説明

回転シール円盤装置および同装置を備えた回転式流体充填機

【課題】回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式ジョイントにおいて、十分なシール力を得ることができ、分解点検する際に手間がかからなく、複数種類の流体を受け渡すことができる回転シール円盤装置を提供する。
【解決手段】回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式ジョイントにおいて、軸方向に重ね合わせた構成の前記回転側と前記非回転側にそれぞれ前記流体の流路を有する回転円盤5と固定円盤6を設けて、回転円盤5の流路と固定円盤6の流路が繋がるように配置するとともに、回転円盤5と固定円盤6の重ね合わせ部における前記流路を流路外とシール機構によりシール遮断して、前記流体を前記回転側と前記非回転側の間で受け渡すように構成し、前記シール機構を、回転円盤5または固定円盤6の流路内に設けたシール保持具12が圧力媒体により固定円盤6または回転円盤5に押し付けられる構造としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式流体(飲料等)充填機、回転式リンサ等の回転式(ロータリー)ジョイントにおける流体のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の充填バルブが円周上に配設され、回転しながら容器を前記充填バルブ下に受け入れて、その回転中に順次前記容器に流体を充填する回転式流体充填機等においては、回転式ジョイントで固定側と回転側の間に飲料等の流体を受け渡す技術が開示されている。(特許文献1、2および3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−26237号公報(第1図)
【特許文献2】特許第3411601号公報(図7、図8、図9、図10、図11)
【特許文献3】特開平11−336969号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1によれば、ガス供給穴および長溝を有する非回転(固定)の扇形プレートの上面と、ガス供給穴を有する回転円盤の下面がメカニカルシールで摺動して、ガスが非回転側のガス供給穴から長溝を経由して回転側のガス供給穴へ供給されるとしている。
しかしながら、前記特許文献1の回転式ジョイントでは、非回転側と回転側が両者の摺動面を合わせただけのメカニカルシールとなっていてシールが不十分になりやすいために、高圧の流体を非回転側から回転側へ受け渡す場合において流体が漏洩する恐れがあるという問題が考えられる。
【0005】
また、前記特許文献2によれば、飲料流路を設けた回転軸の周りに複数個の固定のスタッフィングボックスが多段に配置され、前記回転軸と前記スタッフィングボックスの間にリング状シール部材が介装されて、該リング状シール部材の間のスタッフィングボックスに設けた配管の流路と前記回転軸内の飲料流路が繋がる構成にして、飲料が回転側から固定側に受け渡されるとしている。さらに、回転軸の周りの一方向性軸シール(リング状シール部材)に樹脂製シールリング、ゴムリングを配置して、ゴムシートパッド内に設けた飲料流路を経て前記ゴムリングの背面に飲料の圧力を加え、樹脂製シールリングが回転軸に押し付けられることによりセルフシールし、飲料の飲料流路外への漏洩を防止するとしている。
しかしながら、前記特許文献2の回転式ジョイントでは、回転軸の周りに固定のスタッフィングボックスを多段に積み重ねる構造のため、点検等で分解する際に流路の個数が多くなるとスタッフィングボックスを上方から順次分解しなければならず、手間がかかるという問題が考えられる。さらに、前記特許文献2は回転軸の周りの一方向性軸シールのセルフシール技術については開示されているが、軸方向に重ね合わせた構成となっている回転軸または回転円盤と固定軸または固定円盤の間のセルフシール技術については開示されていない。
【0006】
さらに、前記特許文献3によれば、中空路の後端開口部にシール部材を設けた回転軸体と、中空路の前端開口部にシール部材を設けた固定のハウジングが、軸方向に重ね合わせられた構成のロータリー(回転式)ジョイントにおいて、回転軸体に設けたシール部材を回転軸体に対して軸方向に移動可能な移動軸体の後端開口部に取り付けて、移動軸体がばね力によって後方向へ付勢される構造として、回転側のシール部材と固定側のシール部材を摺動させて、固定側の中空路から回転側の中空路へ液体を受け渡すとしている。
しかしながら、前記特許文献3の回転式ジョイントでは、前記中空路の中心が回転軸体の回転中心と一致しているため、受け渡す液体の種類は1種類に限定されることになる。
【0007】
