説明

吹付け塗布用耐水性自発光フィルム

本発明は、厚さが0.150〜1.560mmであり、上から下まで順に、インク受容層(1)、結合層(2)、及び蓄光性光ルミネセンスフィルム(3)を有し、該インク受容層(1)は、無機充填剤、接着剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、蛍光増白剤及び水を、ある割合で混合することによって調製される、吹付け塗布用耐水性自発光フィルムを提供する。該フィルムは、優れた耐水性、インク速乾性、インクジェット印刷後の鮮明な画像、及び高い色濃度を有する。該フィルムの表面上に模様又は文字を印刷した後、該フィルムは、外部の可視光線吸収後に自発光し、暗中で可視であり、且つ低照度の照明機能を有する。該フィルムは、家の装飾、ホテル、廊下、オフィスビル、映画館、倉庫、船室、地下通路、並びに、大規模な印刷及び高精細な模様を必要とする場所などの、様々な場面で幅広く使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工業技術の分野に属し、印刷及び複写用の表面材料、特に吹付け塗布用(spray−painted)耐水性自発光フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄光性発光フィルムは、発光輝度が高く耐用年数が長い、軟質のプラスチック発光フィルムである。蓄光性発光フィルムは、様々な設備及び物品の表面に固着させることができるので、家の装飾及び様々な公共の場所に使用することができる。そうした蓄光性光ルミネセンスフィルムは、表面上に優れた印刷特性を有し、様々な模様を表面上に印刷して基材発光を実現することができるが、印刷のみによる模様の施用は大量の労力及び物的資源を要し、廃品率が極めて高く、また複雑で鮮やかな、高精細の模様を印刷することが極めて困難である。それ故に、こうした物品の使用は大幅に制限され、より広い分野で使用することができず、また相当な無駄を作り出す。
【0003】
中国特許第1544252号は、プラスチックコーティングされた紙ベースの支持体及び耐水性インク受容層を含む、耐水性ハイライトインクジェット印刷媒体を開示している。プラスチックコーティングされた紙ベースの支持体は、水の浸透を長期間防止することが難しく、したがって真の耐水効果を実現することができない。加えて、該印刷媒体は斬新性に欠け、また夜間に発光効果がない。
【0004】
中国特許第1641103号は、蓄光性紙状フィルムを基材として含む印刷用印画紙を開示している。該媒体は様々な方法によって施用され、ポリエチレン樹脂である。該媒体は、一般的な高画質印画紙と同等の印刷指標を実現することができない。その上、該特許は最終的な耐水特性を記載していない。
【0005】
中国特許第2566305号は、蓄光性自発光フィルムを基材として含む自発光印画紙を開示している。該特許は、基材層が白色コーティング又は白色プラスチックフィルムであり、インク吸収層が基材層の上に施用されることを強調している。該特許は、該インク吸収層の配合及び耐水特性を記載していない。
【0006】
中国特許第2731501号は、新規のカラー印刷用印画紙を開示している。該印刷用印画紙は、発光プラスチックフィルムを基材として、また印刷用コーティングを含む。該印刷用印画紙には、吸水性に優れ、高濃度の印刷(saturated print)が可能であり、吸収力が大きいという利点がある。しかし、該特許は該印画紙の耐水特性を記載していない。
【0007】
したがってこれまでは、公開された文献及び技術に従って製造される全ての印刷用消耗材には、印刷色が十分に鮮やかではない、乾燥時間が長い、耐水性に乏しい、及び適用範囲が狭いという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れた耐水性、インク速乾性、インクジェット印刷後の鮮明な画像、高い色濃度、優れた発光性、及び優れた画像色再現効果を有する、吹付け塗布用耐水性自発光フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の技術的手段は、上から下まで順にインク受容層、結合層、及び蓄光性光ルミネセンスフィルムを含む、吹付け塗布用耐水性自発光フィルムであって、吹付け塗布用耐水性自発光フィルムの厚さは0.150〜1.560mmであり、インク受容層の厚さは0.008〜0.150mmであり、インク受容層の成分及びその重量パーセントは次のように、無機充填剤5.0〜30.0%、接着剤0.5%〜3.0%、色定着剤5.0〜30.0%、カップリング剤0.1〜2.0%、界面活性剤0.0〜5.0%、架橋剤0.1〜1.0%、蛍光増白剤0.0〜0.1%、及び残りが水であり、結合層は、厚さが0.002〜0.020mmであり、水溶性ポリマーからなり、蓄光性光ルミネセンスフィルムは、蓄光性発光材を含むプラスチックフィルムであり、厚さが0.140〜1.350mmであり、該蓄光性発光材は、様々なイオンによって活性化される、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硫化物発光材又はこれらの混合物であり、インク受容層及び蓄光性光ルミネセンスフィルムは結合層を介して接合されて、優れたインク吸収性を有する半透明コーティングを光ルミネセンス層の表面上に形成し、その結果、蓄光性光ルミネセンスフィルムがインク受容層を通してその発光特性を示し、画像表現及び発光特性を実現することが可能となる。
【0010】
インク受容層中の無機充填剤は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される、1〜3種の物質であり、該無機充填剤は、4000〜100000ナノメートルの粒径、及び120〜220m/gの比表面積を有する。
【0011】
接着剤は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン又はセルロースである。
【0012】
色定着剤は、第4級アンモニウム塩の陽イオン色定着剤塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アミンアルデヒド樹脂型ジシアンジアミドホルムアルデヒドポリマーの色定着剤Y、M;ポリアミン縮合体の色定着剤LA;フェノール縮合体の架橋・色定着剤DE;架橋・色定着剤インドソル(Indosol)CRである。
【0013】
カップリング剤は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選択されるシランカップリング剤である。
【0014】
架橋剤は、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸塩、グルタルアルデヒド、及びホルムアルデヒドからなる群から選択される。
【0015】
結合層中の成分は、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、水性ポリウレタン、ゼラチン、又はセルロースである。
【0016】
無機充填剤は、好ましくは、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される1〜3種の物質である。
【0017】
接着剤は、好ましくはポリビニルアルコールである。
【0018】
色定着剤は、好ましくは塩化ジメチルジアリルアンモニウムである。
【0019】
カップリング剤は、好ましくは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。
【0020】
架橋剤は、好ましくはホウ酸とホウ砂との混合物である。
【0021】
水溶性ポリマーは、好ましくはポリ酢酸ビニルである。
【0022】
