説明

回転伝達装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】極端に大きなフライホイール等の慣性体を用いることなく、慣性体により個体差や経時使用の影響を受けずに駆動伝達系の回転速度変動を十分に低減する。
【解決手段】感光体駆動装置10は、3K型の差動遊星歯車減速機構で構成されていて、その出力軸にはフライホイール50が連結されていて、入力軸17から出力軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が遊星歯車の回転周波数よりも低周波帯域である。この差動遊星歯車減速機構では、最も周波数が低い加振周波数は遊星歯車の回転周波数となるので、すべての回転速度変動を一般的な大きさのフライホイールで十分に低減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの回転駆動力を回転体に伝達する回転伝達装置、及び、これを用いた、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、感光体等の潜像担持体、中間転写ベルトや転写ベルト等のベルト部材を駆動させる駆動ローラ、記録材等を搬送するための搬送ローラなど、多くの回転体が使用されている。このような回転体の駆動には、一般に高い精度が要求されるので、駆動源からの回転駆動力を、回転変動(速度変動)が少ない状態で、駆動対象の回転体まで伝達する機構が望まれる。特に、感光体等の潜像担持体や中間転写ベルト等の中間転写体など、像担持体の表面移動速度に速度変動が生じると、出力された画像上にジッターや濃度ムラが生じる。また、画像内に周期的な濃度ムラが生じ、画像上に縞模様が現れるバンディングと呼ばれる画質劣化も生じる。よって、像担持体の回転駆動は特に高い精度が要求される。
【0003】
像担持体を高精度に回転駆動させるための技術に関しては多くの提案がなされているが、そのひとつとして、感光体ドラムの回転軸にフライホイール(慣性体)を一体に回転するように設けた構成が提案されている(特許文献1、特許文献2等)。感光体ドラムにフライホイールを設けることにより回転する感光体ドラムの慣性力が増し、これにより、モータ等の駆動源や、その駆動源から感光体ドラムへ回転駆動力を伝えるギヤ、タイミングベルト等からなる回転伝達機構で生じる高周波域の回転変動を低減し、感光体ドラムを高精度に駆動することを可能にする。また、感光体ドラムにフライホイールを設けると、フライホイールを設けない場合に比べて回転伝達機構の固有振動周波数が低周波側(例えば10Hz)へシフトする。そのため、減衰する高周波側の領域が広がり、より広い周波数帯域にわたる回転変動を低減させることができる。
【0004】
ところが、回転伝達機構の固有振動周波数が低周波域にシフトすると、駆動源の回転周波数、回転伝達機構における歯車の回転周波数あるいはこれらの高調波成分が数〜数十Hzと比較的低い回転伝達機構においては、その周波数と固有振動周波数とが一致もしくは近接することがある。この場合、このような低周波数をもつ回転速度変動(低周波回転速度変動)が固有振動周波数との共振で増大することになる。固有振動周波数との共振により回転速度変動が増大する周波数(加振周波数)が固有振動周波数と一致又は近接することにより生じるバンディングの画質劣化は、高周波のものよりも低周波のものの方が、人間の目に知覚されやすい大きな縞模様となって現れるので、問題が深刻である。
【0005】
特許文献3には、フライホイールの付加によって低周波側へシフトする固有振動周波数が回転伝達機構における低周波回転速度変動の周波数と一致しないように、フライホイール(慣性体)の枚数を調整して固有振動周波数を変更する技術が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、低周波回転速度変動の周波数は、その加振源となる駆動源の出力歯車や回転伝達機構の歯車の製造誤差や取付誤差により異なってくるので、個体差がある。そのため、同一機種において同じようにフライホイール枚数の調整を行っても、個々の装置における駆動源や回転伝達機構の歯車の製造誤差や取付誤差の違い(個体差)により、一部の装置で低周波回転速度変動の加振周波数が固有振動周波数に一致又は近接して、低周波回転速度変動が増大する事態を引き起こしかねない。
また、加振源となる駆動源の出力歯車や回転伝達機構の歯車は、経時使用によって磨耗したり変形したりする。このような経時的な摩耗や変形によっても、低周波回転速度変動の周波数が異なってくる。そのため、初期の状態で、固有振動周波数が低周波回転速度変動の加振周波数と一致しないようにフライホイール枚数を調整できても、経時においては低周波回転速度変動の加振周波数が固有振動周波数に一致又は近接して、低周波回転速度変動が増大するという事態が起こり得る。
したがって、画像形成装置の個体差や経時変化をも考慮すると、フライホイール枚数の調整により回転伝達機構の固有振動周波数が加振周波数と一致しないようにすることは非常に困難である。
【0007】
以下、図面を参照して、駆動源の回転駆動力を従来の一般的な回転伝達機構により感光体ドラムへ伝達する回転伝達装置を例に挙げて具体的に説明する。
図14は、感光体ドラムを駆動するための歯車2段減速機構を感光体ドラム軸方向から見たときの模式図である。
感光体ドラム1を回転周波数2Hzで駆動した場合において、モータ軸に固定されたモータギヤ105、このモータギヤ105に噛み合う第2アイドラギヤ104、この第2アイドラギヤ104と同軸で一体的に回転する第1アイドラギヤ103、この第1アイドラギヤ103に噛み合うドラム駆動ギヤ102のそれぞれの回転数、回転周波数、歯数、モジュールは、下記の表1に示すとおりである。
【表1】

【0008】
本例において、感光体ドラム1の直径が60mmとすると、画像形成装置のプロセス線速は377mm/sとなる。駆動源であるモータには一定速度回転に優れたDCブラシレスモータやステッピングモータが使用され、モータ回転軸に直接歯切りしてモータギヤ105を構成する。モータギヤ105は、第2アイドラギヤ104と噛み合い、第2アイドラギヤ104の回転数(回転速度)はモータギヤ105の回転数(回転速度)に対し1/10に減速される。第2アイドラギヤ104が回転すると、これに一体成形されている第1アイドラギヤ103も回転する。第1アイドラギヤ103は、感光体ドラム1の回転軸101に支持固定されたドラム駆動ギヤ102と噛み合う。ドラム駆動ギヤ102の回転数(回転速度)は、第1アイドラギヤ103に対し1/2に減速される。したがって、この歯車2段減速機構は、モータの回転数(回転速度)を1/20に減速して感光体ドラム1へ伝達することができる。
【0009】
図15(a)は、感光体ドラム軸101にフライホイールを搭載していない状態においてモータを一定速度で駆動したときの感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
図15(b)は、感光体ドラム軸101にフライホイールを搭載した状態においてモータを一定速度で駆動したときの感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
これらのグラフからもわかるように、各歯車の回転周波数(2Hz、4Hz、40Hz)において回転速度変動が発生している。これらは、各歯車の歯ピッチ誤差、歯車取付誤差、モータ軸振れなどに起因して発生する。また、図15(a)に示すように、感光体ドラム軸101にフライホイールを搭載していない状態では、ドラム駆動ギヤ102と第1アイドラギヤ103との間の1ピッチ噛み合い周波数(160Hz)、及び、第2アイドラギヤ104とモータギヤ105との間の1ピッチ噛み合い周波数(480Hz)における回転速度変動も発生している。
【0010】
