説明

吸音カーペット製造方法、及び製造装置

【解決する課題】本発明は、様々な場所で使用することが出来る吸音効果を有する吸音カーペットを連続して、経済的に製造する方法及び製造装置を提供する。
【課題を解決する手段】成形された吸音カーペットを引き取るための引き取りロール11と、原カーペットを加熱するカーペット加熱用ヒーター19が付設された圧着ロール12と、スパイク形成ロール15が付設されたスパイクロール13よりなる吸音カーペット製造装置100において、前記スパイクロール13の上面であって、スパイク形成ロール15の前方部に第1バッキング層の樹脂を押し出す第1の押出機14と、スパイク形成ロール15の後方部に第1バッキング層に孔を穿設するピン付きロール17を配設したことを特徴とする吸音カーペット製造装置100とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車や列車、航空機などの乗り物の床面に敷設されるカーペット、建物の室内や廊下の床面に敷設されるカーペット、コンピュータのオペレーション用チェアマット、部屋の出入口に敷設される床面用カーペット、エレベータ内やエレベータホールの開閉扉前に敷設される床面用カーペット、玄関カーペットなどに適用される防音カーペットで、優れた吸音効果を有する吸音カーペットの製造方法及び製造装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】自動車床面上には、フェルト層や不織布層よりなる吸音性能を有するカーペットが敷かれている。この自動車の床面に敷設される自動車用カーペットは不織基布にパイルを打ち込んだ繊維基材と、この繊維基材裏面に形成したバッキング層とから構成されていた。従来、自動車用カーペットにおけるバッキング層は、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂からなり、これが遮音層として機能するようになっていたため、この自動車用カーペットを自動車の床面上に載置した場合、車内で発生する騒音に対しては効果が認められた。しかし、風切り音などの車外からの騒音に対しては、自動車用カーペットのバッキング層によって跳ね返されてしまい、車外からの騒音についての十分な対策がなされていなかった。
【0003】
また、建物の室内や廊下の床面に敷設されるカーペットについても同様に、繊維基材裏面のバッキング層が遮音層となっていて、カーペット上面から伝播する騒音については、これを跳ね返してしまい、十分な吸音対策がなされていなかった。
【0004】
本発明者は、先に上記課題を解決するために優れた吸音性能を有する防音カーペットを提供した(特許文献1参照)。この防音カーペットは、繊維基材の裏面側にバッキング層を形成した防音カーペットであって、当該防音カーペットに、その表裏を貫通する多数の貫通孔を形成したことを特徴とする防音カーペットを要旨とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2002−238730号公報(1〜3頁、図1〜3)
繊維基材の裏面側にバッキング層を形成したカーペットは建物の室内や廊下の床面、あるいは、自動車の床面に敷設することによって、防音効果を有する吸音カーペットとしての効果は認められた。しかし、未だカーペットの表裏を貫通する多数の貫通孔を形成した吸音効果を有する吸音カーペットを連続して、経済的に製造する装置はなくその出現が望まれていた。
【0006】
【発明が解決する課題】 本発明は、上記事実に鑑みて、様々な場所で使用することが出来る吸音効果を有する吸音カーペットを連続して、経済的に製造する製造方法及び製造装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決する手段】上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の特徴を有する吸音カーペット製造方法とその装置を創成することに成功した。
【0008】
本発明の第1の特徴は、原カーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有するバッキング層を形成する工程と、バッキング層に貫通する孔を穿設する行程と、バッキング層に原カーペットを溶着する行程からなる吸音カーペットの製造方法である。スパイクを有するバッキング層を形成する工程と、バッキング層に貫通する孔を穿設する行程と、バッキング層に原カーペットを溶着する行程を一連の流れによって、経済的に吸音カーペットを製造することができる。
【0009】
本発明の第2の特徴は、バッキング層に孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程が近接していることを特徴とする請求項1記載の吸音カーペットの製造方法である。バッキング層に孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程を近接させることによって、熱効率が上がり、より経済的に吸音カーペットを製造することができる。
【0010】
本発明の第3の特徴は、原カーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有する第1バッキング層を形成する工程と、第1バッキング層に弾力性のある第2バッキング層を積層する行程と、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と、第2バッキング層に原カーペットを溶着する行程からなる吸音カーペットの製造方法である。第1バッキング層と第2バッキング層とそれらを貫通する孔を穿設して、原カーペットを溶着する行程を一連の工程により行うことによって、作業工程を短縮して熱効率をよくし、経済的に吸音効果の高い吸音カーペットを製造することができる。
