説明

周波数オフセット推定装置、周波数オフセット推定方法及びデジタルコヒーレント受信器

【課題】送受信光源間の周波数オフセットの推定可能範囲を拡張する。
【解決手段】本発明に係る周波数オフセット推定装置20は、予め定められたタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期Tsymにおける位相変化量である第1周波数オフセット推定値aを推定する第1周波数オフセット推定部23と、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期Tsym/N(Nは2以上の整数)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値bを推定する第2周波数オフセット推定部24と、第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定値bと、に基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定する推定値補正部25と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数オフセット推定装置、周波数オフセット推定方法及びデジタルコヒーレント受信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、幹線系の長距離大容量通信において、従来からのDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing、高密度波長分割多重方式)に加えてデジタルコヒーレント伝送方式が用いられるようになりつつある。デジタルコヒーレント伝送方式とは、多値位相変調と電気段でのデジタル信号処理とを組み合わせた伝送方式である。また、100Gbps伝送(1chあたり)においては、偏波多重QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying:DP-QPSK)方式が有望とされている。
【0003】
下記の非特許文献1には、偏波多重QPSKデジタルコヒーレント伝送方式の受信側の信号処理ブロック構成が開示されている。この信号処理ブロック構成では、信号光の光源周波数(送信側光源の周波数)と受信側光源の周波数との間の周波数オフセットを推定し、この周波数オフセットを補償している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Chris R.S.Fludger,“Coherent Equalization and POLMUX-RZ-DQPSK for Robust 100-GE Transmission” Journal of lightwave technology Vol.26 no.1 January 1, 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記非特許文献1に記載された信号処理ブロック構成では、周波数オフセットの推定可能な範囲は、最大でもシンボル周波数の1/8に制限されるため、周波数オフセットを精度良く推定できない場合がある。例えば、光源の波長可変レーザでは、規格上、送受信光源間で最大5GHzの周波数オフセットまで許容されている。このため、例えば25Gbps×4chの場合、周波数オフセットの推定可能な範囲は最大でも3.125GHzとなり、規格上許容されている周波数オフセットの最大値に対応できない。
【0006】
そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、送受信光源間の周波数オフセットの推定可能範囲を拡張可能な周波数オフセット推定装置、周波数オフセット推定方法及びデジタルコヒーレント受信器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る周波数オフセット推定装置は、多値PSK変調方式における送受信光源間の周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置であって、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値を推定する第1周波数オフセット推定部と、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期/N(Nは2以上の整数)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値を推定する第2周波数オフセット推定部と、第1周波数オフセット推定値と第2周波数オフセット推定値とに基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定する第3周波数オフセット推定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この周波数オフセット推定装置においては、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値と、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期/Nにおける位相変化量である第2周波数オフセット推定値と、をそれぞれ推定している。第1周波数オフセット推定値は、第2周波数オフセット推定値よりもノイズが小さいが、周波数オフセットの推定可能範囲が第2周波数オフセット推定値よりも小さい。一方、第2周波数オフセット推定値は、周波数オフセットの推定可能範囲が第1周波数オフセット推定値のN倍であるが、第1周波数オフセット推定値よりもノイズが大きい。そこで、第1周波数オフセット推定値及び第2周波数オフセット推定値に基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定することで、ノイズを大きくすることなく周波数オフセットの推定可能範囲をN倍に拡張することが可能となる。
【0009】
また、第3周波数オフセット推定部は、第1周波数オフセット推定値と第2周波数オフセット推定値をN倍した値との差の絶対値が予め定められた閾値を超えた場合に、第1周波数オフセット推定部が周波数オフセットを推定可能な範囲の上限値及び下限値の差である推定可能値と第1周波数オフセット推定値とを演算して、送受信光源間の周波数オフセットとすることが好ましい。また、閾値は、π/Mラジアン(Mは多値度)であることが好ましい。
【0010】
この場合、第1周波数オフセット推定値と第2周波数オフセット推定値をN倍した値との差の絶対値と所定の閾値とを比較することで、送受信光源間の周波数オフセットが第1周波数オフセットの推定可能範囲を超えているか否かを判断できる。そして、第1周波数オフセット推定値と第2周波数オフセット推定値をN倍した値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、送受信光源間の周波数オフセットが第1周波数オフセットの推定可能範囲を超えていると判断することができる。このとき、第1周波数オフセット推定部の周波数オフセット推定可能範囲の上限値と下限値との差である推定可能値を第1周波数オフセット推定値に加算又は減算して送受信光源間の周波数オフセットとすることで、送受信光源間の周波数オフセット推定値を精度良く推定することができる。
【0011】
また、シンボル周期/Nの遅延要素を含むタップを有し、シンボル周期でタップ係数を更新することによってシンボル周期でのリサンプリングと、多値PSK復調信号を等化処理して出力する第1適応フィルタと、シンボル周期/Nの遅延要素を含むタップを有し、シンボル周期/Nでタップ係数を更新し、多値PSK復調信号を等化処理して出力する第2適応フィルタと、を更に備え、第1周波数オフセット推定部は、第1適応フィルタの出力に基づいて第1周波数オフセット推定値を推定し、第2周波数オフセット推定部は、第2適応フィルタの出力に基づいて第2周波数オフセット推定値を推定することが好ましい。
【0012】
