説明

固体撮像素子およびその製造方法、電子情報機器

【課題】裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させる。
【解決手段】裏面照射型の固体撮像素子1において、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部(複数のフォトダイオード3)と、この受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、シリコン基板2上の一または複数の層間膜(層間絶縁膜)を貫通してシリコン基板2に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマーク18とを有し、シリコン基板2の裏面側に、第2アライメントマーク18を基準にして、複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタ21およびその上のマイクロレンズ22がそれぞれ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する半導体素子で構成された固体撮像素子およびその製造方法、この製造方法により作製された固体撮像素子を、画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ(セキュリティーカメラ)などの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCMOS、CCDなどの固体撮像素子において、感度向上のために、フォトダイオード部の面積拡大が重要であり、配線などの影響を受けない裏面照射タイプが主流になりつつある。裏面と表面のアライメントとして、シリコントレンチの埋め込みマークが考案されている。
【0003】
この種の従来の裏面照射型の固体撮像素子では、表面加工時にシリコン層にアライメントマークとしてのトレンチを形成し、その中へ酸化膜の埋め込みを行っている。これを表面側と裏面側とのアライメントマークとして、裏面加工時に利用している。これが特許文献1に開示されている。
【0004】
図6は、特許文献1に開示されている従来の裏面照射型の固体撮像素子の要部構成例を示す縦断面図である。
【0005】
図6に示すように、従来の裏面照射型の固体撮像素子100の中央側の撮像領域101Aには、2次元状に複数の受光センサ101がマトリクス状に形成されたシリコン層102の裏面側(図面上側)に平坦化膜103が形成され、その上に、カラーフィルタ104さらにマイクロレンズ105が各受光センサ101にそれぞれ位置合わせして設けられている。撮像領域101Aの周辺のシリコン層102にはトレンチ(溝)が形成され、このレンチ(溝)内に絶縁層106,107が埋め込まれて絶縁分離層が形成されている。特に、パッド部の電極層108とその表面側の配線層109とを接続するコンタクト層110の周囲に絶縁層107が埋め込まれて絶縁分離層となっている。
【0006】
また、前述したように、撮像領域101Aの周辺側のパッド部において、シリコン層102にそれぞれトレンチ(溝)を形成し、それぞれのトレンチ(溝)内に絶縁層106,107を埋め込み、トレンチ(溝)内に埋め込まれた絶縁層107内に導電材料を埋め込んでコンタクト層110とし、これを介してパッド部の電極層108をパッド部の配線層109に接続させている。この撮像領域101Aの周辺のトレンチ(溝)内に埋め込まれた絶縁層106を位置合わせ用マークとして用いて、シリコン層102の裏面側(図面上側)に各受光センサ101にそれぞれ対応させてカラーフィルタ104さらにマイクロレンズ105を形成している。
【0007】
一方、シリコン層102の表面側(図面下側)には、層間絶縁膜111を介して第1層目の配線層112が形成され、その上に層間絶縁膜111を介して第2層目の配線層112が形成され、さらに、その上に層間絶縁膜111を介して第3層目の配線層112が形成され、その上を層間絶縁膜111で平坦化している。平坦化された層間絶縁膜111の上に接着層113、114を介して支持基板115が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−150463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されている上記従来の裏面照射型の固体撮像素子100では、表面加工時にシリコン層102にアライメントマークとしてトレンチ(溝)を形成し、そこへ絶縁層106,107の埋め込みを行っており、これを裏面側とのアライメントマークとして裏面加工時に利用している。ところが、この場合、表面加工時の熱処理や成膜によるストレスなどの影響により、アライメントマークとしてのトレンチ(溝)にクラックが入ったり変形したりしてアライメントマークが読めなくなる場合があった。また、赤外線カメラなどで表面を認識すると、アライメント精度がよくない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させることができる固体撮像素子およびその製造方法、この固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の固体撮像素子は、裏面照射型の固体撮像素子において、半導体基板の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部と、該受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、該半導体基板上の一または複数の層間膜を貫通して該半導体基板に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマークとを有し、該半導体基板の裏面側に、該第2アライメントマークを基準にして、該複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタおよびその上のマイクロレンズがそれぞれ形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0012】
また、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2アライメントマークは、前記半導体基板内に至っているかまたは、該半導体基板を貫通している。
【0013】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における半導体基板へのトレンチ深さが裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも浅く形成されているかまたは、該半導体基板へのトレンチ深さが裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも深く形成されている。
【0014】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2アライメントマークは、前記半導体基板の表面側に、接着層を介して貼り付けられる支持基板直下から前記半導体基板内に形成されている。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における半導体基板の表面側には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜が設けられ、該層間膜上に配線が設けられる層間膜および配線の組が複数組積層されて設けられ、前記第2アライメントマークが該複数層の層間膜を通して該半導体基板内に形成されており、その上に接着層を介して支持基板が配設されている。