界面活性剤は、無機充填剤の分散を促進し、インク受容層の表面状態を向上させることができる。界面活性剤は、ステアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤;第4級アンモニウム化合物などの陽イオン界面活性剤;レシチン、アミノ酸型、ベタイン型などの両性イオン界面活性剤;脂肪族グリセリド、脂肪族ソルビタン(スパン(Span))、ポリソルベート(ツイン(Tween))、ポリオキシエチレン型、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーなどの非イオン界面活性剤でもよい。
【0023】
蛍光増白剤は、ジフェニルエテン型、クマリン型、ピラゾリン型、ベンゾキサジン型、フタルイミド型でもよい。蛍光増白剤は、吹付け塗布された画像の色再現を反映することができるように、吹付け塗布用自発光フィルムの表面の白さを向上させるために加えられる。
【0024】
蓄光性光ルミネセンスフィルムは蓄光性発光材を含む。該蓄光性発光材は、様々なイオンによって活性化される、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硫化物発光材又はこれらの混合物である。吹付け塗布用自発光フィルムの異なる自発光色を実現するために、異なる発光材が選択される。
【0025】
吹付け塗布用耐水性自発光フィルムの製造方法は次のステップを含む:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の水溶液を調製するステップ;
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、500〜4000r/分の速度で0.5〜8時間分散させるステップ;
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、500〜4000r/分の速度で0.1〜3時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡するステップ;
4)ドクターコーティング、ロールコーティング、浸漬コーティング、ウェーブフロー押出(wave flow extrusion)、印刷、キャストコーティング又は吹付けコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、次いで乾燥オーブン内で25〜150℃で1〜10分間乾燥させ、製品を得るステップ。
【0026】
最終的なインク受容層のコーティング厚さは、乾燥フィルムの厚さに基づけば、0.008〜0.150mmである。最終的な吹付け塗布用耐水性自発光フィルムの厚さは0.150〜1.560mmである。
【発明の効果】
【0027】
本発明による方法によって製造される吹付け塗布用耐水性自発光フィルムは、従来の蓄光性光ルミネセンスフィルムの利点を有している。それに加えて、耐水性PVC材発光フィルムが基材として使用され、インク受容層中の主要樹脂(すなわち、架橋剤で処理された接着剤の水溶性ポリマー)が、稠密な耐水性三次元網目構造をインク受容層の構造中に形成するので、その結果、該吹付け塗布用耐水性自発光フィルムは、真の耐水性を実現し、且つ、優れた耐水性、インク速乾性、インクジェット印刷後の鮮明な画像、高い色濃度、暗中における光吸収後の自発光、優れた色再現効果、真の画像色などの利点を有するようになる。蓄光性光ルミネセンスフィルム製品は、家の装飾、ホテル、廊下、オフィスビル、映画館、倉庫、船室、地下通路、並びに大規模な印刷及び高精細な模様を必要とする場所などの、様々な場面で幅広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】吹付け塗布用耐水性自発光フィルムの構造概略図である。図中、1:インク受容層、2:結合層、3:蓄光性光ルミネセンスフィルムである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施例1
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩型蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 水酸化アルミニウム 27.4%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.7%
色定着剤 塩化ジメチルジアリルアンモニウム 11.7%
カップリング剤 3−アミノプロピルトリエトキシシラン 1.5%
界面活性剤 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.9%
架橋剤 ホウ酸 0.9%
蛍光増白剤 TA(ジフェニルエテン型) 0.1%
水 54.8%
【0030】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、2000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)ドクターコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0031】
ここでは、インク受容層の厚さは0.03mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.35mmであり、水酸化アルミニウムは45000ナノメートルの粒径及び150m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0032】
実施例2
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩型蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 水酸化アルミニウム 13.7%
二酸化ケイ素 13.7%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.75%
色定着剤 塩化ジメチルジアリルアンモニウム 11.65%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
1.46%
陽イオン界面活性剤 塩化ベンザルコニウム 0.95%
架橋剤 ホウ酸 0.9%
蛍光増白剤 TA(ジフェニルエテン型) 0.09%
水 54.8%
【0033】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、1000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、1000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)ロールコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0034】
ここでは、インク受容層の厚さは0.025mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.3mmであり、水酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素は各々100000ナノメートルの粒径及び190m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0035】
実施例3
蓄光性光ルミネセンスフィルム:青緑色光を発するアルミン酸塩型蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 二酸化ケイ素 27.7%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.75%
色定着剤 塩化ジメチルジアリルアンモニウム 11.9%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン 1.5%