この場合、シンボル周期でタップ係数が更新される第1適応フィルタの出力に基づいて、第1周波数オフセット推定値を推定することで、歪補償され、かつ、複素振幅が最も安定した最適点のサンプル値の偏角により推定が行われることにより、第1周波数オフセット推定値をより精度良く推定することができる。また、少なくともシンボル周期/Nでタップ係数が更新される第2適応フィルタの出力に基づいて、第2周波数オフセット推定値を推定することで、歪補償により第2周波数オフセット推定値をより精度良く推定することができる。その結果、送受信光源間の周波数オフセット推定値をより一層精度良く推定することが可能となる。
【0013】
また、第2適応フィルタのタップ数は、第1適応フィルタのタップ数より少ないことが好ましい。この場合、第2適応フィルタのタップ数を、第1適応フィルタのタップ数より少なくすることで、回路規模が増大化するのを抑えることができる。
【0014】
また、第2周波数オフセット推定部を停止する制御部を更に備え、制御部は、第3周波数オフセット推定部により推定された送受信光源間の周波数オフセットが、予め定められた期間において、予め定められた値より小さい場合、第2周波数オフセット推定部を停止することが好ましい。この場合、第3周波数オフセット推定部により推定された送受信光源間の周波数オフセットが、予め定められた期間において、予め定められた値より小さいか否かで、送受信光源間の周波数オフセットが安定しているか否かを判断することができる。そして、送受信光源間の周波数オフセットが安定していると判断された場合、第2周波数オフセット推定部を停止することで、消費電力の増加を抑制することが可能となる。
【0015】
また、多値PSK復調信号は、シンボル周期/Nでサンプリングされていることが好ましい。第2周波数オフセット推定値は、多値PSK復調信号のシンボル周期/Nにおける位相変化量であるから、多値PSK復調信号をシンボル周期/Nでサンプリングすることで、第2周波数オフセット推定値を精度良く推定することができる。
【0016】
また、多値PSK変調方式は、偏波多重QPSK変調方式であり、Nの値は、2であることが好ましい。この場合、第1周波数オフセット推定値及び第2周波数オフセット推定値に基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定することで、ノイズを大きくすることなく周波数オフセットの推定可能範囲を2倍に拡張できる。その結果、規格上許容されている周波数オフセットの最大値に対応することが可能となる。
【0017】
本発明のデジタルコヒーレント受信器は、上記周波数オフセット推定装置を備えることを特徴とする。本発明のデジタルコヒーレント受信器においては、ノイズを大きくすることなく周波数オフセットの推定可能範囲を拡張することが可能となる。
【0018】
本発明の周波数オフセット推定方法は、多値PSK変調方式における送受信光源間の周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置により実行される周波数オフセット推定方法であって、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値を推定する第1周波数オフセット推定ステップと、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期/N(Nは2以上の整数)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値を推定する第2周波数オフセット推定ステップと、第1周波数オフセット推定値と第2周波数オフセット推定値とに基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定する第3周波数オフセット推定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の周波数オフセット推定方法においては、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値と、所定のタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期/Nにおける位相変化量である第2周波数オフセット推定値と、をそれぞれ推定している。第1周波数オフセット推定値は、第2周波数オフセット推定値よりもノイズが小さいが、周波数オフセットの推定可能範囲が第2周波数オフセット推定値よりも小さい。一方、第2周波数オフセット推定値は、周波数オフセットの推定可能範囲が第1周波数オフセット推定値のN倍であるが、第1周波数オフセット推定値よりもノイズが大きい。そこで、第1周波数オフセット推定値及び第2周波数オフセット推定値に基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定することで、ノイズを大きくすることなく周波数オフセットの推定可能範囲をN倍に拡張することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、送受信光源間の周波数オフセットの推定可能範囲を拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るデジタルコヒーレント受信器の概略構成図である。
【図2】図1のデジタル信号処理部の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る周波数オフセット推定装置の概略構成図である。
【図4】バタフライ型FIRフィルタの構成例を示す図である。
【図5】FIRフィルタの構成例を示す図である。
【図6】第1周波数オフセット推定部の構成例を示す図である。
【図7】第2周波数オフセット推定部の構成例を示す図である。
【図8】図3の周波数オフセット推定装置の第1実施例を示す図である。
【図9】図3の周波数オフセット推定装置の第2実施例を示す図である。
【図10】図3の周波数オフセット推定装置の周波数オフセット推定処理を示すフローチャートである。
【図11】図1のデジタルコヒーレント受信器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、デジタルコヒーレント受信器の構成概略図である。デジタルコヒーレント受信器1は、例えば偏波多重QPSK変調された光信号(DP−QPSK信号)を受信し、元のシンボルを抽出する装置である。図1に示すように、デジタルコヒーレント受信器1は、ローカル光源2と、コヒーレント受信器3と、AD変換部4と、デジタル信号処理部5と、を備えている。ローカル光源2は、例えばレーザ発振器であって、デジタルコヒーレント受信器1が受信した光信号のキャリア周波数と略同じ周波数のローカル光(以下、「LO光」という。)を生成する。ローカル光源2は、LO光をコヒーレント受信器3に供給する。
【0024】
コヒーレント受信器3は、受信した光信号を二つの直交偏波成分(X偏波、Y偏波)に分離する。そして、コヒーレント受信器3は、光位相ハイブリッド回路等によって、ローカル光源2から受信したLO光の同相成分及び直交成分と、各偏波成分とを干渉させることによって、同相干渉成分(I成分)及び直交干渉成分(Q成分)を検波する。さらに、コヒーレント受信器3は、フォトダイオード等の光電変換回路によって、各偏波のI成分及びQ成分をそれぞれ電気信号に変換し、X−I信号、X−Q信号、Y−I信号及びY−Q信号として出力する。
【0025】
AD変換部4は、コヒーレント受信器3によって出力されたアナログ信号であるX−I信号、X−Q信号、Y−I信号及びY−Q信号をサンプリングし、デジタル信号に変換する。AD変換部4は、各信号について1シンボルあたり2サンプル出力する。すなわち、シンボル周期(1シンボル時間)TsymをT(秒)とすると、AD変換部4のサンプリング周期Tsは、T/2(秒)である。このAD変換部4は、複数のAD変換器41で構成されている。デジタル信号処理部5は、例えば信号処理演算を高速に実行する特定用途IC(ASIC)であって、AD変換部4によってサンプリングされたXI信号、XQ信号、YI信号及びYQ信号に対して、後述のデジタル信号処理を行う。
【0026】
