説明

呼接続装置、呼接続方法、および呼接続プログラム

【課題】ユーザが端末操作を行うことなく、特定のエリアにいる通信端末への着信を規制するとともに、当該通信端末への重要な連絡を取り逃すことを防止する。
【解決手段】呼接続装置1は、通信端末毎にアドレスと特定アドレスであるか否かを識別するアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶手段13と、通信端末から送信された呼接続要求で指定された着信先のアドレスおよびアドレス識別情報をロケーション情報記憶手段13から検索し、アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、着信先に呼接続を行うとともに、アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、発信元の通信端末とデータ蓄積処理手段14とを接続する呼接続処理手段11と、発信元の通信端末から送信される着信先宛のデータを蓄積するデータ蓄積処理手段14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続技術に関し、特に、特定のエリアに存在する通信端末への呼接続を規制する呼接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンサート会場や講演会など、多数の聴衆が集まる場所で、携帯電話などの着信音はマナー違反であり、周囲に迷惑を与えるため制限されている場合がある。そのため、ユーザは、携帯電話の「電源を切る」、「マナーモードにする」、「留守電設定にする」などの操作を行うことが必要であり、主催者側からも事前に呼びかけられることが多い。
【0003】
なお、特許文献1には、携帯電話端末機器が、マナーモードを強制的に解除して着信音を鳴らす、マナーモード機能の強制解除方法が記載されております。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−125009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話の着信音を防止するため行う「電源を切る」、「マナーモードにする」、「留守電設定にする」などの操作は、いずれも携帯電話を所持するユーザの操作が必要であり、操作をし忘れる場合がある。
【0006】
また、「電源を切る」場合、着信があったことがわからず、重要な連絡を聞き逃す可能性がある。「マナーモード」については、着信音は聞こえないが、会話をしなければ連絡内容がわからないため、着信に応答して通話すると、周りに迷惑をかけることになる。
【0007】
「留守電設定」については、ユーザが自らの録音状況を確認するか、録音時にメールでユーザに通知するなどの手段があるが、録音状況を確認するためにはユーザ操作が必要となり、メール通知の場合にはメール受信音が鳴るので、着信音と同様に周囲に迷惑をかけることになる。
【0008】
また、その他の方法として、コンサート会場や講演会場などの会場・設備自体を通信不可能な状態とすることで、携帯電話への着信を防止することができるが、重要な連絡を受けられない事態が発生してしまう。
【0009】
すなわち、電話自体はできない状態にする必要があるが、重要な連絡については取り逃したくないという要望には対応できていない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ユーザが端末操作を行うことなく、特定のエリアにいる通信端末への着信を規制するとともに、当該通信端末への重要な連絡を取り逃すことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続装置であって、通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶手段と、発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶手段から検索し、前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末とデータ蓄積処理手段とを接続する呼接続処理手段と、前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積するデータ蓄積処理手段とを有する。
【0012】
また、本発明は、通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続方法であって、呼接続装置は、通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶部を有し、発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶部から検索する検索ステップと、前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末からの呼接続要求を着信する接続ステップと、前記アドレス識別情報がオンの場合、前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積する蓄積ステップと、を行う。
