説明

吸着ヘッド、ワーク搬送装置及びワーク搬送方法、並びに、半導体チップ実装装置及び半導体チップ実装方法

【課題】半導体チップを吸着して搬送する搬送系に、気体を給排気する機構の荷重が掛かってしまうことを回避して、高精度、低荷重、低衝撃の搬送を実現すること。
【解決手段】吸着ヘッドは、フリップチップWを吸着する吸着コレット12と、該吸着コレットに連通する吸引流路管25を備えて圧縮空気供給部18に空気供給口21aを近接対峙させて該吸引流路管内を減圧するエジェクタ11とを備えて、前記圧縮空気供給部に非接触状態のまま移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸着ヘッド、ワーク搬送装置及びワーク搬送方法、並びに、半導体チップ実装装置及び半導体チップ実装方法に係り、詳しくは、高精度、低荷重、低衝撃の搬送を実現することのできる吸着ヘッド、ワーク搬送装置及びワーク搬送方法、並びに、半導体チップ実装装置及び半導体チップ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどのワークを吸着して搬送する場合には、その半導体チップを吸着口で吸着保持して所望の位置に搬送した後に、その吸着口内を大気に開放することにより吸着状態を解消する。
【0003】
この場合に、半導体チップが吸着口から離れない場合があることから、吸着口を真空ポンプと共に加圧空気供給源にも接続して、それぞれの連通経路を電磁弁で切り換えることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
半導体チップの表面の電極にバンプ(突起電極)を形成した、所謂、フリップチップをプリント基板などのパッケージに搭載する場合には、そのバンプ形成面を下向きにしてバンプを加熱溶融させることにより配線などにワイヤレスに接続するフリップチップボンディングが行なわれる(例えば、特許文献2、3)。
【0005】
このフリップチップボンディングでは、特許文献2、3に記載のように、VCM(ボイスコイルモータ)などを搭載する半導体製造装置がフリップチップをパッケージに押し付けるようにして位置決めすることから、位置ずれを防止するために荷重を制御して、位置決めを高精度に行い得るように各種の工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−109814号公報
【特許文献2】特開2002−033338号公開
【特許文献3】特開平01−198046号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体チップの吸着・搬送にあっては、吸着口内の空気を吸引するなどして減圧する真空ポンプを半導体製造装置に搭載することから、その真空ポンプと吸着口との間を接続するチューブなどの空気配管が必要になる。このチューブなどは、半導体チップをパッケージの搭載位置に移送するために屈曲させると、微弱ではあるがその屈曲に抗する抵抗力(荷重)が発生して、そのストレスが高精度な荷重制御や位置制御の実現に影響してしまう場合があり、フリップチップのような近年の微小な半導体チップの場合には破損してしまう虞がある。
【0008】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、半導体チップなどのワークを吸着して搬送する搬送系に、空気を給排気などする機構の荷重が掛かってしまうことを回避して、高精度、低荷重、低衝撃の搬送を実現することのできる吸着ヘッド、ワーク搬送装置及びワーク搬送方法、並びに、半導体チップ実装装置及び半導体チップ実装方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の構成は、ワークを吸着する吸着口と、該吸着口に連通する減圧室と、気流調整部に前記減圧室に連通する連通口を近接対峙させて該減圧室を減圧させる真空引き機構とを備えて、前記気流調整部に非接触状態のまま移動することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
