説明

団地内見守りシステムのビジネスモデル

【課題】団地の高齢居住者を対象として地域でコミュニティーを形成し、お互いの見守りを地域住民の共助で行い、団地の地域住民による人的見守りをセンサーによる機械的見守りが側面からサポートするように構成し、元気な高齢居住者が運用する団地内見守りシステムのビジネスモデルを提供することである。
【解決手段】団地の各住戸内に、生活情報を収集するセンサからなる住戸内見守り装置と団地の安心センターに設置された機械的見守り手段に各住戸からの生活情報が集められると共に、住戸外でのお互いの人的見守り状況が機械的見守り手段に入力されるように構成され、安心センターでは1日に2回程度、高齢居住者の生活情報や異変の有無がチェックできるようにし、人的見守りと機械的見守りから異変が認められる場合には、安心センターから駆けつけて状況判断や各種支援が行えるようにした団地の見守りシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、団地で暮らしている高齢居住者が住戸内で安心して生活できると共に住戸外では、団地内の高齢居住者が集まり易いコミュニティーが形成される団地内見守りシステムのビジネスモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化社会が進みつつあり、子供たちの生活を尊重したいなどの理由で独居を選ぶ高齢者が増加している。このため、都市部では地域コミュニティが希薄になると共に人的交流が疎遠になりがちになり、隣家の異変に気付き難くなっている。古くからの団地では、高齢者夫婦だけや高齢独居者の割合が数10%にもなって来ており、お互いに見守る自助努力が求められるが、訪問などによる人的見守りを少なくでき、かつ住み慣れた地域で安心して暮らせるコミュニティー作りが必要とされてきている。最近の見守りシステムとして訪問介護や訪問サービス等の人的見守りや日常使われている水道や電気ポットを利用した機械的生活見守りシステムが従来技術として知られている。本発明に関する先行技術文献として、下記のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−74561号報
【特許文献2】特開2006−65886号報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のようなICTを用いた生活見守りシステムでは、営利を目的とした運用が行われること、通信の手段として公衆回線が使われることなどから利用料金が高くなる。また、遠隔看護者に対してレポートされるが異変時に対して的確でかつ早い対応は難しい。更に、センサを用いた機械的見守りシステムだけでは十分とは言い難い。そこで、本発明は、団地の高齢居住者を対象として地域でコミュニティーを形成し、お互いの見守りを地域住民の共助で行い、団地の地域住民による人的見守りをセンサーによる機械的見守りが側面からサポートするように構成し、元気な高齢居住者が運用する団地内見守りシステムのビジネスモデルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、団地の各住戸内に、生活情報を収集するセンサからなる住戸内見守り装置と団地の安心センターに設置された機械的見守り手段に各住戸からの生活情報が集められると共に、住戸外でのお互いの人的見守り状況が機械的見守り手段に入力されるように構成され、安心センターでは1日に2回程度、高齢居住者の生活情報や異変の有無がチェックできるようにし、人的見守りと機械的見守りから異変が認められる場合には、安心センターから駆けつけて状況判断や各種支援が行えるようにして、この安心センターの運用は団地の元気な高齢居住者、自治会、NPO法人などの地域住民で行われるようにした団地の見守りシステムのビジネスモデルである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の団地内見守りシステムのビジネスモデルによれば、団地内の安心センターにコミュニティーが形成され、団地の高齢居住者が安心センターに憩いの場所として集まり易くなり、訪問による安否確認を少なくでき、また見守りを団地の高齢居住者の共助で行うことができので、住み慣れた団地で安心して暮らせるつながりをつくることができる。