【0016】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における半導体基板の表面側には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜が設けられ、該層間膜上に配線が設けられる層間膜および配線の組が複数組積層されて設けられ、その上に層間膜を介してパッシベーション膜が設けられ、前記第2アライメントマークが該パッシベーション膜から複数層の層間膜を通して該半導体基板内に形成されており、その上に接着層を介して支持基板が配設されている。
【0017】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における所定位置は、複数チップに個片化するためのスクライブラインかまたはチップ内領域である。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における所定位置がスクライブラインの場合に、個片化されたチップ切断面に前記第2アライメントマークの痕跡が残るように構成されている。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子における第2アライメントマークの形状は、平面視で一または複数の4角形状であるかまたは十字形状である。
【0020】
本発明の固体撮像素子の製造方法は、裏面照射型の固体撮像素子の製造方法において、 半導体基板の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を第1アライメントマークを基準にして形成し、該半導体基板上に一または複数の層間膜を形成し、該第1アライメントマークを基準にして所定位置に、該一または複数の層間膜を貫通して該半導体基板内に至るトレンチ構造の第2アライメントマークを形成する基板表面構造形成工程と、該半導体基板の研磨後の裏面側に、該第2アライメントマークを基準にして、該複数の受光部のそれぞれに対応するように、所定色配列のカラーフィルタを形成すると共にその上にマイクロレンズを形成する基板裏面構造形成工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0021】
また、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における基板表面構造形成工程は、前記半導体基板の表面側に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部を形成するゲート電極・受光部形成工程と、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜を形成し、該層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回繰り返す配線形成工程と、該配線および該層間膜上に層間膜を介してパッシベーション膜を形成して熱処理を行うシンタ処理工程と、該受光部を形成したときの前記第1アライメントマークを基準として、該パッシベーション膜から該半導体基板内に至るトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマークとするアライメントマーク形成工程と、該パッシベーション膜上に接着層を介して支持基板を接着する支持基板接着工程とを有する。
【0022】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における基板表面構造形成工程は、前記半導体基板の表面側に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部を形成するゲート電極・受光部形成工程と、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜を形成し、該層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回繰り返す配線形成工程と、最も上層の層間膜および配線上に層間膜を形成し、該受光部を形成したときの前記第1アライメントマークを基準として、当該層間膜から該半導体基板内に至るトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマークとするアライメントマーク形成工程と、最も上層の層間膜上に接着層を介して支持基板を接着する支持基板接着工程とを有する。
【0023】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における基板裏面構造形成工程は、該半導体基板の裏面側を所定量研磨する研磨工程と、該半導体基板の研磨後の裏面側に、前記第2アライメントマークを基準として、前記受光部にそれぞれ対応するように所定色配列のカラーフィルタを形成すると共に、該受光部にそれぞれ対応するように該カラーフィルタ上にマイクロレンズを形成するカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程とを有する。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法におけるカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程におけるマイクロレンズの形成は、前記カラーフィルタの形成時に同時に、前記第2アライメントマークに対応した領域のカラーフィルタを取り除いて、該第2アライメントマークが明確に見えるように構成する。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における基板表面構造形成工程は、前記半導体基板へのトレンチ深さを裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも浅く形成されているかまたは、該半導体基板へのトレンチ深さを裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも深く形成する。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の固体撮像素子の製造方法における半導体基板の表面層側の熱処理および前記層間膜成膜が完了し、前記支持基板の接着直前に、前記第2アライメントマークを形成する。
【0027】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0028】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0029】
本発明においては、裏面照射型の固体撮像素子において、半導体基板の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部と、この受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、半導体基板上の一または複数の層間膜を貫通して該半導体基板に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマークとを有し、半導体基板の裏面側に、第2アライメントマークを基準にして、複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタおよびその上のマイクロレンズがそれぞれ形成されている。
