説明

回転駆動装置、搬送装置及び回転伝達機構

【課題】複数の回転軸が同軸上に配置される場合であっても回転伝達特性を同一とすることが可能な回転伝達装置を提供すること
【解決手段】本発明の回転伝達装置2は、第1の回転伝達機構と、第2の回転伝達機構とを具備する。
第1の回転伝達機構は、第1のハウジング32と、第1の駆動源31によって回転駆動される第1の駆動軸33と、第1の従動軸36と、第1の駆動軸33の回転を第1の従動軸36に伝達する第1の伝達部34、35とを有する。
第2の回転伝達機構は、第2のハウジング42と、第2の駆動源41によって回転駆動される第2の駆動軸43と、第1の従動軸36と同軸である第2の従動軸46と、第1の伝達部34、35と同一の構造を有し第2の駆動軸43の回転を第2の従動軸46に伝達する第2の伝達部44、45とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転動力によって駆動されるアクチュエータに回転動力を伝達するための回転駆動装置、搬送装置及び回転伝達機構に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品のウェハや、液晶表示装置のガラス基板等の搬送には搬送ロボットが用いられる。このような搬送ロボットは、伸縮可能なアームに設けられたハンドによって搬送対象物を把持し、搬送することが可能に構成されている。アームの伸縮や旋回は、モータ等の駆動源によって生成された回転動力が用いられる。
【0003】
回転動力は駆動源に接続された回転軸を介してアームに伝達されるものが一般的であるが、アームの伸縮や旋回には、相互に独立して回転する複数の回転軸が必要であることが多い。このような複数の回転軸を同軸上に配置した機構はよく知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、同軸上にアーム伸縮用の2本とアーム旋回用の1本の回転軸が設けられた「搬送ロボット」が開示されている。この搬送ロボットでは3本の回転軸が同軸上にあるため、内側の回転軸はモータに直結され、外側の2本の回転軸はそれぞれモータにベルトによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−223204号公報(段落[0033]、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送ロボットのように、モータと回転軸の接続方式が回転軸によって異なる場合、減速比やトルク等の回転伝達特性に差が発生してしまう。これにより例えば、複数の回転軸を同期的に制御する場合、トルクの弱い回転軸の回転が遅延する等の問題が生じる。また、モータと回転軸の接続の後に各回転軸の間でのアライメントが必要である。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、複数の回転軸が同軸上に配置される場合であっても回転伝達特性を同一とすることが可能な回転駆動装置、搬送装置及び回転伝達機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転駆動装置は、第1の回転伝達機構と、第1の駆動源と、第2の回転伝達機構と、第2の駆動源とを具備する。
上記第1の回転伝達機構は、第1のハウジングと、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の軸方向に延びる第1の従動軸と、上記第1の駆動軸の回転を上記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する。
上記第1の駆動源は、上記第1の駆動軸に回転動力を供給する。
上記第2の回転伝達機構は、上記第1のハウジングに上記第1の軸方向に積層された第2のハウジングと、上記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、上記第2のハウジングに回転可能に設けられ上記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、上記第1の伝達部と同一の構造を有し上記第2の駆動軸の回転を上記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する。
上記第2に駆動源は、上記第2の駆動軸に回転動力を供給する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る搬送装置は、第1の回転伝達機構と、第1の駆動源と、第2の回転伝達機構と、第2の駆動源と、アームユニットとを具備する。
上記第1の回転伝達機構は、第1のハウジングと、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の軸方向に延びる第1の従動軸と、上記第1の駆動軸の回転を上記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する。
