説明

回転炉床炉の排ガスダクト装置及びその運転方法

【課題】原料を加熱して、還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置において、排ガス量の増加や排ガス温度の上昇に伴う問題を回避しつつダストを捕集して、熱効率の良い長期の安定稼動が可能な回転炉床炉の排ガスダクト装置及びその運転方法を提供する。
【解決手段】炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置11において、前記回転炉床炉の排ガスダクト8に、前記回転炉床炉から排出される排ガスを冷却して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段12と、冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段13と、次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外の方向に導く方向転換ダクト14が、これらの順に2段配置されてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転炉床炉の排ガスダクト装置及びその運転方法に関し、より詳しくは、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉内で発生した排ガスを処理するため、集塵設備に至るダクト中間部に設けられた排ガスダクト装置及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周壁、内周壁、及びこれら壁間に配置された円環状の回転炉床を具備する回転炉床炉が知られている。前記回転炉床は、一般に、円環状の炉体フレーム、前記炉体フレーム上に配置された炉床断熱材、及びこの炉床断熱材上に配置された耐火物により構成される。
【0003】
この様な構造を有する回転炉床炉は、鋼材ビレット等金属の加熱処理あるいは可燃性廃棄物の燃焼処理等に用いられるが、近年は、前記回転炉床炉を用いて鉄酸化物から還元鉄を製造する方法が注目されている。このような回転炉床炉による還元鉄製造プロセスの一例を、前記回転炉床炉の設備構成の概略を示す図6を参照しながら説明する。
【0004】
先ず、鉄酸化物(鉄鉱石、製鋼ダスト等)及び炭素質還元剤(石炭、コークス等)を混合して造粒し、ペレットまたはブリケット(塊成物)を製造する。このペレットまたはブリケットを、これらペレットまたはブリケット内から発生する可燃性揮発分が発火しない程度の温度域に加熱して付着水分を除去し、乾燥ペレットまたは乾燥ブリケットとする。
【0005】
そして、この乾燥ペレットまたは乾燥ブリケット(還元鉄原料24)を、適当な装入装置23を用いて回転炉床炉26中に供給して、回転炉床21上にペレットまたはブリケット層を形成し、このペレットまたはブリケット層を、炉内上方に設置した燃焼バーナ27の燃焼により輻射加熱して還元し、金属化を進める。次いで、金属化した還元鉄25を冷却器28により冷却し、排出時および排出後のハンドリングに耐える機械的強度を発現させてから排出装置22により炉外に排出する。金属化した還元鉄25を排出後、直ちに乾燥ペレットまたは乾燥ブリケット(還元鉄原料24)を装入し、上記のプロセスを繰り返して還元鉄を製造する(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この様な還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉において、炉内で発生した排ガスは、回転炉床炉の円周上に設けられた排ガス排出領域から、この排ガス排出領域の天井部に接続された排気ダクトに誘引され、前記排気ダクトの途中や後流に設けられた排ガス処理設備によって処理された後、系外に排出される。しかし、還元鉄原料の還元または溶融過程における種々の揮発不純物発生に伴って、排ガスダクトの閉塞や腐食、或いは耐火物の損傷が発生することが知られている。
【0007】
そこで、この様な従来例に係る排ガス処理装置の操業方法としては、回転炉床炉から排出される1100℃以上の排ガスに、不活性ガス、気水状態の水、空気の何れか1種以上を供給し、排ガス吸引ダクト内の排ガス温度を900〜1100℃とすることにより、排ガス吸引ダクトの閉塞や内張耐火物の損傷を防止する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
更に近年、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を回転炉床炉等の還元溶融炉内で加熱し、この原料中の酸化鉄を固体還元した後、生成する金属鉄を更に加熱して溶融させると共に、スラブ成分と分離させながら凝集させることにより、高純度の粒状金属鉄を製造するプロセスが開発されている。
【0009】
しかしながら、この粒状金属鉄の製造プロセスにおいては、排ガス量の増加や排ガス温度の上昇という問題点がある。つまり、排ガス量が増加すると下流の排ガスダクト装置や排ガス処理装置等の設備容量が大きくなるため、設備コストが増大するだけでなく、当然ダスト溜まりの問題に伴うランニングコストも増大する。また、排ガス温度が上昇すれば、下流の設備の耐熱性がより要求されるため、更に設備コストとランニングコストが増大することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−181720号公報