図16は、前記歯車2段減速機構において、感光体ドラム軸101にフライホイールを搭載していない状態からフライホイールを搭載した状態にした場合の、モータギヤ105から感光体ドラム軸101までの駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフである。
フライホイールが無い状態では固有振動周波数が約250Hzに存在するが、フライホイールを搭載することで、その固有振動周波数が低周波側へシフトして約80Hzとなった。この周波数応答特性は、フライホイールを搭載した状態において、駆動伝達系で発生する100Hz以上の回転速度変動については減衰して感光体ドラム1には伝達しないことを示している。このことは、図15(a)に示したグラフで100Hz以上に存在した2つの1ピッチ噛み合い周波数の回転速度変動が図15(b)に示したグラフでは減衰していることからも把握できる。すなわち、本例においては、フライホイールを搭載することで、100Hz以上の周波数をもつ回転速度変動が大幅に低減される。
【0011】
一方、フライホイールを搭載した場合の固有振動周波数は約80Hzであるため、その近傍の周波数帯域で共振が起こりやすい。図15(b)に示すグラフにおいても、モータギヤの回転周波数(40Hz)の二次高調波成分(80Hz)の回転速度変動が増幅されてしまっている。モータギヤの回転周波数の高次高調波成分による回転速度変動は、経時使用により軸受や歯車が磨耗したり軸心振れが発生したりすることで大きくなる。よって、初期の状態ではモータギヤの回転周波数の高次高調波成分による回転速度変動が小さくても、経時的に大きくなって、バンディングの画質劣化を引き起こすおそれがある。
また、これと同様に、フライホイールを大きくして固有振動周波数を10Hz付近に設計した場合も、ドラム駆動ギヤ102や2つのアイドラギヤ103,104の回転周波数(2Hz、4Hz)の高次高調波成分による回転速度変動が経時的に大きくなって、バンディングの画質劣化を引き起こすおそれがある。
【0012】
また、各歯車の回転周波数(2Hz、4Hz、40Hz)は、その歯車の製造誤差や取付誤差によって個体差があるため、ある装置ではその高調波成分と固有振動周波数とが一致又は近接しない設計であっても、別の装置ではいずれかの高調波成分と固有振動周波数とが一致又は近接してしまい、バンディングの画質劣化を引き起こすおそれがある。
加えて、加振源となるモータギヤ105、アイドラギヤ103,104、ドラム駆動ギヤ102が経時使用によって磨耗したり変形したりしてその回転周波数が変化すると、初期の状態ではすべての高調波成分と固有振動周波数とが一致又は近接しないように設定されていたとしても、経時ではいずれかの高調波成分と固有振動周波数とが一致又は近接してしまい、バンディングの画質劣化を引き起こすこともある。
【0013】
個体差や経時使用の影響を受けずに加振周波数と固有振動周波数とが一致又は近接することを避ける方法としては、最も低い加振周波数よりも低い帯域に固有振動周波数が存在するようにフライホイールを設計する方法が考えられる。前記の例において、最も低い加振周波数は、ドラム駆動ギヤ102の回転周波数(2Hz)である。しかしながら、この加振周波数(2Hz)よりも低い帯域に固有振動周波数をシフトさせようとすると、フライホイールを極端に大きくしなければならず、装置レイアウト等との関係で実用化することは極めて困難である。
【0014】
なお、以上の説明では、回転駆動対象が感光体ドラムである場合について説明したが、高精度な駆動を要する回転体であれば、画像形成装置に設けられる他の回転体であっても、あるいは画像形成装置以外の装置に設けられる回転体であっても同様である。
【0015】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、極端に大きなフライホイール等の慣性体を用いることなく、慣性体により個体差や経時使用の影響を受けずに駆動伝達系の回転速度変動を十分に低減することが可能な回転伝達装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、駆動源からの回転駆動力を減速して画像形成装置に使用される回転体へ伝達する回転伝達装置において、第1遊星歯車部と歯数又は歯形状が該第1遊星歯車部とは異なる第2遊星歯車部とが互いに固定又は一体に構成された複数の段付遊星歯車と、前記第1遊星歯車部に噛み合う第1歯車と、前記第2遊星歯車部に噛み合う第2歯車と、駆動源から回転駆動力が入力される入力軸に固定されていてその回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達する太陽歯車と、前記複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、ケーシングに回動自在に浮動支持されたキャリアとを有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の一方が回転不能に固定され、他方の回転軸が前記回転体に固定された差動遊星歯車減速機構を備えており、前記他方の回転軸には慣性体が固定されており、前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が、前記画像形成装置の画像形成時における前記遊星歯車の回転周波数よりも低周波帯域であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、駆動源からの回転駆動力を減速して画像形成装置に使用される回転体へ伝達する回転伝達装置において、第1遊星歯車部と歯数又は歯形状が該第1遊星歯車部とは異なる第2遊星歯車部とが互いに固定又は一体に構成された複数の段付遊星歯車と、前記第1遊星歯車部に噛み合う第1歯車と、前記第2遊星歯車部に噛み合う第2歯車と、前記複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、駆動源から回転駆動力が入力される入力軸に固定され、かつ、ケーシングに回動自在に支持されていて、その回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達するキャリアとを有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の一方が回転不能に固定され、他方の回転軸が前記回転体に固定された差動遊星歯車減速機構を備えており、前記他方の回転軸には慣性体が固定されており、前記他方の回転軸は、浮動支持され、かつ自在継ぎ手を介して前記回転体に連結されており、前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が、前記画像形成装置の画像形成時における前記遊星歯車の回転周波数よりも低周波帯域であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の回転伝達装置において、前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数は、18Hz以上であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転伝達装置において、前記慣性体は、前記回転体の内部に設置されることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転伝達装置において、前記慣性体は、前記回転体の外部に設置されることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、ドラム状回転体の表面上に形成した画像を最終的に記録材上へ転写して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記ドラム状回転体を回転させるための回転駆動力を伝達する回転伝達装置として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転伝達装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、駆動ローラを含む複数の支持ローラに張架された無端ベルト状回転体の表面上に形成した画像を最終的に記録材上へ転写して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、前記駆動ローラを回転させるための回転駆動力を伝達する回転伝達装置として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転伝達装置を用いたことを特徴とするものである。
