固体撮像装置
【課題】消費電流を低減することができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】画素信号のレベルに応じた論理状態の信号を出力する複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ回路L_7において、複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号が入力端子Dに入力される。NAND回路NAND1およびINV回路INV2は、画素信号のレベルに応じた制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、制御信号出力タイミングの後に動作する。スイッチ回路SW1,SW2は、制御信号出力タイミングまでは複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、信号線LN2を介して出力端子Mから出力し、制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をNAND回路NAND1およびINV回路INV2がラッチするように接続の切替を行う。
【解決手段】画素信号のレベルに応じた論理状態の信号を出力する複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ回路L_7において、複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号が入力端子Dに入力される。NAND回路NAND1およびINV回路INV2は、画素信号のレベルに応じた制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、制御信号出力タイミングの後に動作する。スイッチ回路SW1,SW2は、制御信号出力タイミングまでは複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、信号線LN2を介して出力端子Mから出力し、制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をNAND回路NAND1およびINV回路INV2がラッチするように接続の切替を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素から出力されるアナログの画素信号をデジタルデータに変換するA/D変換機能を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置に用いられるA/D変換回路の一例として、図15に示す構成(例えば、特許文献1,2参照)が知られている。初めに、図15に示すA/D変換回路の構成について説明する。図15に示すA/D変換回路は、遅延部101、比較回路102、ラッチ部103、カウンタ回路104、およびバッファ回路105で構成される。
【0003】
遅延部101は、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を有する。先頭の遅延ユニットDU[0]にスタートパルスφStartPが入力される。比較回路102は、時間検出の対象となるアナログ信号φSignalと、時間の経過と共に減少するランプ波φRampとが入力され、アナログ信号φSignalとランプ波φRampを比較した結果を示す信号φCOを出力する。ラッチ部103は、遅延部101の各遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7の論理状態をラッチするラッチ回路L_0〜L_7を有する。カウンタ回路104は、遅延部101の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に基づいてカウントを行う。
【0004】
比較回路102において、アナログ信号φSignalの振幅に応じたタイムインターバル(時間軸方向の大きさ)が生成される。バッファ回路105は、入力信号を反転して出力する反転バッファ回路である。ここでは、本明細書中の説明を理解し易くするために反転バッファ回路の構成としている。
【0005】
ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路105の出力信号φHoldがHighのときにイネーブル(有効)状態であり、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7をそのまま出力する。また、ラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路105の出力信号φHoldがHighからLowに遷移するときにディスエーブル(無効)状態となり、そのときの遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態をラッチする。
【0006】
なお、カウンタ回路104のカウント結果の論理状態をラッチするカウントラッチ回路を明示していないが、ラッチ機能を有するカウンタ回路を用いることにより、カウンタ回路104がカウントラッチ回路を兼ねている。
【0007】
次に、従来例の動作について説明する。図16は、従来例に係るA/D変換回路の動作を示している。まず、比較回路102での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、遅延部101の遅延時間(8個の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の遅延時間の合計)に略一致する周期のクロックが遅延部101に入力される。これにより、遅延部101が動作を開始する。遅延部101を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部101を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部103のラッチ回路L_0〜L_7に入力される。ラッチ回路L_7は、入力された遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7をそのままカウンタ回路104に出力する。
【0008】
カウンタ回路104は、ラッチ部103のラッチ回路L_7から出力される遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。アナログ信号φSignalとランプ波φRampとが略一致したタイミング(第2のタイミング)で比較回路102の出力信号φCOが反転し、さらに、バッファ回路105で入力信号に与えられる所定の遅延時間が経過した後のタイミング(第3のタイミング)でバッファ回路105の出力信号φHoldがLowとなる。
【0009】
これにより、ラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態がラッチ回路L_0〜L_7にラッチされる。カウンタ回路104は、ラッチ回路L_7が動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部103がラッチしている論理状態と、カウンタ回路104がラッチしているカウント値とにより、アナログ信号φSignalに対応したデジタルデータが得られる。
【0010】
上記の従来例に係るA/D変換回路によれば、アナログ信号φSignalの電圧に応じたタイムインターバルに対応したデジタルデータを得ることができる。すなわち、アナログ信号φSignalに対応したデジタルデータを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-38726号公報
【特許文献2】特開2009-38781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のA/D変換回路には以下に示す課題がある。すなわち、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7がタイムインターバルの期間動作することにより、ラッチ部103で消費される電流値が大きくなり、A/D変換回路の低消費電流化が困難である、という課題がある。
【0013】
従来例のA/D変換回路では、第1のタイミングから第3のタイミングまでの期間、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7が常に動作している。遅延部101の出力信号φCK0〜φCK7は、一般的に周波数が高いため、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7で消費される電流により、A/D変換回路自体の低消費電流化が困難となっている。
【0014】
ここで、従来例のA/D変換回路に用いた具体的デバイスの例として、デジタルスチルカメラ(DSC)等に使用されるイメージャを考えてみる。具体的には、画素数は2000万画素、フレームレートは60frame/secというスペックを仮定してみる。なお、A/D変換回路は画素列ごとに配置するものとする。説明を容易にするため、2000万画素の画素配列を縦横に4000行×5000列とし、更に単純化のためにブランキング期間がないものとすると、1秒当りに画素信号を読み出す行の数は、以下のようになる。
60frame/sec×4000行/frame=240Kline/sec
【0015】
つまり、1行の読出しレートは240KHzとなる。例えば10ビットのAD変換を、上位7ビット(カウンタ回路104のカウント値)と下位3ビット(ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7のデータ)で構成したとすると、1行の読出しレートの128(=27)倍、すなわち30MHz程度で遅延部101から出力信号CK0〜φCK7が出力される必要がある。ここで、ラッチ部103を構成するラッチ回路1個当りの消費電流値を1uA/個と仮定すると、1列当りのラッチ回路L_0〜L_7での消費電流値は、1uA/個×8個=8uAとなる。
【0016】
つまり、5000列での消費電流値は40mAとなる。この計算では、A/D変換回路が画素からデータを受け取るまでの待機期間等の、AD変換としての比較動作ができない期間を考慮しておらず、また、上記画素以外にOB(Optical Black)画素から画素信号を読み出す期間やブランキング期間を除いているため、実際には、上記のように見積もった周波数30MHzよりも高い周波数になると考えられる。
【0017】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、消費電流を低減することができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、入射される電磁波の大きさに応じて画素信号を出力する画素が複数、行列状に配置された画素部と、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットを有する遅延部と、前記複数の遅延ユニットのいずれかから出力されるクロックに基づいてカウントを行い、カウント結果をラッチするカウント部と、前記入力信号が前記複数の遅延ユニットを通過する数が前記画素信号のレベルに応じた数になるタイミングで制御信号を出力するラッチ制御部と、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ部と、を有し、前記ラッチ部は、前記複数の遅延ユニットのいずれかに接続され、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号に対して論理演算を行う第1の論理ゲートと、前記制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、該制御信号出力タイミングの後は前記第1の論理ゲートの出力信号に対して論理演算を行い、該論理演算の結果を前記第1の論理ゲートに出力する第2の論理ゲートと、前記第1の論理ゲートの入力端子または出力端子と前記カウント部を接続する信号出力線と、前記制御信号出力タイミングまでは前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、前記信号出力線を介して前記カウント部に出力し、前記制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態を前記第1の論理ゲートおよび前記第2の論理ゲートがラッチするように接続の切替を行う切替回路と、を有し、前記遅延部、前記カウント部、前記ラッチ制御部、前記ラッチ部は、前記画素部を構成する前記画素の1列または複数列毎に配置されている、ことを特徴とする固体撮像装置である。
【0019】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記第2の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記第2の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の固体撮像装置において、前記切替回路は、一端が前記ラッチ部の入力端子に接続され、他端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続された第1のスイッチと、一端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続され、他端が前記第2の論理ゲートの出力端子に接続された第2のスイッチと、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の固体撮像装置において、前記切替回路は、前記第1のスイッチが前記ラッチ部の入力端子と前記第1の論理ゲートの入力端子との間を開放してから所定時間が経過した後に、前記第2のスイッチが前記第1の論理ゲートの入力端子と前記第2の論理ゲートの出力端子との間を接続するように前記第2のスイッチを制御するスイッチ制御回路をさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の固体撮像装置は、前記ラッチ部の出力端子と前記カウント部の入力端子との間に、ヒステリシス特性を持つバッファを有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の固体撮像装置において、前記インバータ回路はヒステリシス特性を持つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ラッチ制御部から制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは、ラッチ部を構成する第2の論理ゲートが停止することによって、消費電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有する遅延部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路で発生するノイズを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路で発生するノイズを示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図15】従来例に係るA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図16】従来例に係るA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る固体撮像装置の構成を示している。図1に示す固体撮像装置は、単位画素1を有する画素アレイ2(画素部)、垂直走査回路3、アナログ回路4(アナログ回路41、アナログ回路42、アナログ回路43、アナログ回路44、アナログ回路45、アナログ回路46)、参照信号生成回路5、A/D変換回路6、クロック生成部7、エンコーダ回路8、水平走査回路9、および制御回路10で構成される。
