説明

固定金具及びそれを用いた軒天井板の支持構造

【課題】1種類の固定金具により異なる複数の厚さの被支持部材の固定に対応出来、施工が容易な固定金具を提供し、建物の外壁面から突出した軒の下面に軒天井板を設置する支持構造を提供。
【解決手段】鼻隠し下地材4に取り付けられる取付片9aと、切欠部9dが設けられた連結片となるアングル片9bと、軒天井板8の下面に当接すると共に切欠部9eが設けられた当接片9cを有する支持金具9と、支持金具9のアングル片9bの垂下片9b2に設けられた切欠部9dから挿通されて当接片9cに端部側の下面が当接された軒天井板8の上面に当接し得る拘束片12a,12bが接続片12cを介して断面コ字形状で形成され、拘束片12a,12bの一方には当接片9cの板厚以下の高さを有して切欠部9eに嵌入し得る突出部12b1が設けられ、拘束片12a,12bにより軒天井板8と支持金具9の当接片9cとを挟持して拘束する拘束金具12とを有した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持部材に被支持部材を固定する固定金具及びその固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に設置する軒天井板の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外装材、軒天井材等の施工を容易にするために、これ等の端部をクリップ材を用いて固定するものが特許文献1〜3により提案されている。
【0003】
【特許文献1】実開平05−016901号公報
【特許文献2】特開平11−117400号公報
【特許文献3】特開平07−279297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の従来例において、建物の外装材、軒天井材の厚さは様々であり、例えば軒天井板の場合、その板厚が8mm〜16mmの範囲で使用されるのが一般である。このような板厚の異なる軒天井板の施工に前記特許文献1〜3のクリップ材を用いて固定した場合、軒天井板の板厚毎にその板厚に対応したクリップ材を用意しなければならず製品管理上コスト高となるという問題があった。
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、1種類の固定金具により異なる複数の厚さの被支持部材の固定に対応出来、施工が容易な固定金具を提供し、更にその固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に軒天井板を設置する支持構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明に係る固定金具の構成は、支持部材に被支持部材を固定する固定金具であって、前記支持部材に取り付けられる取付片と、該取付片に接続され第1の切欠部が設けられた連結片と、該連結片に接続され前記被支持部材の端部側の一方の表面に当接すると共に第2の切欠部が設けられた当接片とを有する支持金具と、前記支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から挿通されて前記支持金具の当接片に端部側の一方の表面が当接された前記被支持部材の該端部側の他方の表面に当接し得る第1、第2の拘束片が接続片を介して断面コ字形状で形成され、該第1、第2の拘束片の一方には前記支持金具の当接片の板厚以下の高さを有して前記第2の切欠部に嵌入し得る突出部が設けられ、該第1、第2の拘束片により前記被支持部材と前記支持金具の当接片とを挟持して拘束する拘束金具とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第1の構成は、前記固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に設置する軒天井板の支持構造であって、前記支持部材となる鼻隠し下地材に前記支持金具の取付片が取り付けられ、該支持金具の当接片に前記被支持部材となる軒天井板の鼻隠し側の端部を載置して支持し、前記軒天井板の板厚に応じて前記拘束金具の第1の拘束片または第2の拘束片を前記支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から選択的に挿通すると共に、該支持金具の当接片に設けられた第2の切欠部に該第1、第2の拘束片の一方に設けた突出部が対応する場合には該突出部を該第2の切欠部に嵌入させ、前記拘束金具の第1、第2の拘束片の一方を前記軒天井板の上面に当接し且つ前記拘束金具の第1、第2の拘