【0030】
これによって、表面の成膜および熱処理が完了する直前の支持基板貼り付け前に第2アライメントマークを形成するので、裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
以上により、本発明によれば、表面の成膜および熱処理が完了する直前の支持基板貼り付け前に第2アライメントマークを形成するため、裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態1におけるCMOS型固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1のCMOS型固体撮像素子に用いるアライメントマークの拡大平面図である。
【図3】本発明の実施形態2におけるCMOS型固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態3におけるCMOS型固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
【図5】本発明の実施形態3として、本発明の実施形態1、2の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図6】特許文献1に開示されている従来の裏面照射型の固体撮像素子の要部構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の裏面照射型の固体撮像素子およびその製造方法の実施形態1、2をCMOS型の固体撮像素子およびその製造方法に適用した場合について説明し、、これらの裏面照射型の固体撮像素子およびその製造方法の実施形態1、2を画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態3について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。また、ゲート電極の数や配線の段数も実際のデバイスと一致していなくてもよく、図示および説明の便宜を考慮した個数としたものであり、図示する構成に限定されるものではない。
【0034】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるCMOS型の固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
【0035】
図1において、本実施形態1のCMOS型の固体撮像素子1は、半導体基板としてのシリコン基板2の表面層に、複数の光電変換部としての複数のフォトダイオード3(受光部)が2次元状でマトリクス状に形成されている。この各フォトダイオード3に隣接して、各フォトダイオード3からの信号電荷を電化電圧変換部としてのフローティングディフュージョン部FDに転送させるための電荷転送トランジスタの電荷転送部がシリコン基板2の表面層に設けられている。このシリコン基板2の表面層の電荷転送部上には、ゲート絶縁膜4を介して、ポリシリコン膜で構成された引き出し電極であるゲート電極5が設けられている。さらに、このフォトダイオード3毎にフローティングディフュージョン部FDに電荷転送された信号電荷が電圧変換され、この変換電圧に応じて増幅されて各画素部毎の撮像信号として読み出すための読出回路を有している。
【0036】
このゲート電極5の上方には、この読出回路の回路配線部として、層間膜としての第1層間絶縁膜6が形成され、その上に第1配線7が形成され、その上に第2層間絶縁膜8が形成され、その上に第2配線9が形成され、その上に第3層間絶縁膜10が形成され、その上に第3配線11が形成され、その上に第4層間絶縁膜12が形成され、その上に第4配線13が形成され、さらに、その上に第5層間絶縁膜14が形成され、その上に第5配線15が形成されている。さらに、第5配線15上に第6層間絶縁膜16が形成され、その上にパッシベーション膜17が形成されている。ここでは、配線は金属配線の5層で形成したが、配線の層数は5層に限定されず、例えば3層であっても4層であってもよい。
【0037】
また、これらの配線層7とシリコン基板2間、配線層7とゲート電極5間および各配線層間(各配線層7、9間、各配線層9、11間、各配線層11、13間および各配線層13、15間)に導電性材料からなる各コンタクトプラグ(図示せず)が適宜形成されて、配線層7と半導体基板2間、配線層7とゲート電極5間、各配線層間が電気的に接続されてが画素毎の読出回路を構成している。
【0038】
さらに、耐湿用のパッシベーション膜17から第6層間絶縁膜16、第5層間絶縁膜14、第4層間絶縁膜12、第3層間絶縁膜10、第2層間絶縁膜8、第1層間絶縁膜6およびゲート絶縁膜4を介してシリコン基板2に至るトレンチ(溝)を形成し、このトレンチ(溝)は、シリコン基板2内に1〜2μmの深さに達している。このトレンチ内に絶縁膜を埋め込んで第2アライメントマークとしてのアライメントマーク18としている。アライメントマーク18はフォトダイオード3の位置またはフォトダイオード3を形成したときの基準マークの位置を基準として形成されている。
【0039】
さらに、パッシベーション膜17上に接着層19を介して支持基板20が設けられている。また、支持基板20の反対側のシリコン基板2は厚さが3μm程度に裏面側が研磨されている。シリコン基板2の裏面上には、必要に応じて平坦化膜(図示せず)が形成され、その上に、アライメントマーク18の先端位置を基準として、受光部を構成するフォトダイオード3毎にR,G,Bの各色配列(ベイヤー色配列)でカラーフィルタ21が形成されている。その上に、さらにアライメントマーク18の先端位置を基準として、各フォトダイオード3にそれぞれ対応して集光用のマイクロレンズ22が形成されている。
【0040】
ここで、上記構成の固体撮像素子1の製造方法について説明する。
【0041】
まず、受光部形成工程において、シリコン基板3の表面側(図面上側)の撮像領域に、ゲート絶縁膜4を介して電荷転送トランジスタのゲート電極5を形成し、ゲート電極5およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列され複数のフォトダイオード3を不純物イオン注入により形成し、その周辺部側に素子分離膜や周辺駆動回路を構成するトランジスタ領域やその他の拡散領域を形成する。
【0042】
次に、配線形成工程において、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に第1層間絶縁膜6を形成し、第1層間絶縁膜6の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第1配線7を形成する。また、第1層間絶縁膜6および第1配線7上に第2層間絶縁膜8を形成し、第2層間絶縁膜8の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第2配線9を形成する。さらに、第2層間絶縁膜8および第2配線9上に第3層間絶縁膜10を形成し、第3層間絶縁膜10の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第3配線11を形成する。さらに、第3層間絶縁膜10および第3配線11上に第4層間絶縁膜12を形成し、第4層間絶縁膜12の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第4配線13を形成する。さらに、第4層間絶縁膜12および第4配線13上に第5層間絶縁膜14を形成し、第5層間絶縁膜14の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第5配線15を形成する。これらの第5層間絶縁膜14および第5配線15上に第6層間絶縁膜16を形成して平坦化する。