【0011】
本発明の第4の特徴は、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程が第2バッキング層に近接していることを特徴とする請求項3に記載の吸音カーペットの製造方法である。第2バッキング層に近接した位置で、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設することにより、第1バッキング層に第2バッキング層を圧着させながら孔を穿設するので、第1バッキング層と第2バッキング層の結合を強くすることができる。
【0012】
本発明の第5の特徴は、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程が近接していることを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の吸音カーペットの製造方法である。第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程が近接することによって、熱効率をよくし、経済的に吸音効果の高い吸音カーペットを製造することができる。
【0013】
本発明の第6の特徴は、成形された吸音カーペットを引き取るための引き取りロールと、原カーペットを加熱するカーペット加熱用ヒーターが付設された圧着ロールと、スパイク形成ロールが付設されたスパイクロールよりなる吸音カーペット製造装置において、前記スパイクロールの上面であって、スパイク形成ロールの前方部に第1バッキング層の樹脂を押し出す第1の押出機と、スパイク形成ロールの後方部に第1バッキング層に孔を穿設するピン付きロールを配設したことを特徴とする吸音カーペット製造装置である。第1バッキング層となる第1押出機より押し出された樹脂原料はスパイク形成ロールによって、押しだされた樹脂原料が圧延されて第1バッキング層が形成されると同時に、第1バッキング層の底面にスパイクが形成される。次いで、スパイクロールの上面にピン付きロールを配設したことによって、第1バッキング層に均質な孔を穿設することが出来る。
【0014】
本発明の第7の特徴は、第1の押出機から離隔して第2バッキング層を形成する発泡剤を含有する軟質樹脂を押し出す第2押出機を配設したことを特徴とする請求項6記載の吸音カーペット製造装置である。スパイクロールの上面に第1の押出機と第2の押出機の2機の押出機を配設することによって、第1の押出機で押し出された原料を圧延し、その上面に第2の押出機から押し出されたより弾力性のある樹脂層を積層して、性質の異なる2種類のバッキング層を形成することができる。
【0015】
本発明の第8の特徴は、第1押出機と第2押出機の間にスパイク形成ロールが配設されていることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置である。第1押出機より押しだされた樹脂材料がスパイク形成ロールでスパイクロールに圧接されて、第1バッキング層の底面にスパイクを形成し、スパイクが形成された第1バッキング層の上面に第2の押出機から押し出されたより弾力性のある樹脂層を積層して、性質の異なる2種類のバッキング層を連続して形成することができる。
【0016】
本発明の第9の特徴は、第2押出機と圧着ロールとの間にピン付きロールを配設したことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置である。第2押出機から押し出されて成型された2層のバッキング層の表面にカーペットを溶着する前に、バッキング層に連続的に孔を穿設することが出来る。
【0017】
本発明の第10の特徴は、ピン付きロールと圧着ロールの間に溶着加熱用ヒーターを付設したことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置である。圧着ロールの前に溶着加熱用ヒーターを配設することによって、ピン付きロールで穿設されたバッキング層を溶着加熱用ヒーターでバッキング層の表面を溶融してカーペットが溶着し易くなるとともに、バッキング層にカーペットを連続的に溶着することが出来る。
【0018】
本発明の第11の特徴は、ピン付きロールに星型の形状のピンを設け、第1バッキング層と第2バッキング層に穿設される孔の形状が星型であることを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれかに記載の吸音カーペットの製造装置である。ピン付きロールに設けるピンの形状を星型にすることによって、吸音カーペットに星型の孔を穿設することができる。星型の孔は丸い孔に比較して水漏れがしにくく、優れた吸音効果が得られる。
【0019】
【発明の実施の態様】以下に本発明の吸音カーペット製造装置の態様について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
本発明の吸音カーペットの製造工程は、原カーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有する第1バッキング層を形成する工程と、第1バッキング層に弾力性のある第2バッキング層を積層する行程と、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と、第2バッキング層に原カーペットを溶着する行程からなる吸音カーペットの製造方法である。ここで、第1バッキング層を形成する行程と、第2バッキング層を形成する行程を個々に必要とするものではなく、第1バッキング層と第2バッキング層を一体として、最初から発泡性のあるバッキング層を形成することも可能である。
