説明

合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物の吸着抑制方法

【課題】 合成樹脂製容器に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤を安定化して、水性液剤中の該薬物の合成樹脂製容器への吸着を抑制すること。
【解決手段】 合成樹脂製容器に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合すれば、水性液剤中の該薬物の合成樹脂製容器への吸着を効果的に抑制することができ、長期間安定に保存できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を抑制する方法、および合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着が抑制された水性組成物、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、点眼容器、注射液保存容器等の医療用容器などの合成樹脂製容器には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂の成形物が用いられている。しかし、これらの合成樹脂製容器に、ジブカイン、リドカインなどの塩基性薬物を含有する水性液剤を保存する場合、これらの薬物が合成樹脂製容器に吸着される程度は、流通過程や貯蔵過程での保存温度・保存期間に依存する。その結果として、水性液剤中の薬物の含有量が低下することが知られている。
【0003】
合成樹脂製容器に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤を冷所で保存すれば、該薬物の容器への吸着はある程度抑制されるものの、水性液剤は流通過程や貯蔵過程で様々な環境に晒されるので、品質安定性の観点から、吸着しやすい薬物を含有する水性液剤を安定化し、合成樹脂製容器への吸着を抑制する必要がある。
【0004】
一方、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライド、N−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸などの有機アミンは、医薬品の緩衝剤、溶解補助剤などとして添加される水溶性のアミンであるが(非特許文献1)、これらの有機アミンを、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に配合することによって、該水性溶液が安定化され、該薬物の合成樹脂成形物への吸着が抑制されるとの報告はない。
【非特許文献1】医薬品添加物事典(第1版) 第93頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流通過程や貯蔵過程で保存温度が上昇しても、合成樹脂製容器に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤を安定化し、水性液剤中の該薬物の合成樹脂製容器への吸着を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物が該成形物に吸着するのを抑制するために鋭意研究したところ、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を効果的に抑制することができ、長期に渡って水性液剤を安定に保存できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を抑制する方法、
(2)合成樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂である前(1)記載の方法、
(3)合成樹脂成形物が、合成樹脂製点眼容器である前(1)記載の方法、
(4)合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物が、塩基性薬物である前(1)記載の方法、
(5)塩基性薬物が、点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物である前(4)記載の方法、
(6)点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物が、ジブカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、オキシブプロカイン、コカイン、ケタミンまたはそれらの塩である前(5)記載の方法、
(7)有機アミンが、水酸基を有する有機アミンである前(1)記載の方法、
(8)水酸基を有する有機アミンが、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸である前(7)記載の方法、
(9)塩酸ジブカインを含有する水性液剤にトロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸を配合することにより、水性液剤中のジブカインの合成樹脂製点眼容器への吸着を抑制する方法、
(10)合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着が抑制された水性組成物、
(11)合成樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂である前(10)記載の水性組成物、
(12)合成樹脂成形物が、合成樹脂製点眼容器である前(10)記載の水性組成物、
(13)合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物が、塩基性薬物である前(10)記載の水性組成物、
(14)塩基性薬物が、点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物である前(13)記載の水性組成物、
(15)点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物が、ジブカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、オキシブプロカイン、コカイン、ケタミンまたはそれらの塩である前(14)記載の水性組成物、
(16)有機アミンが、水酸基を有する有機アミンである前(10)記載の水性組成物、
(17)水酸基を有する有機アミンが、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸である前(16)記載の水性組成物、および
(18)塩酸ジブカインを含有する水性液剤にトロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸を配合することにより、水性液剤中のジブカインの合成樹脂製点眼容器への吸着が抑制された水性組成物、
である。
【0008】
本発明において、合成樹脂の種類は、合成樹脂製容器に使用される合成樹脂であれば特に制限はなく、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、好ましくはポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)などが挙げられるが、より好ましくはポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)である。これらの樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。
【0009】
本発明の合成樹脂成形物としては、特に制限はなく、例えば点眼容器、注射液保存容器などの合成樹脂製容器が挙げられる。
【0010】
本発明において、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物とは、常温(25℃)よりも保存温度が高くなると合成樹脂成形物に吸着する傾向のある薬物や常温(25℃)であっても長期間保存すると合成樹脂成形物に吸着する傾向のある薬物であれば特に限定されず、例えば点眼剤用の薬物や注射剤用の薬物が挙げられる。このような薬物としては、例えばジブカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、オキシブプロカイン、コカイン、ケタミン、シクロペントラート、ジピベフリン、ピロカルピン、フェニレフリン、ブナゾシン、レボカバスチン、チモロール、アトロピン、ミクロノマイシン、クロルフェニラミン、ピリドキシン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン等の塩基性薬物が挙げられ、特に好ましくはジブカイン、リドカイン、プロカインである。
【0011】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物の水性液剤中の濃度は、該薬物が所望の薬効を奏する濃度であれば特に制限されないが、例えば0.00001〜10%(W/V)である。
【0012】
有機アミンは、水溶性の有機アミンであれば特に限定されず、水溶性の有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライド、N−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−プロパンスルホン酸、N−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、3−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸、メグルミンなどの水酸基を有する有機アミンが挙げられ、より好ましくはトロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライド、N−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸である。
【0013】
水性液剤中の有機アミンの濃度は特に制限されないが、例えばトロメタモールの濃度は好ましくは0.001〜5%(W/V)、より好ましくは0.005〜3%(W/V)である。
【0014】
本発明の水性液剤は、特に制限されないが、汎用されている方法により、例えば点眼液や注射液として調製することができる。水性液剤が例えば点眼液である場合には、必要に応じて等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤等を添加することができる。
【0015】
等張化剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリハロース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等を挙げることができる。
【0016】
緩衝剤としては、例えばリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等のリン酸塩;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩;クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等のクエン酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の酢酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩、ε−アミノカプロン酸等を挙げることができる。
【0017】
pH調節剤としては、例えば塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を挙げることができる。
【0018】
可溶化剤としては、例えばポリソルベート80、ポリエキシエチレン硬化ヒマシ油60、マクロゴール4000等を挙げることができる。
【0019】
増粘剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0020】
本発明の水性液剤が点眼液や注射液である場合、pHは3〜9、より好ましくは4〜8である。
【発明の効果】
【0021】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合すれば、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を効果的に抑制することができ、安定な水性液剤を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物として、塩酸ジブカインを用いて、吸着抑制試験を行った。
【0023】
[1]ポリエチレン製点眼容器を用いた吸着抑制試験
(1)試料調製
処方1
塩酸ジブカイン0.25g、トロメタモール1gを精製水約80mLに溶解し、希塩酸でpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0024】
比較処方1
塩酸ジブカイン0.25g、ε−アミノカプロン酸0.2gを精製水約80mLに溶解し、1N水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0025】
(2)試験方法及び結果
2個のポリエチレン製点眼容器(使用樹脂:BZ−10、伸晃化学社製)の一方に処方1を他方に比較処方1をそれぞれ5mLずつ充填し、40℃で6ヶ月間保存した後、塩酸ジブカイン含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、吸着量(%)を求めて比較した。これらの結果を表1に示す。
【表1】