上記第1の駆動源は、上記第1の駆動軸に回転動力を供給する。
上記第2の回転伝達機構は、上記第1のハウジングに上記第1の軸方向に積層された第2のハウジングと、上記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、上記第2のハウジングに回転可能に設けられ上記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、上記第1の伝達部と同一の構造を有し上記第2の駆動軸の回転を上記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する。
上記第2に駆動源は、上記第2の駆動軸に回転動力を供給する。
上記アームユニットは、上記第1の従動軸及び上記第2の従動軸に接続され、上記第1の従動軸及び上記第2の従動軸の回転によって伸縮及び旋回が可能である。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る回転伝達機構は、ハウジングと、駆動軸と、従動軸と、伝達部とを具備する。
上記駆動軸は、上記ハウジングに回転可能に設けられ、回転動力を生成する駆動源によって回転駆動される。
上記従動軸は、上記ハウジングに回転可能に設けられている。
上記伝達部は、上記駆動軸の回転を上記従動軸に伝達する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の別の形態に係る回転伝達機構は、上記回転伝達機構を複数有し、上記複数の回転伝達機構は、同軸上に積層されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る搬送装置の外観を示す図である。
【図2】同搬送装置の駆動部の構造を示す断面図である。
【図3】同搬送装置の第1ギヤユニットを示す断面図である。
【図4】同搬送装置の第2ギヤユニットを示す断面図である。
【図5】同搬送装置の第1ギヤユニットと第2ギヤユニットの共通部分を示す断面図である。
【図6】同搬送装置の固定板に固定された第1モータ及び第2モータの位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係る回転駆動装置は、第1の回転伝達機構と、第1の駆動源と、第2の回転伝達機構と、第2の駆動源とを具備する。
上記第1の回転伝達機構は、第1のハウジングと、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の軸方向に延びる第1の従動軸と、上記第1の駆動軸の回転を上記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する。
上記第1の駆動源は、上記第1の駆動軸に回転動力を供給する。
上記第2の回転伝達機構は、上記第1のハウジングに上記第1の軸方向に積層された第2のハウジングと、上記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、上記第2のハウジングに回転可能に設けられ上記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、上記第1の伝達部と同一の構造を有し上記第2の駆動軸の回転を上記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する。
上記第2に駆動源は、上記第2の駆動軸に回転動力を供給する。
【0014】
この構成によれば、第1の伝達部と第2の伝達部は同一の構造を有するため、第1の駆動軸と第1の従動軸の間の回転伝達特性と、第2の駆動軸と第2の従動の間の回転伝達特性(減速比)を同一とすることが可能である。また、第1の駆動軸と第1の従動軸は第1の回転伝達機構としてユニット化され、第2の駆動軸と第2の従動軸は第2の回転伝達機構としてユニット化されているため、第1の駆動軸と第1の従動軸の間及び第2の駆動軸と第2の従動軸の間でアライメントを行う必要がなく、生産性が良好である。
【0015】
上記第1のハウジングは、上記第1の軸方向に垂直な方向に上記第1の従動軸と所定の距離を空けて離間した上記第1の軸方向に平行な第2の軸方向に沿って上記第1の駆動軸を支持し、上記第2のハウジングは、上記第1の軸方向に垂直な方向に上記第1の軸方向と上記所定の距離を空けて離間した上記第1の軸方向に平行な上記第2の軸方向とは異なる第3の軸方向に沿って上記第2の駆動軸を支持してもよい。
【0016】
第1の駆動軸と第2の駆動軸とが、同軸である第1の従動軸及び第2の従動軸とは異なる軸上にあり、かつ互いに離間しているため、第1の伝達部及び第2の伝達部を同一の構造を有するものとすることが可能である。