束片の他方を前記軒天井板を載置した前記支持金具の当接片の下面に当接して該拘束金具により前記軒天井板と前記支持金具の当接片とが挟持して拘束され、前記軒天井板の外壁面側の端部が壁際野縁に固定されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第2の構成は、前記軒天井板の支持構造の第1の構成において、前記鼻隠し下地材に、前記支持金具と、前記拘束金具と、前記軒天井板の鼻隠し側の端部とを覆う通気見切り材を固定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第3の構成は、前記軒天井板の支持構造の第2の構成において、前記通気見切り材の換気用空気通路内に、熱によって膨張する不燃性体積膨張材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る固定金具の構成によれば、支持部材に取り付けた支持金具の当接片に被支持部材の端部側の一方の表面を当接すると共に、該支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から拘束金具の第1、第2の拘束片を選択的に挿通して該第1、第2の拘束片を該支持金具の当接片に端部側の一方の表面が当接された被支持部材の該端部側の他方の表面に当接すると共に、該支持金具の当接片の被支持部材が当接する面と反対側に当接し、該第1、第2の拘束片により被支持部材と支持金具の当接片とを挟持して拘束し、支持部材に被支持部材を固定することが出来る。
【0011】
厚い被支持部材を固定する場合には、拘束金具の第1、第2の拘束片の一方に設けられた突出部を支持金具の当接片に設けられた第2の切欠部に嵌入することで第1の切欠部から挿通された突出部を有さない拘束片と、支持金具の当接片により厚い被支持部材を挟持して拘束し、支持部材に被支持部材を固定することが出来る。
【0012】
また、薄い被支持部材を固定する場合には、拘束金具の突出部を有する拘束片を支持金具の第1の切欠部から挿通し該拘束片の突出部と、支持金具の当接片により薄い被支持部材を挟持して拘束し、支持部材に被支持部材を固定することが出来る。
【0013】
従って、1種類の固定金具により複数の厚さの被支持部材に対応出来、該被支持部材の厚さ毎に固定金具を用意する必要がないので部品点数の削減が図られ、生産管理等にかかる費用の削減にも効果をあげることが出来る。
【0014】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第1の構成によれば、鼻隠し下地材に取り付けた支持金具の当接片に軒天井板の鼻隠し側の端部下面を当接して載置すると共に、該支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から拘束金具の第1、第2の拘束片を選択的に挿通して該第1、第2の拘束片を該支持金具の当接片に載置された軒天井板の上面に当接すると共に、該支持金具の当接片の軒天井板が当接する面と反対側に当接し、該第1、第2の拘束片により該軒天井板の上面と支持金具の当接片の下面とを挟持して拘束し、鼻隠し下地材に軒天井板を固定することが出来る。
【0015】
厚い軒天井板を固定する場合には、拘束金具の第1、第2の拘束片の一方に設けられた突出部を支持金具の当接片に設けられた第2の切欠部に嵌入することで第1の切欠部から挿通された突出部を有さない拘束片と、支持金具の当接片により厚い軒天井板を挟持して拘束し、鼻隠し下地材に軒天井板を固定することが出来る。
【0016】
また、薄い軒天井板を固定する場合には、拘束金具の突出部を有する拘束片を支持金具の第1の切欠部から挿通し該拘束片の突出部と、支持金具の当接片により薄い軒天井板を挟持して拘束し、鼻隠し下地材に軒天井板を固定することが出来る。
【0017】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第2の構成によれば、通気見切り材により暴風雨時に雨風が直接当らない鼻隠し側で小屋裏の換気を確保すると共に、支持金具と、拘束金具と、軒天井板の鼻隠し側の端部とを覆って小屋裏への雨風の侵入を防止することが出来る。
【0018】
