説明

回転電機および風力発電システム

【課題】固定子の冷却を効果的に行うことが可能な回転電機を提供する。
【解決手段】この発電機1(回転電機)は、巻線32を有するステータ30と、ステータ30の内側に回転可能に配置され、永久磁石22aを有し、軸方向に延びる空気流通空間22bが内側に設けられたロータ20とを備え、ロータ20は、ロータ20の内周面から外周面まで貫通するロータ通風孔26を含み、ロータ通風孔26に対応する位置に設けられ、ステータ30の内周面から外周面まで貫通するステータ通風孔36を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機および風力発電システムに関し、特に、固定子と回転子とを備えた回転電機および回転電機を用いた風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定子と回転子とを備えた回転電機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、筒状の固定子と、固定子の内側にわずかな間隔(ギャップ)を隔てて配置された回転子と、回転子の回転軸と一体的に回転する軸流ファンとを備えた回転電機が開示されている。この回転電機の軸流ファンは、回転子および固定子から回転軸方向に離間した位置に設けられている。そして、回転軸の回転に伴って軸流ファンが回転することにより、回転子および固定子に向けて回転軸方向に空気を供給するように構成されている。軸流ファンにより回転軸方向に供給される空気は、筒状の固定子の外周部に供給されるとともに、回転子および固定子の間の僅かなギャップ部分を介して固定子の内周部に供給される。これにより、発熱源である巻線を有する固定子の冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−213018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転電機の固定子と回転子との間のギャップ部分の間隔は非常に小さいため、上記特許文献1に記載の回転電機では、軸流ファンから供給される空気がギャップ部分には入り込みにくく固定子の内周部へ供給されにくい。このため、上記特許文献1に記載の回転電機では、固定子の冷却を効果的に行うことができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、固定子の冷却を効果的に行うことが可能な回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における回転電機は、巻線を有する固定子と、固定子の内側に回転可能に配置され、永久磁石を有し、軸方向に延びる空気流通空間が内側に設けられた回転子とを備え、回転子は、回転子の内周面から外周面まで貫通する第1通風孔を含み、固定子は、固定子の内周面から外周面まで貫通する第2通風孔を含み、回転子は、回転軸方向に間隔を隔てて配置された複数の環状の部分回転子を含み、永久磁石は、複数の部分回転子それぞれに設けられることによって、回転軸方向に間隔を隔てて配置され、第1通風孔は、複数の部分回転子間の空隙によって形成される。
【0008】
この発明の第1の局面による回転電機によれば、発熱源を有する固定子の冷却を効果的に行うことができる。さらには、回転子の冷却も効果的に行うことができる。
【0009】
この発明の第2の局面における風力発電システムは、巻線を有する固定子と、固定子の内側に回転可能に配置され、永久磁石を有し、軸方向に延びる空気流通空間が内側に設けられた回転子とを含む回転電機と、回転電機の回転子に接続されるブレードとを備え、回転電機の回転子は、回転子の内周面から外周面まで貫通する第1通風孔を有し、回転電機の固定子は、固定子の内周面から外周面まで貫通する第2通風孔を有し、回転子は、回転軸方向に間隔を隔てて配置された複数の環状の部分回転子を含み、永久磁石は、複数の部分回転子それぞれに設けられることによって、回転軸方向に間隔を隔てて配置され、第1通風孔は、複数の部分回転子間の空隙によって形成される。
【0010】
この発明の第2の局面による風力発電システムによれば、発熱源を有する固定子の冷却を効果的に行うことができる。さらには、回転子の冷却も効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による風力発電システムの全体構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した一実施形態による風力発電システムの発電機の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示した発電機の回転軸と直交する方向の断面を示した内部斜視図である。
【図4】図2に示した発電機の回転軸に沿った方向の縦断面図である。
【図5】図4に示した発電機のロータおよびステータを拡大して示した拡大断面図である。
【図6】図3に示した発電機の回転軸と直交する方向の断面におけるロータおよびステータの部分拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態による風力発電システムの変形例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態による風力発電システム100の構造について説明する。なお、本実施形態では、本発明の回転電機を風力発電システムの発電機1に適用した例について説明する。発電機1は、本発明の「回転電機」の一例である。
【0014】
図1に示すように、風力発電システム100は、発電機1と、発電機1などを収納するためのナセル2と、ロータハブ3と、ブレード4と、タワー(支持柱)5とによって構成されている。発電機1は、ナセル2の内部に収納されている。また、ロータハブ3は、発電機1の後述する回転軸21に取り付けられている。また、ロータハブ3には、複数のブレード4が取り付けられている。また、ナセル2は、タワー5に取り付けられている。
【0015】
