説明

回転成形体用ポリオレフィン組成物

【課題】回転成形体が長時間、高温下で曝露され生じる回転成形体の黄変が抑制された回転成形体用ポリオレフィン組成物及び回転成形時の黄変防止方法の提供。
【解決手段】ポリオレフィンと、特定の環状構造(ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン構造)を有する亜リン酸エステル類とを含有する回転成形体用ポリオレフィン組成物を回転成形用樹脂組成物として使用するか又は、前記の特定環状亜リン酸エステルを添加する工程を有する回転成形方法により回転成形体の黄変防止を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転成形体用ポリオレフィン組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
回転成形体は、通常、自動車、電気、住宅建材、土木、農業、園芸、林業、水産、環境用途などの産業分野に使用される大型の成形品、容器、タンクなどに汎用されている。その製造方法としては、例えば、まず、ポリオレフィン及び加工安定剤等を含有する回転成形体用ポリオレフィン組成物を成形型の半分程度に充填し、他の半分と共に型閉めし、次いで、前記成形型を軸の回りに回転させながらオーブン中で加熱し、前記組成物が前記成形型の壁面に広がった後、前記成形型を冷却する方法などが挙げられる。
一方、加工安定剤として、ポリオレフィンに対して、下記式

で表されるトリス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル)ホスファイト(イルガフォス168:登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)を添加することが、例えば、特許文献1等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−248075号公報(実施例1 A及びB [0111]〜[0119])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、回転成形体が大型化していることから、回転成形に要する加熱及び冷却時間が長くなり、回転成形体が長時間、高温下で曝露され、結果として得られる回転成形体の黄変が進行してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは前記課題について鋭意検討した結果、以下の[1]〜[9]記載の発明に至った。
[1] ポリオレフィンと、式(I)で示される亜リン酸エステル類とを含有する回転成形体用ポリオレフィン組成物。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【0006】
[2] ポリオレフィン100重量部に対し、式(I)で示される亜リン酸エステル類0.005〜5重量部を含有する[1]記載の組成物。
[3] ポリオレフィン100重量部に対し、式(I)で示される亜リン酸エステル類0.05〜1重量部を含有する[1]記載の組成物。
[4] さらに、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを含有する[1]〜[3]のいずれか一項記載の組成物。
[5] 亜リン酸エステル類とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトとの重量比が5:1〜1:10である[4]記載の組成物。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項記載の組成物を回転成形してなることを特徴とする回転成形体。
[7] イエロネスインデックスYIが3以下である[6]記載の回転成形体。
【0007】
[8] 耐黄変性が付与された回転成形体を製造するための、ポリオレフィン用添加剤としての式(I)で示される亜リン酸エステル類の使用。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【0008】
[9] ポリオレフィンに対して、式(I)で示される亜リン酸エステル類を添加する工程を有することを特徴とする回転成形体の黄変防止方法。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長時間、高温に曝露されても黄変を抑制された回転成形体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明はポリオレフィンと、前記式(I)で示される亜リン酸エステル類(以下、亜リン酸エステル類(I)と記すことがある)とを含有する回転体用ポリオレフィン組成物である。
【0011】
(ポリオレフィン)
本発明に用いられるポリオレフィンは、主鎖が炭素−炭素二重結合で形成されてなる高分子であり、例えば、
プロピレン系樹脂;
高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン/メチルメタクリレート共重合体などのエチレン系樹脂;
メチルペンテンポリマー;
ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合樹脂、スチレン/ ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂;
塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリオレフィン;
アクリル樹脂、メタクリル樹脂などのアクリル樹脂;
フッ素樹脂;
1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体などのエラストマーなどが挙げられ、より好ましくは、ポリオレフィンを挙げられ、さらに好ましくは、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレン系樹脂が挙げられる。
本発明に用いられるポリオレフィンのMFRは、5.0g/10分以下であることが好ましく、4.0g/10分以下であることがより好ましい。
【0012】
ここで、エチレン系樹脂とは、エチレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味し、前記例示された樹脂が挙げられる。
プロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味する。具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
本発明において熱可塑性ポリマーとしてプロピレン系樹脂を用いる場合、プロピレン系樹脂としては1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0013】
プロピレン系樹脂に用いられるα−オレフィンとしては、通常、炭素数4〜12のα−オレフィン、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられ、好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが挙げられる。
【0014】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0015】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0016】
プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分などが挙げられ、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分などが挙げられる。なお、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜20重量%である。
【0017】
また、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体などが挙げられる。
【0018】
また、ポリオレフィンとしてプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体、より好ましくは、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分とからなるポリプロピレン系ブロック共重合体が用いられる。
【0019】
プロピレン系樹脂の結晶性は、剛性、耐傷つき性の観点からは、結晶性が高いものが好ましい。結晶性が高いプロピレン系樹脂としては、結晶性の指標として用いられるA.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 6、925、1973)に従って求められるプロピレン系樹脂分子中のペンタッド単位でプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率(ペンダット分率と称し、[mmmm]で表わす。)が0.95以上のものが好ましい。
【0020】
プロピレン系樹脂の製造には、重合触媒として、例えば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンからなる触媒系、又はシクロペンタジエニル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機アルミニウム化合物からなる触媒系などを用いて製造されたプロピレン系樹脂が好適である。