【0013】
また、本発明は、コンピュータが実行する通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続プログラムであって、前記コンピュータは、通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶部を有し、前記コンピュータに、発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶部から検索する検索ステップと、前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末からの呼接続要求を着信する接続ステップと、前記アドレス識別情報がオンの場合、前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積する蓄積ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが端末操作を行うことなく、特定のエリアにいる通信端末への着信を規制するとともに、特定のエリアにいる通信端末宛のデータを蓄積することにより、当該通信端末への重要な連絡を取り逃すことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る呼制御システムの構成図である。
【図2】呼接続装置の動作および記憶部の情報を模式的に示す図である。
【図3】呼接続装置のロケーション情報登録処理を示すフローチャートである。
【図4】通信端末のロケーション情報登録処理を示すシーケンス図である。
【図5】通信端末のロケーション情報登録処理を示すシーケンス図である。
【図6】呼接続装置の呼接続処理を示すフローチャートである。
【図7】通信端末の呼接続処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る呼接続システムの一例を示す図である。本実施形態の呼接続システムは、IP(Internet Protocol)網などのネットワーク9内に設置された呼接続装置1と、複数の通信端末2、3とを有する。
【0018】
通信端末2、3は、音声、映像、テキストなどデータを通信可能な端末であって、IP網または移動体網などを介して呼接続装置1と接続される。通信端末2、3は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などにより、ネットワーク9と接続するためのアドレスが変更可能な通信端末であるものとする。また、通信端末2、3には、例えば、携帯電話、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)などを用いることが考えられる。
【0019】
呼接続装置1は、ネットワーク9内に設置され、通信端末2、3からの呼接続要求信号を受信すると、当該呼接続要求信号内に含まれる着信番号に対応する接続先へ呼接続要求信号を送信し、要求元の通信端末と接続先との間の通信を確立する。
【0020】
呼接続処理部11は、通信端末2、3から受信した呼接続要求信号の解析・接続先判定を行い、接続先へ信号を送信する。また、呼接続処理部11は、通信端末2、3から受信したロケーション情報登録要求信号を解析し、ロケーション情報記憶部13にロケーション情報を記憶する。
【0021】
特定アドレス情報記憶部12には、強制的にデータ蓄積処理部14に接続するアドレス情報が記憶される。ロケーション情報記憶部13には、端末番号毎に、通信端末2、3から送信されるロケーション情報登録要求信号に基づいてロケーション情報が記憶される。
【0022】
データ蓄積処理部14は、通信端末2、3から送信される音声、映像、テキストなどデータを当該データ蓄積処理部14が備える記憶部(不図示)に記憶・蓄積する。また、データ蓄積処理部14は、呼接続処理部11からの指示に基づいて、蓄積されたデータを通信端末2、3に送信する。なお、データ蓄積処理部14は、呼接続装置1とは別の装置(別の筐体)であってもよい。
【0023】
上記説明した呼接続装置1および通信端末2、3は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、呼接続装置1および通信端末2、3の各機能は、呼接続装置1用のプログラムの場合は呼接続装置1のCPUが、そして、通信端末2、3用のプログラムの場合は通信端末2、3のCPUがそれぞれ実行することにより実現される。
【0024】
図2は、呼接続装置1の各部の動作および各記憶部に記憶されている情報を、模式的に示す図である。
【0025】
図2(a)は、通信端末2、3がロケーション情報登録要求信号を呼接続装置1に送信した場合の動作を示すものである。呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求信号を受信すると、当該信号に含まれる自通信端末のアドレス(例えば、IPアドレス)が特定アドレス情報記憶部12に記憶された特定アドレスのいずれかと一致するか否かを検索する。