図2に示すように、発電機1は、ロータ20(図3参照)およびステータ30(図3参照)を有する本体部10と、本体部10の上部に設置された冷却ユニット40とを備えている。本体部10は、上面が開放(図3参照)された箱状の本体筐体11を含み、冷却ユニット40は、本体筐体11の上部に連結されたユニット筐体41を含んでいる。この本体筐体11とユニット筐体41とによって、発電機1全体の筐体が構成されている。本体筐体11およびユニット筐体41からなる発電機1の筐体の内部は密閉構造となっており、外部から遮断されている。一方、図3および図4に示すように、冷却ユニット40には、一端が外気取入口を構成し、他端が外気排出口を構成する多数の冷却管42がユニット筐体41をX方向に貫通するように設けられている。そして、これらの冷却管42の内部には後述する外部送風機43により発電機1の外部から取り込まれる外部空気が流通するように構成されている。なお、ロータ20およびステータ30は、それぞれ、本発明の「回転子」および「固定子」の一例である。また、本体筐体11およびユニット筐体41は、本発明の「筐体」の一例である。
【0016】
図3に示すように、本体部10は、上記した本体筐体11の内部に収容されるロータ20およびステータ30により構成されている。図4に示すように、本体筐体11のX方向の両端に位置する一対の側面には、ロータ20の回転軸21を挿入するための軸孔12がそれぞれ設けられている。また、本体筐体11の内部には、ステータ30のX方向(軸方向)の両端部を支持するための一対の支持隔壁13からなる内部隔壁が設けられている。なお、支持隔壁13は、本発明の「内部隔壁」の一例である。
【0017】
図3および図4に示すように、ロータ20は、回転軸21と、ロータコア22と、回転軸21およびロータコア22を接続するリブ23とを含んでいる。回転軸21は、図4に示すように、本体筐体11の一対の軸孔12にそれぞれ軸受21aを介して回転可能に支持されている。この回転軸21の一方端には、ブレード4(図1参照)が取り付けられたロータハブ3(図1参照)が取り付けられている。なお、図4は回転軸21の軸中心およびリブ23(図3参照)を通る縦断面図(XZ断面)を示しているが、説明の便宜上、ロータ20の上側部分についてはリブ23からずれた断面を図示している。
【0018】
図3に示すように、ロータコア22は、略円筒形状に形成され、内周側で半径方向に放射状に延びる複数のリブ23によって回転軸21と連結されている。これにより、ロータコア22は、ステータ30の内側に回転可能に配置されている。また、ロータコア22の外周面には、複数の永久磁石22aが取り付けられている。また、ロータコア22には、内周側にロータコア22を軸方向(X方向)に延びる複数の空気流通空間22bが形成されている。本実施形態では、この空気流通空間22bは、略円筒形状のロータコア22の内周面により囲まれた空間からなり、軸方向に延びる放射状のリブ23によって複数に分割されている。
【0019】
本実施形態では、図4に示すように、ロータコア22は、軸方向(X方向)に所定の間隔を隔てて配置された複数のロータコア部24によって構成されている。個々のロータコア部24は、環状形状を有する。環状のロータコア部24が軸方向に配列されることにより、ロータコア22が全体として略円筒形状となっている。また、図5に示すように、各ロータコア部24の間にはロータスペーサ25が配置され、各ロータコア部24間の間隔を一定にしている。各ロータコア部24は、溶接などにより内周側のリブ23に強固に連結されている。したがって、各ロータコア部24は、ロータスペーサ25により間隔を保ったまま、互いに一体的に連結されている。本実施形態では、これらの複数のロータコア部24の間の空隙によって、ロータ20(ロータコア22)を半径方向に貫通する複数のロータ通風孔26が形成されている。なお、ロータコア部24、ロータスペーサ25およびロータ通風孔26は、それぞれ、本発明の「部分回転子」、「スペーサ」および「第1通風孔」の一例である。
【0020】
ロータ通風孔26は、各ロータコア部24間の空隙からなるため、ロータ20の内周面(円筒状のロータコア22の内周面)からロータ20の外周面まで貫通している。すなわち、このロータ通風孔26により、ロータ20の内側の空気流通空間22bとロータ20の外周部とが連通している。また、これらのロータ通風孔26は、軸方向(X方向)に等間隔t1で配列されるとともに、ロータ20(ロータコア22)の周方向に沿って延びる(図3参照)ように形成されている。また、これらのロータ通風孔26は、ロータ20(ロータコア22)の軸方向(X方向)の略全長にわたって配列されている。ロータ通風孔26の軸方向の幅は、ロータスペーサ25により一定に保たれた各ロータコア部24間の間隔t2と一致する。なお、各ロータコア部24はリブ23によって連結されているので、リブ23の配置された部分を除いた領域で、周方向に延びるロータ通風孔26がロータ20を貫通している。このような構成により、ロータ20は、ロータコア22の内周側の空気流通空間22bに流入した空気を複数のロータ通風孔26を介して外周側に流出させることが可能なように構成されている。
【0021】
図3および図4に示すように、ステータ30は、ステータコア31と、巻線32とから構成されている。ステータ30は、略円筒形状に形成されている。略円筒形状のステータコア31は、ロータ20の回転軸21と同軸で、かつ、ロータ20の外周面(永久磁石22a)から僅かな間隙(ギャップ)を隔てて離間して配置されている。このステータコア31のX方向(軸方向)の両端には、半径方向の外側に延びるフランジ部31aが周状に設けられている。図4に示すように、このフランジ部31aが支持隔壁13の開口13aに嵌まり込むようにして、ステータ30全体が支持されている。なお、この支持隔壁13によって、ステータ30の内周側と、ステータ30の外周(円筒部分の外周面)側とが遮断されている。ステータコア31の内周面側には、軸方向(X方向)に延びる複数のスロット31bが設けられている。巻線32は、ステータコア31のスロット31b内に収納され、ステータコア31の一端から他端まで軸方向に延びるように設けられている。また、巻線32は、たとえばU相、V相およびW相の3相電流を通電可能な複数の巻線から構成されている。
【0022】
本実施形態では、ステータコア31は、軸方向に所定の間隔を隔てて配置された複数のステータコア部33と、複数のステータコア部33を連結する連結部材34(図3参照)とによって構成されている。個々のステータコア部33は、たとえば軸方向(X方向)に積層されたケイ素鋼板からなり、環状形状を有する。これらの環状のステータコア部33が軸方向に配列されることにより、ステータコア31が全体として略円筒形状となっている。また、図3に示すように、各ステータコア部33は、外周側に配置された軸方向(X方向)に延びる複数の連結部材34によって互いに連結されている。これらの連結部材34は、回転軸周りの所定の等角度間隔で、ステータコア31の外周を取り囲むように配置されている。また、図5および図6に示すように、各ステータコア部33の間にはステータスペーサ35が配置され、ステータコア部33の間の間隔を一定にしている。このステータスペーサ35は、各巻線32同士の間の位置(図6参照)に配置されている。これにより、各ステータコア部33は、ステータスペーサ35により間隔を保ったまま、連結部材34により互いに一体的に連結されている。本実施形態では、これらの複数のステータコア部33の間の空隙によって、ステータ30(ステータコア31)を半径方向に貫通する複数のステータ通風孔36が形成されている。なお、ステータコア部33、ステータスペーサ35およびステータ通風孔36は、それぞれ、本発明の「部分固定子」、「スペーサ」および「第2通風孔」の一例である。
