説明

固体撮像装置及びその製造方法

【課題】 固体撮像素子の解像度が面内におけるバラツキを低減する。
【解決手段】 パッケージ1の収容部1d底面上に所定の厚みを有する接着剤15を散点状に塗布する工程と、パッケージ1と固体撮像素子3との各上面を基準面に平行度を合わせて固体撮像素子3を収容部1dに向けて移動させる工程と、固体撮像素子3の下面を接着剤15に当接させ収容部1dの底面には当接しない状態で固体撮像素子3の移動を停止する工程と、固体撮像素子3が接着剤15上に浮いた状態で接着剤15を硬化させて固体撮像素子3を収容部1d中に固定する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固体撮像装置及びその製造方法に関し、特にパッケージに固体撮像素子を高精度に取り付けた固体撮像装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一体型ビデオやデジタルスチルカメラの高画質化の要求に伴い、固体撮像装置を構成する固体撮像素子の微細化、高集積化が進んでいる。光学系に対する要求も高度化し、固体撮像素子の撮像面に正確に結像することが求められている。
【0003】図8は、一般的な固体撮像装置の構成を示す断面図である。
【0004】固体撮像装置Xは、箱体形状のパッケージ101と、その中に収容される固体撮像素子103とを含む。
【0005】図8に示すように、パッケージ101は、底板101aと、底板101aの周縁部から立ち上がる側壁部101bとを有し、上部に形成された開口部101cと、底板101aと側壁部101bとで囲まれ固体撮像素子103を収容する収容部101dとを画定している。
【0006】固体撮像素子103は、収容部101d内に収容されている。固体撮像素子103は、ボンディングワイヤ107によりパッケージのリードと結線されている。
【0007】パッケージ101の開口部101cは、側壁部101bの上面101eに載せられた透明な封止板111により塞がれている。
【0008】固体撮像素子103の裏面と収容部101dとは、接着剤115により固定されている。
【0009】図9は固体撮像装置Xの製造方法を説明するための断面図である。
【0010】図9に示すように、キャリア123の載せられたパッケージ101が搬送されてくる。キャリア123は、パッケージ101の下に開口を有する。
【0011】Fe系の材料により形成されたパッケージ用ステージ121を開口を通して上昇させ、その上にパッケージ101を載せる。パッケージ用ステージ121には、パッケージ101を吸着して固定するためのステージ吸着孔121aが形成されている。ステージ吸着孔121aを通して真空吸着により、パッケージ101をパッケージ用ステージ121上に固定することができる。
【0012】パッケージ101の収容部101dに接着剤115が塗られている。この状態において固体撮像素子103を、コレット125により支持し、収容部101dの所定の位置に載せる。
【0013】コレット125内には吸着孔125aが形成されており、真空吸着により固体撮像素子103を支持している。コレット125とともに固体撮像素子103を下方に移動させ、接着剤115上に載せて押圧することにより固体撮像素子103をパッケージ101の収容部101dに設置する。熱処理により固体撮像素子3とパッケージ101との接着剤115を硬化させて固体撮像素子103をパッケージ101内に固定する。
【0014】ワイヤーボンディング工程の後に封止板によりパッケージ101の開口部を塞ぐことにより固体撮像装置が完成する。
【0015】図10は、固体撮像装置とレンズを含む光学系とを有する撮像装置の概略構造を示す断面図である。
【0016】図10に示すように、撮像装置Yは、固体撮像装置Xと、固体撮像装置固定部材131と、撮影レンズ鏡筒133と、撮影レンズ135とを含む。
【0017】固体撮像装置固定部材131は、パッケージ1の底面を支える。筒状の撮影レンズ鏡筒133は、固体撮像装置固定部材131の周縁部上に形成され、その内周部133aに、撮影レンズを支持するための上部係合部133bと下部係合部133cとが形成されている。上部係合部133bと下部係合部133cとにより、撮影レンズ135を固定する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従来から、固体撮像素子とパッケージとを固定するための接着剤としては、熱硬化性の接着剤、例えば銀ペーストや樹脂系の接着剤が用いられていたが、銀ペーストは、光の反射率が大きいために固体撮像素子用の接着剤としては好ましくない。そこで、樹脂系の接着剤が多く用いられている。