【0017】
なお、本明細書において、遊星歯車については、遊星歯車が自らの軸回りを回転(自転)することを「回転」とし、他の軸の回りを周回移動(遊星回転)することを「公転」という。
【0018】
本発明においては、回転伝達機構として、3K型の差動遊星歯車減速機構(請求項1)又は2K―H型の差動遊星歯車減速機構(請求項2)を用いる。これらの差動遊星歯車減速機構は、遊星歯車に噛み合う第1歯車と第2歯車の歯数差により減速する方式であり、遊星歯車が1回公転する間に遊星歯車が2回以上回転する。このような差動遊星歯車減速機構を有する本発明の回転伝達装置において、駆動源から駆動対象である回転体までの駆動伝達系全体で生じ得る回転速度変動のうち最も周波数が低いものは、遊星歯車の一公転周期に相当する周波数(駆動対象である回転体の回転周波数)をもつ回転速度変動であり、次に周波数が低いものは、遊星歯車の一回転周期に相当する周波数(遊星歯車の回転周波数:数十Hz)をもつ回転速度変動である。
ここで、遊星歯車の一公転周期に相当する周波数をもつ回転速度変動を引き起こす原因は、主に段付遊星歯車及びこれに噛み合う歯車の製造誤差や取付誤差による噛み合い誤差である。本発明において、3K型の差動遊星歯車減速機構については、複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するキャリアがケーシングに回動自在に浮動支持されている。また、2K―H型の差動遊星歯車減速機構については、段付遊星歯車の遊星歯車部と噛み合いかつ出力軸に連結された歯車(第1歯車又は第2歯車)が浮動支持されていて、その出力軸が自在継ぎ手を介して回転体に連結されている。そのため、段付遊星歯車及びこれに噛み合う歯車の製造誤差や取付誤差があっても、段付遊星歯車が適切な遊星回転位置へ移動する自動調心効果が得られ、段付遊星歯車とこれに噛み合う歯車との間の噛み合い誤差が軽減される。よって、駆動伝達系全体において生じ得る回転速度変動のうち最も周波数が低い遊星歯車の一公転周期に相当する周波数をもつ回転速度変動は、十分に軽減される。したがって、本発明において、駆動伝達系全体において生じ得る回転速度変動は、実質的には、遊星歯車の回転周波数(数十Hz)をもつ回転速度変動が最も周波数が低い回転速度変動となる。なお、本回転伝達装置は回転駆動力を減速して伝達するものであるため、その入力軸よりも回転伝達経路上流側で生じ得る回転速度変動の周波数は当該入力軸に入力される回転周波数よりも大きいものである。したがって、入力軸よりも回転伝達経路上流側で生じ得る回転速度変動の周波数は、差動遊星歯車減速機構内で生じ得る回転速度変動よりも大きい。
このように、本発明によれば、駆動伝達系全体における加振周波数が存在する周波数帯域を数十Hz以上という比較的高い周波数帯域とすることが可能となる。このような周波数帯域における回転速度変動は、一般的な大きさの慣性体を用いて十分に低減させることができる。よって、本発明のように、回転伝達機構の固有振動周波数を駆動伝達系で最も低い周波数(遊星歯車の回転周波数)よりも低周波帯域としても、極端に大きな慣性体を用いる必要はない。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、極端に大きなフライホイール等の慣性体を用いることなく、回転伝達機構の固有振動周波数を駆動伝達系で最も低い周波数よりも低周波帯域とすることができるので、慣性体により個体差や経時使用の影響を受けずに駆動伝達系の回転速度変動を十分に低減することができるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【図2】同画像形成装置に備えられた感光体駆動装置の概略正面図である。
【図3】変形例にかかる感光体駆動装置の概略正面図である。
【図4】遊星歯車の基本構造の説明図であって、2K−H型に分類される遊星歯車機構の説明図である。
【図5】遊星歯車の基本構造の説明図であって、他の2K−H型に分類される遊星歯車機構の説明図である。
【図6】遊星歯車の基本構造の説明図であって、3K型に分類される遊星歯車機構の説明図である。
【図7】段付遊星歯車減速装置の概略断面図である。
【図8】同段付遊星歯車減速装置のキャリアの概略斜視図である。
【図9】空間周波数ごとのバンディング強度の許容値の調査結果を示すグラフである。
【図10】(a)は、同段付遊星歯車減速装置のフライホイールを取り外した状態のものを用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。(b)は、同段付遊星歯車減速装置(フライホイールを搭載した状態のもの)を用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
【図11】遊星歯車機構における内歯歯車と遊星歯車の噛み合いモデルを示す説明図である。
【図12】(a)は、同段付遊星歯車減速装置のフライホイールを取り外し、かつ、キャリアを入力軸で軸受け支持した状態のものを用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフに、その駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したものである。(b)は、同段付遊星歯車減速装置のフライホイールを取り付けたまま、キャリアを入力軸で軸受け支持した状態のものを用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフに、その駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したものである。
【図13】(a)は、図10(a)のグラフに、その駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したグラフである。(b)は、図10(b)のグラフに、その駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したものである。
【図14】従来の歯車2段減速機構を感光体ドラム軸方向から見たときの模式図である。
【図15】(a)は、同歯車2段減速機構のフライホイールを取り外した状態のものを用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。(b)は、同歯車2段減速機構のフライホイールを搭載した状態のものを用いた場合の感光体ドラム回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
【図16】同歯車2段減速機構において、フライホイールを搭載していない状態からフライホイールを搭載した状態にした場合の駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のカラー複写機(以下、「複写機」という。)に適用した一実施形態について説明する。なお、本実施形態における複写機は、いわゆるタンデム式の画像形成装置であって、乾式二成分現像剤を用いた乾式二成分現像方式を採用したものである。
