説明

回路モジュールの製造方法

【課題】シールド導電層が確実にグランド電極に接続される回路モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】研磨ロール40を用いて絶縁樹脂層37と導電性部材36を研削することによって、絶縁樹脂層の天面から導電性部材36を露出させる。その後、絶縁樹脂層37の表面にシールド導電層38を形成し、シールド導電層38と導電性部材36とを接続させる。なお、絶縁樹脂層37としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好適であり、強度、誘電率、温度特性、年生などをコントロールすることを目的として、その材料中にセラミックなどのフィラー成分を含有させたものを用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にシールド導電層が形成された回路モジュールの製造方法に関し、特にシールド導電層が確実にグランド電極に接続される回路モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面にグランド電極に接続されたシールド導電性が形成された回路モジュールが提案されている。このような従来の回路モジュールとしては、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の回路モジュールを図6に示す。
図6は従来の回路モジュール10の断面図である。
【0003】
図6に示すように、回路モジュール10は回路基板11と、電子部品18a、18b、18cと、絶縁層19と、シールド導電層20により構成されている。
【0004】
回路基板11の底面にはグランド電極12bを含む外部接続用電極12a,12b,12cが形成されている。回路基板11の内部には面内配線電極14、16a、16bと、ビア電極13a,13b,13c、15a,15bが形成されている。面内配線電極16a、16bはそれぞれビア電極15a、15bを介して、面内電極14と接続されている。面内電極14はビア電極13a、13b、13cを介してグランド電極12bと接続されている。
【0005】
回路基板11の両端部にはブレードなどにより所定の深さまで研削された研削面22a、22bが形成されている。面内配線電極14の一方の端部と面内配線電極16aの一方の端部は回路基板11の一方の研削面22aから露呈し、面内配線電極14の他方の端部と面内配線電極16bの一方の端部は回路基板の他方の切断面22bから露呈している。
【0006】
回路基板11の部品搭載面17には電子部品18a、18b、18cが実装されており、電子部品18a、18b、18cは図示しない他の面内配線電極とビア電極を介して、外部接続電極12a、12b、12cと接続されている。
【0007】
また、電子部品18a、18b、18cを覆うように、回路基板11の部品搭載面17には絶縁層19が形成されている。さらに、絶縁層19を覆うように絶縁層19の表面にはシールド導電層20が形成されている。シールド導電層20は回路基板の研削面22a、22bにも形成され、研削面から露呈する面内電極14、16a、16bと電気的に接続されている。従って、シールド導電層20は面内配線電極14、16a、16bとビア電極13a,13b,13c、15a,15bを介してグランド電極12bと導通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−172178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の回路モジュール10にあっては、面内配線電極14、16a、16bが研削面22a、22bから露呈するように回路基板11の端部を所定の深さまで精度よくカットするのが非常に困難であるという問題点があった。
【0010】
すなわち、研削の深さが所定の深さに達しない時は、切断面22a、22bに面内配線電極14、16a、16bが露呈しないもしくは一部のみが露呈するため、シールド導電層20とグランド電極12bが接続されないもしくは接続不良が発生する。これにより、シールド導電層のシールド効果が低下するという問題点があった。
【0011】
本発明は、上述した問題点を鑑みてなされたものであり、シールド導電層が確実にグランド電極に接続される回路モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、本発明に係る回路モジュールの製造方法はグランド電極と内部配線パターンが形成された回路基板の部品搭載面に電子部品を搭載するとともに、部品搭載面に内部配線パターンを介してグランド電極と接続するように、導電性部材を搭載する工程と、電子部品と前記導電性部材とを覆うように、部品搭載面に絶縁樹脂層を形成する工程と、絶縁樹脂層と前記導電性部材とを研削し、前記絶縁樹脂層の天面を平坦化する工程と、絶縁樹脂層の表面を覆い、かつ導電性部材と電気的に接続するように、絶縁樹脂層の表面にシールド導電層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