【0017】
上記第1の伝達部は、上記第1の駆動軸に設けられ上記第2の軸方向を回転軸とする第1の駆動ギヤと、上記第1の従動軸に設けられ上記第1の軸方向を回転軸とする上記第1の駆動ギヤに噛合する第1の従動ギヤとを有し、上記第2の伝達部は、上記第2の駆動軸に設けられ上記第3の軸方向を回転軸とする第2の駆動ギヤと、上記第2の従動軸に設けられ上記第1の軸方向を回転軸とする上記第2の駆動ギヤに噛合する第2の従動ギヤとを有していてもよい。
【0018】
第1の伝達部及び第2の伝達部にバックラッシレスのギヤを用いることにより、ベルトドライブ等の他の回転伝達方式に比べ第1駆動軸と第1従動軸の間及び第2駆動軸と第2従動軸の間の回転伝達を高精度に行うことが可能である。
【0019】
上記回転駆動装置は、上記第1の回転伝達機構、上記第1の駆動源、上記第2の回転伝達機構及び上記第2の駆動源を収容し、内部を真空に維持することが可能な真空容器
をさらに具備していてもよい。
【0020】
回転力を発生させるための動力源は、廃熱等の問題もあり真空容器の外部に配置されることが一般的である。この場合、回転動力を真空容器内部に導くための真空シールが必要となる。一方、本実施形態に係る第1の動力源及び第2の動力源は真空容器に含まれるため、真空シールを用いる必要がなく、低コストに生産することが可能である。
【0021】
上記第1のハウジングは、上記第2のハウジングが積層された第1の面と、上記第1の面の反対側の第2の面を有し、上記第1の駆動軸及び上記第2の駆動軸は上記第1のハウジングを挿通し、上記回転駆動装置は、上記第1のハウジングの上記第2の面に積層され、上記第1の駆動軸と接続された上記第1の駆動源と、上記第2の駆動軸と接続された上記第2の駆動源とを固定する固定板をさらに具備していてもよい。
【0022】
この構成によれば、第1の駆動源及び第2に駆動源が、第1の従動軸及び第2の従動軸と反対側の同一の固定板に固定されているため、第1の駆動源及び第2の駆動源のメンテナンスが容易である。
【0023】
本実施形態に係る搬送装置は、第1の回転伝達機構と、第1の駆動源と、第2の回転伝達機構と、第2の駆動源と、アームユニットとを具備する。
上記第1の回転伝達機構は、第1のハウジングと、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、上記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の軸方向に延びる第1の従動軸と、上記第1の駆動軸の回転を上記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する。
上記第1の駆動源は、上記第1の駆動軸に回転動力を供給する。
上記第2の回転伝達機構は、上記第1のハウジングに上記第1の軸方向に積層された第2のハウジングと、上記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、上記第2のハウジングに回転可能に設けられ上記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、上記第1の伝達部と同一の構造を有し上記第2の駆動軸の回転を上記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する。
上記第2に駆動源は、上記第2の駆動軸に回転動力を供給する。
上記アームユニットは、上記第1の従動軸及び上記第2の従動軸に接続され、上記第1の従動軸及び上記第2の従動軸の回転によって伸縮及び旋回が可能である。
【0024】
上述のように第1の回転伝達機構と第2の回転伝達機構の回転伝達特性は同一であるため、第1の従動軸及び第2の従動軸に接続されたアームユニットの伸縮及び旋回をスムーズかつ高精度とすることができる。
【0025】
本実施形態に係る回転伝達機構は、ハウジングと、駆動軸と、従動軸と、伝達部とを具備する。
上記駆動軸は、上記ハウジングに回転可能に設けられ、回転動力を生成する駆動源によって回転駆動される。
上記従動軸は、上記ハウジングに回転可能に設けられている。
上記伝達部は、上記駆動軸の回転を上記従動軸に伝達する。
【0026】
この構成によれば、駆動軸と従動軸は回転伝達機構としてユニット化されているため、この回転伝達機構を備える装置の組み立て時に駆動軸と従動軸のアライメントを行う必要がなく、生産性を向上させることが可能である。
【0027】
本実施形態に係る回転伝達機構は、上記回転伝達機構を複数有し、上記複数の回転伝達機構は、同軸上に積層されていてもよい。
【0028】
この構成によれば、駆動軸と従動軸は回転伝達機構としてユニット化されているため、複数の回転伝達機構を備える装置の組み立て時に他の回転伝達機構との間で駆動軸と従動軸のアライメントを行う必要がなく、生産性を向上させることが可能である。