【0021】
また、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程が第2バッキング層に近接していることを特徴とする請求項1に記載の吸音カーペットの製造方法については、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程が第2バッキング層に近接していることは熱効率をよくし、より経済的に吸音カーペットを製造することができる。
【0022】
本発明の吸音カーペット製造装置100は図1に示すように、成形された吸音カーペットを引き取るための引き取りロール11と、原カーペットを加熱するためのカーペット加熱用ヒーター19が付設された圧着ロール12と、圧着ロール12の上面にスパイク形成ロール15が配設されたスパイクロール13よりなる。前記スパイクロール13の上面には第1バッキング層を形成するための第1の押出機14と、孔を穿設するためのピン付きロール17が配設されている。前記スパイクロール13の上面の第1の押出機14より押しだされた樹脂材料がスパイク形成ロール15によって、スパイクの形成と共に圧延されて第1バッキング層が形成される。次いで、第1バッキング層はピン付きロール17によって孔が穿設されながら第1バッキング層は溶着加熱用ヒーター18によって表面が溶融される。圧着ロール12から供給された原カーペットAはカーペット加熱用ヒーター18で加熱され、前記の溶融された第1バッキング層の表面に溶着され、原カーペットにバッキング層が溶着した吸音カーペットBが引き取りロール11により引き取られていく。
【0023】
第1バッキング層を形成する軟質樹脂として第1押出機に供給する樹脂は、例えば、スチレンーブタンジエンースチレン共重合体、アクリルニトリルーブタジエン系共重合体、ウレタン樹脂等の高分子、スチレンーブタンジエンゴム、アクリルニトリルーブタンジエンゴム、ブタンジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴム高分子、またはこれらを複数種混合したもの等を例示することが出来る。また、第1押出機に供給される軟質樹脂には必要に応じて充填剤、発泡剤、増粘剤、分散剤を加えてもよい。
【0024】
充填剤としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルローズ、タルク、水酸化アルミニウム、酸化アンチモンなどが例示できる。発泡剤としては、例えば脂肪酸石けん、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、Nーオクタデシルスルホコハク酸モノアミドジナトリウム等が挙げられる。増粘剤としては、例えばポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルローズ、ポリビニルアルコール、カゼイン、発酵多糖類等が挙げられるが、好ましくは低分子量のポリアクリル酸ソーダである。分散剤としては、例えばトリポリリン酸ソーダ、ヘキサメタリン酸ソーダ等が例示できる。
【0025】
第2押出機を設けた場合は図2に示すように、引き取りロール11とカーペット加熱用ヒーター19が付設された圧着ロール12とスパイクロール13の上面に第1押出機14とスパイク形成ロール15、次いで第2押出機17とピン付きロール17が配設される。前記スパイクロール13の前面の第1の押出機14より押しだされた樹脂材料が、スパイク形成ロール15によって下面にスパイクが形成されながら圧延されて第1バッキング層が形成される。スパイクが形成された第1バッキング層の上面に第2押出機16から発泡剤を含む樹脂材料が押しだされて弾力性のある第2バッキング層が形成される。次いで、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔がピン付きロール17によって穿設される。
【0026】
第1押出機14及び第2押出機16に供給される樹脂は、例えば、スチレンーブタンジエンースチレン共重合体、アクリルニトリルーブタジエン系共重合体、ウレタン樹脂等の高分子、スチレンーブタンジエンゴム、アクリルニトリルーブタンジエンゴム、ブタンジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴム高分子、またはこれらを複数種混合したもの等を例示することが出来る。また、第1押出機14と第2押出機16に供給される樹脂は同質であっても、異質であってもよく、これら押出機14、16に供給される樹脂に必要に応じて充填剤、発泡剤、増粘剤、分散剤を加えてもよい。本発明においては、第1押出機には樹脂と必要に応じて充填剤、増粘剤、分散剤を加え、第2押出機には樹脂と発泡剤と必要に応じて充填剤、増粘剤、分散剤を加えてバッキング層を形成した。
【0027】
第1押出機及び第2押出機の加熱温度は使用する樹脂の種類によって異なり、100度〜220度に加熱して第1原料供給路及び第2原料供給路より供給された樹脂原料を溶融しながら押しだしていく。第1バッキング層と第2バッキング層の張り合わせ溶着は、第2押出機の圧力とピン付きロールによって孔を穿設する行程によって張り合わせられる。ロールの表面に開口部を有し、開口部からロールの内面に向けてスパイクの形状を規定する型を有しているスパイクロールは10度〜50度に加熱されている。これは溶融した樹脂がスパイクロールの表面の開口部からスパイクの型に圧入された時、急激に冷却されることがなく、スパイクの形成を助成するための加熱である。