【特許文献2】特許第4427267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して、還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置において、排ガス量の増加や排ガス温度の上昇に伴う問題を回避しつつダストを捕集して、熱効率の良い長期の安定稼動が可能な回転炉床炉の排ガスダクト装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記回転炉床炉の排ガスダクトに、前記回転炉床炉から排出される排ガスを冷却して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段と、冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段と、次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外の方向に導く方向転換ダクトが、これらの順に2段配置されてなることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項2に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項1に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記冷却手段が、前記回転炉床炉から排出される排ガスの温度を1000〜1200℃に冷却する第1冷却手段と、前記衝突後の排ガスの温度を更に450〜900℃に冷却する第2冷却手段とからなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項3に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項2に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記衝突手段が、前記第1冷却手段直後の排ガスダクト内に配設された第1衝突手段と、前記第2冷却手段に後続する排ガスダクト内に配設された第2衝突手段とからなることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項4に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項2または3に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記第1冷却手段が水冷ダクトを含むことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項5に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項4に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトが、前記第1衝突手段直前に水平配置されてなることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項6に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項5に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトの上部が、水冷構造を有していないことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項7に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項4乃至6の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトが内張耐火物構造を有してなり、ダストの付着し易いダクト下部の前記耐火物の内表面温度が600℃以下となる様に構成されてなることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の請求項8に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項2乃至7の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記第2冷却手段が、流体を直接排ガスダクト内に噴射する方法であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の請求項9に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項4乃至8の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記方向転換ダクトが略垂直上方に向かう第1ライザーであると共に、前記第1衝突手段がこの第1ライザー内壁面であって、少なくとも前記水冷ダクト直後の排ガスが衝突する第1ライザー内壁面近傍が、耐摩耗性耐火物を被覆されてなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の請求項10に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項8または9に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記方向転換ダクトが、前記第1ライザー頂部に接続して下降する逆J字状ダクトの最下部に、略水平配置された水平ダクトであると共に、前記第2衝突手段が、前記水平ダクト内に配設されたダスト捕集槽であって、前記第1ライザー及び/または逆U字状ダクトに前記第2冷却手段が配設され、この第2冷却手段によって前記排ガスが冷却されると共に、冷却された排ガスが前記第2衝突手段に衝突されてなることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