【0021】
また、プロピレン系樹脂の方法としては、例えば、炭化水素溶媒によるスラリー重合法、溶媒重合法、無溶媒による液相重合法、気相重合法、又はそれらを連続的に行なう液相−気相重合法などが挙げられる。これらの重合方法は、回分式であってもよく、連続式であってもよい。また、プロピレン系樹脂を一段階で製造する方法であってもよく、二段階以上の多段階で製造する方法であってもよい。特に、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分とからなるポリプロピレン系ブロック共重合体の製造方法としては、プロピレン単独重合体成分又は主にプロピレンからなる共重合体成分を製造する段階とプロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分を製造する段階とからなる少なくとも二段階以上の多段階の製造方法が挙げられる。
【0022】
(亜リン酸エステル類(I))
本発明の回転成形体用ポリオレフィン組成物は、下記式(I)で表わされる亜リン酸エステル類(以下、亜リン酸エステル類(I)と記すことがある)を含有する。

【0023】
式(I)で表される亜リン酸エステル類において、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
【0024】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられ、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基などが挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基などが挙げられる。
【0025】
式(I)中、R1、R2、R4としては、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基である。特に、R1、R4としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基が好ましい。
【0026】
式(I)中、R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基である。
【0027】
式(I)中、R5は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基である。
【0028】
式(I)中、R3は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表すが、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、上述したのと同様のアルキル基が挙げられる。水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0029】
式(I)中、Xは、単結合、硫黄原子又はメチレン基を表す。該メチレン基には、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基が置換していてもよい。ここで、メチレン基に置換していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、それぞれ上述と同様のアルキル基、シクロアルキル基が例示される。Xとしては、単結合、メチレン基又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基又はt−ブチル基などが置換したメチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0030】
式(I)中、Aは、炭素数2〜8のアルキレン基、又は*−COR7−基を表す。R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を表す。
ここで、炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、*−COR7−基における*は、*は酸素側の結合手であることを示す。すなわち、*−COR7−基のカルボニル基がホスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。またR7における、炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。R7として、好ましくは単結合、エチレン基である。
【0031】
式(I)中、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば上述したのと同様のアルキル基が挙げられる。
【0032】
亜リン酸エステル類(I)としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシンなどが挙げられる。特に、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好ましい。
2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンは、スミライザーGP(登録商標、住友化学製、以下、亜リン酸エステル類(I−1)と記すことがある)として市販されている。
【0033】
本発明のポリオレフィン組成物における亜リン酸エステル類(I)の含有量は、ポリオレフィン組成物100重量部に対して、通常、0.005〜5重量部、好ましくは、0.01〜5重量部、より好ましくは、0.01〜3重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部、さらにより好ましくは0.15〜1重量部の範囲内である。
【0034】
本発明のポリオレフィン組成物は、必要に応じてさらに他の添加剤、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、亜リン酸エステル類(I)以外のリン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、ヒドロキシルアミン、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、顔料、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等の中和剤、更には9,10- ジヒドロ-9- オキサ-10-ホスホフェナンスレン-10-オキシド等の着色改良剤や、米国特許4,325,853 号、4,338,244 号、5,175,312 号、5,216,053 号、5,252,643 号、4,316,611 号明細書、DE-A-4,316,622号、4,316,876 号明細書、EP-A-589,839、591,102 号明細書等に記載のベンゾフラン類、インドリン類等の補助安定剤などを含有させることもできる。これらの添加剤はもちろん、亜リン酸エステル類(I)と同時に配合することもできるし、また亜リン酸エステル類(I)とは別の段階で配合することもできる。
【0035】
ここで、フェノール系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1) アルキル化モノフェノールの例
2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルフェノール、2,4,6-トリ-t- ブチルフェノール、2,6-ジ-t -ブチルフェノール、2-t-ブチル-4,6- ジメチルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4- エチルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4-n- ブチルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4- イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4- メチルフェノール、2-( α−メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクダデシル-4- メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4- メトキシメチルフェノール、2,6-ジ−ノニル-4- メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1'- メチルウンデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'- メチルヘプタデシル-1'-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1'-メチルトリデシル-1'-イル)フェノール、これらフェノール系酸化防止剤は、単独で使用してもよいし、2以上を併用してもよい。
【0036】
(2) アルキルチオメチルフェノールの例
