説明

品質検査装置

【課題】 印刷装置から独立した外部に設けられ、デリバリユニットを設けることなく印刷ラインの途中に配設することができる品質検査装置を提供する。
【解決手段】 印刷装置9から独立して構成されており、前記印刷装置9に隣接して配置され、該印刷装置9より排出された段ボールシート6を上面61側から吸着保持して搬送する吸着搬送手段2と、搬送される段ボールシート6の下面側を照明する照明手段3と、段ボールシート下面側の被検査面60を撮像する撮像手段4と、撮像手段4からの出力をもとに前記被検査面60の欠陥の有無を判定する判定手段5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの下面側の印刷ミス、汚れ等の欠陥を検出できる品質検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の品質検査装置としては、例えば多孔帯ベルトの上面側に吸引ボックスを設けた検査コンベアの下方に、シート製品の裏面を照明する2本の棒状蛍光灯と、これら2本の棒状蛍光灯の間からシート製品の裏面を全幅に渡って走査する1次元CCDカメラを設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この品質検査装置は、シート製品を排出端に供給するデリバリラインから分岐させた搬送ラインに設けられ、合格したシート製品をデリバリラインの排出端側に戻すようにしたものである。具体的には、搬送ラインにおいて、シート上面を検査する装置の次に、シート下面を検査する装置が連設されたものである。
【0004】
ところで、近年の段ボールシートの製作は、印刷装置や打ち抜き装置等が連設された印刷ラインより構成され、印刷から切り込み、罫線入れ、不要部分の切断等を一連の流れの中で連続して効率よく行われる傾向にあり(例えば、特許文献2参照。)、印刷ラインの途中に品質検査装置を設けることが求められているが、印刷装置からの段ボールシートの受け渡し時に当該シートのずれ、ひいては検査精度低下の問題が生じることから、一旦印刷済みのシートをデリバリユニットに集めることなしに品質検査装置を設けることは実際上、困難であった。
【0005】
これに対して、印刷装置の内部において、最終印刷ユニットからシートを排出するためのデリベリ部に品質検査装置を設けることが提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、このような印刷装置内部のデリベリ部は、印刷装置によっては必ずしも十分なスペースがとれず、品質検査装置に必要となる照明手段や撮像手段が設置できない場合もある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−338006号公報
【特許文献2】特開平9−165124号公報
【特許文献3】特開2001−232765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、印刷装置から独立した外部に設けられ、デリバリユニットを設けることなく印刷ラインの途中に配設され、且つ精度よく検査することのできる品質検査装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、印刷装置から独立して構成される品質検査装置であって、前記印刷装置に隣接して配置され、該印刷装置より排出された段ボールシートを上面側から吸着保持して搬送する吸着搬送手段と、該吸着搬送手段により搬送される段ボールシートの下面側を照明する照明手段と、この照明手段により照明される前記段ボールシート下面側の被検査面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの出力をもとに前記被検査面の欠陥の有無を判定する判定手段とを備えた品質検査装置を構成した。
【0009】
ここで、前記印刷装置より排出される段ボールシート先端部を上方へ案内し、前記吸着搬送手段による吸着を補助するための案内手段を設けたものが好ましい。
【0010】
また、前記案内手段が、前記段ボールシートの先端部又はその近傍に対して下方よりエアを吹き付けるエア吹付手段を設けたものであることが好ましい。
【0011】
更に、前記吸着搬送手段が、搬送方向に回転駆動される複数のローラを配設し、各ローラの前後の隙間よりエア吸引する吸着ローラ機構を設けたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上にしてなる本願発明に係る品質検査装置は、印刷装置に隣接して配置され、吸着搬送手段により該印刷装置より排出された段ボールシートを上面側から吸着保持して搬送するので、印刷済みシートをデリバリユニットに集めなくとも、受け渡し時のシートのずれやこれによる検査精度の低下を回避でき、印刷装置の直後の印刷ライン途中において、段ボールシート下面側の品質検査を問題なく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る品質検査装置1の構成を示す説明図であり、図1〜7は代表的実施形態を示し、図中符号1は品質検査装置、2は吸着搬送手段、3は照明手段、4は撮像手段、5は判定手段、6は段ボールシートをそれぞれ示している。
