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回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置
説明

回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置

【課題】 回転速度センサまたはセンサケーブルの異常を検出することができるとともに、軸受の傷や剥離などの異常検出の信頼性を向上するのに好適な回転速度センサの異常判定装置を提供する。
【解決手段】 軸受装置14が支持する軸の回転に応じて変化する回転速度信号をコイル32の誘導電圧として検出する電磁コイル式回転速度センサ、軸受装置14の振動を検出する振動センサおよび軸受装置14の温度を検出する温度センサの検出結果に基づいて、軸受装置14の異常を判定する軸受装置14の異常判定装置であって、コイル32に直流電圧を印加する電源Vsと、コイル32の出力端子に接続されたローパスフィルタ40と、ローパスフィルタ40の出力電圧Vbを所定電圧と比較する2つの比較器42、44とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁コイル式回転速度センサに関する異常を判定する装置に係り、特に、回転速度センサまたはセンサケーブルの異常を検出することができるとともに、軸受の傷や剥離などの異常検出の信頼性を向上するのに好適な回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、軸受の運転状態を監視する技術としては、軸受装置の近傍に振動センサ等の軸受用センサを取り付け、軸受用センサの検出信号を運転状態監視装置に取り込み、運転状態監視装置において軸受の運転状態を監視している。例えば、特許文献1、2記載の技術が広く知られている。
図6は、特許文献1記載の軸受用センサの取付構造を示す図である。
【0003】
軸受Dは、図6に示すように、筐体140のなかに嵌合され、筐体140の端には、エンドキャップ28を覆うカバー144が嵌合されている。カバー144には、モジュール穴152が設けられ、モジュール穴152は、エンドキャップ28の上の目標車輪118から外向きに向けられて配置され、軸受用センサBを受容する。
軸受用センサB内には、回転速度センサ、振動センサ、温度センサ等が設けられている。回転速度センサは、回転軸の回転速度に比例した周波数の正弦波やパルス信号を出力するため、この出力波形の周期を測定することにより回転速度を認識することができる。そして、これらのセンサの検出信号に基づいて軸受Dの状態を監視している。
【0004】
特許文献2記載の技術は、回転速度センサ、温度センサおよび振動センサをセンサホルダ内に保持し、温度センサおよび振動センサの検出信号に基づいて複列円すいころ軸受の異常の有無を判定し、回転速度センサの検出信号に基づいて異常判定の為の閾値を変更するものである。
【特許文献1】特表2001−500597号公報
【特許文献2】特開2002−295464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、回転速度センサに異常が発生したり、センサケーブルに断線やショートが発生したりするなどの原因により回転速度センサから検出信号が出力されない場合は、回転軸が停止している場合と区別がつかないため、回転速度センサやセンサケーブルの異常を検出することができないという問題があった。
また、特許文献1記載の技術では、振動センサの検出信号の大きさから軸受の運転状態を判定しているため、軸受の傷や剥離などの異常検出を早期に行うことが困難であった。これに対し、特許文献2記載の技術では、振動センサおよび回転速度センサの検出信号に基づいて、軸受の傷や剥離などの異常を検出することができる。この場合、軸受の傷や剥離などの振動の特定の周波数成分を分析して異常を判定するために、早期に異常を検出することが可能である。
【0006】
しかしながら、特許文献2記載の技術にあっては、運転中に、回転速度センサやセンサケーブルの異常により回転速度センサから検出信号が出力されない場合は、軸受の傷や剥離の検出を行うことができない。また、回転速度センサの出力がない場合は、回転軸が停止している場合と同じであるため、回転速度センサやセンサケーブルの異常を認識することもできない。したがって、軸受の傷や剥離はなく正常な運転状況であると誤って判定されることがある。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、回転速度センサまたはセンサケーブルの異常を検出することができるとともに、軸受の傷や剥離などの異常検出の信頼性を向上するのに好適な回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の回転速度センサの異常判定装置は、回転体の回転速度に比例した周波数の回転速度信号を出力する電磁コイル式回転速度センサに関する異常を判定する異常判定装置であって、前記電磁コイルに直流電圧を印加し、このコイルに流れる直流成分の電流の変化を検出することで、前記電磁コイル式回転速度センサまたは前記コイルへの配線の異常の有無を判定する異常判定手段を備える。
【0009】
なお、この回転速度センサからは、回転速度に比例した周波数の信号が出力される。
このような構成であれば、電源によりコイルに直流電圧が印加されているので、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線に異常が発生すると、コイルに流れる電流が変化する。そして、異常判定手段により、コイルに流れる電流の変化に応じて、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線の異常の有無が判定される。
なお、正常時は、回転速度センサの出力信号から交流成分を抽出することにより回転速度信号を得ることができる。
【0010】