更に、センサーによる機械的見守りが人的見守りをサポートするように構成されるので、より早く、より確実に団地の高齢居住者の異変に気付くことができると共に、見守り活動の労力を軽減でき、かつ安心センターの運用は団地の元気な高齢居住者、自治会、NPO法人などの地域住民で行われるようにしたので、団地の高齢居住者の異変把握の確実性が高くなり、孤独死を防止する予防的な取り組みが可能となる。更に、ローカルエリアネットワークを用いた機械的見守りシステムとしているので通信費が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図1に示す。A団地内23内の住戸内見守り装置19は、居住者の動きを検知する人感センサやテレビやエアコンなどのリモコンを操作したことを検知するリモコン操作センサ、あるいは照明灯をオン/オフしたことを検知する照明オン/オフセンサ等の居住者の生活行動を検知する生活行動センサ等からなる生活情報センサ1から得られる居住者の生活情報がコントローラ4に入力され、記憶手段5に蓄積される。居住者が外出したことを検知する外出センサ2は、ドア近傍の人感センサと玄関ドア開閉スイッチ手段で構成される。あるいは、玄関ドアを外から施錠した時にスイッチ信号が出力される外出確認錠で外出センサ2を構成してもよい。外出センサ2の出力もコントローラ4の記憶手段5に蓄積される。記憶手段5に蓄積された居住者の生活情報と外出センサ2からの外出情報は、第1の通信インターフェース手段8を介して第2の通信インターフェース手段9との間で構成される通信手段で通信が行われ、安心センター22内に設置された機械的見守り手段10に入力される。団地内の各住戸内に設置された住戸内見守り装置19〜21は生活情報センサ1から得られる居住者の生活情報が通信手段を介して安心センター22内の機械的見守り手段10に定期的(例えば1時間毎)に送信され、機械的見守り手段10は居住者の生活情報を収集して蓄積すると共に蓄積された生活情報を時系列に表示可能となるように構成され、所定時間を超えて居住者の生活情報が得られない場合には警報が出力される。第1の通信インターフェース手段8と第2の通信インターフェース手段9との間はローカルエリアネットワークとして、無線パーソナルエリアネットワーク(無線PAN)、あるいは無線ローカルエリアネットワーク(無線LAN)の通信手段で構成される。ここで第1の通信インターフェース手段8にはZigbee(登録商標)端末と、第2の通信インターフェース手段9にはZigbee(登録商標)コーディネータが用いられて無線PANが形成される。このローカルエリアネットワークは無線LANで構成してもよい。このようにローカルエリアネットワークで構成された通信手段では、住戸内見守り装置19と安心センター22内の機械的見守り手段10との間での通信料金の発生は無いので各住戸への導入がし易くなる。A団地23の安心センター22に設置された機械的見守り手段10はサーバで構成され、キーボード11、人的見守り情報メモの入力手段としての手書きタブレット12、ヘルプデスク端末13が接続される。更に、団地から外部に通じる道路の出入り口にそれぞれカメラ18を設置すると共に、カメラ18からの映像情報は機械的見守り手段10に入力され、記録が行われて団地高齢居住者が出かけた、あるいは団地に帰って来た等の見守り情報が得られる。更に機械的見守り手段10は、インターネットあるいは携帯電話等の公衆通信網25を介して複数の団地を所有する公団、あるいは地方自治体などの管理センター26に必要に応じて見守り情報を送ることができる。B団地24でもA団地23と同様な見守りが行われ、必要に応じて団地管理センター26に公衆通信網25を介してB団地24の見守り情報が送られる。住戸内見守り装置19内のコントローラ4には、サービスメニュー表示端末3が接続される。このサービスメニュー表示端末3はタッチパネルを有したもので、安心センター22に依頼できる各種メニューがボタン表示されている。居住者が依頼したい項目のボタンにタッチするとこの依頼項目情報(希望サービス情報)がコントローラ4に入力され、ローカルエリアネットワークからなる通信手段を介して安心センター22内の機械的見守り手段10に入力され、ヘルプデスク端末13に住戸内見守り装置19からの依頼項目情報である希望サービス情報が出力されて表示される。住戸内見守り装置19はIDを有しているので、どの住戸からの依頼かがわかる。サービスメニュー表示端末3は高齢居住者が使えるように表示されているメニューの依頼項目をタッチするだけなので、依頼内容の詳細は安心センター22内のヘルプデスク端末13を有したヘルプデスクからの電話対応などで確認が行われて買い物支援などを受けることができる。