説明

回転式ポンプを用いた車両用ブレーキ装置

【課題】吸入口の加工を容易にすることができる構造のポンプ本体を備えた車両用ブレーキ装置を提供する。
【解決手段】第3シリンダ71cに形成される第3中心孔72cを駆動軸54の径、具体的にはベアリング52の外周よりも大きな径に拡大し、さらに、第3シリンダ71cのうち回転式ポンプ13の回転部の反対側の端面において外周面まで至る溝を形成することで吸入口62を形成する。このような構成とすれば、シリンダ状の部品に対して第3中心孔72cを形成しただけのシンプルな形状となる。このため、単なる塑性加工のみによって第3シリンダ71cを形成することが可能であり、ドリル加工によって第3シリンダ71cの外周面から吸入口62を形成する等の必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロコイドポンプ等の回転式ポンプを用いてブレーキ液圧制御を行なう車両用ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ABS制御等のブレーキ液圧制御中の作動音の低減などを図るべく、車両用ブレーキ装置におけるブレーキ液圧制御用のポンプに、例えばトロコイドポンプ等の回転式ポンプが用いられるようになってきている。
【0003】
このような回転式ポンプを用いた車両用ブレーキ装置が特許文献1に提案されている。図5は、特許文献1に示される車両用ブレーキ装置に備えられた回転式ポンプのポンプ本体J100の断面構成を示した図である。
【0004】
この図に示されるように、ポンプ本体J100は、2つの回転式ポンプJ10、J13や回転式ポンプJ10、J13の駆動軸J54等を円柱状のケースJ71a〜71d、J72a、J72bに収容したユニットとされ、そのユニット化されたポンプ本体J100が車両用ブレーキ装置を構成するハウジングJ150の凹部J150aに差し込まれることでハウジングJ150に固定される。
【0005】
このような構成において、ケースJ71a〜71d、J72a、J72bは、第1シリンダJ71a、第1中央プレートJ72a、第2シリンダJ71b、第3シリンダJ71c、第2中央プレート72bおよび第4シリンダJ71dによって構成されている。そして、第1〜第4シリンダJ71a〜J71dに回転式ポンプJ10、J13の吸入側や吐出側につながる吸入口J60、J62や吐出口J61、J63を形成している。
【特許文献1】特開2001−80498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した回転式ポンプを用いた車両用ブレーキ装置では、回転式ポンプJ13の吸入側につながる吸入口J62を第4シリンダJ71aの端面から直線状に形成した油路と第4シリンダJ71aの外周面から直線状に形成した油路によって構成している。これら各油路はドリルによる穴あけ加工を施すことで形成されるが、油路の交差部分にバリが発生するため、バリ取り加工を施さなければならない。このため、1つの吸入口J62を形成するために2つの穴あけ加工を行わなければならないし、かつ、バリ取り加工も施さなければならないため、製造工程が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、吸入口の加工を容易にすることができる構造のポンプ本体を備えた車両用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一本の駆動軸(54)と共に複数の回転式ポンプを収容することで該複数の回転式ポンプそれぞれのインナーロータを駆動するように構成され、複数の回転式ポンプを収容するシリンダ状の第1ケース(71a、71b、71c、73a、73b)と、第1ケースと同軸的に備えられた第2ケース(71d)を備えて構成されたポンプ本体(100)と、ポンプ本体が第1ケース側を先端として挿入される凹部(150a)が形成されたハウジング(150)とを有し、ハウジング(150)の凹部(150a)の入口側において、第2ケースを該ポンプ本体の挿入方向に向けて押し付けることでポンプ本体(100)が凹部(150a)に固定された構成とされている。
【0009】
そして、第1ケースは、複数の回転式ポンプのサイドプレートを構成する複数のシリンダ部材(71a〜71c)を有し、該複数のシリンダのうち最も第2ケース側に位置するシリンダ部材(71c)には、駆動軸が挿入される中心孔(72c)が形成され、該中心孔が部分的に径方向において駆動軸の径よりも拡大されることで、複数の回転式ポンプのうち最も第2ケース側に位置する回転式ポンプ(13)の吸入口(62)が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成であれば、シリンダ部材(71c)は、シリンダ状の部品に対して中心孔(72c)を形成しただけのシンプルな形状となっている。このため、例えば単なる塑性加工のみによってシリンダ部材(71c)を形成することが可能であり、ドリル加工によってシリンダ部材(71c)の外周面から吸入口(62)を形成する等の必要がない。
【0011】
例えば、請求項2に示すように、中心孔に駆動軸を支持するベアリング(52)が備えられる場合、中心孔をベアリングの外周よりも外側まで拡大し、該ベアリングの外周と中心孔の内壁とによって吸入口を構成することができる。
【0012】