2,4-ジオクチルチオメチル-6-t- ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6- メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6- エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4- ノニルフェノールおよびそれらの混合物など。
(3) ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノンの例
2,6-ジ-t- ブチル-4- メトキシフェノール、2,5-ジ-t- ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t- アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4- オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-t- ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル ステアレート、ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル) アジペートおよびそれらの混合物など。
【0037】
(4) トコフェロールの例
α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物など。
(5) ヒドロキシル化チオジフェニルエーテルの例
2,2'- チオビス(6-t- ブチルフェノール)、2,2'- チオビス(4- メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'- チオビス(4- オクチルフェノール)、4,4'- チオビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、4,4'- チオビス(2- メチル-6-t- ブチルフェノール)、4,4'- チオビス(3,6- ジ-t- アミルフェノール)、4,4'-(2,6-ジメチル-4- ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなど。
【0038】
(6) アルキリデンビスフェノールおよびその誘導体の例
2,2'- メチレンビス(4- メチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4- エチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス[4- メチル-6-(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'- メチレンビス(4- メチル-6- シクロヘキシルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4- メチル-6- ノニルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェノール)、2,2'- エチリデンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェノール)、2,2'- エチリデンビス(4- イソブチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス[6-(α−メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2'- メチレンビス[6-(α,α−ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4'- メチレンビス(6-t- ブチル-2- メチルフェノール)、4,4'- メチレンビス(2,6- ジ-t- ブチルフェノール)、4,4'- ブチリデンビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、1,1-ビス(4- ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-t- ブチル-5- メチル-2- ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3- ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-t- ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3'-t- ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルベンジル)-6-t-ブチル-4- メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5- ジメチル-2- ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)ペンタン、2-t-ブチル-6-(3'-t- ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t- ペンチル-6-[1-(2-ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ペンチルフェニル)エチル]フェニル アクリレートおよびそれらの混合物など。
【0039】
(7) O−、N−およびS−ベンジル誘導体の例
3,5,3',5'-テトラ-t- ブチル-4,4'-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4- ヒドロキシ-3,5- ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-t- ブチル-3- ヒドロキシ-2,6- ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5- ジ-t- ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびそれらの混合物など。
(8) ヒドロキシベンジル化マロネート誘導体の例
ジオクタデシル-2,2- ビス(3,5- ジ-t- ブチル-2- ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2- ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)マロネートおよびそれらの混合物など。
(9) 芳香族ヒドロキシベンジル誘導体の例
1,3,5-トリメチル-2,4,6- トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)フェノールおよびそれらの混合物など。
【0040】
(10) トリアジン誘導体の例
2,4-ビス(n- オクチルチオ)-6-(4- ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6- ビス(4- ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-n-オクチルチオ-4,6- ビス(4- ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ブチルフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス (3,5-ジ-t-ブチル-4- フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t- ブチル-3- ヒドロキシ-2,6- ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニルプロピル)-1,3,5-トリアジン、トリス(3,5- ジシクロヘキシル-4- ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレートおよびそれらの混合物など。
【0041】
(11) ベンジルホスホネート誘導体の例
ジメチル-3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-3- メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩およびそれらの混合物など。
(12) アシルアミノフェノール誘導体の例
4-ヒドロキシラウリル酸アニリド、4-ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)カルバネートおよびそれらの混合物など。
(13) β-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'- ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1- ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2] オクタンおよびそれらの混合物など
【0042】