【0026】
特定アドレス情報記憶部12には、図示するように複数の特定アドレスが記憶されている。本実施形態では、通信端末2、3への着信を許可しない特定の場所(例えば、コンサート会場、講演会場など)にいる通信端末に割り当てられるアドレスを、特定アドレスとしてあらかじめ特定アドレス情報記憶部12に記憶しておく。
【0027】
また、呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求信号に設定された自通信端末のアドレスと、当該アドレスのアドレス識別情報とをロケーション情報記憶部13に登録する。
【0028】
ロケーション情報記憶部13には、図示するように各通信端末の端末番号(例えば、電話番号)毎に、アドレスとアドレス識別情報とが記憶されている。アドレス識別情報は、対応するアドレスが、着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するための情報であって、当該アドレスが特定アドレスの場合は「on」が設定され、当該アドレスが特定アドレス以外の場合は「off」が設定される。
【0029】
図示するロケーション情報記憶部13では、端末番号「1001」の通信端末は、着信不可の特定エリアに存在し、端末番号「1002」の通信端末は、着信可能な通常エリアに存在していることを示している。
【0030】
図2(b)は、通信端末2、3が呼接続要求信号を呼接続装置1に送信した場合の動作を示すものである。呼接続処理部11は、呼接続要求信号を受信すると、当該信号に含まれる着信先の端末番号に対応するアドレスおよびアドレス識別情報をロケーション情報記憶部13から取得する。
【0031】
そして、取得したアドレス識別情報が「off」の場合、呼接続処理部11は、取得したアドレスの通信端末(着信先)に呼接続要求信号を送信して、通常の呼接続処理を行う。一方、取得したアドレス識別情報が「on」の場合、呼接続処理部11は、強制的にデータ蓄積処理部14に代理着信させ、呼接続要求信号を送信した発信元の通信端末とデータ蓄積処理部14とを接続する。データ蓄積処理部14は、発信元の通信端末から送信される、着信先の通信端末宛のデータ(音声、映像、テキスト等)を蓄積する。
【0032】
次に、本実施形態のロケーション情報登録処理について、詳細に説明する。
【0033】
図3は、呼接続装置1が行うロケーション情報登録処理のフローチャートである。
【0034】
呼接続装置1の呼接続処理部11は、各通信端末2、3から、ロケーション情報登録要求(信号)を受信する(S11)。通信端末は、端末番号およびDHCPサーバ等から割り当てられたアドレスを含むロケーション情報登録要求を、所定のタイミングで呼接続装置1に送信する。なお、DHCPサーバは、アクセスしてきた通信端末に当該通信端末の位置に応じたアドレスを割り当て、当該アドレスを通知する。
【0035】
呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求に含まれるアドレスと、特定アドレス情報記憶部12に記憶されたアドレス情報とを比較する(S12)。ロケーション情報登録要求に含まれるアドレスが、特定アドレス情報記憶部12に記憶された特定アドレスのいずれかと一致する場合(S13:一致)、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末は、着信不可の特定エリアに存在している、または着信可能な通常エリアから特定エリアに移動したことになる。
【0036】
この場合、呼接続処理部11は、当該アドレスをロケーション情報記憶部13に格納し(S14)、当該アドレスのアドレス識別情報を「on」に設定する(S15)。すなわち、呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求に含まれる端末番号に対応するアドレスを当該要求に含まれるアドレスに更新し、対応するアドレス識別情報を「on」に更新する。そして、呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末に、当該要求に対する応答を送信する(S16)。
【0037】
一方、ロケーション情報登録要求に含まれるアドレスが、特定アドレス情報記憶部12に記憶されたアドレスのいずれにも一致しない場合(S13:不一致)、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末のユーザは、着信が規制されない着信可能な通常エリアに存在する。
【0038】
この場合、呼接続処理部11は、当該アドレスをロケーション情報記憶部13に格納する(S17)。すなわち、呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求に含まれる端末番号に対応するアドレスを、当該要求に含まれるアドレスに更新する。
【0039】
そして、呼接続処理部11は、ロケーション情報記憶部13から、ロケーション情報登録要求に含まれる端末番号に対応するアドレス識別情報を検索し、取得する。ここで取得されるアドレス識別情報は、前回のロケーション情報登録要求時に送信されたアドレスに対するアドレス識別情報である。