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
[基板搬送装置の構成]
本実施形態に係る基板搬送装置の構成について説明する。
図1は、搬送装置1の外観を示す図である。図1(a)は概略構成を示す斜視図であり、図1(b)はその平面図である。なお、以下の説明では、空間上の一方向をX方向とし、X方向に直交する一方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0031】
図1に示すように、搬送装置1は、駆動部2、アーム3及びハンド4を有する。駆動部2にアーム3が支持され、アーム3の先端にハンド4が接続されている。ハンド4には、搬送対象物の例として基板Wが載置されている。
【0032】
このような搬送装置1は、例えば搬送チャンバの内部に収容され、アーム3の伸縮により搬送対象物をプロセスチャンバから出し入れするための装置である。以下では、アーム3はフロッグレッグ型アームであるものとして説明するが、他の型式のアームであってもよい。
【0033】
図1(a)及び図1(b)に示すように、アーム3は第1レバー3a、第2レバー3b、第3レバー3c及び第4レバー3dを有する。第1レバー3a及び第2レバー3bは、接続軸3eを介して駆動部2に接続され、第1レバー3aには接続軸3fを介して第3レバー3cが、第2レバー3bには接続軸3gを介して第4レバー3dが接続されている。第3レバー3c及び第4レバー3dは接続軸3hを介してハンド4に接続されている。第1レバー3a及び第2レバー3bが駆動部2によって回転駆動されると各レバー相互の角度が変化し、アーム3が伸縮する。このため、駆動部2が第1レバー3aと第2レバー3bとを同期させて回転させることで、アーム3をスムーズかつ高精度に伸縮させることが可能となる。以下、アーム3はX−Y平面に沿って伸縮するものとし、第1レバー3a及び第2レバー3bの回転軸はX−Y平面に垂直であるZ方向に沿っているものとして説明する。
【0034】
図2は、駆動部2の構造を示す断面図である。
同図2に示すように、駆動部2は、固定板11、第1モータ31、第2モータ41、第1ハウジング32、第2ハウジング42、第1駆動軸33、第2駆動軸43、第1駆動ギヤ34、第2駆動ギヤ44、第1従動ギヤ35、第2従動ギヤ45、第1従動軸36、第2従動軸46及び複数の軸受け12を有する。これらの各構成は真空容器10に収容されている。なお、真空容器10には、搬送チャンバの底面に係合するためのフランジ部10aが形成されている。
【0035】
第1モータ31、第1ハウジング32、第1駆動軸33、第1駆動ギヤ34、第1従動ギヤ35及び第1従動軸36は第1ギヤユニット30を構成する。図3は第1ギヤユニット30を示す断面図である。以下、第1ギヤユニット30の各構成について説明する。
【0036】
第1ハウジング32は、軸受け12を介して第1駆動軸33及び第1従動軸36を回転可能に支持する。ここで、第1ハウジング32は、第1従動軸36をZ方向に平行な第1の軸方向に沿うように支持する。また、第1ハウジング32は、第1駆動軸33をZ方向に平行であり、第1の軸方向と垂直な方向(X−Y平面方向)に離間する第2の軸方向に沿うように支持する。第1駆動軸33と第1従動軸36の間は所定の軸間距離とする。
【0037】
第1モータ31は、第1従動軸36を回転させるための回転動力を生成する。第1モータ31は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。第1モータ31は、回転軸がZ方向となるように第1駆動軸33に接続される。
【0038】
第1駆動軸33は、第1モータ31によって発生する回転動力を第1駆動ギヤ34及び第1従動ギヤ35を介して第1従動軸36に伝達する。第1駆動軸33は、第1ハウジング32からZ方向下方(第1モータ31側)に延在し、第1モータ31に接続されている。
【0039】
第1駆動ギヤ34は、第1駆動軸33の回転によって回転し、噛合する第1従動ギヤ35を回転させる。第1駆動ギヤ34は、第1駆動軸33のZ方向上方(第1モータ31側と反対側)の端部に、第1駆動軸33と回転軸が同軸(第2の軸方向)となるように取り付けられている。
【0040】
第1従動ギヤ35は、噛合する第1駆動ギヤ34の回転によって回転し、接続されている第1従動軸36を回転させる。第1従動ギヤ35は、第1ハウジング32に、軸受け12を介して回転軸が第1の軸方向となるように支持されている。ここで、第1従動ギヤ35は、その回転軸が第1駆動軸33(第1駆動ギヤ34)の回転軸と異なり、かつ第1駆動ギヤ34に噛合するように配置される。
【0041】
第1従動軸36は、第1従動ギヤ35の回転によって回転し、上述した第1レバー3aを回転駆動する。第1従動軸36は、第1従動ギヤ35に、回転軸が第1従動ギヤ35と同軸となるように接続され、Z方向上方に延在する。