また、本発明に係る軒天井板の支持構造の第3の構成によれば、通気見切り材の換気用空気通路内に設けた不燃性体積膨張材は、通常時は収縮状態で通気見切り材の換気用空気通路を開放し、火災時には熱によって膨張して通気見切り材の換気用空気通路を閉塞して火炎の延焼を阻止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図により本発明に係る固定金具及びそれを用いた軒天井板の支持構造の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る固定金具を用いた軒天井板の支持構造の構成を示す断面説明図、図2(a),(b)は支持金具及び拘束金具の構成を示す斜視図、図3は被支持部材となる軒天井板を設置する様子を示す図、図4及び図5は拘束金具により被支持部材となる軒天井板を支持金具に拘束する様子を示す断面説明図、図6は通気見切り材の構成を示す斜視図、図7は換気用空気通路内に設けた不燃性体積膨張材が熱によって膨張した様子を示す図である。
【0020】
図1及び図3において、1は小屋裏であり、2は屋根、3は鼻隠し板、4は支持部材となる鼻隠し下地材、5は外壁下地材である胴縁、6は胴縁5に取り付けられる外壁、7は胴縁5に取り付けられる壁際野縁、8は被支持部材となる軒天井板である。軒天井板8は建物の外壁面6から突出した軒の下面に設置される。
【0021】
軒天井板8の鼻隠し側(図3の左側)の端部は、鼻隠し下地材4の内面4a側に固定部材となるビス10により固定された図2(b)に示す断面略W字形状の支持金具9により載置して支持される。
【0022】
支持部材となる鼻隠し下地材4に被支持部材となる軒天井板8を固定する固定金具は、図2(a)に示す支持金具9と、図2(b)に示す拘束金具12とを有して構成されている。
【0023】
本実施形態の支持金具9は、図2(a)に示すように、支持部材となる鼻隠し下地材4の内面4a側にビス10により取り付けられる取付片9aと、該取付片9aに接続された連結片となる断面L字形状のアングル片9bと、該アングル片9bに接続され被支持部材となる軒天井板8の端部側の一方の表面となる下面に当接する当接片9cとを有しており、該アングル片9bの垂下片9b2の中央部2箇所に並設された第1の切欠部9dと、当接片9cの中央部2箇所に該第1の切欠部9dに対応する位置に並設された第2の切欠部9eを有して構成される。
【0024】
一方、本実施形態の拘束金具12は、図2(b)に示すように、支持金具9の連結片となるアングル片9bの垂下片9b2に設けられた第1の切欠部9dから挿通されて支持金具9の当接片9cに端部側の一方の表面である下面が当接された被支持部材となる軒天井板8の該端部側の他方の表面である上面に当接し得る一対の並設された第1の拘束片12a及び第2の拘束片12bが接続片12cを介して断面コ字形状で形成されている。
【0025】
第2の拘束片12bには支持金具9の当接片9cの板厚以下の高さを有して該当接片9cに設けられた第2の切欠部9eに嵌入し得る一対の並設された突出部12b1が設けられ、該第1、第2の拘束片12a,12bにより被支持部材となる軒天井板8の上面と、支持金具9の当接片9cの下面とを挟持して拘束し、鼻隠し下地材4に軒天井板8を固定する。
【0026】
本実施形態の拘束金具12の接続片12cの第1、第2の拘束片12a,12bの延長方向と反対側には拘束金具12の抜け防止のための突起部12dが設けられている。
【0027】
軒天井板8の設置方法としては、先ず、支持金具9の取付片9aの取付穴9a1に固定部材となるビス10を挿通して鼻隠し下地材4の内面4a側に固定する。このとき、アングル片9bの水平片9b1の延長部位が鼻隠し下地材4の下端面に当接して安定した姿勢で鼻隠し下地材4に支持金具9が固定される。
【0028】
次に、図3に示すように、軒天井板8の外壁面6側の端部を下降させたた斜めの状態で該軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の上部に挿入し、軒天井板8を外壁面6側方向(図3の矢線a方向)にスライドさせて軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の当接片9c上に載置する。
【0029】
このとき、本実施形態では、支持金具9の連結片が断面L字形状のアングル片9bからなり、該支持金具9が取付片9aと、アングル片9bと、当接片9cとにより断面W字形状で構成されたことで、支持金具9を上部が開放された構成とすることが出来、軒天井板8の外壁面6側の端部を下降させたた斜めの状態で該軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の上部に挿入し、軒天井板8を外壁面6側方向にスライドさせても断面L字形状のアングル片9bからなる連結片上で仮支持して軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の当接片9c上に容易に且つ安全に移動して載置することが出来る。