【0023】
図5および図6に示すように、ステータ通風孔36は、ステータコア部33の間の空隙からなるため、ステータ30の内周面から外周面まで貫通している。また、図3に示すように、これらのステータ通風孔36は、軸方向に等間隔t1で配列されるとともに、ステータ30(ステータコア31)の周方向に沿って延びるように形成されている。また、図4に示すように、これらのステータ通風孔36は、ステータ30(ステータコア31)の軸方向の略全長にわたって配列されている。図5に示すように、ステータ通風孔36の軸方向の幅は、ステータスペーサ35により一定に保たれた各ステータコア部33の間の間隔t2と一致する。なお、各ステータコア部33は連結部材34によって連結されているので、連結部材34が配置された部分を除いた領域で、周方向に延びるステータ通風孔36がステータ30を貫通している。なお、図6に示すように、周方向に延びるステータ通風孔36内では、軸方向に延びる巻線32がステータコア31から外部に露出している。このような構成により、ステータ30は、ロータ20のロータ通風孔26を介してステータ30の内周面側に流入した空気を、複数のステータ通風孔36を介してステータ30の内周側から外周側に流出させることが可能なように構成されている。
【0024】
図5および図6に示すように、本実施形態では、ロータ通風孔26に対応する位置にステータ通風孔36が形成されている。具体的には、それぞれのロータコア部24およびステータコア部33の軸方向(X方向)の厚みは、略同一の大きさt1を有する。そして、各ロータコア部24間のロータスペーサ25と各ステータコア部33間のステータスペーサ35とは、同一の厚み(軸方向(X方向)の厚み)t2を有する。この結果、各ロータ通風孔26と各ステータ通風孔36とは、同一の等間隔t1を隔てて軸方向(X方向)に配列され、互いに対向するように配置されている。したがって、各ロータ通風孔26と各ステータ通風孔36とは、それぞれ軸方向(X方向)の同一位置に、同一の幅(軸方向の幅)t2で形成されている。また、上記のように各ロータ通風孔26と各ステータ通風孔36とは、それぞれロータ20(ロータコア22)とステータ30(ステータコア31)の略全周にわたって形成されている。このため、本実施形態では、同一の幅t2を有するロータ通風孔26とステータ通風孔36とにより、ロータ20およびステータ30を貫通するように半径方向に直線状(放射状)に延びる通風孔が形成されている。
【0025】
図3および図4に示すように、冷却ユニット40は、ユニット筐体41と、多数の冷却管42と、冷却管42に発電機1の外部の空気(外部空気)を供給する外部送風機43とを含んでいる。また、ユニット筐体41の内部には、本体筐体11およびユニット筐体41の内部空間からなる発電機1の内部空間内の空気(内部空気)を循環させる内部送風機44が設けられている。
【0026】
ユニット筐体41は、下端(下端面)が開放され、この下端が本体筐体11の上端と連結されている。これにより、ユニット筐体41の内部空間と本体筐体11の内部空間とが連通し、密閉構造の発電機1の内部空間が構成されている。
【0027】
内部送風機44は、ユニット筐体41の内部の上面(天井部分)から吊り下げられるように設けられている。内部送風機44は、下方に設けられた吸気部44aと、鉛直軸(Z方向)周りの回転方向外側に向く排気部44bとを有するラジアルファンからなる。内部送風機44は、ロータ20のロータ通風孔26およびステータ30のステータ通風孔36の上方の位置であって、冷却管42の上方の位置に配置されている。また、内部送風機44は、ユニット筐体41の上面に設けられた送風モータ44cを有し、外部電力供給により駆動されるように構成されている。すなわち、内部送風機44(送風モータ44c)は、外部電源から供給される電力(外部電力)によって発電機1の発電電力とは無関係に駆動される。この送風モータ44cにより、内部送風機44は鉛直軸周りに回転駆動される。これにより、内部送風機44は、下方から吸気部44aを介して内部空気を吸い上げ、排気部44bから回転方向外側(水平方向外側)に空気を送り出すように駆動される。この結果、内部送風機44は、ロータ20のロータ通風孔26およびステータ30のステータ通風孔36と冷却ユニット40との間で内部空気を循環させる循環流を強制的に形成するように構成されている。なお、この内部空気の循環(循環流)と、循環流による発電機1の冷却については、後に詳細に説明する。
【0028】
多数の冷却管42は、それぞれ軸方向(X方向)に平行に延びてユニット筐体41を貫通するように設けられている。これらの冷却管42は、ロータ20およびステータ30を有する本体部10の上方の位置で、かつ、内部送風機44の下方の位置(ロータ20およびステータ30と内部送風機44との間の位置)に配置されている。また、図3に示すように、多数の冷却管42は、ユニット筐体41内部の、幅方向(回転軸方向と水平面内で直交するY方向)の全幅にわたって密集するとともにZ方向に積層するように配置されている。図4に示すように、この冷却管42の両端は外部と連通しており、冷却管42の内部を外部空気が流通するように構成されている。一方、冷却管42の外周面はユニット筐体41の内部に露出している。このため、内部空気の循環流が、密集して配置された多数の冷却管42の外周面の間を縫うようにして通過する。これにより、発電に伴いステータ30で発生した熱を奪い暖められた内部空気が、冷却管42の間を通過する際に冷却管42内部の外部空気と熱交換を行うことにより、発電機1(ロータ20およびステータ30)の冷却が行われるように構成されている。
【0029】
