説明

回折格子の回転調整方法及び装置並びにコンピュータプログラム

【課題】複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行う。
【解決手段】回折格子の回転調整方法は、複数種類の光ディスク100の各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整方法である。複数のサブビームには、内周側サブビームFbと、内周側サブビームとはメインビームのスポットの中心Mについて点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームEbが含まれる。このうち何れか一方のサブビームに係るスポットの中心が、光ディスクの半径方向においては、メインビームに係るスポットの中心から、トラックピッチの半分の距離変位させられるように、回折格子を回転調整する調整工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDVD―RAMとDVD―Rのような複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整方法、及び装置並びにコンピュータをそのような回折格子の回転調整方法を実現するための装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光ピックアップにおいて複数のスポットが、情報の記録、再生、消去、或いはトラッキングエラー信号生成に用いられる。ここで、トラッキングエラー信号を得る方式として、差動プッシュプル(Differential Push Pull:DPP)法が知られている。この方法では、回折格子(以下、「グレーティング」とも言う)によって得られる±1次光を含む少なくとも3個のビームを光ディスクに照射し、光ディスク上の各々のスポットからプッシュプル方式でトラッキングエラー信号が得られる。この際、精度よくトラッキングエラー信号を得るには、各スポットを生成するグレーティングの光軸方向の調整を行う必要がある。
【0003】
上記要請に応えるべく、例えばフォトディテクタ回路及びこのフォトディテクタ回路を搭載した光ディスク装置が提案されている(特許文献1参照)。この技術によると、先ず、差動非点収差法によるフォーカスエラー信号を得ることができ、光ディスクの記録再生時のフォーカス制御を精度よく行うことができる。そして、フォトディテクタ回路の切替スイッチの切替により得られたサーボ信号を用いて、光ディスク上のスポットを複数化するためのグレーティングの光軸方向の調整を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−174421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の光ピックアップは、異なるトラックピッチをもつ複数種類の光ディスクに対応する必要があるので、例えば前述の特許文献1に開示されている技術には、以下のような問題が生じ得る。具体的には、DVD―R、RW、ROMのトラックピッチより、DVD−RAMのトラックピッチの方が広い。従って、あるトラックピッチをもつ光ディスク(例えば、DVD―R)に合わせてグレーティングの回転調整を行ったとしても、それよりも広いトラックピッチをもつ光ディスク(例えば、DVD―RAM)においては調整がずれてしまい、再度の回転調整を要するおそれがある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みてなされたものであり、回折格子の回転調整時に用いる光ディスク(以下、「調整用光ディスク」とも言う)とはトラックピッチが異なる光ディスクの記録・再生を行う場合にも再度の回転調整を極力回避できるように、すなわち複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能な、回折格子の回転調整方法及び装置並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の回折格子の回転調整方法は上記課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整方法であって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整工程を備える。
【0008】
本発明の請求項7に記載の光ピックアップ装置は上記課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整装置であって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段を備える。
【0009】
本発明の請求項8に記載のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整装置として、コンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記コンピュータを、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段として機能させる。
【0010】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る回折格子の回転調整方法及びコンピュータプログラムについて順に説明する。
【0012】
(回折格子の回転調整方法の実施形態)
本実施形態に係る回折格子の回転調整方法は、上述の課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整方法であって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整工程を備える。
【0013】
本実施形態によれば、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子が、照射対象である光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整される。ここで、「複数種類の光ディスク」とは、例えばDVD−RやDVD−RAMのように、異なる規格に基づいて製造される光ディスクであり、そのトラックピッチは異なってもよい。なお、本願での「トラックピッチ」は、典型的にはランドトラック及びグルーブトラックが交互に形成された光ディスクにおける、最寄りのグルーブトラックトラック同士(或いは、最寄りのランドトラック同士)のピッチ(すなわち、間隔)を示す。例えば、グルーブ記録式光ディスクの具体例であるDVD―R、RW、ROMでは、トラックピッチが0.74μmである。一方で、ランド・グルーブ記録式光ディスクの具体例であるDVD−RAMでは、トラックピッチが1.3μmである。このように、DVD―R、RW、ROMのトラックピッチより、DVD−RAMのトラックピッチの方が広い。なお、「トラックピッチ」に関しては、例えばDVD−RAMと例えばDVD−Rのように、光ディスクの種類によって規格上の定義が異なる場合があるため、上述した本願での定義が規格上の定義と異なる場合があることを申し添えておく。また、「光源」とは、例えば半導体レーザ素子のように、光ビームを照射可能な素子である。照射される光ビームは、レーザ光であり、その波長は光ディスクの種類によって異なる。
【0014】
複数のサブビームには、メインビームよりも光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとはこのメインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれる。この2つのサブビームは、典型的にはメインビームの回折により生成される±1次光であるが、それ以外の回折光であってもよい。ここでいう「点対称な位置」には、厳密な意味での点対称な位置のみならず、若干のマージンは許容される。言い換えれば、対称の中心となる点からの距離が同じ場合のみならず、対称の中心となる点からの距離が互いに異なる場合も含まれる趣旨である。
【0015】
さてここで、一般にあるトラックピッチをもつ光ディスク(例えば、DVD―R)に合わせてグレーティングの回転調整を行ったとしても、それよりも広いトラックピッチをもつ光ディスク(例えば、DVD―RAM)においては調整がずれてしまい、再度の回転調整を要するおそれがある。
【0016】
