輝度:TAPPI試験法−T646
4.乳白度:TAPPI試験法−T425
5.ヘリオB
6.粗さ:TAPPI試験法−T555
7.白度:TAPPI試験法−T560
8.CIE B値:TAPPI試験法−T560
9.被覆紙強度:TAPPI試験法−T514
【0044】
(註)
Aインキ光沢テストの手順
“Prufbau”印刷適正試験機を用いて紙片(a strip of paper)にインキの薄膜を塗布し、次いでインキを室温で放置乾燥する。印刷された試料は、次いでT−480におけるのと同様の手順を用いてインキ光沢(印刷光沢)を測定する。唯一の違いは、インキの薄膜の塗布を“Prufbau”を用いて行うことである。“Prufbau”印刷適正試験機はドイツのPrufbau Companyの製品である。
【0045】
Bヘリオ試験の手順
インキフィルムは、IGTの製品である“Reprotest I.G.T. ACII 5”印刷適正試験機及びヘリオ試験キットを用いて塗布する。
【0046】
インキは、彫刻輪(an engraved wheel)を用い、下記の手順に従って紙に塗布する。インキが彫刻輪の彫りこみから紙に転写されるとき、時々、インキがセル又は彫りこみの幾つかから紙に転写されないことがある。このことが印刷紙上のインキの欠落した点(missed dot)をもたらすことになる。この現象を欠落点と呼ぶ。長さ20mmの印刷紙片における欠落点の数が輪転印刷の品質を定量化するための基準として用いる。欠落点の数が多ければ多いほど、印刷の品質はそれだけ低くなる。最良の数は欠落点0である。
【0047】
手順:
1.IGT上の裏打ち厚紙(又は板紙、cardboard)を、裏打ち生ゴム及びヘリオ試験キットからの“Mylar”フィルムに置き換える。
2.支持体保持板をIGT上部の溝(slot)に置く。傾斜ブレード(beveled blade)を秤量竿に取り付け、板上を摺動させる。ブレードがヘリオ試験輪(Heliotest wheel)上に正着するように、板を調節して固定する(板はほぼ垂直にすべきである)。
3.IGTを定速に切り替え、速度を1.0m/秒に設定して定速の尺度に使用するために記憶する。
4.圧力50kgf(上部ハブ)で開始する。
5.ヘリオ試験インキ2〜3滴を目盛り付彫刻輪に垂らし、輪を時計方向に回転させる。彫りこみの窪みだけがクロムの輝きに対して着色しているように見えるはずである。(ヘリオ試験インキは、グラビア印刷インキを酢酸n−ブチルカルビトールで、ブルックフィールド75cP又はシェルカップ#4で23秒にまで薄めて調製する)。スジが生じたら、輪及びIGTの傾斜ブレードを洗浄する。そのロールの窪みにおける均一分散を保つために、必要に応じて、再びインキ付けを行う。
6.広帯の端1インチ以内にブレードが静止するようにして輪を停止させる。
7.ストリップを走行させる(ストリップはリードクリップによって留められているのみであることが必要である)。
8.暗色から明色までの(from dark to light)紙片上のインキの帯における欠落点を数える。欠落点20で紙片に印をつける。これが対照標準について大体60〜70になるようにし、次いで残りの試料をその条件で走行させる。もしこの範囲を外れれば、それが無理なく接近するまで圧力を調節する。(昇圧は点の印を20増すはずである)。
9.無作為に試料を走行させる。印までの距離をmmで測量する。欠落点20までの距離が長ければ長いほど、それだけ印刷適正は良好となる。
10.アセトンで洗浄する。
【0048】
【表1】

【0049】
図1〜9は、マガディアイト顔料の、次の結果をもたらすいずれかの配合における使用及び、いずれかのラテックスとの使用について示している:
1)より良好な光沢及び印刷インキの光沢。
【0050】
2)顔料系(クレー及び炭酸塩)とのより良好な輝度。しかしながら炭酸塩配合で輝度がより改善される。
【0051】
3)両顔料系及び両ラテックス系でのより良好な乳白度。
【0052】
4)両方の全ての異なる系での、より良好な白度及びより青い被覆。
【0053】
5)グラビア印刷の品質の尺度であるはるかに良好なヘリオ。この改善は全ての系について明らかであった。
【0054】
6)“CP 638NA”のようなオフセットラテックスは、平板状マガディアイト系顔料の存在下で、改善された輪転印刷性能を証明した。このことは慣用の顔料系とでは実現できなかった。
【0055】
7)平板状マガディアイトでの被覆紙表面は、図9に示されるように、より高水準の結合剤を要求しているように見える。このことは、平板状マガディアイトで作製された被覆剤が、特にオフセット印刷法については、少し多めの結合剤を必要とすることを示唆している。
【0056】
本発明は、好ましい態様、即ち平板状マガディアイトについて詳細に記載したが、本発明はまた、その他の平板状層状珪酸塩、例えば平板状オクタ珪酸塩、平板状ケニヤアイトなど並びに関連物質、例えば平板状KHSi25及び平板状Na2Si25などをも包含する。これらの平板状層状珪酸塩は、典型的には、長さ0.5〜10μm、厚さ0.01〜0.1μm、又はアスペクト比5〜1000である、実質的に平らな平板を含む平板状組織を有している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は配合の違いによるシート光沢の違いを示すグラフである。
【図2】図2は配合の違いによるインキ光沢の違いを示すグラフである。
【図3】図3は配合の違いによる輝度の違いを示すグラフである。
【図4】図4は配合の違いによる乳白度の違いを示すグラフである。
【図5】図5は配合の違いによるヘリオの違いを示すグラフである。
【図6】図6は配合の違いによる被覆紙表面の粗さの違いを示すグラフである。
【図7】図7は配合の違いによる白度の違いを示すグラフである。
【図8】図8は配合の違いによるCIEのB値の違いを示すグラフである。
【図9】図9は配合の違いによる被覆紙強度の違いを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状層状珪酸塩顔料を含む被覆組成物。
【請求項2】