【0030】
本実施形態では、軒天井板8の鼻隠し側の端部を載置して支持する断面W字形状の支持金具9は上部が開放された構成であるため、図3に示すように、軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の上部に挿入し且つ該軒天井板8の外壁面6側の端部を下降させたた斜めの状態で外壁面6側に軒天井板8の逃げのスペースを十分確保することが出来、しかも軒天井板8の鼻隠し側の端部は断面W字形状の支持金具9により仮支持されて軒天井板8を安定して且つ容易に支持金具9の当接片9c上に載置することが出来る。
【0031】
次に、図3に示すように、軒天井板8の外壁面6側の端部が固定部材となる釘11により壁際野縁7の下面7aに固定される。
【0032】
これにより、軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の当接片9c上に載置した状態で軒天井板8の外壁面6側の端部を外壁面6側の壁際野縁7に固定することが出来るので、軒天井板8の施工作業が一人の作業員で行うことが出来、施工性に優れる。
【0033】
また、支持金具9の当接片9cの呑み込み代を大きくする必要がなく支持金具9の見付け寸法も小さくて済む。また、外壁面6側に隙間が出来ないため隙間を隠す部材も必要がない。
【0034】
軒天井板8の鼻隠し側の端部を支持金具9の当接片9c上に載置し、該軒天井板8の外壁面6側の端部を壁際野縁7に固定した後は、支持金具9のアングル片9bの垂下片9b2に設けられた第1の切欠部9dから図4(a)或いは図5(a)に示すように、断面コ字形状の拘束金具12の第1、第2の拘束片12a,12bの一方を軒天井板8の板厚に対応して適宜選択的に挿通して軒天井板8の上面に当接し且つ該拘束金具12の第1、第2の拘束片12a,12bの他方を軒天井板8を載置した支持金具9の当接片9cの下面に当接して該拘束金具12により軒天井板8と支持金具9の当接片9cとを挟持して拘束し、ワンタッチで固定することが出来る。
【0035】
本実施形態では、支持金具9の当接片9cの板厚を2mmとすると共に、拘束金具12の第2の拘束片12bにプレス成形により設けられた突出部12b1の高さを該第2の拘束片12bの表面から2mmの高さに設定し、図4では板厚13mmの軒天井板8を固定し、図5では板厚11mmの軒天井板8を固定する場合の一例である。
【0036】
図4に示すように、厚い軒天井板8を固定する場合には、拘束金具12の第2の拘束片12bに設けられた突出部12b1を支持金具9の当接片9cに設けられた第2の切欠部9eに嵌入することで第1の切欠部9dから挿通された突出部を有さない第1の拘束片12aと、支持金具9の当接片9cとにより厚い軒天井板8を挟持して拘束し、鼻隠し下地材4に軒天井板8を固定することが出来る。
【0037】
また、図5に示すように、薄い軒天井板8を固定する場合には、拘束金具12の突出部12b1を有する第2の拘束片12bを支持金具9の第1の切欠部9dから挿通し該第2の拘束片12bの突出部12b1と、支持金具9の当接片9cとにより薄い軒天井板8を挟持して拘束し、鼻隠し下地材4に軒天井板8を固定することが出来る。
【0038】
拘束金具12の一対の第1、第2の拘束片12a,12bのそれぞれの中央部には切欠部12a1,12b2が設けられており、これにより第1、第2の拘束片12a,12bがバネ性を発揮して軒天井板8の多少の板厚の差異を吸収出来るように構成されている。
【0039】
図1に示すように、鼻隠し下地材4の下面4bには、支持金具9と拘束金具12と軒天井板8の鼻隠し側の端部とを覆う通気見切り材13の取付片13eが固定部材となるビス10により固定される。
【0040】
通気見切り材13は、図6に示すように、その長手方向に断面コ字形状の突条部13a1が設けられた底面部13aと、該底面部13aの外壁面6側に接続されて起立した壁面部13bと、該壁面部13bに接続されて支持金具9の当接片9cの上面と軒天井板8の下面との間に挿入される挿入片13cと、底面部13aの鼻隠し板3側に接続されて起立した通気部13dと、該通気部13dに接続されて一旦鼻隠し板3側に張り出し、更に外壁面6側に折り返された取付片13eと、該取付片13eから更に外壁面6側に張り出した張出片13fと、該張出片13fに接続されて垂下した垂下片13gとを有して構成されている。
【0041】
長尺状の通気見切り材13は、1枚のスチール、ステンレス等の鋼板を冷間ロールフォーミング法等により折曲プレス加工することにより全体が一体的に形成される。
【0042】