本発明は、回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式流体充填機等の回転式ジョイントにおいて、流路を有する回転円盤と固定円盤を軸方向に重ね合わせた構成で設けて、受け渡す流体の圧力が高くても十分なシール力を得ることができるようなセルフシール機能を持たせ、しかも、分解、点検する際に手間がかからなく、複数種類の流体を受け渡すことができる回転シール円盤装置、および、同回転シール円盤装置を備えた回転式流体充填機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の回転シール円盤装置は、回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式流体充填機等の回転式ジョイントにおいて、軸方向に重ね合わせた構成の前記回転側と前記非回転側にそれぞれ前記流体の流路を有する回転円盤と固定円盤を設けて、前記回転円盤の流路と前記固定円盤の流路が繋がるように配置するとともに、前記回転円盤と前記固定円盤の重ね合わせ部における前記流路を流路外とシール機構によりシール遮断して、前記流体を前記回転側と前記非回転側の間で受け渡すように構成し、前記シール機構を、前記回転円盤または前記固定円盤の流路内に設けたシール保持具が圧力媒体により前記固定円盤または前記回転円盤に押し付けられる構造としたことを特徴とする。
(2)第2の手段の回転シール円盤装置は、前記第1の手段の回転シール円盤装置において、前記回転円盤または前記固定円盤の重ね合わせ部の前記流路をリング状の溝で構成して、該溝に配置した前記シール保持具が流路を有し、リング状の形状で構成されたことを特徴とする。
(3)第3の手段の回転シール円盤装置は、前記第1および第2の手段の回転シール円盤装置において、前記圧力媒体をばね力で構成したことを特徴とする。
(4)第4の手段の回転シール円盤装置は、前記第1から第3の手段の回転シール円盤装置において、前記圧力媒体を前記流体の流体圧で構成して、前記シール保持具の流体圧受け部面積が前記シール保持具に設けた前記流路の面積よりも大きくなるようにしたことを特徴とする。
(5)第5の手段の回転シール円盤装置は、前記第1から第4の手段の回転シール円盤装置において、前記流路を複数で同心円状に構成したことを特徴とする。
(6)第6の手段の回転式流体充填機は、前記第1から第5の手段の回転シール円盤装置と、該回転シール円盤装置の回転円盤とともに回転し、流体を貯える槽から成るフィラーボウルと、該フィラーボウルとともに回転し、該フィラーボウルと流路が接続されて円周等分に配設された複数の充填バルブと、前記回転シール円盤装置と前記フィラーボウルを接続する流体の配管と、前記回転シール円盤装置と前記充填バルブを接続する流体の配管を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係わる本発明の回転シール円盤装置は、回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式流体充填機等の回転式ジョイントにおいて、軸方向に重ね合わせた構成の前記回転側と前記非回転側にそれぞれ前記流体の流路を有する回転円盤と固定円盤を設けて、前記回転円盤の流路と前記固定円盤の流路が繋がるように配置するとともに、前記回転円盤と前記固定円盤の重ね合わせ部における前記流路を流路外とシール機構によりシール遮断して、前記流体を前記回転側と前記非回転側の間で受け渡すように構成し、前記シール機構を、前記回転円盤または前記固定円盤の流路内に設けたシール保持具が圧力媒体により前記固定円盤または前記回転円盤に押し付けられる構造とした。すなわち、シール機構が、回転円盤と固定円盤とのうち、いずれか一方の流路内にシール保持具が設けられ、該シール保持具が圧力媒体により他方に押し付けられる構造となっている。これにより、シール機構が簡素化され、シール機構の保守等で回転式ジョイントを分解する際に、前記回転円盤と前記固定円盤の重ね合わせ部を切り離すだけですみ、手間がかからなくなるという効果、並びに、前記流路を複数とすることが可能であるという効果を有する。
請求項2に係わる本発明は、請求項1に記載する回転シール円盤装置において、前記回転円盤または前記固定円盤の重ね合わせ部の前記流路をリング状の溝で構成して、該溝に配置した前記シール保持具が流路を有し、リング状の形状で構成されたことにより、前記回転円盤と前記固定円盤の間の流体の連続的な受け渡しを簡素な構成で実現できるという効果を有する。
請求項3に係わる本発明は、請求項1および2に記載する回転シール円盤装置において、前記圧力媒体をばね力で構成したことにより、前記シール保持具が前記回転円盤または前記固定円盤に押し付けられる機構を簡素化できるとともに、ばね力を適宜選定してシール力を設定できるという効果を有する。
請求項4に係わる本発明は、請求項1から3に記載する回転シール円盤装置において、前記圧力媒体を前記流体の流体圧で構成して、前記シール保持具の流体圧受け部面積が前記シール保持具に設けた前記流路の面積よりも大きくなるようにしたことにより、前記シール保持具が流体圧で前記回転円盤または前記固定円盤に押し付けられて流路外とシールされ、しかも、流体圧の高低に応じてシール力が増減するセルフシール機能を持たせることができるという効果を有する。