【0043】
続いて、シンタ処理工程において、第6層間絶縁膜16上の基板全面に、窒化膜で構成された耐湿用のSiN膜からなるパッシベーション膜17を形成する。その後、摂氏400程度で熱処理を行ってパッシベーション膜17内の水素を離脱させてシリコン基板2の表面の暗電流を抑制するシンタ処理を行う。
【0044】
その後、アライメントマーク形成工程において、フォトダイオード3の受光部領域を形成するときの第1アライメントマークとしてのアライメントマークを基準として、パッシベーション膜17からシリコン基板2に至るトレンチを形成し、このトレンチ内に絶縁膜を埋め込んでアライメントマーク18とする。アライメントマーク18のシリコン基板2への深さが1〜2μm程度とする。このアライメントマーク18は、受光部領域形成時のアライメントマークを基準としていることから、受光領域(フォトダイオード3)に対して正確な位置に形成される。アライメントマーク18は、チップ毎の撮像領域の周辺部の例えばダイシングライン内や素子分離領域内などチップ内に形成する。
【0045】
さらに、支持基板接着工程において、パッシベーション膜17上に接着層19を形成し、その接着層19上に支持基板20を接着して基板全体を強度的に支持する。
【0046】
次に、研磨工程において、接着された支持基板20の反対側のシリコン基板2が厚さ3μm程度までにその裏面側が研磨されて薄板化される。この場合、シリコン基板2の厚さが3μmでアライメントマーク18のシリコン基板2への深さが1〜2μmであるため、その差の1μmのシリコン基板2の厚さを介して裏面側からアライメントマーク18の先端形状をはっきりと確認することができる。
【0047】
続いて、カラーフィルタ/マイクロレンズ形成工程において、シリコン基板2の裏面上に、必要に応じて平坦化膜(図示せず)を形成し、その上に、フォトリソ工程でアライメント精度が要求されるカラーフィルタ21やその上のマイクロレンズ22をフォトダイオード3に対して正確な位置に形成する。要するに、裏面側からアライメントマーク18の先端位置を基準として、各フォトダイオード3に対して正確な位置に所定色配列のカラーフィルタ21を形成する。さらに、その上に裏面側からアライメントマーク18の先端位置を基準として、各フォトダイオード3に対して正確な位置にマイクロレンズ22を形成する。各マイクロレンズ22の形成時のアライメントマーク18の先端位置の確認は、カラーフィルタ21の形成時に同時に、フォトリソ工程によりアライメントマーク18の先端位置に対応した領域のカラーフィルタ21を取り除いて、アライメントマーク18の先端がより明確に見えるようにしておく方が好ましい。
【0048】
要するに、裏面照射型の固体撮像素子1の製造方法は、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極5を形成し、ゲート電極5およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部としての複数のフォトダイオード3を形成するゲート電極・受光部形成工程と、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に層間膜を形成し、層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回(ここでは5層の配線層なので5回)繰り返す配線形成工程と、最も上層の配線および層間膜上に層間膜(ここでは層間絶縁膜16)を介してパッシベーション膜17を形成して熱処理を行うシンタ処理工程と、フォトダイオード3を形成したときの第1アライメントマークを基準として、パッシベーション膜17からシリコン基板2内に至るトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマーク18とするアライメントマーク形成工程と、パッシベーション膜17上に接着層19を介して支持基板20を接着する支持基板接着工程と、シリコン基板2の裏面側を所定量研磨する研磨工程と、シリコン基板2の研磨後の裏面側に、第2アライメントマーク18を基準として、フォトダイオード3にそれぞれ対応するように所定色配列のカラーフィルタ21を形成すると共に、フォトダイオード3にそれぞれ対応するようにカラーフィルタ21上にマイクロレンズ22を形成するカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程とを有している。
【0049】
このようにして、シリコン基板2の表面層に複数のフォトダイオード3や周辺回路を形成し、支持基板形成前の、シリコン基板2の表面層側の熱処理、および配線や各種膜の成膜形成工程が完了した時点で、シリコン基板2の表面層側のアライメントマーク18を形成する。このアライメントマーク18は支持基板20の直下から、シリコン基板2までトレンチ(溝)を掘った構造となっており、シリコン基板2からのトレンチの深さは1〜2μm程度とし、裏面からの研磨によりシリコン基板2を例えば板厚が3μm程度に薄板化した場合に裏面側からアライメントマーク18の先端が見えるようにする。要するに、シリコン基板2へのトレンチ深さ(ここでは1〜2μmであるがこれに限らない)が裏面研磨後のシリコン基板2の板厚寸法(ここでは3μmであるがこれに限らない)よりも浅く形成されている。ただし、アライメントマーク18の位置は、有効チップ内やスクラブライン内のいずれであってもよい。このアライメントマーク18は各チップ毎でレチクルの各ショット毎に設ける。
【0050】
このような表面側と裏面側のアライメントマーク18において、支持基板形成直前にシリコン基板2を表面から1〜2μm程度まで支持基板20の直下からトレンチ構造のパターンを形成し、これを、図2(a)の例えば9個の正方形や図2(b)に示すような十字形状などのアライメントマーク18とすることができる。アライメントマーク18に全体的にマスクのパターンを合わせる。スクライブラインにアライメントマーク18を設ける場合、スクライブラインのライン幅は80から100μm程度であるため、アライメントマーク18の一辺のサイズは60から80μm程度とした場合、固体撮像素子が作り込まれたウエハを格子状のスクライブラインに沿って切断して各チップに個片化しても各チップの側面にアライメントマーク18が残るように切り代を設定すればよい。このような場合を含めて、各チップの領域内にアライメントマーク18を設ければ、ウエハを切断して各チップに個片化後も、アライメントマーク18の痕跡が残るので、本アライメントマーク18を用いて正確にカラーフィルタ21およびマイクロレンズ22を形成したことが明確になる。
【0051】
以上により、本実施形態1によれば、裏面照射型の固体撮像素子1において、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部(複数のフォトダイオード3)と、この受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、シリコン基板2上の一または複数の層間膜(層間絶縁膜)を貫通してシリコン基板2に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマーク18とを有し、シリコン基板2の裏面側に、第2アライメントマーク18を基準にして、複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタ21およびその上のマイクロレンズ22がそれぞれ形成されている。