〔発明2〕 一方、上記目的を達成するために、発明2の軸受装置の異常判定装置は、軸受装置が支持する軸の回転速度に比例した周波数の回転速度信号を出力する電磁コイル式回転速度センサおよび前記軸受装置の振動を検出する振動センサの検出結果に基づいて、前記軸受装置の異常を判定する軸受装置の異常判定装置であって、前記電磁コイルに直流電圧を印加し、このコイルに流れる直流成分の電流の変化を検出することで、前記電磁コイル式回転速度センサまたは前記コイルへの配線の異常の有無を判定する異常判定手段を備える。
【0011】
このような構成であれば、電源によりコイルに直流電圧が印加されているので、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線に異常が発生すると、コイルに流れる電流が変化する。そして、異常判定手段により、コイルに流れる電流の変化に応じて、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線の異常の有無が判定される。
なお、正常時は、コイルに流れる電流から交流成分を抽出することにより回転速度信号を得ることができる。
【0012】
〔発明3〕 さらに、発明3の軸受装置の異常判定装置は、発明2の軸受装置の異常判定装置において、前記軸受装置は、鉄道車両または自動車の軸受装置である。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、発明1の回転速度センサの異常判定装置、または発明2の軸受装置の異常判定装置によれば、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線の異常を検出することができるという効果が得られる。また、電磁コイル式回転速度センサまたはコイルへの配線の異常の有無を考慮して軸受装置の異常を判定することができるので、軸受の傷や剥離などの異常検出の信頼性を向上することができるという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1から図4は、本発明に係る回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置の第1の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、本発明に係る回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置を、図1に示すように、鉄道車両100における軸受の運転状態を監視する場合について適用したものである。
【0015】
まず、本発明を適用する運転状態監視システムの構成を説明する。
図1は、運転状態監視システムの構成を示すブロック図である。
図2は、車両の1台車の構成を示している。
鉄道車両100内には、図1に示すように、運転状態監視装置20が設置されている。また、鉄道車両100は、2つの台車で支持されている。
【0016】
1台車は、図2に示すように、2つの車軸と、各車軸の端部に取り付けられた4つの車輪10と、各車輪近傍に設けられた4つの軸受装置14とを有して構成されている。各軸受装置14には、軸受の運転状態を監視するための軸受用センサ12が取り付けられている。軸受用センサ12は、振動センサ、温度センサおよび電磁コイル式回転速度センサからなる。
【0017】
なお、振動センサ、温度センサおよび電磁コイル式回転速度センサは別体であってもよいし、振動センサ、温度センサおよび電磁コイル式回転速度センサを1つの筐体に内蔵させて一体としてもよい。また、図2においては、1台車分のセンサ信号のみが運転状態監視装置20に入力されているが、図1に示すように、2台車分(1車両分)のセンサ信号が入力されていてもよい。
【0018】
次に、運転状態監視システムの回路構成を説明する。
図3は、第1の実施の形態の運転状態監視システムの回路構成を示す図である。
運転状態監視システムは、図3に示すように、軸受用センサ12である電磁コイル式回転速度センサと、運転状態監視装置20とを有して構成されている。
電磁コイル式回転速度センサは、円周方向にS極とN極が交互に着磁され、車軸に固定された円環状の永久磁石30と、永久磁石30の近傍に配置され、軸受装置14に固定されたコイル32とを有して構成されている。図3の例では、永久磁石30は、円周を6等分して各区分にN極およびS極が交互に現れるように着磁されているので、車輪10が1回転すると磁気特性が6周期変化する。この磁束変化に応じた誘導電圧を回転速度信号としてコイル32で検出する。また、この回転速度信号は、回転速度に比例した周波数を持った信号である。
【0019】
運転状態監視装置20は、電源Vsと、電源Vsに対してその順で直列接続された3つの抵抗R1、R2、R3と、抵抗R1、R2の間に入力端子が接続されたローパスフィルタ40と、ローパスフィルタ40の出力電圧を所定電圧と比較する2つの比較器42、44とを有して構成されている。
抵抗R2の一端には、センサケーブルL1を介してコイル32の一端が、抵抗R2の他端には、センサケーブルL2を介してコイル32の他端が接続されている。したがって、抵抗R2の出力電圧Voを取得することにより回転速度信号を得ることができる。
【0020】
Voは、電磁コイル式回転速度センサの出力信号であり、回転速度に比例した周波数の正弦波が出力される。出力電圧Voの周期を測定したり、F/V変換することにより回転速度を得ることができる。
図4は、出力電圧Voの変化を示すグラフである。
図4に示すように、出力電圧Voは、オフセット電圧Vbを有する。オフセット電圧Vbは、抵抗R1、R2、R3およびコイル32の直流抵抗Rcにより定まり、コイル32に流れる直流成分の電流によって変化するため、この電流の変化を検出することにより、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生したことを検出することができる。
【0021】
オフセット電圧Vbは、出力電圧Voをローパスフィルタ40を通すことにより、得ることができ、ローパスフィルタ40を通した後の信号は交流成分は除かれ直流成分のみとなる。
ここで、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生していない場合(以下、「正常時」という。)のオフセット電圧Vbは、下式(1)により求めることができる。