この場合、請求項3に示すように、中心孔から部分的に長方形又は長半円形に拡大された溝によって吸入口を形成することができる。
【0013】
さらに、請求項4に示すように、吸入口を、シリンダ部材のうち第2ケース側の端面において、該シリンダ部材の外周面から連通する油路を有した構成とすることもできる。
【0014】
このようなシリンダ部材は、請求項5に示されるように、塑性加工によって構成することができる。
【0015】
具体的には、請求項6に示されるように、複数の回転式ポンプが第1の回転式ポンプ(10)と第2の回転式ポンプ(13)を備えた構成とされる。この場合、第1ケースは、駆動軸が挿入される第1中心孔(72a)が形成された第1シリンダ(71a)と、第1シリンダと隣接して配置され、第1の回転式ポンプの回転部を収容する第1中央プレート(73a)と、第1中央プレートと隣接して配置され、駆動軸が挿入される第2中心孔(72b)が形成された第2シリンダ(71b)と、第2シリンダと隣接して配置され、第2の回転式ポンプの回転部を収容する第2中央プレート(73b)と、第2中央プレートと隣接して配置され、駆動軸が挿入される第3中心孔(72c)が形成された第3シリンダ(71c)とを有した構成とされ、第1シリンダ、第1中央プレート、第2シリンダ、第2中央プレートおよび第3シリンダが一体化されたユニットとされる。また、第2ケースは、第1中央プレートと隣接して配置され、駆動軸が挿入される第4中心孔(72d)が形成された第4シリンダ(71d)を有して構成される。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1に、回転式ポンプとして内接型ギアポンプ(トロコイドポンプ)を適用した車両用ブレーキ装置のブレーキ配管概略図を示す。以下、ブレーキ装置の基本構成を、図1に基づいて説明する。ここでは前輪駆動の4輪車において、右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本発明によるブレーキ装置を適用した例について説明するが、前後配管などにも適用可能である。
【0019】
図1に示すように、ブレーキペダル1は倍力装置2と接続されており、この倍力装置2によりブレーキ踏力等が倍力される。
【0020】
そして、倍力装置2は、倍力された踏力をマスタシリンダ3に伝達するプッシュロッド等を有しており、このプッシュロッドがマスタシリンダ3に配設されたマスタピストンを押圧することによりマスタシリンダ圧が発生する。なお、これらブレーキペダル1、倍力装置2及びマスタシリンダ3はブレーキ液圧発生手段に相当する。
【0021】
また、このマスタシリンダ3には、マスタシリンダ3内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ3内の余剰ブレーキ液を貯留するマスタリザーバ3aが接続されている。
【0022】
そして、マスタシリンダ圧は、ABS制御等を行うブレーキ液圧制御用アクチュエータを介して右前輪FR用のホイールシリンダ4及び左後輪RL用のホイールシリンダ5へ伝達されている。以下の説明は、右前輪FR及び左後輪RL側について説明するが、第2の配管系統である左前輪FL及び右後輪RR側についても全く同様であるため、説明は省略する。
【0023】
このブレーキ装置はマスタシリンダ3に接続する管路(主管路)Aを備えており、この管路Aには逆止弁22aと共にリニア差圧制御弁22が備えられている。そして、このリニア差圧制御弁22によって管路Aは2部位に分けられている。すなわち管路Aは、マスタシリンダ3からリニア差圧制御弁22までの間においてマスタシリンダ圧を受ける管路A1と、リニア差圧制御弁22から各ホイールシリンダ4、5までの間の管路A2に分けられる。
【0024】
このリニア差圧制御弁22は通常は連通状態であるが、マスタシリンダ圧が所定圧よりも低い際にホイールシリンダ4、5に急ブレーキをかける時、或いはトラクションコントロール時に、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との間に所定の差圧を発生させる状態(差圧状態)となる。このリニア差圧弁22は、差圧の設定値をリニアに調整することができる。
【0025】
また、管路A2において、管路Aは2つに分岐しており、開口する一方にはホイールシリンダ4へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁30が備えられ、他方にはホイールシリンダ5へのブレーキ液圧の増圧を制御する増圧制御弁31が備えられている。
【0026】
これら増圧制御弁30、31は、ABS用の電子制御装置(以下、ECUという)により連通・遮断状態を制御できる2位置弁として構成されている。そして、この2位置弁が連通状態に制御されているときには、マスタシリンダ圧あるいはポンプの吐出によるブレーキ液圧を各ホイールシリンダ4、5に加えることができる。これら第1、第2の増圧制御弁30、31は、ABS制御が実行されていないノーマルブレーキ時には、常時連通状態に制御されている。
【0027】
なお、増圧制御弁30、31には、それぞれ安全弁30a、31aが並列に設けられており、ブレーキ踏み込みを止めてABS制御が終了したときにおいてホイールシリンダ4、5側からブレーキ液を排除するようになっている。
【0028】