【0019】ところが、最近の微細化されたフォトダイオードを有する固体撮像装置において、固体撮像素子の解像度が面内においてバラツクという問題が生じていた。
【0020】一体型ビデオやデジタルスチルカメラの高画質化のためには、単にフォトダイオード等を微細化しただけでは不十分である。いかにして微細化された各フォトダイオードの受光面にカメラ等の撮影レンズの焦点を合わせることができるかという点が、カメラ等の高画質化におけるキーポイントの1つになってきている。
【0021】このためには、受光面のあおり精度を向上することが求められている。
【0022】本発明の目的は、固体撮像素子のあおり角度のバラツキを低減し、カメラ等の高画質化が可能な技術を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点によれば、固体撮像素子のチップを収容する収容部と上方に開口部を有するパッケージの前記収容部の底面上に、所定の厚みを有する接着剤を散点状に塗布する工程と、前記パッケージと前記固体撮像素子との各上面を所定の基準面に対して高精度に平行度を合わせた状態において前記固体撮像素子を前記収容部に向けて移動させる工程と、前記固体撮像素子の下面を前記接着剤に当接させ、前記収容部の底面には当接しない状態で前記固体撮像素子の移動を停止する工程と、前記固体撮像素子が前記接着剤上に浮いた状態で前記接着剤を硬化させて前記固体撮像素子を前記収容部中に固定する工程と、前記開口部を塞ぐ封止板を前記パッケージに取り付ける工程とを含む製造方法が提供される。
【0024】本発明の他の観点によれば、底板と前記底板から立ち上がる側壁とを有し、固体撮像素子チップを収容する収容部と上方に開口部を有するパッケージと、前記底板上に、散点状に塗布された所定の厚みを有する接着剤と、裏面が前記接着剤の上に保持され、前記底板の表面から浮いている状態で固定された固体撮像素子と、前記開口部を塞ぐ透明な封止板とを含む固体撮像装置が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】発明者は、最近の微細化されたフォトダイオードを有する固体撮像装置において樹脂系の接着剤を用いた場合に、固体撮像素子の解像度が面内においてバラツクという問題について以下のような考察を行った。
【0026】その結果、固体撮像素子チップの解像度の面内バラツキの原因は、接着剤の粘度の高低に依存して異なる2つの原因が存在することがわかった。
【0027】まず、接着剤用の樹脂の粘度が低い場合は、固体撮像素子チップの裏面がパッケージの収容部の表面に面接触する。従って、パッケージの寸法精度に依存して固体撮像素子自体が光学系の基準面に対して傾く場合がある。
【0028】パッケージの部品精度を向上させるためには、プラスチック製のパッケージを用いることが好ましいが、プラスチック製のパッケージを製造するための金型が高価であるため、製造コスト上の問題が生じる。セラミックス製のパッケージは、高温で焼成する工程を含むため、部品精度の向上という観点からは問題がある。
【0029】一方、セラミックス製のパッケージを用い、接着剤の粘度を高くした場合は、固体撮像素子チップをパッケージに張り付ける際に、接着剤の面内において部分的な盛り上がりが生じやすく、固体撮像素子自体が光学系の基準面に対して傾く。
【0030】発明者は、上記の考察に基づいて、次に述べるような解決手段を考案した。
【0031】まず、固体撮像素子をパッケージに固定する工程における基準面として光学系に対する基準面と同じ基準面、すなわち、パッケージの上面をとる。これにより、光学系例えばレンズと固体撮像素子との基準面は一致する。
【0032】次に、部品精度の低いセラミックス製のパッケージにも対応できるように、粘度の高い樹脂をベースとした接着剤を用いる。この際、粘度の高い接着剤を固体撮像素子チップの裏面の全面に対応する収容部の表面に塗布すると、樹脂を硬化するための熱処理工程において気泡が生じ、固体撮像素子が部分的に盛り上がる。
【0033】気泡は、樹脂製の接着剤に溶けている空気などの溶解度が加熱処理などに変化することによって発生する。
【0034】そこで、接着剤を固体撮像素子の底面全体に対応するパッケージの収容部表面に塗布するのではなく、接着すべき面内に散点状に塗布する。接着剤を塗布した部分が断続的であるため、固体撮像素子を押し込んでも接着剤が外側にはみ出ることがなく、気泡が発生しても外部に逃げやすい。
【0035】以下、上記の考察に基づいて、さらに本願の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】図1から図5までを参照して、本発明の第1の実施の形態による固体撮像装置について説明する。