(14) β-(5-t-ブチル-4- ヒドロキシ-3- メチルフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'- ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1- ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2] オクタンおよびそれらの混合物など。
(15) β-(3,5-ジシクロヘキシル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'- ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1- ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2] オクタンおよびそれらの混合物など。
【0043】
(16) 3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル酢酸と以下の一価または多価アルコールとのエステルの例
メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'- ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1- ホスファ−2,6,7-トリオキサビシクロ[2,2,2] オクタンおよびそれらの混合物など。
(17) β-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドの例
N,N'- ビス[3-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'- ビス[3-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N'- ビス[3-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミンおよびそれらの混合物など。
【0044】
フェノール系酸化防止剤として好ましくはペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンを挙げることができ、特にペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましく、より好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。ここで、亜リン酸エステル類(I)とフェノール系酸化防止剤との重量比は、好ましくは、亜リン酸エステル類(I):フェノール系酸化防止剤=5:1〜1:10、より好ましくは4:1〜1:5、特に好ましくは3:1〜1:3である。
【0045】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。ジラウリル 3,3'- チオジプロピオネート、トリデシル 3,3'- チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3'- チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'-チオジプロピオネート、ラウリル ステアリル 3,3'- チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス (3- ラウリルチオプロピオネート)など。
亜リン酸エステル類(I)以外のリン系酸化防止剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4- ジ-t-ブチル-6- メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6- ジ-t- ブチル-4- メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6- トリ-t- ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル)-4,4'- ジフェニレンジホスホナイト、2,2'- メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル) 2-エチルヘキシル ホスファイト、2,2'- エチリデンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4- ジ-t-ブチル-6- メチルフェニル) エチル ホスファイト、ビス(2,4- ジ-t- ブチル-6- メチルフェニル) メチル ホスファイト、2-(2,4,6- トリ-t- ブチルフェニル)-5-エチル-5- ブチル-1,3,2- オキサホスホリナン、2,2',2''- ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3',5,5'- テトラ-t- ブチル-1,1'-ビフェニル-2,2'-ジイル) ホスファイトおよびそれらの混合物など。特にトリス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル)ホスファイト(イルガフォス168:登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)が好ましい。ここで、亜リン酸エステル類(I)とリン系酸化防止剤との重量比は、好ましくは、亜リン酸エステル類(I):リン系酸化防止剤=5:1〜1:10、より好ましくは4:1〜1:5、特に好ましくは3:1〜1:3である。
【0046】
また、紫外線吸収剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1) サリシレート誘導体の例
フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t- ブチルフェニル 3', 5'- ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、ビス(4-t- ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル 3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6- ジ-t- ブチルフェニル 3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物など。
(2) 2-ヒドロキシベンゾフェノン誘導体の例
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- オクトキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、ビス(5- ベンゾイル-4- ヒドロキシ-2- メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物など。
【0047】
(3) 2-(2'- ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールの例
2-(2- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'- ジ-t- ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t- ブチル-2- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'- ジ-t- アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',5'- ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]-2H- ベンゾトリアゾール、2-[(3'-t- ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)-5'-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2'-ヒドロキシフェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2- メトキシカルボニルエチル)フェニル]-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2- メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル] ベンゾトリアゾール、2-[2- ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル] ベンゾトリアゾール、2-(3,5- ジ-t- ブチル-2- ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-ドデシル-2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2- イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールの混合物、2,2'- メチレンビス[6-(2H- ベンゾトリアゾール-2- イル)-4-(1,1,3,3- テトラメチルブチル)フェノール、2,2'- メチレンビス[4-t- ブチル-6-(2H- ベンゾトリアゾール-2- イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2-[3'-t-ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-(2- メトキシカルボニルエチル)フェニル] ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル 3-[3-(2H- ベンゾトリアゾール-2- イル)-5-t-ブチル-4- ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2-エチルヘキシル 3-[3-t- ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2- イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル 3-[3-t- ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2- イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル 3-[3-t-ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2- イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3-[3-t- ブチル-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2- イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸およびそれらの混合物など。
【0048】
光安定剤としては、例えば次のようなものが挙げられる。
(1) ヒンダードアミン系光安定剤の例
ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス((2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) スクシネート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- オクトキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- ベンジルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4-ピペリジル) 2-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1- アクロイル-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) 2,2-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル デカンジオエート、 2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、
【0049】
1,2,3,4-ブタンテトラボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジノールおよび3 、9-ビス(2- ヒドロキシ-1,1- ジメチルエチル)-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジノールおよび3,9-ビス(2- ヒドロキシ-1,1- ジメチルエチル)-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1-(2- ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)] 、ポリ[(6-(1,1,3,3- テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)] 、N,N'- ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの重縮合物、N,N',4,7- テトラキス[4,6- ビス(N- ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2- イル]-4,7-ジアザデカン-1,10 ジアミン、N,N',4- トリス[4,6- ビス(N- ブチル-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2- イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、N,N',4,7- テトラキス[4,6- ビス(N- ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2- イル]-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、 N,N',4- トリス[4,6- ビス(N- ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2- イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミンおよびそれらの混合物など。
【0050】
(2) アクリレート系光安定剤の例
エチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル α−カルボメトキシシンナメート、メチル α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートおよびN-(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)-2-メチルインドリンおよびそれらの混合物など。
(3) ニッケル系光安定剤の例
2,2'- チオビス-[4-(1,1,3,3- テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体およびそれらの混合物など。
【0051】
(4) オキサミド系光安定剤の例
4,4'- ジオクチルオキシオキサニリド、2,2'- ジエトキシオキサニリド、2,2'- ジオクチルオキシ-5,5'-ジ-t- ブチルアニリド、2,2'- ジドデシルオキシ-5,5'-ジ-t- ブチルアニリド、2-エトキシ-2'-エチルオキサニリド、N,N'- ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-t- ブチル-2'-エトキシアニリド、2-エトキシ-5,4'-ジ-t- ブチル-2'-エチルオキサニリドおよびそれらの混合物など。
(5) 2-(2- ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン系光安定剤の例
2,4,6-トリス(2- ヒドロキシ-4- オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2- ヒドロキシ-4- オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4- ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2,4- ジヒドロキシフェニル-4,6- ビス(2,4- ジメチルフェニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2- ヒドロキシ-4- プロピルオキシフェニル)-6-(2,4- ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2- ヒドロキシ-4- オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4- メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2- ヒドロキシ-4- ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4- ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2- ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3- ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4- ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2- ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3- オクチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4- ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンおよびそれらの混合物など。
【0052】