図2は、デジタル信号処理部5の機能ブロックを示す図である。図2に示すように、デジタル信号処理部5は、波長分散補償部11と、クロックリカバリ部12と、偏波分離・PMD補償部13と、周波数オフセット推定部14と、周波数オフセット補償部15と、位相オフセット推定・補償部16と、シンボル判定部17と、を備えている。
【0027】
波長分散補償部11は、AD変換部4から受信した各デジタル信号に対して波長分散を補償する。この波長分散は、光ファイバ等の光伝送路において光信号の波長成分毎に異なる伝播時間が生じることにより発生し、時間的に変動しない線形の波形歪である。波長分散補償部11は、例えばタップ係数を固定したイコライザであって、波形歪の逆特性を有する。
【0028】
クロックリカバリ部12は、波長分散補償部11から出力されたデジタル信号に基づいてクロックタイミングを抽出する。クロックリカバリ部12は、例えば、Square法、CDR(Clock Data Recovery)回路等によりクロック信号を再生する。
【0029】
偏波分離・PMD補償部13は、クロックリカバリ部12から出力されたデジタル信号のX偏波成分Xin(XI+jXQ)及びY偏波成分Yin(YI+jYQ)に対して偏波分離、偏波モード分散(Polarization Mode Dispersion:PMD)の補償等の等化処理を行い、X側出力Xout及びY側出力Youtとして、周波数オフセット推定部14及び周波数オフセット補償部15に出力する。このPMDは、光ファイバ等の光伝送路において偏波成分毎に異なる伝播時間を生じることにより発生する。偏波分離・PMD補償部13は、例えばバタフライ型FIR(Finite Impulse Response)適応フィルタを用い、CMA(constant modulus algorithm)法等により適応フィルタのタップ係数を適応等化することによって、偏波分離、PMD補償等の線形歪補償を行う。
【0030】
周波数オフセット推定部14は、送信器の光源とデジタルコヒーレント受信器1のローカル光源2との周波数(光の波長に対応)のずれ(周波数オフセット)を推定する。詳細については、後述する。
【0031】
周波数オフセット補償部15は、周波数オフセット推定部14によって推定された周波数オフセットに基づいて、偏波分離・PMD補償部13から出力されたデジタル信号のX側出力Xout及びY側出力Youtの周波数オフセットに起因する位相回転を逆回転補正し、X側出力Xout’及びY側出力Yout’として、位相オフセット推定・補償部16に出力する。周波数オフセット補償部15は、例えば、推定された周波数オフセットの積分値に基づいて補償値を算出し、その補償値により補償対象のデジタル信号を逆回転(極座標にexp(−jφ)を乗算)することによって周波数オフセットの補償を行う。
【0032】
位相オフセット推定・補償部16は、周波数オフセット補償部15によって周波数オフセット補償された信号に対して、望ましいシンボル配置からの位相のずれ量(位相オフセット量)を推定する。そして、位相オフセット推定・補償部16は、推定した位相オフセットに基づいて、周波数オフセット補償部15から出力されたX側出力Xout’及びY側出力Yout’を補正し、シンボル判定部17に出力する。
【0033】
シンボル判定部17は、位相オフセット推定・補償部16から出力された各デジタル信号に基づいて、シンボルの値を判定する。
【0034】
ここで、本発明の周波数オフセット推定装置20について、詳細に説明する。図3は、周波数オフセット推定装置20の概略構成図である。図3に示すように、周波数オフセット推定装置20は、上述の偏波分離・PMD補償部13及び周波数オフセット推定部14の機能を備え、偏波分離・PMD補償及び周波数オフセット推定を並列に処理する。偏波分離・PMD補償部13は、第1適応フィルタ21及び第2適応フィルタ22を備えている。周波数オフセット推定部14は、第1周波数オフセット推定部23と、第2周波数オフセット推定部24と、推定値補正部(第3周波数オフセット推定部)25と、を備えている。
【0035】
第1適応フィルタ21は、サンプリング周期Tsがシンボル周期Tsymの半周期(T/2)である復調後の複素デジタル信号(X偏波成分Xin及びY偏波成分Yin)を入力信号として、偏波モード分散等の線形歪を補償する等化処理を行う。第1適応フィルタ21は、例えば偏波分離用として広く用いられているバタフライ型FIRフィルタである。図4は、第1適応フィルタ21の構成例を示す図である。図4に示すように、第1適応フィルタ21は、複数のFIRフィルタ31と、複数の加算器32と、を備えている。複数のFIRフィルタ31は、XX−FIRフィルタ31xx、XY−FIRフィルタ31xy、YX−FIRフィルタ31yx、及びYY−FIRフィルタ31yyを含んでいる。複数の加算器32は、X側加算器32x及びY側加算器32yを含んでいる。
【0036】
第1適応フィルタ21の入力信号のX偏波成分Xinは、XX−FIRフィルタ31xx及びYX−FIRフィルタ31yxに入力され、第1適応フィルタ21の入力信号のY偏波成分Yinは、XY−FIRフィルタ31xy及びYY−FIRフィルタ31yyに入力される。XX−FIRフィルタ31xxの出力及びXY−FIRフィルタ31xyの出力は、X側加算器32xに入力され、X側加算器32xによって加算される。そして、X側加算器32xの加算結果は、X側出力Xout1として出力される。YX−FIRフィルタ31yxの出力及びYY−FIRフィルタ31yyの出力は、Y側加算器32yに入力され、Y側加算器32yによって加算される。そして、Y側加算器32yの加算結果は、Y側出力Yout1として出力される。
【0037】
図5は、各FIRフィルタ31の構成例を示す図である。図5に示すように、FIRフィルタ31は、複数の遅延要素33と、複数の乗算器34と、総和演算器35と、を備えている。各遅延要素33は、それぞれの入力信号をサンプリング周期Ts(=T/2)だけ遅延させて、乗算器34及び次段の遅延要素33に出力する。乗算器34は、FIRフィルタ31の入力及び各遅延要素33の出力に対してそれぞれ設けられており、FIRフィルタ31の入力信号及び各遅延要素33の出力信号にタップ係数h〜hをそれぞれ乗算する。タップ係数h〜hは、CMA法等の更新アルゴリズムにより、シンボル周期Tsymと同一の周期で更新される。シンボル周期Tsymで更新することによって上記CMAアルゴリズムのエラー(誤差)が最小となり、複素振幅ばらつきを抑えることができる。このため、位相方向のノイズを小さくすることが可能となる。
【0038】
総和演算器35は、各乗算器34の演算結果の総和を演算し、検算結果をフィルタ出力として出力する。なお、第1適応フィルタ21は、1つの遅延要素33及び当該遅延要素33の出力に設けられた1つの乗算器34の組であるタップ(図5の点線部に相当)を、例えば15段有している。
【0039】
第2適応フィルタ22は、第1適応フィルタ21と同様に、サンプリング周期Tsがシンボル周期Tsymの半周期(T/2)である復調後の複素デジタル信号(X偏波成分Xin及びY偏波成分Yin)を入力信号として、偏波モード分散等を補償する等化処理を行い、X側出力Xout2及びY側出力Yout2として出力する。第2適応フィルタ22は、第1適応フィルタ21と同様の構成を有しており、例えば図4に示すバタフライ型FIRフィルタである。第2適応フィルタ22では、タップ係数hの更新周期はサンプリング周期Ts(=T/2)に設定されているため、以降の処理もT/2時間単位で実行することができる。
【0040】
第1周波数オフセット推定部23は、入力信号に基づいて第1周波数オフセットを検出し、検出した第1周波数オフセットによりシンボル周期Tsymに相当する期間Tに変化する位相量である第1周波数オフセット推定値aを算出する。この第1周波数オフセット推定部23は、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及びY側出力Yout1の少なくともいずれか一方に設けられている。
【0041】