然るに、本実施形態では特に、調整工程において、回折格子が以下のように回転調整される。すなわち、2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係るスポットの中心が、光ディスクの半径方向においては、メインビームに係るスポットの中心から、トラックピッチの半分の距離変位させられるように、この回折格子が回転調整される。ここで「光ディスクの半径方向においては」というのは、光ディスクの半径方向においける変位について規定しており、光ディスクの円周方向における変位までは規定していない趣旨である。「スポットの中心」は、スポットの形状及びスポットにおける光量分布によって規定され得る個所である。簡単には、スポットが円或いは楕円であればそれらの中心点であるが、中心から所定の距離だけシフトさせ、或いはマージンを持たせてもよい。このように回転調整されると、メインビームに係るスポットの中心が任意の第1トラックの中心線上に位置するとき、この第1トラックと隣接する第2トラックの中心線上に、前記一方のサブビームに係るスポットの中心が位置することとなる。ここで仮に、光ディスクの各トラックが互いに平行な直線状であるとすると、前記2つのサブビームのうち他方のサブビームに係るスポットの中心も、第2トラックの反対側で第1トラックと隣接する第3トラックの中心線上に位置するはずである。しかし実際には、光ディスクの各トラックは、光ディスクと中心を共にする円状に形成されているので、他方のサブビームに係るスポットの中心は、第3トラックの中心線上よりも、内周側或いは外周側に所定距離ずれる。従って、当該回転調整で用いられる調整用光ディスクの中心からメインビームに係るスポットの中心までの距離と、調整用光ディスクの中心から前記一方のサブビームに係るスポットの中心までの距離との距離差が、前記他方のサブビームについての距離差に比べて短い又は長い。故に、調整用光ディスクとはトラックピッチが異なる他の光ディスクに対して光ビームを照射する場合であっても、前記他方のサブビームを用いることで、対応可能である可能性がある。従って、調整用光ディスクとトラックピッチが同じ光ディスクのみならず、調整用光ディスクとはトラックピッチが異なる光ディスクの記録・再生を行うのにも有利なように、すなわち複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能である。この際、回折格子の再調整を不用とする、若しくは再調整に要する時間を短縮することが可能となり、実践上非常に有利である。
【0017】
本実施形態に係る回折格子の回転調整方法の一態様では、前記メインビーム及び前記一方のサブビームの各々についてのトラッキング信号を生成する信号生成工程と、前記生成されたトラッキング信号のうち、前記メインビームに係るトラッキング信号に対する前記一方のサブビームに係るトラッキング信号の位相差を特定する位相差特定工程と、を更に備え、前記調整工程において、前記特定される位相差が前記トラックピッチの半分の距離に相当するように、前記回折格子を回転調整する。
【0018】
この態様によれば、信号生成工程において、メインビーム及び前記一方のサブビームの各々についてのトラッキング信号が、加算器等によって生成される。ここでの「トラッキング信号」とは、主として情報の記録及び再生動作の際のトラッキング処理を行うために、メインビーム及びサブビームの夫々ないしは少なくとも一つの反射光から得られる信号を示す広い趣旨である。続いて、位相差特定工程において、生成されたトラッキング信号のうち、メインビームに係るトラッキング信号に対する、一方のサブビームに係るトラッキング信号の位相差が特定される。そして、このように特定される位相差に基づいて、トラックピッチの半分の距離に相当するように、回折格子を回転調整する。具体的に例えば、特定される位相差が±180度の何れかになるように、回折格子を回転調整する。その結果、上述の実施形態と同様の趣旨により、回折格子の再調整を不用とする、若しくは再調整に要する時間を短縮することが可能となり、実践上非常に有利である。
【0019】
本実施形態に係る回折格子の回転調整方法の他の態様では、前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記内周側サブビームである。。
【0020】
この態様によれば、他方のサブビーム、すなわち外周側サブビームについての前記距離差は、調整用光ディスクのトラックピッチに比べて長い。従って、調整用光ディスクのトラックピッチがDVD―R、RW、ROMのように比較的狭い場合に、この調整用光ディスクよりもトラックピッチが広いDVD−RAMのような光ディスクに対しても好適に光ビームを照射可能である。この際、再調整等は不要になり得るので、実践上非常に有利である。
【0021】
上述した信号生成工程及び位相差特定工程を更に備える態様では、前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記内周側サブビームであり、前記調整工程において、前記特定される位相差が−180度となるように、前記回折格子を回転調整してもよい。
【0022】
この態様によれば、特定される位相差が−180度であるので、先ずトラックピッチの半分の距離に相当する。そして位相差の符号が負であるので、内周側サブビームは、メインビームよりも遅れている。従って、以下のように記録時の光量バランスが良好となる。具体的には、光ディスクに記録する場合には、光ディスクの内周側から外周側にかけて記録されるのが一般的であるので、メインビームよりも遅れた内周側サブビームに係るスポットの両隣のトラックには、既に所定情報が記録されている。このとき、外周側サブビームは、メインビームよりも進んだ位置にスポットを形成するので、そのスポットの両隣のトラックには、未だ所定情報が記録されていない。すなわち、内周側サブビーム及び外周側サブビームの何れのビームについても、スポットの両隣のトラックにおける記録状態が同じ(つまり、共に既に所定情報が記録されている、又は未だ所定情報が記録されていない)である。従って、例えば記録時の光量バランスが良好となる。このとき、各スポットで反射される光を分割受光素子で受光する場合に、各受光面での条件バラツキを改善する上でも大変有効である。
【0023】
本実施形態に係る回折格子の回転調整方法の他の態様では、前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記外周側サブビームである。
【0024】
この態様によれば、他方のサブビーム、すなわち内周側サブビームについての前記距離差は、調整用光ディスクのトラックピッチに比べて短い。従って、調整用光ディスクのトラックピッチがDVD−RAMのように比較的広い場合に、この調整用光ディスクよりもトラックピッチが狭いDVD―R、RW、ROMのような光ディスクに対しても好適に光ビームを照射可能である。この際、再調整等は不要になり得るので、実践上非常に有利である。
【0025】
上述した信号生成工程及び位相差特定工程を更に備える態様では、前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記外周側サブビームであり、前記調整工程において、前記特定される位相差が+180度となるように、前記回折格子を回転調整してもよい。
【0026】
この態様によれば、特定される位相差が+180度であるので、先ずトラックピッチの半分の距離に相当する。そして位相差の符号が正であるので、外周側サブビームは、メインビームよりも進んでいる。従って、上述した趣旨と同様に、内周側サブビーム及び外周側サブビームの何れのビームについても、スポットの両隣のトラックにおける記録状態が同じになり、例えば記録時の光量バランスが良好となる。
【0027】
(光ピックアップ装置の実施形態)
本実施形態の光ピックアップ装置は、上記課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整装置であって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段を備える。
【0028】
本実施形態の光ピックアップ装置によれば、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法の場合と同様に、複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能となる。