【0040】
この前回のアドレス識別情報が「off」の場合(S18:off)、要求元の通信端末のユーザは、前回のロケーション情報登録要求の時も着信可能な通常エリアに存在したことになる。この場合、ロケーション情報記憶部13の対応するアドレス識別情報が既に「off」であるため、呼接続処理部11は、当該アドレス識別情報を変更することなく、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末に、当該要求に対する応答を送信する(S16)。
【0041】
また、前回のドレス識別情報が「on」の場合(S18:on)、要求元の通信端末のユーザは、前回のロケーション情報登録要求時には着信不可の特定エリアにおり、そこから移動して現在は着信可能な通常エリアにいることになる。呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末に、当該要求に対する応答を送信する(S19)。
【0042】
そして、呼接続処理部11は、要求元の通信端末と、データ蓄積処理部14とを接続し、要求元の通信端末とデータ蓄積処理部14との間の通信を確立する。データ蓄積処理部14は、呼接続処理部11から通知された要求元の通信端末の端末番号に対応する音声、映像などデータが当該データ蓄積処理部14の記憶部に蓄積されている場合、当該データを要求元の通信端末に送信する(S20)。
【0043】
そして、呼接続処理部11は、ロケーション情報記憶部13の要求元の通信端末に対応するアドレス識別情報を「on」から「off」に更新する(S21)。
【0044】
なお、S15において、呼接続処理部11がロケーション情報記憶部13のアドレス識別情報を「on」に更新する際に、更新前(前回)のアドレス識別情報が「off」である場合、すなわち「off」から「on」に更新する場合には、当該通信端末は着信可能な通常エリアから着信不可の特定エリアに移動したことになる。そのため、呼接続処理部11は、現在、着信不可の特定エリアにいることをユーザに通知するためのガイダンスを当該通信端末に送信することとしてもよい。通信端末2は、送信されたガイダンスを、スピーカーなどの出力装置から出力する。
【0045】
次に、通信端末2、3側でのロケーション情報登録処理について説明する。
【0046】
図4は、着信不可の特定エリアに存在するユーザAの通信端末2(端末番号:1001)が、呼接続装置1にロケーション情報登録要求を行う処理のシーケンス図である。この場合、通信端末2に割り当てられているアドレスは、特定アドレス情報記憶部12に登録されている特定アドレスであるものとする。
【0047】
まず、通信端末2は、ロケーション情報登録要求を呼接続装置1に送信する(S41)。このロケーション情報登録要求には、自通信端末2の端末番号と、自通信端末2に割り当てられたアドレスとが設定されている。
【0048】
呼接続装置1の呼接続処理部11は、図3で説明したように、通信端末2から送信されたアドレスが特定アドレス情報記憶部12に登録されているか否かを検索・判別する(S42)。図4に示す例では、特定アドレス情報記憶部12に登録されている。
【0049】
そして、呼接続処理部11は、当該アドレスをロケーション情報記憶部13に格納し、当該アドレスのアドレス識別情報を「on」に設定する(S43)。そして、呼接続処理部11は、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末に、登録が成功したこと通知する応答を送信する(S44)。
【0050】
図5は、着信不可の特定エリアから、着信可能な通常のエリアに移動したユーザAの通信端末2(端末番号:1001)が、呼接続装置1にロケーション情報登録要求を行う処理のシーケンス図である。この場合、現時点において、通信端末2に割り当てられているアドレスは、特定アドレス情報記憶部12に登録されていない通常のアドレスである。
【0051】
まず、通信端末2は、ロケーション情報登録要求を呼接続装置1に送信する(S61)。ロケーション情報登録要求には、自通信端末2の端末番号と、自通信端末2に割り当てられたアドレスとが設定されている。
【0052】
呼接続装置1の呼接続処理部11は、図3で説明したように、通信端末2から送信されたアドレスがロケーション情報記憶部13に登録されているか否かを検索・判別する(S62)。図5に示す例では、当該アドレスは、特定アドレス情報記憶部12に登録されていない。
【0053】
そして、呼接続処理部11は、当該アドレスをロケーション情報記憶部13に格納し(S63)、ロケーション情報登録要求を送信した通信端末に、登録が成功したこと通知する応答を送信する(S64)。
【0054】
図5に示す例では、通信端末2は、着信不可の特定エリアから着信可能な通常エリアへ移動したものであるため、アドレス識別情報は、前回の「on」から「off」に更新される(図3のS18:on)。そのため、呼接続処理部11は、データ蓄積処理部14と通信端末2とを接続する。
【0055】