架橋剤 グルタルアルデヒド 0.9%
水 55.25%
【0036】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、3000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、3000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)ウェーブフロー押出によって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0037】
ここでは、インク受容層の厚さは0.03mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.35mmであり、二酸化ケイ素は50000ナノメートルの粒径及び140m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0038】
実施例4
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩型蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 酸化アルミニウム 28.18%
接着剤 ポリビニルアルコール 1.46%
色定着剤 色定着剤Y 12%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン 1.5%
架橋剤 ホウ酸 0.47%
水 56.4%
【0039】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、2000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)浸漬コーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0040】
ここでは、インク受容層の厚さは0.025mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.30mmであり、酸化アルミニウムは45000ナノメートルの粒径及び156m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0041】
実施例5
蓄光性光ルミネセンスフィルム:青色光を発するケイ酸塩型蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 酸化アルミニウム 13.7%
二酸化ケイ素 13.7%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.75%
色定着剤 色定着剤Y 11.7%
カップリング剤 2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
1.46%
非イオン界面活性剤 アルキルアルコールポリオキシエチレンエーテルリン酸塩
0.9%
架橋剤 ホウ酸 0.9%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型 0.09%
水 54.8%
【0042】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、2000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)キャストコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0043】
ここでは、インク受容層の厚さは0.03mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.35mmであり、酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素は各々45000ナノメートルの粒径及び145m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0044】
実施例6
蓄光性光ルミネセンスフィルム:赤色光を発する硫化物の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 酸化アルミニウム 13.7%
水酸化アルミニウム 13.7%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.74%
色定着剤 LA 11.7%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
1.46%
非イオン界面活性剤 アルキルアルコールポリオキシエチレンエーテルリン酸塩
0.9%
架橋剤 ホウ酸 0.9%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型) 0.09%
水 54.8%
【0045】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2500r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、3000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)印刷によって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で6分間乾燥させ、製品を得る。
【0046】
ここでは、インク受容層の厚さは0.008mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.09mmであり、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムは各々55000ナノメートルの粒径及び130m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0047】
実施例7
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 酸化アルミニウム 9.13%
二酸化ケイ素 9.13%
水酸化アルミニウム 9.13%
接着剤 ポリビニルアルコール 2.76%
色定着剤 LA 11.7%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
1.46%
陽イオン界面活性剤 塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム
0.9%
架橋剤 ホウ酸 0.9%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型) 0.09%
水 54.9%
【0048】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、1500r/分の速度で8時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、1500r/分の速度で3時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)吹付けコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0049】
ここでは、インク受容層の厚さは0.04mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは1.5mmであり、水酸化アルミニウム及び二酸化ケイ素は各々60000ナノメートルの粒径及び160m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0050】
実施例8