の請求項11に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置が採用した手段は、請求項10に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記ダスト捕集槽に衝突された排ガスが第2ライザーを介して上昇され、この第2ライザーに後続する下降ダクト内に空気予熱器が介設されてなることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の請求項12に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法が採用した手段は、請求項2乃至11の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、前記冷却手段により冷却する排ガス冷却温度を、排ガス中の前記金属塩の種類によって変えることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の請求項13に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法が採用した手段は、請求項2乃至12の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、前記第2冷却手段が、不活性ガス、気水状態の水、空気のうちの何れか1種、もしくは2種以上を組み合わせて、直接供給することにより前記排ガスを冷却してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明の請求項1に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記回転炉床炉の排ガスダクトに、前記回転炉床炉から排出される排ガスを冷却して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段と、冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段と、次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外の方向に導く方向転換ダクトが、これらの順に2段配置されてなるので、排ガス中に含まれる前記金属塩を二段階の冷却温度で固化させて捕集することにより、前記金属塩の固化と捕集効率が向上し、排ガスダクト内での付着や堆積の問題が極小化され、長期的な安定稼動が可能となる。
【0026】
また、本発明の請求項2に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項1に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記冷却手段が、前記回転炉床炉から排出される排ガスの温度を1000〜1200℃に冷却する第1冷却手段と、前記衝突後の排ガスの温度を更に450〜900℃に冷却する第2冷却手段とからなるので、排ガス中に含まれる高融点金属塩及び低融点金属塩の固化を、二段階に分けて効果的に実施し得る。
【0027】
更に、本発明の請求項3に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項2に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記衝突手段が、前記第1冷却手段直後の排ガスダクト内に配設された第1衝突手段と、前記第2冷却手段に後続する排ガスダクト内に配設された第2衝突手段とからなるので、排ガス中に含まれる前記金属塩の固化を更に効果的に実施し得る。
【0028】
一方、本発明の請求項4に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項2または3に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記第1冷却手段が水冷ダクトを含むので、ダクトサイズを極小化することが可能となり、ダクトや耐火物等の設備コストを抑止できる上、メンテナンスも容易になる。
【0029】
また、本発明の請求項5に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項4に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトが、前記第1衝突手段直前に水平配置されてなるので、前記第1衝突手段と組み合わされて、排ガス中に含まれる前記高融点金属塩の固化を確実に行える。
【0030】
更に、本発明の請求項6に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項5に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトの上部が水冷構造を有していないので、ダストの付着し難い水冷ダクト上部の水冷構造が省略でき、設備コストの低減を可能とする。
【0031】
また更に、本発明の請求項7に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項4乃至6の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記水冷ダクトが内張耐火物構造を有してなるので、低温腐食を防止可能とすると共に、ダストの付着し易いダクト下部の前記耐火物の内表面温度が600℃以下となる様に構成されてなるので、高融点塩を完全に固化し得る。
【0032】