【0026】
(3)考察
表1から明らかなように、トロメタモールを配合した塩酸ジブカイン水溶液(処方1)は、トロメタモールを配合しない塩酸ジブカイン水溶液(比較処方1)に比べて、ポリエチレン製点眼容器に対する吸着量が顕著に低下する。したがって、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物(塩酸ジブカイン)を含有する水性液剤に有機アミン(トロメタモール)を配合すれば、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を効果的に抑制することができ、長期間安定に保存できる。
【0027】
[2]ポリエチレンペレットを用いた吸着抑制試験
(1)試料調製
処方2
塩酸ジブカイン0.25g、トロメタモール1g、塩化ナトリウム0.36gを精製水約80mLに溶解し、希塩酸でpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0028】
処方3
トロメタモール1gに代えて、グリシンアミド1gを用いる以外は処方2と同様の操作をして、pHが6.0である処方3を得た。
【0029】
処方4
トロメタモール1gに代えて、コーラミンクロライド1gを用いる以外は処方2と同様の操作をして、pHが6.0である処方4を得た。
【0030】
処方5
トロメタモール1gに代えて、N−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸1gを用いる以外は処方2と同様の操作をして、pHが6.0である処方5を得た。
【0031】
比較処方2
塩酸ジブカイン0.25g、結晶リン酸二水素ナトリウム0.2g、塩化ナトリウム0.78gを精製水約80mLに溶解し、1N水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0032】
(2)試験方法及び結果
複数個のガラス製容器に処方2〜5および比較処方2を35mLずつ別々に充填し、それぞれにポリエチレンペレット24.5g(BZ−10、伸晃化学社製)を浸漬し、40℃で2ヶ月間保存した後、塩酸ジブカイン含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、吸着量(%)を求めて比較した。これらの結果を表2に示す。
【表2】