【0022】
図1は、本実施形態に係る複写機における画像形成部全体の概略構成図である。
この複写機は、図示しない画像読取部から画像情報である画像データを受け取って画像形成処理を行う。この複写機には、図に示すように、イエロー(以下、「Y」と省略する。)、マゼンタ(以下、「M」と省略する。)、シアン(以下、「C」と省略する。)、ブラック(以下、「Bk」と省略する。)の各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkが並設されている。これら感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、駆動ローラを含む回転可能な複数のローラに支持された無端ベルト状の中間転写ベルト5に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並んで配置されている。また、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkの周りには、それぞれ、帯電器2Y,2M,2C,2Bk、各色対応の現像装置9Y,9M,9C,9Bk、クリーニング装置4Y,4M,4C,4Bk、除電ランプ3Y,3M,3C,3Bk等の電子写真プロセス用部材がプロセス順に配設されている。
【0023】
本実施形態に係る複写機でフルカラー画像を形成する場合、まず、図2に示すように、後述する感光体駆動装置により、感光体ドラム1Yを図中矢印の方向に回転駆動しながら帯電器2Yで一様帯電した後、図示しない光書込装置からの光ビームLY を照射して感光体ドラム1Y上にY静電潜像を形成する。このY静電潜像は、現像装置9Yにより、現像剤中のYトナーにより現像される。現像時には、現像ローラと感光体ドラム1Yとの間に所定の現像バイアスが印加され、現像ローラ上のYトナーは、感光体ドラム1Y上のY静電潜像部分に静電吸着する。
【0024】
このように現像されて形成されたYトナー像は、感光体ドラム1Yの回転に伴い、感光体ドラム1Yと中間転写ベルト5とが接触する1次転写位置に搬送される。この1次転写位置において、中間転写ベルト5の裏面には、1次転写ローラ6Yにより所定のバイアス電圧が印加される。そして、このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム1Y上のYトナー像を中間転写ベルト5側に引き寄せ、中間転写ベルト5上に1次転写する。以下、同様にして、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像も、中間転写ベルト5上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。
【0025】
このように、中間転写ベルト5上に4色重なり合ったトナー像は、中間転写ベルト5の回転に伴い、2次転写ローラ7と対向する2次転写位置に搬送される。また、この2次転写位置には、図示しないレジストローラにより所定のタイミングで転写紙が搬送される。そして、この2次転写位置において、2次転写ローラ7により転写紙の裏面に所定のバイアス電圧が印加され、そのバイアス印加により発生した2次転写電界及び2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト5上のトナー像が転写紙上に一括して2次転写される。その後、トナー像が2次転写された転写紙は、定着ローラ対8により定着処理がなされた後に装置外に排出される。
【0026】
次に、本発明の特徴部分である、回転伝達装置としての差動遊星歯車減速装置を備える駆動装置としての減速機構付き駆動装置である感光体駆動装置について説明する。なお、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkは、同一構成の感光体駆動装置により回転駆動されているので、以下、感光体ドラム1Yの感光体駆動装置10について説明する。
【0027】
図2は、本実施形態における感光ドラム1Yの軸方向一端部外方に設置される感光体駆動装置10の部分断面図である。
この感光ドラム1Yの軸方向両端には、その感光体ドラム1Yの軸方向端部面を塞ぐように、円板状のドラムフランジ1aが固定されている。このドラムフランジ1aの円板は、感光体駆動装置10の固定内歯歯車11の固定支持部材12によって回転自在に支持されており、ドラムフランジ1aに固定されている出力内歯歯車13の回転力が伝達されるように構成されている。また、このドラムフランジ1aは、滑らかな回転が可能となるように、本実施形態の複写機の内部筺体を構成する側板100のモータ軸受100aと同軸となるように回転可能に軸受けされ、支持されている。また、感光体駆動装置10は、側板100に対して感光体ドラム側に位置し、その側板100に固定されている。また、同側板100には駆動モータ14も固定されている。感光ドラム軸方向にドラムフランジ1aは、固定された感光ドラム1Yと出力内歯歯車13と供に感光体駆動装置10から着脱可能となっている。また、感光体ドラム1Yの表面、又は、ドラムフランジ1aに固定されたNS極を等間隔に着磁してなる磁気リング15と回転を感光体駆動装置10の側面に固定されたMRセンサ16とを有しており、感光体ドラム1Yが感光体駆動装置10に装着されると速度検出機構が構成され、磁気リング15、すなわち感光体ドラム1Yの回転速度が検出され、検出結果はモータ駆動制御コントローラに送られ、一定回転速度に制御される。
【0028】
本実施形態において、ドラムフランジ1aと一体回転するように固定され、もしくは、ドラムフランジ1aと一体成形された慣性体であるフライホイール50が、感光体ドラム1Yの内部に設置されている。このようにフライホイール50を感光体ドラム1Yの内部に設置することで、感光体ドラム1Yの内部空間を有効利用し、装置全体の小型化が実現できる。本実施形態において、消耗品である感光体ドラム1Yは、ドラムフランジ1a、フライホイール50及び出力内歯歯車13とともに交換可能に着脱できる構成となっているが、フライホイール50の重量が交換作業の妨げとなる場合は、フライホイール50、ドラムフランジ1a及び出力内歯歯車13を感光体駆動装置10に残した状態で、感光体ドラム1Yを着脱できるように構成してもよい。
【0029】
ここで、本実施形態のようにフライホイール50を感光体ドラム1Yの内部に設置する構成であると、回転半径を大きくとることができず、十分な慣性力が得ることが難しい場合がある。また、本実施形態のようにドラムフランジ1aを回転自在に支持している固定支持部材12からフライホイール50が離れて設置される構成の場合、フライホイール50の重量によりドラムフランジ1aの軸受が破損する懸念もある。よって、図3に示すような構成を採用してもよい。すなわち、ドラムフランジ1aが固定内歯歯車11の支持部材を内包するように構成され、その外周部にフライホイール50を設置し、固定内歯歯車11の固定支持部材12の外周面とドラムフランジ1aの内周面との間にすべり軸受けを設置してフライホイール50を支持する構成である。この構成においては、重量のあるフライホイール50をその回転中心部において支持し、かつ、フライホイール50が側板100の近くに配置されるため、フライホイール50を安定して支持することができる。
【0030】
なお、本実施形態の感光体駆動装置10の構成は、感光体ドラムのほか、転写ベルト5の駆動ローラ51など、他の回転体の駆動装置としても同様に適用することができる。
【0031】
ここで、遊星歯車機構の種類は多岐にわたり、以下の分類が用いられている(非特許文献1参照)。