【0029】
尚、本実施形態の回折格子の回転調整装置においても、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0030】
本実施形態に係る光ピックアップ装置の一態様では、前記メインビーム及び前記一方のサブビームの各々についてのトラッキング信号を生成する信号生成手段と、前記生成されたトラッキング信号のうち、前記メインビームに係るトラッキング信号に対する前記一方のサブビームに係るトラッキング信号の位相差を特定する位相差特定手段とを更に備え、前記調整手段は、前記特定される位相差が前記トラックピッチの半分の距離に相当するように、前記回折格子を回転調整する。
【0031】
この態様によれば、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法の場合と同様に、回折格子の再調整を不用とする、若しくは再調整に要する時間を短縮することが可能となり、実践上非常に有利である。
【0032】
この信号生成手段を備える態様では、前記信号生成手段は、前記2つのサブビームを各々の受光面で受光することで、前記2つのサブビームの各々に係るトラッキング信号の要素となる受光信号を出力する2つのサブ受光手段と、前記メインビームを受光面で受光することで、前記メインビームに係るトラッキング信号の要素となる受光信号を出力するメイン受光手段と、前記2つのサブ受光手段に係る前記受光面が夫々有する複数の領域のうち、前記2つのサブ受光手段間において対応付けられている領域から出力される受光信号を各領域毎に選択的に加算する選択加算手段とを備え、前記回折格子を回転調整するにあたり、前記選択加算手段が、前記2つのサブ受光手段間のうち、何れか一方のサブ受光手段から出力される受光信号を各領域毎に選択的に加算することで、前記信号生成手段は、前記一方のサブビームについてのトラッキング信号を生成する。
【0033】
この態様によれば、信号生成手段は、2つのサブ受光手段と、メイン受光手段と、選択加算手段とを備える。先ず、2つのサブビームが2つのサブ受光手段の各々の受光面で受光されると、例えば光電変換によって、その受光量に応じた受光信号が出力される。これが上述した2つのサブビームの各々に係るトラッキング信号の要素となる。他方で、メイン受光手段についても同様に、受光信号が出力される。これが上述したメインビームに係るトラッキング信号の要素となる。2つのサブ受光手段に係る受光面が夫々有する複数の領域のうち、2つのサブ受光手段間において対応付けられている領域から出力される受光信号が、スイッチ及び加算器を含む選択加算手段によって、各領域毎に選択的に加算される。例えば、2つのサブ受光手段に係る受光面の各々が、四分割された領域a〜領域eを有する場合には、各受光面の領域aから夫々出力される受光信号が、選択的に加算される。ここで「選択的に加算」される態様には、各受光面の領域aから夫々出力される受光信号のうち、いずれの受光信号も加算される要素に含まれない場合、いずれか一方の受光信号が加算される要素に含まれる場合、或いは全ての受光信号も加算される要素に含まれる場合、がある。他の領域(つまり、領域b〜領域e)についても同様である。本態様では特に、回折格子を回転調整するにあたり、選択加算手段によって、2つのサブ受光手段間のうち、何れか一方のサブ受光手段から出力される受光信号が、各領域毎に選択的に加算される。これにより、一方のサブビームについてのトラッキング信号が生成される。この信号を用いれば、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法の場合と同様に、複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能となる。
【0034】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本実施形態のコンピュータプログラムは、上記課題を解決するために、複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整装置として、コンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、前記コンピュータを、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段として機能させる。
【0035】
本実施形態のコンピュータプログラムによれば、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法の場合と同様に、複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能となる。
【0036】
尚、本実施形態のコンピュータプログラムにおいても、上述した本実施形態の回折格子の回転調整方法における各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0037】
以上、説明したように、本実施形態の回折格子の回転調整方法によれば、調整工程を備え、本実施形態の光ピックアップ装置によれば、調整手段を備えるので、複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能である。更に、本実施形態のコンピュータプログラムによれば、コンピュータを調整手段として機能させるので、上述した本実施形態の光ピックアップ装置を、比較的容易に構築できる。
【0038】
本実施形態の作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされよう。
【実施例】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0040】
(光ディスクの構成)
先ず、本実施例に係る光ディスク100の構成について、図1及び図2を用いて説明する。ここに、図1は、光ディスク100の概略構成を示す平面図及び断面図であり、図2は、光ディスク100の記録面における部分拡大斜視図である。
【0041】
図1(a)に示すように、光ディスク100は、例えば直径12cm程度の円板形状であり、中心にセンターホール102が設けられている。光ディスク100の例としては、例えばトラックピッチが1.3μmのDVD―RAMや、トラックピッチが0.74μmのDVD―R、RW、ROMや、トラックピッチが更に狭いBD(Blu−ray Disc)やHD DVD(High Definition DVD)などが挙げられる。
【0042】
図1(b)に示すように、光ディスク100は、透明基板101a、101bとの間に、記録層103が設けられる構造を有している。又、記録層103の各記録領域には、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、後述するグルーブトラック及びランドトラック等のトラックが交互に設けられている。このグルーブトラック及びランドトラックの夫々の上に或いは何れか一方の上には、データがECCブロックの単位で分割されて記録される。図2を参照して光ディスク100の構成を更に詳細に説明する。
【0043】
図2に示すように、光ディスク100は、ディスク状の透明基板101a上に(図2では下側に)、データの記録面を構成する加熱などによる非可逆変化記録型又は相変化記録型の記録膜113が積層され、更にその上に(図2では下側)に、反射膜118が積層されて、最後に透明基板101bが積層されている。記録膜113の表面からなるデータの記録面には、グルーブトラックGT及びランドトラックLTが交互に形成されている。尚、光ディスク100の記録時及び再生時には、例えば図2に示したように、透明基板101aを介して例えばグルーブトラックGT上に、光ビームBが照射される。例えば、記録時には、記録レーザパワーで光ビームBが照射されることで、記録すべきデータに応じて、記録膜113への加熱などによる非可逆変化記録又は相変化記録が実施される。他方、再生時には、記録レーザパワーよりも弱い再生レーザパワーで光ビームBが照射されることで、記録膜113へ記録されたデータの読出しが実施される。
【0044】