【0031】
単位画素1は、少なくとも光電変換素子を有し、入射される電磁波の大きさに応じた画素信号を出力する。画素アレイ2は、2次元(図示する例では6行6列)に配置された単位画素1で構成されている。垂直走査回路3は、シフトレジスタあるいはデコーダなどによって構成され、画素アレイ2の行選択を行う。アナログ回路4は、所謂、CDS回路などで構成され、画素アレイ2から読み出された画素信号を処理して出力する。参照信号生成回路5は、時間の経過とともに増加または減少する参照信号(ランプ波)を生成する。
【0032】
クロック生成部7は遅延部71で構成されている。A/D変換回路6は、単位画素1からアナログ回路4を通して読み出されたアナログの画素信号をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータを出力信号φAD_OUTとして出力する。エンコーダ回路8は、A/D変換回路6の出力信号φAD_OUTをバイナリ化(2進化)して出力する。水平走査回路9は、シフトレジスタあるいはデコーダなどによって構成され、A/D変換回路6を制御し、A/D変換回路6が保持するデジタルデータを列毎に出力させる。制御回路10は、固体撮像装置を構成する各々の回路に対して、各種制御信号を出力する。
【0033】
図2(a)は遅延部71の構成を示している。遅延部71は、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を有する。遅延ユニットDU[0]〜DU[7]は、遅延ユニットDU[0]、遅延ユニットDU[1]、遅延ユニットDU[2]、・・・、遅延ユニットDU[7]の順に直列に接続されており、先頭の遅延ユニットDU[0]にスタートパルスφStartPが入力される。遅延ユニットDU[0]は、入力されたスタートパルスφStartPを遅延させて出力し、遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力する。
【0034】
遅延部71として、図2(a)に示す構成の代わりに、複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]をリング状に接続することで実現される円環遅延回路(遅延部71a)を用いても構わない。図2(b)は遅延部71aの構成を示している。遅延部71aでは、遅延ユニットDU[7]の出力信号が遅延ユニットDU[0]に入力される。遅延部71aは、スタートパルスφStartPの論理状態がLowからHighに変化することで動作を開始する。
【0035】
次に、A/D変換回路6の構成について説明する。A/D変換回路6は画素列毎に設けられており、図1では6個のA/D変換回路6(ADC61,ADC62,ADC63,ADC64,ADC65,ADC66)が設けられている。各列のA/D変換回路6は同一の構成となっている。図3はA/D変換回路6の構成を示している。A/D変換回路6は、ラッチ制御部62、ラッチ部63、およびカウンタ回路64(カウント部)で構成される。
【0036】
ラッチ制御部62は、比較回路621、反転遅延回路622、およびAND回路AND1で構成され、比較回路621の出力信号φCOに基づいて、ラッチ部63を制御するための制御信号(φRS,φxCO_D,φHOLD)を生成する。比較回路621は、単位画素1からアナログ回路4を通して出力されるアナログの画素信号φSignalに応じた信号電圧と、参照信号生成回路5から供給されるランプ波φRampに応じた信号電圧とを比較することによって、画素信号φSignalの大きさを、時間軸方向の情報であるタイムインターバル(パルス幅)に変換する。比較回路621の比較出力である出力信号φCOは、例えばランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きくなるとLowレベルになり、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下のときにはHighレベルになる。
【0037】
比較回路621の出力信号φCOは反転遅延回路622およびAND回路AND1に出力されると共に、出力信号φRSとしてラッチ部63に出力される。反転遅延回路622は、比較回路621の出力信号φCOを反転および遅延させる。反転遅延回路622の出力信号φxCO_DはAND回路AND1に出力されると共に、出力信号φHOLD_7としてラッチ部63に出力される。AND回路AND1は、比較回路621の出力信号φCOと反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dとの論理積(AND)をとった信号を出力信号φHOLDとしてラッチ部63に出力する。
【0038】
ラッチ部63は、ラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7を有する。スタートパルスφStartPが遅延部71に入力されたタイミング(第1のタイミング)の後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転するタイミング(第2のタイミング)で、ラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6がイネーブル(有効)状態となる。第2のタイミングから所定時間が経過した後のタイミング(第3のタイミング)で、ラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7はディスエーブル(無効)状態となり、遅延部71で生成された信号の論理状態をラッチ(保持/記憶)する。ラッチ部63のラッチ回路L_7は、第3のタイミングまで常にイネーブル状態となっている。
【0039】
カウンタ回路64は、ラッチ部63のラッチ回路L_7の出力端子Mの出力信号に基づいてカウントを行う。ここで、カウンタ回路64は、カウンタ回路64の論理状態を保持するラッチ機能を合わせ持つカウンタ回路を想定している。ラッチ部63の論理状態が示す下位データ信号は、例えば8ビットのデータである。また、カウンタ回路64のカウント結果が示す上位データ信号は、例えば10ビットのデータである。なお、この10ビットデータは一例であって、10ビット未満のビット数(例えば8ビット)や10ビットを越えるビット数(例えば、12ビット)などであっても構わない。
【0040】
図4はラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7の構成を示している。図4(a)はラッチ回路L_0〜L_6の構成を示し、図4(b)はラッチ回路L_7の構成を示している。
【0041】
ラッチ回路L_0〜L_6は、スイッチ回路SW1,SW2およびINV回路(インバータ回路)INV1,INV2で構成される。スイッチ回路SW1の一端は、信号線LN1を介して入力端子Dに接続されている。スイッチ回路SW2の一端およびINV回路INV1の入力端子は、信号線LN2を介してスイッチ回路SW1の他端に接続されている。INV回路INV2の入力端子は、信号線LN4を介してINV回路INV1の出力端子に接続されている。スイッチ回路SW2の他端およびINV回路INV2の出力端子は、信号線LN3を介して出力端子Qに接続されている。
【0042】
スイッチ回路SW1,SW2の制御端子は、信号線LN5を介して入力端子CKに接続されており、スイッチ回路SW1,SW2は、入力端子CKの入力信号によって制御される。スイッチ回路SW1は、入力端子CKの入力信号がHighのときONとなり、入力端子CKの入力信号がLowのときOFFとなる。スイッチ回路SW2は、入力端子CKの入力信号がLowのときONとなり、入力端子CKの入力信号がHighのときOFFとなる。INV回路INV1,INV2は、入力信号の論理状態を反転した信号を出力する。
【0043】
入力端子CKに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φHOLDであり、入力端子Dに入力される信号は、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[6]の出力信号φCK0〜φCK6である。出力端子Qから出力される信号は出力信号φAD_OUT[0]〜φAD_OUT[6]を構成する。
【0044】
ラッチ回路L_0〜L_6は、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をそのまま出力端子Qから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_0〜L_6は、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。
【0045】
ラッチ回路L_7は、スイッチ回路SW1,SW2(切替回路)、NAND回路NAND1(第1の論理ゲート)、およびINV回路(インバータ回路)INV2(第2の論理ゲート)で構成される。スイッチ回路SW1の一端は、信号線LN1を介して入力端子Dに接続されている。スイッチ回路SW2の一端およびNAND回路NAND1の第1の入力端子は、信号線LN2(信号出力線)を介して、スイッチ回路SW1の他端および出力端子Mに接続されている。NAND回路NAND1の第2の入力端子は入力端子RSに接続されている。INV回路INV2の入力端子は、信号線LN4を介してNAND回路NAND1の出力端子に接続されている。スイッチ回路SW2の他端およびINV回路INV2の出力端子は、信号線LN3を介して出力端子Qに接続されている。
【0046】
スイッチ回路SW1,SW2の制御端子は、信号線LN5を介して入力端子CKに接続されており、スイッチ回路SW1,SW2は、入力端子CKの入力信号によって制御される。スイッチ回路SW1は、入力端子CKの入力信号がHighのときONとなり、入力端子CKの入力信号がLowのときOFFとなる。スイッチ回路SW2は、入力端子CKの入力信号がLowのときONとなり、入力端子CKの入力信号がHighのときOFFとなる。NAND回路NAND1は、第1の入力端子に入力される信号と第2の入力端子に入力される信号との否定論理積(NAND)をとった信号を出力する。INV回路INV2は、入力信号の論理状態を反転した信号を出力する。
【0047】
入力端子CKに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7であり、入力端子Dに入力される信号は、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7である。また、入力端子RSに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φRSである。出力端子Qから出力される信号は出力信号φAD_OUT[7]を構成する。また、出力端子Mから出力される信号は、カウンタ回路64のカウントクロックとしてカウンタ回路64に入力される。
【0048】
ラッチ回路L_7は、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をそのまま出力端子Mから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_7は、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。ラッチした入力信号は出力端子Qから出力信号として出力される。また、入力端子RSの入力信号がLowになると、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止する。
【0049】
入力端子CKの入力信号がHighのとき、スイッチ回路SW1はONとなっており、遅延部71の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7がNAND回路NAND1の第1の入力端子に入力されると共に出力端子Mからカウンタ回路64に出力される。このとき、NAND回路NAND1の第2の入力端子に入力される入力端子RSの入力信号をLowとすることで、NAND回路NAND1に遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7が入力されていても、NAND回路NAND1およびINV回路INV2の動作を停止することができ、消費電力を低減することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作について説明する。ここでは、単位画素1の具体的な動作については説明を省略するが、周知のように単位画素1ではリセットレベルと信号レベルとが出力される。出力されたリセットレベルと信号レベルは、アナログ回路4においてCDS処理された画素信号φSignalとして出力される。A/D変換は、以下のようにして行われる。図5は、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を示している。
【0051】
まず、ラッチ制御部62の比較回路621での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、クロック生成部7の遅延部71の遅延時間に略一致する周期のクロックが入力される。これにより、遅延部71が動作を開始する。遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。
【0052】
遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7に入力される。ラッチ回路L_0〜L_6は、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがLowであり、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowであるため、ディスエーブル状態であり、動作を停止している。ラッチ回路L_7は、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7がHighであるため、イネーブル状態であり、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を出力端子Mから出力信号としてそのまま出力する。
【0053】
このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(=比較回路621の出力信号φCO)がLowであるため、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止している。カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7の出力端子Mから出力される遅延部71の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。