遊星歯車機構は、入力軸、出力軸、機構全体の運動を規制する固定軸(補助軸)の3本の基本軸からなり、これら基本軸は同軸上に配置される。基本軸となる太陽歯車(太陽外歯歯車、太陽内歯歯車を含む。)の軸をK、キャリア軸をH、遊星歯車軸をVで表すと、遊星歯車機構は、2K−H型、3K型、K−H−V型および2個以上の2K−H型の連結による複合遊星歯車機構に分類される。差動遊星歯車機構は2K−H型と3K型であり、それぞれに不思議遊星歯車機構に関するものがある。不思議遊星歯車機構とは、歯数の同じ遊星歯車に2つの歯数の異なる歯車が噛み合い伝達する遊星歯車機構を言う。3K型は、2K−H型の不思議遊星歯車機構と同様に、遊星歯車に噛み合う2つの歯車の歯数差で減速比が決定され、高減速比が得られる差動遊星歯車減速機構である(非特許文献2参照)。
【0032】
次に、図4、図5及び図6を用いて遊星歯車機構の基本構造について説明する。
図中符号cはキャリア、sは太陽外歯歯車、fは固定内歯歯車、rは回転内歯歯車、pは遊星歯車をそれぞれ示す。
図4は、2K−H型の遊星歯車機構の一例を示す構成図である。
図示の遊星歯車機構では、キャリアc1の回転軸が入力軸となっており、回転内歯歯車r1の回転軸が出力軸となっている。キャリアc1の回転により、回転駆動される第1遊星歯車p11は固定側の第1内歯歯車f1と噛み合う。第1遊星歯車p11と一体に回転する第2の遊星歯車p12は、回転側の第2の内歯歯車r1と噛み合う。第1及び第2の一体に回転する遊星歯車は2個以上あり、キャリアc1の回転中心回りに等角度間隔でキャリアc1により保持されている。ここで、固定側の第1内歯歯車f1の歯数は、回転側の第2の内歯歯車r1の歯数よりも多く構成されており、この歯数差が小さいほど大きな減速比が得られる。特に、第1遊星歯車p11と第2の遊星歯車p12の歯数を一致させ、固定側の第1内歯歯車f1と回転側の第2の内歯歯車r1の歯数差を2歯程度とする不思議遊星歯車機構とすることで、より大きな減速比が得られる。図4の内歯歯車を用いた構成の他に、固定側及び回転側の両方を外歯歯車で構成した実施形態もある。
【0033】
図5は、2K−H型の遊星歯車機構の他の例を示す構成図である。
太陽外歯歯車s2の回転軸が入力軸となっており、キャリアc2の回転軸が出力軸となっている。太陽外歯歯車s2の回転により、第1遊星歯車p21は回転駆動され、一体に回転する第2の遊星歯車p22は固定内歯歯車f2に噛み合う。第1及び第2の一体に回転する遊星歯車は2個以上あり、キャリアc2の回転中心回りに等角度間隔でキャリアc2により保持されている。遊星歯車の公転回転はキャリアc2の回転となり出力される。ここで、第1遊星歯車p21の歯数は、第2の遊星歯車p22の歯数よりも多く構成されており、この歯数差が大きいほど大きな減速比が得られる。
【0034】
図6は、3K型の遊星歯車機構の一例を示す構成図である。3K型の遊星歯車機構は、3本の基本軸のうち2本が内歯歯車で構成された機構をA型、2本が外歯歯車で構成された機構をB型とし、また、その2本の歯車において歯数の大小関係で1型、2型と分類し、合計で4種類に分類される(非特許文献2参照)。図6の例では、3K−A1型に分類される機構を示している。なお、本発明は前記4種類のいずれの3K型遊星歯車機構においても適用可能である。また、第1及び第2の遊星歯車の歯数が等しい不思議遊星歯車機構においても同様に適用が可能である。太陽歯車s3の回転軸が入力軸となっており、回転内歯歯車r3の回転軸が出力軸となっている。太陽歯車s3の回転により、噛み合駆動される第1遊星歯車p31は固定側の第1内歯歯車f3と噛み合う。第1遊星歯車p31と一体に回転する第2の遊星歯車p32は、回転側の第2の内歯歯車r3と噛み合う。第1及び第2の一体に回転する遊星歯車は2個以上あり、キャリアc3の回転中心回りに等角度間隔でキャリアc3により保持されている。ここで、固定側の第1内歯歯車f3の歯数は、回転側の第2の内歯歯車r3の歯数よりも多く構成されており、この歯数差が小さいほど大きな減速比が得られる。
【0035】
本実施形態は、一体に回転する第1遊星歯車と第2遊星歯車を有する構成である。又は、同一歯数の第1遊星歯車と第2の遊星歯車に、歯数の異なる2つの内歯歯車又は2つの外歯歯車が噛み合う構成である。つまり、軸方向において第1噛み合い部と第2の噛み合い部の段付構成を有する遊星歯車を用いた機構である。
【0036】
次に、3K−A1型の遊星歯車減速機構におけるキャリアの遊星歯車回転支持構造を図面にもとづいて説明する。
図7は、本発明の荷重等配装置がキャリアに適用された遊星歯車減速機構の全体構成を示す断面図である。
図8は、図7中におけるキャリアの斜視図である。
【0037】
図7において、感光体駆動装置10は、駆動モータの駆動力を受けて回転する入力軸17、入力軸17に固定され入力軸17と共に回動する太陽歯車18、太陽歯車18に空隙を介して同軸状に配設された第1歯車としての固定内歯歯車11、前記空隙に配設され太陽歯車18及び固定内歯歯車11に噛み合う第1遊星歯車部としての第1遊星歯車19、第1遊星歯車19と一体で回転する第2遊星歯車部としての第2遊星歯車20、第1遊星歯車19と第2遊星歯車20とを軸受21を介して回転支持する連結ピン22、連結ピン22を固定支持すると共に太陽歯車18と同軸状に回転自在に支持されたキャリア23、キャリア23の回転中心と同軸状に配設され第2遊星歯車20と噛み合う第2歯車としての回転内歯歯車13、固定内歯歯車11を固定するハウジング12、回転内歯歯車13の回転を感光体ドラム1へ伝達するドラムフランジ1a、ドラムフランジ1aと一体回転するようにドラムフランジ1aと一体成形された慣性体であるフライホイール50等を備えている。また、太陽歯車18、第1遊星歯車19、第2遊星歯車20、固定内歯歯車11、回転内歯歯車13は、はすば歯車によって形成されている。また、第1遊星歯車19と第2遊星歯車20とは一体で形成され、段付遊星歯車29を構成する。本実施形態において、キャリア23は、ハウジング12に対して回動自在に浮動支持されている。
【0038】
入力軸17は、駆動モータ14と連結して固定されるか、モータ回転軸に直接太陽歯車18を歯切りして一体成形する。一体成形により、高い取付け精度と高い伝達剛性が期待できる。ハウジング12は図示しない筐体に固定されており、固定内歯歯車11は回転不能に固定される。一方、ドラムフランジ1aは図示しない筐体又は被駆動回転体によって回転支持される。一体成形された第1遊星歯車19と第2遊星歯車20とは、太陽歯車18の周方向に沿って複数備えられ、各々軸受21を介して連結ピン22によって回転自在に支持される。各々の連結ピン22の両端はキャリア23に支持されている。
【0039】
図8において、キャリア23は、右側板24と左側板25とが3つの支柱26で連結され、円筒状に形成されている。右側板24には太陽歯車18を収納するための開口穴24aと、遊星歯車19,20を回転自在に支持する連結ピン22を取り付けるための取付孔24bと、支柱26を連結するための連結孔(不図示)とが形成されている。また、左側板25には、連結ピン22を取り付けるための取付孔25aと、支柱26を連結するための連結孔25bとが形成されている。太陽歯車18の周方向に備える遊星歯車19,20の数は任意であり、本実施形態では3個の場合を示している。従って、右側板24と左側板25との取付孔24b、25aは周方向にそれぞれ3箇所づつ形成されている。また、前記支柱26は周方向の3箇所に設けられており、第1及び第2遊星歯車19,20を支持する連結ピン22の傾斜や、左右側板24,25間のねじれを防止し、振動や回転変動の発生、伝達効率の低下を防止している。
【0040】
図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構において、感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動する場合の各歯車等の回転数、回転周波数、歯数、モジュールは、下記の表2に示すとおりである。