図2に示すように、外部送風機43は、冷却管42の一端側に位置するユニット筐体41の側面に2機取り付けられている。これらの外部送風機43は、図示しない送風モータを内蔵し、内部送風機44と同様に外部電力供給により駆動されるように構成されている。図4に示すように、外部送風機43は、発電機1(冷却ユニット40)の外部から外部空気を取り込み、多数の冷却管42の一端側に外部空気を送り込む機能を有する。これにより、冷却管42内に冷却用の外部空気が供給される。一端から供給された外部空気は、冷却管42内を矢印D方向に通過して冷却管42の他端から排出される。
【0030】
なお、本実施形態では、本体筐体11の内部およびユニット筐体41の内部に、内部空気の循環経路を形成する複数の内部隔壁が設けられている。具体的には、内部隔壁は、ステータ30を支持する支持隔壁13と、支持隔壁13の上端部に設けられた軸方向(X方向)に対向する一対の第1傾斜隔壁45(図4参照)と、幅方向(Y方向)に対向する一対の第2傾斜隔壁46(図3参照)と、第1傾斜隔壁45および第2傾斜隔壁46の上部に配置された水平隔壁47(図3参照)とから、主として構成されている。なお、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47は、本発明の「内部隔壁」の一例である。
【0031】
支持隔壁13は、上述の通り、ステータ30の内周側と、ステータ30の外周側とを遮断している。この支持隔壁13により、内部空気がロータ20の空気流通空間22bと、ロータ20とステータ30との間のギャップ部分とからのみ流入する。
【0032】
図4に示すように、一対の第1傾斜隔壁45は、支持隔壁13の上端と、水平隔壁47の軸方向(X方向)端部とを接続するように設けられている。一対の第1傾斜隔壁45の間の領域で内部空気の吸気経路が形成され、各第1傾斜隔壁45の外側領域(第1傾斜隔壁45とユニット筐体41の内壁との間の領域)で内部空気の排気経路が形成される。軸方向(X方向)に対向する一対の第1傾斜隔壁45は、互いに上端が近づくように傾斜して、内部空気の循環経路を狭めるように構成されている。なお、第1傾斜隔壁45は、多数の冷却管42によって貫通されるように形成されている。
【0033】
図3に示すように、一対の第2傾斜隔壁46は、本体筐体11の上端でかつ幅方向(Y方向)の両端部と水平隔壁47とを接続するように設けられている。また、幅方向(Y方向)に対向する一対の第2傾斜隔壁46は、互いに上端が近づくように傾斜して、内部空気の循環経路を狭めるように構成されている。
【0034】
水平隔壁47は、ユニット筐体41内部の幅方向(Y方向)の両端を橋渡すように設けられている。また、水平隔壁47は、密集する冷却管42の最上部に近接するとともに、内部送風機44の下面に近接するように設けられている。水平隔壁47は、水平に延びるとともに、内部送風機44の吸気部44aの直下の位置に形成された開口部47aを有する。
【0035】
これらの支持隔壁13と、第1傾斜隔壁45および第2傾斜隔壁46と、水平隔壁47とによって囲まれる領域により、ロータ20およびステータ30から内部送風機44の吸気部44aに向かう吸気経路が形成される。ここで、本実施形態では、図4に示すように、上端が互いに近づくように傾斜する各一対の第1傾斜隔壁45および第2傾斜隔壁46と、開口部47aを有する水平隔壁47とによって四角錐台形状(四角錐の上部を水平に切り取った形状)の吸気経路が形成される。これにより、吸気経路は、吸気部44a(開口部47a)に向かうにしたがって吸気経路が狭まり、かつ、吸気部44aの大きさに近づくように設けられている。
【0036】
一方、支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47と筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)の内壁面との間の領域(吸気経路の外側領域)により、内部送風機44の排気部44bから内部隔壁の外側を下降してロータ20の空気流通空間22bへと向かう排気経路が形成される。
【0037】
次に、本実施形態の発電機1における内部空気の循環(循環流)による冷却について説明する。
【0038】
まず、図示しない外部電源からの外部電力供給により、内部送風機44(送風モータ44c)および外部送風機43が駆動される。これにより、図4に示すように、筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)内部では、内部送風機44の下面の吸気部44aから内部空気が上方に吸い上げられるとともに、内部送風機44の外周部の排気部44bから水平方向外側に内部空気が送出される。
【0039】
この際、図5に示すように、ロータ20の内面側の空気流通空間22b内の内部空気は、吸気部44aからの吸い上げによって、主としてロータ20の上側(上半分)の位置のロータ通風孔26を矢印C1方向に通過して、ロータ20の外周部(ステータ30の内周部)のギャップ部分に移動(上昇)する。ロータ20はブレード4(図1参照)と接続された回転軸21により回転されるため、ロータ通風孔26における内部空気の通過位置はロータ20の回転に伴って変化する。本実施形態では、ロータ通風孔26がロータ20の略全周(リブ23を除く)にわたって周方向に延びるため、ロータ20の回転角度によることなく、常に内部空気がロータ通風孔26を通過することができる。
【0040】
また、ロータ通風孔26はロータ20の軸方向の略全長にわたって複数配列されているため、内部空気が軸方向(X方向)の両端部と中央部とでばらつくことなくロータ20の外周部(ギャップ部分)の全体に流入する。このギャップ部分においてロータ20の外周部(永久磁石22aの表面)や、ステータ30の内周部(巻線32や巻線32の間のティース部)に内部空気が接触し、これらの各部の冷却が行われる。これにより、ロータ20の外周部およびステータ30の内周部(ギャップ部分)において、発電機1の発熱源である巻線32と、巻線32の周辺部位(スロット31bの間のティース部や、永久磁石22a近傍)とが効果的に冷却される。なお、ロータ20およびステータ30の軸方向(X方向)端部のギャップ部分からも僅かに内部空気が流入する。
【0041】
続いて、吸気部44aからの吸い上げによって、内部空気はギャップ部分を上方の矢印C2方向に移動して、ステータ30のステータ通風孔36を通過する。図4に示すように、ステータ30は支持隔壁13により固定されているため、内部空気は主としてステータ30の上半分のステータ通風孔36を上方に通過する。また、図6に示すように、ステータ通風孔36内部では軸方向(X方向)に延びる巻線32がステータコア31(ステータコア部33)から露出している。このため、内部空気がステータ通風孔36を通過する際に内部空気が巻線32の間を通過することにより、巻線32の外表面の略全周で冷却が行われる。これにより、発熱源である巻線32のステータ通風孔36内部で露出する部分を効果的に冷却することが可能である。