第1、第2の増圧制御弁30、31と各ホイールシリンダ4、5との間における管路Aとリザーバ40とを結ぶ管路(吸入管路)Bには、ABS用のECUにより連通・遮断状態を制御できる減圧制御弁32、33がそれぞれ配設されている。これらの減圧制御弁32、33は、ノーマルブレーキ状態(ABS非作動時)では、常時遮断状態とされている。
【0029】
管路Aのリニア差圧制御弁22及び増圧制御弁30、31の間とリザーバ40とを結ぶ管路(還流管路)Cには回転式ポンプ13が配設されている。この回転式ポンプ13の吐出口側には、安全弁13Aが備えられており、ブレーキ液が逆流しないようになっている。また、この回転式ポンプ13にはモータ11が接続されており、このモータ11によって回転式ポンプ13は駆動される。なお、第2の配管系統には、回転式ポンプ13と同様に構成された回転式ポンプ10(図2参照)が備えられている。これら回転式ポンプ10、13の詳細については後で説明する。
【0030】
そして、リザーバ40とマスタシリンダ3とを接続するように管路(補助管路)Dが設けられている。この管路Dには2位置弁23が配置されており、通常時には2位置弁23が遮断状態とされ、管路Dが遮断されるようになっている。この2位置弁23はブレーキアシスト時やトラクションコントロール時等に連通状態とされ管路Dが連通状態にされると、回転式ポンプ13は管路Dを介して管路A1のブレーキ液を汲み取り、管路A2へ吐出してホイールシリンダ4、5におけるホイールシリンダ圧をマスタシリンダ圧よりも高くして車輪制動力を高めるようになっている。なお、この際にはリニア差圧制御弁22によって、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧が保持される。
【0031】
リザーバ40は、管路Dに接続されてマスタシリンダ3側からのブレーキ液を受け入れるリザーバ孔40aと、管路B及び管路Cに接続されホイールシリンダ4、5から逃がされるブレーキ液を受け入れるリザーバ孔40bとを備えている。リザーバ孔40aより内側には、ボール弁41が配設されている。このボール弁41には、ボール弁41を上下に移動させるための所定ストロークを有するロッド43がボール弁41と別体で設けられている。
【0032】
また、リザーバ室40c内には、ロッド43と連動するピストン44と、このピストン44をボール弁41側に押圧してリザーバ室40c内のブレーキ液を押し出そうとする力を発生するスプリング45が備えられている。
【0033】
このように構成されたリザーバ40は、所定量のブレーキ液が貯留されると、ボール弁41が弁座42に着座してリザーバ40内にブレーキ液が流入しないようになっている。このため、回転式ポンプ13の吸入能力より多くのブレーキ液がリザーバ室40c内に流動することがなく、回転式ポンプ13の吸入側に高圧が印加されないようになっている。
【0034】
次に、図2に回転式ポンプ10、13を含むポンプ本体100の断面図を示す。この図は、ポンプ本体100をABSアクチュエータのハウジング150に組付けたときを示しており、紙面上下方向が車両天地方向となるように組付けられている。以下、図2に基づいてポンプ本体100の全体構成について説明する。
【0035】
上述したように、ブレーキ装置は、第1配管系統と第2配管系統の2系統から構成されている。このため、ポンプ本体100には図1及び図2に示された第1配管系統用の回転式ポンプ13と、図2に示された第2配管系統用の回転式ポンプ10の2つが備えられている。そして、これら回転式ポンプ10、13が1本の駆動軸54で駆動されるようになっている。
【0036】
ポンプ本体100の外形を構成するケーシングは、第1、第2、第3、第4シリンダ(サイドプレート)71a、71b、71c、71d及び円筒状の第1、第2中央プレート73a、73bによって構成されている。
【0037】
第1シリンダ71a、第1中央プレート73a、第2シリンダ71b、第2中央プレート73b、第3シリンダ71cが順に重ねられ、重なり合う部分の外周が溶接されることで接合されている。そして、これら溶接されてユニット化された部分を第1ケースとして、第1ケースにおける第3シリンダ71cとの間にバネ手段に相当する皿バネ210を挟むようにして、第2ケースに相当する第4シリンダ71dが第1ケースに対して同軸的に配置されている。このようにして一体構造のポンプ本体100が構成されている。
【0038】
このように一体構造とされたポンプ本体100が、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ用のハウジング150に形成された略円筒形状の凹部150a内に挿入されている。
【0039】
そして、凹部150aの入口に掘られた雌ネジ溝150bにリング状の雄ネジ部材200がネジ締めされて、ポンプ本体100がハウジング150に固定された構成となっている。具体的には、ポンプ本体100の挿入方向の先端位置のうち駆動軸54の先端と対応する位置において、ハウジング150の凹部150aに円形状の第2の凹部150cが形成されている。この第2の凹部150cの径は、駆動軸54より大きいが第1シリンダ71aの外径より小さくされている。このため、駆動軸54の先端部、つまり第1シリンダ71aの端面から突出する部分が第2の凹部150c内に入り込み、凹部150aの底面うち第2の凹部150c以外の部分が第1シリンダ71aの端面と接する構造となり、雄ネジ部材200のネジ締めによってポンプ本体100が軸力を得られるようになっている。