蓄光性光ルミネセンスフィルム:青色光を発するケイ酸塩の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 酸化アルミニウム 30%
接着剤 ゼラチン 3%
架橋・色定着剤 DE 30%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン 2%
陽イオン界面活性剤 塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム 5%
架橋剤 ホウ酸 1%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型) 0.1%
水 28.9%
【0051】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、4000r/分の速度で0.5時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、4000r/分の速度で0.1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)キャストコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で25℃で10分間乾燥させ、製品を得る。
【0052】
ここでは、インク受容層の厚さは0.02mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは1mmであり、酸化アルミニウムは70000ナノメートルの粒径及び180m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0053】
実施例9
蓄光性光ルミネセンスフィルム:赤色光を発する硫化物の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 水酸化マグネシウム 5%
接着剤 ポリ酢酸ビニル 0.5%
架橋・色定着剤 DE 5%
カップリング剤 3−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.1%
架橋剤 ホウ砂 0.1%
水 89.3%
【0054】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、500r/分の速度で8時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、500r/分の速度で3時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)浸漬コーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で150℃で1分間乾燥させ、製品を得る。
【0055】
ここでは、インク受容層の厚さは0.035mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは1.2mmであり、水酸化マグネシウムは80000ナノメートルの粒径及び200m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0056】
実施例10
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 炭酸カルシウム 15%
接着剤 セルロース 1.5%
色定着剤 M 15%
カップリング剤 3−アミノプロピルトリエトキシシラン 1.5%
架橋剤 ホウ酸塩 0.5%
陽イオン界面活性剤 塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム 2.5%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型) 0.05%
水 63.95%
【0057】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、2000r/分の速度で2時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)エアドクターコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0058】
ここでは、インク受容層の厚さは0.01mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.35mmであり、炭酸カルシウムは90000ナノメートルの粒径及び220m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0059】
実施例11
蓄光性光ルミネセンスフィルム:黄緑色光を発するアルミン酸塩の蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルム
インク受容層の配合:
無機充填剤 炭酸バリウム 10%
炭酸マグネシウム 10%
接着剤 ポリビニルアルコール 2%
色定着剤 (インドソルCR) 20%
カップリング剤 3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン 1.5%
架橋剤 ホルムアルデヒド 0.5%
蛍光増白剤 AD(ピラゾリン型) 0.05%
水 55.95%
【0060】
操作:
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の接着剤の水溶液を調製する。
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、2000r/分の速度で4時間分散させる。
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、2000r/分の速度で1時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡する。
4)流延法によって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、乾燥オーブン内で50℃で3分間乾燥させ、製品を得る。
【0061】
ここでは、インク受容層の厚さは0.03mmであり、最終的な吹付け塗布用自発光フィルム製品の厚さは0.5mmであり、炭酸バリウム及び炭酸マグネシウムは各々40000ナノメートルの粒径及び120m/gの比表面積を有する。該製品の特性を決定した(下表に示す通り)。
【0062】
【表1】

【0063】
評価方法
インク吸収性:
人物写真をEPSONR270プリンタによって印刷し、黄色、マゼンタ、シアン、黒色、青色、ライトブルーの6色を試験した。印刷済写真に白色の複写用紙を重ねた後、穏やかに押しつけた。白色用紙上の印刷用インク量の程度を肉眼で観察した。プリンタは、水性染料のインクで印刷するように設計されていた。
A:重なりなし
B:重なり少し
C:重なりあけ
【0064】
耐水性:
100%シアン、100%マゼンタ、100%黄色、100%黒色で、1.5cm×1.5cmの4つのカラーブロックをEPSONR270プリンタによって印刷し、水栓下で30分間流水で洗浄し、穏やかに手で消した。表面の汚損状況を観察した。
A:表面は汚損されなかった
B:表面はやや汚損された
C:表面は汚損された
【0065】
にじみ:
100%シアン、100%マゼンタ、100%黄色、100%黒色で、2.5cm×2.5cmの4つのカラーブロックを印刷し、2群の白線、すなわちそれぞれ横線と垂直線を各カラーブロック上に分布させた。線の各群は、ピクセル単位で順に1、2、4、6、8、10及び12である、細幅から太幅までの異なる幅を有する7本の細線からなる。カラーブロックをEPSONR270プリンタによって印刷した後、印刷済写真をエージングオーブン(aging oven)(温度50℃及び湿度80%)に72時間入れた。白線を観察した。