この場合、シールド導電層は絶縁樹脂層の天面で導電性部材に接続され、この導電性部材を介して、グランド電極に電気的に接続される。このため、シールド導電層20とグランド電極とを確実に接続できる。
【0014】
さらに、導電性部材は、所定の位置に目印面を有し、前記回路基板の部品搭載面に搭載した状態で、前記絶縁樹脂層の天面に最も近接している面が、前記電子部品の天面よりも前記絶縁樹脂層の天面側に位置するような高さに構成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、絶縁樹脂層と導電性部材を導電性部材の目印面が絶縁層の天面から露呈するまで研削することで、絶縁樹脂層を所定の高さに形成できる。
【0016】
さらに、目印面が、前記導電性部材の前記絶縁樹脂層の天面に最も近接している面であることが好ましい。
【0017】
この場合、導電性部材に目印面を形成するための加工を行う必要がないので、導電性部材の製造が簡単になる。
【0018】
さらに、導電性部材は、回路基板の部品搭載面に搭載した状態で、回路基板の部品搭載面と平行な方向に、導電性部材に貫通部が設けられていることが好ましい。
【0019】
この場合、絶縁樹脂層は導電性部材の貫通部を介して流動できるため、流動性を良好に保ちながら、絶縁樹脂層を形成することができる。
【0020】
さらに、導電性部材は導電性を有するチップ部品であり、導電性部材を搭載する工程は、電子部品が所望のブロックに分離されるように、回路基板の部品搭載面にチップ部品を複数搭載する工程を有することが好ましい。
【0021】
この場合、導電性のチップ部品が電子部品のブロック間に搭載されるため、ブロック間の電磁干渉を阻止できる。また、複数のチップ部品により、電子部品を所望のブロックに分離するため、電子部品の配置に関係なく、容易に電子部品を所望のブロックに分離できる。さらに、複数のチップ部品により、シールド導電層が複数箇所でグランド電極に接続されるため、シールド導電層のシールド効果が向上する。
【0022】
さらに、絶縁樹脂層の天面側に位置するチップ部品の面に、チップ部品が吸着されるための吸着部を備え、チップ部品は、電子部品とともに回路基板の部品搭載面に搭載されることが好ましい。
【0023】
この場合、チップ部品に吸着部を備えているため、他の電子部品と同様に、電子部品実装機器によりチップ部品を吸着して、回路基板上に搭載することが可能である。このため、回路基板へのチップ部品の配置が簡易である。
【発明の効果】
【0024】
本発明はシールド導電層が確実にグランド電極に接続される回路モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの構成を説明するための断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールに用いられる導電性部材の外観斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る回路モジュールの絶縁樹脂層とシールド導電層を除いた平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る回路モジュールの製造方法を説明するための断面図である。
【図6】従来の回路モジュールの構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
図1に示すように、回路モジュール30は、回路基板31と、接合パッド32aを介して回路基板31の部品搭載面32に搭載される電子部品35a〜35d、導電性部材36と、電子部品35a〜35dを覆って、導電性部材36の一部が表面に露呈するように回路基板31上に形成された絶縁樹脂層37と、絶縁樹脂層37を覆うように形成されたシールド導電層38とで構成されている。
【0028】
回路基板31としては、例えば、30mm×25mm×0.5mmの直方体となるように、主としてセラミック材料からなるセラミック多層基板、または、主として樹脂材料からなる樹脂多層基板などを用いて形成されている。多層基板は面内配線電極が形成された基板を積み重ねて構成されており、前記基板を貫通するビア電極によって面内配線電極は電気的に接続されている。面内配線電極とビア電極により、回路基板内に配線パターン34が構成されている。
【0029】
回路基板31の底面にはグランド電極33dを含む外部接続用電極33a〜33eが形成されている。グランド電極33dは配線パターン34を介して、導電性部材36と電気的に接続されている。また、電子部品35a〜35dは図示しない配線パターンによりそれぞれ外部接続用電極33a〜33eに電気的に接続されている。
【0030】
つづいて、回路モジュール30の製造方法について図2を参照しながら説明する。図1と対応する部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
なお、ここでは回路基板31としてセラミック多層基板を例にとって説明する。
【0032】