また金属不活性化剤としては、例えばN,N'- ジフェニルオキサミド、N-サリチラル-N'-サリチロイルヒドラジン、N,N'- ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N'- ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4- トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N'- ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N'- ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドおよびそれらの混合物などが挙げられる。
【0053】
また、過酸化物スカベンジャーとしては、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸の亜鉛塩、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリスリトール テトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネートおよびそれらの混合物等が挙げられる。ポリアミド安定剤としては、例えばヨウ化物またはリン化合物の銅または2価のマンガン塩およびそれらの混合物等が挙げられる。またヒドロキシアミンとしては、例えばN,N-ジベンジルヒドロキシアミン、N,N-ジエチルヒドロキシアミン、N,N-ジオクチルヒドロキシアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシアミン、N,N-ジテトラデシルヒドロキシアミン、N,N-ジヘキサデシルヒドロキシアミン、N,N-ジオクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘキサデシル-N- オクタデシルヒドロキシアミン、N-ヘプタデシル-N- オクタデシルヒドロキシアミンおよびそれらの混合物等が挙げられる。また中和剤としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト(塩基性マグネシウム・アルミニウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレード)、メラミン、アミン、ポリアミド、ポリウレタンおよびそれらの混合物等が挙げられる。滑剤としては、例えばパラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪族酸、炭素数8〜22の高級脂肪族酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪族アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体などが挙げられる。
【0054】
また、造核剤としては、例えばナトリウム 2,2'- メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル)ホスフェート、[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル)] ジヒドロオキシアルミニウム、ビス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル)] ヒドロオキシアルミニウム、トリス[リン酸-2,2'-メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル)] アルミニウム、ナトリウム ビス(4-t- ブチルフェニル)ホスフェート、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸金属塩、p-t- ブチル安息香酸アルミニウム、1,3:2,4-ビス(O- ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O- メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O- ベンジリデンソルビトール、1,3-O-ベンジリデン-2,4-O-3,4- ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-3,4- ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-O-p-クロロベンジリデン-2,4-O-3,4- ジメチルベンジリデンソルビトール、1,3-O-3,4-ジメチルベンジリデン-2,4-O-p- クロロベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(O-p- クロロベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの混合物などが挙げられる。
【0055】
これらの添加剤のうち好ましく用いられるものは、フェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、過酸化物スカベンジャー、中和剤及び充填剤である。特に好ましいフェノール系酸化防止剤としては、以下の化合物が挙げられ、これらは2種以使用し得る。2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルフェノール、2,4,6-トリ-t- ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6- メチルフェノール、2,2'- チオビス(6-t- ブチルフェノール)、4,4'- チオビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4- メチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4- エチル-6-t- ブチルフェノール)、2,2'- メチレンビス[4- メチル-6-(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2'- メチレンビス(4- メチル-6- シクロヘキシルフェノール)、2,2'- メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェノール)、2,2'- エチリデンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェノール)、4,4'- メチレンビス(6-t-ブチル-2- メチルフェノール)、4,4'- メチレンビス(2,6- ジ-t- ブチルフェノール)、4,4'- ブチリデンビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、1,1-ビス(4- ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2- メチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(5-t- ブチル-4- ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、エチレングリコール ビス[3,3- ビス-3'-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、2-t-ブチル-6-(3'-t- ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、2,4-ジ-t- ペンチル-6-[1-(2- ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ペンチルフェニル)エチル)フェニル アクリレート、
【0056】
2,4,6-トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- フェノキシ)-1,3,5-トリアジン、トリス(4-t- ブチル-3- ヒドロキシ-2,6- ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル) イソシアヌレート、トリス[2-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ジエチル-3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホネート、ジ-n- オクタデシル-3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホネート、3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩、n-オクタデシル 3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、ネオペンタンテトライルテトラキス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシシンナメート)、チオジエチレンビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシシンナメート)、1,3,5-トリメチル-2,4,6- トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6-ジオキサオクタメチレンビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシシンナメート)、ヘキサメチレンビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシシンナメート)、トリエチレングリコール ビス(5-t- チル-4- ヒドロキシ-3- メチルシンナメート)、3,9-ビス[2-(3-(3-t- ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、N,N'- ビス[3-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N'- ビス[3-(3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヘキサメチレンジアミンなど。
【0057】
また特に好ましい紫外線吸収剤としては、以下のものが挙げられ、これらは2種以上使用し得る。フェニル サリシレート、4-t-ブチルフェニル サリシレート、2,4-ジ-t- ブチルフェニル 3',5'-ジ-t- ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、4-t-オクチルフェニル サリシレート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- オクトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、ビス(5- ベンゾイル-4- ヒドロキシ-2- メトキシフェニル)メタン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-(2- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'- ジ-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5'-t-ブチル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t- ブチル-2- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3'-s−ブチル-2'-ヒドロキシ-5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3',5'- ジ-t- アミル-2'-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3',5'- ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]-2H- ベンゾトリアゾールなど。
【0058】
また特に好ましい光安定剤としては、以下のものが挙げられ、これらは2種以上使用し得る。ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- オクトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- ベンジルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(N- シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) セバケート、ビス(1,2,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) 2-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(1- アクロイル-2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) 2,2-ビス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)-2-ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) スクシネート、2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル メタクリレート、4-[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-1-[2-(3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- −ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6- テトラメチル-4- ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
【0059】
テトラキス(1,2,6,6- ペンタメチル-4- ピペリジル) 1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジノールおよび1-トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4- ピペリジノールおよび3,9-ビス(2- ヒドロキシ-1,1- ジメチルエチル)-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジノールおよび3,9-ビス(2- ヒドロキシ-1,1- ジメチルエチル)-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチル サクシネートと1-(2- ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6-モルホリノ-1,3,5- トリアジン-2,4- ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)] 、ポリ[(6-(1,1,3,3- テトラメチルブチル)-1,3,5-トリアジン-2,4- ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4- ピペリジル)イミノ)) など。
【0060】
本発明のポリオレフィン組成物における上記添加剤の合計含有量としては、ポリオレフィン組成物100重量部に対して、通常、10重量部以下、好ましくは、0.001〜5重量部程度である。
【0061】
本発明のポリオレフィン組成物は、充填剤が含有されていてもよい。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、カーボンファイバー、ゼオライトおよびそれらの混合物等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン組成物における上記充填剤の合計含有量としては、ポリオレフィン組成物100重量部に対して、通常、40重量部以下、好ましくは、20重量部以下である。
【0062】
亜リン酸エステル類(I)、あるいは必要に応じて使用されるその他の添加剤をポリオレフィンに配合するにあたっては、均質な混合物を得るための公知のあらゆる方法を用いることができる。例えばポリオレフィンが固体である場合は、亜リン酸エステル類(I)あるいはさらにその他の添加剤を、その固体のポリオレフィンに直接ドライブレンドすることもできるし、また亜リン酸エステル化合物あるいはさらにその他の添加剤をマスターバッチの形で、固体のポリオレフィンに配合することもできる。
ポリオレフィンが液状である場合、重合途中あるいは重合直後のポリマー溶液に、亜リン酸エステル類(I)あるいはさらにその他の添加剤の溶液または分散液の形で配合してもよいし、製品として得られる液状のポリオレフィンに亜リン酸エステル類(I)あるいはさらにその他の添加剤を溶解または懸濁させてもよい。
【0063】
本発明のポリオレフィン組成物は、ポリオレフィンと亜リン酸エステル類(I)と、必要に応じて、添加剤及び充填剤とを、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、ハイスピードミキサなどの混合機で混合してなるものである。
本発明のポリオレフィン組成物を、例えば、ポリオレフィン、亜リン酸エステル類(I)、充填剤及び添加剤の中から最も融点の低い物質の融点又は該融点の前後5℃程度の温度範囲に加熱及び押出成形してペレット状の組成物として得ることができる。また、上記温度にてポリオレフィン、亜リン酸エステル類(I)及び添加剤を撹拌造粒すると、顆粒状の組成物を得ることができる。
本発明の組成物は、粉末状から顆粒状の形状を有することが好ましい。
【0064】
本発明の回転成形体は、本発明の上記ポリオレフィン組成物を回転成形して得られる。具体的には、本発明の上記組成物を金型などの成形型に入れ、該成形型を加熱及び回転して、溶融された上記組成物が流動し、均一となったのち、該成形型を冷却する方法などが例示される。
また、ポリオレフィン、亜リン酸エステル類(I)及び添加剤からなるポリオレフィン組成物と充填剤とを混合した後、成形型に入れ、該成形型を加熱及び回転して、溶融された上記組成物が流動し、均一となったのち、該成形型を冷却する方法なども例示される。