【0042】
第1ギヤユニット30はこのように構成されている。第1駆動軸33、第1駆動ギヤ34、第1従動ギヤ35及び第1従動軸36は予め第1ギヤユニット30に組み込まれているため、駆動部2を組み立てる際に第1ギヤユニット30を取り付ければよく、別途ギヤのアライメントを行う必要がない。
【0043】
第2モータ41、第2ハウジング42、第2駆動軸43、第2駆動ギヤ44、第2従動ギヤ45及び第2従動軸46は第2ギヤユニット40を構成する。図4は第2ギヤユニット40を示す断面図である。なお、本実施形態ではギヤユニットは2基であるものとするが、より多数であってもよい。以下、第2ギヤユニット40の各構成について説明する。
【0044】
第2ハウジング42は、軸受け12を介して第2駆動軸43及び第2従動軸46を回転可能に支持する。ここで、第2ハウジング42は、第2従動軸46をZ方向に平行な第1の軸方向に沿うように支持する。また、第2ハウジング42は、第2駆動軸43をZ方向に平行であり、第1の軸方向と垂直な方向(X−Y平面方向)に離間する第3の軸方向に沿うように支持する。第2駆動軸43と第2従動軸46の間は上記第1ハウジング32における第1駆動軸33と第1従動軸36の間の距離と同一の軸間距離とする。
【0045】
第2モータ41は、第2従動軸46を回転させるための回転動力を生成する。第2モータ41は、真空環境下で動作することが可能なモータとすることができる。第2モータ41は、回転軸がZ方向となるように第2駆動軸43に接続される。
【0046】
第2駆動軸43は、第2モータ41によって発生する回転動力を第2駆動ギヤ44及び第2従動ギヤ45を介して第2従動軸46に伝達する。第2駆動軸43は、第2ハウジング42からZ方向下方(第2モータ41側)に延在し、第2モータ41に接続されている。
【0047】
第2駆動ギヤ44は、第2駆動軸43の回転によって回転し、噛合する第2従動ギヤ45を回転させる。第2駆動ギヤ44は、第2駆動軸43のZ方向上方(第2モータ41側と反対側)の端部に、第2駆動軸43と回転軸が同軸(第3の軸方向)となるように取り付けられている。
【0048】
第2従動ギヤ45は、噛合する第2駆動ギヤ44の回転によって回転し、接続されている第2従動軸46を回転させる。第2従動ギヤ45は、第2ハウジング42に、軸受け12を介して回転軸が第1の軸方向となるように支持されている。ここで、第2従動ギヤ45は、その回転軸が第2駆動軸43(第2駆動ギヤ34)の回転軸と異なり、かつ第2駆動ギヤ44に噛合するように配置される。
【0049】
第2従動軸46は、第2従動ギヤ45の回転によって回転し、上述した第2レバー3bを回転駆動する。第2従動軸46は、第2従動ギヤ45に、回転軸が第2従動ギヤ45と同軸となるように接続され、Z方向上方に延在する。また、第2従動軸46は、後述するように、内部に第1従動軸36が挿通されるため、中空に形成される。
【0050】
第2ギヤユニット40はこのように構成されている。第2駆動軸43、第2駆動ギヤ44、第2従動ギヤ45及び第2従動軸46は予め第2ギヤユニット40に組み込まれているため、駆動部2を組み立てる際に第2ギヤユニット40を取り付ければよく、別途ギヤのアライメントを行う必要がない。
【0051】
図2に示すように、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40は、第2ギヤユニットがZ方向上方となるようにZ方向に積層されて真空容器10に収容される。この際、第1駆動軸33と第2駆動軸43は、干渉しないように、X−Y平面方向において異なる位置、例えば180°反対側に配置される。また、第1従動軸36と第2従動軸46は、第2従動軸46の内部に第1従動軸36が挿通されるように配置される。第1従動軸36と第2従動軸46の間には軸受け12が設けられており、両者は互いに対して回転自在とされる。なお、駆動部2に配置されるギヤユニットの数は2基に限られず、より多数のギヤユニットを配置することも可能である。
【0052】
第1駆動ギヤ34と第2駆動ギヤ44とはギヤ径が同一であり、第1従動ギヤ35と第2従動ギヤ35とはギヤ径が同一であるため、第1ギヤユニット30のギヤ比と第2ギヤユニット40のギヤ比は同一である。したがって、第1駆動軸33と第1従動軸36との回転伝達特性と、第2駆動軸43と第2従動軸46との回転伝達特性(減速比やトルク等)は同一である。
【0053】
また、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40は、共通の構造を有する。図5は、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40の共通部分を示す断面図である。同図に示すように、ハウジング52及びハウジング52に軸受け12を介して設けられた従動ギヤ55は、第1ギヤユニット30及び第2ギヤユニット40に共通の構造である。このため、この構造を第1ギヤユニット30及び第2ギヤユニット40に共通の部品として用いることが可能である。