【0054】
第1のタイミング以降、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きい間、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOはLowである。ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下になると、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなる。第1のタイミングからラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなるまでの期間が、検出の対象となるタイムインターバルである。この期間内にスタートパルスφStartPが、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を通過する数は、画素信号φSignalのレベルに応じた数になる。
【0055】
第1のタイミングから、検出の対象となるタイムインターバルが経過した後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転することにより、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがHighとなる(第2のタイミング)。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6はイネーブル状態となる。このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(比較回路621の出力信号φCO)はHighとなる。これにより、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を開始する。
【0056】
第2のタイミングから、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の遅延時間に一致する時間が経過した後(第3のタイミング)、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dが反転し、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD,φHOLD_7(φxCO_D)がLowとなる。これにより、ラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態がラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7にラッチされる。
【0057】
カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7が動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部63が保持している論理状態と、カウンタ回路64が保持しているカウント値とにより、タイムインターバルに対応したデータが得られる。
【0058】
その後、ラッチ回路L_0〜L_7およびカウンタ回路64がラッチしているデジタルデータは、水平走査回路9により、水平信号線を介して出力され、エンコーダ回路8に転送される。エンコーダ回路8がバイナリ化処理を実施することで2進化データが得られる。なお、エンコーダ回路8をA/D変換回路6に内蔵する構成でも構わない。
【0059】
上記の動作では、第2のタイミング(制御信号出力タイミング)〜第3のタイミング(ラッチタイミング)までの期間のみ、ラッチ回路L_0〜L_7の論理素子(インバータ回路INV,INV2、NAND回路NAND1)が動作するため、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、消費電力が低減された固体撮像装置を実現することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、アナログ的にCDS処理された画素信号の信号レベルをA/D変換することで、画素信号に応じたデジタルデータを得るように固体撮像装置が動作するが、固体撮像装置の動作はこの動作に限るものではない。例えば、1回目の読出し動作時に単位画素1から画素信号の雑音を含むリセットレベルを読み出してA/D変換し、続いて、2回目の読出し動作時に単位画素1から信号レベルを読み出してA/D変換し、その後、デジタル的にCDS動作をすることにより、画素信号に応じたデジタルデータを得るようにしても構わない。また、これに限る必要もない。
【0061】
なお、A/D変換回路6のラッチ回路L_0〜L_6の構成は図4の構成に限るものではなく、入力端子Dの入力信号を入力端子CKの入力信号に応じてラッチする回路であれば良い。また、ラッチ回路L_7の構成は図4の構成に限るものではなく、図6に示すように、NAND回路NAND1の代わりにNOR回路NOR1を用いても良い。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図7は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7a)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7aの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0063】
図7に示すラッチ回路L_7aは、図4のラッチ回路L_7と比較して、ラッチ回路L_7aのラッチ動作を制御するSW制御部31(スイッチ制御回路)が設けられていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。SW制御部31は、スイッチ回路SW1がONからOFFに切り替わった後、一定時間が経過したタイミングでスイッチ回路SW2をOFFからONに切り替える制御を行う。SW制御部31は、例えば遅延回路で構成される。
【0064】
次に、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を説明する。なお、A/D変換回路6の動作以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。図8は、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を示している。まず、ラッチ制御部62の比較回路621での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、クロック生成部7の遅延部71の遅延時間に略一致する周期のクロックが入力される。これにより、遅延部71が動作を開始する。遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。
【0065】
遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7aに入力される。ラッチ回路L_0〜L_6は、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがLowであり、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowであるため、ディスエーブル状態であり、動作を停止している。ラッチ回路L_7aは、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7がHighであるため、イネーブル状態であり、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を出力端子Mから出力信号としてそのまま出力する。
【0066】
このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(=比較回路621の出力信号φCO)がLowであるため、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止している。カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7aの出力端子Mから出力される遅延部71の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。
【0067】
第1のタイミング以降、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きい間、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOはLowである。ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下になると、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなる。第1のタイミングからラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなるまでの期間が、検出の対象となるタイムインターバルである。この期間内にスタートパルスφStartPが、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を通過する数は、画素信号φSignalのレベルに応じた数になる。
【0068】
第1のタイミングから、検出の対象となるタイムインターバルが経過した後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転することにより、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがHighとなる(第2のタイミング)。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6はイネーブル状態となる。このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(比較回路621の出力信号φCO)はHighとなる。これにより、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を開始する。
【0069】
第2のタイミングから、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の遅延時間に一致する時間が経過した後(第3のタイミング)、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dが反転し、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowとなる。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[6]の出力信号φCK0〜φCK6に応じた論理状態がラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6にラッチされる。
【0070】
また、このとき、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7(φxCO_D)がLowとなり、ラッチ回路L_7aのスイッチ回路SW1がOFFとなることで、ラッチ回路L_7aはディスエーブル状態となる。第3のタイミングからラッチ回路L_7aのSW制御部31の遅延時間に応じた時間が経過した後(第4のタイミング)、ラッチ回路D_7のスイッチ回路SW2がONとなる。これにより、ラッチ回路L_7aは、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に応じた論理状態をラッチする。なお、第3のタイミングから第4のタイミングまでの間、ラッチ回路L_7aは、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に応じた論理状態をNAND回路NAND1のゲート容量などの寄生容量にラッチしている。
【0071】
カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7aが動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部63が保持している論理状態と、カウンタ回路64が保持しているカウント値とにより、タイムインターバルに対応したデータが得られる。
【0072】
その後、ラッチ回路L_0〜L_7aおよびカウンタ回路64がラッチしているデジタルデータは、水平走査回路9により、水平信号線を介して出力され、エンコーダ回路8に転送される。エンコーダ回路8がバイナリ化処理を実施することで2進化データが得られる。なお、エンコーダ回路8をA/D変換回路6に内蔵する構成でも構わない。
【0073】
上記の動作では、第2のタイミング(制御信号出力タイミング)〜第3のタイミング(ラッチタイミング)までの期間のみ、ラッチ回路L_0〜L_6,L_7aの論理素子(インバータ回路INV,INV2、NAND回路NAND1)が動作するため、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、消費電力が低減された固体撮像装置を実現することができる。
【0074】
上記の動作では、ラッチ回路L_7aの出力端子Qの電圧は、ラッチ回路L_7aの出力端子Mの電圧が変化した後、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)の遅延時間に応じた時間が経過したタイミングで変化する。そのため、図8に示すように、第3のタイミングで、ラッチ回路L_7aの出力端子Qの電圧と出力端子Mの電圧が異なることがある。
【0075】
このとき、ラッチ回路L_7aのスイッチ回路SW1とスイッチ回路SW2の接続を同時に切り替えると、図9に示すようなノイズが出力端子Mの電圧に重畳する。このノイズに基づいてカウンタ回路64が誤カウントを行うと、A/D変換結果に上位1ビットの誤差が現れる。本実施形態では、スイッチ回路SW1が接続を切り替えた後、SW制御部31の遅延時間に応じた時間が経過したタイミングでスイッチ回路SW2が接続を切り替える。そのため、図9に示すような、ラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因してカウンタ回路64の入力信号に重畳するノイズを除去することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0076】
なお、A/D変換回路6のラッチ回路D_0〜D_6の構成は図4の構成に限るものではなく、入力端子Dの入力信号を入力端子CKの入力信号に応じてラッチする回路であれば良い。また、ラッチ回路L_7aの構成は図7の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0077】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7b)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7bの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0078】