そして、グルーブトラックGTは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されている。即ち、グルーブトラックGTは、ウォブリングされており、そのウォブル119の周期は所定値に設定されている。ランドトラックLT上にはプリフォーマットアドレスを示すランドプリピットLPPと呼ばれるアドレスピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル119及びランドプリピットLPP)により記録中のディスク回転制御や記録クロックの生成、また記録アドレス等のデータ記録に必要な情報を得ることができる。尚、グルーブトラックGTのウォブル119を周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレス等のデータ記録に必要な情報を予め記録するようにしてもよい。
【0045】
続いて、図3から図5を参照して、実施例に係る回折格子の回転調整が行われる場としての記録再生装置について説明する。
【0046】
(1)構成
次に、記録再生装置1の構成について、図3を用いて説明する。ここに、図3は、記録再生装置1の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【0047】
図3に示すように、記録再生装置1は、光ピックアップ10と、信号処理部21と、レーザ駆動回路22と、再生部30と、3ビームトラッキングサーボ回路41と、グレーティング駆動回路42と、ディスク識別回路43と、トラッキング駆動回路44と、フォーカスサーボ回路51と、フォーカス駆動回路52と、制御部60と、スピンドルモータ70と、を備えている。記録再生装置1は、光ディスク100に対して、光ビームBを照射することによって、データを記録すると共に、光ディスク100に記録されたデータを再生する装置である。
【0048】
光ピップアップ10は、本発明に係る「光ピックアップ装置」の一例であり、ホログラムレーザ11と、グレーティング素子12と、集光レンズ13と、対物レンズ14と、対物レンズ14を保持するアクチュエータ部15と、3波長互換素子16とを備える。
【0049】
ホログラムレーザ11は、本発明における「光源」の一具体例を構成しており、図示しないレーザチップや基板や受光素子やホログラム素子などを有して構成されている。レーザチップと受光素子は同一の基板上に配置されており、ホログラム素子は基板の光ビームBの出力側に対向して設けられている。レーザチップは光ビームBを放射し、受光素子は入力される光ビームBを受光する。ホログラム素子は、レーザチップから出力された光ビームBを、そのまま透過させると共に、当該光ビームBの入射面と反対の面から入射される光ビームを屈折させて、基板上の受光素子に集光させる。このように、ホログラムレーザ11は、光源及びディテクタとしての機能を有している。尚、光源と受光素子とは別々の素子として構成してもよい。
【0050】
又、本実施例においては、トラッキング処理を行うために3ビームトラッキング方式を用いている。従って、光ビームBの反射光を受光する受光素子(より具体的には、後述のメインビーム及びサブビームの夫々に対応する複数の受光素子の夫々)は、その受光部分が例えば2分割(或いは、4分割)されている。そして、夫々の受光部分において得られる信号の和である総和信号や差である差分信号ないしはプッシュプル信号が、受光信号S31として出力される。
【0051】
又、ホログラムレーザ11は、少なくとも3つの波長(例えば、780nm、略650nm、405nm)に対応した光ビームBを放射するようになっているが、これは単なる一例であり、2つの波長に対応した光ビームBを放射するようにしてもよい。又、ホログラムレーザ11は、1つの波長でトラックピッチが異なるディスクに対応した光ビームBを放射するものでもよい。
【0052】
グレーティング素子12は、本発明における「回折格子」の一具体例を構成しており、ホログラムレーザ11から放射される光ビームBを回折させる。そして、本発明における「メインビーム」の一具体例であり且つ主としてデータを記録し且つトラッキング処理を行うためのメインビームと、本発明における「複数のサブビーム」の一具体例であり且つ主としてトラッキング処理を行うための2つのサブビームとを生成する。グレーティング素子12は、例えば多数のスリット(ないしは、溝)を有する透明基板を含んで構成されていてもよいし、或いは液晶素子を含む液晶スリットを含んで構成されていてもよい。
【0053】
尚、以下の説明では、光ビームBと単純に表記している場合は、ホログラムレーザ11から放射される光ビームB自体を示す他、グレーティング素子12において生成されるメインビーム及び2つのサブビームの全体を示す場合もあることを注記しておく。
【0054】
集光レンズ13は、入射した光ビームBを略平行光にして、対物レンズ14に入射させる。より具体的には、グレーティング素子12において生成されたメインビーム及び2つのサブビームの夫々を略平行光にして対物レンズ14に入射させる。
【0055】
アクチュエータ部15は、対物レンズ14及び該対物レンズ14の配置位置を変更するための駆動機構を有している。アクチュエータ部15は、トラッキング駆動回路44から供給されるアクチュエータ駆動信号S44に従って、対物レンズ14の位置をトラッキング方向に移動させる。このように、トラッキング処理(トラッキング制御)が行われる。又、アクチュエータ部15は、フォーカス駆動回路52から供給されるアクチュエータ駆動信号S52に従って、対物レンズ14の位置をフォーカス方向に移動させる。このようにフォーカス処理(フォーカス制御)が行われる。
【0056】
対物レンズ14は、集光レンズ13によって略平行光にされた光ビームBを集光して、光ディスク100に照射する。
【0057】
3波長互換素子16は、波長選択性を有する開口制御素子或いは収差補正素子を含んでおり、ホログラムレーザ11から放射される光ビームBの波長に応じて、収差補正を行ったり、或いは開口数(NA)を調整する。又、ディスクの基板厚に対応して球面収差補正を行うようにしてもよい。
【0058】
信号処理部21は、入力端子INを有しており、図示しない制御線を介して制御部60から供給される制御信号に基づいて、入力端子INを介して外部から入力されたデータに信号処理を施し、記録信号S21としてレーザ駆動回路22に出力する。より具体的には、信号処理部21は、外部から入力されたデータに対して、アドレスやパリティや訂正符号(ECC:Error Correction Code)やsyncフレーム(同期フレーム)を付加したり、或いはスクランブル処理を施したり、或いは8/16変調等の各種変調を行うことで、記録信号S21を生成する。
【0059】
レーザ駆動回路22は主として増幅回路により構成され、信号処理部21から入力された記録信号S21を増幅等してレーザ駆動信号S22を生成し、光ピックアップ10のホログラムレーザ11にレーザ駆動信号S22を供給する。レーザ駆動回路22における増幅率は信号処理部21により制御され、光ディスク100にデータを記録する場合には、ホログラムレーザ11から光ディスク100に相変化ないしは熱変化を生じさせることができるエネルギー量(以下、「記録パワー」という)の光ビームBが出力されるように増幅率が制御される。一方、光ディスク100に記録されているデータを再生する場合、光ディスク100において相変化ないしは熱変化が生じないエネルギー量(以下、「再生パワー」という)の光ビームBがホログラムレーザ11から出力されるように増幅率が制御される。
【0060】
再生部30は、出力端子OUTを有しており、図示しない制御線を介して制御部60から供給される制御信号に基づいて、ホログラムレーザ11から供給される受光信号S31に対応した再生データを出力端子OUTに出力する。受光信号S31は、ホログラムレーザ11が受光した光ビームBの反射光を複数の受光素子などにより受光して得られる、受光素子毎の受光光量等を示す信号である。特に、本実施例では、メインビーム及び2つのサブビームの夫々に対応した受光素子などにより、光ビームBの反射光が受光され、メインビーム及び2つのサブビームの夫々に対応した受光信号S31が得られる。
【0061】
3ビームトラッキングサーボ回路41は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいてトラッキングサーボ制御信号(トラッキングエラー信号)S41を生成する。メインビームのプッシュプル信号から2つのサブビームのプッシュプル信号を減算することでトラッキングサーボ制御信号S41を生成する。その後、3ビームトラッキングサーボ回路41は、トラッキングサーボ制御信号S41をトラッキング駆動回路44に供給する。