本発明の請求項8に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項2乃至7の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記第2冷却手段が、流体を直接排ガスダクト内に噴射する方法であるので、スブレイノズルから流体を噴射することによって、排ガスを直接冷却できるので冷却効率が良い。
【0033】
また、本発明の請求項9に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項4乃至8の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記方向転換ダクトが略垂直上方に向かう第1ライザーであると共に、前記第1衝突手段がこの第1ライザー内壁面であって、少なくとも前記水冷ダクト直後の排ガスが衝突する第1ライザー内壁面近傍が、耐摩耗性耐火物を被覆されてなるので、排ガス中に含まれるダストによる前記耐火物の摩耗を極力抑えることができる。
【0034】
そして、本発明の請求項10に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項8または9に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記方向転換ダクトが、前記第1ライザー頂部に接続して下降する逆J字状ダクトの最下部に、略水平配置された水平ダクトであると共に、前記第2衝突手段が、前記水平ダクト内に配設されたダスト捕集槽であって、前記第1ライザー及び/または逆U字状ダクトに前記第2冷却手段が配設され、この第2冷却手段によって前記排ガスが冷却されると共に、冷却された排ガスが前記第2衝突手段に衝突されてなるので、前記第1冷却手段による固化及び前記第1衝突手段による固気分離が不可能であった低融点金属塩を、更に固化すると共に固気分離しダストとして回収を図り得る。
【0035】
更に、本発明の請求項11に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、請求項10に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記ダスト捕集槽に衝突された排ガスが第2ライザーを介して上昇され、この第2ライザーに後続する下降ダクト内に空気予熱器が介設されてなり、前記第1衝突手段及び第2衝突手段による2段の衝突によってダストが充分に除去されているので、予熱空気温度の上昇が図れる結果、燃焼バーナの燃料低減と排ガス処理装置のコンパクト化が可能となる。
【0036】
一方、本発明の請求項12に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法によれば、請求項2乃至11の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、前記冷却手段により冷却する排ガス冷却温度を、排ガス中の前記金属塩の種類によって変えるので、金属塩の固化を効果的かつ確実に実施できる。
【0037】
また、本発明の請求項13に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法によれば、請求項2乃至12の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、前記第2冷却手段が、不活性ガス、気水状態の水、空気のうちの何れか1種、もしくは2種以上を組み合わせて、直接供給することにより前記排ガスを冷却してなるので、排ガス中に含まれる低融点金属塩を更に効果的に固化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転炉床炉本体の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の回転炉床炉本体を平面視した平面図である。
【図3】図2の矢視A−Aを拡大して示す立断面図である。
【図4】図3の矢印Bに後続する排ガスダクト装置を示す模式的立断面図である。
【図5】本発明の比較例に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の概略を示す模式図である。
【図6】従来例に係る回転炉床炉の設備構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
先ず、本発明の実施の形態に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置について、粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置を態様例として、図1〜図4を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る回転炉床炉本体の外観を示す斜視図、図2は図1の回転炉床炉本体を平面視した平面図、図3は図2の矢視A−Aを拡大して示す立断面図、図4は図3の矢印Bに後続する排ガスダクト装置を示す模式的立断面図である。
【0040】
この回転炉床炉1は、外周壁2と、その内側に設けられる内周壁3と、これら外周壁2と内周壁3との間の空間を上方から覆う天井部4と、前記外周壁2と内周壁3との間に配置される円環状の回転炉床5とを具備する。前記外周壁2、前記内周壁3、及び前記天井部4は主として断熱材により構成されている。
【0041】
前記回転炉床5は、図示しない駆動装置によって、外周壁2と内周壁3との間を通りながら、円周上を回転する様に駆動される。この回転炉床5は、円環状の炉体フレーム5aと、この炉体フレーム5a上に配設された炉床断熱材や耐火物5bとで構成される。そして、この回転炉床5上には、炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料(以下、還元鉄または粒状金属鉄用原料と称す)6が図示しない装入口から装入される。この還元鉄または粒状金属鉄用原料6は、回転炉床5の回転を伴いながら炉内で加熱処理及び還元処理または還元溶融処理され、これらの処理により還元鉄または粒状金属鉄が製造される。