この発明の構成によれば、ワークの吸着位置に移動したときに、気流調整部に連通口を非接触対面させて減圧室を減圧してワークを吸着口に吸着し、この後には、その気流調整部と非接触状態のまま移動する。したがって、気流調整部にチューブなどの配管を連結したままワークの搬送先に移動して位置決め制御することを回避することができ、チューブなどの負荷により荷重制御や位置制御の精度が低下してしまうことを回避して、ワークを高精度に搬送し位置決め載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態である半導体チップ実装装置の概略構成を示す立面図である。
【図2】同半導体チップ実装装置の半導体チップを吸着する吸着ヘッドを示す縦断面図である。
【図3】同半導体チップ実装装置の半導体チップを吸着時の状態を示す立面図である。
【図4】同吸着ヘッドの動作を説明する縦断面図である。
【図5】同半導体チップ実装装置の半導体チップを解放時の状態を示す立面図である。
【図6】同吸着ヘッドの図4とは異なる動作を説明する縦断面図である。
【図7】同実施形態の他の態様を示す図であり、その半導体チップを吸着する吸着ヘッドを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
半導体チップ実装装置において、減圧室を具備して該減圧室内を減圧し半導体チップを吸着保持する吸着ヘッドと、該吸着ヘッドを搭載して前記半導体チップの吸着位置から実装位置に移送させる移送部と、気体を噴射する気流調整部とを備えており、前記吸着ヘッドは、前記気流調整部の気体を噴射する開口に、前記減圧室に連通して外部に開口する連通口を近接対面させて、該気流調整部の気体の噴射を利用して該減圧室を減圧させる真空引き機構を有して、前記気流調整部に非接触状態のまま移送されるようになっている。
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について詳細に説明する。
【実施形態】
【0013】
図1は、この発明の一実施形態である半導体チップ実装装置の概略構成を示す立面図、図2は、同半導体チップ実装装置の半導体チップを吸着する吸着ヘッドを示す縦断面図、図3は、同半導体チップ実装装置の半導体チップを吸着時の状態を示す立面図、図4は、同吸着ヘッドの動作を説明する縦断面図、図5は、同半導体チップ実装装置の半導体チップを解放時の状態を示す立面図、図6は、同吸着ヘッドの図4とは異なる動作を説明する縦断面図である。
【0014】
図1において、半導体製造装置10は、エジェクタ11に取り付けられている吸着コレット12に、供給台P上の半導体チップのフリップチップWを吸着保持させて、所謂、フリップチップボンディング処理を行うプリント基板C(図5参照)上の実装位置(実装面)に搬送する。そのフリップチップボンディングの処理位置では、フリップチップWをプリント基板C上に位置決めしつつ接合面の表面電極に形成したバンプB(図4参照)をヒータ13で加熱溶融することにより配線などにワイヤレスに接続する。すなわち、この半導体製造装置10は、フリップチップ実装装置に構築されている。
【0015】
この半導体製造装置10は、エジェクタ11、吸着コレット12及びヒータ13が、搭載部15にVCM(ボイスコイルモータ)16及びエアスライダ17を介在させて搭載されている。搭載部15は、図中のフリップチップWの供給台Pと、図面の表面側又は裏面側に位置するフリップチップボンディングの処理位置(プリント基板C上)との間をエジェクタ11などを往復移送させることにより吸着コレット12で吸着保持するフリップチップWをXY軸方向に搬送して位置決めする。VCM16は、センタシャフト16aを上下動させてエジェクタ11などをZ軸方向にエアスライダ17でスムーズに移送させ、供給台PのフリップチップWを吸着コレット12に吸着保持させる一方、そのフリップチップWをフリップチップボンディングの処理位置のプリント基板C上に位置決めしつつ所望の荷重で押し付け保持する。なお、このVCM16の位置制御や荷重制御は、例えば、不図示のリニアエンコーダなどからの検出信号に基づいて実行すればよい。
【0016】
エジェクタ11は、図2に示すように、一方の側面に空気供給口21aが開口するノズル21と、空気供給口21aを気密に開閉する供給口弁22と、空気供給口21aの反対側の側面に空気排気口23aが開口するディフューザ23と、空気排気口23aを気密に開閉する排気口弁24と、ヒータ13を介して下面に露出する吸着コレット12に連通する吸引流路管25とを備えて構成されている。なお、供給口弁22や排気口弁24は、形式を問うものではなく、吸着源となる所望の真空度に維持すればよく、例えば、電磁弁を配設して機能させてもよい。また、ヒータ13は、加熱電力を供給するとともにエジェクタ11との間を断熱するように機能する支持部13aを介してエジェクタ11に支持されている。