図10に示すラッチ回路L_7bでは、図4のラッチ回路L_7と比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換されていること、およびINV回路INV2の出力端子とNAND回路NAND1の第1の入力端子を接続する信号線LN4(信号出力線)が出力端子Mに接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。
【0079】
ラッチ回路L_7bは、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をINV回路INV2が反転した信号を出力端子Mから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_7bは、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。ラッチした入力信号は出力端子Qから出力信号として出力される。また、入力端子RSの入力信号がLowになると、NAND回路NAND1は動作を停止する。
【0080】
入力端子CKの入力信号がHighのとき、スイッチ回路SW1はONとなっており、遅延部71の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7をINV回路INV2が反転した信号がNAND回路NAND1の第1の入力端子に入力されると共に出力端子Mからカウンタ回路64に出力される。このとき、NAND回路NAND1の第2の入力端子に入力される入力端子RSの入力信号をLowとすることで、NAND回路NAND1に遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を反転した信号が入力されていても、NAND回路NAND1の動作を停止することができ、消費電力を低減することができる。
【0081】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7bの動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図5に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7bのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ラッチ回路L_7bのINV回路INV2の出力側がカウンタ回路64に接続されており、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を伝送する信号線LN2と、カウンタ回路64に接続される信号線LN4とがINV回路INV2によって隔てられている。従って、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、信号線LN2の負荷が軽い。そのため、波形のなまりを抑制することができ、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0083】
なお、ラッチ回路L_7bの構成は図10の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0084】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。図11は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7c)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7cの構成以外は、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0085】
図11に示すラッチ回路L_7cでは、図7のラッチ回路L_7aと比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換されていること、および出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図7のラッチ回路L_7aの構成と同様である。
【0086】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7cの動作以外、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図8に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7cのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、ラッチ回路L_7cのINV回路INV2の出力側がカウンタ回路64に接続されており、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を伝送する信号線LN2と、カウンタ回路64に接続される信号線LN4とがINV回路INV2によって隔てられている。従って、本実施形態では、第2の実施形態と比較して、信号線LN2の負荷が軽い。そのため、波形のなまりを抑制することができ、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0088】
なお、ラッチ回路L_7cの構成は図11の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。図12は、本実施形態に係るA/D変換回路6(A/D変換回路6a)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6aの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0090】
図12に示すA/D変換回路6aは、カウンタ回路64の入力端子とラッチ回路L_7の出力端子Mとの間に、ヒステリシス特性を持つヒステリシスバッファ65が設けられている。これ以外の構成は、第1の実施形態のA/D変換回路6と同様である。ヒステリシスバッファ65は、ラッチ回路L_7の出力信号に重畳するノイズを除去した出力信号φBOをカウンタ回路64に出力する。
【0091】
本実施形態に係るA/D変換回路6aの動作は、図5の第3のタイミングにおけるラッチ回路L_7とカウンタ回路64の動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。図13は、ラッチ回路L_7の出力端子Mの電圧とヒステリシスバッファ65の出力信号φBOの電圧を示している。第3のタイミングで、ラッチ回路L_7が遅延回路DU[7]の出力信号φCKの論理状態をラッチするとき、ラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因したノイズがラッチ回路L_7の出力端子Mの電圧に重畳すると考えられる。このとき、ヒステリシスバッファ65は、ノイズの重畳した信号を受けて、ノイズを除去して出力信号φBOをカウンタ回路64に出力する。従って、本実施形態では、カウンタ回路64がラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因したノイズを誤カウントすることがなく、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0092】
なお、ラッチ回路L_7の構成は、図4の構成に限るものではなく、図7のようにSW制御部31を設けた構成でも良いし、図10のようにINV回路INV2とNAND回路NAND1の配置を交換し、且つ出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されるような構成でも良いし、図11のように図7と図10の構成を組み合わせた構成でも良い。
【0093】
なお、本実施形態では、ヒステリシスバッファは、入力された信号と同相の信号を出力するように動作するが、これに限るものではなく、入力された信号を反転して出力しても構わない。
【0094】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。図14は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7d)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7dとカウンタ回路64の構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0095】
ラッチ回路L_7dでは、図4のラッチ回路L_7と比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換され、且つINV回路INV2がヒステリシス特性を有していること、および出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。本実施形態のカウンタ回路64は、第1の実施形態のカウンタ回路64とは逆の遷移タイミングでカウントを行うよう構成されている。例えば、第1の実施形態のカウンタ回路64が遅延部71の出力信号φCK7の立上りでカウントを行う構成であれば、本実施形態のカウンタ回路64は遅延部71の出力信号φCK7の立下りでカウントを行い、第1の実施形態のカウンタ回路64が遅延部71の出力信号φCK7の立下りでカウントを行う構成であれば、本実施形態のカウンタ回路64は遅延部71の出力信号φCK7の立上りでカウントを行う。
【0096】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7dの動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図5に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7bのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0097】
また、本実施形態では、ヒステリシス特性を有するINV回路INV2の出力信号がカウンタ回路64に入力される。そのため、カウンタ回路64が、ラッチ回路L_7dのスイッチング動作に起因したノイズによって誤カウントを行うことがなく、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。さらに、本実施形態では、ラッチ回路L_7dの論理素子(INV回路INV2)がヒステリシス特性を有することによって、第5の実施形態のA/D変換回路6aと比較して、ヒステリシスバッファ65を削減することができるので、第5の実施形態のA/D変換回路6aよりもA/D変換回路6の消費電力を低減することができる。
【0098】
なお、ラッチ回路L_7dは図14の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0099】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、図1ではA/D変換回路6が画素アレイ2における単位画素1の1列に対応して配置されているが、A/D変換回路6を複数列毎に配置し、複数列で1つのA/D変換回路6を共有しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1・・・単位画素、2・・・画素アレイ、3・・・垂直走査回路、4・・・アナログ回路、5・・・参照信号生成回路、6,6a・・・A/D変換回路、7・・・クロック生成部、8・・・エンコーダ回路、9・・・水平走査回路、10・・・制御回路、31・・・SW制御部、62・・・ラッチ制御部、63,103・・・ラッチ部、64,104・・・カウンタ回路、65・・・ヒステリシスバッファ、71,71a,101・・・遅延部、102,621・・・比較回路、105・・・バッファ回路、622・・・反転遅延回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素から出力されるアナログの画素信号をデジタルデータに変換するA/D変換機能を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の固体撮像装置に用いられるA/D変換回路の一例として、図15に示す構成(例えば、特許文献1,2参照)が知られている。初めに、図15に示すA/D変換回路の構成について説明する。図15に示すA/D変換回路は、遅延部101、比較回路102、ラッチ部103、カウンタ回路104、およびバッファ回路105で構成される。
【0003】
遅延部101は、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を有する。先頭の遅延ユニットDU[0]にスタートパルスφStartPが入力される。比較回路102は、時間検出の対象となるアナログ信号φSignalと、時間の経過と共に減少するランプ波φRampとが入力され、アナログ信号φSignalとランプ波φRampを比較した結果を示す信号φCOを出力する。ラッチ部103は、遅延部101の各遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7の論理状態をラッチするラッチ回路L_0〜L_7を有する。カウンタ回路104は、遅延部101の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に基づいてカウントを行う。
【0004】
比較回路102において、アナログ信号φSignalの振幅に応じたタイムインターバル(時間軸方向の大きさ)が生成される。バッファ回路105は、入力信号を反転して出力する反転バッファ回路である。ここでは、本明細書中の説明を理解し易くするために反転バッファ回路の構成としている。
【0005】
ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路105の出力信号φHoldがHighのときにイネーブル(有効)状態であり、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7をそのまま出力する。また、ラッチ回路L_0〜L_7は、バッファ回路105の出力信号φHoldがHighからLowに遷移するときにディスエーブル(無効)状態となり、そのときの遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態をラッチする。
【0006】
なお、カウンタ回路104のカウント結果の論理状態をラッチするカウントラッチ回路を明示していないが、ラッチ機能を有するカウンタ回路を用いることにより、カウンタ回路104がカウントラッチ回路を兼ねている。
【0007】