請求項5に係わる本発明は、請求項1から4に記載する回転シール円盤装置において、前記流路を複数で同心円状に構成したことにより、充填飲料等の流体の他に、洗浄液等の流体のような複数種類の流体を1組の回転円盤と固定円盤の組合せで受け渡すことができるという効果を有する。
請求項6に係わる本発明は、請求項1から5に記載する回転シール円盤装置と、該回転シール円盤装置の回転円盤とともに回転し、流体を貯える槽から成るフィラーボウルと、該フィラーボウルとともに回転し、該フィラーボウルと流路が接続されて円周等分に配設された複数の充填バルブと、前記回転シール円盤装置と前記フィラーボウルを接続する流体の配管と、前記回転シール円盤装置と前記充填バルブを接続する流体の配管を備えた回転式流体充填機とすることにより、前記回転シール円盤装置のシール機構を分解、点検する際に手間がかからなく、また、複数の流体を回転側と固定側の間で受け渡すことが可能となり、前記回転シール円盤装置のシール機構が受け渡す流体の圧力が高くなってもセルフシール機能によって流体が流路外へ漏洩しない回転式流体充填機を提供できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わる回転シール円盤装置を備えた回転式流体充填機の正面図で、一部断面図としてある。
【図2】図1の回転シール円盤装置の詳細図で、断面図としてある。
【図3】図2の断面A−A図である。
【図4】図2の断面B−B図である。
【図5】図2の断面C−C図である。
【図6】図2の回転シール円盤装置において、回転円盤と固定円盤を切り離した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
本発明の実施の形態を図1から図6に基づいて説明する。
図1は、本発明に係わる回転シール円盤装置を備えた回転式流体充填機の正面図で、一部断面図としてある。
図2は、図1の回転シール円盤装置の詳細図で、断面図としてある。
図3は、図2の断面A−A図である。
図4は、図2の断面B−B図である。
図5は、図2の断面C−C図である。
図6は、図2の回転シール円盤装置において、回転円盤と固定円盤を切り離した状態を説明する図である。
【0013】
図において、回転式流体充填機30は、回転テーブル35に円周等分に設けられ、昇降機構および容器グリップ機構を持った容器グリッパ装置34に保持された容器31が、容器グリッパ装置34に対応して円周等分に設けられた充填バルブ32から、回転テーブル35の回転中に飲料である流体を充填されるようになっている。前記充填バルブ32は回転テーブル35とともに回転する回転軸35aに取り付けられた流体を貯える環状槽から成るフィラーボウル33の下面に取り付けられて、前記フィラーボウル33と流路が接続されている。
前記回転テーブル35は、駆動装置40により回転駆動される歯車41に噛み合う歯車と一体になっている旋回台軸受け37の回転部に取り付けられた回転リング36上に取り付けられている。
なお、旋回台軸受け37の固定部はベースフレーム38上に設置されている。
【0014】
飲料である流体は、図示しない液処理装置から配管2、回転シール円盤装置1、配管42を経由して、フィラーボウル33へ供給され、該フィラーボウル33から各充填バルブ32へ供給されるようになっている。
なお、回転式流体充填機30での充填が終了した後等において、洗浄液である流体が図示しない液処理装置から配管2、回転シール円盤装置1、配管42、フィラーボウル33、充填バルブ32、該充填バルブ32に取り付ける図示しない洗浄用アタッチメントと流路が繋がっている配管46、集合配管45、配管44、回転シール円盤装置1、配管4を経由して図示しない液処理装置へ循環されることにより、飲料である流体に接した箇所が洗浄されるようになっている。記号44aは配管44の途中に設けられ、配管44の流路を開閉する開閉バルブである。
【0015】
回転シール円盤装置1は、回転テーブル35と一体に回転する回転円盤5とその下方に軸方向に重ね合わせた構成で配置された固定円盤6により構成されている。
回転円盤5には配管42および配管44が、図示のように、円周等分に液密に接続されている。
図示では、配管42および配管44を、それぞれ8本設けた場合を示したが、それぞれの本数はこれに限らず必要に応じて増減できることは勿論である。
【0016】
固定円盤6では、回転式流体充填機30の図示しないフレームに設けられたブラケット51に取り付けられた固定円盤ベース7上で、リング8とリング9により溝16が、また、固定円盤ベース7上でリング9とリング10により溝17が同心円状に形成されるように、固定円盤ベース7とリング8、リング9およびリング10が取り付けられている。
固定円盤ベース7とリング8、リング9、リング10は、図示のように、Oリング24、Oリング25、Oリング26、Oリング27により液密に取り付けられている。