通気見切り材13の通気部13dは、図6に示すように、起立片13d1と、該起立片13d1に接続され、内側に傾斜して立ち上がる傾斜片13d2と、該傾斜片13d2に設けられたスリット状の通気穴13d3を有して構成されており、図1に示すように、小屋裏1内部と外気との通気経路bが該通気見切り材13内部の換気用空気通路13hを介して形成される。
【0043】
本実施形態では、暴風雨時に雨風が直接当らない鼻隠し側で通気見切り材13を介して小屋裏1の換気が出来るので防水性に優れるものであるが、図1に示す本実施形態の通気経路bでは、雨風が鼻隠し板3の下端部と通気部13dとの間を一旦上昇し、傾斜片13d2に設けられた通気穴13d3から斜めに下降し、水返しを兼ねる垂下片13gに衝突して水切りがされ、水きりされた外気は再度上昇して垂下片13gと軒天井板8の鼻隠し側の端部との間隙を通って小屋裏1に進入することが出来、小屋裏1内の空気は通気経路bを逆に流通して外気との換気が行われる。
【0044】
これにより、通気見切り材13により暴風雨時に雨風が直接当らない鼻隠し側で小屋裏1の換気を確保すると共に、支持金具9と、拘束金具12と、軒天井板8の鼻隠し側の端部とを覆って小屋裏1への雨風の侵入を防止することが出来る。
【0045】
通気見切り材13の垂下片13gは拘束金具12の接続片12cから鼻隠し側に突設された突起部12dに対向する位置に配置されており、該突起部12dが垂下片13gに当接して拘束金具12の脱落を防止することが出来、軒天井板8を支持金具9の当接片9cに対して安定して拘束することが出来る。
【0046】
通気見切り材13の換気用空気通路13h内には熱によって膨張する不燃性体積膨張材14が設けられている。不燃性体積膨張材14は火災時に熱膨張して通気見切り材13の換気用空気通路13hを閉塞し得る場所であれば、通気見切り材13の何れの部位に設置しても良い。本実施形態では、通気見切り材13の底面部13a上に設けた場合の一例である。
【0047】
不燃性体積膨張材14は接着剤や粘着テープ等により通気見切り材13の内面に貼着することが出来る。不燃性体積膨張材14は、膨張性グラファイト系の防炎、防煙用シール材であって、通過熱風温度が150℃〜170℃で約10倍に膨張する性質を有している。不燃性体積膨張材14としては、例えば、オーストリア ケミー・リンツ社製の「インツメックス(商品名)」や種々の不燃性体積膨張材が適用可能である。
【0048】
図7(a)は不燃性体積膨張材14を通気見切り材13の底面部13a上で軒天井板8の鼻隠し側の端部下方に設置し、該不燃性体積膨張材14が熱膨張して換気用空気通路13hを塞いだ様子を示す図であり、図7(b)は不燃性体積膨張材14を通気見切り材13の底面部13a上で垂下片13gよりも鼻隠し側に設置し、該不燃性体積膨張材14が熱膨張して換気用空気通路13hを塞いだ様子を示す図である。このように、通気見切り材13の換気用空気通路13h内に不燃性体積膨張材14を設けたことで、火災の際には不燃性体積膨張材14が該換気用空気通路13hを閉塞するように熱膨張するので高密度の熱気遮蔽部が構成出来、防火性が向上する。
【0049】
上記構成によれば、支持金具9と拘束金具12からなる1種類の固定金具により異なる複数の厚さの被支持部材である軒天井板8の固定に対応出来、施工が容易な固定金具を提供し、更にその固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に軒天井板8を設置することが出来る。
【0050】
尚、前記実施形態では、被支持部材として、水平に配置される軒天井板8を固定する場合の一例について説明したが、例えば鉛直方向に配置される建物の外装材を固定する場合にも適用出来、この場合には支持金具9の当接片9cが鉛直方向になるように支持部材となる外装下地材に支持金具9を縦方向に固定し、支持金具9の当接片9cに外装材を当接させ、拘束金具12を縦方向にして支持金具9のアングル片9bの垂下片9b2に設けられた第1の切欠部9dに外装材の板厚に応じて第1、第2の拘束片12a,12bの一方を適宜選択的に挿通し、該第1、第2の拘束片12a,12bにより外装材と支持金具9の当接片9cとを挟持して拘束し、外装下地材に外装材をワンタッチで固定することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の活用例として、支持部材に被支持部材を固定する固定金具及びその固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に設置する軒天井板の支持構造に適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る固定金具を用いた軒天井板の支持構造の構成を示す断面説明図である。