【0040】
ここで、ハウジング150の凹部150aへのポンプ本体100の固定構造に関して、皿バネ210を備えていることから、皿バネ210が以下のように作用する。
【0041】
ポンプ本体100をハウジング150に固定するため、換言すればポンプ本体100によるブレーキ液の吸入吐出時に高圧なブレーキ液圧によってポンプ本体100がハウジング150の内側でガタつかないようにするために、大きな軸力を確保しなければならない。
【0042】
しかしながら、雄ネジ部材200のネジ締めのみによって上記軸力を得るのでは、軸力に大きなバラツキが発生し得る。
【0043】
これに対して、本実施形態では、第3、第4シリンダ71c、71dの間に皿バネ210を配置し、第4シリンダ71dのうちの第3シリンダ71c側の端部を縮径し、その部位が後述する第3シリンダ71cの第3中心孔72cに挿入されるようににしている。また、第4シリンダ71dのうち第3シリンダ71cの第3中心孔72cに挿入される部位の径は、第3中心孔72cの径とほぼ同じか、または、若干小さめに設定してあり、第4シリンダ71dが第3シリンダ71cの第3中心孔72cに対して遊嵌合の状態としている。
【0044】
このため、雄ネジ部材200をネジ締めする際に、第4シリンダ71dと第3シリンダ71cの間に配置された皿バネ210の弾性力によってポンプ本体100をハウジング150の穴部150aに固定するための軸力が発生させられることになる。つまり、第3シリンダ71cよりも紙面右側に位置する部材が皿バネ210によって凹部150aの底面に押し付けられると共に、第4シリンダ71dが皿バネによって雄ネジ部材200側に押し付けられることで、軸力が発生させられる。したがって、その軸力を安定させると共に、ポンプ本体100にかかる軸力が過大とならず必要最小限となるようにすることができる。これにより、ポンプ本体100の変形を押さえることができる。
【0045】
この皿バネ210の向きは、皿バネ210の底面側(外周部に荷重が掛かる側)が回転式ポンプ10、13側を向き、皿バネ210の上面側(内周部に荷重が掛かる側)がモータ11側を向くような構成とされている。
【0046】
また、第1〜第4シリンダ71a〜71dには、それぞれ第1、第2、第3、第4中心孔72a、72b、72c、72dが備えられている。第1シリンダ71aに形成された第1中心孔72aの内周にはベアリング51が備えられており、第3シリンダ71cに形成された第3中心孔72cの内周にはベアリング52が備えられている。これらベアリング51、52は、ニードルベアリングよりも幅狭なボールベアリングによって構成されている。
【0047】
ベアリング51およびベアリング52には、共に、シールプレート51a、52aが備えられ、ベアリング51に関してはシールプレート51aが駆動軸54の先端側に位置し、ベアリング52に関してはシールプレート52aが第4シリンダ71d側に向けられた配置とされている。
【0048】
図3は、第3シリンダ71cのみを表した図であり、図3(a)は第3シリンダ71cの斜視図、図3(b)は第3シリンダ71cの正面図(ポンプ本体100の軸方向から見た図)である。
【0049】
この図に示されるように、第3中心孔72cは、ベアリング52の外径と同等の内径を有する部分と、ベアリング52の内径よりも縮小された部分とを有し、これらによって段付き部が構成されている。この段付き部までベアリング52が押し込まれると、ベアリング52が第3中心孔72cの内側まで入り込み、第3中心孔72cのうち第4シリンダ71d側において空洞が残る。この空洞内に第4シリンダ71dの一部が入り込むようになっている。
【0050】
そして、第1〜第4中心孔72a〜72d内に駆動軸54が嵌入され、ベアリング51、52によって軸支されている。このように、回転式ポンプ10、13を挟んで両側にベアリング51、52が配置されている。
【0051】
なお、第3シリンダ71cによって後述する吸入口62も構成されているが、この吸入口62の構成に関しては後で詳細に説明する。
【0052】
次に、図4に図2のA−A断面図を示し、図2及び図4に基づいて回転式ポンプ10、13の構成を説明する。
【0053】
回転式ポンプ10は、円筒状の第1中央プレート73aの両側を第1シリンダ71a及び第2シリンダ71bで挟み込んで形成されたロータ室50a内に配置されており、駆動軸54によって駆動される内接型ギアポンプ(トロコイドポンプ)で構成されている。
【0054】
具体的には、回転式ポンプ10は、内周に内歯部が形成されたアウターロータ10aと外周に外歯部が形成されたインナーロータ10bとからなる回転部を備えており、インナーロータ10bの孔内に駆動軸54が挿入された構成となっている。そして、駆動軸54に形成された軸方向が長手方向をなす長穴54a(図2参照)内にキー54bが嵌入されており、このキー54bによってインナーロータ10bへのトルク伝達が成されるようになっている。
【0055】
アウターロータ10aとインナーロータ10bは、それぞれに形成された内歯部と外歯部とが噛み合わさって複数の空隙部10cを形成している。そして、駆動軸54の回転によって空隙部10cが大小変化することで、ブレーキ液の吸入吐出が行われる。
【0056】