A:1、2 鮮明
B:4、6 鮮明
C:8、10、12 鮮明
【0066】
光沢度:
光沢度は、光沢度計測器によって試験した。紙試料の光沢度が垂直方向と横方向で異なっていたので、各紙試料を異なる4方向で測定し、試料を測定が終わる度に45度の角度で回転させた。光沢度の数値は4回の測定の平均であった。
【符号の説明】
【0067】
1…インク受容層
2…結合層
3…蓄光性光ルミネセンスフィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上から下まで順に、インク受容層、結合層、及び蓄光性光ルミネセンスフィルムを含む吹付け塗布用耐水性自発光フィルムであって、
前記吹付け塗布用耐水性自発光フィルムの厚さが0.150〜1.560mmであり、前記インク受容層の厚さが0.008〜0.150mmであり、前記インク受容層の成分及びその重量パーセントが、次のように、無機充填剤5.0〜30.0%、接着剤0.5〜3.0%、色定着剤5.0〜30.0%、カップリング剤0.1〜2.0%、界面活性剤0.0〜5.0%、架橋剤0.1〜1.0%、蛍光増白剤0.0〜0.1%、及び残りが水であり、
前記結合層が、水溶性ポリマーからなり、且つ厚さが0.002〜0.020mmであり、前記蓄光性光ルミネセンスフィルムが、蓄光性発光材を含有するプラスチックフィルムであり、且つ厚さが0.140〜1.350mmであり、前記蓄光性発光材が、様々なイオンによって活性化される、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硫化物発光材又はこれらの混合物であることを特徴とする、
吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項2】
前記無機充填剤が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、及び炭酸マグネシウムからなる群から選択される1〜3種の物質であり、且つ、前記無機充填剤が、4000〜100000ナノメートルの粒径及び120〜220m/gの比表面積を有することを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項3】
前記接着剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン又はセルロースであることを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項4】
前記色定着剤が、第4級アンモニウム塩の陽イオン色定着剤塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アミンアルデヒド樹脂型ジシアンジアミドホルムアルデヒドポリマーの色定着剤Y、アミンアルデヒド樹脂型ジシアンジアミドホルムアルデヒドポリマーの色定着剤M、ポリアミン縮合体の色定着剤LA、フェノール縮合体の架橋・色定着剤DE、又は架橋・色定着剤インドソルCRであることを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項5】
前記カップリング剤が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選択されるシランカップリング剤であることを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項6】
前記架橋剤が、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸塩、グルタルアルデヒド、又はホルムアルデヒドであることを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項7】
前記水溶性ポリマーが、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、水性ポリウレタン、ゼラチン、又はセルロースであることを特徴とする、請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項8】
前記無機充填剤が、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び二酸化ケイ素からなる群から選択される1〜3種の物質であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項9】
前記接着剤がポリビニルアルコールであることを特徴とする、請求項1又は3に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項10】
前記色定着剤が塩化ジメチルジアリルアンモニウムであることを特徴とする、請求項1又は4に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項11】
前記カップリング剤が2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランであることを特徴とする、請求項1又は5に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項12】
前記架橋剤が、ホウ酸とホウ砂との混合物であることを特徴とする、請求項1又は6に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項13】
前記水溶性ポリマーがポリ酢酸ビニルであることを特徴とする、請求項1又は7に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルム。
【請求項14】
請求項1に記載の吹付け塗布用耐水性自発光フィルムを製造する方法であって、
1)接着剤の中に水を撹拌下で加えて均一に溶解させ、濃度が質量で10%の水溶液を調製するステップと、
2)無機充填剤、色定着剤、カップリング剤、界面活性剤、架橋剤、及び蛍光増白剤を水中に加えて均一に混合し、500〜4000r/分の速度で0.5〜8時間分散させるステップと、
3)接着剤の水溶液をゆっくりと加え、500〜4000r/分の速度で0.1〜3時間絶えず撹拌し、静止して使用のために消泡するステップと、
4)ドクターコーティング、ロールコーティング、浸漬コーティング、ウェーブフロー押出、印刷、キャストコーティング又は吹付けコーティングによって、蓄光性光ルミネセンスフィルムの表面上に結合層及びインク受容層を順次施用し、次いで乾燥オーブン内で25〜150℃で1〜10分間乾燥させ、製品を得るステップと
を含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−525277(P2012−525277A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507576(P2012−507576)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000579
【国際公開番号】WO2010/124526
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511071371)ダリアン ルーミングライト カンパニー リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】DALIAN LUMINGLIGHT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Gaoneng Street,Qixianling High−Tech Industrial Zone,Dalian,Liaoning 116025,CHINA
【Fターム(参考)】