【0028】
第2押出機は低圧で押し出し、形成された発泡層を潰さないようにする必要がある。また、原カーペットに第2バッキング層を張り合わせる場合にも、発泡層を潰さないように温度を上げすぎず、圧力を掛けすぎないことが重要である。溶着加熱ヒーター18で加熱して、バッキング層に原カーペットを張り合わせる温度は70度から210度、好ましくは70度から150度である。
【0029】
図3は第1バッキング層と第2バッキング層に孔を穿設した後に、原カーペットを張り合わせる位置をピン付きロール17の近くに設けた例を示している。ピン付きロール17に圧着ロール12を近づけて設けることによって、溶着加熱用ヒーター18を省略することができる。第4図は圧着ロール12と引き取りロール11の間を広げた組み合わせを例示する。このように圧着ロール12と引き取りロール11の間を広げることによって、バッキング層が圧着されたカーペットへの余熱時間が長くなる効果を有しており、バッキング層に使用する樹脂の種類と原カーペットとの組み合わせ等によって、余熱時間を長くする必要がある場合に有効である。
【0030】
吸音カーペットの製造装置100は図5に示すように、第1押出機14と第2押出機16の間にスパイク形成ロール15が配設されている。スパイク形成ロール15は第1供給路20から第1バッキング層に用いる樹脂材料が供給され、第1押出機14より押し出された樹脂材料を圧延すると同時に、スパイクロール13に設けられた孔に樹脂を圧挿して第1バッキング層の下面にスパイクを形成する。次いで、第2供給路21から第2バッキング層に用いる発泡剤を含む樹脂材料が供給されて第2押出機16より押し出され、第1バッキング層の上面に弾力性のある層が積層される。次いで、ピン付きロール17で第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔が穿設される。ピン付きロール17によって第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔が穿設されたバッキング層は溶着加熱用ヒーター18によって表面が溶融され、この溶融された第2バッキング層の表面にカーペット加熱用ヒーターで加熱されたカーペットが溶着される。
【0031】
ピン付きロールに設けるピンの形状は図6に示すように、ピン付きロール17の表面に丸型のピン22を取り付けた場合は、丸型の孔23が形成される。バッキング層に形成される孔の形状は丸型に限定されず、例えば、星型のピン24を取り付けると、バッキング層に星型の孔25を穿設することができる。星型の孔25は丸型の孔23に比較して水漏れがしにくく、優れた吸音効果が得られる。このほか、バッキング層に穿設する孔の大きさ、深さ、間隔等は、カーペットの大きさ、厚さ、使用目的、用途等によって異なり、ピン付きロールを変更することによって適宜変更することが可能である。
【0032】
本発明の吸音カーペット製造装置100において、吸音カーペットに孔を穿設する行程は、第1押出機14または第2押出機16の後にピン付きロール17を配設してバッキング層の形成後に孔の穿設を行っているが、バッキング層に孔を穿設する行程はこれに限定されることはなく、バッキング層とカーペットを溶着させた後に行ってもよい。ただし、一端冷却された樹脂にピンで孔を穿設しても樹脂の弾力性のために孔が塞がってしまう問題がある。このため孔を穿設するためにピンの形状を孔を打ち抜くことができる形状に変える必要がある。
【0033】
吸音カーペットの製造でバッキング層に溶着するために使用される原カーペットは、特に限定されるものではないが、バッキング層に使用する樹脂と溶着させた場合に強固に溶着するものが望ましい。例えば、不織布、織物、編物あるいはこれらの一種若しくは2種を組み合わせた複合体等を使用することができる。
【0034】
図7は本発明の吸音カーペット製造装置100の別の形態を示すものである。図7に示すスパイクロール13には、スパイクを形成するための孔13aとバッキング層に孔を穿設するためのピン13bの両方が設けられており、第1押出機14から押しだされた樹脂が圧着ロール12でスパイクロール13に圧着されて、スパイクと孔が同時に形成された第1バッキング層を形成し、その上に第2押出機16から押しだされた発泡剤を含む樹脂が引き取りロール11により圧着されて、孔を穿設しながら第1バッキング層に積層される。第1バッキング層に積層された第2バッキング層に原カーペットが溶着される。
【0035】
上記に開示した製造方法、又は製造装置によって成型された吸音カーペットは、図8に示すように、カーペットの上部にカーペットの起毛部31を有し、その下にカーペットとバッキング層の溶着部32、次いで発泡性の樹脂よりなる弾力性のある第2バッキング層33が形成され、その底部にスパイク35を有する軟質樹脂により形成された第1バッキング層34を有する構造となっている。このようにカーペット32の下に弾力性のある第2バッキング層33と第1バッキング層34を設け、さらに第2バッキング層33と第1バッキング層34を貫通する孔36を穿設することによって、カーペットの音を吸収する効果がさらに高められた吸音カーペットを製造することができる。
【0036】