図6は、第1周波数オフセット推定部23の構成例を示す図で、累乗法としてよく知られているものである。図6に示すように、第1周波数オフセット推定部23は、遅延回路51と、複素共役演算器52と、乗算器53と、m乗演算器54と、総和演算器55と、偏角演算器56と、を備え、m乗法により第1周波数オフセットを算出する。ここで、mの値は、変調方式に応じて決定され、例えば、QPSKでは4、16PSKでは16である。m乗演算器54及び偏角演算器56では、mの値として、変調方式に対応した値が設定されている。なお、図中の(・)は、入力信号を括弧内に代入することを示す記号である。
【0042】
第1周波数オフセット推定部23の入力信号は、第1適応フィルタ21から出力された複素デジタル信号(X側出力Xout1、Y側出力Yout1)であって、図6には、この複素デジタル信号を極座標表示したrjθ1(n)が入力信号として記載されている。なお、nは、n番目の信号を示し、θ1(n)は、n番目の信号の位相を示す。遅延回路51は、入力信号をシンボル周期Tsymだけ遅延させる。複素共役演算器52は、遅延回路51によって遅延された入力信号の複素共役を計算する。乗算器53は、入力信号に、複素共役演算器52によって計算された複素共役を乗算する。この遅延回路51、複素共役演算器52及び乗算器53により、n番目の信号の位相とn+2番目の信号の位相との差分が算出される。すなわち、遅延回路51の遅延時間であるシンボル周期Tsymあたりの位相回転量が算出される。
【0043】
m乗演算器54は、乗算器53の出力をm乗する。総和演算器55は、m乗演算器54のL個の出力の総和を計算する。これにより、乗算器53のL個の出力について平均値(移動平均)が算出されることになり、雑音成分が除去される。総和を計算する出力の個数Lの値は、雑音成分を除去可能な程度に大きな値に設定されている。偏角演算器56は、総和演算器55の出力(複素デジタル信号)の偏角を計算し、その偏角を「m」で除算する。以上の演算により、第1周波数オフセット推定値aが算出される。
【0044】
第2周波数オフセット推定部24は、入力信号に基づいて第2周波数オフセットを検出し、検出した第2周波数オフセットによりシンボル周期Tsymの半周期に相当する期間T/2に変化する位相量である第2周波数オフセット推定値bを算出する。この第2周波数オフセット推定部24は、第2適応フィルタ22のX側出力Xout2及びY側出力Yout2の少なくともいずれか一方に設けられている。
【0045】
図7は、第2周波数オフセット推定部24の構成例を示す図である。図7に示すように、第2周波数オフセット推定部24は、第1周波数オフセット推定部23と同様の構成を有しており、遅延回路51に代えて遅延回路51aを備える点が異なる。第2周波数オフセット推定部24の入力信号は、第2適応フィルタ22から出力された複素デジタル信号(X側出力Xout2、Y側出力Yout2)であって、図7には、この複素デジタル信号を極座標表示したrjθ2(n)が入力信号として記載されている。なお、nは、n番目の信号を示し、θ2(n)は、n番目の信号の位相を示す。
【0046】
遅延回路51aは、入力信号を時間T/2だけ遅延させる。遅延回路51a、複素共役演算器52及び乗算器53により、n番目の信号の位相とn+1番目の信号の位相との差分が算出される。すなわち、遅延回路51aの遅延時間である時間T/2あたりの位相回転量が算出される。第1周波数オフセット推定部23と同様に、乗算器53の出力に対して、m乗演算器54、総和演算器55、偏角演算器56が順に演算を行い、第2周波数オフセット推定値bが算出される。なお、第2周波数オフセット推定値bは、第1周波数オフセット推定値aと比較して雑音成分が大きい。このため、総和演算器55において総和を計算する出力の個数Lは、第1周波数オフセット推定部23よりも大きく設定されるのが好ましい。
【0047】
推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定部23によって推定された第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定部24によって推定された第2周波数オフセット推定値bと、に基づいて、送受信光源間の周波数オフセットを推定する。推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定値bと、に基づいて、補正値γを決定する。そして、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aに補正値γを加算して補正し、周波数オフセット推定値FEとして出力する。
【0048】
周波数オフセット推定値FEの推定方法を具体的に説明する。第1周波数オフセット推定値aは送受信光源間の周波数オフセットによるシンボル周期Tsymに相当する期間Tの位相変化量を示し、第2周波数オフセット推定値bは送受信光源間の周波数オフセットによる時間T/2の間の位相変化量を示す。したがって、第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定値bを2倍した値2bとは、本来同じ値を示すはずである。しかしながら、第1周波数オフセット推定部23の周波数オフセットの推定可能範囲である第1推定可能範囲は、±π/4[rad/symbol]である。このため、第1周波数オフセット推定部23は、第1推定可能範囲を超える周波数オフセットをπ/2[rad/symbol]の整数倍の誤差を含んで推定することになる。
【0049】
一方、第2周波数オフセット推定部24の周波数オフセットの推定可能範囲である第2推定可能範囲は、シンボル周期Tsymの半周期に相当する期間T/2において、±π/4[rad/0.5symbol]であり、シンボル周期Tsymに相当する期間Tにおいて、±π/2[rad/symbol]である。したがって、第2周波数オフセット推定部24は、第1推定可能範囲を超える周波数オフセットであっても、第2推定可能範囲内であれば正しく推定することができる。
【0050】
そこで、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと値2bとの差分d(=a−2b)を算出する。そして、推定値補正部25は、その差分dの絶対値が予め設定された閾値以下か否かを判定する。振幅・位相ノイズが全くない理想的なケースにおいて、差分dはπ/2の整数倍であるので、閾値は0とπ/2の中間の値が好ましく、例えばπ/4に設定されている。差分dの絶対値が予め設定された閾値以下であれば、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲内であると判定し、補正値γを0[rad/symbol]に設定する。すなわち、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aを周波数オフセット推定値FEとして出力する。
【0051】
差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが負の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の上限を超えていると判定し、補正値γを+π/2[rad/symbol]に設定する。すなわち、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aにπ/2[rad/symbol]加算した値を周波数オフセット推定値FEとして出力する。差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが正の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の下限を超えていると判定し、補正値γを−π/2[rad/symbol]に設定する。すなわち、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aからπ/2[rad/symbol]減算した値を周波数オフセット推定値FEとして出力する。
【0052】
次に、周波数オフセット推定装置20の具体的な適用例を、第1実施例及び第2実施例を用いて説明する。なお、周波数オフセット補償部15の構成は、周波数オフセット推定装置20の構成により異なるため、周波数オフセット補償部15についても併せて説明する。