【0015】
本発明に係る品質検査装置1は、図1に示すように、印刷装置9から独立して構成されており、前記印刷装置9に隣接して配置され、該印刷装置9より排出された段ボールシート6を上面61側から吸着保持して搬送する吸着搬送手段2と、該吸着搬送手段2により搬送される段ボールシート6の下面側を照明する照明手段3と、この照明手段3により照明される前記段ボールシート下面側の被検査面60を撮像する撮像手段4と、前記撮像手段4からの出力をもとに前記被検査面60の欠陥の有無を判定する判定手段5とを備えている。
【0016】
尚、印刷装置9は、それぞれフレキソ印刷装置を例示しているが、その他の印刷方式、例えばオフセット印刷装置であっても勿論よい。
【0017】
吸着搬送手段2は、段ボールシート6の搬送方向に回転駆動される複数のローラ21、・・・を配設したものであり、より詳しくは、図3に示すように、吸引ポンプへ延びる配管22が接続された筐体23に、一部又は全部が駆動される複数のローラ21、・・・を、それぞれ筐体下面の開口部23aから一部突出するように内装し、各開口部23aにおける各ローラ前後の隙間24、24よりエア吸引する吸着ローラ機構20が構成されている。
【0018】
このような吸着ローラ機構20であれば、段ボールシート6との接触面積が限られるため移送中の段ボールシート6の角度調整をすることも容易となる。本例ではローラが一部突出する開口部23aを筐体下面に対してチドリ状に配設させ、多くの開口部を効率よく配置し、ローラ一つ当たりの段ボールシートの吸引力を小さくし、上述の角度調整がより容易になるとともに、吸引力によるシートの変形が防止でき、検査精度を高めることが可能となる。
【0019】
尚、ローラの配置はこのようなチドリ状配置に何ら限定されず、その他の様々な形態も考えられる。
また、本発明の吸着搬送手段2は、このような吸着ローラ機構20以外に、例えば、外面に複数の吸引穴が設けられた多孔帯ベルトを設け、段ボールシート6の上面を吸着保持して当該ベルトと一体となして移送するものであってもよい。
【0020】
照明手段3は、後述の撮像手段4により撮像される被検査面60を照明するためのものである。検査精度を維持するためには、より明るい照明を段ボールシートの幅方向に均一に供給する必要があることから、好ましくは被検査面60になるべく近い位置に、幅方向に沿った蛍光灯が設けられる。ただし、その他の照明手段として、例えばハロゲンランプやLEDを所定間隔おきに複数設けたもの等を用いることも勿論可能である。
【0021】
撮像手段4は、段ボールシートの幅方向に所定間隔をおいて複数のCCDラインセンサ等の撮像カメラが設けられたものである。
そして、撮像手段4の出力から得られる多階調画像データの濃度レベルを判定手段5が基準濃度レベルと比較して印刷面の欠陥の有無について判定し、該判定手段5からの判定結果をもとに当該段ボールシートを振り分けるようになっている。
【0022】
その判定手法は、従来からの種々の方法が採用できるが、例えば本出願人が特開2000−221142号公報等において開示しているように、撮像手段4から順次出力される256段階の多階調ライン画像のデータから多階調エリア画像を作成し、この多階調エリア画像の各部の濃度レベルを基準画像の256階調の多階調エリア画像の対応する各部の濃度レベルと比較し、両画像の対応する部分の濃度レベル差の許容値をもとに欠陥の有無を判定することができる。
【0023】
符号8は搬送手段であり、吸着搬送手段2の下流端で放出される各段ボールシートを載置搬送するベルトコンベアより構成されている。搬送手段8で搬送される各段ボールシートは、前記判定の結果に応じて、良品/不良品の別の受け箱にそれぞれ収容されてもよいし、受け箱に収容され、その底部から順次取り出される際に、或いはその後の工程において分別されてもよい。また、このような搬送手段8のかわりに分別装置を介し、良品については打ち抜き装置等の次加工の装置にそのまま送られるようにすることも可能である。
【0024】
本実施形態では、図2にも示すように、印刷装置9より排出される段ボールシート先端部6aを上方へ案内し、前記吸着搬送手段2による段ボールシート上面の吸着保持を補助するための案内手段7が設けられている。
【0025】
具体的には、印刷装置9より排出された段ボールシートの先端部6a又はその近傍に対して下方よりエアを吹き付けるためのエア吹付手段70が設けられ、印刷装置9から排出された段ボールシート先端部6aをエア圧により上方へ支持することにより、シートの垂れ下がりによって吸着搬送手段2で保持できないといった不測の事態を未然に回避している。