なお、回転円盤5は、外輪側が固定円盤ベース7の軸受け取り付け部7aとリング10の軸受け押さえ部10aとにより押さえ込まれて固定され、内輪側が回転円盤5の軸外径部5aにおいて締め具3aにより軸段差部5bとの間で締め付けられる構成となっている軸受3によって、固定円盤6に対して回転支持されるようになっている。
【0017】
固定円盤ベース7には配管2および配管4が液密に接続されて、前記溝16および溝17に流体が流れるようになっている。
溝16および溝17には、リング状のシール保持具12およびシール保持具13が、それぞれ同心円状に設けられており、該シール保持具12およびシール保持具13は、その溝状の座12bおよび溝状の座13bと固定円盤ベース7の上面との間に設けられたばね14およびばね15により上方の回転円盤5側へ付勢されるようになっている。
また、前記シール保持具12およびシール保持具13には、回転円盤5に向かう側にそれぞれ溝16aおよび溝17aが設けられているとともに、溝16aおよび溝17aと溝16および溝17の間にそれぞれ孔12aおよび孔13aが円周等分に開けられている。
上記説明のように、固定円盤6では、配管2および配管4、溝16および溝17、孔12aおよび孔13a、溝16aおよび溝17aにより流路が形成されている。
図示では、孔12aおよび孔13aを、それぞれ12個設けた場合を示したが、それぞれの個数はこれに限らず必要に応じて増減できることは勿論である。また、配管2および配管4も必要に応じて本数を設定することができる。
なお、前記シール保持具12およびシール保持具13は、リング8およびリング9との間でピン12cおよびピン13cにより廻り止めされるようになっている。
【0018】
前記シール保持具12およびシール保持具13のリング8とリング9との摺動接触面およびリング9とリング10との摺動接触面には、それぞれOリング28aとOリング28bおよびOリング29aとOリング29bが嵌められており、液密で摺動するようになっている。
リング8とリング10はその上面に弾力性を持ち、耐摺動摩耗性のあるシール部材18とシール部材23が同心円状に嵌められ、また、シール保持具12とシール保持具13はその上面に弾力性を持ち、耐摺動摩耗性のあるシール部材19とシール部材20並びにシール部材21とシール部材22が同心円状に嵌められた構成となっていて、回転円盤5と固定円盤6の回転摺動に際して液密にシールされる構造となっている。
【0019】
前記回転円盤5と固定円盤6は、固定円盤ベース7の内径側下面7bを図示しない昇降機構で昇降する昇降受け具50で受けた後、ブラケット51を外すとともに締め具3aを外して、昇降受け具50を下降させることによって、図6に示すように、接触状態から開放状態に切り離すことができるようになっている。
【0020】
なお、上記説明では、2種類の流体を対象として2個のシール保持具を設けた場合を示したが、流体の種類は1種類の場合でも3種類以上の場合でもよく、流体の種類数に応じてシール保持具の個数を増減できることは勿論である。
【0021】
次に、本実施の形態に係わる回転シール円盤装置1および同装置1を備えた回転式流体充填機30の作用を説明する。
回転円盤5と固定円盤6が閉じられた接触状態で、飲料である流体が図示しない液処理装置から配管2を経由して固定円盤6に供給されると、飲料である流体は、溝17、孔13a、溝17a、回転円盤5の配管42を経由してフィラーボウル33に供給され、さらに、フィラーボウル33から各充填バルブ32に供給されて、回転テーブル35の回転中に充填制御により充填バルブ32から該充填バルブ32に対応した容器31に充填される。
【0022】
シール保持具13は、予めばね力を設定されたばね15の付勢により回転円盤5に押し付けられるとともに、孔13aと対比して大きい受圧面積を持つ溝17側の下面に飲料である流体の圧力が作用することにより回転円盤5に押し付けられて、同心円状に配置されたシール部材21およびシール部材22のシール作用により回転円盤5と液密にシールされる。
ここで、飲料である流体の圧力の高低により、シール保持具13が回転円盤5に押し付けられる力が増減されて、セルフシール機能が発揮されることになり、飲料である流体はその圧力が高くても流路外に漏れない。
【0023】
回転式流体充填機30での充填が終了した後に際しては、洗浄液である流体が図示しない液処理装置から配管2、溝17、孔13a、溝17a、配管42、フィラーボウル33、充填バルブ32、該充填バルブ32に取り付ける図示しない洗浄用アタッチメントと流路が繋がっている配管46、集合配管45、開閉バルブ44aによって流路が開となっている配管44、溝16a、孔12a、溝16、配管4を経由して図示しない液処理装置へ循環されて、飲料である流体が接した箇所が洗浄される。
【0024】