【0062】
グレーティング駆動回路42は、ディスク識別回路43から供給される識別信号S43に基づいて、制御部60の制御の下に、グレーティング素子12を所定角度回転させる。ここで、図4を参照して、グレーティング駆動回路42によってグレーティング素子12を回転させる具体的構成について説明する。ここに、図4は、実施例に係る、グレーティング素子12を回転させる具体的構成を概念的に示す平面図である。
【0063】
図4(a)に示すように、グレーティング駆動回路42は、電流を流すことで磁界を発生させる電磁石421と、グレーティング素子12に固定された磁石422と、磁石422及びピックアップ10本体に固定された例えばバネやゴムやその他弾力を有する部材を含む弾性体423とを備えている。電磁石421には、ディスク識別回路43から識別信号S43が供給されており、該識別信号S43に従って、電磁石421のコイルに供給される電流のオン・オフが制御される。電流がオンになった場合、電磁石421には磁界が発生する。他方、電流がオフになった場合、電磁石421には磁界は発生しない。従って、例えば光ディスク100の一具体例を構成するDVD―R、RW、ROMのようにトラックピッチが比較的狭い光ディスクにデータを記録している場合には、電流をオフにすることで、図4(a)に示すようにグレーティング素子12は回転することなく(即ち、初期状態にあり)、メインビーム及びサブビームの夫々は、後述する図10に示すようなスポットを記録面上に形成する。他方、例えば光ディスク100の一具体例を構成するDVD―RAM等にデータを記録している場合には、トラックピッチがDVD―R、RW、ROMよりも広いので、電流をオンにすることで電磁石421に磁界を発生させ、磁石422との間に引力を作用させる。その結果、図4(b)に示すように、電磁石421と磁石422とが接合し、グレーティング素子12が所定角度回転し、メインビーム及びサブビームの夫々は、後述する図11に示すようなスポットを記録面上に形成する。このとき、コイルに供給する電流の大きさを調整することで、引力の大きさを制御し、その結果グレーティング素子12が回転する角度の大きさを制御するように構成してもよい。DVD―RAM等にデータを記録した後に改めてDVD―R、RW、ROMにデータを記録する場合には、コイルに供給される電流をオフにすることで、弾性体423の弾力によって、電磁石421と磁石422とが離れ、図4(a)の初期状態に戻る。このように、電磁石等を用いることで、比較的容易にグレーティング素子12を所定角度回転させることができる。尚、コイルに供給される電流のオン・オフに代えて、コイルに供給される電流の向きを変化させることで、磁石422との間に引力ないしは斥力を作用させるように構成してもよい。或いは、図4に示すように物理的にスリットの角度を変化させることに代えて、液晶素子を含むグレーティング素子と称する)を用いて、電気的にスリットの角度(ないしは、スリットの配置等)を変化させるように構成してもよい。
【0064】
ここで、上述の3ビームトラッキングサーボ回路41及びグレーティング駆動回路42は制御部60と共に本発明の「回折格子を回転調整する」主体の一具体例を構成している。その回路構成の一例を図5に示す。ここに、図5は、実施例に係る、光ピップアップ10の制御信号処理回路を示す回路図である。
【0065】
図5において、サブ受光素子411は、本発明に係る「サブ受光手段」の一例であり、受光面411a、411b、411c、411dを有する。サブ受光素子413は、本発明に係る「サブ受光手段」の一例であり、受光面413a、413b、413c、413dを有する。そして、受光面411a及び413aから出力される受光信号は、加算器41aに入力される。このとき、本発明に係る「選択加算手段」の一例である、スイッチSWa1及びSWa3夫々のオン/オフによって、加算器41aに入力される受光信号を、受光面411a及び413aの受光信号の中から選択可能である。他の加算器41b、41c、41dについても同様に、選択的に受光信号を入力可能である。すなわち、スイッチSWb1及びSWb3夫々のオン/オフによって加算器41bに入力される受光信号を、スイッチSWc1及びSWc3夫々のオン/オフによって加算器41cに入力される受光信号を、スイッチSWd1及びSWd3夫々のオン/オフによって加算器41dに入力される受光信号を、夫々選択可能である。そして、これらの加算器で加算された信号は、グレーティング駆動回路42の加算器421で更に加算される。
【0066】
スイッチSWa1〜SWd3の8つのスイッチを全てオンにする場合には、サブ受光素子411及びサブ受光素子413からの受光信号が共に加算器421に入力されることになる。このとき加算器421から出力される信号を、両側サブビームの和信号とする。
【0067】
スイッチSWa1〜SWd3の8つのスイッチのうち、サブ受光素子411と接続されたスイッチ(具体的には、スイッチSWa1、SWb1、SWc1及びSWd1)のみをオンにする場合、或いは、サブ受光素子413と接続されたスイッチ(具体的には、スイッチSWa3、SWb3、SWc3及びSWd3)のみをオンにする場合には、サブ受光素子411及びサブ受光素子413のうち何れか一方からの受光信号が加算器421に入力されることになる。このとき加算器421から出力される信号を、片側サブビームの和信号とする。
【0068】
メイン受光素子412は、本発明に係る「メイン受光手段」の一例であり、受光面412a、412b、412c、412dを有する。これらの受光面からの受光信号は、グレーティング駆動回路42の加算器422で加算されて、メインビームの和信号が得られる。
【0069】
位相差比較器425は、本発明における「位相差特定工程」で用いられる機器であり、加算器421で得られる片側サブビームの和信号と、加算器422で得られるメインビームの和信号との位相差を比較して特定する。そして、この比較結果に応じてグレーティング素子12を所定角度回転させる。
【0070】
以上、図5に示す構成によると特に、グレーティング素子12の回転調整のときは、スイッチのオン/オフを切り替えることで、メインビームの和信号及び片側サブビームの和信号が夫々得られる。これら和信号の位相差が、グレーティング駆動回路42の位相差比較器425で得られ、その結果の位相差に基づいて、例えばフィードバック的にグレーティング素子12を所定角度回転させる。このようにして、片側サブビームのスポットの中心を、グルーブトラックGTの略中心にそろえることができる。
【0071】
再び図3に戻り、ディスク識別回路43は、現在光ビームBが集光されている光ディスク100の種類を識別する識別信号S43を、グレーティング駆動回路42に供給する。ディスク識別回路43は例えば、制御部60の制御の下に、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいて識別信号S43を生成するように構成されてもよい。
【0072】
トラッキング駆動回路44は、3ビームトラッキングサーボ回路41から供給されるトラッキングサーボ制御信号S41に基づいて、アクチュエータ駆動信号S44を生成し、アクチュエータ部15を駆動させる。即ち、トラッキング駆動回路44は、アクチュエータ駆動信号S44を供給することによってアクチュエータ部15を制御し、対物レンズ14の光ディスク100の径方向(即ち、トラッキング方向)における位置を調整する。
【0073】
フォーカスサーボ回路51は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31に基づいてフォーカスサーボ制御信号(フォーカスエラー信号)S51を生成して、フォーカス駆動回路52に供給する。
【0074】
フォーカス駆動回路52は、フォーカスサーボ回路51から供給されるフォーカスサーボ制御信号S51に基づいて、アクチュエータ駆動信号S52を生成し、アクチュエータ部15を駆動させる。即ち、フォーカス駆動回路52は、アクチュエータ駆動信号S52を供給することによってアクチュエータ部15を制御し、対物レンズ14の光ディスク100に対する距離(即ち、フォーカス方向における位置)を調整する。
【0075】
制御部60は、主としてCPU(Central Processing Unit)により構成され、図示しない制御線を介して上述の各種構成要素に制御信号を出力することで、記録再生装置1全体を制御する。