【0017】
ノズル21は、空気供給口21aに流通管部21c及び噴射部21dが連通形成されている。このノズル21は、空気供給口21aに流入される空気を流通管部21cに流通させた後に、その流通管部21cを流通する圧縮空気を、流路断面積を縮小する漏斗形状の噴射部21dで絞って高速に噴射させるようになっている。
【0018】
ディフューザ23は、空気排気口23aに放出部23d、流通管部23c及び流入部23bが連通形成されている。このディフューザ23は、漏斗形状の流入口23bがノズル21の噴射部21dから噴射されてくる空気を再度絞って高速に流通管部21c内に吹き込んだ後に、その流通管部21cから流通される圧縮空気を、流路断面積を拡大する逆漏斗形状の放出部23d内に放出して流速を低下させ空気排気口23aから流出するようになっている。
【0019】
吸引流路管25は、ヒータ部13などの内部に形成されている連通管26を介して吸着コレット12内の吸着口12aに連通されており、その連通管26に連通管部25aと収容空間部25bとが連通形成されている。この吸引流路管25は、連通管部25aが連通管26(吸着コレット12の吸着口12a)を収容空間部25bに連通させる一方、その収容空間部25bがノズル21の噴射部21dからディフューザ23の流入部23bに圧縮空気を効率よく吹き込む対面位置にそれぞれ位置決めして気密に収容している。
【0020】
そして、エジェクタ11は、予め設定されているタイミングに、図3に示すように、ノズル21の空気供給口21aを搭載部15の側面側に設置されている圧縮空気供給部(空気供給源)18の空気噴射口18aに非接触状態で近接対面(対峙)させるようになっている。具体的には、ノズル21の空気供給口21aは、エジェクタ11が供給台P上に移動されるとともに降下されて、吸着コレット12をフリップチップWに密着させる位置に位置決めするタイミングに、圧縮空気供給部18の空気噴射口18aに非接触状態で近接対面される。また、同様に、図5に示すように、エジェクタ11がフリップチップボンディングの処理位置に移動されるとともに降下されて、吸着コレット12が吸着保持するフリップチップWをプリント基板Cに押し付けてワイヤレス接続するタイミングにも、圧縮空気供給部18の空気噴射口18aに非接触状態で近接対面される。
【0021】
この構成により、エジェクタ11は、フリップチップWの供給台P上では、図4に示すように、供給口弁22と排気口弁24とを開放した状態でノズル21の空気供給口21aに、搭載部15の圧縮空気供給部18の空気噴射口18aを非接触対面(連結)させて高速噴射される圧縮空気G1を吹き込ませる。すると、その圧縮空気G1は、空気噴射口18aからの噴射後にはノズル21の流通管部21cを介して噴射部21dで圧縮されて高速にディフューザ23の流入部23bに吹き込まれる。そのディフューザ23の流入部23bに吹き込まれた圧縮空気G2は、同様に、その流入部23bで再度圧縮されて流通管部23cを流通した後に放出部23dで膨張することが許容されて空気排気口23aから排気される。このため、ディフューザ23の流通管部23cの前後では、放出部23d内への圧縮空気G2の放出に伴って圧力差が生じて流入部23bに空気G3が強制的に引き込まれる。その結果、吸引流路管25の収容空間部25b内の空気G3も巻き込まれるようにして、ディフューザ23の流入部23bに吹き込まれる圧縮空気(一次流体)G2に混合吸引されて、吸着コレット12の吸着口12aに連通する連通管26や連通管部25aと共に内部が減圧される。この後には、供給口弁22と排気口弁24とを閉塞することにより、その吸引流路管25内などを所望の真空度の減圧状態に維持することができ、吸着コレット12に密着させたフリップチップWを吸着して保持することができる。なお、このフリップチップWを吸着保持するために簡易に真空引きして減圧する真空度は、高い必要はなく、微小なフリップチップWを確実に保持可能な程度で十分である。また、エジェクタ11の空気供給口21aに吹き込む空気(高速気流)は、圧縮空気供給部18の噴射する圧縮空気に限らず、他の基体でも良く、例えば、不活性で安価な窒素ガスでも良い。
