説明

向上したゲル強度のメチルセルロース

【課題】従来技術のメチルセルロースよりも高いゲル強度を有するメチルセルロースの提供。
【解決手段】メチルセルロースは、セルロースパルプを2つの別個の段階でメチル化することにより製造され、本発明はメチルセルロースの質量を基準として約25〜約35質量%のメトキシル置換率を有し、かつ約223×(v0.273)(式中、vはメチルセルロースの2%水溶液での20℃における粘度である)よりも高いゲル強度を有するメチルセルロース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上したゲル強度を有するメチルセルロース、このようなメチルセルロースの製造方法及びこのようなメチルセルロースを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースエーテルは、食品組成物への添加剤として、そして増粘性、冷凍/解凍安定性、潤滑性、湿分保持性及び開放性、皮膜形成性、テキスチャー、コンシステンシー、形状保持性、乳化性、結合性、懸濁及びゲル化性などの物性を付与するための方法において添加剤として使用されている。例えば、特定のメチルセルロースの熱ゲル特性が卵白と似ていることが発見されて以来、食品用途にメチルセルロースは使用されてきた。すなわち、メチルセルロースの溶液は新鮮な生の卵白と非常に似た、熱により触媒されるゲル化を起こす。
【0003】
実際、食品において卵白の代替という食品業界において長期にわたって感じられてきた要求が存在する。この長期にわたって感じられてきた要求は健康及び宗教上の理由を含む種々の理由により動機付けられてきた。
【0004】
卵白とメチルセルロースの両方の重要な特性は食品成分どうしを結合することができる能力である。これら2種の食品ヒドロコロイドのゲル強度が食品中の結合力を担うことが注目された。
【0005】
メチルセルロースは、特定の食品用途において、卵白を代替することにより業界の長期間にわたって感じられてきた要求を部分的に満たした。しかし、メチルセルロースのゲル強度は、他の食品用途では卵白を代替するには不充分であった。従って、ある食品用途において、卵白を代替するという長期間にわたって感じられてきた業界における要求は依然として存在する。このような食品用途では、これまで、従来の(すなわち、当業界において既知の)メチルセルロースで代替することができなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
より高い粘度を有するメチルセルロースは、より高いゲル強度をも有することが当業界において一般に知られている。本発明は、与えられた粘度において、従来技術のどのメチルセルロースよりも有意に高いゲル強度を示すメチルセルロースに関する。本発明のメチルセルロースは、優れた結合性、コンシステンシー及び形状保持性を有する食品組成物の開発を可能にする。
【0007】
本発明は、当業者が、与えられた粘度で、より高いゲル強度を有するメチルセルロースを使用することを可能にする。本発明は、また、当業者が、与えられたゲル強度で、より低い粘度を有するメチルセルロースを使用することを可能にする。より高い分子量(すなわち、粘度)を有するメチルセルロースは湿分を強く結合しすぎる傾向を示す。このため、口に対して乾燥した感触を有する、最終的に加工された食品を生じることがある。本発明は、要求されるゲル強度を維持しながら、より低い粘度を有するメチルセルロースを使用することにより、湿分開放性及び加工された食品の全体の組織を改良することを当業者に可能にする。
【0008】
第一の態様において、本発明は、223×(v0.273)(式中、vは2%水溶液での20℃におけるメチルセルロースの粘度を示す)を超えるゲル強度(G’)を有するメチルセルロースに関する。ゲル強度の粘度に対するこの関係は、G’≧223×(v0.273)によって示されることができ、≧は以上を意味する。本発明のメチルセルロースは、また、メチルセルロースの質量を基準として21%〜42%のメトキシル置換を有する。
【0009】
ゲル強度は動的レオメトリーによって測定できる。複素粘度の弾性率成分はゲル強度を測定するときに定量化される。この動的弾性率はゲル強度(G’)として一般に知られている力成分を示す。弾性率(貯蔵弾性率)を測定するための技術はKinetics of Thermal Gelation of Methylcellulose and Hydroxypropylmethylcellulose in Aqueous Solutions, Carbohydrate Polymers, volume 26, no.3, pp.195〜203に記載されており、それを参照により本明細書に取り入れる。特に指示がない限り、本明細書中の全てのゲル強度は動的レオメータにおいてメチルセルロースの1.5質量%水溶液の弾性率を測定することにより決定されたものである。
【0010】
第二の態様において、本発明は、所望のメトキシル置換レベルを有するメチルセルロースの製造方法に関する。この方法は、(a)所望のメトキシル置換レベルの約20%以上である第一のメトキシル置換レベルにまでセルロースパルプをメチル化するために充分な反応条件において、セルロースパルプを第一の量の水性アルカリ及び第一の量のメチル化剤と反応させること、及び、所望のメトキシル置換レベルの約40%以上である第二のメトキシル置換レベルにまでメチル化するために充分な反応条件において、前記第一のメトキシル置換レベルを有するメチルセルロースを第二の量の水性アルカリ及び第二の量のメチル化剤と反応させることの工程を含む。
【0011】
本発明の第三の態様は本発明のメチルセルロースを含む食品組成物に関する。
【0012】