【0052】
このように、裏面照射型の固体撮像素子1において、シリコン基板1の表面と裏面のアライメントをとる際のアライメントマーク18として、支持基板20の接着直前に、シリコン基板2に至る溝を形成し、その中に絶縁膜を埋め込んでアライメントマーク18を形成する。このアライメントマーク18は、支持基板20の直下から、シリコン基板2の表面より1〜2μmの深さのトレンチ構造になっている。
【0053】
このように、従来技術では、深いトレンチを形成するために、成膜によるストレスや熱処理でアライメントマークのパターンがクラックなど破損する虞があったが、本実施形態1では、シリコン基板2の表面側の熱処理および成膜が全て完了した時点で、アライメントマーク18の形成を行うため、アライメントマーク18のパターンがクラックなど破損する虞はなく、裏面照射タイプの固体撮像素子1の表面側の複数のフォトダイオード3と裏面側のマイクロレンズ22およびカラーフィルタ21のアライメント精度の向上を図ることができる。
【0054】
(実施形態2)
上記実施形態1では、シリコン基板2へのトレンチ深さ(例えば3μmよりも深く4μmよりも浅い)を研磨後のシリコン板厚(例えば3μm)よりも小さく形成したが、本実施形態2では、シリコン基板2へのトレンチ深さを研磨後のシリコン板厚よりも大きく形成して、研磨後にトレンチ構造がシリコン基板2を貫通して裏面からの視認性のよいアライメントマークとする場合について説明する。
【0055】
図3は、本発明の実施形態2におけるCMOS型固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。なお、図3では、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する構成部材には同一の番号を付して説明する。
【0056】
図3において、本実施形態2の固体撮像素子1Aが上記実施形態1の固体撮像素子1の場合と異なるのは、第2アライメントマークとしてのアライメントマーク18Aが、支持基板20の直下から接着層19を介して、パッシベーション膜17からシリコン基板2を貫通している点である。
【0057】
半導体基板としてのシリコン基板2の表面側には、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極5が設けられ、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に第1層間絶縁膜6が設けられ、第1層間絶縁膜6上に第1配線7が設けられ、第1層間絶縁膜6上および第1配線7上に第2層間絶縁膜8が設けられ、第2層間絶縁膜8上に第2配線9が設けら、第2層間絶縁膜8上および第2配線9上に第3層間絶縁膜10が設けられ、第3層間絶縁膜10上に第3配線11が設けら、第3層間絶縁膜10上および第3配線11上に第4層間絶縁膜12が設けられ、第4層間絶縁膜12上に第4配線13が設けら、第4層間絶縁膜12上および第4配線13上に第5層間絶縁膜14が設けられ、第5層間絶縁膜14上に第5配線15が設けられて層間絶縁膜および配線の組が5組設けられ、その上に層間絶縁膜16が設けられ、層間絶縁膜16上にパッシベーション膜17が設けられ、アライメントマーク18Aはパッシベーション膜17から複数層の層間絶縁膜16、14、12、10、8、6を通してシリコン基板2を貫通して形成されており、その上に接着層19を介して支持基板20が配設されている。
【0058】
本実施形態2の固体撮像素子1Aの製造方法におけるアライメントマーク形成工程において、フォトダイオード3の受光部領域を形成するときのアライメントマークを基準として、パッシベーション膜17からシリコン基板2に至るトレンチを形成し、このトレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んでアライメントマーク18Aとする。このアライメントマーク18Aのシリコン基板2への深さは3〜4μm程度とする。このアライメントマーク18Aは、受光部領域形成時のアライメントマークを基準としていることから、受光領域(フォトダイオード3)に対して正確な位置に形成される。アライメントマーク18Aは、チップ毎の撮像領域の周辺部の例えばダイシングライン内や素子分離領域内に形成する。
【0059】
次の支持基板接着工程でパッシベーション膜17上に接着層19を介して支持基板20を接着した後に、これに続く研磨工程において、接着された支持基板20の反対側のシリコン基板2が厚さ3μm程度まで研磨されて薄板化される。このとき、シリコン基板2の厚さが3μmでアライメントマーク18Aのシリコン基板2への深さが3〜4μmであるため、アライメントマーク18Aは研磨によって裏面からアライメントマーク18Aが現れているためにアライメントマーク18Aを、上記実施形態1のアライメントマーク1818に比べてよりはっきりと確認することができる。
【0060】
要するに、裏面照射型の固体撮像素子1Aの製造方法は、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極5を形成し、ゲート電極5およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部としての複数のフォトダイオード3を形成するゲート電極・受光部形成工程と、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に層間膜を形成し、層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回(ここでは5層の配線層なので5回)繰り返す配線形成工程と、最も上層の配線および層間膜上に層間膜(ここでは層間絶縁膜16)を介してパッシベーション膜17を形成して熱処理を行うシンタ処理工程と、フォトダイオード3を形成したときの第1アライメントマークを基準として、パッシベーション膜17から裏面研磨後にはシリコン基板2を貫通する深さにトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマーク18Aとするアライメントマーク形成工程と、パッシベーション膜17上に接着層19を介して支持基板20を接着する支持基板接着工程と、シリコン基板2の裏面側を所定量研磨する研磨工程と、シリコン基板2の研磨後の裏面側に、シリコン基板2を貫通した第2アライメントマーク18Aを基準として、フォトダイオード3にそれぞれ対応するように所定色配列のカラーフィルタ21を形成すると共に、フォトダイオード3にそれぞれ対応するようにカラーフィルタ21上にマイクロレンズ22を形成するカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程とを有している。
【0061】
このように、シリコン基板2の表面層側の熱処理(ゲート絶縁膜形成やシンター処理など)、および配線や各種膜の成膜形成が完了し、支持基板20の形成直前に、アライメントマーク18Aを形成することにより、トレンチ(溝)にクラックが入ったり変形したりするのを防ぐことができる。アライメントマーク18Aは、支持基板20の直下から接着層19を介してシリコン基板2までのトレンチ構造とし、シリコン基板2の表面からの深さを3〜4μmとして、研磨後のシリコン板厚よりも厚く設定する。このアライメントマーク18Aを元に裏面プロセス工程のアライメントを実施して、表面側の各フォトダイオード3に対して裏面側のカラーフィルタ21やマイクロレンズ22の位置精度のよいアライメントをとることができる。なお、本実施形態2では、アライメントマーク18Aがシリコン基板2を貫通しているだけであるから、その以外の固体撮像素子1Aの製造工程は上記実施形態1の場合と同様である。