【0037】図1は、本実施の形態による固体撮像装置の構成を示す断面図である。
【0038】固体撮像装置Aは、箱体形状のセラミック製のパッケージ1と、その中に収容される固体撮像素子3とを含む。
【0039】パッケージ1は、底板1aと、底板1aの周縁部近傍から立ち上がる側壁部1bとを備える箱体の形状をしている。パッケージ1の上部に開口部1cが形成されており、底板1aと側壁部1bとで囲まれた空間に固体撮像素子3を収容するための収容部1dが形成されている。パッケージ1は、側壁部1bのさらに外周部に、底板1aとほぼ平行かつ外側の方向に突出する突出部1fを有している。
【0040】固体撮像素子3は、収容部1d内に収容されている。
【0041】パッケージ1の開口部1cは、側壁部1bの上面1eに載せられた透明な封止板11により塞がれる。
【0042】固体撮像素子3の裏面3bと底板1aの表面とは、接着剤15を介して固定されている。
【0043】より詳細には、固体撮像素子3の裏面3bと底板1aの表面とは当接しておらず、接着剤15を介して底板1aの上に浮いた状態になっている。固体撮像素子3の裏面3bと底板1aの表面との間隔は、パッケージの加工精度等によって異なるが、最小間隔としては40μm以下であることが望ましい。
【0044】図2は、固体撮像装置Aのうち、特に接着剤15の塗布形状を示す概略的な平面図である。
【0045】図2(a)は接着剤を塗布した状態を示す平面図である。図2(b)は、接着剤の上に固体撮像素子を載せた状態を示す平面図である。
【0046】図2(a)に示すように、固体撮像素子用のパッケージ1のサイズは、17.4mm×15mmである。平面度は、約50μmである。
【0047】パッケージの両側部(図では左右)に突出部1fが形成されている。リードLは突出部1fが形成されていない上下部に形成されている。
【0048】パッケージ1の収容部1dのうち中央付近に1カ所、その周囲に固体撮像素子の形状に合わせて4カ所、合計5カ所の円状の領域に接着剤15が散点状に塗布されている。使用した接着剤の粘度は、14Pa・sである。接着剤としては、好ましくは、5 Pa・sから25Pa・sの範囲の粘度を有する接着剤を用いる。接着剤を塗布する領域のサイズは、例えば円形を仮定すると直径φ1は、約1mmから2mmである。
【0049】接着剤15の厚さは、例えば0.1mmから0.3mm程度である。接着剤15は、5本のノズルを備えた接着剤ディスペンサにより、散点状に塗布される。接着剤の粘性をある程度高くしたので、接着剤を塗布面にほぼ垂直な方向に切断した断面は、上に凸の形状を有している。左右の接着剤間の距離D1は、例えば4mmから6mmである。上下の接着剤間の距離D2は、例えば2.5から4.5mmである。
【0050】固体撮像素子3のサイズは、9.4mm×7.8mm、厚さは0.65mmである。
【0051】図2(b)に示すように、固体撮像素子の底面により押圧された後には、接着剤15は広がる。接着剤の直径φ2は、例えば、1.5mmから3.5mmの間である。
【0052】尚、本明細書において、接着剤を散点状に塗布するとの記載は、接着剤が平面上の分離された位置に塗布された状態を指し、そのパターンは平面上に整列的に塗布されている状態のみを意味するものではなく、ランダムな位置に塗布された状態をも包含するものである。
【0053】図3は、固体撮像装置Aの製造方法を説明するための断面図である。
【0054】図3(a)に示すように、パッケージ1はキャリア23上に載せられて搬送される。実際には、複数のパッケージがキャリア23上に載せられている。キャリア23のパッケージが載せられている箇所に開口部が形成されている。
【0055】パッケージ1が、Fe系の材料により形成されたパッケージ用ステージ21に位置するようにキャリア23を移動させる。ステージが上昇し、開口部を通してパッケージを持ち上げる。
【0056】パッケージ用ステージ21には、パッケージ1を吸着して固定するためのステージ吸着孔21aが形成されている。
【0057】ステージ吸着孔21aを通して真空吸着によりパッケージ1をパッケージ用ステージ21上に載せた状態を保持することができる。パッケージ用ステージ21の上部には、耐熱性のあるゴムなどの弾性部材21bが設けられており、パッケージ1をパッケージ用ステージ21上に載せた状態においても、ある程度パッケージ1の位置を微調整することが可能になっている。
【0058】パッケージ1の平行度を規定するために、上面基準部材Kが設けられている。上面基準部材Kは、パッケージ1の突出部1fの上面1gを、その底面に当接させることにより、パッケージの平行度を規定する。