本発明の第四の態様は本発明のメチルセルロースを含む医薬カプセルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図面は本発明のメチルセルロース及び従来技術のメチルセルロースの弾性率を描く画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、従来のメチルセルロースと比較して、与えられた粘度グレード及びパーセントメトキシル置換率について高められたゲル強度を有する新規のメチルセルロースを提供する。本発明の好ましいメチルセルロースは、また、等価の粘度及びパーセントメトキシル置換の従来のメチルセルロースよりも低いゲル化温度を示すことができる。本発明の好ましいメチルセルロースは、また、等価の粘度及び置換率の従来のメチルセルロースよりも長いメルトバック時間を示すことができる。
【0015】
より低いゲル化温度は特定の用途では望ましく又は好ましいことがあるが、それは本発明の非本質的特性である。低められたゲル化温度は食品製造及び加工において有用である。食品組成物はより低い温度でゲル化でき、加熱/冷却サイクルの間のエネルギー及び加工時間を節約できる。さらに、食品組成物は加工の間により広い温度範囲で形態を保持することができる。ゲル化温度はメチルセルロースの1.5質量%水溶液を加熱しそしてゲル化を起こす狭い温度範囲を観測することにより決定される。
【0016】
メルトバック時間は、周囲温度に冷却する間に、熱的に形成されたメチルセルロースのゲルが融解するのに要する時間長さを一般に指す。より長いメルトバック時間は特定の用途で望ましく又は好ましいことがあるが、本発明の非本質的特性である。周囲温度でのより長いメルトバック時間は食品加工及び製造において有用である。ゲル化はより広い温度範囲にわたって維持されることができ、そして食品加工及び消費の間の組織のより長く、より良好な保持が可能である。メルバック時間は以下により決定される。20ミリリットルビーカー中にメチルセルロースの1.5質量%の水溶液15gを提供し;この溶液を沸騰水中で8分間加熱し−溶液はビーカー内でゲル化するであろう;周囲温度環境で平らな表面上にビーカーを逆さまにし;ゲルを冷却し、次いで融解させて表面上にパドルを形成させる。メルトバック時間は冷却を開始したとき(沸騰水から取り出したとき)から透明なパドルを形成するまでの時間から測定される。
【0017】
本発明のメチルセルロースは、従来のメチルセルロースが現在使用されているのと同一の用途、並びに、従来のメチルセルロースが現在有効でない追加の用途において有用である。
【0018】
2%水溶液中20℃において約1,000,000センチポアズ(cP)以下の粘度を有するメチルセルロースは本発明により製造できる。好ましいメチルセルロースは約1〜約600,000cP(20℃、2%溶液)の粘度を有することができる。より好ましいメチルセルロースは、約1〜約100,000cP(20℃、2%溶液)の粘度を有することができる。本明細書の目的では、水溶液の全ての粘度は、ASTM D1347−72及びD2363−79に従ってUbbelohde tube により決定される(特に指示がない限り)。
【0019】
本発明により製造できるメチルセルロースは、制限するわけではないが、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、メチルエチルセルロース(MEC)及びカルボキシメチルメチルセルロース(CMMC)を含む。本発明の好ましいHPMCは約1〜約32%、より好ましくは約1〜約14%、そして最も好ましくは約3〜約12%のヒドロキシプロピル置換率を有するであろう。食品組成物中における使用に好ましいメチルセルロースは約5%以下、より好ましくは約1%以下、そしてさらにより好ましくは約0.2%以下の非メトキシル置換含分又はレベルを有するであろう。食品組成物中における使用に最も好ましいメチルセルロースは非メトキシル置換含分を実質的に含まないであろう。本明細書の目的では、全ての非メトキシル置換率はメチルセルロースの質量を基準として質量%で表現される(特に指示がない限り)。
【0020】
食品組成物中に有用な本発明のメチルセルロースはメチルセルロースの質量を基準に約21〜約42質量%のメトキシル置換率を一般に有する。本明細書の目的では、全てのメトキシル置換率はメチルセルロースの質量を基準として質量%で表現される(特に指示がない限り)。本明細書の目的では、全てのメトキシル率はASTM D2363−72に従って測定される(特に指示がないかぎり)。
【0021】
好ましい(食品組成物中における使用の目的で)メチルセルロースは少なくとも約25%のメトキシル置換率を有する。より好ましいメチルセルロースは少なくとも約29%のメトキシル置換率を有する。本発明の好ましい(食品組成物中における使用の目的で)メチルセルロースは約35%未満のメトキシル置換率を有する。より好ましいメチルセルロースは約32%未満のメトキシル置換率を有する。
【0022】
本発明のメチルセルロースは新規の方法により製造される。セルロースをアルキル化してエーテル(例えば、メチルセルロース)を製造することは当業界においてよく知られている。従来の方法において、セルロースパルプは、単一の段階で、水酸化ナトリウムにより完全にアルカリ化されそしてメチル化剤(通常、塩化メチル)によりエーテル化(すなわち、メチル化)される。セルロースがメチル化される度合いは%メトキシル置換率と呼ばれる。この方法及び根底にある化学的理論は長期間にわたって当業界においてよく知られている。
【0023】
メチルセルロースを製造するための従来の方法とは対照的に、本発明のメチルセルロースは2つ以上の別個の段階においてセルロースパルプをメチル化する新規の方法により製造される。本発明によると、セルロースパルプは第一の段階において、水酸化アルカリにより部分的にアルカリ化されそしてメチル化剤(好ましくは塩化メチル)により部分的にメチル化される。本発明は特定の理論によって限定されるべきではないが、第一の段階の後のセルロース上のメチル化されたサイトは次の段階でのメチル化に対してより選択的であるものと信じられる。すなわち、次の段階でのメチル化は第一の段階でメチル化されたサイトの近くで起こりやすく、従来のメチルセルロースで生じるよりもセルロース上でのメチル化サイトが低い均一性の分布になる。このより低い均一性の分布は「ブロック状」置換と呼ぶことができる。第一の段階で生じた部分的にメチル化されたセルロースは、後の段階(1段階又は複数段階)において、所望の完了レベルにまで、さらなる水酸化アルカリ及び塩化メチルにより、さらにアルカリ化されそしてさらにエーテル化される。好ましくは、続く段階で使用されるメチル化剤は、所望のメトキシル置換レベルを生じるために充分な反応条件で連続添加又は漸増添加により導入される。