【0042】
この回転炉床炉1の天井部4には、排ガス排出室7が具備されている。この排ガス排出室7は、この天井部4の周方向(即ち、回転炉床5の回転方向)の一部を構成する。この排ガス排出室7は、前記天井部4の他の部分よりも上向きに突出していて、当該他の天井部4の下面よりも一段高い下面を有している。そして、回転炉床炉1から排出される排ガスを、以下に述べる排ガスダクト装置まで導出するための排ガスダクト8が、排ガス排出室7に連通する様に前記排ガス排出室7に水平向きに接続されている。
【0043】
本発明の実施の形態に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置11は、前記排ガスダクト8に後続すると共に、図4に図示しない冷却器、集塵機及び排気ファン等の排ガス処理設備に至るまでの中間ダクト部に設けられた装置である。
【0044】
そして、この排ガスダクト装置11には、先ず前記回転炉床炉1から排出される排ガスを急冷して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段12と、冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段13と、次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外に導く方向転換ダクト14とが配設されている。
【0045】
前記冷却手段12は、前記回転炉床炉1から排出される1200℃以上の排ガスの温度を、1000〜1200℃に冷却して、高融点金属塩を固化させる水冷ダクト(第1冷却手段)12−1と、衝突後の前記排ガスの温度を更に450〜900℃に冷却して、低融点金属塩を固化させるスプレイノズル(第2冷却手段)12−2a,12−2bとからなる。
【0046】
前述の如く、回転炉床炉1からの排出ガスを二段階に分けて冷却する理由は、粒状金属鉄原料を還元処理する過程で生成し、前記排ガス中に含まれる金属塩(例えば、NaSO,KSO,NaFe(SO),KFe(SO)等)の融点が450〜1200℃の広範囲に渡り、一段の冷却で多くの金属塩を固化することは不可能であるためである。
【0047】
また、前記衝突手段13については、詳細は後述するが、前記水冷ダクト12−1(第1冷却手段)直後の排ガスダクト内に配設された第1ライザー内壁面(第1衝突手段)13−1と、スプレイノズル(第2冷却手段)12−2a,12−2bに後続する排ガスダクト内に配設された第2ダスト捕集槽(第2衝突手段)13−2とからなる。更に、前記方向転換ダクト14が、前記第1ライザー内壁面(第1衝突手段)13−1に衝突した排ガスを略垂直上方に方向転換させる第1ライザー(第1方向転換ダクト)9aと、前記第2ダスト捕集槽(第2衝突手段)13−2に衝突した排ガスを水平方向に方向転換させる水平ダクト(第2方向転換ダクト)9bとからなる。
【0048】
そして、水冷ダクト12−1は水冷ジャケット8aを有し、第1ライザー内壁面(第1衝突手段)13−1直前に水平配置されるが、水冷ダクト12−1上部にはダストが付着し難いので、水冷構造を有していなくても良いし、ダクトの下部のみが水冷ジャケット8aを有するものでも良い。一方、第1ライザー内壁面(第1衝突手段)13−1はこの水冷ダクト12−1直後にあって、水冷ダクト12−1内の排ガスが衝突して、第1ライザー9a内面に沿って略垂直上方に方向転換する様に配設されている。この様な排ガスダクト装置11によって、回転炉床炉1から排出される排ガスに含まれる種々の金属塩のうち、1000〜1200℃の融点を有する金属塩が効果的に固化されてダストとなり、排ガスとの固気分離が効率的に行なわれる。
【0049】
固気分離された排ガスは第1ライザー9aを上昇していく一方、固化された高融点金属塩はダストとして落下し、第1ダスト捕集槽16に捕集される。そして、この第1ダスト捕集槽16に捕集されたダストを定期的あるいは連続的に排出することによって、排気ダクト内での金属塩の付着や堆積の問題が極小化され、排ガスダクト装置11や前記排ガス処理設備の長期的な安定稼動が可能となるのである。
【0050】
前記方向転換ダクト9aは、必ずしも略垂直上方に向かうダクト(第1ライザー9a)でなくとも、図4紙面に対して斜交する方向或いは図4紙面に対して略直交する方向でも良い。但し、前記第1ライザー(方向転換ダクト)9aは、水冷ダクト12−1直後の排ガスの水平流方向に対して、少なくとも70度以上方向転換するものが好ましい。
【0051】
更に、前記第1ライザー9a頂部に接続して、反転下降する方向に逆J字状ダクト10aが配設され、第1ライザー9aにスプレイノズル12−2a,逆J字状ダクト10aにスプレイノズル12−2bが配設されている。また更に、この逆J字状ダクト10aの最下部には、第2ダスト捕集槽13−2が配設され、この第2ダスト捕集槽13−2の槽が前記第2衝突手段としての役目を果たしている。
【0052】
そして、第1ライザー9aによる上昇及び後続の逆J字状ダクト10aによる下降に伴って排ガスが冷却され、冷却された排ガスが第2ダスト捕集槽(第2衝突手段)13−2に衝突する様に配設されている。その際、固化された低温金属塩を捕集するための第2ダスト捕集槽13−2が、衝突後の前記排ガスを方向転換させる水平ダクト9b内に配設されている。その結果、第1冷却手段12−1による固化と第1衝突手段13−1による固気分離が不可能であった低融点金属塩を、更に固化すると共に固気分離して、第2ダスト捕集槽13−2に捕集し回収を図り得る。