平板状層状珪酸塩顔料が、組成物の重量基準で、0.1重量%〜30重量%の量で存在する請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項3】
平板状層状珪酸塩が、50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項4】
平板状マガディアイトが80重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項5】
平板状マガディアイトが90重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項6】
平板状層状珪酸塩が平板状マガディアイト、平板状ケニヤアイト、平板状オクタ珪酸塩、平板状KHSi25及び平板状Na2Si25よりなる群から選ばれる請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項7】
炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム(PCC)、カオリン、タルク、アルミナ三水和物、二酸化チタン、平板状タルク、平板状CaCO3、平板状ベントナイト、平板状マイカ、平板状サテンホワイト及び平板状バーミキュライトよりなる群から選ばれる別の顔料を更に含む請求項1に記載の被覆組成物。
【請求項8】
平板状マガディアイトがオルガノシラン類、アルコール類及び第四級塩よりなる群から選ばれる反応性カップリング剤で変性されている請求項3に記載の被覆組成物。
【請求項9】
平板状層状珪酸塩顔料を含む紙製品。
【請求項10】
平板状層状珪酸塩が50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項9に記載の紙製品。
【請求項11】
平板状層状珪酸塩が50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項9に記載の紙製品。
【請求項12】
平板状層状珪酸塩が平板状マガディアイト、平板状ケニヤアイト、平板状オクタ珪酸塩、平板状KHSi25及び平板状Na2Si25よりなる群から選ばれる請求項8に記載の紙製品。
【請求項13】
平板状層状珪酸塩顔料を含むラテックス製品。
【請求項14】
平板状層状珪酸塩が50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項13に記載のラテックス製品。
【請求項15】
平板状層状珪酸塩顔料を含む厚紙製品。
【請求項16】
平板状層状珪酸塩顔料を含む道路標識用の塗料又はフィルム。
【請求項17】
平板状層状珪酸塩顔料を含むインキ製品。
【請求項18】
平板状層状珪酸塩顔料を含む難燃性組成物。
【請求項19】
平板状層状珪酸塩、沈殿防止剤及びラテックスポリマーを含む水性懸濁液。
【請求項20】
沈殿防止剤がポリアクリル酸塩ポリマー、ポリビニルアルコールポリマー、無水マレイン酸含有コポリマー、ポリリン酸塩・無水マレイン酸含有コポリマー及びポリリン酸塩よりなる群から選ばれる請求項19に記載の水性懸濁液。
【請求項21】
平板状層状珪酸塩が50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項19に記載の水性懸濁液。
【請求項22】
平板状層状珪酸塩が80重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項19に記載の水性懸濁液。
【請求項23】
平板状層状珪酸塩が90重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項19に記載の水性懸濁液。
【請求項24】
平板状層状珪酸塩が平板状マガディアイト、平板状ケニヤアイト、平板状オクタ珪酸塩、平板状KHSi25及び平板状Na2Si25よりなる群から選ばれる請求項19に記載の水性懸濁液。
【請求項25】
ラテックスポリマーがスチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−無水マレイン酸ラテックス、スチレン−アクリレート−無水マレイン酸ラテックスよりなる群から選ばれる請求項20に記載の水性懸濁液。
【請求項26】
ラテックスポリマーがカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス、カルボキシル化スチレン−アクリレートラテックス、カルボキシル化スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、ポリビニルアルコール並びにポリ酢酸ビニル及びアクリル酸エステルのカルボキシル化コポリマーラテックスよりなる群から選ばれる請求項25に記載の水性懸濁液。
【請求項27】
平板状層状珪酸塩、沈殿防止剤並びに澱粉、セルロース及び蛋白質よりなる群から選ばれるバインダーを含む水性懸濁液。
【請求項28】
(1)ポリオレフィンナノ複合体中のナノ充填剤、(2)塗料用顔料配合物及び(3)ポリオレフィン触媒用触媒坦持体よりなる群から選ばれ、それぞれ平板状層状珪酸塩を含む物品又は配合物。
【請求項29】
平板状層状珪酸塩が50重量%より多くの平板状マガディアイトを含む合成マガディアイトである請求項28に記載の物品。
【請求項30】
平板状層状珪酸塩が平板状マガディアイト、平板状ケニヤアイト、平板状オクタ珪酸塩、平板状KHSi25及び平板状Na2Si25よりなる群から選ばれる請求項28に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−502357(P2007−502357A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532483(P2006−532483)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/013044
【国際公開番号】WO2004/101691
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】