【0024】
本発明のメチルセルロースを製造するために使用されるセルロースは、通常、木又は綿から得られるセルロースパルプである。パルプは好ましくは粉体又はチップの形態で供給される。ウッドパルプは好ましい。
【0025】
セルロースパルプのアルキル化は複数の段階で逐次的に行なわれる。「段階」とはアルカリ化反応及びメチル化反応(又は置換)が起こる反応シーケンスを意味する。段階は、セルロースパルプ又は部分的にメチル化されたセルロースのメトキシル置換レベルを有効に上げる。場合により、ヒドロキシプロピル置換のような他のタイプのエーテル化はメトキシル置換とともに又はメトキシル置換に加えて行なってもよい。
【0026】
本発明によると、セルロースパルプは、水性アルカリ、好ましくは水性水酸化ナトリウムによって1つ以上の反応器中で2つ以上の段階でアルカリ化される。水性アルカリを含むバスもしくは攪拌タンク中に浸漬すること又は乾燥パルプ上へ水性アルカリを直接的にスプレーすること、などの当業界に既知の手段のいずれかによってパルプをアルカリ化することができる。反応時間は、水酸化物濃度、温度及び滞留時間によって変わる。水性アルカリは水の質量を基準として約30〜約70質量%の水酸化アルカリ含有分で好ましくは使用される。アルカリ化の温度は、好ましくは約30℃〜約110℃、最も好ましくは約30℃〜約90℃の範囲である。パルプ中の均一な膨潤及びアルカリ分布は混合及び攪拌によって制御できる。水性アルカリの添加速度は発熱アルカリ化反応の間に反応器を冷却することができる能力により支配されうる。水性アルカリの添加速度は本発明に対して重要でない。所望ならば、ジメチルエーテルのような有機溶剤は希釈剤及び冷却剤として反応器に添加されてよい。所望ならば、反応器のヘッドスペースは排気され又は窒素のような不活性ガスによりパージされ、アルカリ性セルロースの酸素により触媒される解重合を制御してもよい。
【0027】
本発明によると、アルカリ化されたセルロースパルプは1つ以上の反応器中で2段階以上の段階でエーテル化されて(すなわち、メチル化されて)メチルセルロースを生成する。エーテル化のための反応時間は濃度、圧力、温度、滞留時間及び発熱反応を制御することができる能力によるであろう。好ましいエーテル化剤は塩化メチル又はジメチルスルフェートのようなメチル化剤である。塩化メチルは好ましい。メチル化剤は、1つ以上の段階において、バッチ装填添加、連続添加又は漸増添加により添加されてよい。好ましくは、メチル化剤は、第一の段階の後の少なくとも1つの段階、好ましくは第二の段階において、連続添加又は漸増添加により添加される。「バッチ装填添加」とは、比較的に短時間の間に実質的に休むことなく添加することを意味する。「連続添加」とは、より長時間の間に実質的に休むことなく添加することを意味する。「漸増添加」とは、より長時間の間において少量の別々の量を周期的に添加することを意味する。水酸化アルカリ及びメチル化剤は反応器に同時に添加されてもよいが、好ましくは、順次添加され、一番目に水酸化アルカリが添加され、二番目にメチル化剤が添加される。
【0028】
本発明のメチルセルロースを製造するために2段階法は好ましい。第一の段階において、水性水酸化アルカリ及びメチル化剤をセルロースパルプと反応させて第一のメトキシル置換レベルのメチルセルロースを生成させる。水酸化アルカリ及びメチル化剤の各々は、第一の段階で、バッチ装填添加、連続添加又は漸増添加により添加されてよい。添加の速度は重要でない。第一の段階における反応温度は好ましくは制御されて、水酸化アルカリ、メチル化剤及びセルロースパルプの間の一般に均一な接触及び反応が起こることができるようにする。第二の段階において、部分的にメチル化されたセルロースと、さらなる量の水性水酸化アルカリ及びメチル化剤を反応させて、第二のメトキシル置換レベル(すなわち、所望の置換レベル)を有するメチルセルロースを生成させる。水酸化アルカリ及びメチル化剤は、第二の段階で、バッチ装填添加、連続添加又は漸増添加により添加されてよい。第二の段階での水酸化物の添加速度は重要でない。
【0029】
メチル化剤は第二の段階で15分以上の経過添加時間にわたって約65℃〜約120℃の反応体温度で添加され、好ましくは、20分以上で約75℃〜約100℃であり、そして最も好ましくは25分以上で約80℃〜約90℃である。第二の段階において、どんなに長時間にわたって連続的又は漸増的にメチル化剤を添加してもよいが、時間的な経済性の理由で約120分以下、より好ましくは約60分以下、そして最も好ましくは約20分〜約45分で添加を行なうことが好ましい。第二の段階でのメチル化剤の添加の後に、エーテル化は反応が進行することができるどの温度で行なってもよいが、時間的な経済性の理由で約65℃〜約120℃、そしてより好ましくは約80℃〜約90℃で行なうことが好ましい。反応器内の温度は当業界に知られているどの手段で決定されてもよい。温度決定手段は、蒸気温度制御を用いること及び反応器の内容物(セルロースパルプ/メチルセルロース塊)中に差し込まれた熱電対を用いることを含む。好ましい二段階法において、両方の段階は同一の反応器内で行なわれる。
【0030】
好ましくは、総計のメトキシル置換の約20〜約80%は第一の段階で行なわれ、そして約80〜約20%は第二の段階で行なわれる。より好ましくは、総計のメトキシル置換の約30〜約70%は第一の段階で行なわれ、そして約70〜約30%は第二の段階で行なわれる。最も好ましくは、総計のメトキシル置換の約40〜約60%は第一の段階で行なわれ、そして約60〜約40%は第二の段階で行なわれる。二段階法の特定の態様を表1に記載する。
【0031】