このようにヘルプデスク端末13の運用者による希望サービス情報の処理が行われる。ヘルプデスク端末13はインターネットあるいは携帯電話等の公衆通信網25を介して外部からチケットの購入などの支援や生活情報センター27から高齢者に便利な各種情報が入手できるように構成される。団地内巡回パトロールや訪問、あるいは安心センター22内での集いなどによる団地内高齢居住者同士の人による見守りのメモが人的見守り情報として入力手段の手書きタブレット12を介して機械的見守り手段10に入力されて蓄積される。キーボード11からは各種音声情報がテキストデータとして機械的見守り手段10に入力されて蓄積される。各種音声情報は機械的見守り手段10から第2の通信インターフェース手段9と第1の通信インターフェース手段8間の通信手段を介して住戸内見守り装置19内に入力されると共に、音声合成手段6を経てスピーカ7から高齢居住者に対して、毎朝呼びかけの音声が出力されて元気づけられると共にイベントの開催、生活用品の販売、各種お知らせ等の案内情報や生活支援情報が音声出力される。このように各種の音声情報がスピーカ7から出力されることによって高齢居住者が住戸外の安心センター22に集える機会が多くなるように音声案内が行われる。住戸内見守り装置20、21も同じ機能を有したもので、団地内の各住戸に取り付けられる。安心センター22内には食堂14があり、団地高齢居住者の健康に配慮した食事が日々提供されると共に生活用品の販売も行われる。更に各種イベント開催15や青空市場16も随時開かれる。ここで、安心センター22内の機械的見守り手段10の運用と人的見守りメモの手書きタブレット12からの入力、ヘルプデスク端末13の運用と各種支援、食堂14の運営、及びイベント開催15や青空市場16の運営等の安心センター22の運用と高齢居住者同士のお互いの人的見守りは団地の元気な高齢者の地域住民によって行われる。このように団地内の高齢居住者の安心居住に必要な各種情報の提供と生活支援、および人的見守りと人的見守りを側面からサポートする機械的見守り手段10で構成される団地内の安心センター22は地域住民としての団地内の高齢居住者で予め定められた元気な高齢者、あるいはNPO法人17等の地域住民で運用され、安心センター22を中心とした団地内の高齢居住者が集まり易いコミュニティーが形成された団地内見守りシステムのビジネスモデルを提供することができる。更に、機械的見守り手段10は警報出力手段を有しているので異変がある場合は警報が出力される。安心センター22では1日に2回程度、高齢居住者の生活情報や異常の有無がチェックできるようにし、警報出力時や異変が認められる場合には安心センター22から駆けつけて状況判断や各種支援が行えるように、この安心センター22の運用は団地の元気な高齢居住者、自治会、あるいはNPO法人などの地域住民で行われるようにした団地内見守りシステムのビジネスモデルを提供できる。このように、独居の高齢居住者がますます増加し、少子高齢化社会で家族による見守りがままならない状況が進みつつある団地にあっては、今後、団地内の高齢居住者の共助による安心して生活できる取り組みが必要となるが、本発明の団地内見守りシステムのビジネスモデルが団地内の高齢居住者に対して、安心した生活が送れる環境を提供できる。
【符号の説明】
【0009】
1 生活情報センサ
2 外出センサ
3 サービスメニュー表示端末
4 コントローラ
5 記憶手段
6 音声合成手段
7 スピーカ
8 第1の通信インタフェース手段
9 第2の通信インタフェース手段
10 機械的見守り手段
11 キーボード
12 手書きタブレット
13 ヘルプデスク端末
14 食堂
15 イベント開催
16 青空市場
17 NPO法人
18 カメラ
19〜21 住戸内見守り装置
22 安心センター
23 A団地
24 B団地
25 公衆通信網
26 団地管理センター
27 外部の情報センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
団地内に安心センターが設置され、該安心センターに高齢居住者同士のお互いの人的見守り情報が寄せられて見守りが行われると共に、前記団地内の各住戸内に設置された生活情報センサから得られる生活情報が通信手段を介して収集されるように構成された機械的見守り手段が前記安心センターに設置され、前記機械的見守り手段は前記人的見守りをサポートするように、地域住民で運用されることを特徴とする団地内見守りシステムのビジネスモデル。