Vb=((Rc2+R3)×Vs)/(R1+Rc2+R3) …(1)
ただし、Rc2=(Rc×R2)/(Rc+R2)
Rc2は、RcとR2の合成抵抗である。

また、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線が発生した場合(以下、「断線時」という。)のオフセット電圧Vbは、下式(2)により求めることができる。

Vb=((R2+R3)×Vs)/(R1+R2+R3) …(2)

また、コイル32またはセンサケーブルL1、L2にショートが発生した場合(以下、「ショート時」という。)のオフセット電圧Vbは、下式(3)により求めることができる。

Vb=(R3×Vs)/(R1+R3) …(3)

以上のことから、オフセット電圧Vbは、正常時、断線時、ショート時でそれぞれ異なる値となる。したがって、オフセット電圧Vbを監視することによりコイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生したことを検出することができる。
【0022】
一例として具体的な数値をあてはめて計算すると、オフセット電圧Vbは、以下のようになる。
例えば、Vs=6[V]、R1=4[kΩ]、R2=8[kΩ]、R3=4[kΩ]、Rc=8[kΩ]とすると、正常時は4[V]、断線時は4.5[V]、ショート時は3[V]となる。
なお、コイル32がショートし、Rcが0[Ω]とならなかった場合は、オフセット電圧Vbは、そのときのコイル32の抵抗値により、4[V]より小さく3[V]以上の値となる。したがって、例えば、3.5[V]となった場合にも異常が発生していると考えられる。
【0023】
以上のことから、オフセット電圧Vbを比較器42、44により監視し、例えば、オフセット電圧Vbが3.5[V]以下であれば、ショートの発生を通知するショート検出信号を出力し、オフセット電圧Vbが4.3[V]以上であれば、断線の発生を通知する断線検出信号を出力するようにすればよい。具体的には、以下のように構成する。
比較器42のマイナス入力には、ローパスフィルタ40の出力端子が接続され、比較器42のプラス入力には、基準電圧Vr1(4.3[V])の電源ラインが接続されている。比較器42は、オフセット電圧Vbが基準電圧Vr1よりも低いときは、ハイレベルの信号を出力し、オフセット電圧Vbが基準電圧Vr1よりも高いときは、ローレベルの信号を出力する。したがって、正常時はハイレベルの信号を出力するが、断線時は、オフセット電圧Vbが4.5[V]となるので、ローレベルの信号を断線検出信号として出力する。
【0024】
比較器44のプラス入力には、ローパスフィルタ40の出力端子が接続され、比較器44のマイナス入力には、基準電圧Vr2(3.5[V])の電源ラインが接続されている。比較器44は、オフセット電圧Vbが基準電圧Vr2よりも低いときは、ローレベルの信号を出力し、オフセット電圧Vbが基準電圧Vr2よりも高いときは、ハイレベルの信号を出力する。したがって、正常時はハイレベルの信号を出力するが、ショート時は、オフセット電圧Vbが3[V]となるので、ローレベルの信号をショート検出信号として出力する。
【0025】
なお、抵抗R2を使用しなくても、同様に断線やショートの検出が可能である。
次に、本実施の形態の動作を説明する。
運転状態監視装置20では、センサケーブルL1、L2を介して電磁コイル式回転速度センサから回転速度信号が入力され、また、振動センサおよび温度センサから検出信号が入力されるので、入力されたこれらの信号に基づいて軸受の運転状態が監視される。具体的には、運転中に軸受の傷や剥離などの異常が発生した場合は、これが検出される。
【0026】
また、運転中に、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線が発生した場合は、オフセット電圧Vbが4.5[V]となるので、比較器42からローレベルの信号が断線検出信号として出力される。これにより、運転状態監視装置20は、断線の発生を認識することができる。
また、運転中に、コイル32またはセンサケーブルL1、L2にショートが発生した場合は、オフセット電圧Vbが3[V]となるので、比較器44からローレベルの信号がショート検出信号として出力される。これにより、運転状態監視装置20は、ショートの発生を認識することができる。
【0027】
このようにして、本実施の形態では、コイル32に直流電圧を印加する電源Vsと、コイル32の出力端子に接続されたローパスフィルタ40と、ローパスフィルタ40の出力電圧Vbを所定電圧と比較する2つの比較器42、44とを備える。
これにより、コイル32またはセンサケーブルL1、L2の異常を検出することができる。また、コイル32またはセンサケーブルL1、L2の異常の有無を考慮して軸受装置14の異常を判定することができるので、軸受の傷や剥離などの異常検出の信頼性を向上することができる。すなわち、車輪10の回転が停止しているのか、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生しているのかを区別した上で、軸受の傷や剥離などの異常検出を行うことができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図5は、本発明に係る回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置の第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態は、上記第1の実施の形態に対して、電磁コイル式回転速度センサの構成、並びにショート検出信号および断線検出信号を検出する回路の構成が異なる。なお、以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、上記第1の実施の形態と重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
次に、運転状態監視システムの回路構成を説明する。
図5は、第2の実施の形態の運転状態監視システムの回路構成を示す図である。
電磁コイル式回転速度センサは、図5に示すように、円周方向に凹部と凸部が交互に形成され、車軸に固定された円環状の鋼鉄製歯車34と、鋼鉄製歯車34の近傍に配置され、軸受装置14に固定されたコイル32とを有して構成されている。コイル32内には、鉄心36が挿入され、鉄心36の一端には磁石38が結合されている。
【0030】
運転状態監視装置20は、電源Vsと、電源Vsに対してその順で直列接続された3つの抵抗R1、R2、R3と、抵抗R3の出力電圧Veを所定電圧と比較する2つの比較器42、44とを有して構成されている。
抵抗R2の一端には、センサケーブルL1を介してコイル32の一端が、抵抗R2の他端には、センサケーブルL2を介してコイル32の他端が接続されている。したがって、抵抗R2の出力電圧Voを取得することにより回転速度信号を得ることができる。
【0031】
電圧Veは、抵抗R1、R2、R3、Rcにより定まり、コイル32に流れる直流成分の電流によって変化するため、この電流の変化を検出することにより、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生したことを検出することができる。なお、電圧Veは、第1の実施の形態のVo(図3)および第2の実施の形態のVoの信号と異なり、コイルから誘起される回転速度に比例した周波数の速度信号成分は重畳していない。すなわち、電圧Veは、基本的には交流成分を持たない直流成分のみの信号である。
【0032】
ここで、正常時の電圧Veは、下式(4)により求めることができる。