【0065】
上記回転は、単軸回転であっても二軸回転であってもよい。
上記組成物を過剰に用い、所望の厚さの回転成形体を得たのち、過剰の上記組成物を除去してもよい。
回転成形時における加熱温度は、通常、200℃〜400℃程度である。
【0066】
本発明の組成物は、長時間、高温に曝露されても、得られる回転成形体の黄変を抑制することができる。具体的に好ましい成形温度としては、200℃〜350℃、より好ましくは、220℃〜300℃、特に好ましくは、240℃〜260℃である。温度が低すぎる場合は、成形時間が長くなり、温度が高すぎると黄変を抑制できない傾向がある。加熱時間については、250℃で加熱した場合、好ましい加熱時間としては、5分〜30分、より好ましくは10分〜20分、さらにより好ましくは10分〜15分である。かかる加熱時間の範囲内であれば、成形体を形成することができ、得られる成形体の黄変も少ない傾向にある。
【0067】
冷却時間は、製造する成形体の大きさにも依存するが、好ましくは10分以上120分以内、より好ましくは、20分以上60分以内である。かかる加熱時間の範囲内であれば、成形体が金型から取り出しやすく、得られる成形体の黄変も少ない傾向にある。
【0068】
得られる回転成形体は、その最大直径が0.5m以上であることが好ましく、1.0m以上であることがより好ましい。得られる回転成形体は、後述の耐黄変性試験におけるYI値が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましく、1以下であることがさらにより好ましい。YI値が低いほど製品外観が好ましく、使用後の耐久性に優れる傾向がある。
【0069】
本発明における耐黄変性試験方法は、以下の方法を挙げることができる。直径最大10mmペレットで確認する方法としては、バイアル瓶に高さ3cmになるようにペレットを充填し、所定の温度、時間加熱後、バイアル瓶の底面のイエロネスインデックスをミノルタ製色差計CM−3500dを用い、JIS K7105に基づき測定を実施する方法が挙げられる。
また、回転成形体を用いて測定する方法としては、所定の条件で得られた回転成形体の側面から4×6cmのサンプル片を切り出し、製品表面のイエロネスインデックスをミノルタ製色差計CM−3500dを用い、JIS K7105に基づき測定を実施する方法が挙げられる。
【0070】
本発明の回転成形体は、例えば、自動車、電気、住宅建材、土木、農業、園芸、林業、水産、環境用途などの産業分野に使用される成形品、容器、タンクなどに使用され、特に大型の成形品、容器、タンクに好適に使用される。
【実施例】
【0071】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
<ポリオレフィン組成物の製造例>
ポリプロピレンパウダー(MFRが2.0g/10分)100重量部に、亜リン酸エステル類(I−1)(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、住友化学製)0.3重量部をドライブレンドした後、30mmφの一軸押出機を用いて200℃で押出成形して、ペレット状のポリオレフィン組成物を得た。
【0072】
<耐黄変性試験>
<ポリオレフィン組成物の製造例>で得られたペレットを20mlバイアル瓶高さ3cmになるように充填し、200℃のオーブンに24時間放置した。ミノルタ製色差計CM-3500dを用いて、プラスチックの光学的特性試験方法JIS K 7105に基づいてバイアル瓶底面のYIを測定したところ、−9.4のYI値を示した。YI値が小さい値ほど、黄変度が小さく耐黄変性が高いことを示す。
【0073】
(比較例1〜3)
亜リン酸エステル類(I−1)の代わりに、何も用いないか(比較例1)、イルガフォス168(登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いるか(比較例2)、フェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010(登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いるか(比較例3)する以外は実施例1と同様に行った。
結果を実施例1とともに表1に示した。
【0074】
【表1】

【0075】
(実施例2)
<回転成形体の製造例>
ポリプロピレンを低密度ポリエチレン(住友化学株式会社製、MFRが4.0g/10分)に変更した以外は実施例1に記載したポリオレフィン組成物の製造例と同様にペレットを製造後、パウダー状に粉砕した。江南特殊産業株式会社製回転成形システムGYRO SPACEを用いて、上記粉砕により得たポリエチレンパウダー3kgを250℃、12分の条件で回転成形を実施し、30分冷却後、金型から取り出すことにより回転成形体(最大直径0.6mの成形体)を製造した。
<耐黄変性試験>
得られた回転成形体の側面から、4×6cm、厚み約5mmのサンプル片を切り取り、製品表面のイエロネスインデックスをミノルタ製色差計CM−3500dを用い、JIS K7105に基づき測定を実施した。
【0076】
(実施例3)
亜リン酸エステル類(I−1)を0.2重量部に変更する以外は実施例1と同様に回転成形体を製造、評価を実施した。
【0077】
(実施例4〜5)
亜リン酸エステル類(I−1)を0.2重量部に加え、イルガフォス168(登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)を用いるか(実施例4)、フェノール系酸化防止剤であるイルガノックス1010(登録商標、チバスペシャルティケミカルズ社製)を追加添加するか(実施例5)する以外は実施例3と同様に回転成形体を製造、評価を実施した。
【0078】
(比較例4〜7)
亜リン酸エステル類(I−1)を表2に記載の添加物に変更する以外は、実施例1と同様に回転成形体を製造、評価を実施した。
結果を実施例2〜5とともに表2に示した。
【0079】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の回転成形体用ポリオレフィン組成物は、長時間、高温に曝露されても黄変着色が抑制された回転成形体を与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、式(I)で示される亜リン酸エステル類とを含有する回転成形体用ポリオレフィン組成物。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【請求項2】
ポリオレフィン100重量部に対し、式(I)で示される亜リン酸エステル類0.005〜5重量部を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ポリオレフィン100重量部に対し、式(I)で示される亜リン酸エステル類0.05〜1重量部を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項4】
さらに、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを含有する請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
亜リン酸エステル類とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトとの重量比が5:1〜1:10である請求項4記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物を回転成形してなることを特徴とする回転成形体。
【請求項7】
イエロネスインデックスYIが3以下である請求項6記載の回転成形体。
【請求項8】
耐黄変性が付与された回転成形体を製造するための、ポリオレフィン用添加剤としての式(I)で示される亜リン酸エステル類の使用。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)
【請求項9】
ポリオレフィンに対して、式(I)で示される亜リン酸エステル類を添加する工程を有することを特徴とする回転成形体の黄変防止方法。

(式(I)中、R1、R2、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。Xは単結合、硫黄原子又は−CHR6基(R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)を表す。Aは炭素数1〜8のアルキレン基又は*−COR7基(R7は単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素側の結合手であることを示す。)を表す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)

【公開番号】特開2010−159396(P2010−159396A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263615(P2009−263615)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】