【0033】
(3)考察
表2から明らかなように、トロメタモール、グリシンアミドなどの有機アミンを配合した塩酸ジブカイン水溶液(処方2〜5)は、有機アミンを配合しない塩酸ジブカイン水溶液(比較処方2)に比べて、ポリエチレンペレットに対する吸着量が低下する。したがって、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物(塩酸ジブカイン)を含有する水性液剤に有機アミン(トロメタモール、グリシンアミドなど)を配合すれば、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を効果的に抑制することができ、長期間安定に保存できる。
【0034】
[3]ポリプロピレンペレットを用いた吸着抑制試験
(1)試料調製
処方6
塩酸ジブカイン0.25g、トロメタモール1g、塩化ナトリウム0.36gを精製水約80mLに溶解し、希塩酸でpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0035】
比較処方3
塩酸ジブカイン0.25g、結晶リン酸二水素ナトリウム0.2g、塩化ナトリウム0.78gを精製水約80mLに溶解し、1N水酸化ナトリウムでpHを6.0に調整し、精製水で全量100mLとした後、pHが6.0であることを確認した。
【0036】
(2)試験方法及び結果
2個のガラス製容器の一方に処方6を他方に比較処方3を35mLずつ充填し、それぞれにポリプロピレンペレット21.4g(三井ノーブレンEB-G)を浸漬し、40℃で2ヶ月間保存した後、塩酸ジブカイン含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量し、吸着量(%)を求めて比較した。これらの結果を表3に示す。
【表3】

【0037】
(3)考察
表3から明らかなように、トロメタモールを配合した塩酸ジブカイン水溶液(処方6)は、トロメタモールを配合しない塩酸ジブカイン水溶液(比較処方3)に比べて、ポリプロピレンペレットに対する吸着量が顕著に低下する。したがって、合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物(塩酸ジブカイン)を含有する水性液剤に有機アミン(トロメタモール)を配合すれば、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を効果的に抑制することができ、長期間安定に保存できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着を抑制する方法。
【請求項2】
合成樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1記載の方法。
【請求項3】
合成樹脂成形物が、合成樹脂製容器である請求項1記載の方法。
【請求項4】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物が、塩基性薬物である請求項1記載の方法。
【請求項5】
塩基性薬物が、点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物である請求項4記載の方法。
【請求項6】
点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物が、ジブカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、オキシブプロカイン、コカイン、ケタミンまたはそれらの塩である請求項5記載の方法。
【請求項7】
有機アミンが、水酸基を有する有機アミンである請求項1記載の方法。
【請求項8】
水酸基を有する有機アミンが、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸である請求項7記載の方法。
【請求項9】
塩酸ジブカインを含有する水性液剤にトロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸を配合することにより、水性液剤中のジブカインの合成樹脂製容器への吸着を抑制する方法。
【請求項10】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物を含有する水性液剤に有機アミンを配合することにより、水性液剤中の該薬物の合成樹脂成形物への吸着が抑制された水性組成物。
【請求項11】
合成樹脂が、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂またはポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項10記載の水性組成物。
【請求項12】
合成樹脂成形物が、合成樹脂製容器である請求項10記載の水性組成物。
【請求項13】
合成樹脂成形物に吸着しやすい薬物が、塩基性薬物である請求項10記載の水性組成物。
【請求項14】
塩基性薬物が、点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物である請求項13記載の水性組成物。
【請求項15】
点眼剤用の薬物または注射剤用の薬物が、ジブカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、メピバカイン、オキシブプロカイン、コカイン、ケタミンまたはそれらの塩である請求項14記載の水性組成物。
【請求項16】
有機アミンが、水酸基を有する有機アミンである請求項10記載の水性組成物。
【請求項17】
水酸基を有する有機アミンが、トロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸である請求項16記載の水性組成物。
【請求項18】
塩酸ジブカインを含有する点眼液にトロメタモール、グリシンアミド、コーラミンクロライドまたはN−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸を配合することにより、水性液剤中のジブカインの合成樹脂製容器への吸着が抑制された水性組成物。


【公開番号】特開2007−119422(P2007−119422A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316154(P2005−316154)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】