すなわち、呼接続処理部11は、通信端末2との接続要求をデータ蓄積処理部14に送信(送出)し(S65)、データ蓄積処理部14は、応答を呼接続処理部11に送信(送出)する(S66)。また、呼接続処理部11は、発番号をデータ蓄積処理部14の番号とし、着番号を通信端末2の端末番号とする呼接続要求を、通信端末2に送信し(S67)、通信端末2は、応答を呼接続処理部11に送信する(S68)。これにより、通信端末2とデータ蓄積処理部14との間で呼が接続され、通信可能な状態となる。
【0056】
そして、データ蓄積処理部14は、通信端末2のアドレス識別情報が「on」の間(着信不可の特定エリアにいた間)に、当該データ蓄積処理部14に蓄積された当該通信端末2宛の蓄積データ(音声、映像など)を、通信端末2に送信する(S69)。通信端末2は、送信された蓄積データを、スピーカー、ディスプレイなどの出力装置から出力する。
【0057】
以上説明したロケーション情報登録処理を行うことにより、ユーザが通信端末を操作することなく、通信不可の特定エリアにいる通信端末への着信を規制することができるため、ユーザの利便性を向上することができる。また、通信可能な通常エリアに移動したタイミングで、通信不可の特定エリアにいる間に当該通信端末に対して送信されたデータ(録音メッセージなど)を受信することができるため、重要な連絡を取り逃すことを防止することができる。
【0058】
次に、他の通信端末への呼接続処理について説明する。
【0059】
図6は、呼接続装置1が行う、他の通信端末への呼接続処理のフローチャートである。 呼接続装置1の呼接続処理部11は、所定の通信端末から、呼接続要求を受信する(S81)。この呼接続要求には、発信側の通信端末の端末番号(以下、「発番号」)と、着信側の通信端末の端末番号(以下、「着番号」)とが含まれる。
【0060】
呼接続処理部11は、ロケーション情報記憶部13から当該着番号に対応するアドレスおよびアドレス識別情報を取得する(S82)。アドレスが設定されていない場合(S83:無)は、呼接続処理部11は、S81で受信した呼接続要求を切断し、処理を終了する(S84)。なお、ロケーション情報記憶部13にアドレスが設定されてない場合としては、例えば、通信端末の電源がoffになっている場合、また通信端末が電波の届かないところにある場合などが考えられる。
【0061】
アドレスが設定されている場合(S83:有)、呼接続処理部11は、取得したアドレス識別情報が「on」であるか「off」であるかを判別する(S85)。「on」の場合(S85:on)、着信側の通信端末は、着信不可の特定エリアに存在している。そのため、呼接続処理部11は、着信側の通信端末に呼を接続することなく、強制的にデータ蓄積処理部14と発信側の通信端末とを接続し、データ蓄積処理部14に代理着信させる。
【0062】
データ蓄積処理部14は、着信側の通信端末が、着信不可の特定エリアにいる旨のガイダンスを発信側の通信端末に送信するなどして、着信側の通信端末に連絡したい伝言メッセージなどのデータ(音声、映像等)を送信させる。そして、データ蓄積処理部14は、発信側の通信端末から送信されたデータを、着信側の通信端末の端末番号と対応付けて記憶部に蓄積する(S86)。
【0063】
一方、「off」の場合(S85:off)、着信側の通信端末は、着信可能な通常エリアに存在している。そのため、呼接続処理部11は、ロケーション情報記憶部13に登録された、当該着信側の通信端末のアドレスに呼接続要求を送信し、発信側の通信端末と着信側の通信端末とを接続する(S87)。
【0064】
次に、通信端末2、3側での呼接続処理について説明する。
【0065】
図7は、ユーザBの通信端末3(端末番号:1002)が、着信不可の特定エリアに存在するユーザAの通信端末2(端末番号:1001)に呼接続(発信)する場合のシーケンス図である。この場合、通信端末2に割り当てられているアドレスは、特定アドレス情報記憶部12に登録されている特定アドレスであるものとする。
【0066】
まず、ユーザBの通信端末3は、呼接続要求を呼接続装置1に送信する(S91)。この呼接続要求には、発信側の通信端末の端末番号(以下、「発番号」)と、着信側の通信端末の端末番号(以下、「着番号」)とが含まれる。
【0067】
呼接続処理部11は、ロケーション情報記憶部13から当該着番号に対応するアドレスおよびアドレス識別情報を取得する(S92)。図示する例では、取得したアドレス識別情報が「on」であり、着信側の通信端末2は着信不可の特定エリアに存在している。そのため、呼接続処理部11は、着信側の通信端末2に呼を接続することなく、強制的にデータ蓄積処理部14と発信側の通信端末3とを接続し、データ蓄積処理部14に代理着信させる。
【0068】
すなわち、呼接続処理部11は、発信側の通信端末3からの呼をデータ蓄積処理部14に接続し(S93)、データ蓄積処理部14は応答を呼接続処理部11に送信する(S94)。そして、呼接続処理部11は、応答を発信側の通信端末3に送信する(S95)。これにより、発信側の通信端末3とデータ蓄積処理部14との間で通信が可能となる。
【0069】