【0022】
このエジェクタ11は、フリップチップボンディングの処理位置では、反対に、図6に示すように、供給口弁22を開放するのと同時に排気口弁24を閉塞した状態で、同様に、ノズル21の空気供給口21aに、搭載部15の圧縮空気供給部18の空気噴射口18aを非接触対面(連結)させて圧縮空気G1を吹き込むこともできる。すると、ディフューザ23内には空気を実質的には吹き込むことができないことから、圧縮空気G1は、ノズル21から吸引流路管25の収容空間部25b内に流入して吸着コレット12の吸着口12aに連通する連通管26や連通管部25a内を減圧状態を解除して加圧することもでき、吸着コレット12に密着させたフリップチップWを吸着状態から確実に解放(リリース)することができる。
【0023】
このことから、半導体製造装置10は、フリップチップWを供給台Pからフリップチップボンディングの処理位置に搬送して位置決めする際には、次のようなフリップチップWの搬送・実装方法を実行することができる。
【0024】
まずは、エジェクタ11の供給口弁22と排気口弁24とを開放すると共に、吸着コレット12を供給台P上のフリップチップWに密着させる位置に移送して位置決めした後に、エジェクタ11の空気供給口21aに非接触対面する搭載部15の圧縮空気供給部18の空気噴射口18aから圧縮空気G1を吹き込む。このときには、ノズル21から圧縮空気G1がディフューザ23に抜けて放出空気G2として排気される際に、吸引流路管25内の空気G3がそのディフューザ23内に吸引されて減圧されることにより、フリップチップWを吸着する吸着力を吸着コレット12に発生させることができる。この後には、フリップチップWを吸着する状態で供給口弁22と排気口弁24とを閉塞することにより、吸引流路管25内の減圧状態を維持してフリップチップWを吸着保持することができる。
【0025】
そして、エジェクタ11を搭載部15の圧縮空気供給部18に非接触対面されている状態から離脱させて、フリップチップWを吸着保持する吸着コレット12をフリップチップボンディングの処理位置に移送して位置決めする。次いで、ヒータ13を加熱してバンプBを溶融してフリップチップWをプリント基板Cにワイヤレス接続して搭載する実装処理をする。この処理後に、エジェクタ11の供給口弁22と排気口弁24とを開放すると、フリップチップWを吸着保持する吸引流路管25内の減圧状態を解除して吸着コレット12からフリップチップWを解放させ溶融接合したプリント基板C側に実装状態にすることができる。また、このときに、エジェクタ11の供給口弁22を開放すると共に排気口弁24を閉塞したまま、エジェクタ11の空気供給口21aに非接触対面する搭載部15の圧縮空気供給部18の空気噴射口18aから圧縮空気G1を吹き込むこともできる。この場合には、ノズル21からディフューザ23に圧縮空気G1が抜けることなく、吸引流路管25内を加圧してフリップチップWを吸着保持する吸引流路管25内の減圧状態を解除すると共に吸着コレット12から空気G1を抜けさせてフリップチップWを確実に離脱解放させることができる。
【0026】
このように、この実施形態によれば、フリップチップWをフリップチップボンディングでプリント基板Cにワイヤレス接続する際には、エジェクタ11に圧縮空気供給部18を連結するための負荷なく、高精度に低荷重制御と位置制御を行うことができる。このため、VCM16で吸着コレット12を降下させてフリップチップWをプリント基板Cに押し付けつつ位置決めする状態を高精度に制御しつつヒータ13で加熱して、バンプBを配線などにワイヤレス接続することができる。したがって、圧縮空気供給部18に連結するための配管からの荷重負荷(ストレス)を受けて微小なフリップチップWを破損してしまうことなくプリント基板Cに高精度に低荷重搭載することができる。
【0027】
この実施形態の他の態様としては、供給口弁22と排気口弁24を閉塞することなく連続してエジェクタ11の空気供給口21aに圧縮空気供給部18から圧縮空気を非接触状態のまま吹き込んで吸引流路管25内の減圧状態を維持するようにしてもよい。
【0028】