【0053】
一方、水冷ダクト12−1、第1ライザー9a及び逆J字状ダクト10aのダクト内壁は耐火物15が被覆されており、これらの排気ダクト12−1,9a,10aの熱による損傷を防止している。これらの排気ダクト12−1,9a,10aのうち、水冷ダクト12−1は、ダストの付着し易いダクト下部の耐火物15の内表面温度が600℃以下、好ましくは500℃以下となる様に、耐火物の種類と厚さを勘案して構成されている。また、少なくとも前記水冷ダクト12−1直後の排ガスが衝突する第1ライザー内壁面13−1は、耐摩耗性耐火物15aを被覆されているので、排ガス中に含まれるダストによって前記耐火物15aの摩耗を極力抑えることができる。
【0054】
更に、前記水平ダクト9bには、第2ダスト捕集槽13−2に衝突された排ガスを上方向に導くための第2ライザー10bと、この第2ライザー10bに後続して、前記排ガスを下方向に下降させる下降ダクト10cと、後続の排ガス処理設備に連結するための水平ダクト10dが接続されている。そして、前記下降ダクト10c内に空気予熱器17が介設されている。下降ダクト10c内の空気予熱器17に堆積することなく落下するので、ダストによる閉塞のない空気予熱が可能となり、その結果、予熱空気の温度を上げて熱回収効率も高く維持可能となる。更に、予熱空気温度の上昇が図れる結果、回転炉床炉1の燃焼バーナの燃料低減と排ガス処理装置のコンパクト化が可能となる。
【0055】
尚、前記排気ファンが突然故障したとしても、回転炉床炉1から排出される排ガスを大気放出できる様に、水冷ダクト12−1、第1ライザー9a、J字状ダクト10a及び第2ライザー10bのうち、少なくとも一つ以上に、図示しない大気開放弁を設置するのが好ましい。また、排ガスダクト内のドラフトを考慮すれば、第1ライザー9aの頂部や第2ライザー10bと下降ダクト10c間の頂部等、排ガスダクトの最も高い位置に設置するのが更に好ましい。
【0056】
次に、本発明の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法に係る実施の形態を、以下前図3,4を参照しながら排ガスの流れに沿って説明する。
【0057】
先ず、回転炉床炉1から排出される排ガスを、排ガスダクト8を介して水平配置された水冷ダクト12−1に導入し、この水冷ダクト12−1によって第1の冷却温度に急冷して、排ガス中の一部の高融点金属塩を固化すると共に、冷却直後の前記排ガスを直進させて、第1ライザー内壁面13−1に衝突させると、固化された前記高融点金属塩が落下して第1ダスト捕集槽16に捕集される。
【0058】
一方、衝突後の排ガスは、方向転換して第1ライザー9aに沿って略垂直上方へ上昇しつつ、スプレイノズル12−2aから噴射された流体を直接排ガスに噴射して冷却した後、更に第1ライザー9aの頂部を経て反転し、逆J字状ダクト10aを介して下降しつつ、再度、スプレイノズル12−2bから噴射された流体を噴射して、前記第1の冷却温度より更に低温の第2の冷却温度にまで冷却し、排ガス中の低融点金属塩を固化する。
【0059】
ここで、前記水冷ダクト12−1及びスプレイノズル12−2a,12−2bにより排ガスを冷却する前記第1の冷却温度及び第2の冷却温度は、排ガス中の前記金属塩の種類によって夫々変えることが肝要である。例えば、前記第1の冷却温度は1000〜1200℃、前記第2の冷却温度は450〜900℃の範囲とするのが良い。また、前記スプレイノズル12−2a,12−2bによる冷却は、不活性ガス、気水状態の水、空気のうちの何れか1種、もしくは2種以上の流体を組み合わせて、直接排ガス中に供給するのが好ましい。更に、前記スプレイノズル12−2a,12−2bは、第1ライザー9aと逆J字状ダクト10aの何れか一方に配設しても良い。
【0060】
次いで、冷却された排ガスは、逆J字状ダクト10aに沿って下降し、第2ダスト捕集槽13−2に衝突して、排ガス中の低融点金属塩が第2ダスト捕集槽13−2に捕集される。一方、衝突後の排ガスは、水平ダクト9bに沿って水平方向に方向転換し、更に、第1ライザー10bに沿って略垂直上方へ上昇して頂部に至り、更に下降ダクト10cにより略垂直下方向に向かう。前記第1ダスト捕集槽16や第2ダスト捕集槽13−2に捕集されたダストは、捕集効率と槽容量に応じて連続的または定期的に排出する。ダストの排出方法としては、スクレーパ式排出装置による連続排出を図ることができるが、排ガス温度が高い場合は、機械式よりむしろ、スラリーとして排出可能な水封式による方が容易で確実である。
【0061】
そして、下降ダクト10c内に介設された空気予熱器17によって、この空気予熱器17に投入された空気と熱交換する。熱交換された予熱空気は、回転炉床炉1を加熱する燃焼バーナの燃焼空気として使用される。一方、熱交換後の排ガスは、水平ダクト10dを経て、図示しない冷却器により更に冷却後、集塵機により集塵処理され排気ファンを経て大気放出される。
【実施例】
【0062】
<比較例>
先ず、比較例に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置につき、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の比較例に係る回転炉床炉本体の排ガスダクト装置の概略を示す模式図である。
この排ガスダクト装置11aは、回転炉床炉1の排ガス排出室7に連通する排ガスダクト8に接続され、排ガスを逆V字状に吸引するV字ダクト18と、排ガスの下降に伴ってこの排ガスを冷却する冷却器19と、冷却後の排ガスと熱交換する空気予熱器17により空気を予熱する予熱器20とからなる。次いで、図示省略するが、ダストを集塵する集塵機と、集塵後の排ガスを吸引して大気放出する排気ファンが、後続して設けられている。