【0059】コレットの先端面25bは、固体撮像素子3の表面3aの周縁部に当接している。コレット25内には吸着孔25aが形成されており、真空吸着により固体撮像素子3を吸引し保持する。
【0060】上面基準部材Kの下面とコレット25の先端面25bとの平行度は、非常に高精度に保たれている。平行度を保持する方法としては、例えば、パッケージの代わりに非常に平面度の高い(表面と裏面との平行度が高い)キャリブレーション用の板を用意しておき、キャリブレーション用の板とコレットとの間に感圧紙(登録商標)を挟んでコレットを下方に移動させ、感圧紙が感知する圧力が面内でほぼ均一になるように、上面基準部材Kの下面とコレット25の先端面25bとの位置関係を調整すればよい。オートコリメータを用いて平行度を調整しても良い。
【0061】図3(b)に示すように、コレット25に保持された固体撮像素子3を下方に移動させ、接着剤15の先端部に当接させる。固体撮像素子3をさらに下方に向けて移動させると、接着剤15が押圧される。固体撮像素子3の裏面がパッケージ1の表面に当接する前の状態で、固体撮像素子3のパッケージ側への移動を停止する。
【0062】固体撮像素子3の平行度はパッケージの底板1aの平行度とは関係なく、上部基準部材Kの平行度によって規定される。従って、固体撮像素子3と上面基準部材Kとの平行度が高い状態で固体撮像素子3をパッケージ1の収容部1dに設置することができる。
【0063】尚、パッケージ用ステージの上部(パッケージの底板と当接する場所)に、ゴムなどにより形成されている弾力性のある部材が用いられているため、パッケージの底面が多少歪んでいても、パッケージの上面1gと上面基準部材Kとの平行度を良好に保つことができる。
【0064】接着剤15にある程度の粘度を持たせたため、コレット25を外しても、固体撮像素子3は、コレット25に保持されていた状態とほぼ同じ平行度でパッケージ1の収容部1dに設置される。接着剤15を散点状に塗布したため、気泡が外部に逃げやすく、接着剤による固体撮像素子の盛り上がり現象が生じにくい。
【0065】図4(a)、(b)は、パッケージ1の部品精度があまり良くない状況を示している。底板1aの平坦性悪い。
【0066】図4(a)に示すように、パッケージ1の底板1aは、その右側の領域が下方に向けてやや突き出た状態となっている。
【0067】パッケージ1を用いて、コレット25とともに固体撮像素子3を下方に移動させ、固体撮像素子3の裏面がパッケージ1の底板1aの底面に面接触する前に接着剤15上に載せて押圧することにより固体撮像素子3をパッケージ1の収容部1dに設置する。
【0068】上面基準部材Kとコレット25の先端面25b、すなわち固体撮像素子3の表面との平行度は高いので、例えば、図4(a)に示す状態においては、左側に塗布されている接着剤15bが他の接着剤15a、15cに比べてより広い領域に伸びてその厚さが薄くなる。底板1aの底面の平坦性悪さは、散点状に塗布されたある程度の厚みと弾力性とを有する接着剤15が、パッケージの底板表面と固体撮像素子の裏面との間で横方向に延びることにより吸収される。
【0069】図4(b)は、コレット25による固体撮像素子3の移動を停止した後、コレット25の真空吸引を停止し、コレット25を固体撮像素子から外した状態を示す。接着剤は、図中左側で大きくつぶれているが、固体撮像素子3は未だパッケージ1とは接触していない。
【0070】次いで、接着剤の硬化工程を行う。
【0071】接着剤の硬化工程は、例えば電気炉を用い、空気中において150℃で25分程度の熱処理を行う。熱処理により固体撮像素子3とパッケージ1との接着性を向上させて固体撮像素子3がパッケージ1内に固定される。
【0072】ワイヤーボンディング工程の後に封止板によりパッケージ1の開口部を塞ぐことにより固体撮像装置が完成する。
【0073】上記の工程を用いれば、パッケージの状態が悪く、例えば底板がゆがんでいても、基準面と固体撮像素子3の表面との平行度は良好に保たれる。
【0074】図5は、図4に示した固体撮像装置Aと、レンズを含む光学系とを有する撮像装置の概略構造を示す断面図である。
【0075】図5に示すように、撮像装置Bは、固体撮像装置Aと、撮影レンズ鏡筒33と、撮影レンズ35とを含む。
【0076】筒状の撮影レンズ鏡筒33の内周部33aに、撮影レンズ35を支持するための上部係合部33bと下部係合部33cとが形成されている。上部係合部33bと下部係合部33cとにより、撮影レンズ35を固定する。
【0077】この際、前述のように固体撮像素子3の平行度はパッケージ1の突出部1fの上面1gを基準に規定されている。加えて、撮影レンズ35を支持する撮影レンズ鏡筒33の平行度も、その底面33aと当接するパッケージ1の突出部1fの上面1gを基準に規定されている。基準面を同じにしたため、固体撮像素子3と撮影レンズ35との平行度も高精度に保持される。