ここで、シール保持具12の回転円盤5との液密シールおよびセルフシール機能については、上記説明のシール保持具13の場合と同様に、シール保持具12は予めばね力を設定されたばね14の付勢により回転円盤5に押し付けられるとともに、孔12aと対比して大きい受圧面積を持つ溝16側の下面に洗浄液である流体の圧力が作用することにより回転円盤5に押し付けられて、同心円状に配置されたシール部材19およびシール部材20の作用によりシール保持具12が回転円盤5と液密にシールされるとともにセルフシール機能を発揮して、洗浄液である流体はその圧力が高くても流路外に漏れない。
【0025】
なお、回転式流体充填機30が充填中の際には、前記シール保持具13を経由して飲料である流体が供給されていくが、シール保持具12については流体を供給しない状態としてもよい。
また、回転式流体充填機30の充填前の洗浄工程で清水が前記シール保持具12に供給された後、前記開閉バルブ44aを閉の状態にして、前記シール保持具12に清水である流体が保持されたままとして回転式流体充填機30が充填を行うようにしてもよい。
【0026】
回転円盤5と固定円盤6の摺動部を分解、点検する際には、昇降受け具50を上昇させ、固定円盤ベース7の内径側下面7bを受けた後、ブラケット51を取り外すとともに締め具3aを外して昇降受け具50を下降させることにより、固定円盤6が回転円盤5から切り離されて、固定円盤6の上面のシール部材18等の点検、交換の作業を容易に行うことができる。
【0027】
上記説明では、シール保持具12およびシール保持具13を固定円盤6側に設けた場合を示したが、シール保持具12およびシール保持具13を回転円盤5側に設けることとしてもよく、その構造は上記説明と類似であり、その作用も上記説明と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0028】
1 回転シール円盤装置
2 配管
3 軸受
4 配管
5 回転円盤
6 固定円盤
7 固定円盤ベース
8〜10 リング
12 シール保持具
12a 孔
13 シール保持具
13a 孔
14、15 ばね
16、17 溝
16a、17a 溝
18〜23 シール部材
28a、28b、29a、29b Oリング
30 回転式流体充填機
31 容器
32 充填バルブ
33 フィラーボウル
35 回転テーブル
42、44 配管
45 集合配管
46 配管
50 昇降受け具
51 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転側と非回転側の間で流体を受け渡す回転式流体充填機等の回転式ジョイントにおいて、軸方向に重ね合わせた構成の前記回転側と前記非回転側にそれぞれ前記流体の流路を有する回転円盤と固定円盤を設けて、前記回転円盤の流路と前記固定円盤の流路が繋がるように配置するとともに、前記回転円盤と前記固定円盤の重ね合わせ部における前記流路を流路外とシール機構によりシール遮断して、前記流体を前記回転側と前記非回転側の間で受け渡すように構成し、前記シール機構を、前記回転円盤または前記固定円盤の流路内に設けたシール保持具が圧力媒体により前記固定円盤または前記回転円盤に押し付けられる構造としたことを特徴とする回転シール円盤装置。
【請求項2】
請求項1に記載する回転シール円盤装置において、前記回転円盤または前記固定円盤の重ね合わせ部の前記流路をリング状の溝で構成して、該溝に配置した前記シール保持具が流路を有し、リング状の形状で構成されたことを特徴とする回転シール円盤装置。
【請求項3】
請求項1および2に記載する回転シール円盤装置において、前記圧力媒体をばね力で構成したことを特徴とする回転シール円盤装置。
【請求項4】
請求項1から3に記載する回転シール円盤装置において、前記圧力媒体を前記流体の流体圧で構成して、前記シール保持具の流体圧受け部面積が前記シール保持具に設けた前記流路の面積よりも大きくなるようにしたことを特徴とする回転シール円盤装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載する回転シール円盤装置において、前記流路を複数で同心円状に構成したことを特徴とする回転シール円盤装置。
【請求項6】
請求項1から5に記載する回転シール円盤装置と、該回転シール円盤装置の回転円盤とともに回転し、流体を貯える槽から成るフィラーボウルと、該フィラーボウルとともに回転し、該フィラーボウルと流路が接続されて円周等分に配設された複数の充填バルブと、前記回転シール円盤装置と前記フィラーボウルを接続する流体の配管と、前記回転シール円盤装置と前記充填バルブを接続する流体の配管を備えたことを特徴とする回転式流体充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−261500(P2010−261500A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112299(P2009−112299)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】