Ve=(R3×Vs)/(R1+Rc2+R3) …(4)
ただし、Rc2=(Rc×R2)/(Rc+R2)
Rc2は、RcとR2の合成抵抗である。
である。

また、断線時の電圧Veは、下式(5)により求めることができる。

Ve=(R3×Vs)/(R1+R2+R3) …(5)

また、ショート時の電圧Veは、下式(6)により求めることができる。

Ve=(R3×Vs)/(R1+R3) …(6)

以上のことから、電圧Veは、正常時、断線時、ショート時でそれぞれ異なる値となる。したがって、電圧Veを監視することによりコイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線またはショートが発生したことを検出することができる。
【0033】
一例として具体的な数値をあてはめて計算すると、電圧Veは、以下のようになる。
例えば、Vs=6[V]、R1=4[kΩ]、R2=8[kΩ]、R3=4[kΩ]、Rc=8[kΩ]とすると、正常時は2[V]、断線時は1.5[V]、ショート時は3[V]となる。
なお、コイル32がショートし、Rcが0[Ω]とならなかった場合は、電圧Veは、そのときのコイル32の抵抗値により、2[V]を超え3[V]以下の値となる。したがって、例えば、2.7[V]となった場合にも異常が発生していると考えられる。
【0034】
以上のことから、電圧Veを比較器42、44により監視し、例えば、電圧Veが2.5[V]以上であれば、ショートの発生を通知するショート検出信号を出力し、電圧Veが1.7[V]以下であれば、断線の発生を通知する断線検出信号を出力するようにすればよい。具体的には、以下のように構成する。
比較器42のマイナス入力には、抵抗R3の一端が接続され、比較器42のプラス入力には、基準電圧Vr1(2.5[V])の電源ラインが接続されている。比較器42は、電圧Veが基準電圧Vr1よりも低いときは、ハイレベルの信号を出力し、電圧Veが基準電圧Vr1よりも高いときは、ローレベルの信号を出力する。したがって、正常時はハイレベルの信号を出力するが、ショート時は、電圧Veが3[V]となるので、ローレベルの信号をショート検出信号として出力する。
【0035】
比較器44のプラス入力には、抵抗R3の一端が接続され、比較器44のマイナス入力には、基準電圧Vr2(1.7[V])の電源ラインが接続されている。比較器44は、電圧Veが基準電圧Vr2よりも低いときは、ローレベルの信号を出力し、電圧Veが基準電圧Vr2よりも高いときは、ハイレベルの信号を出力する。したがって、正常時はハイレベルの信号を出力するが、断線時は、電圧Veが1.5[V]となるので、ローレベルの信号を断線検出信号として出力する。
【0036】
なお、抵抗R2を使用しなくても、同様に断線やショートの検出が可能である。
次に、本実施の形態の動作を説明する。
運転状態監視装置20では、運転中に、コイル32またはセンサケーブルL1、L2に断線が発生した場合は、電圧Veが1.5[V]となるので、比較器44からローレベルの信号が断線検出信号として出力される。これにより、運転状態監視装置20は、断線の発生を認識することができる。
【0037】
また、運転中に、コイル32またはセンサケーブルL1、L2にショートが発生した場合は、電圧Veが3[V]となるので、比較器42からローレベルの信号がショート検出信号として出力される。これにより、運転状態監視装置20は、ショートの発生を認識することができる。
このようにして、本実施の形態では、コイル32に直流電圧を印加する電源Vsと、コイル32と並列接続された抵抗R2と、抵抗R2の低電圧側に直列接続された抵抗R3と、抵抗R3の出力電圧Veを所定電圧と比較する2つの比較器42、44とを備える。
【0038】
これにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるとともに、上記第1の実施の形態に比して、前述したとおり、電圧Veは第1の実施の形態のVeと異なり、回転速度に比例した周波数の速度信号成分が重畳していないため、ローパスフィルタ40が不要となり、回路構成が簡素となり、コストを低減することができる。
なお、上記第1の実施の形態においては、永久磁石30を用いて回転速度センサを構成したが、これに限らず、上記第2の実施の形態のように、鋼鉄製歯車34を用いて回転速度センサを構成することもできる。
【0039】
また、上記第2の実施の形態においては、鋼鉄製歯車34を用いて回転速度センサを構成したが、これに限らず、上記第1の実施の形態のように、永久磁石30を用いて回転速度センサを構成することもできる。
また、上記第1および第2の実施の形態においては、振動センサおよび温度センサを設けて構成したが、いずれか一方のみを設け、軸受の傷や剥離などの異常を検出するように構成することもできる。
【0040】
また、上記実施の形態においては、本発明に係る回転速度センサの異常判定装置および軸受装置の異常判定装置を、鉄道車両100における軸受の運転状態を監視する場合について適用したが、これに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で他の場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】運転状態監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】車両の1台車の構成を示している。
【図3】第1の実施の形態の運転状態監視システムの回路構成を示す図である。
【図4】出力電圧Voの変化を示すグラフである。
【図5】第2の実施の形態の運転状態監視システムの回路構成を示す図である。
【図6】特許文献1記載の軸受用センサの取付構造を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
100 鉄道車両
10 車輪
12 軸受用センサ
14 軸受装置
20 運転状態監視装置
30 永久磁石
32 コイル
34 鋼鉄製歯車
36 鉄心
38 磁石
40 ローパスフィルタ
42、44 比較器
L1、L2 センサケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の回転速度に比例した周波数の回転速度信号を出力する電磁コイル式回転速度センサに関する異常を判定する異常判定装置であって、
前記電磁コイルに直流電圧を印加し、このコイルに流れる直流成分の電流の変化を検出することで、前記電磁コイル式回転速度センサまたは前記コイルへの配線の異常の有無を判定する異常判定手段を備えることを特徴とする回転速度センサの異常判定装置。
【請求項2】
軸受装置が支持する軸の回転速度に比例した周波数の回転速度信号を出力する電磁コイル式回転速度センサおよび前記軸受装置の振動を検出する振動センサの検出結果に基づいて、前記軸受装置の異常を判定する軸受装置の異常判定装置であって、
前記電磁コイルに直流電圧を印加し、このコイルに流れる直流成分の電流の変化を検出することで、前記電磁コイル式回転速度センサまたは前記コイルへの配線の異常の有無を判定する異常判定手段を備えることを特徴とする軸受装置の異常判定装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記軸受装置は、鉄道車両または自動車の軸受装置であることを特徴とする軸受装置の異常判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−157663(P2008−157663A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344169(P2006−344169)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】