次に、従来例の動作について説明する。図16は、従来例に係るA/D変換回路の動作を示している。まず、比較回路102での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、遅延部101の遅延時間(8個の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の遅延時間の合計)に略一致する周期のクロックが遅延部101に入力される。これにより、遅延部101が動作を開始する。遅延部101を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部101を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部103のラッチ回路L_0〜L_7に入力される。ラッチ回路L_7は、入力された遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7をそのままカウンタ回路104に出力する。
【0008】
カウンタ回路104は、ラッチ部103のラッチ回路L_7から出力される遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。アナログ信号φSignalとランプ波φRampとが略一致したタイミング(第2のタイミング)で比較回路102の出力信号φCOが反転し、さらに、バッファ回路105で入力信号に与えられる所定の遅延時間が経過した後のタイミング(第3のタイミング)でバッファ回路105の出力信号φHoldがLowとなる。
【0009】
これにより、ラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態がラッチ回路L_0〜L_7にラッチされる。カウンタ回路104は、ラッチ回路L_7が動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部103がラッチしている論理状態と、カウンタ回路104がラッチしているカウント値とにより、アナログ信号φSignalに対応したデジタルデータが得られる。
【0010】
上記の従来例に係るA/D変換回路によれば、アナログ信号φSignalの電圧に応じたタイムインターバルに対応したデジタルデータを得ることができる。すなわち、アナログ信号φSignalに対応したデジタルデータを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009-38726号公報
【特許文献2】特開2009-38781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のA/D変換回路には以下に示す課題がある。すなわち、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7がタイムインターバルの期間動作することにより、ラッチ部103で消費される電流値が大きくなり、A/D変換回路の低消費電流化が困難である、という課題がある。
【0013】
従来例のA/D変換回路では、第1のタイミングから第3のタイミングまでの期間、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7が常に動作している。遅延部101の出力信号φCK0〜φCK7は、一般的に周波数が高いため、ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7で消費される電流により、A/D変換回路自体の低消費電流化が困難となっている。
【0014】
ここで、従来例のA/D変換回路に用いた具体的デバイスの例として、デジタルスチルカメラ(DSC)等に使用されるイメージャを考えてみる。具体的には、画素数は2000万画素、フレームレートは60frame/secというスペックを仮定してみる。なお、A/D変換回路は画素列ごとに配置するものとする。説明を容易にするため、2000万画素の画素配列を縦横に4000行×5000列とし、更に単純化のためにブランキング期間がないものとすると、1秒当りに画素信号を読み出す行の数は、以下のようになる。
60frame/sec×4000行/frame=240Kline/sec
【0015】
つまり、1行の読出しレートは240KHzとなる。例えば10ビットのAD変換を、上位7ビット(カウンタ回路104のカウント値)と下位3ビット(ラッチ部103を構成するラッチ回路L_0〜L_7のデータ)で構成したとすると、1行の読出しレートの128(=27)倍、すなわち30MHz程度で遅延部101から出力信号CK0〜φCK7が出力される必要がある。ここで、ラッチ部103を構成するラッチ回路1個当りの消費電流値を1uA/個と仮定すると、1列当りのラッチ回路L_0〜L_7での消費電流値は、1uA/個×8個=8uAとなる。
【0016】
つまり、5000列での消費電流値は40mAとなる。この計算では、A/D変換回路が画素からデータを受け取るまでの待機期間等の、AD変換としての比較動作ができない期間を考慮しておらず、また、上記画素以外にOB(Optical Black)画素から画素信号を読み出す期間やブランキング期間を除いているため、実際には、上記のように見積もった周波数30MHzよりも高い周波数になると考えられる。
【0017】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、消費電流を低減することができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、入射される電磁波の大きさに応じて画素信号を出力する画素が複数、行列状に配置された画素部と、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットを有する遅延部と、前記複数の遅延ユニットのいずれかから出力されるクロックに基づいてカウントを行い、カウント結果をラッチするカウント部と、前記入力信号が前記複数の遅延ユニットを通過する数が前記画素信号のレベルに応じた数になるタイミングで制御信号を出力するラッチ制御部と、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ部と、を有し、前記ラッチ部は、前記複数の遅延ユニットのいずれかに接続され、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号に対して論理演算を行う第1の論理ゲートと、前記制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、該制御信号出力タイミングの後は前記第1の論理ゲートの出力信号に対して論理演算を行い、該論理演算の結果を前記第1の論理ゲートに出力する第2の論理ゲートと、前記第1の論理ゲートの入力端子または出力端子と前記カウント部を接続する信号出力線と、前記制御信号出力タイミングまでは前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、前記信号出力線を介して前記カウント部に出力し、前記制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態を前記第1の論理ゲートおよび前記第2の論理ゲートがラッチするように接続の切替を行う切替回路と、を有し、前記遅延部、前記カウント部、前記ラッチ制御部、前記ラッチ部は、前記画素部を構成する前記画素の1列または複数列毎に配置されている、ことを特徴とする固体撮像装置である。
【0019】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記第2の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の固体撮像装置において、前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、前記第2の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の固体撮像装置において、前記切替回路は、一端が前記ラッチ部の入力端子に接続され、他端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続された第1のスイッチと、一端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続され、他端が前記第2の論理ゲートの出力端子に接続された第2のスイッチと、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の固体撮像装置において、前記切替回路は、前記第1のスイッチが前記ラッチ部の入力端子と前記第1の論理ゲートの入力端子との間を開放してから所定時間が経過した後に、前記第2のスイッチが前記第1の論理ゲートの入力端子と前記第2の論理ゲートの出力端子との間を接続するように前記第2のスイッチを制御するスイッチ制御回路をさらに有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の固体撮像装置は、前記ラッチ部の出力端子と前記カウント部の入力端子との間に、ヒステリシス特性を持つバッファを有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の固体撮像装置において、前記インバータ回路はヒステリシス特性を持つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ラッチ制御部から制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは、ラッチ部を構成する第2の論理ゲートが停止することによって、消費電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有する遅延部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路で発生するノイズを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路で発生するノイズを示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第6の実施形態に係る固体撮像装置が有するA/D変換回路のラッチ回路の構成を示す回路図である。
【図15】従来例に係るA/D変換回路の構成を示すブロック図である。
【図16】従来例に係るA/D変換回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る固体撮像装置の構成を示している。図1に示す固体撮像装置は、単位画素1を有する画素アレイ2(画素部)、垂直走査回路3、アナログ回路4(アナログ回路41、アナログ回路42、アナログ回路43、アナログ回路44、アナログ回路45、アナログ回路46)、参照信号生成回路5、A/D変換回路6、クロック生成部7、エンコーダ回路8、水平走査回路9、および制御回路10で構成される。
【0031】
単位画素1は、少なくとも光電変換素子を有し、入射される電磁波の大きさに応じた画素信号を出力する。画素アレイ2は、2次元(図示する例では6行6列)に配置された単位画素1で構成されている。垂直走査回路3は、シフトレジスタあるいはデコーダなどによって構成され、画素アレイ2の行選択を行う。アナログ回路4は、所謂、CDS回路などで構成され、画素アレイ2から読み出された画素信号を処理して出力する。参照信号生成回路5は、時間の経過とともに増加または減少する参照信号(ランプ波)を生成する。
【0032】
クロック生成部7は遅延部71で構成されている。A/D変換回路6は、単位画素1からアナログ回路4を通して読み出されたアナログの画素信号をデジタルデータに変換し、変換後のデジタルデータを出力信号φAD_OUTとして出力する。エンコーダ回路8は、A/D変換回路6の出力信号φAD_OUTをバイナリ化(2進化)して出力する。水平走査回路9は、シフトレジスタあるいはデコーダなどによって構成され、A/D変換回路6を制御し、A/D変換回路6が保持するデジタルデータを列毎に出力させる。制御回路10は、固体撮像装置を構成する各々の回路に対して、各種制御信号を出力する。
【0033】
図2(a)は遅延部71の構成を示している。遅延部71は、入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を有する。遅延ユニットDU[0]〜DU[7]は、遅延ユニットDU[0]、遅延ユニットDU[1]、遅延ユニットDU[2]、・・・、遅延ユニットDU[7]の順に直列に接続されており、先頭の遅延ユニットDU[0]にスタートパルスφStartPが入力される。遅延ユニットDU[0]は、入力されたスタートパルスφStartPを遅延させて出力し、遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力する。
【0034】
遅延部71として、図2(a)に示す構成の代わりに、複数の遅延ユニットDU[0]〜DU[7]をリング状に接続することで実現される円環遅延回路(遅延部71a)を用いても構わない。図2(b)は遅延部71aの構成を示している。遅延部71aでは、遅延ユニットDU[7]の出力信号が遅延ユニットDU[0]に入力される。遅延部71aは、スタートパルスφStartPの論理状態がLowからHighに変化することで動作を開始する。
【0035】
次に、A/D変換回路6の構成について説明する。A/D変換回路6は画素列毎に設けられており、図1では6個のA/D変換回路6(ADC61,ADC62,ADC63,ADC64,ADC65,ADC66)が設けられている。各列のA/D変換回路6は同一の構成となっている。図3はA/D変換回路6の構成を示している。A/D変換回路6は、ラッチ制御部62、ラッチ部63、およびカウンタ回路64(カウント部)で構成される。
【0036】
ラッチ制御部62は、比較回路621、反転遅延回路622、およびAND回路AND1で構成され、比較回路621の出力信号φCOに基づいて、ラッチ部63を制御するための制御信号(φRS,φxCO_D,φHOLD)を生成する。比較回路621は、単位画素1からアナログ回路4を通して出力されるアナログの画素信号φSignalに応じた信号電圧と、参照信号生成回路5から供給されるランプ波φRampに応じた信号電圧とを比較することによって、画素信号φSignalの大きさを、時間軸方向の情報であるタイムインターバル(パルス幅)に変換する。比較回路621の比較出力である出力信号φCOは、例えばランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きくなるとLowレベルになり、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下のときにはHighレベルになる。
【0037】
比較回路621の出力信号φCOは反転遅延回路622およびAND回路AND1に出力されると共に、出力信号φRSとしてラッチ部63に出力される。反転遅延回路622は、比較回路621の出力信号φCOを反転および遅延させる。反転遅延回路622の出力信号φxCO_DはAND回路AND1に出力されると共に、出力信号φHOLD_7としてラッチ部63に出力される。AND回路AND1は、比較回路621の出力信号φCOと反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dとの論理積(AND)をとった信号を出力信号φHOLDとしてラッチ部63に出力する。
【0038】