【0026】
前記エア吹付手段70は、より詳しくは、図示しないエア供給ポンプより延びる配管72の先端に、印刷装置9から排出される段ボールシート6の下面に向けてエアを吹き付けるための吹付ノズル71を設けたものであり、シート先端部6aを非接触で上方へ支持でき、印刷面をいためる心配がなく容易に案内することが可能である。吸着搬送手段2により一旦、先端部6aが吸引保持されれば、その後は、後端側に向けて連続的に吸引保持され、当該段ボールシート6は確実に移送されることとなる。
【0027】
前記エア吹付手段の吹付ノズル71は、段ボールシート6の幅方向にわたってエアを吹き付ける幅広なノズルであってもよいが、図4(a)に示すように、特に自重で撓みやすい略中央部分を吹き付けるものや、或いは図4(b)に示すように、幅方向に複数のノズルを設けたものであっても良い。
【0028】
尚、エア吹き付けのタイミングは、段ボールシートの有無に関わらず連続的に行ってもよいが、ノズル上方に段ボールシート先端部6aが近づいてから、或いは、先端部6aのばたつきを未然に防止すべくノズル上方を段ボールシート先端部6aが所定距離だけ通過してから吹き付けるなど、段ボールシートの存在に応じて断続的に行ってもよい。また、吹付け方向も真上に吹き付けること以外に、ノズルを傾けて吹付けてもよく、吹き付けたエアを回収する排気口を設けることも好ましい。
【0029】
図5〜7は、それぞれ案内手段7に関する変形例を示し、垂れ下がった段ボールシート先端部6a等の非印刷部分に当接して上方へ案内する当接部材を設けたものであり、前記当接部材として、図5では支持ローラ73、図6ではガイド板74、図7では先端に支持部材(本例ではローラ)を有し、段ボールシートの位置、例えば垂れ下がりを検知する位置センサーにより制御されて上下に昇降するシリンダー75が設けられている。
【0030】
これら案内手段7は、それぞれ単独で用いてもよいが、組み合わせて構成することも勿論でき、例えば、上記エア吹付手段70の下流側に図5〜7の何れかの当接部材を設けておき、エア吹付手段70で吸着保持できなかった場合に、この当接部材で確実に保持させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の代表的実施形態に係る品質検査装置を示す説明図。
【図2】同じく案内手段を示す説明図。
【図3】同じく吸着搬送手段を下面側からみた斜視図。
【図4】(a)、(b)は、それぞれエア吹付手段を示す説明図。
【図5】案内手段の変形例を示す説明図。
【図6】同じく案内手段の他の変形例を示す説明図。
【図7】同じく案内手段の更に他の変形例を示す説明図。
【符号の説明】
【0032】
1 品質検査装置
2 吸着搬送手段
3 照明手段
4 撮像手段
5 判定手段
6 段ボールシート
6a 先端部
7 案内手段
9 印刷装置
20 吸着ローラ機構
21 ローラ
22 配管
23 筐体
23a 開口部
24 隙間
60 被検査面
61 上面
70 エア吹付手段
71 吹付ノズル
72 配管
73 支持ローラ
74 ガイド板
75 シリンダー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置から独立して構成される品質検査装置であって、前記印刷装置に隣接して配置され、該印刷装置より排出された段ボールシートを上面側から吸着保持して搬送する吸着搬送手段と、該吸着搬送手段により搬送される段ボールシートの下面側を照明する照明手段と、この照明手段により照明される前記段ボールシート下面側の被検査面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段からの出力をもとに前記被検査面の欠陥の有無を判定する判定手段とを備えた品質検査装置。
【請求項2】
前記印刷装置より排出される段ボールシート先端部を上方へ案内し、前記吸着搬送手段による吸着を補助するための案内手段を設けてなる請求項1記載の品質検査装置。
【請求項3】
前記案内手段が、前記段ボールシートの先端部又はその近傍に対して下方よりエアを吹き付けるエア吹付手段を設けてなる請求項2記載の品質検査装置。
【請求項4】
前記吸着搬送手段が、搬送方向に回転駆動される複数のローラを配設し、各ローラの前後の隙間よりエア吸引する吸着ローラ機構を設けてなる請求項1〜3の何れか1項に記載の品質検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−250882(P2006−250882A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71349(P2005−71349)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000109200)ダックエンジニアリング株式会社 (13)
【Fターム(参考)】