一方、回転式ポンプ13は、円筒状の第2中央プレート73bの両側を第3シリンダ71c及び第4シリンダ71dで挟み込んで形成されたポンプ室50b内に配置されている。回転式ポンプ13も、回転式ポンプ10と同様にアウターロータ13a及びインナーロータ13bを備えた内接型ギアポンプで構成されており、駆動軸54を中心として回転式ポンプ10を180°回転させた配置となっている。このように配置することで、回転式ポンプ10、13のそれぞれの吸入側の空隙部10cと吐出側の空隙部10cとが駆動軸54を中心として対称位置となるようにし、吐出側における高圧なブレーキ液圧が駆動軸54に与える力を相殺できるようにしている。
【0057】
第1シリンダ71aには、回転式ポンプ10の吸入側の空隙部10cと連通する吸入口60が形成されている。吸入口60は、第1シリンダ71aの回転式ポンプ10側の端面から反対側の端面まで貫通するように形成されている。このため、吸入口60のうち回転式ポンプ10側の端面とは反対側の端面側を入口としてブレーキ液が導入される。
【0058】
そして、吸入口60は、ハウジング150に対して凹部150a底面に至るように形成された吸入用管路151に接続されている。
【0059】
第2シリンダ71bには、回転式ポンプ10の吐出側の空隙部10cと連通する吐出口61が備えられている。この吐出口61は、回転式ポンプ10の回転部側の端面から外周面に至るように延設されている。この吐出口61は、具体的には以下のように構成されている。
【0060】
第1シリンダ71a及び第2シリンダ71bのうち回転式ポンプ10の回転部側の端面には、駆動軸54を囲むように形成された環状溝(第1の環状溝)61aが備えられている。
【0061】
この環状溝61a内には、アウターロータ10a及びインナーロータ10bを挟み込むように配置されたリング状のシール部材171が備えられている。このシール部材171は、回転部側に配置された樹脂部材171aと、樹脂部材171aを回転部側に押圧するゴム部材171bとから構成されている。このシール部材171の内周側には、吸入側の空隙部10c及び吸入側の空隙部10cに対向するアウターロータ10aの外周と中央プレート73aとの隙間が含まれ、シール部材172の外周側には、吐出側の空隙部10c及び吐出側の空隙部10cに対向するアウターロータ10aの外周と中央プレート73aとの隙間が含まれるようにされている。すなわち、シール部材171によって、シール部材171の内外周の比較的低圧な部位と比較的高圧な部位とがシールされるように構成されている。
【0062】
また、シール部材171は、環状溝61aの内周と接し、外周とは一部しか接しないように構成されており、環状溝61aのうちシール部材171よりも外周側の一部接しない部分は隙間となっている。つまり、環状溝61aには、外周全周がシール部材171と接しないように構成された領域があり、この領域をブレーキ液が流動できるようになっている。さらに、第1のシリンダ71aには、環状溝61aの一部から管路61bが引き出されている。このように構成された環状溝61aの隙間と管路61bによって吐出口61が構成されている。
【0063】
そして、吐出口61は、ハウジング150の凹部の内周面のうちポンプ本体100の先端位置が配置される部分全周に形成された環状溝162を介して、ハウジング150に形成された吐出用管路152と接続されている。
【0064】
さらに、第2シリンダ71bにおける吐出口61が形成された端面と反対側の端面には、吐出側の空隙部と連通する吐出口63が備えられている。
【0065】
吐出口63は、第2シリンダ71bの端面から外周面に至るように形成されている。この吐出口63は、上記した吐出口61と同様の構造で形成されており、樹脂部材172a及びゴム部材172bからなるリング状のシール部材172を収容した環状溝63aの隙間と、環状溝63aの最も上方位置から引き出された管路63bとから構成されている。この吐出口63は、ハウジング150の凹部150aの内周面のうち中央プレート73bの外周と対向する部分全周に形成した環状溝163を介して、吐出用管路154に接続されている。
【0066】
第3シリンダ71cには、回転式ポンプ13の吸入側の空隙部と連通する吸入口62が備えられている。
【0067】
吸入口62は、第3シリンダ71cにおける回転式ポンプ13側の端面から反対側の端面まで貫通し、かつ、反対側の端面において第3シリンダ71cの外周面まで貫通するように形成されている。
【0068】
具体的には、吸入口62は、第3シリンダ71cに形成された第3中心孔72cを利用して構成され、この第3中心孔72cの径を拡大して溝を形成することで構成されている。図3(a)、(b)に示されるように、第3シリンダ71cの第3中心孔72cは、回転式ポンプ13側において長円形を為している。この長円形の一方の端部の半円形に沿って駆動軸54が配置されるため、他方の端部の半円形は駆動軸54の径よりも部分的に径が拡大されたものとなっている。この径が拡大された部分は、ベアリング52の外周よりも大きな径とされている。なお、ここでは第3中心孔72cの形状について、駆動軸54に沿わない端部を円弧状としたが長方形状としても良い。
【0069】