ラッチ部63は、ラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7を有する。スタートパルスφStartPが遅延部71に入力されたタイミング(第1のタイミング)の後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転するタイミング(第2のタイミング)で、ラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6がイネーブル(有効)状態となる。第2のタイミングから所定時間が経過した後のタイミング(第3のタイミング)で、ラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7はディスエーブル(無効)状態となり、遅延部71で生成された信号の論理状態をラッチ(保持/記憶)する。ラッチ部63のラッチ回路L_7は、第3のタイミングまで常にイネーブル状態となっている。
【0039】
カウンタ回路64は、ラッチ部63のラッチ回路L_7の出力端子Mの出力信号に基づいてカウントを行う。ここで、カウンタ回路64は、カウンタ回路64の論理状態を保持するラッチ機能を合わせ持つカウンタ回路を想定している。ラッチ部63の論理状態が示す下位データ信号は、例えば8ビットのデータである。また、カウンタ回路64のカウント結果が示す上位データ信号は、例えば10ビットのデータである。なお、この10ビットデータは一例であって、10ビット未満のビット数(例えば8ビット)や10ビットを越えるビット数(例えば、12ビット)などであっても構わない。
【0040】
図4はラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7の構成を示している。図4(a)はラッチ回路L_0〜L_6の構成を示し、図4(b)はラッチ回路L_7の構成を示している。
【0041】
ラッチ回路L_0〜L_6は、スイッチ回路SW1,SW2およびINV回路(インバータ回路)INV1,INV2で構成される。スイッチ回路SW1の一端は、信号線LN1を介して入力端子Dに接続されている。スイッチ回路SW2の一端およびINV回路INV1の入力端子は、信号線LN2を介してスイッチ回路SW1の他端に接続されている。INV回路INV2の入力端子は、信号線LN4を介してINV回路INV1の出力端子に接続されている。スイッチ回路SW2の他端およびINV回路INV2の出力端子は、信号線LN3を介して出力端子Qに接続されている。
【0042】
スイッチ回路SW1,SW2の制御端子は、信号線LN5を介して入力端子CKに接続されており、スイッチ回路SW1,SW2は、入力端子CKの入力信号によって制御される。スイッチ回路SW1は、入力端子CKの入力信号がHighのときONとなり、入力端子CKの入力信号がLowのときOFFとなる。スイッチ回路SW2は、入力端子CKの入力信号がLowのときONとなり、入力端子CKの入力信号がHighのときOFFとなる。INV回路INV1,INV2は、入力信号の論理状態を反転した信号を出力する。
【0043】
入力端子CKに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φHOLDであり、入力端子Dに入力される信号は、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[6]の出力信号φCK0〜φCK6である。出力端子Qから出力される信号は出力信号φAD_OUT[0]〜φAD_OUT[6]を構成する。
【0044】
ラッチ回路L_0〜L_6は、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をそのまま出力端子Qから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_0〜L_6は、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。
【0045】
ラッチ回路L_7は、スイッチ回路SW1,SW2(切替回路)、NAND回路NAND1(第1の論理ゲート)、およびINV回路(インバータ回路)INV2(第2の論理ゲート)で構成される。スイッチ回路SW1の一端は、信号線LN1を介して入力端子Dに接続されている。スイッチ回路SW2の一端およびNAND回路NAND1の第1の入力端子は、信号線LN2(信号出力線)を介して、スイッチ回路SW1の他端および出力端子Mに接続されている。NAND回路NAND1の第2の入力端子は入力端子RSに接続されている。INV回路INV2の入力端子は、信号線LN4を介してNAND回路NAND1の出力端子に接続されている。スイッチ回路SW2の他端およびINV回路INV2の出力端子は、信号線LN3を介して出力端子Qに接続されている。
【0046】
スイッチ回路SW1,SW2の制御端子は、信号線LN5を介して入力端子CKに接続されており、スイッチ回路SW1,SW2は、入力端子CKの入力信号によって制御される。スイッチ回路SW1は、入力端子CKの入力信号がHighのときONとなり、入力端子CKの入力信号がLowのときOFFとなる。スイッチ回路SW2は、入力端子CKの入力信号がLowのときONとなり、入力端子CKの入力信号がHighのときOFFとなる。NAND回路NAND1は、第1の入力端子に入力される信号と第2の入力端子に入力される信号との否定論理積(NAND)をとった信号を出力する。INV回路INV2は、入力信号の論理状態を反転した信号を出力する。
【0047】
入力端子CKに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7であり、入力端子Dに入力される信号は、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7である。また、入力端子RSに入力される信号はラッチ制御部62の出力信号φRSである。出力端子Qから出力される信号は出力信号φAD_OUT[7]を構成する。また、出力端子Mから出力される信号は、カウンタ回路64のカウントクロックとしてカウンタ回路64に入力される。
【0048】
ラッチ回路L_7は、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をそのまま出力端子Mから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_7は、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。ラッチした入力信号は出力端子Qから出力信号として出力される。また、入力端子RSの入力信号がLowになると、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止する。
【0049】
入力端子CKの入力信号がHighのとき、スイッチ回路SW1はONとなっており、遅延部71の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7がNAND回路NAND1の第1の入力端子に入力されると共に出力端子Mからカウンタ回路64に出力される。このとき、NAND回路NAND1の第2の入力端子に入力される入力端子RSの入力信号をLowとすることで、NAND回路NAND1に遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7が入力されていても、NAND回路NAND1およびINV回路INV2の動作を停止することができ、消費電力を低減することができる。
【0050】
次に、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作について説明する。ここでは、単位画素1の具体的な動作については説明を省略するが、周知のように単位画素1ではリセットレベルと信号レベルとが出力される。出力されたリセットレベルと信号レベルは、アナログ回路4においてCDS処理された画素信号φSignalとして出力される。A/D変換は、以下のようにして行われる。図5は、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を示している。
【0051】
まず、ラッチ制御部62の比較回路621での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、クロック生成部7の遅延部71の遅延時間に略一致する周期のクロックが入力される。これにより、遅延部71が動作を開始する。遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力信号を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。
【0052】
遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7に入力される。ラッチ回路L_0〜L_6は、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがLowであり、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowであるため、ディスエーブル状態であり、動作を停止している。ラッチ回路L_7は、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7がHighであるため、イネーブル状態であり、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を出力端子Mから出力信号としてそのまま出力する。
【0053】
このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(=比較回路621の出力信号φCO)がLowであるため、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止している。カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7の出力端子Mから出力される遅延部71の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。
【0054】
第1のタイミング以降、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きい間、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOはLowである。ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下になると、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなる。第1のタイミングからラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなるまでの期間が、検出の対象となるタイムインターバルである。この期間内にスタートパルスφStartPが、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を通過する数は、画素信号φSignalのレベルに応じた数になる。
【0055】
第1のタイミングから、検出の対象となるタイムインターバルが経過した後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転することにより、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがHighとなる(第2のタイミング)。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6はイネーブル状態となる。このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(比較回路621の出力信号φCO)はHighとなる。これにより、ラッチ回路L_7の論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を開始する。
【0056】
第2のタイミングから、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の遅延時間に一致する時間が経過した後(第3のタイミング)、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dが反転し、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD,φHOLD_7(φxCO_D)がLowとなる。これにより、ラッチ回路L_0〜L_7がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7に応じた論理状態がラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_7にラッチされる。
【0057】
カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7が動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部63が保持している論理状態と、カウンタ回路64が保持しているカウント値とにより、タイムインターバルに対応したデータが得られる。
【0058】
その後、ラッチ回路L_0〜L_7およびカウンタ回路64がラッチしているデジタルデータは、水平走査回路9により、水平信号線を介して出力され、エンコーダ回路8に転送される。エンコーダ回路8がバイナリ化処理を実施することで2進化データが得られる。なお、エンコーダ回路8をA/D変換回路6に内蔵する構成でも構わない。
【0059】
上記の動作では、第2のタイミング(制御信号出力タイミング)〜第3のタイミング(ラッチタイミング)までの期間のみ、ラッチ回路L_0〜L_7の論理素子(インバータ回路INV,INV2、NAND回路NAND1)が動作するため、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、消費電力が低減された固体撮像装置を実現することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、アナログ的にCDS処理された画素信号の信号レベルをA/D変換することで、画素信号に応じたデジタルデータを得るように固体撮像装置が動作するが、固体撮像装置の動作はこの動作に限るものではない。例えば、1回目の読出し動作時に単位画素1から画素信号の雑音を含むリセットレベルを読み出してA/D変換し、続いて、2回目の読出し動作時に単位画素1から信号レベルを読み出してA/D変換し、その後、デジタル的にCDS動作をすることにより、画素信号に応じたデジタルデータを得るようにしても構わない。また、これに限る必要もない。
【0061】
なお、A/D変換回路6のラッチ回路L_0〜L_6の構成は図4の構成に限るものではなく、入力端子Dの入力信号を入力端子CKの入力信号に応じてラッチする回路であれば良い。また、ラッチ回路L_7の構成は図4の構成に限るものではなく、図6に示すように、NAND回路NAND1の代わりにNOR回路NOR1を用いても良い。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図7は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7a)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7aの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0063】