【0062】
以上により、本実施形態2によれば、アライメントマーク18Aがシリコン基板2を貫通しているため、その裏面からのマーク視認性が向上して、裏面照射型の固体撮像素子1Aの表面側のフォトダイオード3と裏面側のマイクロレンズ22およびカラーフィルタ21とのアライメント精度を一層向上させることができる。この場合にも、上記実施形態1の場合と同様に、成膜および熱処理後で支持基板形成直前にアライメントマーク18Aを形成するため、成膜ストレスや熱処理によるマーク破損を防止することができて、シリコン基板2の表面側の各フォトダイオード3に対して裏面側のカラーフィルタ21(カラーレジスト)およびマイクロレンズ22のアライメント位置精度を向上させることができる。
【0063】
(実施形態3)
上記実施形態1,2では、配線層が5層でその上にパッシベーション膜17を有する場合について説明したが、本実施形態3では、配線層が2層でその上にパッシベーション膜17を有しない場合について説明する。
【0064】
図4は、本発明の実施形態3におけるCMOS型固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。なお、図4では、図3の構成部材と同一の作用効果を奏する構成部材には同一の番号を付して説明する。
【0065】
図4において、本実施形態3の固体撮像素子1Bが上記実施形態2の固体撮像素子1Aの場合と異なるのは、第2アライメントマークとしてのアライメントマーク18Bが、支持基板20の直下から接着層19を介して、層間絶縁膜10から層間絶縁膜8,6を通してシリコン基板2を貫通している点である。要するに、シリコン基板2へのトレンチ深さ(3μmよりも深く4μmよりも浅い)が裏面研磨後のシリコン基板2の板厚寸法(3μm)よりも深く形成されている。
【0066】
半導体基板としてのシリコン基板2の表面側には、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極5が設けられ、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に第1層間絶縁膜6が設けられ、第1層間絶縁膜6上に第1配線7が設けられ、第1層間絶縁膜6上および第1配線7上に第2層間絶縁膜8が設けられ、第2層間絶縁膜8上に第2配線9が設けられて層間絶縁膜および配線の組が2組設けられ、その上に第3層間絶縁膜10が設けられ、アライメントマーク18Bが複数層の層間絶縁膜10,8,6を通してシリコン基板2を貫通して形成されており、その上に接着層19を介して支持基板20が配設されている。
【0067】
本実施形態3の固体撮像素子1Bの製造方法における配線形成工程において、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4(熱処理により形成)上に第1層間絶縁膜6を形成し、第1層間絶縁膜6の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第1配線7を形成する。また、第1層間絶縁膜6および第1配線7上に第2層間絶縁膜8を形成し、第2層間絶縁膜8の必要箇所にコンタクトプラグ(図示せず)を形成し、それらの上に第2配線9を形成して2層の配線層を形成する。さらに、第2層間絶縁膜8および第2配線9上に第3層間絶縁膜10を形成して平坦化する。
【0068】
次に、アライメントマーク形成工程において、フォトダイオード3の受光部領域を形成するときの第1アライメントマークとしてのアライメントマークを基準として、第3層間絶縁膜10からシリコン基板2に至るトレンチを形成し、このトレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマークとしてのアライメントマーク18Bとする。アライメントマーク18Bのシリコン基板2への深さが3〜4μm程度とする。このアライメントマーク18Bは、受光部領域形成時のアライメントマークを基準としていることから、受光領域(フォトダイオード3)に対して正確な位置に形成される。アライメントマーク18Bは、チップ毎の撮像領域の周辺部の例えばダイシングライン内や素子分離領域内などチップ内に形成する。
【0069】
さらに、支持基板接着工程において、第3層間絶縁膜10上に接着層19を形成し、その接着層19上に支持基板20を接着して基板全体を強度的に支持する。なお、本実施形態3では、配線層が2層でその上にパッシベーション膜17を有しないだけであるから、その以外の固体撮像素子1Bの製造工程は上記実施形態1の場合と同様である。
【0070】
要するに、裏面照射型の固体撮像素子1Aの製造方法は、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、ゲート絶縁膜4を介してゲート電極5を形成し、ゲート電極5およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部としての複数のフォトダイオード3を形成するゲート電極・受光部形成工程と、ゲート電極5上およびゲート絶縁膜4上に層間膜を形成し、層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回(ここでは2層の配線層なので2回)繰り返す配線形成工程と、フォトダイオード3を形成したときの第1アライメントマークを基準として、最も上層の配線および層間膜上に形成された層間膜(ここでは層間絶縁膜10)から裏面研磨後にはシリコン基板2を貫通する深さにトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマーク18Bとするアライメントマーク形成工程と、最も上層の層間膜(ここでは層間絶縁膜10)上に接着層19を介して支持基板20を接着する支持基板接着工程と、シリコン基板2の裏面側を所定量研磨する研磨工程と、シリコン基板2の研磨後の裏面側に、シリコン基板2を貫通した第2アライメントマーク18を基準として、フォトダイオード3にそれぞれ対応するように所定色配列のカラーフィルタ21を形成すると共に、フォトダイオード3にそれぞれ対応するようにカラーフィルタ21上にマイクロレンズ22を形成するカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程とを有している。
【0071】