【0042】
ステータ通風孔36を上方(矢印C2方向)に通過した内部空気は、ステータ30(ステータコア31)の外周面へ流出する。周方向に延びるステータ通風孔36はステータ30の軸方向の略全長にわたって複数配列されているため、内部空気がステータ30の上半分の外周面の略全体(連結部材34の部分を除く)から流出する。このため、ステータ30の外周面も効果的に冷却される。
【0043】
そして、図4に示すように、ロータ20およびステータ30の熱を奪った内部空気は、ステータ30の上方を流れ、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47によって囲まれた四角錐台状の吸気経路に流れ込む。この空間内には多数の冷却管42が配置されているため、内部空気はこれらの冷却管42の外周部の間を縫うように通過して、上方の吸気部44aに向けて矢印C3方向(図4および図5参照)に移動する。この際、四角錐台状の吸気経路は吸気部44aの大きさ(開口部47aの大きさ)に近づくように構成されているため、この四角錐台状の吸気経路内で内部空気がよどんで流れが妨げられることなく、内部空気が吸気部44aにスムーズに流れ込む。
【0044】
各冷却管42内には、外部電力供給により駆動される外部送風機43から、低温(内部空気よりも低温)の外部空気が一方端から他方端に向けて矢印D方向に流れている。内部空気が各冷却管42の間を縫うように移動する際に、冷却管42内の低温の外部空気と吸熱した内部空気との間で熱交換が生じ、内部空気が冷やされる。これにより、内部空気が吸気部44aに流入する間にロータ20およびステータ30から奪った内部空気の熱が外部に放出される。
【0045】
吸気部44aに流入した内部空気は、内部送風機44により排気部44bから水平方向外側に向けて矢印C4方向に送出される。これにより、内部空気が排気経路に送り出される。排気部44bから送り出された内部空気は、第1傾斜隔壁45とユニット筐体41の内壁との間を矢印C5方向に下降して本体筐体11内に流れ込む。この際、内部空気が多数の冷却管42の間を再度通過するため、再び内部空気が冷却される。
【0046】
冷却管42の間を通り過ぎ、本体筐体11内に流入した内部空気は、後続する排気部44bからの流れに押し出されるとともに吸気部44aから吸い上げられることにより、ロータ20の内側の空気流通空間22b内に流れ込む(矢印C6方向に移動する)。これにより、ロータ20(ロータコア22)の内周面が内部空気によって冷却される。その後、吸気部44aからの吸い上げによって、内部空気が再びロータ通風孔26に流入する(矢印C1方向に)。このようにして、矢印C1〜C6をつなぐように、内部空気の循環流が形成される。以上により、発熱源である巻線32を含むステータ30の内周部と、ステータ30の外周部と、ロータ20の内周部および外周部とが、内部空気の循環流によって冷却される。
【0047】
本実施形態では、上記のように、ロータ20の内周面から外周面まで貫通するロータ通風孔26を発電機1のロータ20に設けるとともに、ロータ通風孔26に対応する位置にステータ30の内周面から外周面まで貫通するステータ通風孔36を発電機1のステータ30に設けることによって、ロータ20のロータ通風孔26とステータ30のステータ通風孔36とを介してステータ30の外周部のみならず、ステータ30の内周部にも空気を供給することができる。これにより、発熱源を有するステータ30の冷却を効果的に行うことができる。さらには、ロータ20のロータ通風孔26とステータ30のステータ通風孔36とを介してロータ20の外周部および内周部にも空気を供給することができるので、ロータ20の冷却も効果的に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、ロータ20の軸方向(X方向)に間隔を隔てて複数のロータ通風孔26を設けるとともに、複数のロータ通風孔26に対応する位置に複数のステータ通風孔36を設ける。このように構成することによって、複数のロータ通風孔26および複数のステータ通風孔36のそれぞれに内部空気を流入させることにより、軸方向(X方向)の広い範囲でロータ20およびステータ30の冷却を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、ロータ通風孔26がロータ20の周方向に延びるように設けられ、ステータ通風孔36がロータ通風孔26に対応する位置に周方向に延びるように設けられている。これにより、ロータ20およびステータ30の冷却を周方向の広い範囲で行うことができる。特に、回転軸21周りに回転するロータ20の略全周(リブ23の位置を除く)にわたってロータ通風孔26を周状に設けることによって、ロータ20の回転位置に関わらず、常にロータ通風孔26に内部空気を流入させることができる。これにより、ロータ20およびステータ30の冷却をより効果的に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、ロータ20のロータコア22が回転軸方向(X方向)に間隔を隔てて配置された複数の環状のロータコア部24により構成され、複数のロータコア部24間の空隙によりロータ通風孔26が構成されている。これにより、容易に、ロータ20の内周部(円筒状のロータコア22の内周面)からロータ20の外周部まで貫通するロータ通風孔26をロータ20の略全周にわたって形成することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、ロータ20の回転軸方向(X方向)に間隔を隔てて配置された複数の環状のステータコア部33によりステータ30(ステータコア31)が構成され、複数のステータコア部33間の空隙によりステータ通風孔36が構成されている。これにより、容易に、ロータ通風孔26に対応するステータ30(ステータコア31)の略全周にわたってステータ通風孔36を形成することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、複数のロータコア部24の間にロータスペーサ25が配置され、複数のステータコア部33の間にステータスペーサ35が配置されている。これにより、ロータスペーサ25とステータスペーサ35との厚みを同じにすれば、容易に、複数のロータコア部24間の空隙により形成されるロータ通風孔26の位置と、複数のステータコア部33間の空隙により形成されるステータ通風孔36の位置とを一致させることができる。