発信側の通信端末3は、データ蓄積処理部14が送信するガイダンスに従って、着信側の通信端末2に連絡したい伝言メッセージなどのデータ(音声、映像等)を送信し(S96)、データ蓄積処理部14は、送信されたデータを着信側の通信端末2の端末番号と対応付けて記憶部に蓄積する。
【0070】
以上説明した本実施形態では、ユーザが端末操作を行うことなく、特定エリアにいる通信端末への着信を規制するとともに、当該通信端末への重要な連絡を取り逃すことを防止することができる。
【0071】
すなわち、通信端末は、所定のタイミングでロケーション情報登録要求を呼接続装置に送信し、呼接続装置は、当該要求に含まれるアドレスが着信不可の特定エリアに割り振られたアドレスが否か判別し、ロケーション情報記憶部のアドレス識別情報に「on」または「off」を設定する。そして、呼接続装置は、「on」が設定された通信端末への呼接続を強制的にデータ蓄積処理部に接続し、データ蓄積処理部に代理着信させる。これにより、ユーザが通信端末を操作することなく、通信不可の特定エリアにいる通信端末への着信を規制することができるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0072】
また、呼接続装置は、ロケーション情報記憶部のアドレス識別情報を「on」から「off」に更新する際に(すなわち、通信不可の特定エリアから通信可能な通常エリアに移動した場合)、アドレス識別情報が「on」状態の間に当該通信端末に対して送信されたデータ(録音メッセージなど)を受信することができるため、重要な連絡を取り逃すことを防止することができる。
【0073】
また、呼接続装置がロケーション情報記憶部のアドレス識別情報を「off」から「on」に更新する際(すなわち、通信端末が着信可能な通常エリアから着信不可の特定エリアに移動した場合)、着信不可の特定エリアにいることをユーザに通知するためのガイダンスを通信端末に送信することにより、ユーザは、自分が着信不可の特定エリアにいることを認識するこができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、特定アドレス情報記憶部12に登録される特定アドレスはアドレス全体であって、ロケーション情報登録処理の際には、送信されたアドレス全体と特定アドレス全体とが一致するか否かを判別するものとした(図3:S13)。しかしながら、特定アドレス情報記憶部12に登録される特定アドレスは、アドレスの一部(例えば、上位n桁)であってもよい。この場合、呼接続装置は、図3のS13の処理において、送信されたアドレスの一部と特定アドレスの一部とが一致するか否かを判別する。
【符号の説明】
【0075】
1 呼接続装置
11 呼接続処理部
12 特定アドレス情報記憶部
13 ロケーション情報記憶部
14 データ蓄積処理部
2、3 通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続装置であって、
通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶手段と、
発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶手段から検索し、前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末とデータ蓄積処理手段とを接続する呼接続処理手段と、
前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積するデータ蓄積処理手段と
を有すること特徴とする呼接続装置。
【請求項2】
請求項1記載の呼接続装置であって、
前記着信を許可しない特定エリアに割り当てられた複数の特定アドレスを記憶する特定アドレス情報記憶手段を、さらに有し、
前記呼接続処理手段は、通信端末からロケーション情報登録要求を受け付け、当該ロケーション情報登録要求に含まれる自通信端末のアドレスが前記特定アドレス情報記憶手段に記憶されている場合、前記ロケーション情報記憶手段に前記アドレスを登録するとともに、当該アドレスのアドレス識別情報をオンに設定し、
前記自通信端末のアドレスが特定アドレス情報記憶手段に記憶されていなく、かつ前記ロケーション情報記憶手段に設定された前回のアドレス識別情報がオンの場合、前記ロケーション情報記憶手段に前記アドレスを登録し、アドレス識別情報をオンからオフに設定するとともに、前記通信端末と前記データ蓄積処理手段とを接続し、
前記データ蓄積処理手段は、前記通信端末宛のデータが蓄積されている場合、当該データを前記通信端末に送信すること
を特徴とする呼接続装置。
【請求項3】
請求項2記載の呼接続装置であって、
前記呼接続処理手段は、通信端末からロケーション情報登録要求を受け付け、前記ロケーション情報記憶手段の当該通信端末に対応するアドレス識別情報をオフからオンに変更する場合、着信不可の特定エリアにいることを通知するガイダンスを前記通信端末に送信すること
を特徴とする呼接続装置。
【請求項4】
通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続方法であって、
呼接続装置は、