【0054】
図2に示すように、第1モータ31及び第2モータ41は固定板11に固定されている。図6は固定板11に固定された第1モータ31及び第2モータ41の位置関係を示す平面図である。図6は固定板11を、下方側(ギヤユニット側と反対側)からみた図である。同図に示すように、第1モータ31及び第2モータ41は、固定板11上の対角に設けられている。また、固定板11には、ギヤユニットが3基以上設けられる場合にそのモータを固定するための固定孔11aが複数、例えば60°等配で形成されている。この固定孔11aの配置角度は、駆動部2に配置されるギヤユニットの数に応じて変更することが可能である。第1モータ31及び第2モータ41はギヤユニットと反対側の単一の固定板11に固定されているため、メンテナンスが容易でありコンパクト化が可能である。さらに、第1モータ31及び第2モータ41は真空容器10に収容されるため、第1駆動軸33及び第2駆動軸43に真空シールを用いる必要はない。
【0055】
駆動部2は以上のように構成されている。上述のように、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40はユニット化されているため、駆動部2に取り付ける際にギヤのアライメントが不要である。また、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40の回転伝達特性は同一であるため、第1従動軸36と第2従動軸46との回転駆動を容易に同期させることが可能となる。
【0056】
[基板搬送装置の動作]
搬送装置1の動作について説明する。
図示しない制御装置から、第1モータ31及び第2モータ41に駆動電力が印加されると、第1モータ31が第1駆動軸33を回転駆動し、第2モータ41が第2駆動軸43を回転駆動する。この際、第1モータ31と第2モータ41の回転駆動方向は逆回転方向とすることができる。
【0057】
第1駆動軸33が回転駆動されると、第1駆動軸33に設けられている第1駆動ギヤ34が、噛合する第1従動ギヤ35を介して第1従動軸36を回転させる。これにより、第1従動軸36に接続されている第1レバー3aが回転駆動される。また、第2駆動軸43が回転駆動されると、第2駆動軸43に設けられている第2駆動ギヤ44が、噛合する第2従動ギヤ45を介して第2従動軸46を回転させる。これにより、第2従動軸46に接続されている第2レバー3bが回転駆動される。
【0058】
第1レバー3a及び第2レバー3bが回転することによって、それぞれに接続されている第3レバー3c及び第4レバー3dも接続箇所を支点として回転し、アーム3が伸縮する。これによってアーム3の先端に設けられたハンド4の位置が移動し、基板Wを搬送する。
【0059】
上述のように、第1従動軸36と第2従動軸46との回転駆動は、第1ギヤユニット30と第2ギヤユニット40の回転伝達特性が同一であることから同期されている。これにより、アーム3を伸縮させるための第1レバー3a及び第2レバー3bの回転も同期されており、アーム3の伸縮をスムーズかつ高精度に行うことが可能である。
【0060】
本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
【0061】
本実施形態では、駆動軸と従動軸の間の回転動力伝達にはギヤを用いるものとしたが、他の手段を用いることも可能である。例えば、駆動軸及び従動軸に設けたプーリーと、これに巻回されたベルトによって回転動力を伝達してもよい。この場合でも、異なるユニットの回転伝達特性を同一にすることで回転軸の回転を同期させることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1…搬送装置
2…駆動部
3…アーム
3a…第1レバー
3b…第2レバー
10…真空容器
11…固定板
30…第1ギヤユニット
31…第1モータ
32…第1ハウジング
33…第1駆動軸
34…第1駆動ギヤ
35…第1従動ギヤ
36…第1従動軸
40…第2ギヤユニット
41…第2モータ
42…第2ハウジング
43…第2駆動軸
44…第2駆動ギヤ
45…第2従動ギヤ
46…第2従動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジングと、前記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、前記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の軸方向に延びる第1の従動軸と、前記第1の駆動軸の回転を前記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する第1の回転伝達機構と、