最初に、図2に示すような集合基板39を準備する。集合基板39は所定パターンのビアホールや面内配線電極を設けたセラミックグリーンシートを所定の枚数積み重ねて、焼成することにより得ることができる。この集合基板39は、部品搭載面および底面に接合パッドおよび外部接続電極を有するセラミック多層基板からなる。
【0033】
図2(a)は集合基板39の部品搭載面32上の接合パッド32aに電子部品35a〜35dおよび導電性部材36を搭載する工程を示す断面図である。図2(a)を参照して、まず、集合基板39の部品搭載面32上の接合パッド32aに、スクリーン印刷等によりはんだを供給し、さらに電子部品35a〜35eおよび導電性部材36を搭載する。その後、集合基板39をリフロー炉に投入することによってはんだを溶融、固化させて、電子部品35a〜35eおよび導電性部材36を集合基板39の部品搭載面32に固定する。なお、導電性部材36の詳細は後述するが、部品搭載面32に搭載された状態で、導電性部材36の高さは他の電子部品よりも高くなっている。
【0034】
つづいて、図2(b)は集合基板39に絶縁樹脂層37を形成する工程を示す断面図である。図2(b)に示すように、電子部品35a〜35eを覆って、導電性部材36をの一部が表面に露出するように集合基板39の部品搭載面に絶縁樹脂層37を形成する。より詳細にいうと、軟化状態にある樹脂シートのラミネート、液状樹脂のトランスファモールド、同じく液状樹脂のコーティング等の手法で絶縁樹脂層を形成する。ここで、所定温度の熱を加え、絶縁樹脂層37の粘度を低下させて、その流動性をあげた状態で、絶縁樹脂層37を形成する。絶縁樹脂層37の厚みは、導電性部材36の高さよりも厚く形成されており、導電性部材36は完全に絶縁樹脂層37の中に埋め込まれている。
【0035】
なお、絶縁樹脂層37としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好適であり、強度、誘電率、温度特性、粘性などをコントロールすることを目的として、その材料中にセラミックなどのフィラー成分を含有させたものを用いてもよい。
【0036】
図2(c)は研磨ロール40を用いて絶縁樹脂層37の天面を平坦化する工程を示す断面図である。研磨ロール40を図中矢印方向に動かし、絶縁樹脂層37と導電性部材36を研削することによって、絶縁樹脂層37の天面が平坦化されるとともに前記天面から導電性部材36を露出させることができる。
【0037】
さらに、導電性部材36により絶縁樹脂層37の厚みを所望の厚みに正確に形成することができる。これは回路基板上に搭載された状態で、所望の絶縁性樹脂層の厚みとなるように、あらかじめ、導電性部材36に目印面42を設け、該目印面42が絶縁樹脂層37の天面に露出するまでに導電性部材36と絶縁樹脂層37を研削することで達成される。絶縁樹脂層の研削中は、導電性部材36の目印面42が露出を確認したときに、研削を迅速に中止できるように、目視または光学センサーなどにより絶縁樹脂層37の天面を観察しながら研削を行う。
【0038】
なお、本実施形態においては、導電性部材36の天面が目印面の役割を果たしており、この場合、導電性部材の形成時に目印面を設けるための特別な加工が必要ないため導電性部材の加工が簡単になるという利点がある。
【0039】
図2(d)は集合基板39に切り込み部41を形成する工程を示す断面図である。回路モジュール30として切り出す境界部分において、所定の深さまで溝状の切り込み部41を、ブレードなどを用いて形成する。溝状の切り込み部41は絶縁樹脂層37の途中で止めてもよく、また集合基板39の途中に至る深さまで形成してもよい。集合基板39の途中まで切り込み部41を形成した場合、後述するシールド導電層38を作製することにより、絶縁樹脂層36の天面および側面全体をシールド導電層38で被覆することができ、シールド効率を高めることができる。
【0040】
図2(e)は絶縁樹脂層37の表面にシールド導電層38を形成する状態を示す断面図である。切り込み部41も含めて、ディスペンサー、ジェットディスペンサー、真空印刷装置等を用いて絶縁樹脂層37の表面を覆うようにシールド導電層38を塗布する。塗布するのと同時に、シールド導電層38は絶縁樹脂層37の天面から露出する導電性部材36と接続され、内部電極34を介してグランド電極33dに導通される。また、切り込み部41の内部が十分に充填されるようにシールド導電層38を塗布することにより、シールド性を高めることができる。
【0041】
なお、シールド導電層38には、例えば、導電性成分を含む導電性樹脂が使用される。導電性樹脂に含まれる導電体成分(フィラー)は、例えばAg、Cu、Niなどであり、導電性成分を包含する合成樹脂(バインダー)は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などである。
【0042】
最後に、図2(f)は集合基板39が個々の基板に分割する工程を示す断面図である。シールド導電層38を形成した後、ブレードなどで、切り込み部41をさらに切り進め、集合基板39は個々の回路モジュール30に分断される。
【0043】