以上により、本実施形態3によれば、アライメントマーク18Bのトレンチ構造が上記実施形態1,2の場合と比較して浅いので製造が容易であり、しかも、シリコン基板2を貫通しているため、その裏面からのマーク視認性が向上して、裏面照射型の固体撮像素子1Aの表面側のフォトダイオード3と裏面側のマイクロレンズ22およびカラーフィルタ21とのアライメント精度を一層向上させることができる。この場合にも、上記実施形態1の場合と同様に、成膜および熱処理後で支持基板形成直前にアライメントマーク18Bを形成するため、成膜ストレスや熱処理によるマーク破損を防止することができて、シリコン基板2の表面側の各フォトダイオード3に対して裏面側のカラーフィルタ21(カラーレジスト)およびマイクロレンズ22のアライメント位置精度を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施形態3では、シリコン基板2へのトレンチ深さを研磨後のシリコン板厚よりも大きく形成して、研磨後にトレンチ構造がシリコン基板2を貫通して裏面からの視認性のよいアライメントマーク18Bとする場合であって、配線層が2層でその上にパッシベーション膜17を有しない場合について説明したが、これに限らず、シリコン基板2へのトレンチ深さを研磨後のシリコン板厚よりも小さく形成して、研磨後にトレンチ構造がシリコン基板2を貫通しないアライメントマークとする場合であって、配線層が2層でその上にパッシベーション膜17を有しない場合であっても本発明を適用することができる。もちろん、配線層の段数(層数)は2層や5層に限らず、その他の複数の段数であってもよい。
【0073】
(実施形態4)
図4は、本発明の実施形態3として、本発明の実施形態1〜3のいずれかの固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0074】
図4において、本実施形態3の電子情報機器90は、上記実施形態1〜3のいずれかの固体撮像素子1、1Aまたは1Bからの画素毎の撮像信号に対して所定のアナログおよびデジタル信号処理(色補間やホワイトバランスなど)を行ってカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示部93と、通信部94と、プリンタなどの画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0075】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0076】
したがって、本実施形態3によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0077】
なお、本実施形態1〜3では、裏面照射型の固体撮像素子1,1Aまたは1Bにおいて、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部(複数のフォトダイオード3)と、この受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、シリコン基板2上の一または複数の層間膜(層間絶縁膜)を貫通してシリコン基板2に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマーク18,18Aまたは18Bとを有し、シリコン基板2の裏面側に、第2アライメントマーク18,18Aまたは18Bを基準にして、複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタ21およびその上のマイクロレンズ22がそれぞれ形成されている。また、裏面照射型の固体撮像素子1,1Aまたは1Bの製造方法において、半導体基板としてのシリコン基板2の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部としての複数のフォトダイオード3を第1アライメントマークを基準にして形成し、シリコン基板2上に一または複数の層間膜(ここでは5層の配線層の上下に設けられる層間絶縁膜)を形成し、第1アライメントマーク18を基準にして所定位置に、一または複数の層間膜を貫通してシリコン基板内に至るトレンチ構造の第2アライメントマーク18を形成する基板表面構造形成工程と、シリコン基板2の研磨後の裏面側に、第2アライメントマーク18を基準にして、複数のフォトダイオード3のそれぞれに対応するように、所定色配列のカラーフィルタ21を形成すると共にその上にマイクロレンズ22を形成する基板裏面構造形成工程とを有している場合について説明したが、これによって、裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させることができる本発明の目的を達成することができる。
【0078】
なお、本実施形態1〜3では、特に説明しなかったが、本発明は、CMOS型の固体撮像素子およびその製造方法に適用できるだけではなく、CCD型の固体撮像素子およびその製造方法にも適用することができる。
【0079】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜4を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜4に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜4の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する半導体素子で構成された固体撮像素子およびその製造方法、この製造方法により作製された固体撮像素子を、画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ(セキュリティーカメラ)などの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の分野において、表面の成膜および熱処理が完了する直前の支持基板貼り付け前に第2アライメントマークを形成するため、裏面照射型の固体撮像素子の表面側のフォトダイオードと裏面側のマイクロレンズおよびカラーフィルタとのアライメント精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B MOS型の固体撮像素子
2 シリコン基板(半導体基板)
3 フォトダイオード(光電変換部)
4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6 第1層間絶縁膜(層間膜)
7 第1配線
8 第2層間絶縁膜(層間膜)
9 第2配線
10 第3層間絶縁膜(層間膜)
11 第3配線
12 第4層間絶縁膜(層間膜)
13 第4配線
14 第5層間絶縁膜(層間膜)
15 第5配線
16 第6層間絶縁膜(層間膜)
17 パッシベーション膜
18、18A、18B アライメントマーク(第2アライメントマーク)
19 接着層
20 支持基板
21 カラーフィルタ
22 マイクロレンズ
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面照射型の固体撮像素子において、
半導体基板の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部と、該受光部の形成時に用いた第1アライメントマークを基準にして所定位置に、該半導体基板上の一または複数の層間膜を貫通して該半導体基板に形成されたトレンチ構造の第2アライメントマークとを有し、
該半導体基板の裏面側に、該第2アライメントマークを基準にして、該複数の受光部のそれぞれに対応するように所定色配列のカラーフィルタおよびその上のマイクロレンズがそれぞれ形成されている固体撮像素子。
【請求項2】