また、第3中心孔72cは、第3シリンダ71cの中間位置においてベアリング52と同等の径となるように拡径され、第3シリンダ71cのうち回転式ポンプ13側とは反対側の端面において長円形の一端が外周面まで達する溝と繋がった構造とされている。この溝は、例えば断面長方形もしくは長半円形によって構成されるが、本実施形態では断面長方形としてある。
【0070】
吸入口62は、この第3中心孔72cのうち駆動軸54を配置しても塞がれない部分、つまり三日月状の部分と、第3シリンダ71cのうち回転式ポンプ13側とは反対側の端面において外周面まで延設された溝によって構成される。このため、吸入口62のうち第3シリンダ71cの外周面側を入口として、ブレーキ液が導入されるようになっている。そして、吸入口62は、吸入口62の入口の位置を含むようにハウジング150の凹部150aの内周面の全周に形成された環状溝164を介して、ハウジング150に形成された吸入用管路153と接続されている。
【0071】
なお、図2において、吸入用管路153及び吐出用管路154が図1における管路Cに相当する。
【0072】
このように、第3中心孔72cを利用して吸入口62を構成することにより、駆動軸54やベアリング52等にブレーキ液が供給されるため、駆動軸54の回転が円滑に行われる。また、吸入口62の方が吐出口63よりもモータ11側(ハウジング150外部側)に位置しているため、ハウジング150の外部に近い部分のブレーキ液圧が低くなるようにできる。
【0073】
なお、第2シリンダ71bの第2中心孔72bは部分的に駆動軸54より径大とされており、この径大とされた部位に第1の回転式ポンプ10と第2の回転式ポンプ13とを遮断するシール部材80が収容されている。このシール部材80は、リング状の弾性部材であるOリング81を、径方向を深さ方向とする溝部が形成されたリング状の樹脂部材82に嵌め込んだものであり、Oリング81の弾性力によって樹脂部材82が押圧されて駆動軸54と接するようになっている。
【0074】
図示しないが、例えば、樹脂部材82及び第3シリンダ71cの第3中心孔72cの断面形状は共に、円形状を部分的に切欠きとした円弧形状とされており、第3シリンダ71cの第3中心孔72cに樹脂部材82が嵌め込まれるように構成されている。このため、樹脂部材82の切欠き部分がキーとしての役割を果たし、シール部材80が第3シリンダ71cに対して相対回動できないように構成されている。
【0075】
第4シリンダ71dは、皿バネ210が配置される面と反対の面において凹んでおり、この凹みから駆動軸54が突出させられている。駆動軸54は、突出した側の端部において鍵形状とした接続部54cを備えており、この接続部54cにモータ11の駆動軸11aが差し込まれる。そして、一本の駆動軸54が駆動軸11aを介してモータ11によって回動されて、回転式ポンプ10、13が駆動されるようになっている。
【0076】
また、第4シリンダ71dの凹み部分の入口の径は、モータ11のホルダー11bに形成された孔11cと同等になっており、第4シリンダ71dの凹み部分とモータ11のホルダー11bの孔11cとの間の隙間を小さくしてベアリング180を配置し、駆動軸11aが軸支されるようになっている。なお、ここでは駆動軸11aがベアリング180によって軸支される例を挙げているが、駆動軸54を軸支するようにしてもよい。
【0077】
このように、モータ11のホルダー11bに形成された孔11cと第4シリンダ71dの凹み部分とにベアリング180を配置すると、モータ11と第4シリンダ71の径方向の位置決めが為されるため、モータ11の駆動軸11aと駆動軸54の軸ズレを最小限に抑えることができる。
【0078】
また、第4シリンダ71dに形成された凹み内において、駆動軸54の外周を覆うように、オイルシール90とオイルシール91が駆動軸54の軸方向に並べられて嵌め込み固定されている。オイルシール90は、中心孔72dを介して吸入口62から洩れてくるブレーキ液をシールする役割を果たすものである。そして、オイルシール91は、ポンプ本体100の内外の遮断を行うためのシールとしての役割を果たすものである。
【0079】
さらに、第1〜第4シリンダ71a〜71dのそれぞれの外周面にはOリング74a、74b、74c、74dが配置されている。これらOリング74a〜74dは、ハウジング150に形成された吸入用管路151、153や吐出用管路152、154におけるブレーキ液をシールするものであり、吸入用管路151と吐出用管路152の間、吐出用管路152と吐出用管路154の間、吐出用管路154と吸入用管路153の間、及び吸入用管路153とハウジング150の外部の間に配置されている。
【0080】
なお、第4シリンダ71dの凹み部分の入口側の先端の外周面は縮径されており、段付き部を構成している。上記したリング状の雄ネジ部材200はこの縮径された部分に嵌装され、ポンプ本体100が固定されるようになっている。
【0081】
次に、上記のように構成されたブレーキ装置及びポンプ本体100の作動について説明する。
【0082】
ブレーキ装置は、車輪がロック傾向にあるABS制御時、若しくは大きな制動力を必要とする時(例えば、ブレーキ踏力に対応した制動力が得られない場合やブレーキペダル1の操作量が大きいとき等)において、ポンプ本体100を駆動してリザーバ40内のブレーキ液を吸入し、吐出する。そして、この吐出されたブレーキ液によってホイールシリンダ4、5の圧力を増圧する。
【0083】