図7に示すラッチ回路L_7aは、図4のラッチ回路L_7と比較して、ラッチ回路L_7aのラッチ動作を制御するSW制御部31(スイッチ制御回路)が設けられていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。SW制御部31は、スイッチ回路SW1がONからOFFに切り替わった後、一定時間が経過したタイミングでスイッチ回路SW2をOFFからONに切り替える制御を行う。SW制御部31は、例えば遅延回路で構成される。
【0064】
次に、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を説明する。なお、A/D変換回路6の動作以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。図8は、本実施形態に係るA/D変換回路6の動作を示している。まず、ラッチ制御部62の比較回路621での比較開始に係るタイミング(第1のタイミング)で、スタートパルスφStartPとして、クロック生成部7の遅延部71の遅延時間に略一致する周期のクロックが入力される。これにより、遅延部71が動作を開始する。遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]は、スタートパルスφStartPを遅延させて出力信号φCK0として出力し、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[1]〜DU[7]はそれぞれ前段の遅延ユニットの出力を遅延させて出力信号φCK1〜φCK7として出力する。
【0065】
遅延ユニットDU[0]〜DU[7]の出力信号φCK0〜φCK7はラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6およびラッチ回路L_7aに入力される。ラッチ回路L_0〜L_6は、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがLowであり、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowであるため、ディスエーブル状態であり、動作を停止している。ラッチ回路L_7aは、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7がHighであるため、イネーブル状態であり、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を出力端子Mから出力信号としてそのまま出力する。
【0066】
このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(=比較回路621の出力信号φCO)がLowであるため、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を停止している。カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7aの出力端子Mから出力される遅延部71の出力信号φCK7に基づいてカウント動作を行う。このカウント動作では、出力信号φCK7の立上りまたは立下りでカウント値が増加または減少する。
【0067】
第1のタイミング以降、ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧よりも大きい間、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOはLowである。ランプ波φRampに応じた信号電圧が画素信号φSignalに応じた信号電圧以下になると、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなる。第1のタイミングからラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOがHighとなるまでの期間が、検出の対象となるタイムインターバルである。この期間内にスタートパルスφStartPが、遅延部71を構成する遅延ユニットDU[0]〜DU[7]を通過する数は、画素信号φSignalのレベルに応じた数になる。
【0068】
第1のタイミングから、検出の対象となるタイムインターバルが経過した後、ラッチ制御部62の比較回路621の出力信号φCOが反転することにより、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがHighとなる(第2のタイミング)。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6はイネーブル状態となる。このとき、ラッチ制御部62の出力信号φRS(比較回路621の出力信号φCO)はHighとなる。これにより、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)は動作を開始する。
【0069】
第2のタイミングから、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の遅延時間に一致する時間が経過した後(第3のタイミング)、ラッチ制御部62の反転遅延回路622の出力信号φxCO_Dが反転し、ラッチ制御部62の出力信号φHOLDがLowとなる。これにより、ラッチ回路L_0〜L_6がディスエーブル状態となる。このとき、遅延ユニットDU[0]〜DU[6]の出力信号φCK0〜φCK6に応じた論理状態がラッチ部63のラッチ回路L_0〜L_6にラッチされる。
【0070】
また、このとき、ラッチ制御部62の出力信号φHOLD_7(φxCO_D)がLowとなり、ラッチ回路L_7aのスイッチ回路SW1がOFFとなることで、ラッチ回路L_7aはディスエーブル状態となる。第3のタイミングからラッチ回路L_7aのSW制御部31の遅延時間に応じた時間が経過した後(第4のタイミング)、ラッチ回路D_7のスイッチ回路SW2がONとなる。これにより、ラッチ回路L_7aは、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に応じた論理状態をラッチする。なお、第3のタイミングから第4のタイミングまでの間、ラッチ回路L_7aは、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7に応じた論理状態をNAND回路NAND1のゲート容量などの寄生容量にラッチしている。
【0071】
カウンタ回路64は、ラッチ回路L_7aが動作を停止することでカウント値をラッチする。ラッチ部63が保持している論理状態と、カウンタ回路64が保持しているカウント値とにより、タイムインターバルに対応したデータが得られる。
【0072】
その後、ラッチ回路L_0〜L_7aおよびカウンタ回路64がラッチしているデジタルデータは、水平走査回路9により、水平信号線を介して出力され、エンコーダ回路8に転送される。エンコーダ回路8がバイナリ化処理を実施することで2進化データが得られる。なお、エンコーダ回路8をA/D変換回路6に内蔵する構成でも構わない。
【0073】
上記の動作では、第2のタイミング(制御信号出力タイミング)〜第3のタイミング(ラッチタイミング)までの期間のみ、ラッチ回路L_0〜L_6,L_7aの論理素子(インバータ回路INV,INV2、NAND回路NAND1)が動作するため、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。したがって、本実施形態によれば、消費電力が低減された固体撮像装置を実現することができる。
【0074】
上記の動作では、ラッチ回路L_7aの出力端子Qの電圧は、ラッチ回路L_7aの出力端子Mの電圧が変化した後、ラッチ回路L_7aの論理素子(NAND回路NAND1、INV回路INV2)の遅延時間に応じた時間が経過したタイミングで変化する。そのため、図8に示すように、第3のタイミングで、ラッチ回路L_7aの出力端子Qの電圧と出力端子Mの電圧が異なることがある。
【0075】
このとき、ラッチ回路L_7aのスイッチ回路SW1とスイッチ回路SW2の接続を同時に切り替えると、図9に示すようなノイズが出力端子Mの電圧に重畳する。このノイズに基づいてカウンタ回路64が誤カウントを行うと、A/D変換結果に上位1ビットの誤差が現れる。本実施形態では、スイッチ回路SW1が接続を切り替えた後、SW制御部31の遅延時間に応じた時間が経過したタイミングでスイッチ回路SW2が接続を切り替える。そのため、図9に示すような、ラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因してカウンタ回路64の入力信号に重畳するノイズを除去することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0076】
なお、A/D変換回路6のラッチ回路D_0〜D_6の構成は図4の構成に限るものではなく、入力端子Dの入力信号を入力端子CKの入力信号に応じてラッチする回路であれば良い。また、ラッチ回路L_7aの構成は図7の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0077】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図10は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7b)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7bの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0078】
図10に示すラッチ回路L_7bでは、図4のラッチ回路L_7と比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換されていること、およびINV回路INV2の出力端子とNAND回路NAND1の第1の入力端子を接続する信号線LN4(信号出力線)が出力端子Mに接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。
【0079】
ラッチ回路L_7bは、入力端子CKの入力信号がHighのときイネーブル状態となり、入力端子Dの入力信号をINV回路INV2が反転した信号を出力端子Mから出力信号として出力する。また、ラッチ回路L_7bは、入力端子CKの入力信号がHighからLowに遷移するとディスエーブル状態となり、入力端子Dの入力信号の論理状態をラッチする。ラッチした入力信号は出力端子Qから出力信号として出力される。また、入力端子RSの入力信号がLowになると、NAND回路NAND1は動作を停止する。
【0080】
入力端子CKの入力信号がHighのとき、スイッチ回路SW1はONとなっており、遅延部71の遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7をINV回路INV2が反転した信号がNAND回路NAND1の第1の入力端子に入力されると共に出力端子Mからカウンタ回路64に出力される。このとき、NAND回路NAND1の第2の入力端子に入力される入力端子RSの入力信号をLowとすることで、NAND回路NAND1に遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を反転した信号が入力されていても、NAND回路NAND1の動作を停止することができ、消費電力を低減することができる。
【0081】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7bの動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図5に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7bのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ラッチ回路L_7bのINV回路INV2の出力側がカウンタ回路64に接続されており、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を伝送する信号線LN2と、カウンタ回路64に接続される信号線LN4とがINV回路INV2によって隔てられている。従って、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、信号線LN2の負荷が軽い。そのため、波形のなまりを抑制することができ、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0083】
なお、ラッチ回路L_7bの構成は図10の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0084】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。図11は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7c)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7cの構成以外は、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0085】
図11に示すラッチ回路L_7cでは、図7のラッチ回路L_7aと比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換されていること、および出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図7のラッチ回路L_7aの構成と同様である。
【0086】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7cの動作以外、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図8に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7cのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0087】
また、本実施形態では、ラッチ回路L_7cのINV回路INV2の出力側がカウンタ回路64に接続されており、遅延ユニットDU[7]の出力信号φCK7を伝送する信号線LN2と、カウンタ回路64に接続される信号線LN4とがINV回路INV2によって隔てられている。従って、本実施形態では、第2の実施形態と比較して、信号線LN2の負荷が軽い。そのため、波形のなまりを抑制することができ、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0088】