前記第2アライメントマークは、前記半導体基板内に至っているかまたは、該半導体基板を貫通している請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記半導体基板へのトレンチ深さが裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも浅く形成されているかまたは、該半導体基板へのトレンチ深さが裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも深く形成されている請求項2に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第2アライメントマークは、前記半導体基板の表面側に、接着層を介して貼り付けられる支持基板直下から前記半導体基板内に形成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記半導体基板の表面側には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜が設けられ、該層間膜上に配線が設けられる層間膜および配線の組が複数組積層されて設けられ、前記第2アライメントマークが該複数層の層間膜を通して該半導体基板内に形成されており、その上に接着層を介して支持基板が配設されている請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記半導体基板の表面側には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜が設けられ、該層間膜上に配線が設けられる層間膜および配線の組が複数組積層されて設けられ、その上に層間膜を介してパッシベーション膜が設けられ、前記第2アライメントマークが該パッシベーション膜から複数層の層間膜を通して該半導体基板内に形成されており、その上に接着層を介して支持基板が配設されている請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
前記所定位置は、複数チップに個片化するためのスクライブラインかまたはチップ内領域である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項8】
前記所定位置がスクライブラインの場合に、個片化されたチップ切断面に前記第2アライメントマークの痕跡が残るように構成されている請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項9】
前記第2アライメントマークの形状は、平面視で一または複数の4角形状であるかまたは十字形状である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項10】
裏面照射型の固体撮像素子の製造方法において、
半導体基板の表面側に、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を第1アライメントマークを基準にして形成し、該半導体基板上に一または複数の層間膜を形成し、該第1アライメントマークを基準にして所定位置に、該一または複数の層間膜を貫通して該半導体基板内に至るトレンチ構造の第2アライメントマークを形成する基板表面構造形成工程と、
該半導体基板の研磨後の裏面側に、該第2アライメントマークを基準にして、該複数の受光部のそれぞれに対応するように、所定色配列のカラーフィルタを形成すると共にその上にマイクロレンズを形成する基板裏面構造形成工程とを有する固体撮像素子の製造方法。
【請求項11】
前記基板表面構造形成工程は、
前記半導体基板の表面側に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部を形成するゲート電極・受光部形成工程と、
該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜を形成し、該層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回繰り返す配線形成工程と、
該配線および該層間膜上に層間膜を介してパッシベーション膜を形成して熱処理を行うシンタ処理工程と、
該受光部を形成したときの前記第1アライメントマークを基準として、該パッシベーション膜から該半導体基板内に至るトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマークとするアライメントマーク形成工程と、
該パッシベーション膜上に接着層を介して支持基板を接着する支持基板接着工程とを有する請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項12】
前記基板表面構造形成工程は、
前記半導体基板の表面側に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成し、該ゲート電極およびマスクを用いて、行列方向にマトリクス状に配列された複数の受光部を形成するゲート電極・受光部形成工程と、
該ゲート電極上および該ゲート絶縁膜上に前記層間膜を形成し、該層間膜上に配線を形成する層間膜および配線形成処理を一または複数回繰り返す配線形成工程と、
最も上層の層間膜および配線上に層間膜を形成し、該受光部を形成したときの前記第1アライメントマークを基準として、当該層間膜から該半導体基板内に至るトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜材料を埋め込んで第2アライメントマークとするアライメントマーク形成工程と、
最も上層の層間膜上に接着層を介して支持基板を接着する支持基板接着工程とを有する請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項13】
前記基板裏面構造形成工程は、
該半導体基板の裏面側を所定量研磨する研磨工程と、
該半導体基板の研磨後の裏面側に、前記第2アライメントマークを基準として、前記受光部にそれぞれ対応するように所定色配列のカラーフィルタを形成すると共に、該受光部にそれぞれ対応するように該カラーフィルタ上にマイクロレンズを形成するカラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程とを有する請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項14】
前記カラーフィルタ・マイクロレンズ形成工程におけるマイクロレンズの形成は、前記カラーフィルタの形成時に同時に、前記第2アライメントマークに対応した領域のカラーフィルタを取り除いて、該第2アライメントマークが明確に見えるように構成する請求項13に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項15】
前記基板表面構造形成工程は、前記半導体基板へのトレンチ深さを裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも浅く形成されているかまたは、該半導体基板へのトレンチ深さを裏面研磨後の半導体基板の板厚寸法よりも深く形成する請求項10から12のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項16】
前記半導体基板の表面層側の熱処理および前記層間膜成膜が完了し、前記支持基板の接着直前に、前記第2アライメントマークを形成する請求項10に記載の固体撮像素子の製造方法。
【請求項17】
請求項1から9のいずれかに記載の固体撮像素子を画像入力デバイスとして撮像部に用いた電子情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−89881(P2013−89881A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231180(P2011−231180)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】