このとき、ポンプ本体100内では、回転式ポンプ10、13が吸入用管路151、153を通じてブレーキ液を吸入し、吐出用管路152、154を通じてブレーキ液を吐出するという基本的なポンプ動作を行う。
【0084】
このとき、回転式ポンプ10、13では、吐出側の圧力が非常に大きくなる。このため、ポンプ本体100がハウジング150から抜ける方向にブレーキ液圧が作用するが、上述したように、皿バネ210及び雄ネジ部材200によってポンプ本体100の軸力を確保しているため、ポンプ本体100がハウジング150内でガタつくのを防止することができる。
【0085】
そして、本実施形態の場合、回転式ポンプ10よりもモータ11側において、ポンプ本体11の外形を構成するシリンダ部品を1部品によって構成せずに、第3シリンダ71cと第4シリンダ71dという2部品に分割し、これら第3シリンダ71cと第4シリンダ71dの間に皿バネ210を配置している。
【0086】
従来の車両用ブレーキ装置に備えられるポンプ本体では、図5に示したように、回転式ポンプよりもモータ側において、ポンプ本体の外形を構成するシリンダ部品を1部品で構成し、これに吸入口を形成した構成としている。したがって、シリンダ部品はベアリングやシールを配置しなければならないため、軸方向長さが大きなものにならざるを得なかったが、ベアリングやシールよりも外周位置では、何も配置されないスペースができ、言わばデッドスペースが形成されていた。
【0087】
これに対し、本実施形態では、第3シリンダ71cと第4シリンダ71dの間に皿バネ210を配置した構成としているため、スペースの有効活用が図れる。このため、皿バネ210をポンプ本体100の先端位置に配置する場合と比べて、第3シリンダ71c、第4シリンダ71dおよび皿バネ210を含めたポンプ本体100のトータルの軸方向長さ(ポンプ軸長さ)を短くすることができる。
【0088】
また、このような構造において、皿バネ210の向きは、皿バネ210の底面側(外周部に荷重が掛かる側)が回転式ポンプ10、13側を向き、皿バネ210の上面側(内周部に荷重が掛かる側)がモータ11側を向くような構成とされている。
【0089】
仮に、皿バネ210の向きが、皿バネ210の上面側が回転式ポンプ10、13側を向き、皿バネ210の底面側がモータ11側を向くような構成とされていれば、以下の問題が発生する可能性がある。
【0090】
すなわち、例えばポンプ本体100が凹部150aの底面に押し付けられるときの反力などが第1シリンダ71aの外周部、第1中央プレート73a、第2シリンダ71bの外周部、第2中央プレート73bおよび第3シリンダ71cの外周部を介して皿バネ210側に伝えられたときに、この荷重を皿バネ210の上面側で受け止めなければならない。この場合、荷重の掛かる位置が第3シリンダ71cの外周側であるのに荷重を受け止める位置がそれよりも第3シリンダ71cの内周側となるため、そのズレによって第3シリンダ71cが変形する可能性がある。
【0091】
これに対し、本実施形態の場合には、その荷重を皿バネ210の底面側、つまり第3シリンダ71cの外周側で受け止めることができる。このため、皿バネ210の底面側において荷重を確実に受け止めることができ、第3シリンダ71cの変形を防止することができる。
【0092】
そして、このような構造とする場合において、第3シリンダ71cは、図3に示したように、シリンダ状の部品に対して第3中心孔72cを形成しただけのシンプルな形状となっている。このため、単なる塑性加工のみによって第3シリンダ71cを形成することが可能であり、ドリル加工によって第3シリンダ71cの外周面から吸入口62を形成する等の必要がない。
【0093】
また、従来のポンプ本体を見てみると判るように、シリンダ部品の端面側と外周面側から直交する油路を設けることによって吸入口を形成しているため、油路が交差する部分においてバリが発生し、バリ除去作業などを行わなければならないが、本実施形態の構造であればその必要もない。
【0094】
同様に、第4シリンダ71dについても、シリンダ状の部品に対して中心孔72dを形成しただけのシンプルな形状となっている。このため、単なる塑性加工のみによって第4シリンダ71dを形成することができる。
【0095】
したがって、第3、第4シリンダ71c、71dの形成を容易に行うことが可能となるのに加え、バリの発生を防止できるため、ブレーキ液中にバリが混入することで発生する様々な問題を予防することも可能となる。
【0096】
さらに、本実施形態では、ベアリング51、52をボールベアリングで構成している。このため、ニードルベアリングを用いる場合と比べて、軸方向の短縮化を図ることが可能となる。
【0097】
(他の実施形態)
上記実施形態では、ハウジング150の凹部に形成された雌ネジ溝150bに雄ネジ部材200をネジ締めすることによって、ポンプ本体100をハウジング150に固定しているが、他の方法、例えば凹部150aの内周面をかしめることによって固定してもよい。
【0098】
なお、上記実施形態では、回転式ポンプ10、13という2つを備えたものを例に挙げて説明したが、それ以上の数であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用ブレーキ装置の配管構成を示した一部断面模式図である。
【図2】図1に示す回転式ポンプ10、13を含むポンプ本体100の断面図を示す。