以上のような本実施例の回路モジュールの製造方法によれば、グランド電極に接続された導電性部材を電子部品とともに回路基板上に搭載し、この導電性部材と絶縁樹脂層とを研削して、絶縁樹脂層の天面を平坦化しながら、導電性部材を絶縁樹脂層の表面に露出させ、前記導電性部材の露出部と電気的に接続するように絶縁樹脂層の表面にシールド導電層を形成するため、グランド電極に確実に接続されたシールド導電層を有する回路モジュールを製造できる。
【0044】
つづいて、本実施形態に用いる導電性部材36について詳細に説明する。
【0045】
図3に示すように、導電性部材36は回路基板31の部品搭載面32に搭載されている個片のチップ部品49が、複数集まることによって構成されている。これら複数のチップ部品49により、回路基板の部品搭載面32は第1のブロック61と第2のブロック62とに分離されている。第1のブロック61に搭載される電子部品と、第2のブロック62に搭載される電子部品は、それぞれ異なる機能回路を構成している。
【0046】
例えば、回路モジュール30がBluetoothR回路とFMチューナー回路を一つのモジュール部品に集積したモジュール部品である場合、第1のブロック61に搭載される電子部品はBluetooth回路を構成し、第2のブロック62に搭載される電子部品はFMチューナー回路を構成する。
【0047】
以上のように、導電性のチップ部品49が複数搭載されることにより、第1のブロック61と第2のブロック62の間にシールドが構成される。このため、第1のブロック61に搭載される電子部品と第2のブロック62に搭載される電子部品間での電磁干渉を防ぐことができる。
【0048】
さらに、このシールドは複数の個片のチップ部品49で構成されているため、回路基板31のサイズや第1、第2のブロック内の電子部品の配置に合わせて、導電性チップの搭載位置と、搭載個数を変えて、シールドの形状を自由に変更できる。
【0049】
図4にチップ部品49の外観斜視図を示す。図4に示すように、チップ部品49は、基体51と、支持部52と、吸着部53とによって構成されている。
【0050】
基体51は、第1の構成部51aと、第2の構成部51bと、第3の構成部51cが互いに連結して、構成されている。第1の構成部51aは、第2の構成部51bの主面56とほぼ垂直な第1の方向に延びるように第2の構成部51bの一辺57と繋がって形成されている。第3の構成部51cは第2の構成部51bの主面56とほぼ垂直に、前記第1の方向とは反対の第2の方向に延びるように、第2の構成部51bの一辺57と対向する辺58と繋がって形成されている。
【0051】
また、基体51には、部品搭載面32に搭載された状態で、部品搭載面32と平行方向に該基体を貫通するように貫通部54が形成されている。この貫通部の最大開口長は、回路モジュールの動作信号の4分の1波長以下であることが好ましい。
【0052】
このように、基体51に貫通部54を形成することで、絶縁樹脂層37を構成する樹脂材料が貫通部54を介して流動できるため、流動性を良好に保ちつつ絶縁樹脂層37を回路基板上に形成できる。
【0053】
支持部52は基体51とほぼ垂直に、基体51の底面の両端部に形成されている。導電性部材34が回路基板31上に搭載される際、基体51を支持できるように、支持部52は部品搭載面32と平行方向に所定の面積をもって形成されている。さらに、支持部52には開口部55が形成されている。
【0054】
このようにチップ部品49は支持部52により、倒れにくく、安定して回路基板上に搭載される。
【0055】
また、開口部55が形成されているため、はんだなどにより支持部52を回路基板上に接続するのにあたって、支持部52の部品搭載面32と接する面以外の面にもはんだが形成され、チップ部品49をより強固に回路基板上に接続することができる。
【0056】
吸着部53は基体51とほぼ垂直に、基体51の天面に形成されている。吸着部53は、例えば、チップマウンターなどの電子部品実装機器の吸着ノズルが吸着できるように、支持部52と平行方向に、すなわち、部品搭載面32と平行方向に所定の面積をもって形成されている。
【0057】
以上のような構成のチップ部品49は、電子部品実装機器を用いて、他の電子部品と同様に簡単に回路基板上に搭載することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図5(a)〜(c)に本発明の第2の実施形態に係る回路モジュールの製造方法の一部の工程を示す。図5(a)は集合基板39に絶縁樹脂層37を形成する工程を示す断面図、図5(b)は絶縁樹脂層37の天面を平坦化する工程を示す断面図である。図5(c)は本実施形態に用いる導電性部材71の外観斜視図である。本実施形態は第1の実施形態と比較して、用いる導電性部材の構成が異なり、これに伴って絶縁樹脂層の形成と研削の工程が異なる。従って、第1の実施形態と同じ構成および工程については説明を省略する。
【0059】