【0078】図6に、撮像装置Bを含むデジタルスチルカメラの概略的な構造を示す。
【0079】デジタルスチルカメラCは、撮像装置Bと信号処理部Dと、記憶装置61と、表示装置63とを含む。
【0080】撮影レンズ35と封止板11との間に、赤外線カットフィルタ41が配置されている。封止板11は、例えば特殊な面方位にカットされた水晶板が用いられ、ローパスフィルタとしての機能を兼ねる。
【0081】撮像装置Bにより撮影された画像の信号は、信号処理部Dにおいて処理される。
【0082】信号処理部Dは、例えば、A/D変換回路51と、A/D変換回路51により変換されたデジタル信号を記憶する画像記憶部53と、画像記憶部53に記憶されているデジタル信号を処理する画像信号処理部(マイクロプロセッサ)55と、画像記憶部53に記憶されているデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換回路57とを含んでいる。
【0083】記憶装置61は、例えば半導体メモリであり、画像信号を保存しておくことができるとともに、他の装置において画像信号を再生等する際に用いられる。
【0084】表示装置63は、例えば液晶表示装置であり、画像信号を実際の画像として再生させることができる。例えば、デジタルスチルカメラにおける動画モニターとして用いることができる。
【0085】上記のデジタルカメラにおいては、用いられる固体撮像素子の解像度の面内におけるバラツキが低減され、高画質化が可能となる。
【0086】次に、第1の実施の形態による固体撮像装置の変形例について図面を参照して説明する。
【0087】図7は、変形例による固体撮像装置を含む撮像装置の概略図である。
【0088】図7に示すように、撮像装置Eは、撮像装置Bと同様に、固体撮像装置Fと、撮影レンズ鏡筒33と、撮影レンズ35とを含む。
【0089】筒状の撮影レンズ鏡筒33の内周部33aに、撮影レンズ35を支持するための上部係合部33bと下部係合部33cとが形成されている。上部係合部33bと下部係合部33cとにより、撮影レンズ35を固定する。
【0090】固体撮像装置Fは、箱体形状のセラミック製のパッケージ71と、その中に収容される固体撮像素子73とを含む。
【0091】パッケージ71は、底板71aと、底板71aの周辺部から立ち上がる側壁部71bとからなる箱体の形状をしている。パッケージ71は、その上部に形成された開口部71cと、底板71aと側壁部71bとで囲まれ固体撮像素子73を収容する収容部71dとを備える。パッケージ71には、側壁部1bのさらに外側に突出する突出部が存在しない。
【0092】封止板81の下面81aと筒状の撮影レンズ鏡筒33の下面33aとは、共に側壁部71bの上面71hに当接して固定されている。
【0093】上記のようなパッケージを用いても、固体撮像素子73の平行度をパッケージ71の側壁部上面71hを基準に規定し、かつ、撮影レンズ35を支持する撮影レンズ鏡筒33の平行度も、その底面33aと当接するパッケージ71の側壁部上面71hを基準に規定される。平行度を合わせるための基準面が同じであり、固体撮像素子73と撮影レンズ35との平行度が高精度に保持される。
【0094】尚、上記の各実施の形態においては、リード線を有するパッケージを用いて固体撮像装置を製造した場合について説明したが、パッケージにリード線が形成されていない場合にも適用できることは明らかであろう。
【0095】以上、本発明の実施の形態について例示したが、その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【0096】
【発明の効果】固体撮像素子の解像度の面内におけるバラツキが減少し、カメラ等の撮像装置の高画質化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態による固体撮像装置の断面図である。
【図2】 本発明の一実施の形態による固体撮像装置の平面図である。
【図3】 (a)及び(b)は、本発明の一実施の形態による固体撮像装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】 (a)及び(b)は、本発明の別の実施の形態による固体撮像装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】 本発明の一実施の形態による固体撮像装置と光学系との構造を示す断面図である。
【図6】 本発明の一実施の形態による撮像装置の構造を示す断面図である。