【図3】(a)は第3シリンダ71cの斜視図、(b)は第3シリンダ71cの正面図(ポンプ本体100の軸方向から見た図)である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】従来の車両用ブレーキ装置に備えられたポンプ本体の断面図である。
【符号の説明】
【0100】
100…ポンプ本体、10、13…回転式ポンプ、10a…アウターロータ、10b…インナーロータ、10c…空隙部、51、52…ベアリング、54…駆動軸、60、62…吸入口、61、63…吐出口、71a〜71d…第1〜第4シリンダ、72a〜72d…第1〜第4中心孔、73a、73b…中央プレート、90、91…シール部材、150…ハウジング、150a…凹部、151〜154…管路、210…皿バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に外歯部が形成されたインナーロータ(10b、13b)、及び内周に内歯部が形成されたアウターロータ(10a、13a)を含み、前記内歯部と前記外歯部とを噛み合わせることで複数の空隙部(10c)を形成してなる回転部と、前記回転部にブレーキ液を吸入する吸入口(60、62)と、前記回転部から前記ブレーキ液を吐出する吐出口(61、63)と、を有してなる回転式ポンプ(10、13)を複数備え、
一本の駆動軸(54)と共に前記複数の回転式ポンプを収容することで該複数の回転式ポンプそれぞれのインナーロータを駆動するように構成され、前記複数の回転式ポンプを収容するシリンダ状の第1ケース(71a、71b、71c、73a、73b)と、前記第1ケースと同軸的に備えられた第2ケース(71d)を備えて構成されたポンプ本体(100)と、
前記ポンプ本体が前記第1ケース側を先端として挿入される凹部(150a)が形成されたハウジング(150)とを有し、
前記ハウジングの前記凹部の入口側において、前記第2ケースを該ポンプ本体の挿入方向に向けて押し付けることで前記ポンプ本体(100)が前記凹部(150a)に固定された構成とされており、
前記第1ケースは、前記複数の回転式ポンプのサイドプレートを構成する複数のシリンダ部材(71a〜71c)を有し、該複数のシリンダのうち最も前記第2ケース側に位置するシリンダ部材(71c)には、前記駆動軸が挿入される中心孔(72c)が形成され、該中心孔が部分的に径方向において前記駆動軸の径よりも拡大されることで、前記複数の回転式ポンプのうち最も前記第2ケース側に位置する回転式ポンプ(13)の吸入口(62)が形成されていることを特徴とする回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。
【請求項2】
前記中心孔には前記駆動軸を支持するベアリング(52)が備えられ、前記吸入口は、前記中心孔が前記ベアリングの外周よりも外側まで拡大されることで、該ベアリングの外周と前記中心孔の内壁とによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。
【請求項3】
前記中心孔から部分的に長方形又は長半円形に拡大された溝によって前記吸入口が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。
【請求項4】
前記吸入口は、前記シリンダ部材のうち前記第2ケース側の端面において、該シリンダ部材の外周面から連通する油路を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
前記シリンダ部材は、塑性加工によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。
【請求項6】
前記複数の回転式ポンプは、第1の回転式ポンプ(10)と第2の回転式ポンプ(13)を備えており、
前記第1ケースは、
前記駆動軸が挿入される第1中心孔(72a)が形成された第1シリンダ(71a)と、
前記第1シリンダと隣接して配置され、前記第1の回転式ポンプの前記回転部を収容する第1中央プレート(73a)と、
前記第1中央プレートと隣接して配置され、前記駆動軸が挿入される第2中心孔(72b)が形成された第2シリンダ(71b)と、
前記第2シリンダと隣接して配置され、前記第2の回転式ポンプの前記回転部を収容する第2中央プレート(73b)と、
前記第2中央プレートと隣接して配置され、前記駆動軸が挿入される第3中心孔(72c)が形成された第3シリンダ(71c)とを有し、
前記第1〜第3シリンダによって前記複数のシリンダ部材が構成され、前記第3シリンダによって最も前記第2ケース側に位置するシリンダ部材を構成し、前記第1シリンダ、前記第1中央プレート、前記第2シリンダ、前記第2中央プレートおよび前記第3シリンダが一体化されたユニットとされており、
前記第2ケースは、
前記第1中央プレートと隣接して配置され、前記駆動軸が挿入される第4中心孔(72d)が形成された第4シリンダ(71d)を有して構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−125930(P2007−125930A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318439(P2005−318439)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】