本発明のメチルセルロースの製造のために三段階法も有用である。第一の段階は上記の二段階法の第一の段階と同様に行なわれる。第二及び第三の段階のいずれか又は両方は上記の二段階法の第二の段階と同様に行なわれる(メチル化剤は好ましくは一定時間にわたって連続的に又は漸増的に添加される)。好ましい三段階法において、総計のメトキシル置換の約20〜約60%は第一及び第二の段階の各々で行なわれ、そして約5〜約30%は第三の段階で行なわれる。三段階法の特定の態様を表1に記載する。
【0032】
四段階以上の段階を有する方法も可能である。このような方法の第一の段階は上記の二段階法における第一の段階と同様に行なわれる。続いて行なう1つ以上の段階は上記の二段階法における第二の段階と同様に行なわれる(メチル化剤は好ましくは一定時間にわたって連続的に又は漸増的に添加される)。
【0033】
【表1】

【0034】
HEMC、HPMC、HBMC、MEC及びCMMCのようなメチルセルロースはセルロースパルプ又はメチルセルロースを、メチル化剤(エーテル化剤)に加えて他のエーテル化剤と反応させることにより調製できる。有用なエーテル化剤は塩化エチル、酸化エチレン、酸化プロピレン及び酸化ブチレンを含む。他のエーテル化剤は所望の反応を行なうために充分なプロセス条件で、メチル化剤との反応の前、その間又はその後のどの段階で反応させてもよい。他のエーテル化剤はバッチ装填添加、連続添加又は漸増添加により反応器に加えられてよい。好ましくは、他のエーテル化剤は第一の段階で反応される。好ましくは、他のエーテル化剤はメチル化剤の前に又はメチル化剤とともに反応される。
【0035】
メチル化剤及び他のエーテル化剤は、反応器に液体又は気体の形態で添加されてよい。液体の形態は非常に好ましい。反応器は好ましくはエーテル化剤が主として液体相を維持するような圧力に維持される。
【0036】
エーテル化の後に、メチルセルロースを洗浄し、塩及び他の反応副生成物を除去する。塩が可溶性であるいかなる溶剤も用いることができるが、水は好ましい。メチルセルロースは反応器内で洗浄されてよいが、好ましくは、反応器の下流にある別個のウォッシャー中で洗浄される。洗浄の前又は後に、メチルセルロースは残存有機含有分を低減するようにスチームに暴露することによりストリッピングされてよい。
【0037】
メチルセルロースは低減された湿分及び揮発性含分にまで乾燥され、好ましくは、メチルセルロースの質量を基準として約0.5〜約10.0質量%の水、より好ましくは約0.8〜約5.0質量%の水及び揮発分にまで乾燥される。低減された湿分及び揮発性含分により、メチルセルロースが粒状形態にミリングされることが可能になる。メチルセルロースは好ましくは約40℃〜約130℃の温度で乾燥される。有用なドライヤーはトレードライヤー、流動床ドライヤー、フラッシュドライヤー、攪拌ドライヤー及びチューブドライヤーを含む。
【0038】
メチルセルロースは所望のサイズの粒状物にミリングされる。所望ならば、乾燥及びミリングは同時に行なわれてよい。ミリングはボールミル、衝撃粉砕機、ナイフグラインダー及び空気通過衝撃ミルのような当業界で既知のいずれかの手段により行なうことができる。
【0039】
本発明のメチルセルロースは種々の食品組成物中に有用である。食品組成物の例は、野菜、肉及び大豆パテ;改質海鮮品;改質チーズスティック;クリームスープ;グレイビー及びソース;サラダドレッシング;マヨネーズ;オニオンリング;ジャム;ジェリー及びシロップ;パイフィリング;フレンチフライ及び押出フライなどのポテト製品;揚げ物食品、パンケーキ/ワッフル及びケーキのためのこね粉(batter);ペットフード;飲料物;冷凍デザート;アイスクリーム、コテージチーズ、ヨーグルト、チーズ及びサワークリームなどの培養された乳製品;ケーキアイシング及びグレーズ;ホイップトトッピング;発酵された及び発酵されていないベーク品などを含む。食品組成物の製造において、メチルセルロースは、通常、組成物の加工及び形成の間に食料と混合される。食料は粒子形態又は一体形態などの既知のいずれの形態であってもよい。メチルセルロースを含む食品組成物の調製についての優れた教示は以下の文献に見られる:METHOCEL(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)製品文献:METHOCEL Premium Food Gums, Form No.192-1037-87, 192-1047-87, 192-1046-87, 192-1051-87, 192-1050-87, 192-1049-87, 192-1053-87, 192-982-87, 192-979-87, 192-985-87, 192-1054-87, 192-1048-87, 192-987-87, 192-986-87, 192-989-87, 192-988-87, 192-984-87, 192-983-87, 192-981-87, 192-991-87, 192-980-87, 192-990-87及び192-1052-87(全て1987年に出版);Selecting METHOCEL Food Gums, Form No. 192-855-1281R(1981年に出版);METHOCEL Food Gums In Non-Dairy Whipped Topping, Form No.192-877-482(1982年に出版);METHOCEL Food Gums In Fried Foods, Form No.192-875-482及び192-881-482(全て1982年に出版);METHOCEL Food Gums In Salad Dressings and Sauces, Form No.192-876-482, 192-880-482及び192-905-1282(全て1982年に出版);及び、METHOCEL Food Gums In Bakery Products, Form No.192-874-482及び192-878-482(全て1982年に出版)。上記の全ての文献の教示を参照により本明細書中に取り入れる。
【0040】