この遊星歯車減速機構では、第1遊星歯車部の噛み合い周波数は780.7Hzであり、第2遊星歯車部の噛み合い周波数は642.9Hzであった。本実施形態では、この遊星歯車減速機構により、モータの回転数(回転速度)を1/38.36に減速して感光体ドラム1Yへ伝達することができる。
【表2】

【0041】
参考例として、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構と同じ歯数で構成された太陽歯車、遊星歯車及び固定内歯歯車を用い、キャリアの回転軸を出力軸とした遊星1段減速機構により、感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動する場合の各歯車等の回転数、回転周波数、歯数、モジュールを下記の表3に示す。
この遊星1段減速機構では、モータの回転数(回転速度)を1/4.62に減速して感光体ドラム1Yへ伝達することになる。
【表3】

【0042】
図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構では、前記表2に示すとおり、第1遊星歯車部と第2遊星歯車部は一体に回転するため、いずれも回転周波数が同じで、キャリア軸基準に45.92Hzで回転する。これに対し、前記参考例の遊星1段減速機構では、遊星歯車の回転周波数は5.54Hzである。これらを比較するとわかるように、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構における遊星歯車の回転周波数が非常に高いことが理解できる。
【0043】
ここで、本発明者らは、各空間周波数のバンディング強度の異なる画像サンプルを用意し、ユーザーにどこまでの強度のバンディングを許容できるか、調査を行った。この調査結果を図9に示す。
図9に示すグラフは、バンディングの空間周波数を横軸にとり、ユーザーが許容するバンディング強度を感光体ドラムや中間転写ベルトの速度変動率に換算したものを縦軸にとったものである。この調査結果によれば、例えば、空間周波数が1、つまり1mmにつき1周期で発生するバンディングについて、ユーザーは、速度変動率0.4%の回転速度変動により生じるバンディング強度までを許容することができる。人間には視覚感度があり、空間周波数によって許容値は異なるが、一番厳しいところでは、空間周波数0.5〜1cycle/mmの許容値である速度変動率0.3%以下が要求される。よって、ここでは、速度変動率が0.3%を超える回転速度変動の周波数を加振周波数とする。
【0044】
図10(a)は、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構のフライホイール50を取り外した状態のものを用いて、感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動するように駆動モータを4600rpmで駆動した場合の感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
図10(b)は、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構において感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動するように駆動モータを4600rpmで駆動した場合の感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
【0045】
本実施形態においては、キャリア23が浮動支持されているため、遊星歯車減速機構の自動調心効果が得られ、回転内歯歯車13の製造誤差(精度誤差)や取付誤差(取付誤差)などに起因した回転内歯歯車13の回転周波数すなわち出力軸の回転周波数(2Hz)をもつ回転速度変動や、キャリアの回転周波数(16.61Hz)をもつ回転速度変動が、非常に小さくなっている。
【0046】
ここで、この自動調心効果について補足する。
図11は、遊星歯車機構における内歯歯車と遊星歯車の噛み合いモデルを示す説明図である。
太陽歯車Sが反時計回りに回転する場合、図中符号Aで示す部分のように、太陽歯車Sの歯と遊星歯車P1の歯は、遊星歯車P1が時計回りに回転する方向に動力伝達するように噛み合う。また同時に、遊星歯車P1は、図中符号B1で示す部分のように、内歯歯車Fと噛み合う。このとき、遊星歯車P1は図中矢印の方向の歯面応力を受けている。同様に、他の遊星歯車P2,P3も同時に各矢印が示す方向に歯面応力を受ける。この歯面応力は、内歯歯車Fの歯車精度誤差や取付位置誤差によって生じる噛み合い状態の違いで異なってくる。ここで、キャリアCを浮動支持すると、各歯面応力が歯車噛合いの接触圧力角に応じて中心方向に傾いているため、各歯面応力が均等となる位置にキャリアCは自動的に移動する。これによって各歯面応力が一致する。各歯面応力は、内歯歯車Fが1回転、および、キャリアCが内歯歯車Fに沿って1回転する間、一定となるため、出力軸の回転周波数をもつ回転速度変動が大幅に低減される。
【0047】
図12(a)は、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構のフライホイール50を取り外し、かつ、キャリア23を入力軸17に対してボールベアリングで軸受け支持した状態のものを用いて、感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動するように駆動モータを4600rpmで駆動した場合の感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
図12(b)は、図7に示した3K−A1型の遊星歯車減速機構のフライホイール50を取り付けたまま、キャリア23を入力軸17に対してボールベアリングで軸受け支持した状態のものを用いて、感光体ドラム1Yを回転周波数2Hzで駆動するように駆動モータを4600rpmで駆動した場合の感光体ドラム1の回転速度変動の周波数特性を示すグラフである。
なお、図12(a)及び(b)には、駆動モータから感光体ドラム1Yまでの駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフ(図中破線のグラh)をそれぞれ重ねて表している。
【0048】
図12(a)に示すグラフからわかるように、回転内歯歯車13の歯車精度誤差や取付誤差に起因して、回転内歯歯車13の回転周波数、つまり出力軸の回転周波数(2Hz)の回転速度変動とその高調波成分の回転速度変動が発生していることが把握される。また、回転内歯歯車13に沿って回転するキャリア23の回転周波数(16.61Hz)の回転速度変動も発生していることもわかる。ここで、図12(b)に示すグラフからわかるように、フライホイール50を搭載することで、後述するように、固有振動周波数よりも高い周波数をもつ速度変動成分は減衰し、感光体ドラム1Yには伝達されない。しかし、出力軸の回転周波数(2Hz)やキャリア23の回転周波数(16.61Hz)などの低い周波数の回転速度変動までもフライホイール50の慣性力で減衰させようとすると、固有振動周波数が1Hzあたりとなるような非常に大きなフライホイールを搭載する必要があり、現実的ではない。
【0049】
これに対し、キャリア23を浮動支持することで遊星歯車減速機構の自動調心効果が得られる図10(a)に示したグラフを図12(a)のグラフと比較して見ると、回転内歯歯車13の回転周波数つまり出力軸の回転周波数(2Hz)の回転速度変動とその高調波成分の回転速度変動、並びに、キャリア23の回転周波数(16.61Hz)の回転速度変動が、消滅していることがわかる。このように、キャリア23が浮動支持して遊星歯車減速機構の自動調心効果が得られることで、出力軸の回転周波数(2Hz)をもつ回転速度変動や、キャリアの回転周波数(16.61Hz)をもつ回転速度変動を、非常に小さくすることができる。