【0053】
(第1実施例)
図8は、周波数オフセット推定装置20の第1実施例を示す図である。第1実施例では、周波数オフセット推定装置20は、周波数オフセット推定部14として、X側周波数オフセット推定部14xとY側周波数オフセット推定部14yとを備えている。偏波分離・PMD補償部13は、図3に示した偏波分離・PMD補償部13と同様であるので、説明を省略する。第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及び第2適応フィルタ22のX側出力Xout2は、X側周波数オフセット推定部14xに供給される。また、第1適応フィルタ21のY側出力Yout1及び第2適応フィルタ22のY側出力Yout2は、Y側周波数オフセット推定部14yに供給される。また、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及びY側出力Yout1は、周波数オフセット補償部15に供給される。
【0054】
X側周波数オフセット推定部14x及びY側周波数オフセット推定部14yは、いずれも図3に示した周波数オフセット推定部14と同様の構成を有している。X側周波数オフセット推定部14xにおいて、第1周波数オフセット推定部23は、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1に基づいてX側第1周波数オフセット推定値aを推定する。また、第2周波数オフセット推定部24は、第2適応フィルタ22のX側出力Xout2に基づいてX側第2周波数オフセット推定値bを推定する。そして、推定値補正部25はX側第1周波数オフセット推定値aとX側第2周波数オフセット推定値bとに基づいて、X側周波数オフセット推定値FEを出力する。
【0055】
Y側周波数オフセット推定部14yにおいて、第1周波数オフセット推定部23は、第1適応フィルタ21のY側出力Yout1に基づいてY側第1周波数オフセット推定値aを推定する。また、第2周波数オフセット推定部24は、第2適応フィルタ22のY側出力Yout2に基づいてY側第2周波数オフセット推定値bを推定する。そして、推定値補正部25はY側第1周波数オフセット推定値aとY側第2周波数オフセット推定値bとに基づいて、Y側周波数オフセット推定値FEを出力する。
【0056】
周波数オフセット補償部15は、周波数オフセット推定装置20から出力されたX側周波数オフセット推定値FE及びY側周波数オフセット推定値FEに基づいて、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及びY側出力Yout1の周波数オフセット補償を行う。具体的に説明すると、周波数オフセット補償部15は、加算器26と、遅延要素27と、補償値計算部28と、乗算器29とを、X側及びY側にそれぞれ備えている。
【0057】
加算器26x及び遅延要素27xは、X側の積分回路であって、シンボル周期Tsymに相当する時間T毎にX側周波数オフセット推定部14xから出力されるX側周波数オフセット推定値FEを累積加算する。補償値計算部28xは、加算器26xの演算結果φに基づいて、X側補償値exp(−jφ)を算出する。乗算器29xは、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1に、X側補償値exp(−jφ)を乗算する。周波数オフセット補償部15は、乗算器29xの乗算結果を、周波数オフセットが補償されたX側出力Xout’として出力する。
【0058】
加算器26y及び遅延要素27yは、Y側の積分回路であって、シンボル周期Tsymに相当する時間T毎にY側周波数オフセット推定部14yから出力されるY側周波数オフセット推定値FEを累積加算する。補償値計算部28yは、加算器26yの演算結果φに基づいて、Y側補償値exp(−jφ)を算出する。乗算器29yは、第1適応フィルタ21のY側出力Yout1に、Y側補償値exp(−jφ)を乗算する。周波数オフセット補償部15は、乗算器29yの乗算結果を、周波数オフセットが補償されたY側出力Yout’として出力する。
【0059】
このように、第1実施例では、周波数オフセット推定装置20は、X偏波成分及びY偏波成分のそれぞれに基づいて、周波数オフセット推定値FEを算出している。そして、周波数オフセット補償部15は、各周波数オフセット推定値FEを用いて、X偏波成分及びY偏波成分の周波数オフセットを補償している。
【0060】
(第2実施例)
図9は、周波数オフセット推定装置20の第2実施例を示す図である。X側周波数オフセット推定値FEの時間平均とY側周波数オフセット推定値FEの時間平均との間に大きな違いはないことから、第2実施例では、周波数オフセット推定装置20は、X側周波数オフセット推定値FE及びY側周波数オフセット推定値FEのいずれか一方を用いて周波数オフセットを補償する。周波数オフセット推定部14として、X側周波数オフセット推定部14xのみを備えている。偏波分離・PMD補償部13は、図3に示した偏波分離・PMD補償部13と同様であるので、説明を省略する。第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及び第2適応フィルタ22のX側出力Xout2は、X側周波数オフセット推定部14xに供給される。また、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及びY側出力Yout1は、周波数オフセット補償部15に供給される。X側周波数オフセット推定部14xは、第1実施例の周波数オフセット推定部14xと同様の構成を有し、X側周波数オフセット推定値FEを出力する。
【0061】
周波数オフセット補償部15は、周波数オフセット推定装置20から出力されたX側周波数オフセット推定値FEに基づいて、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1及びY側出力Yout1の周波数オフセット補償を行う。具体的に説明すると、周波数オフセット補償部15は、加算器26xと、遅延要素27xと、補償値計算部28xと、乗算器29xと、を備えている。第1実施例と同様に、加算器26xと、遅延要素27xと、及び補償値計算部28xとによって、X側周波数オフセット推定値FExに基づいてX側補償値exp(−jφ)が算出される。
【0062】
乗算器29xは、第1適応フィルタ21のX側出力Xout1に、X側補償値exp(−jφ)を乗算する。乗算器29yは、第1適応フィルタ21のY側出力Yout1に、X側補償値exp(−jφ)を乗算する。そして、周波数オフセット補償部15は、乗算器29x及び乗算器29yの乗算結果を、周波数オフセットが補償されたX側出力Xout’及びY側出力Yout’として出力する。
【0063】
このように、第2実施例では、周波数オフセット推定装置20は、X偏波成分に基づいて、X側周波数オフセット推定値FEを算出している。そして、周波数オフセット補償部15は、X側周波数オフセット推定値FEを用いて、X偏波成分及びY偏波成分の周波数オフセットを補償している。
【0064】
次に、図10を参照して、周波数オフセット推定装置20の動作について説明を行う。図10は、周波数オフセット推定装置20により実行される周波数オフセット推定処理を示すフローチャートである。この処理は、デジタルコヒーレント受信器1が起動した場合と、チャネルが切り替えられた場合と、周波数オフセット推定値FEが短時間で大きく変動した場合と、周波数オフセット推定値FEが長時間の平均値から一定量はずれた場合等に開始される。
【0065】
まず、第1周波数オフセット推定部23は、QPSK復調信号のシンボル周期Tsymにおける位相変化量である第1周波数オフセット推定値aを推定する(S01,第1周波数オフセット推定ステップ)。また、第2周波数オフセット推定部24は、QPSK復調信号のシンボル周期Tsymの半分(T/2)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値bを推定する(S02,第2周波数オフセット推定ステップ)。