【0063】
この様な構成からなる回転炉床炉1の排ガスダクト装置11aを用いて、連続稼動運転した。即ち、回転炉床炉1から排出される1300℃の排ガスをV字ダクト18に吸引し、冷却器19に導入して排ガスを冷却した後、冷却された排ガスを予熱器20内において空気と熱交換後、集塵機を経て排気ファンにより大気に排出する連続稼動運転を行なった。
【0064】
上記連続稼働中、冷却器19出口における排ガス温度を測定したところ726℃であった。そして、連続運転開始して23日経過後、前記予熱器20が閉塞したため運転停止した。この予熱器20における23日間連続稼動後の熱回収効率は、稼動開始直後と比較して37.9%も低下した。運転停止後、排ガスダクト装置11a内のダストの堆積状況を検査したところ、単位時間に換算したダスト量としては表1に示す通りであった。
【0065】
【表1】

【0066】
即ち、本比較例に係る排ガスダクト装置11aとその運転結果によれば、冷却器19における排ガスの冷却により、冷却器19出口における排ガス温度が726℃となっており、高融点金属塩の固化には充分であるが、一段の冷却であるためこれ以上の温度低下には至らず、排ガス中の低融点金属塩の固化が不充分と言える。その結果、排ガスダクト装置11a内のダスト量は、ダスト捕集装置が設けられていないのにも拘わらず、表1に示す如く、V字ダクト18の頂部においては比較的少ない。しかしながら、空気予熱器17は排ガスが上昇する予熱器20内に配設されているので、ダストが空気予熱器17の上部等に滞留し易く、付着したダストは多量であった。
【0067】
<実施例>
一方、実施例として用いた回転炉床炉の排ガスダクト装置は、図4を用いて説明した本発明の実施の形態に係る排ガスダクト装置11と同一であり、また、この様な構成からなる回転炉床炉1の排ガスダクト装置11を用いた実施例に係る連続運転を、図4を用いて説明した本発明の実施の形態に係る排ガスダクト装置11の運転方法と同様に行なった。
【0068】
実施例に係る上記連続運転結果につき、図4を参照しながら以下説明する。この運転中、第1ライザー内壁面13−1に衝突した後、第1ライザー9aに沿って上昇し始める位置での排ガス温度は1081℃、また、逆J字状ダクト内を下降して第2ダスト捕集槽液面13−2に衝突した後、水平ダクト9bに沿って移動し始める位置での排ガス温度は685℃であった。
【0069】
そして、運転開始後ダクト内部を閉塞することもなく180日間連続稼動できた。また、空気予熱器17における180日間連続稼動後の熱回収効率は、稼動開始直後と比較しても4.8%の低下に抑えることができた。稼動停止後、排ガスダクト装置11内のダストの堆積状況を検査し、単位時間に換算したダスト量しては表2に示す通りであった。
【0070】
【表2】

【0071】
即ち、本実施例に係る排ガスダクト装置11とその運転結果によれば、水冷ダクト12−1による第1冷却手段によって排ガス中の高融点金属塩を固化し、次いで、スプレイノズル12−2a,12−2bによる第2段冷却手段によって排ガス中の低融点金属塩を固化する二段階の効果的な固化が可能なので、表2に示す如く、第1ダスト捕集槽16及び第2ダスト捕集槽13−2におけるダスト捕集量は非常に多量である。
【0072】
しかしながら、これらダスト捕集槽16,13−2内に捕集されたダストは、連続的または定期的に排出することによって、排ガスダクト装置11内の排ガス通過領域を閉塞させることはない。一方、空気予熱器17は排ガスが下降する下降ダクト10c内に介設されているので、ダストは排ガスと共に下方に落下し易く、空気予熱器17上部等に滞留したり付着したダストは0.5kg/hと少量であった。また、排ガスダクト装置11内の他のダクト内においても、滞留したり付着したダストは極く少量であった、
【0073】
以上説明した通り、本発明に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置によれば、排ガスダクトに、前記回転炉床炉から排出される排ガスを冷却して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段と、冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段と、次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外の方向に導く方向転換ダクトが、これらの順に2段配置されてなるので、排ガス中に含まれる前記金属塩を二段階の冷却温度で固化させて捕集することにより、前記金属塩の固化と捕集効率が向上し、排ガスダクト内での付着や堆積の問題が極小化され、長期的な安定稼動が可能となる。
【0074】
また、本発明に係る回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法によれば、前記冷却手段により冷却する排ガス冷却温度を、排ガス中の前記金属塩の種類によって変えるので、金属塩の固化を効果的かつ確実に実施できる。更に、前記第2冷却手段が、不活性ガス、気水状態の水、空気のうちの何れか1種、もしくは2種以上を組み合わせて、直接供給することにより前記排ガスを冷却してなるので、排ガス中に含まれる低融点金属塩を更に効果的に固化させることができる。
【符号の説明】
【0075】
1:回転炉床炉, 2:外周壁,
3:内周壁, 4:天井部,
5:回転炉床, 5a:炉体フレーム,
5b:炉床断熱材や耐火物,
6:粒状金属鉄用原料,
7:排ガス排出室,
8:排ガスダクト, 8a:水冷ジャケット,
9a:第1ライザー(第1方向転換ダクト),
9b:水平ダクト(第2方向転換ダクト),