【図2】(a),(b)は支持金具及び拘束金具の構成を示す斜視図である。
【図3】被支持部材となる軒天井板を設置する様子を示す図である。
【図4】拘束金具により被支持部材となる軒天井板を支持金具に拘束する様子を示す断面説明図である。
【図5】拘束金具により被支持部材となる軒天井板を支持金具に拘束する様子を示す断面説明図である。
【図6】通気見切り材の構成を示す斜視図である。
【図7】換気用空気通路内に設けた不燃性体積膨張材が熱によって膨張した様子を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1…小屋裏
2…屋根
3…鼻隠し板
4…鼻隠し下地材(支持部材)
4b…下面
5…胴縁
6…外壁
7…壁際野縁
7a…下面
8…軒天井板(被支持部材)
9…支持金具
9a…取付片
9a1…取付穴
9b…アングル片
9b2…垂下片
9c…当接片
9d…第1の切欠部
9e…第2の切欠部
10…ビス
11…釘
12…拘束金具
12a…第1の拘束片
12a1…切欠部
12b…第2の拘束片
12b1…突出部
12b2…切欠部
12c…接続片
12d…突起部
13…通気見切り材
13a…底面部
13a1…突条部
13b…壁面部
13c…挿入片
13d…通気部
13d1…起立片
13d2…傾斜片
13d3…通気穴
13e…取付片
13f…張出片
13g…垂下片
13h…換気用空気通路
14…不燃性体積膨張材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に被支持部材を固定する固定金具であって、
前記支持部材に取り付けられる取付片と、該取付片に接続され第1の切欠部が設けられた連結片と、該連結片に接続され前記被支持部材の端部側の一方の表面に当接すると共に第2の切欠部が設けられた当接片と、を有する支持金具と、
前記支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から挿通されて前記支持金具の当接片に端部側の一方の表面が当接された前記被支持部材の該端部側の他方の表面に当接し得る第1、第2の拘束片が接続片を介して断面コ字形状で形成され、該第1、第2の拘束片の一方には前記支持金具の当接片の板厚以下の高さを有して前記第2の切欠部に嵌入し得る突出部が設けられ、該第1、第2の拘束片により前記被支持部材と前記支持金具の当接片とを挟持して拘束する拘束金具と、
を有することを特徴とする固定金具。
【請求項2】
請求項1に記載の固定金具を用いて建物の外壁面から突出した軒の下面に設置する軒天井板の支持構造であって、
前記支持部材となる鼻隠し下地材に前記支持金具の取付片が取り付けられ、該支持金具の当接片に前記被支持部材となる軒天井板の鼻隠し側の端部を載置して支持し、
前記軒天井板の板厚に応じて前記拘束金具の第1の拘束片または第2の拘束片を前記支持金具の連結片に設けられた第1の切欠部から選択的に挿通すると共に、該支持金具の当接片に設けられた第2の切欠部に該第1、第2の拘束片の一方に設けた突出部が対応する場合には該突出部を該第2の切欠部に嵌入させ、
前記拘束金具の第1、第2の拘束片の一方を前記軒天井板の上面に当接し且つ前記拘束金具の第1、第2の拘束片の他方を前記軒天井板を載置した前記支持金具の当接片の下面に当接して該拘束金具により前記軒天井板と前記支持金具の当接片とが挟持して拘束され、
前記軒天井板の外壁面側の端部が壁際野縁に固定されたことを特徴とする軒天井板の支持構造。
【請求項3】
前記鼻隠し下地材に、前記支持金具と、前記拘束金具と、前記軒天井板の鼻隠し側の端部とを覆う通気見切り材を固定したことを特徴とする請求項2に記載の軒天井板の支持構造。
【請求項4】
前記通気見切り材の換気用空気通路内に、熱によって膨張する不燃性体積膨張材を設けたことを特徴とする請求項3に記載の軒天井板の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−150808(P2008−150808A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337754(P2006−337754)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000230607)日本化学産業株式会社 (31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】