前記第1の駆動軸に回転動力を供給する第1の駆動源と、
前記第1のハウジングに前記第1の軸方向に積層された第2のハウジングと、前記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、前記第2のハウジングに回転可能に設けられ前記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、前記第1の伝達部と同一の構造を有し前記第2の駆動軸の回転を前記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する第2の回転伝達機構と、
前記第2の駆動軸に回転動力を供給する第2の駆動源と
を具備する回転駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記第1のハウジングは、前記第1の軸方向に垂直な方向に前記第1の従動軸と所定の距離を空けて離間した前記第1の軸方向に平行な第2の軸方向に沿って前記第1の駆動軸を支持し、
前記第2のハウジングは、前記第1の軸方向に垂直な方向に前記第1の軸方向と前記所定の距離を空けて離間した前記第1の軸方向に平行な前記第2の軸方向とは異なる第3の軸方向に沿って前記第2の駆動軸を支持する
回転駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記第1の伝達部は、前記第1の駆動軸に設けられ前記第2の軸方向を回転軸とする第1の駆動ギヤと、前記第1の従動軸に設けられ前記第1の軸方向を回転軸とする前記第1の駆動ギヤに噛合する第1の従動ギヤとを有し、
前記第2の伝達部は、前記第2の駆動軸に設けられ前記第3の軸方向を回転軸とする第2の駆動ギヤと、前記第2の従動軸に設けられ前記第1の軸方向を回転軸とする前記第2の駆動ギヤに噛合する第2の従動ギヤとを有する
回転駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記第1の回転伝達機構、前記第1の駆動源、前記第2の回転伝達機構及び前記第2の駆動源を収容し、内部を真空に維持することが可能な真空容器
をさらに具備する回転駆動装置。
【請求項5】
請求項1に記載の回転駆動装置であって、
前記第1のハウジングは、前記第2のハウジングが積層された第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面を有し、
前記第1の駆動軸及び前記第2の駆動軸は前記第1のハウジングを挿通し、
前記回転駆動装置は、前記第1のハウジングの前記第2の面に積層され、前記第1の駆動軸と接続された前記第1の駆動源と、前記第2の駆動軸と接続された前記第2の駆動源とを固定する固定板をさらに具備する
回転駆動装置。
【請求項6】
第1のハウジングと、前記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の駆動軸と、前記第1のハウジングに回転可能に設けられた第1の従動軸と、前記第1の駆動軸の回転を前記第1の従動軸に伝達する第1の伝達部とを有する第1の回転伝達機構と、
前記第1の駆動軸に回転動力を供給する第1の駆動源と、
前記第1のハウジングに積層された第2のハウジングと、前記第2のハウジングに回転可能に設けられた第2の駆動軸と、前記第2のハウジングに回転可能に設けられ前記第1の従動軸と同軸である第2の従動軸と、前記第1の伝達部と同一の構造を有し前記第2の駆動軸の回転を前記第2の従動軸に伝達する第2の伝達部とを有する第2の回転伝達機構と、
前記第2の駆動軸に回転動力を供給する第2の駆動源と
前記第1の従動軸及び前記第2の従動軸に接続され、前記第1の従動軸及び前記第2の従動軸の回転によって伸縮及び旋回が可能なアームユニットと
を具備する搬送装置。
【請求項7】
ハウジングと、
前記ハウジングに回転可能に設けられ、回転動力を生成する駆動源によって回転駆動される駆動軸と、
前記ハウジングに回転可能に設けられた従動軸と、
前記駆動軸の回転を前記従動軸に伝達する伝達部と
を具備する回転伝達機構。
【請求項8】
請求項7に記載の回転伝達機構を複数有し、
前記複数の回転伝達機構は同軸上に積層されていることを特徴とする回転駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195335(P2012−195335A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56269(P2011−56269)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】