【0066】
次に、推定値補正部25は、S01において推定された第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定値bと、に基づいて送受信光源間の周波数オフセットを推定し(S03,第3周波数オフセット推定ステップ)、周波数オフセット推定値FEとして出力する。例えば、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと、第2周波数オフセット推定値bと、に基づいて、補正値γを決定する。そして、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aに補正値γを加算して補正し、周波数オフセット推定値FEとして出力する。
【0067】
次に、デジタルコヒーレント受信器1及び周波数オフセット推定装置20の作用効果について、説明する。
【0068】
光源の波長可変レーザでは、規格上、送受信光源間で最大5GHzの周波数オフセットまで許容されている。このため、例えば100G偏波多重QPSK変調方式(25Gbps×4ch)の場合、周波数オフセットの推定可能な範囲は3.125GHzであるため、規格上許容されている周波数オフセットの最大値に対応できない。周波数オフセットが3GHzを超えない状態を保持する対応が考えられるが、定期的にキャリブレーレョンを実施して光源周波数を微調整する等の作業が必要となり、コスト増につながる。また、位相変化量のモニタ周期を短くして推定可能範囲を拡大する場合、1シンボル周期内において複数ポイントサンプリングしなければならない。この場合、サンプリングポイントにおける複素振幅ばらつきによる位相ノイズが大きくなり、周波数オフセットの推定の精度が劣化してしまうという問題がある。
【0069】
これに対し、デジタルコヒーレント受信器1及び周波数オフセット推定装置20において、第1周波数オフセット推定部23は、偏波多重QPSK復調信号のシンボル周期Tsymにおける位相変化量である第1周波数オフセット推定値aを推定する。また、第2周波数オフセット推定部24は、偏波多重QPSK復調信号のシンボル周期Tsymの半分T/2における位相変化量である第2周波数オフセット推定値bを推定する。
【0070】
第1周波数オフセット推定値aは、第2周波数オフセット推定値bよりもノイズが小さいが、周波数オフセットの推定可能範囲が±π/4[rad/symbol]であり、第2周波数オフセット推定値bの推定可能範囲±π/2[rad/symbol]よりも小さい。一方、第2周波数オフセット推定値bは、周波数オフセットの推定可能範囲が第1周波数オフセット推定値aの2倍であるが、第1周波数オフセット推定値aよりもノイズが大きい。そこで、第1周波数オフセット推定値a及び第2周波数オフセット推定値bに基づいて、送受信光源間の周波数オフセット推定値FEを推定することによって、定期的にキャリブレーレョンを実施して光源周波数を微調整する等の作業を行うことなく、周波数オフセットの推定可能範囲を2倍に拡張することが可能となる。
【0071】
すなわち、周波数オフセット推定値FEのアナログ的なノイズ特性を第1周波数オフセット推定値aにより決定し、第1周波数オフセット推定部23の推定可能範囲の超過を第2周波数オフセット推定値bにより検知することによって、周波数オフセット推定可能範囲を2倍に拡大できる。その結果、100G偏波多重QPSK変調方式のデジタルコヒーレント伝送において、シンボルレート25GS/sの場合、推定可能範囲は約6.2GHzとなり、光源の規格(送受信)5GHzをカバーすることが可能となる。
【0072】
推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bを2倍した値との差分dの絶対値が、例えばπ/4[rad/symbol]を超え、差分dが負の値である場合に、第1周波数オフセット推定値aにπ/2[rad/symbol]を加算して、送受信光源間の周波数オフセット推定値FEとする。また、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bを2倍した値との差分dの絶対値が、例えばπ/4[rad/symbol]を超え、差分dが正の値である場合に、第1周波数オフセット推定値aからπ/2[rad/symbol]を減算して、送受信光源間の周波数オフセット推定値FEとする。
【0073】
この推定値補正部25によれば、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bを2倍した値との差分dの絶対値が閾値π/4[rad/symbol]を超えた場合に、送受信光源間の周波数オフセットが第1周波数オフセット推定部23の周波数オフセット推定可能範囲を超えていると判断することができる。このとき、第1周波数オフセット推定部23の周波数オフセット推定可能範囲の上限値と下限値との差である推定可能値π/2[rad/symbol]を第1周波数オフセット推定値aに加算又は減算して送受信光源間の周波数オフセット推定値FEとすることで、送受信光源間の周波数オフセット推定値を精度良く推定することができる。
【0074】
(変形例)
周波数オフセット推定装置20を図3に示す構成とした場合、高速で動作する第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24等によって消費電力が増大してしまう。そこで、消費電力を削減可能な変形例について説明する。図11は、デジタルコヒーレント受信器1の変形例を示す図である。この変形例では、デジタルコヒーレント受信器1は、制御部6及び記憶部7を更に備えており、周波数オフセット推定装置20に代えて、周波数オフセット推定装置20aを備えている。
【0075】
周波数オフセット推定装置20aは、図3に示した周波数オフセット推定装置20と比較して、動作モード切替機能を更に備えている点で相違する。周波数オフセット推定装置20aは、制御部6からディスエーブル信号Disを受信すると、低電力モードに切り替わる。また、周波数オフセット推定装置20aは、制御部6からのディスエーブル信号Disがオフになると、補正動作モードに切り替わる。
【0076】
ここで、低電力モードとは、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24の動作を停止するモードを意味する。周波数オフセット推定装置20aは、例えば、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24に対するクロック信号の供給停止、電源の供給停止等により第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24の動作を停止する。また、周波数オフセット推定装置20aは、ディスエーブル信号Disを受信すると、低電力モードに切り替える前に、推定値補正部25の補正値γ(−π/2、0、+π/2)を固定する。また、補正動作モードとは、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24が動作し、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bとに基づいて、第1周波数オフセット推定値aを補正するモードを意味する。
【0077】
制御部6は、例えばマイクロコントローラであって、周波数オフセット推定装置20aの動作モードを制御する。制御部6は、周波数オフセット推定装置20aから周波数オフセット推定値FEを受信し、例えばディスエーブル信号Disをオン/オフすることによって、周波数オフセット推定装置20aに動作モード切替の指示を行う。制御部6は、例えば、ローパスフィルタ(不図示)を通過した周波数オフセット推定値FEの変化量が、予め設定された期間(例えば100μsec)において、予め設定された範囲(例えば0.5GHz)内である場合、周波数オフセット推定値FEが安定したと判断する。あるいは、制御部6は、ローパスフィルタを通過した周波数オフセット推定値FEが平均値に対して予め設定された値(例えば0.5GHz)以内である場合、周波数オフセット推定値FEが安定したと判断する。そして、制御部6は、周波数オフセット推定値FEが安定したと判断すると、ディスエーブル信号Disをオンにして補正値γを固定し、周波数オフセット推定装置20aを低電力モードに切り替える。