食品組成物中に特に有用なメチルセルロースは非メトキシル置換を殆ど有しないか又は全く有しないメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースである。メチルセルロースは、通常、食品組成物の総質量を基準として約0.01〜約5%のレベルで食品組成物中に使用される。
【0041】
メチルセルロースは建築製品、工業製品、農業製品、パーソナルケア製品、家庭用製品及び医薬品のような他の用途に有用である。有用な医薬用途はカプセル、被包材、タブレットコーティング、及び、医薬及び薬剤のための賦形材を含む。有用な賦形材の機能は、持続開放性及び時間調整開放性タブレットを含む。有用な建築用途は、ドライウォールテープジョイントコンパウンド、モルタル、グラウト、セメントプラスター、スプレープラスター、セメントスタッコ、接着剤、ペースト及びウォール/シーリングテキスチャライザーを含む。有用な工業用途はテープキャスティング、押出成形及び射出成形のためのバインダー及び加工助剤並びにセラミックを含む。有用な農業用途はスプレー付着材及び、農薬、除草剤及び肥料粉末のための懸濁/分散助剤を含む。有用なパーソナルケア及び家庭用製品はシャンプー、ローション、クリーム及びクリーニング製品を含む。
【0042】
本発明のメチルセルロースは医薬カプセル用組成物中に特に有用である。本発明のメチルセルロースから形成されるカプセルは従来のメチルセルロースから形成されるカプセルよりも乾燥後に実質的に低い撓みを示す。特に有用なメチルセルロースは非メトキシル置換を殆ど有しないか又は全く有しないメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースであって、低分子量を有するもの、すなわち、2%水溶液において約3〜約100cP、好ましくは約3〜約15cPであるものである。低分子量のメチルセルロースは上記の方法から直接的に製造でき、又は、酸により触媒される解重合により高分子量のメチルセルロースから製造できる。有用な酸は無水塩化水素及び塩酸を含む。所望の程度までの解重合に次いで、酸は重炭酸ナトリウムのような塩基との接触により中和されて解重合が停止される。低分子量メチルセルロースの製造に関する有用な教示は、1998年12月1日に出願された米国特許出願第09/203,324号明細書に見られ、それを参照により本明細書中に取り入れる。
【0043】
メチルセルロースカプセルは、通常、冷たいメチルセルロースコーティング水溶液中に熱いピンを浸漬させるか又は熱いメチルセルロースコーティング水溶液中に冷たいピンを浸漬させることにより製造される。溶液はピン上でゲル化し、水は乾燥工程の間に蒸発し、ピンの周囲に乾燥したメチルセルロースの薄いフィルム層を形成する。薄いフィルムはキャップ及びボディーの形態をとり、それらをピンから取り外し、合わせてカプセルを形成する。カプセルの製造方法は米国特許第3,617,588号、同第4,001,211号、同第4,917,885号及び同第5,756,036号明細書に見られ、それらを参照により本明細書中に取り入れる。
【0044】
従来のメチルセルロースを用いた医薬カプセルの製造の間に乾燥が不均一に起こると、キャップおよびボディーは時々撓み、そしてカプセルとなるように合わせ又は組み立てることが困難であることがある。本発明のメチルセルロースから形成されるキャップ及びボディーは、ゲル強度が向上されているので、このような撓みに対して良好な耐性を示すことができる。
【0045】
以下は本発明の実施例である。特に指示がない限り、全ての百分率、部及び割合は質量基準である。
【0046】
実施例
例1
本発明のメチルセルロースを本発明の方法に従って製造した。
微細に粉砕したセルロースウッドパルプをジャケット付きの攪拌器付き反応器に入れた。反応器を脱気し、そして窒素でパージして酸素を除去し、その後、再び脱気した。反応器を2段階で用いた。第一の段階では、50質量%の水中の水酸化ナトリウムを、0.45/1.0のNaOH/セルロースの質量比でセルロース上にスプレーし、温度を40℃(開始温度)に調節した。NaOH/セルロースを約10〜20分攪拌した後に、ジメチルエーテル及び塩化メチルの混合物を反応器に添加し、さらなる塩化メチルを加え、塩化メチル/セルロースの質量比が約0.64/1.0となるようにした。その後、反応器の内容物を40℃から80℃に次の40分間で加熱した。80℃(クック温度)に到達した後に、第一の段階の反応をさらに30分間(クック時間)進行させた。残りの水酸化ナトリウム及び塩化メチルを添加し、さらなる反応をさせることにより第二の段階を行った。第二の量の50質量%の水中のNaOHを、質量比0.65/1.0のNaOH/セルロース(セルロースはちょうどこの時点で実際に部分的にエーテル化されている)で10分間にわたって添加した。第二の量の塩化メチルを、質量比0.90/1.0の塩化メチル/セルロースのレベルまで約35分間にわたって添加した。反応を80℃でさらに30分間(クック時間)続け、エーテル化を完了した。表2は、プロセス情報並びにアルカリ化及びエーテル化に関するデータを示す。
【0047】
反応の後、反応器を通気し、そして50℃に冷却した。反応器の内容物を取り出し、熱水を含むタンクに移してスラリーを形成し、次いで、それを15分間攪拌した。このスラリーを熱いタンクからフィルターへとポンプ送りし、そこで、脱水し、そして熱水で洗浄して塩及び有機副生成物を除去した。その後、湿潤メチルセルロースをドライヤーに移し、そこで、湿分及び揮発分をメチルセルロースの質量を基準として1〜4質量%にまで低減した。その後、メチルセルロースを約40メッシュ(420マイクロメートル)の粒度に粉砕した。
【0048】
メチルセルロースを分析し、31.8%メトキシル置換率(1.96のメトキシル置換度)を含むことが判った。それは2質量%水溶液において17,000センチポアズ(cP)の粘度、1.5質量%水溶液で105°F〜108°F(40.6℃〜42.2℃)のゲル化温度(Tgel)及び5445パスカルの弾性率(G’)を示し、そして35分のメルトバック時間を示した。製品特性を表3に示す。これらの物性は同様の置換及び粘度レベルの従来のメチルセルロースよりも望ましい。このような従来のメチルセルロースは、通常、1.5質量%水溶液で約52℃〜59℃のTgelを示し、そして1.5質量%水溶液で800〜2000パスカルのG’を示す。このように、本発明のメチルセルロースは、同様の置換及び粘度グレードの従来のメチルセルロースと比較して、有意に高いG’及び有意に低いゲル化温度の両方の利点を有する。