このため、ロータ通風孔26とステータ通風孔36とにより、ロータ20およびステータ30を半径方向に直線状に貫通するように通風孔を形成することができるので、内部空気を通過させやすくすることができる。この結果、内部空気の流通量を増大させ、より効率よく冷却を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、空気流通空間22bは、円筒形状のロータ20の内周面によって囲まれた空間により構成されている。このように構成することによって、ロータ20の内部を軸方向(X方向)に貫通する空気流通空間22bを容易に形成することができる。そして、空気流通空間22bがロータ20を軸方向に貫通することにより、ロータ20の内周部への内部空気の流入量(通過量)を増大させることができる。この結果、ロータ20の内周部の冷却をより効率よく行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、ステータ30およびロータ20が収容される筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)と、冷却ユニット40とが設けられている。また、ロータ20のロータ通風孔26およびステータ30のステータ通風孔36と冷却ユニット40との間で筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)の内部空気を循環させる循環流を形成する内部送風機44とが設けられている。これにより、ロータ通風孔26およびステータ通風孔36と冷却ユニット40との間で内部空気を循環させることにより、ロータ通風孔26およびステータ通風孔36を介してロータ20およびステータ30から奪った熱を冷却ユニット40に放出させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、内部送風機44は、外部電力供給により駆動されることによって、循環流を強制的に形成するように構成されている。ここで、風力発電システムでは、他の発電方式と比較して、天候などの影響が大きく回転軸21の回転速度のばらつきが大きい。このため、たとえば回転軸と一体的に回転する軸流ファンを内部送風機に用いる場合には、回転軸の回転速度が低い場合に発生する風量が少なくなり冷却が不十分となる場合がある。本実施形態では、内部送風機44を外部電力供給により駆動することによって、回転軸21の回転速度などに左右されることなく、常に安定した冷却を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、内部隔壁(支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47)は、循環流がロータ通風孔26およびステータ通風孔36を通過して冷却ユニット40に至り、冷却ユニット40からロータ20の空気流通空間22bに流入してロータ通風孔26に再度到達する循環経路を形成するように構成されている。このように構成することによって、内部空気の循環流がロータ通風孔26およびステータ通風孔36を通過するとともに、空気流通空間22bから流入してロータ通風孔26に再度到達する循環経路が形成されるので、冷却に寄与しない内部空気の流れが形成されるのを抑制して、ロータ20およびステータ30の冷却をより効率よく行うことができる。さらに、循環経路の途中で冷却ユニット40を通過するので、内部空気がロータ20およびステータ30から奪った熱を放出せずに循環することがない。これにより、内部空気の放熱(排熱)も確実に行うことができるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、内部隔壁(支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47)は、ステータ30のステータ通風孔36から冷却ユニット40を介して内部送風機44の吸気部44aに至る循環流の吸気経路(矢印C1〜矢印C3参照)を形成するとともに、ステータ30から吸気部44aに向かうにしたがって吸気経路が狭り、かつ、吸気部44aの吸気口の大きさに近づくように設けられている。これにより、内部隔壁により形成される吸気経路自体が吸気部44aの吸気口の大きさに近づくので、吸気経路内で内部空気のよどみが発生するのを抑制することができる。このため、内部空気を吸気部44aにスムーズに流入させることができるとともに、冷却に寄与しない内部空気(経路内でよどみを形成する内部空気)が発生するのを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ユニット40が、筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)の内部のステータ30と内部送風機44との間に配置され、内部を外部空気(矢印D参照)が通過するとともに外周部を筐体(本体筐体11およびユニット筐体41)の内部空気の循環流(矢印C1〜矢印C6参照)が通過する冷却管42と、外部空気を冷却管42の内部に供給する外部送風機43とを含む。これにより、外部送風機43を用いて低温(吸熱した内部空気よりも低温)の外部空気を冷却管42内部の一方端から他方端(矢印D方向)に流通させることができるので、内部空気が冷却管42の外周部を通過する際に、吸熱した内部空気と冷却管42内の外部空気との間で効率よく熱交換(排熱)を行うことができる。
【0059】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、上記実施形態では、本発明を風力発電システムの発電機に適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、風力発電システム以外の発電システムに用いられる発電機およびモータなどの回転電機全般に適用可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、発電機の回転軸にロータハブを直接接続した風力発電システムの例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図7に示す変形例のように、発電機の回転軸にギア(増速器)を介してロータハブを接続した風力発電システムとしてもよい。図7に示す風力発電システム200では、ナセル202内部に発電機1と、ギア206とが収容されている。ロータハブ3は、このギア206を介して発電機1の回転軸21に接続されている。