【0076】
スピンドルモータ70は、ホログラムレーザ11から出力される受光信号S31より生成されるスピンドルサーボ制御信号に基づいて、所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
【0077】
以上、図3から図5を用いて説明したように構成された記録再生装置1において、調整用光ディス100クとはトラックピッチが異なる光ディスク100の記録・再生を行うのにも有利なように、すなわち複数種類の光ディスク100に好適に適応可能ならしめるべく、グレーティング素子12の回転調整が行われる。
【0078】
(2)動作原理
続いて、図6を参照して、記録再生装置1の動作の全体的な流れについて、記録動作を例に説明する。ここに、図6は、記録再生装置1の記録動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【0079】
図6に示すように、初めに、現在データを記録している光ディスク100の種別が識別される(ステップS111)。この識別は、制御部60の制御の下に、ディスク識別回路43の動作によって行われる。その後、識別結果である識別信号S43がグレーティング駆動回路42へ出力される。
【0080】
続いて、グレーティング駆動回路42の動作により、グレーティング素子12を駆動する(即ち、所定角度回転させる)か否かが判定される(ステップS112)。例えば、現在データを記録している光ディスク100がDVD―R、RW、ROMであれば、グレーティング素子12を駆動しないと判定してもよい。他方、現在データを記録している光ディスク100がDVD―RAMであれば、グレーティング素子12を所定角度回転させると判定してもよい。
【0081】
この判定は、次に述べる趣旨による。具体的には、先ず光ディスク100の一例として、所定間隔のトラックピッチTpA(具体的には、後述する図10及び図11を参照)である光ディスクAについて、好適なトラッキングサーボ制御信号S41を得るべく、グレーティング素子12を所定角度回転させて回転調整を行うとする。ここで、光ディスクAを記録或いは再生する場合、光ビームBは、回転調整されたグレーティング素子12によって、2つのサブビームが好ましいスポットを形成するように回折される。識別された光ディスク100の種類に応じて、グレーティング素子12を回転させるか否かが判定されるのである。
【0082】
この判定の結果、グレーティング素子12を回転させると判定された場合(ステップS112:Yes)、グレーティング駆動回路42は、グレーティング駆動回路42は、識別信号S43に基づいて、グレーティング素子12を所定の方向に向かって所定角度回転させる(ステップS113)。この回転調整の具体的な制御については、図7を参照して後述する。
【0083】
他方、グレーティング素子12を回転させないと判定された場合(ステップS112:No)、グレーティング駆動回路42は、グレーティング素子12を回転させない。
【0084】
続いて、光ビームBの反射光がホログラムレーザ11の受光素子において受光されることで生成される受光信号S31に基づいて、3ビームトラッキングサーボ回路41の動作により、トラッキングサーボ制御信号S41が生成される(ステップS114)。その後、生成されたトラッキングサーボ制御信号S41に基づいてトラッキング処理が行われる(ステップS115)。係るトラッキング処理が行われた後に、データの記録が開始される(ステップS101)。
【0085】
その後、制御部60の制御の下に、記録動作を終了するか否かが判定される(ステップS121)。この判定の結果、記録動作を終了すると判定された場合(ステップS121:Yes)、そのまま記録動作を終了し、適宜光ディスク100にファイナライズ処理を施したり、或いは記録再生装置1から光ディスク100をイジェクトしてもよい。又、グレーティング素子12の回転を微調整可能な場合は、データの記録前或いは記録途中に適宜回転調整を行い、トラッキングエラー信号の振幅が最大になるようにしてもよい。
【0086】
続いて、上述したグレーティング素子12の回転調整のより具体的な手順について、図7に示すフローチャートに沿って、図8から図12の波形およびスポットを適宜参照しながら説明する。ここに、図7は、実施例に係る、グレーティング素子12の回転調整方法を示すフローチャートである。図8は、メインビームに対する内周側サブビームの位相差が−180°になるようにグレーティング素子12の回転調整が行われる場合の、光ディスク100の各部における、メインビーム及び片側サブビーム和信号の波形図である(a:メインビーム、b〜d:片側サブビーム)。ここで、メインビームに対して内周側に位置する片側サブビームを、「内周側サブビーム」とも呼び、メインビームに対して外周側に位置する片側サブビームを、「外周側サブビーム」とも呼ぶ。加えて、メインビームのスポットが形成されているグルーブトラックと隣接しており、かつ内周側に位置するランドトラックを、「内周側ランドトラック」とも呼び、外周側に位置するランドトラックを、「外周側ランドトラック」とも呼ぶ。図10は、この場合の、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。又、図9は、メインビームに対する外周側サブビームの位相差が+180°になるようにグレーティング素子12の回転調整が行われる場合の、光ディスク100の各部における、メインビーム及び片側サブビーム和信号の波形図である(a:メインビーム、b〜d:片側サブビーム)。図11は、この場合の、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。図12は、(a)内周側サブビームをメインビームよりも後行させる場合と、(b)先行させる場合とを比較するための、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。又、図9及び図10に示すメインビーム及び片側サブビーム和信号が、本発明における「信号生成工程」で生成される「トラッキング信号」の一具体例である。また、本実施例に係る回転調整(ステップS17を参照)が行われていない場合の、光ディスク100の半径方向における、メインビームのスポットの中心Mから、内周側サブビームのスポットの中心Fbまでの距離を距離ΔMFb1とし、外周側サブビームのスポットの中心Ebまでの距離を距離ΔMEb1とする。また、本実施例に係る回転調整が行われている場合の、光ディスク100の半径方向における、メインビームのスポットの中心Mから、内周側サブビームのスポットの中心Fbまでの距離を距離ΔMFb2とし、外周側サブビームのスポットの中心Ebまでの距離を距離ΔMEb2とする。
【0087】
図7において先ず、グレーティング素子12の回転調整をディスクAで行うか否かが、ユーザによって或いはディスク識別回路43による識別結果によって判断される(ステップS11)。
【0088】
ここで、グレーティング素子12の回転調整をディスクAで行う場合(ステップS11:Yes)、ディスクAが未設置であればディスクAがディスクトレイに設置される。そして、DPP信号及び和信号を得るべくフォーカスがオンに切り換えられる。加えて、各ビーム各トラックを横切る際のDPP信号及び和信号を得るべくトラッキングがオフに切り換えられる(ステップS12)。
【0089】
ここで、3ビームトラッキングサーボ回路41は、サブ受光素子411、413及びメイン受光素子412の出力より得られるDPP信号を観察する。そして、グレーティング駆動回路42は、メインビーム及びサブビームの計3ビームがトラック上に並ぶように、グレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS13)。すなわち、3ビームがトラック上に並んでいるか否かを判定し(ステップS14)、その結果、3ビームがトラック上に並んでいなければ(ステップS14:No)、並ぶまでグレーティング素子12を所定角度回転させる。
【0090】
そして、図8(a)及び図8(b)に示すように、3ビームがトラック上に並ぶと(ステップS14:Yes)、2つのサブビームのうち信号を観察する片側サブビームが、メインビームに対して内周側になるように、グレーティング駆動回路42は、グレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS15)。
【0091】