【0049】
明細書中に開示した種々の例において、G’はC25歯状ボブ及びカップシステムでボーリンVORレオメータ(Bohlin Corp.)で1.5質量%水溶液で測定された。
【0050】
例1A〜1D
例1のメチルセルロースのサンプルを種々の時間にわたって無水塩化水素との反応により解重合し、次いで、重炭酸ナトリウムで中和した。解重合の後に、サンプルは614cPの粘度(2%溶液)を示し、2250パスカルのG’及び20分のメルトバック時間を示した。別の解重合の後に、サンプルは219cPの粘度、1400のG’、108°F(42℃)のTgel及び40分のメルトバック時間を示した。別の解重合の後に、サンプルは81cPの粘度、1390パスカルのG’、103°F(39℃)のTgel及び19分のメルトバック時間を示した。別の解重合の後に、サンプルは66cPの粘度、1680パスカルのG’及び25分のメルトバック時間を示した。製品特性を表4に示す。
【0051】
例2
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は表2に示した以外は例1のとおりである。
【0052】
メチルセルロース製品は、31.3%のメトキシル置換を有し、2質量%水溶液において26,000cPの粘度、34.4℃のTgel、3740パスカルのG’及び50を超えるメルトバック時間を示した。これらの物性は同様の置換及び粘度レベルの従来のメチルセルロースと非常に良好に比較される。製品特性を表3に示す。
【0053】
例2A〜例2B
例2のメチルセルロース最終製品のサンプルを種々の長さの時間にわたって無水塩化水素との反応により解重合し、次いで、重炭酸ナトリウムで中和した。解重合の後に、サンプルは375cPの粘度(2%溶液)を示し、1080パスカルのG’及び50分を超えるメルトバック時間を示した。別の解重合の後に、サンプルは29cPの粘度、569パスカルのG’、87°F(31℃)のTgel及び30分のメルトバック時間を示した。製品特性を表4に示す。
【0054】
例3
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は表2に示した以外は例1のとおりである。
【0055】
メチルセルロース製品は29.9%のメトキシル置換を有し、そして30,000cPの粘度(2%溶液)、89°F(31.7℃)のTgel及び3200パスカルのG’及び50分を超えるメルトバック時間を示した。製品特性を表3に示す。
【0056】
例4
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は表2に示した以外は例1のとおりである。
【0057】
メチルセルロース製品は32.9%のメトキシル置換を有し、そして11,000cPの粘度(2%溶液)、122°F(50℃)のTgel及び3180パスカルのG’及び17分のメルトバック時間を示した。製品特性を表3に示す。
【0058】
例5
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は表2に示した以外は例1のとおりである。
【0059】
メチルセルロース製品は32.7%のメトキシル置換を有し、そして2600cPの粘度(2%溶液)、118°F(48℃)のTgel及び1460パスカルのG’及び20分のメルトバック時間を示した。製品特性を表3に示す。
【0060】
例6
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は表2に示した以外は例1のとおりである。
【0061】
メチルセルロース製品は26.9%のメトキシル置換を有し、そして2質量%水溶液において330cPの粘度、128°F(54℃)のTgel及び1470パスカルのG’及び8分のメルトバック時間を示した。製品特性を表3に示す。
【0062】
例7
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は追加の(第三の)段階を有すること以外は例1のとおりである。プロセス情報を表5に示す。
【0063】
メチルセルロース製品は35.4%のメトキシル置換を有し、そして461,000cPの粘度(2%溶液)、45℃のTgel及び6900パスカルのG’を示し、周囲温度でメルトバックに対して安定であった。このメチルセルロース製品は同様のメトキシル置換及び粘度レベルの従来のメチルセルロースと比較して有意に高いG’及び有意に低いTgelという利点を有する。製品特性及び組成を表6に示す。
【0064】
例8
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は追加の(第三の)段階を有すること以外は例1のとおりである。プロセス情報を表5に示す。
【0065】
メチルセルロース製品は36.1%のメトキシル置換を有し、そして26,000cPの粘度(2%溶液)、113°F(45℃)のTgel、7990パスカルのG’を示し、周囲温度でメルトバックに対して安定であった。このメチルセルロース製品は同様のメトキシル置換及び粘度レベルの従来のメチルセルロースと比較して有意に高いG’及び有意に低いゲル化温度という利点を有する。製品情報及び組成を表6に示す。
【0066】
例9
本発明の別のメチルセルロースを本発明の方法により製造した。方法は追加の(第三の)段階を有すること以外は例1のとおりである。プロセス情報を表5に示す。
【0067】