また、圧縮空気供給部18から圧縮空気をエジェクタ11の空気供給口21aに吹き込んで吸引流路管25内を減圧状態にするのに代えて、空気を吸引する真空ポンプの吸引口を非接触に近接対面させて吸着コレット12内を減圧状態にするようにしてもよい。
【0029】
また、エジェクタ11などと共に、圧縮空気供給部18が配設されている搭載部15も一緒に移送するのに代えて、フリップチップWの供給台Pとフリップチップボンディングの処理位置のそれぞれに圧縮空気供給部を移動不能に固設してもよい。
【0030】
また、吸着コレット12がエジェクタ11に固設されている場合だけでなく、吸着コレットも吸着して装備する構造の場合にも流用することができ、吸着コレットを吸着状態にするための配管も同様の構造にすることができる。
【0031】
また、ノズル21は、空気供給口21aを流通管部21cと同径に形成するだけでなく、図7に示すように、漏斗形状の流入部21bを流通管部21cに連設して、空気供給口21aに流入される空気を絞って(圧縮して)流通管部21cに流通させるようにしてもよい。
【0032】
以上、この発明の一実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、この発明は、半導体製造装置に限らず、他のワーク搬送装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、半導体製造装置に限らず、例えば、電子部品を製造・搬送する電子デバイス製造装置などの各種装置に広く適用でき、ワークとしては、半導体チップのように平板形状のもの限らず、例えば、ブロック形状の部品などを搬送する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
10 半導体製造装置(半導体チップ実装装置)
11 エジェクタ(吸着ヘッドの一部)
12 吸着コレット(吸着ヘッドの一部)
12a 吸着口
13 ヒータ(加熱部)
15 搭載部(移送部の一部)
16 VCM(移送部の一部)
18 圧縮空気供給部(気流調整部)
18a 空気噴射口(開口)
21 ノズル(真空引き機構の一部)
21a 空気供給口(連通口、気体流入口)
22 供給口弁(開閉弁の一部)
23 ディフューザ(真空引き機構の一部)
23a 空気排気口
24 排気口弁(開閉弁の一部)
25 吸引流路管
25a 連通管部(減圧室の一部)
25b 収容空間部(連通流路)
26 連通管(減圧室の一部)
C プリント基板(実装基板、搬送先)
G1、G2 圧縮空気(気体)
G3 空気(気体)
P 供給台(搬送元)
W フリップチップ(ワーク、半導体チップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを吸着する吸着口と、該吸着口に連通する減圧室と、気流調整部に前記減圧室に連通する連通口を近接対峙させて該減圧室を減圧させる真空引き機構とを備えて、前記気流調整部に非接触状態のまま移動することを特徴とする吸着ヘッド。
【請求項2】
前記真空引き機構は、前記気流調整部が気体を噴射又は吸引する開口に、前記連通口を近接対面させて、該気流調整部の気体の噴射又は吸引を利用して前記減圧室を減圧することを特徴とする請求項1記載の吸着ヘッド。
【請求項3】
前記減圧室の減圧状態を維持又は解除する開閉弁を備えており、
前記ワークの吸着位置に移動したときに、前記減圧室を減圧して、前記開閉弁が当該減圧状態を維持することを特徴とする請求項1又は2記載の吸着ヘッド。
【請求項4】
前記気流調整部が開口から気体を噴射するのに対して、
前記真空引き機構は、近接対峙される前記気流調整部から気体を流入される前記連通口を構成する気体流入口と、流入される前記気体を排出する気体排出口と、前記気体流入口と前記気体排出口との間で所定の気体の流れを形成される気体流路部と、該気体流路部に連通される前記減圧室とを備えて、前記気体流路部に形成される前記気体の流れによって前記減圧室の気体を吸引して真空引きする機能を具備することを特徴とする請求項1、2又は3記載の吸着ヘッド。
【請求項5】
前記真空引き機構は、前記気体流入口から吹き込まれる気体を圧縮して噴射するノズルと、該ノズルから噴射される気体を流入させて再度膨張させるディフューザとを備えており、
前記気体流路部が前記ノズルと前記ディフューザの間に位置して、前記ディフューザの前後の圧力差で生じる当該ディフューザ内への気体の巻き込み作用で前記減圧室内を吸引することを特徴とする請求項4記載の吸着ヘッド。