【0078】
制御部6は、例えば、デジタルコヒーレント受信器1が起動した場合と、チャネルが切り替えられた場合と、ローパスフィルタを通過した周波数オフセット推定値FEの変化量が、予め設定された期間(例えば100μsec)において、予め設定された範囲(例えば0.5GHz)を超えた場合と、ローパスフィルタを通過した周波数オフセット推定値FEが、平均値に対して予め設定された値(例えば0.5GHz)以上である場合とに、ディスエーブル信号Disをオフにして周波数オフセット推定装置20aを補正動作モードに切り替える。
【0079】
制御部6は、周波数オフセット推定装置20aから出力された周波数オフセット推定値FEを受信し、周波数オフセット推定値FEのDC成分(長期平均)をチャネル毎に不揮発性メモリ等の記憶部7に記憶する。また、制御部6は、デジタルコヒーレント受信器1の起動時、又はチャネル切り替え時に、記憶部7から周波数オフセットのDC成分の推定値を読み出し、ローカル光源2のLO光周波数をファインチューニングする。
【0080】
上述の変形例によれば、デジタルコヒーレント受信器1が起動した場合と、チャネルが切り替えられた場合と、周波数オフセット推定値FEが短時間で大きく変動した場合と、周波数オフセット推定値FEが平均値から一定量外れた場合のいずれかにおいて第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24を動作させる。このため、周波数オフセット推定値FEが安定している場合には、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24の動作を停止することによって、消費電力を削減することができる。
【0081】
なお、本発明に係る周波数オフセット推定装置、デジタルコヒーレント受信器、及び周波数オフセット推定方法は本実施形態に記載したものに限定されない。例えば、第2周波数オフセット推定部24の周波数オフセット推定精度は、移動平均した後の誤差が±π/4[rad/symbol]の範囲にあればよい。このため、第2適応フィルタ22の出力の振幅誤差は、第1適応フィルタ21の出力と比べて緩和することが可能である。よって、第2適応フィルタ22のタップ数は、第1適応フィルタ21のタップ数より小さくしてもよい。この場合、T/2のスループットを実現するための回路規模増大を抑制することが可能となる。
【0082】
また、上記実施形態では、偏波多重QPSK変調方式により送受信を行っているが、これに限定されない。例えば、偏波多重を行わないQPSK変調方式とすることもできる。この場合、第1適応フィルタ21及び第2適応フィルタ22は、図5に示した構成とすることができる。
【0083】
また、デジタルコヒーレント受信器1は、QPSK変調方式以外の多値PSK変調方式(M−PSK変調方式)で変調された光信号を受信することもできる。この場合、第1周波数オフセット推定部23の第1推定可能範囲の上限値と下限値との差である第1推定可能値は、2π/M[rad/symbol]である。ここで、送受信光源間の周波数オフセットが第1推定可能範囲内であるか否かを判定するための閾値は、第1推定可能値より小さく、0より大きい値であって、例えば(第1推定可能値)/2=π/M[rad/symbol]とする。まず、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと値2bとの差分dを算出する。そして、推定値補正部25は、差分dの絶対値が閾値以下であれば、周波数オフセットが第1推定可能範囲内であると判定し、補正値γを0[rad/symbol]に設定する。差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが負の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の上限を超えていると判定し、補正値γを+2π/M[rad/symbol]に設定する。すなわち、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aに2π/M[rad/symbol]を加算した値を周波数オフセット推定値FEとして出力する。差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが正の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の下限を超えていると判定し、補正値γを−2π/M[rad/symbol]に設定する。すなわち、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aから2π/M[rad/symbol]を減算した値を周波数オフセット推定値FEとして出力する。このようにすることで、多値PSK変調方式においても、送受信光源間の周波数オフセットの推定可能範囲を2倍に拡大することが可能となる。
【0084】
また、上記実施形態では、第2周波数オフセット推定部24は、シンボル周期Tsymの半周期に相当する期間T/2に変化する位相量である第2周波数オフセット推定値bを算出しているが、シンボル周期Tsymの1/N周期(シンボル周期/N)(Nは2以上の整数)に相当する期間T/Nの位相変化量である第2周波数オフセット推定値bを算出してもよい。この場合、第2周波数オフセット推定部24は、遅延回路51aの遅延量をT/Nとすることにより、シンボル周期Tsymの1/N周期に相当する期間T/Nの位相変化量である第2周波数オフセット推定値bを算出する。推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bをN倍した値との差分d(d=a−N×b)を算出する。そして、推定値補正部25は、差分dの絶対値が閾値以下であれば、周波数オフセットが第1推定可能範囲内であると判定し、第1周波数オフセット推定値aを周波数オフセット推定値FEとして出力する。
【0085】
差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが負の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の上限を超えていると判定し、以下の加算補正処理を行う。まず、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aに2π/M[rad/symbol]を加算した値を第1周波数オフセット推定値aとする。そして、推定値補正部25は、再度第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bをN倍した値との差分dの絶対値が閾値を超えているか否かを判定する。差分dの絶対値が閾値以下であれば、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aを周波数オフセット推定値FEとして出力する。一方、差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが負の値である場合、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aに更に2π/M[rad/symbol]を加算した値を第1周波数オフセット推定値aとする。このように、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bをN倍した値との差分dの絶対値が閾値以下となるまで上記加算補正処理を繰り返す。
【0086】