メチルセルロース製品は34.9%のメトキシル置換を有し、そして25,000cPの粘度(2%溶液)、95°F(35℃)のTgel、7565パスカルのG’を示し、周囲温度でメルトバックに対して安定であった。このメチルセルロース製品は同様のメトキシル置換及び粘度レベルの従来のメチルセルロースと比較して有意に高いG’及び有意に低いTgelという利点を有する。製品情報及び組成を表6に示す。
【0068】
幾つかのメチルセルロースを当業界に既知の従来の方法を用いて製造した。これらのサンプルの製品特性を表7に示す。
【0069】
表7に示している従来技術のサンプルのゲル強度及び粘度を、表3及び4に示している例1、例1A,1B,1C,1D及び例2,2A及び2Bのゲル強度及び粘度とともにグラフ化した。対応するグラフは図1に示す。ゲル強度(対数スケールで表示)と粘度(対数スケールで表示)との関係はほぼ直線である。最も適したアルゴリズムを用いて各データのセットでラインを描いた。各ラインを近似した等式をグラフ上に示している。
【0070】
図1中のグラフは約29%〜32%のメトキシル置換を有する本発明のメチルセルロースのゲル強度は223×v0.273を超えることを示している。粘度に対するゲル強度のこの関係は近似であり、そして本発明のメチルセルロースはこの近似値から若干低くなってもよいことを理解すべきである。例えば、表3のデータは、例2、2A及び2Bを示すラインよりも若干低くなっているが、従来技術を示すラインよりもずっと上にある。
【0071】
本発明の方法及び組成物の態様は特定の詳細な項目に関して示されてきたが、本発明は、ここに示した新規の教示及び原理の範囲内にあるかぎり、変更されてよいことが評価されるであろう。
【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

[1](a)所望のメトキシル置換レベルの約20%以上である第一のメトキシル置換レベルにまでセルロースパルプをメチル化するために充分な反応条件において、セルロースパルプを、第一の量の水性アルカリ及び第一の量のメチル化剤と反応させること、及び、
(b)所望のメトキシル置換レベルの約40%以上である第二のメトキシル置換レベルにまでメチル化するために充分な反応条件において、前記第一のメトキシル置換レベルのメチルセルロースを、第二の量の水性アルカリ及び第二の量のメチル化剤と反応させること、
の工程を含む、所望のメトキシル置換レベルを有するメチルセルロースの製造方法。
[2]前記第二のメトキシル置換レベルは所望のメトキシル置換レベルの本質的に100%である、[1]記載の方法。
[3]前記第一のメトキシル置換レベルは所望のメトキシル置換レベルの約30%以上である、[1]記載の方法。
[4]前記第一のメトキシル置換レベルは所望のメトキシル置換レベルの約40%以上である、[1]記載の方法。
[5]前記第二の量のメチル化剤は15分間以上にわたって約65℃〜約120℃において添加される、[1]記載の方法。
[6]前記第二の量のメチル化剤は20分間以上にわたって約75℃〜約100℃において添加される、[1]記載の方法。
[7]前記第二の量のメチル化剤は25分間以上にわたって約80℃〜約90℃において添加される、[2]記載の方法。
[8]約65℃〜約110℃の温度でメチル化反応を行なう、[3]記載の方法。
[9]約80℃〜約90℃の温度でメチル化反応を行なう、[1]記載の方法。
[10]ヒドロキシプロピル置換を有するメチルセルロースを生成するために充分な反応条件下において、ある量のプロピレンオキシドとセルロースパルプもしくはメチルセルロースとの接触を、第一もしくは第二の段階において行なう、[1]記載の方法。
[11]ヒドロキシブチル置換を有するメチルセルロースを生成するために充分な反応条件下において、ある量のブチレンオキシドとセルロースパルプもしくはメチルセルロースとの接触を、第一もしくは第二の段階において行なう、[1]記載の方法。
[12]ヒドロキシエチル置換を有するメチルセルロースを生成するために充分な反応条件下において、ある量のエチレンオキシドとセルロースパルプもしくはメチルセルロースとの接触を、第一もしくは第二の段階において行なう、[1]記載の方法。
[13]エトキシル置換を有するメチルセルロースを生成するために充分な反応条件下において、ある量の塩化エチルとセルロースパルプもしくはメチルセルロースとの接触を、第一もしくは第二の段階において行なう、[1]記載の方法。
[14]所望のメトキシル置換レベルは約21〜約42質量%である、[1]記載の方法。
[15]所望のメトキシル置換レベルは約25〜約35質量%である、[1]記載の方法。
[16]所望のメトキシル置換レベルは約29〜約32質量%である、[1]記載の方法。
[17](c)総計のメトキシル置換レベルのメチルセルロースの溶液中にピンを浸漬すること、(d)前記ピン上に溶液をゲル化させること、(e)前記溶液を乾燥し、医薬カプセルを形成するように合わせることができるキャップ及びボディーの形態のメチルセルロースの薄い、乾燥した層を形成させること、(f)前記キャップ及びボディーを前記ピンから取り外すこと、をさらに含む、[1]記載の方法。
[18](c)総計のメトキシル置換レベルのメチルセルロースの溶液中にピンを浸漬すること、(d)前記ピン上に溶液をゲル化させること、(e)前記溶液を乾燥し、医薬カプセルを形成するように合わせることができるキャップ及びボディーの形態のメチルセルロースの薄い、乾燥した層を形成させること、(f)前記キャップ及びボディーを前記ピンから取り外すこと、
をさらに含む、[1]記載の方法エーテル。
[19][1]記載の方法により製造される、メチルセルロース。
[20]メチルセルロースの質量を基準として約29〜約32質量%のメトキシル置換を有し、かつ、約223×(v0.273)(式中、vはメチルセルロースの粘度を示す)を超えるゲル強度を有する、メチルセルロース。
[21]前記ゲル強度は約490×(v0.241)を超える、[20]記載のメチルセルロース。
[22]2%水溶液中において約1〜約600,000センチポアズの粘度を有する、[20]記載のメチルセルロース。
[23]2%水溶液中において約1〜約100,000センチポアズの粘度を有する、[20]記載のメチルセルロース。