【請求項6】
前記気体排気口を開閉する開閉弁を備えており、
前記ワークの搬送先に移動したときに、前記気体排気口を閉じると共に前記気流調整部から気体を供給されて前記減圧室の減圧状態を解除することを特徴とする請求項4又は5記載の吸着ヘッド。
【請求項7】
減圧室を具備して該減圧室内を減圧しワークを吸着保持する吸着ヘッドと、該吸着ヘッドを搭載して前記ワークの搬送元及び搬送先に移送させる移送部とを備えており、
前記吸着ヘッドは、前記減圧室に連通して外部に開口する連通口を気流調整部に近接対峙させて該減圧室を減圧させる真空引き機構を有して、前記気流調整部に非接触状態のまま移送されることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項8】
前記真空引き機構は、前記気流調整部が気体を噴射又は吸引する開口に、前記連通口を近接対面させて、該気流調整部の気体の噴射又は吸引を利用して前記減圧室を減圧することを特徴とする請求項7記載のワーク搬送装置。
【請求項9】
前記吸着ヘッドは、前記減圧室の減圧状態を維持又は解除する開閉弁を有して、前記ワークを吸着する搬送元に移動したときに、前記減圧室を減圧して、前記開閉弁が当該減圧状態を維持することを特徴とする請求項7又は8記載のワーク搬送装置。
【請求項10】
前記気流調整部が開口から気体を噴射するのに対して、
前記吸着ヘッドは、前記真空引き機構が、前記連通口から吹き込まれる気体を放出する気体排気口と、該気体排気口を開閉する開閉弁とを備えて、前記ワークの搬送先に移送されたときに、前記気体排気口を閉じると共に前記気流調整部から気体を供給されて前記減圧室の減圧状態を解除することを特徴とする請求項7、8又は9記載のワーク搬送装置。
【請求項11】
減圧室を具備して該減圧室内を減圧し半導体チップを吸着保持する吸着ヘッドと、該吸着ヘッドを搭載して前記半導体チップの吸着位置から実装位置に移送させる移送部と、気体を噴射又は吸引する気流調整部とを備えており、
前記吸着ヘッドは、前記気流調整部の気体を噴射又は吸引する開口に、前記減圧室に連通して外部に開口する連通口を近接対面させて、該気流調整部の気体の噴射又は吸引を利用して該減圧室を減圧させる真空引き機構を有して、前記気流調整部に非接触状態のまま移送されることを特徴とする半導体チップ実装装置。
【請求項12】
前記吸着ヘッドは、前記減圧室の減圧状態を維持又は解除する開閉弁を有して、前記半導体チップの吸着位置に移動したときに、前記減圧室を減圧して、前記開閉弁が当該減圧状態を維持することを特徴とする請求項11記載の半導体チップ実装装置。
【請求項13】
前記気流調整部が開口から気体を噴射するのに対して、
前記吸着ヘッドは、前記真空引き機構が、前記連通口から吹き込まれる気体を放出する気体排気口と、該気体排気口を開閉する開閉弁とを備えて、前記半導体チップの前記実装位置に移送されたときに、前記気体排気口を閉じると共に前記気流調整部から気体を供給されて前記減圧室の減圧状態を解除することを特徴とする請求項11又は12記載の半導体チップ実装装置。
【請求項14】
前記吸着ヘッドは、前記半導体チップの接合面を実装基板の実装面に対向させる姿勢で吸着保持する一方、
前記移送部は、前記吸着ヘッドを、前記搬送元の前記半導体チップに対向する位置にXY軸方向に移動させてZ軸方向への位置制御をし、前記連通口が前記気流調整部の開口に近接対面する該半導体チップの吸着位置に移送して当該半導体チップを吸着保持させると共に、前記搬送先の前記実装基板に前記半導体チップを対向させる位置にXY軸方向に移動させてZ軸方向への位置制御をして該半導体チップを該実装基板の実装位置に移送し、
前記半導体チップの前記接合面を前記実装基板の前記実装面に搭載する実装処理をすることを特徴とする請求項11、12又は13記載の半導体チップ実装装置。
【請求項15】
前記吸着ヘッドは、吸着保持する前記半導体チップを加熱する加熱部を備えており、
前記半導体チップとしてフリップチップを搬送して前記実装基板に実装することを特徴とする請求項11乃至14の何れか1に記載の半導体チップ実装装置。
【請求項16】