【0050】
一方で、図10(a)に示すグラフからわかるように、フライホイール50を搭載しない状態では、遊星歯車19,20の回転周波数をもつ回転速度変動が45.92Hzに存在する。また、同様に、キャリア23の回転周波数の3次高調波成分をもつ回転速度変動が49.83Hzに存在する。これは、キャリア23に設置された3個の遊星歯車のそれぞれの軸位置誤差に起因したものである。そのほか、フライホイール50を搭載しない状態では、駆動モータの回転周波数(76.67Hz)と、第1遊星歯車19の噛み合い周波数(780.7Hz)と、第2遊星歯車20の噛み合い周波数(642.9Hz)とをそれぞれもつ回転速度変動が存在する。
【0051】
図13(a)は、フライホイール50を搭載していない場合の図10(a)のグラフに、駆動モータから感光体ドラム1Yまでの駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したものである。
図13(b)は、フライホイール50を搭載した場合の図10(b)のグラフに、駆動モータから感光体ドラム1Yまでの駆動伝達系における周波数応答特性を示すグラフを重ねて表したものである。
図13(a)に示すようにフライホイールが無い状態では固有振動周波数が約160Hzに存在する。本実施形態の駆動伝達系において、最も低い加振周波数は、図10(a)や図13(a)に示すグラフからわかるように、遊星歯車19,20の回転周波数(45.92Hz)である。よって、本実施形態では、固有振動周波数が遊星歯車19,20の回転周波数(45.92Hz)よりも低周波側へシフトするように、フライホイール50を設計して搭載し、図13(b)に示すように固有振動周波数を約24Hzとした。このような構成とすることで、本実施形態の駆動伝達系で発生する回転速度変動は、図10(b)や図13(b)に示すように、フライホイール50の慣性力によりすべて減衰し、感光体ドラム1Yには伝達されない。経時使用により各歯車に摩耗や変形等が生じても、最も低い加振周波数よりも低い帯域に加振周波数が現れることはないので、本実施形態によれば、経時においても固有振動周波数との共振による回転速度変動が発生する心配はない。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
特に、3K−A1型の遊星歯車減速機構について説明した事項については、2K−H型の遊星歯車減速機構についても同様である。例えば、2K−H型の遊星歯車減速機構における出力軸を浮動支持し、かつ、自在継ぎ手を介して感光体ドラム軸に連結される構成とすることで、出力軸の回転周波数(2Hz)をもつ回転速度変動等が自動調心効果により非常に小さくできる。
【0053】
また、本発明は、中間転写体上に順次、各色のトナー像を重ね合わせて転写し、重ね合わされたトナー像を一括して記録媒体に転写するいわゆる中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも適用可能である。本発明は、モノクロのみの画像形成が可能な画像形成装置にも適用可能である。
【0054】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0055】
以上、前記実施形態に係る回転伝達装置としての差動遊星歯車減速装置を備えた感光体駆動装置10は、画像形成装置である複写機に使用される回転体としての感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkを回転させるための回転駆動力を伝達するものであり、第1遊星歯車部としての第1遊星歯車19と歯数又は歯形状が第1遊星歯車19とは異なる第2遊星歯車部としての第2遊星歯車20とが互いに連結又は一体に構成された3個の段付遊星歯車と、第1遊星歯車19に噛み合う第1歯車としての固定内歯歯車11と、第2遊星歯車20に噛み合う第2歯車としての回転内歯歯車13と、駆動源である駆動モータ14から回転駆動力が入力される入力軸17に連結されていてその回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達する太陽歯車18と、前記3個の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、ケーシングであるハウジング12に回動自在に浮動支持されたキャリア23とを有し、固定内歯歯車11が回転不能に固定され、回転内歯歯車13が感光体ドラムに連結される出力軸に連結された3K−A1型の差動遊星歯車減速機構を備えており、前記出力軸には慣性体としてのフライホイール50が連結されていて、入力軸17から出力軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が本複写機の画像形成時における遊星歯車の回転周波数(45.92Hz)よりも低周波帯域である約24Hzである。このような差動遊星歯車減速機構を用いた構成によれば、最も周波数が低い加振周波数は遊星歯車の回転周波数(45.92Hz)となる。このように、本実施形態では、駆動伝達系における加振周波数が存在する周波数帯域を45.92Hz以上という比較的高い周波数帯域とすることができ、すべての回転速度変動を一般的な大きさのフライホイール50で十分に低減させることができる。
【0056】
また、2K−H型の遊星歯車減速機構を用いた場合でも同様の効果を得ることができる。すなわち、図4に示した2K−H型の遊星歯車機構を例に挙げて説明すると、第1遊星歯車部としての第1遊星歯車p11と歯数又は歯形状が第1遊星歯車p11とは異なる第2遊星歯車部としての第2遊星歯車p12とが互いに連結又は一体に構成された複数の段付遊星歯車と、第1遊星歯車p11に噛み合う第1歯車としての第1内歯歯車f1と、第2遊星歯車20に噛み合う第2歯車としての第2内歯歯車r1と、複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、駆動源から回転駆動力が入力される入力軸に連結され、かつ、ケーシングに回動自在に支持されていて、その回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達するキャリアc1とを有し、第1内歯歯車f1が回転不能に固定され、第2内歯歯車r1が感光体ドラムに連結される出力軸に連結されている。出力軸には慣性体としてのフライホイールを連結し、出力軸は、浮動支持し、かつ自在継ぎ手を介して感光体ドラムに連結する。そして、入力軸から出力軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が画像形成時における遊星歯車p11,p12の回転周波数よりも低周波帯域となるように構成する。このような構成とすることで、同様の効果を得ることができる。図5に示した2K−H型の遊星歯車機構の他の例についても同様である。
【0057】
また、本実施形態において、入力軸から出力軸までの駆動伝達系の固有振動周波数は18Hz以上とすることが望ましい。
現実的に設けることが可能なフライホイールの直径Dは、100〜150mm程度である。例えば、最も厳しい条件となるタンデム型の画像形成装置では、ステーション間ピッチが100〜150mmなので、この場合に各感光体ドラムにフライホイール同士を干渉なく搭載できるフライホイール直径は最大150mmとなる。それ以上のサイズのフライホイールは、感光体ドラム軸方向に取付位置をずらして入れ子状に搭載することもできるが、他の駆動系(現像、転写ベルト、定着)や書込みユニットへの干渉も発生するため、そのような配置は困難である。