10a:逆J字状ダクト, 10b:第2ライザー,
10c:下降ダクト, 10d:水平ダクト,
11,11a:排ガスダクト装置,
12:冷却手段,
12−1:水冷ダクト(第1冷却手段),
12−2a,12−2b:スプレイノズル(第2冷却手段),
13:衝突手段,
13−1:第1ライザー内壁面(第1衝突手段),
13−2:第2ダスト捕集槽(第2衝突手段),
14:方向転換ダクト,
15:耐火物, 15a:耐摩耗性耐火物,
16:第1ダスト捕集槽,
17:空気予熱器,
18:V字ダクト, 19:冷却器,
20:予熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質還元材と酸化鉄含有物質を含む原料を加熱して還元鉄または粒状金属鉄を製造する回転炉床炉の排ガスダクト装置において、前記回転炉床炉の排ガスダクトに、
前記回転炉床炉から排出される排ガスを冷却して、この排ガス中の金属塩を固化させる冷却手段と、
冷却直後に前記排ガスを衝突させて、固化された前記金属塩を落下させる衝突手段と、
次いで、衝突後の排ガスを前記金属塩の落下方向以外の方向に導く方向転換ダクトが、これらの順に2段配置されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記冷却手段が、前記回転炉床炉から排出される排ガスの温度を1000〜1200℃に冷却する第1冷却手段と、前記衝突後の排ガスの温度を更に450〜900℃に冷却する第2冷却手段とからなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記衝突手段が、前記第1冷却手段直後の排ガスダクト内に配設された第1衝突手段と、前記第2冷却手段に後続する排ガスダクト内に配設された第2衝突手段とからなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記第1冷却手段が水冷ダクトを含むことを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記水冷ダクトが、前記第1衝突手段直前に水平配置されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項6】
請求項5に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記水冷ダクトの上部が、水冷構造を有していないことを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記水冷ダクトが内張耐火物構造を有してなり、ダストの付着し易いダクト下部の前記耐火物の内表面温度が600℃以下となる様に構成されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記第2冷却手段が、流体を直接排ガスダクト内に噴射する方法であることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項9】
請求項4乃至8の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記方向転換ダクトが略垂直上方に向かう第1ライザーであると共に、
前記第1衝突手段がこの第1ライザー内壁面であって、
少なくとも前記水冷ダクト直後の排ガスが衝突する第1ライザー内壁面近傍が、耐摩耗性耐火物を被覆されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記方向転換ダクトが、前記第1ライザー頂部に接続して下降する逆J字状ダクトの最下部に、略水平配置された水平ダクトであると共に、
前記第2衝突手段が、前記水平ダクト内に配設されたダスト捕集槽であって、
前記第1ライザー及び/または逆U字状ダクトに前記第2冷却手段が配設され、この第2冷却手段によって前記排ガスが冷却されると共に、
冷却された排ガスが前記第2衝突手段に衝突されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項11】
請求項10に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置において、
前記ダスト捕集槽に衝突された排ガスが第2ライザーを介して上昇され、
この第2ライザーに後続する下降ダクト内に空気予熱器が介設されてなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置。
【請求項12】
請求項2乃至11の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、
前記冷却手段により冷却する排ガス冷却温度を、排ガス中の前記金属塩の種類によって変えることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法。
【請求項13】
請求項2乃至12の何れか一つの項に記載の回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法において、
前記第2冷却手段が、不活性ガス、気水状態の水、空気のうちの何れか1種、もしくは2種以上を組み合わせて、直接供給することにより前記排ガスを冷却してなることを特徴とする回転炉床炉の排ガスダクト装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−52746(P2012−52746A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196415(P2010−196415)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】