差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが正の値である場合、推定値補正部25は、周波数オフセットが第1推定可能範囲の下限を超えていると判定し、以下の減算補正処理を行う。まず、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aから2π/M[rad/symbol]を減算した値を第1周波数オフセット推定値aとする。そして、推定値補正部25は、再度第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bをN倍した値との差分dの絶対値が閾値を超えているか否かを判定する。差分dの絶対値が閾値以下であれば、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aを周波数オフセット推定値FEとして出力する。一方、差分dの絶対値が閾値より大きく、差分dが正の値である場合、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aから更に2π/M[rad/symbol]を減算した値を第1周波数オフセット推定値aとする。このように、推定値補正部25は、第1周波数オフセット推定値aと第2周波数オフセット推定値bをN倍した値との差分dの絶対値が閾値以下となるまで上記減算補正処理を繰り返す。
【0087】
なお、第1適応フィルタ21及び第2適応フィルタ22の遅延要素33の遅延量は、それぞれシンボル周期Tsymの1/N(=T/N)であり、第2適応フィルタ22のタップ係数の更新周期は、少なくともシンボル周期Tsymの1/Nと同一周期とする。また、第1適応フィルタ21及び第2適応フィルタ22の入力信号は、多値PSK復調信号のシンボル周期Tsymの1/Nのサンプリング周期Tsによりサンプリングしたデジタル信号とすることができる。このようにすることで、多値PSK変調方式において、送受信光源間の周波数オフセットの推定可能範囲をN倍に拡大することが可能となる。
【0088】
また、上記変形例において、周波数オフセット推定装置20aの動作モード切替指示を、ディスエーブル信号Disのオン/オフに代えて、イネーブル信号のオン/オフにより行ってもよい。また、イネーブル信号及びディスエーブル信号Disを用い、イネーブル信号がオンの場合、周波数オフセット推定装置20aは動作モードを補正動作モードにし、ディスエーブル信号Disがオンの場合、周波数オフセット推定装置20aは動作モードを低電力モードとしてもよい。また、低電力モードにおいて、周波数オフセット推定装置20aは、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24を停止することに代えて、第2適応フィルタ22又は第2周波数オフセット推定部24を停止してもよく、あるいは、第2適応フィルタ22及び第2周波数オフセット推定部24に供給する電流量を小さくしてもよい。
【0089】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【符号の説明】
【0090】
1…デジタルコヒーレント受信器、2…ローカル光源、4…AD変換部、5…デジタル信号処理部、6…制御部、20,20a…周波数オフセット推定装置、21…第1適応フィルタ、22…第2適応フィルタ、23…第1周波数オフセット推定部、24…第2周波数オフセット推定部、25…推定値補正部(第3周波数オフセット推定部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多値PSK変調方式における送受信光源間の周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置であって、
予め定められたタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値を推定する第1周波数オフセット推定部と、
前記多値PSK復調信号のシンボル周期/N(Nは2以上の整数)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値を推定する第2周波数オフセット推定部と、
前記第1周波数オフセット推定値と、前記第2周波数オフセット推定値と、に基づいて、前記送受信光源間の周波数オフセットを推定する第3周波数オフセット推定部と、
を備える周波数オフセット推定装置。
【請求項2】
前記第3周波数オフセット推定部は、前記第1周波数オフセット推定値と前記第2周波数オフセット推定値を前記N倍した値との差の絶対値が、予め定められた閾値を超えた場合に、前記第1周波数オフセット推定部が周波数オフセットを推定可能な範囲の上限値及び下限値の差である推定可能値と、前記第1周波数オフセット推定値とを演算して、前記送受信光源間の周波数オフセットとし、
前記閾値は、前記推定可能値より小さく0より大きい値であることを特徴とする請求項1に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項3】
前記シンボル周期/Nの遅延要素を含むタップを有し、少なくとも前記シンボル周期でタップ係数を更新し、前記多値PSK復調信号を等化処理して出力する第1適応フィルタと、
前記シンボル周期/Nの遅延要素を含むタップを有し、少なくとも前記シンボル周期/Nでタップ係数を更新し、前記多値PSK復調信号を等化処理して出力する第2適応フィルタと、
を更に備え、
前記第1周波数オフセット推定部は、前記第1適応フィルタの出力に基づいて前記第1周波数オフセット推定値を推定し、
前記第2周波数オフセット推定部は、前記第2適応フィルタの出力に基づいて前記第2周波数オフセット推定値を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項4】
前記第2適応フィルタのタップ数は、前記第1適応フィルタのタップ数より少ないことを特徴とする請求項3に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項5】
前記第2周波数オフセット推定部を停止する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記第3周波数オフセット推定部により推定された前記送受信光源間の周波数オフセットが、予め定められた期間において、予め定められた値より小さい場合、前記第2周波数オフセット推定部を停止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項6】
前記多値PSK復調信号は、前記シンボル周期/Nでサンプリングされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項7】
前記多値PSK変調方式は、偏波多重QPSK変調方式であり、
前記Nの値は、2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の周波数オフセット推定装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の周波数オフセット推定装置を備えるデジタルコヒーレント受信器。
【請求項9】
多値PSK変調方式における送受信光源間の周波数オフセットを推定する周波数オフセット推定装置により実行される周波数オフセット推定方法であって、
予め定められたタイミングでサンプリングされた多値PSK復調信号のシンボル周期における位相変化量である第1周波数オフセット推定値を推定する第1周波数オフセット推定ステップと、
前記多値PSK復調信号のシンボル周期/N(Nは2以上の整数)における位相変化量である第2周波数オフセット推定値を推定する第2周波数オフセット推定ステップと、
前記第1周波数オフセット推定値と、前記第2周波数オフセット推定値と、に基づいて、前記送受信光源間の周波数オフセットを推定する第3周波数オフセット推定ステップと、
を備える周波数オフセット推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−248944(P2012−248944A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117013(P2011−117013)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】