そして、図8(a)及び図8(c)に示すように、この内周側サブビームの和信号の位相が、メインビームの和信号の位相に対して遅れているか、すなわち、この内周側サブビームが後行ビームであるか否かが、位相差比較器425によって判定される(ステップS16)。この趣旨を図12を用いて説明する。本来、この内周側サブビームは、図12(a)に示すように、後行ビームであることが好ましい。なぜならば、仮にこの内周側サブビームが、図12(b)に示すように、先行ビームであるとすると、この内周側サブビームが形成するスポットの両端部分に位置するグルーブトラックGTのうち片方にしかデータが記録されておらず、反射される光量の内外バランスが悪いからである。そこで、内周側サブビームが後行ビームでない場合には、この内周側サブビームが後行ビームとなるように再度グレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS16:No)。
【0092】
そして、内周側サブビームが後行ビームである場合には(ステップS16:Yes)、図8(a)及び図8(d)に示すように、内周側サブビームの和信号とメインビームの和信号との位相差が−180度になるようにグレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS17)。この工程が、本発明における「調整工程」の一具体例である。この結果として得られるメインビーム及びサブビームのスポットは、図10に示すような位置関係となる。この際、位相差が−180度になるようにグレーティング素子12を所定角度回転させると(ステップS17)、後行ビームである内周側サブビームのスポットの中心Fbは、光ディスク100の半径方向においては、メインビームに係るスポットの中心Mから、トラックピッチTpAの半分の距離ほど内周側に変位させられて(つまり、ΔMFb2=TpA/2)、内周側ランドトラックLTの略中心に形成される。ここで、予め3ビームがトラック上に並んだ状態にしてから当該回転調整が開始されているので、変位量がTpA+TpA/2、或いは2TpA+TpA/2のように想定外の値になることが回避されている。そして、このとき、各ランドトラックLTは光ディスク100の円周にそって形成されているので、内周側サブビームのスポットの中心Fbは、各ランドトラックLTが直線であるとした場合よりも内周側にずれる。言い換えれば、2つのサブビームを結ぶ線が、メインビームの進行方向に対して交わる角度は、各ランドトラックLTが直線であるとした場合よりも大きい。従って、本実施例に係る回転調整が行われていない場合と、行われている場合とを比べると、図10に示すように、内周側及び外周側の両サブビームがメインビームから遠ざかる。より詳しくは、内周側サブビームのスポットに関しては、その中心がFb1からFb2へと変位し、メインビームからの半径方向の距離が長くなる(つまり、ΔMFb1<ΔMFb2)。それに伴い、外周側サブビームのスポットに関しても、その中心がEb1からEb2へと変位し、メインビームからの半径方向の距離が長くなる(つまり、ΔMEb1<ΔMEb2)。従って、内周及び外周両側のサブビームのスポットの中心は、当該回転調整で用いられる光ディスクAよりもトラックピッチが広い光ディスクBのランドトラックLTの略中心に近づくといえる。それ故、光ディスクBを記録又は再生する場合でも、トラッキングエラーが極端に小さくなることを回避できるので、実践上非常に有利である。
【0093】
他方で、グレーティング素子12の回転調整をディスクAで行わない場合(ステップS11:No)、ディスクBで行う(ステップS21)。そして、上述したディスクAの場合と同様にして、ディスクBがディスクトレイに設置され(ステップS22)、メインビーム及びサブビームの計3ビームがトラック上に並ぶように、グレーティング素子12を所定角度回転させ(ステップS23)、3ビームがトラック上に並ぶことを確認する(ステップS24)。
【0094】
そして、図9(a)及び図9(b)に示すように、3ビームがトラック上に並ぶと(ステップS24:Yes)、2つのサブビームのうち信号を観察する片側サブビームが、メインビームに対して外周側になるように、グレーティング駆動回路42は、グレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS25)。
【0095】
そして、図9(a)及び図9(c)に示すように、この外周側サブビームの和信号の位相が、メインビームの和信号の位相に対して進んでいるか、すなわち、この外周側サブビームが先行ビームであるか否かが、位相差比較器425によって判定される(ステップS26)。この判定の趣旨は、図12を用いて上述したとおりである。
【0096】
そして、外周側サブビームが先行ビームである場合には(ステップS26:Yes)、図9(a)及び図9(d)に示すように、外周側サブビームの和信号とメインビームの和信号との位相差が+180度になるようにグレーティング素子12を所定角度回転させる(ステップS27)。この結果として得られるメインビーム及びサブビームのスポットは、図11に示すような位置関係となる。すなわち、先行ビームである外周側サブビームのスポットの中心Ebは、光ディスク100の半径方向においては、メインビームに係るスポットの中心Mから、トラックピッチTpBの半分の距離ほど外周側に変位させられて(ΔMEb2=TpB/2)、外周側ランドトラックLTの略中心に形成される。ここで、予め3ビームがトラック上に並んだ状態にしてから当該回転調整が開始されているので、上述したように変位量が想定外の値になることが回避されている。そして、このとき、各ランドトラックLTは光ディスク100の円周にそって形成されているので、外周側サブビームのスポットの中心Ebは、各ランドトラックLTが直線であるとした場合よりも内周側にずれる。言い換えれば、2つのサブビームを結ぶ線が、メインビームの進行方向に対して交わる角度は、各ランドトラックLTが直線であるとした場合よりも小さい。従って、本実施例に係る回転調整が行われていない場合と、行われている場合とを比べると、図11に示すように、内周側及び外周側の両サブビームがメインビームへと近づく。より詳しくは、外周側サブビームのスポットに関しては、その中心がEb1からEb2へと変位し、メインビームからの半径方向の距離が短くなる(つまり、ΔMEb1>ΔMEb2)。それに伴い、内周側サブビームのスポットに関しても、その中心がFb1からFb2へと変位し、メインビームからの半径方向の距離が短くなる(つまり、ΔMFb1>ΔMFb2)。従って、内周及び外周両側のサブビームのスポットの中心は、当該回転調整で用いられる光ディスクBよりもトラックピッチが狭い光ディスクAのランドトラックLTの略中心に夫々近づくといえる。それ故、光ディスクAを記録又は再生する場合でも、トラッキングエラーが極端に小さくなることを回避できるので、実践上非常に有利である。
【0097】
以上、本実施例によると、回折格子の回転調整時に用いる光ディスク(例えば、光ディスクA)とはトラックピッチが異なる光ディスク(例えば、光ディスクB)の記録・再生を行う場合にも再度の回転調整を極力回避できる。すなわち複数種類の光ディスクに好適に適応可能ならしめる回折格子の回転調整を行うことが可能となるのである。
【0098】
又、上述した実施例に示す動作処理は、記録再生装置の内部に組み込まれた或いは外部に接続された光ピックアップ装置によって実現してもよい。或いは、調整手段を備えたコンピュータにコンピュータプログラムを読み込ませることで実現してもよい。
【0099】
尚、本発明は、上述したDVD―RAMやDVD―R、RW、ROMやBlu−ray Discに限定されるものではなく、その他の様々な光ディスクに対しても適用することが可能である。
【0100】
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う回折格子の回転調整方法及び装置、並びにコンピュータプログラムも又、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】光ディスクの概略構成を示す平面図及び断面図である。
【図2】光ディスクの記録面における部分拡大斜視図である。
【図3】記録再生装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】実施例に係る、グレーティング素子を回転させる具体的構成を概念的に示す平面図である。