【図7】 本発明の一実施の形態による固体撮像装置と光学系との構造の変形例を示す断面図である。
【図8】 一般的な固体撮像装置の構成を示す断面図である。
【図9】 一般的な固体撮像装置の一製造過程を示す断面図である。
【図10】 一般的な固体撮像装置を含む撮像装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
A 固体撮像装置
K 上面基準部材
1 パッケージ
1a 底板
1b 側壁
1c 開口部
1d 収容部
3 固体撮像素子
11 封止板
15 接着剤
35 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固体撮像素子のチップを収容する収容部と上方に開口部を有するパッケージの前記収容部の底面上に、所定の厚みを有する接着剤を散点状に塗布する工程と、前記パッケージと前記固体撮像素子との各上面を所定の基準面に対して高精度に平行度を合わせた状態において前記固体撮像素子を前記収容部に向けて移動させる工程と、前記固体撮像素子の下面を前記接着剤に当接させ、前記収容部の底面には当接しない状態で前記固体撮像素子の移動を停止する工程と、前記固体撮像素子が前記接着剤上に浮いた状態で前記接着剤を硬化させて前記固体撮像素子を前記収容部中に固定する工程と、前記開口部を塞ぐ封止板を前記パッケージに取り付ける工程とを含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項2】 前記パッケージの上面を基準として用い、前記固体撮像素子の受光面に被写体からの像を収束させるためのレンズを設置する工程とを含む請求項1に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項3】 底板と前記底板から立ち上がる側壁とを有し固体撮像素子のチップを収容するパッケージの前記底板上に、所定の厚みを有する接着剤を散点状に塗布する工程と、前記側壁の上面または前記底板の上面を基準面として固体撮像素子の上面を前記基準面に対して高精度に平行度を合わせた状態で前記固体撮像素子の下面を前記接着剤に当接させ、前記固体撮像素子の下面が前記接着剤を押圧する状態であって、前記固体撮像素子の下面と前記底板の上面とが当接していない状態になるまで前記固体撮像素子を移動させる工程と、前記接着剤を硬化させて前記固体撮像素子を前記パッケージ中に固定する工程と、前記側壁の上面の少なくとも一部の領域に前記パッケージを封止するための封止板を取り付ける工程と、基準面とされた前記側壁の上面または前記底板の上面と、前記固体撮像素子の受光面に被写体からの像を収束させるためのレンズを固定するためのレンズ固定用部材の下面とを当接させて固定する工程とを含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項4】 前記接着剤を塗布する工程は、複数本のノズルを有する接着剤供給装置により0.1mmから0.3mmの厚さの接着剤を塗布する工程である請求項1から3までのいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項5】 硬化前の接着剤の粘度が、5Pa・sから25Pa・sまでの間である請求項1から4までのいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】 底板と前記底板から立ち上がる側壁とを有し、固体撮像素子チップを収容する収容部と上方に開口部を有するパッケージと、前記底板上に、散点状に塗布された所定の厚みを有する接着剤と、裏面が前記接着剤の上に保持され、前記底板の表面から浮いている状態で固定された固体撮像素子と、前記開口部を塞ぐ透明な封止板とを含む固体撮像装置。
【請求項7】 さらに、前記固体撮像素子の受光面に被写体からの像を収束させるためのレンズを固定するためのレンズ固定用部材と、前記レンズ固定用部材に保持されたレンズとを有し、前記レンズ固定用部材の下面が前記側壁又は前記底板の上面と密着している請求項6に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2001−244280(P2001−244280A)
【公開日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−54551(P2000−54551)
【出願日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願人】(391051588)富士フイルムマイクロデバイス株式会社 (81)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】