また、現実的に設けることが可能なフライホイールの厚みLは、20mm程度である。フライホイールの長さは、そのまま、装置の奥行方向の大きさに影響してしまうので、オフィス向けの装置では奥行方向の大きさは重要で一般に奥行サイズは650〜700mm程度であることから、感光体ドラム軸長が440mmであるとすると、その他に駆動系(ギヤ、モータ、電装部品)、パネル(前面、背面)等を考慮して、現実的には20mm程度が限界である。
また、フライホイールの軸径は重量を支持するために15mm程度が一般的である。
以上より、現実的に用いることが可能な最大サイズのフライホイールでは、一般的な材質SUS(比重7.8)の場合、その慣性Jは、円柱のイナーシャ計算式より、7.753×10-3[kg・m2]となる。
一般に、駆動系の剛性Kは、100[N・m/rad]なので(非特許文献3参照)、前記JとKを下記の式(1)に代入して固有振動周波数を計算すると、18Hzとなる。
fn=(1/2)×(K/J)1/2 ・・・(1)
したがって、固有振動周波数が18Hz以上となるフライホイールならば、最も厳しい条件となるタンデム型の画像形成装置でも搭載可能な大きさに収まることができる。
【0058】
また、本実施形態においては、フライホイール50が感光体ドラムの内部に設置されているので、感光体ドラムの内部空間を有効利用し、装置全体の小型化が実現できる。特に、本実施形態のように、入出力が同軸上の構成となる遊星歯車減速機構を感光体ドラムと同軸上に設ける場合には、感光体ドラムの外部にフライホイールの設置場所を確保することが難しい。よって、このような場合には、フライホイール50を感光体ドラムの内部に設置する構成は特に有効である。
また、フライホイール50は、図3に示したように。感光体ドラムの外部、好ましくは感光体ドラムのドラムフランジ1aに設置してもよい。この場合、回転軸受け及び側板100に近い場所にフライホイール50を設置しやすいので、フライホイール50の安定した支持を容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0059】
1Y,1M,1C,1Bk 感光体ドラム
1a ドラムフランジ
10 感光体駆動装置
11 固定内歯歯車
12 ハウジング
13 回転内歯歯車
14 駆動モータ
17 入力軸
18 太陽歯車
19 第1遊星歯車
20 第2遊星歯車
23 キャリア
50 フライホイール
100 側板
101 感光体ドラム軸
102 ドラム駆動ギヤ
103,104 アイドラギヤ
105 モータギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第2713896号公報
【特許文献2】特開平1−52170号公報
【特許文献3】特開平8−63041号公報
【非特許文献】
【0061】
【非特許文献1】矢田恒二著、「歯車応用機構の設計(2)」、機械の研究、第49巻、第11号、1997年
【非特許文献2】矢田恒二著、「歯車応用機構の設計(26)」、機械の研究、第51巻、第11号、1999年
【非特許文献3】ゼロックステクニカルレポート「W.D.D. (Wide Range Dynamic Damper)技術の開発とColor Laser Wind 3310への適用 」表2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの回転駆動力を減速して画像形成装置に使用される回転体へ伝達する回転伝達装置において、
第1遊星歯車部と歯数又は歯形状が該第1遊星歯車部とは異なる第2遊星歯車部とが互いに固定又は一体に構成された複数の段付遊星歯車と、前記第1遊星歯車部に噛み合う第1歯車と、前記第2遊星歯車部に噛み合う第2歯車と、駆動源から回転駆動力が入力される入力軸に固定されていてその回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達する太陽歯車と、前記複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、ケーシングに回動自在に浮動支持されたキャリアとを有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の一方が回転不能に固定され、他方の回転軸が前記回転体に固定された差動遊星歯車減速機構を備えており、
前記他方の回転軸には慣性体が固定されており、
前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が、前記画像形成装置の画像形成時における前記遊星歯車の回転周波数よりも低周波帯域であることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項2】
駆動源からの回転駆動力を減速して画像形成装置に使用される回転体へ伝達する回転伝達装置において、
第1遊星歯車部と歯数又は歯形状が該第1遊星歯車部とは異なる第2遊星歯車部とが互いに固定又は一体に構成された複数の段付遊星歯車と、前記第1遊星歯車部に噛み合う第1歯車と、前記第2遊星歯車部に噛み合う第2歯車と、前記複数の段付遊星歯車を回動自在に支持するとともに、駆動源から回転駆動力が入力される入力軸に固定され、かつ、ケーシングに回動自在に支持されていて、その回転駆動力を前記段付遊星歯車に伝達するキャリアとを有し、前記第1歯車及び前記第2歯車の一方が回転不能に固定され、他方の回転軸が前記回転体に固定された差動遊星歯車減速機構を備えており、
前記他方の回転軸には慣性体が固定されており、
前記他方の回転軸は、浮動支持され、かつ自在継ぎ手を介して前記回転体に連結されており、
前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数が、前記画像形成装置の画像形成時における前記遊星歯車の回転周波数よりも低周波帯域であることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2の回転伝達装置において、
前記入力軸から前記他方の回転軸までの駆動伝達系の固有振動周波数は、18Hz以上であることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転伝達装置において、
前記慣性体は、前記回転体の内部に設置されることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転伝達装置において、
前記慣性体は、前記回転体の外部に設置されることを特徴とする回転伝達装置。
【請求項6】
ドラム状回転体の表面上に形成した画像を最終的に記録材上へ転写して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記ドラム状回転体を回転させるための回転駆動力を伝達する回転伝達装置として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
駆動ローラを含む複数の支持ローラに張架された無端ベルト状回転体の表面上に形成した画像を最終的に記録材上へ転写して該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
前記駆動ローラを回転させるための回転駆動力を伝達する回転伝達装置として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回転伝達装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−43224(P2011−43224A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192801(P2009−192801)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】