【図5】実施例に係る、光ピップアップの制御信号処理回路を示す回路図である。
【図6】記録再生装置の記録動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
【図7】実施例に係る、グレーティング素子の回転調整方法を示すフローチャートである。
【図8】メインビームに対する内周側サブビームの位相差が−180°になるようにグレーティング素子の回転調整が行われる場合の、光ディスクの各部における、メインビーム及び片側サブビーム和信号の波形図である。
【図9】メインビームに対する外周側サブビームの位相差が+180°になるようにグレーティング素子の回転調整が行われる場合の、光ディスク0の各部における、メインビーム及び片側サブビーム和信号の波形図である。
【図10】メインビームに対する内周側サブビームの位相差が−180°になるようにグレーティング素子の回転調整が行われる場合の、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。
【図11】メインビームに対する外周側サブビームの位相差が+180°になるようにグレーティング素子の回転調整が行われる場合の、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。
【図12】内周側サブビームをメインビームよりも後行させる場合と、先行させる場合とを比較するための、メインビーム及びサブビームのスポットを示す平面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 記録再生装置
10 光ピックアップ
12 グレーティング素子
21 信号処理部
22 レーザ駆動回路
30 再生部
41 3ビームトラッキングサーボ回路
42 グレーティング駆動回路
43 ディスク識別回路
44 トラッキング駆動回路
51 フォーカスサーボ回路
52 フォーカス駆動回路
60 制御部
70 スピンドルモータ
SWa1〜SWd3 スイッチ
412 メイン受光素子
411、413 サブ受光素子
411a〜413d 受光面
421、422 加算器
LT ランドトラック
GT グルーブトラック
Fb 内周側サブビームのスポットの中心
M メインビームのスポットの中心
Eb 外周側サブビームのスポットの中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整方法であって、
前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、
前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整工程を備える
ことを特徴とする回折格子の回転調整方法。
【請求項2】
前記メインビーム及び前記一方のサブビームの各々についてのトラッキング信号を生成する信号生成工程と、
前記生成されたトラッキング信号のうち、前記メインビームに係るトラッキング信号に対する前記一方のサブビームに係るトラッキング信号の位相差を特定する位相差特定工程と
を更に備え、
前記調整工程において、前記特定される位相差が前記トラックピッチの半分の距離に相当するように、前記回折格子を回転調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の回折格子の回転調整方法。
【請求項3】
前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記内周側サブビームである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回折格子の回転調整方法。
【請求項4】
前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記内周側サブビームであり、
前記調整工程において、前記特定される位相差が−180度となるように、前記回折格子を回転調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の回折格子の回転調整方法。
【請求項5】
前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記外周側サブビームである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回折格子の回転調整方法。
【請求項6】
前記調整工程において変位させられる前記一方のサブビームは、前記外周側サブビームであり、
前記調整工程において、前記特定される位相差が+180度となるように、前記回折格子を回転調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の回折格子の回転調整方法。
【請求項7】
複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整する光ピックアップ装置であって、
前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、
前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段を備える
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記メインビーム及び前記一方のサブビームの各々についてのトラッキング信号を生成する信号生成手段と、
前記生成されたトラッキング信号のうち、前記メインビームに係るトラッキング信号に対する前記一方のサブビームに係るトラッキング信号の位相差を特定する位相差特定手段と
を更に備え、
前記調整手段は、前記特定される位相差が前記トラックピッチの半分の距離に相当するように、前記回折格子を回転調整する
ことを特徴とする請求項7に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記信号生成手段は、
前記2つのサブビームを各々の受光面で受光することで、前記2つのサブビームの各々に係るトラッキング信号の要素となる受光信号を出力する2つのサブ受光手段と、
前記メインビームを受光面で受光することで、前記メインビームに係るトラッキング信号の要素となる受光信号を出力するメイン受光手段と、
前記2つのサブ受光手段に係る前記受光面が夫々有する複数の領域のうち、前記2つのサブ受光手段間において対応付けられている領域から出力される受光信号を各領域毎に選択的に加算する選択加算手段と
を備え、
前記回折格子を回転調整するにあたり、前記選択加算手段が、前記2つのサブ受光手段間のうち、何れか一方のサブ受光手段から出力される受光信号を各領域毎に選択的に加算することで、前記信号生成手段は、前記一方のサブビームについてのトラッキング信号を生成する
ことを特徴とする、請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
複数種類の光ディスクの各々に対して光源から照射される光ビームをメインビーム並びに複数のサブビームに回折可能な回折格子を、前記光ビームが照射される光ディスクのトラックピッチに応じて回転調整するための回転調整装置として、コンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、
前記複数のサブビームには、前記メインビームよりも前記光ディスクの内周側にスポットの中心が形成される内周側サブビームと、該内周側サブビームとは前記メインビームのスポットの中心について点対称な位置にスポットが形成される外周側サブビームとの2つのサブビームが少なくとも含まれ、
前記コンピュータを、前記2つのサブビームのうち何れか一方のサブビームに係る前記スポットの中心が、前記光ディスクの半径方向においては、前記メインビームに係る前記スポットの中心から、前記トラックピッチの半分の距離変位させられるように、前記回折格子を回転調整する調整手段として機能させる
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−97664(P2008−97664A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275161(P2006−275161)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】