通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶部を有し、
発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶部から検索する検索ステップと、
前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末からの呼接続要求を着信する接続ステップと、
前記アドレス識別情報がオンの場合、前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積する蓄積ステップと、を行うこと
を特徴とする呼接続方法。
【請求項5】
請求項4記載の呼接続方法であって、
前記呼接続装置は、
前記着信を許可しない特定エリアに割り当てられた複数の特定アドレスを記憶する特定アドレス情報記憶部を、さらに有し、
通信端末からロケーション情報登録要求を受け付け、当該ロケーション情報登録要求に含まれる自通信端末のアドレスが前記特定アドレス情報記憶部に記憶されている場合、前記ロケーション情報記憶部に前記アドレスを登録するとともに、当該アドレスのアドレス識別情報をオンに設定し、
前記自通信端末のアドレスが特定アドレス情報記憶部に記憶されていなく、かつ前記ロケーション情報記憶部に設定された前回のアドレス識別情報がオンの場合、前記ロケーション情報記憶部に前記アドレスを登録し、アドレス識別情報をオンからオフに設定するロケーション情報登録ステップと、
前記ロケーション情報登録ステップにおいて、アドレス識別情報をオンからオフに設定した場合、前記蓄積ステップで前記通信端末宛のデータが蓄積されている場合、当該データを前記通信端末に送信するデータ送信ステップと、をさらに行うこと
を特徴とする呼接続方法。
【請求項6】
請求項5記載の呼接続方法であって、
前記ロケーション情報登録ステップにおいて、アドレス識別情報をオフからオンに変更する場合、着信不可の特定エリアにいることを通知するガイダンスを前記通信端末に送信するガイダンス送信ステップを、さらに行うこと
を特徴とする呼接続方法。
【請求項7】
コンピュータが実行する通信端末からの呼接続要求を制御する呼接続プログラムであって、
前記コンピュータは、通信端末毎に、当該通信端末のアドレスと、当該アドレスが着信を許可しない特定エリアに割り当てられた特定アドレスであるか否かを識別するためのアドレス識別情報とを記憶するロケーション情報記憶部を有し、
前記コンピュータに、
発信元の通信端末から呼接続要求を受け付けると、呼接続要求で指定された着信先の通信端末のアドレスおよびアドレス識別情報を前記ロケーション情報記憶部から検索する検索ステップと、
前記アドレス識別情報が特定アドレスでないことを示すオフの場合、前記着信先の通信端末に呼接続を行うとともに、前記アドレス識別情報が特定アドレスであることを示すオンの場合、前記発信元の通信端末からの呼接続要求を着信する接続ステップと、
前記アドレス識別情報がオンの場合、前記発信元の通信端末から送信される、前記着信先の通信端末宛のデータを蓄積する蓄積ステップと、を実行させること
を特徴とする呼接続プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の呼接続プログラムであって、
前記コンピュータは、前記着信を許可しない特定エリアに割り当てられた複数の特定アドレスを記憶する特定アドレス情報記憶部を、さらに有し、
前記コンピュータに、
通信端末からロケーション情報登録要求を受け付け、当該ロケーション情報登録要求に含まれる自通信端末のアドレスが前記特定アドレス情報記憶部に記憶されている場合、前記ロケーション情報記憶部に前記アドレスを登録するとともに、当該アドレスのアドレス識別情報をオンに設定し、
前記自通信端末のアドレスが特定アドレス情報記憶部に記憶されていなく、かつ前記ロケーション情報記憶部に設定された前回のアドレス識別情報がオンの場合、前記ロケーション情報記憶部に前記アドレスを登録し、アドレス識別情報をオンからオフに設定するロケーション情報登録ステップと、
前記ロケーション情報登録ステップにおいて、アドレス識別情報をオンからオフに設定した場合、前記蓄積ステップで前記通信端末宛のデータが蓄積されている場合、当該データを前記通信端末に送信するデータ送信ステップと、をさらに実行させること
を特徴とする呼接続プログラム。
【請求項9】
請求項8記載の呼接続プログラムであって、
前記ロケーション情報登録ステップにおいて、アドレス識別情報をオフからオンに変更する場合、着信不可の特定エリアにいることを通知するガイダンスを前記通信端末に送信するガイダンス送信ステップを、さらに行うこと
を特徴とする呼接続プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−283709(P2010−283709A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136856(P2009−136856)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】