[24]2%水溶液中、20℃において約3〜約15センチポアズの粘度を有する、[20]記載のメチルセルロース。
[25]メチルセルロースの質量を基準として、約1質量%以下の非メトキシル置換を有する、[20]記載のメチルセルロース。
[26]メチルセルロースの質量を基準として、約0.2質量%以下の非メトキシル置換を有する、[20]記載のメチルセルロース。
[27]非メトキシル置換を本質的に有しない、[20]記載のメチルセルロース。
[28]医薬カプセルの形態である、[20]記載のメチルセルロース。
[29]医薬タブレットの賦形材の形態である、[20]記載のメチルセルロース。
[30]セラミックの形態である、[20]記載のメチルセルロース。
[31]メチルセルロースは以下の群より選ばれるいずれかの形態である、[20]記載のメチルセルロース:医薬被包材、カプセル、タブレットコーティング及び賦形材;ドライウォールテープジョイントコンパウンド;モルタル、グラウト;セメントプラスター;スプレープラスター;セメントスタッコ;接着剤;ペースト;ウォール/シーリングテキスチャライザー;テープキャスティング、押出成形及び射出成形のためのバインダー又は加工助剤;農薬スプレー付着剤;農薬、除草剤及び肥料粉末のための懸濁/分散助剤;シャンプー;ローション;クリーナー及びセラミック。
[32][20]記載のメチルセルロースを含む食品組成物。
[33]前記食品組成物は、野菜、肉及び大豆パテ;改質海鮮品;改質チーズスティック;クリームスープ;グレイビー及びソース;サラダドレッシング;マヨネーズ;オニオンリング;ジャム;ジェリー及びシロップ;パイフィリング;フレンチフライ及び押出しフライなどの加工ポテト製品;揚げ物食品、パンケーキ/ワッフル及びケーキのためのこね粉;ペットフード、飲料物;冷凍デザート;アイスクリーム、コテージチーズ、ヨーグルト、チーズ及びサワークリームなどの培養された乳製品;ケーキアイシング及びグレーズ;発酵された及び発酵されていないベーク品;並びにホイップトトッピングからなる群より選ばれる、[32]記載の食品組成物。
[34]組成物の総計質量を基準として約0.01〜約5質量%のメチルセルロースを含む、[32]記載の食品組成物。
[35]メチルセルロースは2%水溶液中、20℃において約1〜約600,000センチポアズの粘度を有する、[32]記載の食品組成物。
[36]メチルセルロースは約490×(v0.241)を超えるゲル強度を有し、かつ、2%水溶液中、20℃において約1〜約100,000センチポアズの粘度を有する、[32]記載の食品組成物。
[37]非メトキシル置換はメチルセルロースの質量を基準として約0.2質量%以下である、[32]記載の食品組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチルセルロースの質量を基準として2535質量%のメトキシル置換を有し、かつ、223×(v0.273)(式中、vはメチルセルロースの2%水溶液での20℃における粘度を示す)を超えるゲル強度を有し、該粘度は、ASTM D1347−72及びD2363−79に従ってウベローデ管により決定され、そして該ゲル強度は、動的レオメータにおいてメチルセルロースの1.5質量%水溶液の弾性率を測定することにより決定される、メチルセルロース。
【請求項2】
メトキシル置換が29〜32質量%である、請求項記載のメチルセルロース。
【請求項3】
前記ゲル強度は490×(v0.241)を超える、請求項1又は2記載のメチルセルロース。
【請求項4】
メチルセルロースの質量を基準として1質量%以下の非メトキシル置換を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のメチルセルロース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載のメチルセルロースを含む、医薬カプセル、又は医薬タブレットのための賦形材。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載のメチルセルロースを含む、医薬被包材、カプセル、タブレットコーティングもしくは賦形材;ドライウォールテープジョイントコンパウンド;モルタル、グラウト;セメントプラスター;スプレープラスター;セメントスタッコ;接着剤;ペースト;ウォール/シーリングテキスチャライザー;テープキャスティング、押出成形もしくは射出成形のためのバインダーもしくは加工助剤;農薬スプレー付着剤;農薬、除草剤もしくは肥料粉末のための懸濁/分散助剤;シャンプー;ローション;又はクリーナーもしくはセラミック。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項記載のメチルセルロースを含む食品組成物。
【請求項8】
前記食品組成物は、野菜、肉及び大豆パテ;改質海鮮品;改質チーズスティック;クリームスープ;グレイビー及びソース;サラダドレッシング;マヨネーズ;オニオンリング;ジャム;ジェリー及びシロップ;パイフィリング;加工ポテト製品;揚げ物食品、パンケーキ/ワッフル及びケーキのためのこね粉;ペットフード、飲料物;冷凍デザート;培養された乳製品;ケーキアイシング及びグレーズ;発酵された及び発酵されていないベーク品;並びにホイップトトッピングからなる群より選ばれる、請求項記載の食品組成物。
【請求項9】
組成物の総計質量を基準として0.01〜5質量%のメチルセルロースを含む、請求項又は記載の食品組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−97269(P2012−97269A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−277398(P2011−277398)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2000−609456(P2000−609456)の分割
【原出願日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】