【請求項2】
団地内の安心センターには、高齢居住者同士のお互いの人的見守り情報と、各住戸内に設置された生活情報センサからの生活情報がそれぞれ入力される機械的見守り手段とヘルプデスク端末が設置され、前記機械的見守り手段への前記人的見守り情報の入力と前記機械的見守り手段および前記ヘルプデスク端末は前記高齢居住者の中で予め定められた元気な高齢者によって運用されると共に、前記安心センターでは各種イベントの開催や生活用品の販売、あおぞら市場、食堂等も地域住民で運用され、団地内の前記高齢居住者が集まり易いコミュニティーが形成されることを特徴とする団地内見守りシステムのビジネスモデル。
【請求項3】
団地の住戸内見守り装置は居住者の動き、あるいは生活行動を検知する生活情報センサと外出を検知する外出センサから得られる生活情報が入力されて記憶されると共に、記憶された前記生活情報が通信料金の発生しないローカルエリアネットワークからなる通信手段を介して安心センター内の機械的見守り手段に入力されることを特徴とする請求項1記載の団地内見守りシステム。
【請求項4】
団地の住戸内見守り装置は居住者の生活情報が生活情報センサや外出センサから入力されると共に、サービスメニュー表示端末が接続され、前記居住者が前記サービスメニュー表示端末上の希望するサービスボタンにタッチしたことによる希望サービス情報が前記住戸内見守り装置から通信手段を介して安心センター内の機械的見守り手段に入力され、該機械的見守り手段に接続されたヘルプデスク端末に前記居住者のIDと希望サービス情報が出力され、運用者による希望サービス情報の処理が行われることを特徴とする請求項2記載の団地内見守りシステム。
【請求項5】
団地から外部に通じる道路の出入り口にそれぞれカメラを設置すると共に、該カメラからの映像情報は安心センター内の機械的見守り手段に入力され、記録が行われることを特徴とする請求項1または2記載の団地内見守りシステム。
【請求項6】
安心センター内の機械的見守り手段および、ヘルプデスク端末はインターネットあるいは携帯電話等の公衆通信網を介して団地を所有する管理センターあるいは外部の情報センターに接続されることを特徴とする請求項2または4記載の団地内見守りシステム。
【請求項7】
安心センター内の機械的見守り手段には人的見守り情報が入力手段を介して入力され、蓄積されることを特徴とする請求項1または2記載の団地内見守りシステム。
【請求項8】
安心センター内の機械的見守り手段は音声情報の入力手段と蓄積手段を有し、蓄積された前記音声情報は呼び掛けやイベントの開催、生活用品の販売、各種お知らせ等の案内情報や生活支援情報からなり、高齢居住者が元気づけられると共に、住戸外の前記安心センターに足を運び易いような前記音声情報が住戸内見守り装置から出力されることを特徴とする請求項1または2記載の団地内見守りシステム。
【請求項9】
団地内の各住戸内に設置された住戸内見守り装置は生活情報センサや外出センサから得られる居住者の生活情報の記憶手段を有し、蓄積された前記生活情報は通信手段を介して安心センター内の機械的見守り手段に定期的に送信され、該機械的見守り手段は前記居住者の前記生活情報を収集して蓄積すると共に蓄積された前記生活情報を時系列に表示可能となるように構成され、所定時間を超えて前記居住者の生活情報が得られない場合、警報が出力されることを特徴とする請求項1または2記載の団地内見守り装置。
【請求項10】
団地内の高齢居住者の安心居住に必要な各種情報の提供と生活支援、および人的見守りと該人的見守りを側面からサポートする機械的見守りで構成される団地内の安心センターは団地内の前記高齢居住者で元気な高齢者、あるいはNPO法人等の地域住民によって運用されることを特徴とする請求項1または2記載の団地内見守りシステムのビジネスモデル。

【図1】
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【公開番号】特開2012−174254(P2012−174254A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52157(P2011−52157)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(507375100)株式会社ソキエ (8)
【Fターム(参考)】