本発明は、このような増速式の風力発電システムに適用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、空気流通空間をロータの軸方向に貫通させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータの軸方向の一方端が開口で、他方端が閉塞した穴状の空気流通空間を設けてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、円筒形状のロータの内周面によって空気流通空間を形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、中実のロータに1つまたは複数の空気流通空間を形成してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、ロータ通風孔およびステータ通風孔が軸方向(X方向)に間隔を隔てて複数配置された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータ通風孔およびステータ通風孔をそれぞれ1つだけ設けてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ロータ通風孔およびステータ通風孔がそれぞれ周状に延びるように形成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータ通風孔およびステータ通風孔が円形状や矩形状に形成されてもよい。また、ロータ通風孔およびステータ通風孔が軸方向に延びるように形成されてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、各ロータ通風孔および各ステータ通風孔が、同一の一定間隔t1で配置され、一定の幅(軸方向の幅)t2を有するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータ通風孔およびステータ通風孔の配置間隔および軸方向の幅が異なっていてもよい。また、複数のロータ通風孔が、それぞれ異なる配置間隔で配置され、異なる幅を有していてもよい。同様に、複数のステータ通風孔が、それぞれ異なる配置間隔で配置され、異なる幅を有していてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ロータ(ロータコア)が複数の環状のロータコア部により形成され、ロータ通風孔がロータコア部の間の空隙により形成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータコアに貫通孔を形成することにより、ロータ通風孔が形成されるようにしてもよい。ロータコアは、複数のロータコア部から形成されてもよいし、単一の部材により形成されてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、ステータ(ステータコア)が複数の環状のステータコア部により形成され、ステータ通風孔がステータコア部の間の空隙により形成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ステータコアに貫通孔を形成することにより、ステータ通風孔が形成されるようにしてもよい。ステータコアは、複数のステータコア部により形成されてもよいし、単一の部材により形成されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、複数のロータコア部の間にロータスペーサが配置され、複数のステータコア部の間にステータスペーサが配置された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロータスペーサおよびステータスペーサを設けなくともよい。
【0070】
また、上記実施形態では、内部送風機および外部送風機が設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内部送風機および外部送風機のいずれか一方、または両方が設けられない構成であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、外部電力供給により駆動される内部送風機および外部送風機が設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内部送風機および外部送風機のいずれか一方または両方が、たとえば回転軸に伴って回転する軸流ファンにより構成されてもよい。また、発電機により発電された電力を用いて内部送風機および外部送風機が駆動されるように構成してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、内部送風機をユニット筐体内部の上面(天井部分)の位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、内部送風機を本体筐体側に配置してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、複数の内部隔壁(支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47のうちのいずれか1つまたは複数が設けられていてもよい。また、支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47以外の内部隔壁を設けてもよい。内部隔壁は、循環流が形成されるように設ければ良く、内部隔壁の個数や形状は適宜設計すればよい。また、本発明では、内部隔壁を設けなくともよい。
【0074】
また、上記実施形態では、内部隔壁(支持隔壁13、第1傾斜隔壁45、第2傾斜隔壁46および水平隔壁47)が、ステータから吸気部に向かうにしたがって吸気経路が狭り、かつ、吸気部の吸気口の大きさに近づくように設けられた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、吸気経路が狭まることなく、一定の大きさとなるように形成してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、外部空気が通過する冷却管と外部送風機とを備えた冷却ユニットを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば冷却管の内部を冷却液が通過する液冷式の冷却ユニットが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 発電機(回転電機)