なお、ラッチ回路L_7cの構成は図11の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。図12は、本実施形態に係るA/D変換回路6(A/D変換回路6a)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6aの構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0090】
図12に示すA/D変換回路6aは、カウンタ回路64の入力端子とラッチ回路L_7の出力端子Mとの間に、ヒステリシス特性を持つヒステリシスバッファ65が設けられている。これ以外の構成は、第1の実施形態のA/D変換回路6と同様である。ヒステリシスバッファ65は、ラッチ回路L_7の出力信号に重畳するノイズを除去した出力信号φBOをカウンタ回路64に出力する。
【0091】
本実施形態に係るA/D変換回路6aの動作は、図5の第3のタイミングにおけるラッチ回路L_7とカウンタ回路64の動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。図13は、ラッチ回路L_7の出力端子Mの電圧とヒステリシスバッファ65の出力信号φBOの電圧を示している。第3のタイミングで、ラッチ回路L_7が遅延回路DU[7]の出力信号φCKの論理状態をラッチするとき、ラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因したノイズがラッチ回路L_7の出力端子Mの電圧に重畳すると考えられる。このとき、ヒステリシスバッファ65は、ノイズの重畳した信号を受けて、ノイズを除去して出力信号φBOをカウンタ回路64に出力する。従って、本実施形態では、カウンタ回路64がラッチ回路L_7のスイッチング動作に起因したノイズを誤カウントすることがなく、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。
【0092】
なお、ラッチ回路L_7の構成は、図4の構成に限るものではなく、図7のようにSW制御部31を設けた構成でも良いし、図10のようにINV回路INV2とNAND回路NAND1の配置を交換し、且つ出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されるような構成でも良いし、図11のように図7と図10の構成を組み合わせた構成でも良い。
【0093】
なお、本実施形態では、ヒステリシスバッファは、入力された信号と同相の信号を出力するように動作するが、これに限るものではなく、入力された信号を反転して出力しても構わない。
【0094】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を説明する。図14は、本実施形態に係るA/D変換回路6のラッチ回路L_7(ラッチ回路L_7d)の構成を示している。本実施形態では、A/D変換回路6を構成するラッチ回路L_7dとカウンタ回路64の構成以外は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0095】
ラッチ回路L_7dでは、図4のラッチ回路L_7と比較して、INV回路INV2とNAND回路NAND1の配置が交換され、且つINV回路INV2がヒステリシス特性を有していること、および出力端子MがINV回路INV2の出力側に接続されていることが異なる。これ以外の構成は、図4のラッチ回路L_7の構成と同様である。本実施形態のカウンタ回路64は、第1の実施形態のカウンタ回路64とは逆の遷移タイミングでカウントを行うよう構成されている。例えば、第1の実施形態のカウンタ回路64が遅延部71の出力信号φCK7の立上りでカウントを行う構成であれば、本実施形態のカウンタ回路64は遅延部71の出力信号φCK7の立下りでカウントを行い、第1の実施形態のカウンタ回路64が遅延部71の出力信号φCK7の立下りでカウントを行う構成であれば、本実施形態のカウンタ回路64は遅延部71の出力信号φCK7の立上りでカウントを行う。
【0096】
本実施形態に係るA/D変換回路6の動作は、ラッチ回路L_7dの動作以外、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態では、図5に示す第1のタイミングから第2のタイミングまでの期間、ラッチ回路L_0〜L_6の論理素子(インバータ回路INV,INV2)およびラッチ回路L_7bのNAND回路NAND1が動作を停止している。従って、ラッチ部63の消費電力を低減することができる。
【0097】
また、本実施形態では、ヒステリシス特性を有するINV回路INV2の出力信号がカウンタ回路64に入力される。そのため、カウンタ回路64が、ラッチ回路L_7dのスイッチング動作に起因したノイズによって誤カウントを行うことがなく、高精度なA/D変換処理を実現することができる。従って、本実施形態によれば、低消費電力化を実現し、且つ高精度なA/D変換処理を実現することができる。さらに、本実施形態では、ラッチ回路L_7dの論理素子(INV回路INV2)がヒステリシス特性を有することによって、第5の実施形態のA/D変換回路6aと比較して、ヒステリシスバッファ65を削減することができるので、第5の実施形態のA/D変換回路6aよりもA/D変換回路6の消費電力を低減することができる。
【0098】
なお、ラッチ回路L_7dは図14の構成に限るものではなく、NAND回路の代わりにNOR回路を用いる構成でも良い。
【0099】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、図1ではA/D変換回路6が画素アレイ2における単位画素1の1列に対応して配置されているが、A/D変換回路6を複数列毎に配置し、複数列で1つのA/D変換回路6を共有しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1・・・単位画素、2・・・画素アレイ、3・・・垂直走査回路、4・・・アナログ回路、5・・・参照信号生成回路、6,6a・・・A/D変換回路、7・・・クロック生成部、8・・・エンコーダ回路、9・・・水平走査回路、10・・・制御回路、31・・・SW制御部、62・・・ラッチ制御部、63,103・・・ラッチ部、64,104・・・カウンタ回路、65・・・ヒステリシスバッファ、71,71a,101・・・遅延部、102,621・・・比較回路、105・・・バッファ回路、622・・・反転遅延回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射される電磁波の大きさに応じて画素信号を出力する画素が複数、行列状に配置された画素部と、
入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットを有する遅延部と、
前記複数の遅延ユニットのいずれかから出力されるクロックに基づいてカウントを行い、カウント結果をラッチするカウント部と、
前記入力信号が前記複数の遅延ユニットを通過する数が前記画素信号のレベルに応じた数になるタイミングで制御信号を出力するラッチ制御部と、
前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ部と、
を有し、
前記ラッチ部は、
前記複数の遅延ユニットのいずれかに接続され、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号に対して論理演算を行う第1の論理ゲートと、
前記制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、該制御信号出力タイミングの後は前記第1の論理ゲートの出力信号に対して論理演算を行い、該論理演算の結果を前記第1の論理ゲートに出力する第2の論理ゲートと、
前記第1の論理ゲートの入力端子または出力端子と前記カウント部を接続する信号出力線と、
前記制御信号出力タイミングまでは前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、前記信号出力線を介して前記カウント部に出力し、前記制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態を前記第1の論理ゲートおよび前記第2の論理ゲートがラッチするように接続の切替を行う切替回路と、
を有し、
前記遅延部、前記カウント部、前記ラッチ制御部、前記ラッチ部は、前記画素部を構成する前記画素の1列または複数列毎に配置されている、
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、
前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記第2の論理ゲートはNAND回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、
前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記第2の論理ゲートはNOR回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記切替回路は、
一端が前記ラッチ部の入力端子に接続され、他端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続された第1のスイッチと、
一端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続され、他端が前記第2の論理ゲートの出力端子に接続された第2のスイッチと、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記切替回路は、前記第1のスイッチが前記ラッチ部の入力端子と前記第1の論理ゲートの入力端子との間を開放してから所定時間が経過した後に、前記第2のスイッチが前記第1の論理ゲートの入力端子と前記第2の論理ゲートの出力端子との間を接続するように前記第2のスイッチを制御するスイッチ制御回路をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記ラッチ部の出力端子と前記カウント部の入力端子との間に、ヒステリシス特性を持つバッファを有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記インバータ回路はヒステリシス特性を持つことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の固体撮像装置。
【請求項1】
入射される電磁波の大きさに応じて画素信号を出力する画素が複数、行列状に配置された画素部と、
入力信号を遅延させて出力する複数の遅延ユニットを有する遅延部と、
前記複数の遅延ユニットのいずれかから出力されるクロックに基づいてカウントを行い、カウント結果をラッチするカウント部と、
前記入力信号が前記複数の遅延ユニットを通過する数が前記画素信号のレベルに応じた数になるタイミングで制御信号を出力するラッチ制御部と、
前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態をラッチするラッチ部と、
を有し、
前記ラッチ部は、
前記複数の遅延ユニットのいずれかに接続され、前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号に対して論理演算を行う第1の論理ゲートと、
前記制御信号が出力される制御信号出力タイミングまでは停止しており、該制御信号出力タイミングの後は前記第1の論理ゲートの出力信号に対して論理演算を行い、該論理演算の結果を前記第1の論理ゲートに出力する第2の論理ゲートと、
前記第1の論理ゲートの入力端子または出力端子と前記カウント部を接続する信号出力線と、
前記制御信号出力タイミングまでは前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号を、前記信号出力線を介して前記カウント部に出力し、前記制御信号出力タイミングから所定時間が経過した後のラッチタイミングで前記複数の遅延ユニットのいずれかの出力信号の論理状態を前記第1の論理ゲートおよび前記第2の論理ゲートがラッチするように接続の切替を行う切替回路と、
を有し、
前記遅延部、前記カウント部、前記ラッチ制御部、前記ラッチ部は、前記画素部を構成する前記画素の1列または複数列毎に配置されている、
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記第1の論理ゲートはNAND回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、
前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記第2の論理ゲートはNAND回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第1の論理ゲートはNOR回路で構成され、前記制御信号出力タイミングまでは停止しており、
前記第2の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの入力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第1の論理ゲートはインバータ回路で構成され、
前記第2の論理ゲートはNOR回路で構成され、
前記信号出力線は前記第1の論理ゲートの出力端子に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記切替回路は、
一端が前記ラッチ部の入力端子に接続され、他端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続された第1のスイッチと、
一端が前記第1の論理ゲートの入力端子に接続され、他端が前記第2の論理ゲートの出力端子に接続された第2のスイッチと、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記切替回路は、前記第1のスイッチが前記ラッチ部の入力端子と前記第1の論理ゲートの入力端子との間を開放してから所定時間が経過した後に、前記第2のスイッチが前記第1の論理ゲートの入力端子と前記第2の論理ゲートの出力端子との間を接続するように前記第2のスイッチを制御するスイッチ制御回路をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記ラッチ部の出力端子と前記カウント部の入力端子との間に、ヒステリシス特性を持つバッファを有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記インバータ回路はヒステリシス特性を持つことを特徴とする請求項3または請求項5に記載の固体撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−93803(P2013−93803A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236021(P2011−236021)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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