吸着口に連通する減圧室内を減圧して該吸着口でワークを吸着保持し搬送する際に、前記減圧室に連通して外部に開口する連通口を気流調整部に近接対峙させて該減圧室を減圧し、当該減圧室は、前記気流調整部と非接触状態のまま当該減圧状態を維持することを特徴とするワーク搬送方法。
【請求項17】
前記真空引き機構は、前記気流調整部が気体を噴射又は吸引する開口に、前記連通口を近接対面させて、該気流調整部の気体の噴射又は吸引を利用して前記減圧室を減圧することを特徴とする請求項16記載のワーク搬送方法。
【請求項18】
前記減圧室は、当該減圧状態を維持又は解除する開閉弁を有して、前記ワークの吸着位置に移動したときに減圧されて、前記開閉弁が当該減圧状態を維持することを特徴とする請求項16又は17記載のワーク搬送方法。
【請求項19】
前記気流調整部が開口から気体を噴射するのに対して、
前記減圧室は、前記気流調整部から前記連通口が構成する気体流入口に吹き込まれる気体が気体排気口から抜ける途中に連通して、当該連通流路内の気体が前記気体排気口側に引き込まれて減圧されることを特徴とする請求項16、17又は18記載のワーク搬送方法。
【請求項20】
前記減圧室は、前記気体流入口から吹き込まれる気体を圧縮して噴射するノズルと、該ノズルから噴射される気体を流入させて再度膨張させるディフューザとの間の流路途中に前記連通流路が連通して、該連通流路内の気体が前記ディフューザの前後の圧力差で当該ディフューザ内に巻き込まれて減圧されることを特徴とする請求項19記載のワーク搬送方法。
【請求項21】
前記減圧室は、吸着保持する前記ワークの解放位置に移動されたときに、前記気体排気口を閉じると共に前記気流調整部から気体を供給されて当該減圧状態を解除することを特徴とする請求項16乃至20の何れか1に記載のワーク搬送方法。
【請求項22】
吸着ヘッドが吸着口に連通する減圧室内を減圧して該吸着口で半導体チップを吸着保持し搬送する際に、気体を噴射又は吸引して前記減圧室内の真空度を調整する気流調整部の開口に、前記減圧室に連通して外部に開口する連通口を近接対面させて該減圧室を減圧し、
当該吸着ヘッドは、前記気流調整部と非接触状態のまま当該減圧状態を維持しつつ前記半導体チップを実装基板に搭載する実装位置に移動することを特徴とする半導体チップ実装方法。
【請求項23】
前記吸着ヘッドは、前記減圧室の減圧状態を維持又は解除する開閉弁を有して、前記半導体チップの吸着位置に移動したときに前記減圧室を減圧されて、前記開閉弁が当該減圧状態を維持することを特徴とする請求項22記載の半導体チップ実装方法。
【請求項24】
前記吸着ヘッドは、前記連通口から吹き込まれる気体を放出する気体排気口と、該気体排気口を開閉する開閉弁とを備えて、吸着保持する前記半導体チップの実装位置に移送されたときに、前記気体排気口を閉じると共に前記気流調整部から気体を供給されて当該減圧状態を解除することを特徴とする請求項22又は23記載の半導体チップ実装方法。
【請求項25】
前記吸着ヘッドは、前記半導体チップの接合面を実装基板の実装面に対向させる姿勢で吸着保持する一方、
前記移送部は、前記吸着ヘッドを、前記搬送元の前記半導体チップに対向する位置にXY軸方向に移動させた後にZ軸方向への位置制御をして、前記連通口が前記気流調整部の開口に近接対面する該半導体チップの吸着位置に移送して当該半導体チップを吸着保持させ、次いで、前記搬送先の前記実装基板に前記半導体チップを対向させる位置にXY軸方向に移動させた後にZ軸方向への位置制御をして該半導体チップを該実装基板の実装位置に移送し、
この後に、前記半導体チップの前記接合面を前記実装基板の前記実装面に搭載する実装処理をすることを特徴とする請求項22、23又は24記載の半導体チップ実装方法。
【請求項26】
前記吸着ヘッドは、吸着保持する前記半導体チップを加熱する加熱部を備えて、前記半導体チップとしてフリップチップを搬送して前記実装基板に実装することを特徴とする請求項22乃至25の何れか1に記載の半導体チップ実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−192773(P2010−192773A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37176(P2009−37176)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】