図5(c)に示すように、導電性部材71は板状に形成され、板の上部と下部の幅が異なる段差構造を有している。この段差が形成されている面が目印面72である。該目印面72は、部品搭載面32に搭載される電子部品の中でもっとも天面の位置が高い電子部品35aの天面よりも高く位置するように導電性部材71に形成されている。絶縁樹脂層37は、トランスファモールド法、ポッティング法、真空印刷法などにより、その天面が導電性部材71の目印面72と導電性部材71の天面73の間の高さに位置するように形成される。従って、目印面72は完全に絶縁樹脂層37の中に埋め込まれている。
【0060】
なお、目印面72は、部品搭載面32と垂直方向から見たときに、目印面72よりも絶縁樹脂層37の天面側に位置する導電性部材71の他の部分と比較して、形状が異なっていればよく、本実施形態で示した段差構造以外の構造で目印面を形成してもよい。
【0061】
また、形状に関わらず、部品搭載面32と垂直方向から見たときに目印面72よりも絶縁樹脂層37の天面側に位置する導電性部材71の他の部分と色が異なるようにして、目印面を形成してもいい。
【0062】
つづいて、図5(b)に示すように、研磨ロール40を図中矢印方向に動かし、絶縁樹脂層37と導電性部材71を研削することによって、絶縁樹脂層37の天面が平坦化される。絶縁樹脂層37は目印面72が絶縁樹脂層37の天面に露出するまで研削される。研削工程中は、導電性部材36の目印面72が露出を確認した場合には研削を中止できるように、目視または光学センサーなどにより絶縁樹脂層37の天面を観察しながら研削を行う。
【0063】
以上に述べたように、導電性部材に目印面を設け、該目印面が露出するまで絶縁樹脂層を研削することにより、絶縁樹脂層を正確に所望の厚みに研削することができる。
【0064】
さらに、目印面と導電性部材の天面との距離を小さくすることで、絶縁樹脂層の研削時間および研削量を減らすことができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10、30 回路モジュール
11、31 回路基板
12b、33d グランド電極
13a〜c、15a、15b ビア電極
14、16a、16b 面内配線電極
17,32 部品搭載面
32a 接合パッド
34 配線パターン
18a〜c、35a〜c 電子部品
19、37 絶縁樹脂層
36 導電性部材
20、38 シールド導電層
39 集合基板
40 研磨ロール
41 切り込み部
42 目印面
49 チップ部品
51 基体
52 支持部
53 吸着部
54 貫通部
55 開口部
61、62 第1のブロック、第2のブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランド電極と内部配線パターンが形成された回路基板の部品搭載面に電子部品を搭載するとともに、前記部品搭載面に前記内部配線パターンを介して前記グランド電極と接続するように導電性部材を搭載する工程と、
前記電子部品と前記導電性部材とを覆うように、前記部品搭載面に絶縁樹脂層を形成する工程と、
前記絶縁樹脂層と前記導電性部材とを研削し、前記絶縁樹脂層の天面を平坦化する工程と、
前記絶縁樹脂層の表面を覆い、かつ、前記導電性部材と電気的に接続するように、前記絶縁樹脂層の表面にシールド導電層を形成する工程とを有することを特徴とする回路モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記導電性部材は、所定の位置に目印面を有し、
前記回路基板の部品搭載面に搭載した状態で、前記絶縁樹脂層の天面に最も近接している面が、前記電子部品の天面よりも前記絶縁樹脂層の天面側に位置するような高さに構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記目印面が、前記導電性部材の前記絶縁樹脂層の天面に最も近接している面であることを特徴とする請求項2に記載の回路モジュールの製造方法
【請求項4】
前記導電性部材は、前記回路基板の部品搭載面に搭載した状態で、
前記回路基板の部品搭載面と平行な方向に、前記導電性部材に貫通部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記導電性部材は導電性を有するチップ部品であり、
前記導電性部材を搭載する工程は、前記電子部品が所望のブロックに分離されるように、前記回路基板の部品搭載面に前記チップ部品を複数搭載する工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の回路モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記絶縁樹脂層の天面側に位置する前記チップ部品の面に、前記チップ部品が吸着されるための吸着部を備え、
前記チップ部品は、前記電子部品とともに前記回路基板の部品搭載面に搭載されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−258887(P2011−258887A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134251(P2010−134251)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】