4 ブレード
10 本体筐体(筐体)
13 支持隔壁(内部隔壁)
20 ロータ(回転子)
21 回転軸
22a 永久磁石
22b 空気流通空間
24 ロータコア部(部分回転子)
25 ロータスペーサ(スペーサ)
26 ロータ通風孔(第1通風孔)
30 ステータ(固定子)
32 巻線
33 ステータコア部(部分固定子)
35 ステータスペーサ(スペーサ)
36 ステータ通風孔(第2通風孔)
40 冷却ユニット
41 ユニット筐体(筐体)
42 冷却管
43 外部送風機
44 内部送風機
44a 吸気部
44b 排気部
45 第1傾斜隔壁(内部隔壁)
46 第2傾斜隔壁(内部隔壁)
47 水平隔壁(内部隔壁)
100、200 風力発電システム
X方向 回転軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線を有する固定子と、
前記固定子の内側に回転可能に配置され、永久磁石を有し、軸方向に延びる空気流通空間が内側に設けられた回転子とを備え、
前記回転子は、前記回転子の内周面から外周面まで貫通する第1通風孔を含み、
前記固定子は、前記固定子の内周面から外周面まで貫通する第2通風孔を含み、
前記回転子は、前記回転軸方向に間隔を隔てて配置された複数の環状の部分回転子を含み、
前記永久磁石は、前記複数の部分回転子それぞれに設けられることによって、前記回転軸方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1通風孔は、前記複数の部分回転子間の空隙によって形成される、回転電機。
【請求項2】
前記第1通風孔は、前記回転子の回転軸方向に間隔を隔てて複数設けられ、
前記第2通風孔は、前記回転子の回転軸方向に間隔を隔てて複数設けられている、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1通風孔は、前記回転子の周方向に延びるように設けられ、
前記第2通風孔は、前記固定子の周方向に延びるように設けられている、請求項1または2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記固定子は、前記回転子の回転軸方向に間隔を隔てて配置された複数の環状の部分固定子を含み、
前記第2通風孔は、前記複数の部分固定子間の空隙によって形成される、請求項1に記載の回転電機。
【請求項5】
前記回転子の部分回転子は、前記回転軸方向に所定の間隔を隔てて配置され、
前記第1通風孔は、前記複数の部分回転子間の前記所定の間隔を有する空隙によって形成され、
前記固定子は、前記回転軸方向に前記所定の間隔を隔てて配置された複数の環状の部分固定子を含み、
前記第2通風孔は、前記複数の部分固定子間の前記所定の間隔を有する空隙によって形成され、
前記複数の部分回転子の間、および、前記複数の部分固定子の間には、それぞれ、スペーサが配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記回転子は、内周面および外周面を有する円筒形状を有し、
前記空気流通空間は、前記円筒形状の回転子の内周面によって囲まれた空間により構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記固定子および前記回転子を収容する筐体と、
冷却ユニットと、
前記回転子の第1通風孔および前記固定子の第2通風孔と前記冷却ユニットとの間で前記筐体の内部空気を循環させる循環流を形成する内部送風機とをさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記内部送風機は、外部電力供給により駆動されることによって、前記循環流を強制的に形成するように構成されている、請求項7に記載の回転電機。
【請求項9】
前記筐体は、前記筐体の内部空気の循環経路を形成する内部隔壁をさらに備え、
前記内部隔壁は、前記循環流が前記第1通風孔および前記第2通風孔を通過して前記冷却ユニットに至り、前記冷却ユニットから前記回転子の空気流通空間に流入して前記第1通風孔に再度到達する循環経路を形成するように構成されている、請求項7または8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記内部送風機は、吸気部および排気部を有し、
前記内部隔壁は、前記固定子の前記第2通風孔から前記冷却ユニットを介して前記内部送風機の吸気部に至る前記循環流の吸気経路を形成するとともに、前記固定子から前記吸気部に向かうにしたがって前記吸気経路が狭り、かつ、前記吸気部の吸気口の大きさに近づくように設けられている、請求項9に記載の回転電機。
【請求項11】
前記冷却ユニットは、前記筐体の内部の前記固定子と前記内部送風機との間に配置され、内部を外部空気が通過するとともに外周部を前記筐体の内部空気の循環流が通過する冷却管と、外部空気を前記冷却管の内部に供給する外部送風機とをさらに含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の回転電機。
【請求項12】
巻線を有する固定子と、前記固定子の内側に回転可能に配置され、永久磁石を有し、軸方向に延びる空気流通空間が内側に設けられた回転子とを含む回転電機と、
前記回転電機の前記回転子に接続されるブレードとを備え、
前記回転電機の前記回転子は、前記回転子の内周面から外周面まで貫通する第1通風孔を有し、
前記回転電機の前記固定子は、前記固定子の内周面から外周面まで貫通する第2通風孔を有し、
前記回転子は、前記回転軸方向に間隔を隔てて配置された複数の環状の部分回転子を含み、
前記永久磁石は、前記複数の部分回転子それぞれに設けられることによって、前記回転軸方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1通風孔は、前記複数の部分回転子間の空隙によって形成される、風力発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39846(P2012−39846A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8644(P2011−8644)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【分割の表示】特願2010−179108(P2010−179108)の分割
【原出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】