【発明の効果】 本発明の吸音カーペットの製造装置は、フロアカーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有するバッキング層を形成する工程と、バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と、バッキング層にカーペットを溶着する行程を一連の流れで吸音カーペットを製造する方法、製造装置を提供する。本発明の方法、及び製造装置によって、吸音カーペットを効率よく製造できると共に、より経済的に製造できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸音カーペット製造装置の側面図である。
【図2】押出機を2台設けた吸音カーペット製造装置の側面図である。
【図3】圧着ロールとピン付きロールを近接させた吸音カーペット製造装置の側面図である。
【図4】圧着ロールと引き取りロールの間隔を広げた吸音カーペット製造装置の側面図である。
【図5】吸音カーペット製造装置の斜視図である。
【図6】ピン付きロールとピンの形状を示す斜視図である。
【図7】形状の異なるスパイクロールを組み合わせた吸音カーペット製造装置の側面図である。
【図8】吸音カーペットの断面図である。
【符号の説明】
100:吸音カーペット製造装置
A:原カーペット
B:吸音カーペット
11:引き取りロール
12:圧着ロール
13:スパイクロール
14:第1押出機
15:スパイク形成ロール
16:第2押出機
17:ピン付きロール
18:溶着加熱用ヒーター
19:カーペット加熱用ヒーター
20:第1原料供給路
21:第2原料供給路
22:丸型のピン
23:丸型の孔
24:星型のピン
25:星型の孔
31:カーペットの起毛部
32:カーペットとバッキング層の溶着部分
33:第2バッキング層
34:第1バッキング層
35:スパイク
36:孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原カーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有するバッキング層を形成する工程と、バッキング層に貫通する孔を穿設する行程と、バッキング層に原カーペットを溶着する行程からなる吸音カーペットの製造方法。
【請求項2】
バッキング層に孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程が近接していることを特徴とする請求項1記載の吸音カーペットの製造方法。
【請求項3】
原カーペットの下面に溶着する軟質樹脂原料を圧延してスパイクを有する第1バッキング層を形成する工程と、第1バッキング層に弾力性のある第2バッキング層を積層する行程と、第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と、第2バッキング層に原カーペットを溶着する行程からなる吸音カーペットの製造方法。
【請求項4】
第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程が第2バッキング層に近接していることを特徴とする請求項3に記載の吸音カーペットの製造方法。
【請求項5】
第1バッキング層と第2バッキング層を貫通する孔を穿設する行程と原カーペットの溶着行程が近接していることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の吸音カーペットの製造方法。
【請求項6】
成形された吸音カーペットを引き取るための引き取りロールと、原カーペットを加熱するカーペット加熱用ヒーターが付設された圧着ロールと、スパイク形成ロールが付設されたスパイクロールよりなる吸音カーペット製造装置において、前記スパイクロールの上面であって、スパイク形成ロールの前方部に第1バッキング層の樹脂を押し出す第1の押出機と、スパイク形成ロールの後方部に第1バッキング層に孔を穿設するピン付きロールを配設したことを特徴とする吸音カーペット製造装置。
【請求項7】
第1の押出機から離隔して第2バッキング層を形成する発泡剤を含有する軟質樹脂を押し出す第2押出機を配設したことを特徴とする請求項6記載の吸音カーペット製造装置。
【請求項8】
第1押出機と第2押出機の間にスパイク形成ロールが配設されていることを特徴とする請求項6又は請求項7のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置。
【請求項9】
第2押出機と圧着ロールとの間にピン付きロールを配設したことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置。
【請求項10】
ピン付きロールと圧着ロールの間に溶着加熱用ヒーターを付設したことを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置。
【請求項11】
ピン付きロールに星型の形状のピンを設け、第1バッキング層と第2バッキング層に穿設される孔の形状が星型であることを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれかに記載の吸音カーペット製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−168073(P2007−168073A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−107312(P2003−107312)
【出願日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【出願人】(000149664)株式会社大和 (35)
【出願人】(592083993)有限会社八千代商事 (34)
【出願人】(592084004)有限会社祥永物産 (34)
【Fターム(参考)】